クリスマスはエロ漫画だよ2016!
仕事で瀕死なままクリスマスが近づいてきました、なんとか今年もやれました
クリスマスはエロ漫画だよ2016
うちでこういうイベント合わせの更新するのはこれしかないのでなんとか間に合わせた。
でもなんか今年ってクリスマス自体そんなに盛り上がってる感じがしない気がする・・・
毎年やってるんですけど去年のクリスマスから今年のクリスマスの間に出た
成年向け単行本から俺的TOP10を発表するやつです。
基準は適当ですが、基本的にちんこに従ってるので抜き重視です。
↓過去のエロ漫画総括記事
クリスマスだからエロ漫画2010!
クリスマスこそエロ漫画だよ2011!
クリスマスだしエロ漫画2012!
クリスマスなんだしエロ漫画2013!
クリスマスなのでエロ漫画2014!
クリスマスだよエロ漫画2015!
ってことで今年で7回目。
相変わらずだらだら書いていきますので、よろしければお付き合いよろしくお願いします。
以下、もちろんですが18歳未満閲覧禁止です。
クリスマスはエロ漫画だよ2016
うちでこういうイベント合わせの更新するのはこれしかないのでなんとか間に合わせた。
でもなんか今年ってクリスマス自体そんなに盛り上がってる感じがしない気がする・・・
毎年やってるんですけど去年のクリスマスから今年のクリスマスの間に出た
成年向け単行本から俺的TOP10を発表するやつです。
基準は適当ですが、基本的にちんこに従ってるので抜き重視です。
↓過去のエロ漫画総括記事
クリスマスだからエロ漫画2010!
クリスマスこそエロ漫画だよ2011!
クリスマスだしエロ漫画2012!
クリスマスなんだしエロ漫画2013!
クリスマスなのでエロ漫画2014!
クリスマスだよエロ漫画2015!
ってことで今年で7回目。
相変わらずだらだら書いていきますので、よろしければお付き合いよろしくお願いします。
以下、もちろんですが18歳未満閲覧禁止です。
[漫画]2015年下半期面白かった漫画BEST10
2016年になってもう結構経ちますが、
2015年の下半期の一般向け漫画からBEST10をまとめました。
自分自身、半年ごとに読んだ漫画を振り返るのってなかなか楽しいものです。
まぁさっそく↓↓↓
ちなみに2015年上半期はこちら
10.ハピネス/押見修造
1巻、2巻とこの下半期に発売された「ハピネス」。
ダークファンタジー少年漫画。非日常へとはみだしてしまった主人公の運命を描いた作品で、押見カラーにじみ出まくりの威圧感・異物感を堪能できる一作。
「惡の華」ファンとしては、同じ別冊マガジンで連載がはじまったこの新作にも期待値大だったわけですが、予想通りどっぷりとハマっています。
人の生き血をすする化物に噛まれてから様子がおかしくなった主人公。もともとクラスの日陰者だったのに、血の臭いに反応したり突如暴力的になったり、ロクに日常生活を送れない有様に。
物語を彩る多彩な演出表現もみごたえがあります。特に2巻のあの覚醒シーンなんて、漫画を読んでいてなかなかこんな悪寒を感じるってことそうそう無い。
狂気で沸騰する視界。怪しく艶やかに光る夜景。憂鬱な空気、歪んだ日常、自分の中に眠る怪物の血・・・!!むせ返るような中2スメルがたまらない!!
グチャグチャに内側をかき回される。「読者を揺さぶる」ことに関して、本作はすごい攻撃力を備えているのです。この魅惑の表現を味わうために読んでいると言ったっていい。
それと、おそらくヒロインである五所雪子ちゃんが猛烈にかわいい・・・。あのフランクなしゃべりとか、なのにクラスでは浮いてるだとか、、あの不器用な懐き方とか・・・。
押見先生のヒロインは常磐さん然り、なんでこうもツボをついてくるんだろうか。
文句のつけようがない傑作である「惡の華」でしたが、ふとかすかに感じたのが巻ごとの微妙なキリの悪さ。その点「ハピネス」は意識されてかどうなのかは不明ですが1巻2巻それぞれバッチリな幕引きである。特に2巻のヒキなんてスゴい。追うなら今!!
・・・それにしても、押見先生の描く女の子の泣き顔って、絶妙に小汚くて、たまらなく愛おしくなるのだ。
9.あの子に優しい世界がいい/あおのなち
これは個別に記事を書いていますので、詳しくはそちらへ。
→恋のような魔法があるなら『あの子に優しい世界がいい』
レベルの高い短編集で、コミティアぢからがギュッと詰まっている一冊!
収録作のとくに「二人で明けて」「彼女の破片」が大好きで、たまらない。
BL/GLがテーマのいわゆる同性愛者を描いているんだけれど、優しいだけでなく卑怯だったり冷ややかだったり、視線が面白い。なのに包み込むような甘さできちんとラッピングされている。関係を肯定してくれる言葉がある。
スタイリッシュでムダのない画面作りと、ポエミーなモノローグで更に大好物度マシマシ。次の単行本をはやく!!ください!!
8.世界鬼/岡部閏
サイケデリックメンヘラ漫画の帝王「世界鬼」も無事完結。
ぶっ飛んだ展開の連続でした。読者を裏切り、時に不快にすらさせる凶悪のストーリーにひたすら振り回された全11巻。俺は好きだけどこれを好きだという人とあまりお近づきにはなりたくない。ヤマアラシのジレンマ的なやつだな(違う
「最終兵器彼女」にブチあたって漫画の面白さにはまり込んだ人間なので、いつまでたってもセカイ系の息吹にやられたいという願望が抜け切れない自分ですが、14年から15年にかけてはこの「世界鬼」でその欲望を満たしていました。
なんていうか、この意味不明なスケール感とか、簡単に命が消えていく絶望感とか、そのなかで刹那的に駆け抜ける少年少女の人生とか、たまらないですよね。「キミ」と「セカイ」を天秤にかけるお約束もばっちり。
問題なのが、この漫画でメインを張る連中がみんな本当に根っからの狂人だということ。
いとも容易く、誰か別の命を犠牲にして目的を達することを選択できるやつら。そして主人公は救世主ならぬ“終世主”だ。
最終巻では、正直言って普通の作品だったら「こんな結論アリかよ」って呆然とする結論がくだされる。
「所詮、赤の他人でしょ?」ってことをこんなにあっけらかんと言えてしまうこの作品は異常だ。異常なのに、それを認めてくれることで、軽くなる心も確かにあったりした。
最後の最後までブレない作品だった。一見、晴れやかな締めくくりだ。数えきれない命を足蹴にして輝くハッピーエンド。最終巻のカバー裏は必見。
間違えてしまうことにためらいがない物語でしたね。この意味不明な、とびっきりのエンディングをぜひ読んで欲しいです。僕らはしょせん、両手で届く範囲にある命しか、その重さをはかれない。
自分にとって要る命と要らない命を瞬時に切り分けていく痛快さと、無理解の苦しみ。常に(読者に)つきまとう罪悪感もまた素晴らしい。
命をかけたデスゲームはジャンルのひとつとして確立されていますが、中でもこの作品がやったことはひとつの道標になると思う。
いつまでたってもこういうのが好きなんだなぁ。
7.ワールドゲイズクリップス/五十嵐藍
すごいポエム漫画。1巻~3巻も十分に面白かったけれど、最終巻にしてすさまじい濃度でポエムが撒き散らされている。いやもう本当にすごい。こんなに口数の少ない、ただそこにあるだけの世界を漫画にできるんだ。
最後の最後に「やりきった!!」巻のある見事な最終巻でした。惚れ惚れ。
全13編。それぞれにつながりはほとんど無い。瞬間、断片、破片。
人物同士の関係や感情が希薄で、あてもない言葉と、淡い色彩の風景、輪郭のみえない日常で無気力に切実に生きていくキャラクターたち。
切り裂かれそうな喪失感だったり、肩の力のぬけるぐったりとした無気力なやりとりだったり、なんとも独特なテンポに物語が支配されている。
基本的にはボーイ・ミーツ・ガール的なつくりになっているんだけれど、さきにも書いたようにみんなドライな感覚で生きている。熱を持ったキャラクターが極端に少なく、ゆえにぬるい空気のまま交わされる愛の言葉やキスや約束といった、大切ないろんなものが、不思議とやさしい読み心地を与えてくれる。
単行本中盤、とくに「一人遊び」シリーズから最終話までの流れは絶品。
あいまいなものが、あいまいなまま、大切になっていく。
作者さんが思春期の空間の住人たちに、ひじょうに愛着を持って描いてくれていることがよく分ります。
コミックスの作りもよく、デザインの良さも相まって「ずっと本棚においておきたい」欲を掻き立てられる。ヤングエースというエンタメ重視な雑誌からよくこんなのが出てきたなってくらい挑戦的で、いい意味で空気以上のものではない作品。大好き。
10代の不可思議さ。理不尽な感情。だれかの体温。物憂げな夜。
漫画という媒体で詩を詠むと、こういう形になっていくんだ。
「エスカレーターの30秒 頭の中で 窓の外の世界を燃やした」
6.飴菓子/群青
ITAN連載の群青先生の新作「飴菓子」。これがなかなか、スゴい。
種族の結びつき。呪いのような宿命によって、依存関係を強制させられてしまうオオカミと『飴菓子』と呼ばれる妖精のような存在。そこに生まれる悲劇的な物語、強い愛情。
オオカミは成長すると一時期、すべての食物を受け付けなくなる。そうなると、オオカミたちは飴菓子を探す。自分だけの飴菓子を見つけ出し、自分の血を飴菓子に与えていく。約一年の飢餓期の終わりに、その飴菓子をオオカミは食らう。
一年間、極限の空腹のなかにいながら自分の飴菓子を守りぬくオオカミ。そうしていく中で、飴菓子との間に単なる食べ物として以上の感情を抱いてしまうこともある。
こどもの頃に読んだ「あらしのよるに」を、よりファンタジックに、より残酷な運命を背負わせたような印象。つまりまぁ、命をやりとりする愛のお話なので、これがもう重い重い。
見た目からすると少年のような狼と、はかなげな妖精の少女という組み合わせ。
しかし男女という性別をこえた別の、別次元のオリジナルな関係性が築かれる。
単なる恋や愛とも言いがたい。命を預け合うというすさまじい環境下に置かれるからこそ紡がれるドラマがあり、その果てに避けられない離別が待ち受けているわけだから、読み返すことで言葉ひとつひとつが甘酸っぱくて堪らない。
設定の勝利。だけにとどまらず、丁寧に言葉を探しだして物語に乗せている、魂のこもった仕事を実感させられるネーム力もお見事。インパクト絶大な名文句が飛び出しまくる第一話、第二話でいっきに心掴まれます。
単行本の構成も見事で、過去編から始まりそして現代へとストーリーは結ばれていく。
どう話を進めていくのだろうと途中気になったんだけど、現代編に進んだことで世界観も開けてきた。そしてあまりに飴菓子をめぐる運命が残酷すぎてゾクゾクくる。
可憐ながらに命を軽々しく扱われる飴菓子。
だからこそ、彼女たちは自らを捧げることに躊躇が無い。そういういきものだから。
恋でもなく愛でもなく、ただ所有欲と空腹に騙された絆に過ぎないのかもしれない。けれど理由はどこに置いてきたって、こんなに儚くて胸を突き刺す命の物語を見逃すわけにはいかないのだ。
「あなたに 好きって 言ってもいい?」なんてセリフがまさにこの作品を象徴する。その想いを正しく果たすための生き方はどこにもない。添い遂げるなんて夢は見ない。飴菓子を愛するなら、彼女を食べれば良いのか、共に死に絶えればいいのか、それとも。答えはなんだ。
5.夕方までに帰るよ/宮崎夏次系
センチメンタルな風景をコミカルに不可思議に切り取る宮崎夏次系。
こういう作家にハマると俺にもヴィレバンな血流が巡っているのかと実感しますがそれがさておき、やっぱりこの作家さんの澄んだ感性はすさまじい。
「どこか壊れてしまった人々」が「明らかにネジ曲がった世界」で暮らす。
そんな風景をずっと描き続けている作家さんで、一度ハマったら病み付きになる。ずっと愛して止まない。
シュールなタッチで描かれる衝動や哀しみの表現力といったら。
最新作連作集「ホーリータウン」と同時に発売された本作。こちらは実は2010年から連載されていた初期の作品になります。
主人公の家庭はすでに崩壊している。
両親はカルト宗教にのめり込み、まともに会話は出来ない。
優しかったお姉ちゃんはゴミの中に引きこもった。
家族。血を分かつ世界で最も濃い繋がりでさえ、時に断絶する。
引きこもった姉を救いたい主人公は、姉のアパートの管理人と出会う。
主人公はかつての姉のキラキラした姿に今なお鮮明に憧れていて
だからこそ、今の哀れな姉の姿を心配しながら、実は少し、あざ笑ってもいる。
姉の取った引きこもりの手段だって、ダンボールとゴミをかき集めた中に潜り込むことだった。そんな愚かな、そんなチャチな方法で、自分を守るしかなかった。
自分を守るための空間なのに、どうして一人の時間というのは、ときに自分を傷つけるのだろう。
拒絶しかない。憧れの姉を想い、今の姉を拒絶した。姉を心配しにやってきた弟を彼女は拒絶した。
なのに物語は拒絶に拒絶を重ね、最終的にはすべての帰るべき場所を失ってしまう。
それなのに、優しい感触を残した祝福があり、不思議な読後感で幕を閉じる。
ヒリヒリとした純粋な魂が、ネジ曲がった世界で、薄汚れた空気で、誰かの悪意で傷つけられながら放浪し、たどり着く夕暮れ。
ラストシーンと「夕方までに帰るよ」というタイトルを改めて噛み締めた時、思わず泣けてしまう作品。
4.死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々/阿部共実
阿部共実先生の最新作、タイトルが長くて難易度高いヤツ第2巻。
方向性としては「空が灰色だから」と同じスタイル、キャラクターを入れ替えたオムニバス連作。
9作の短編を収めており、なんとなく文学的な作品が重点的に収められている気がしますね。もちろんコミカルで可愛らしい作品もあったり、メランコリックな思考のループに絡め取られそうになったり。阿部共実先生らしさが1巻からさらに全開ダダ漏れになっています。
そしてラストを飾る、研ぎ澄まされた、美しい劇薬。
短編集なので好きなのをつらつら書いていくとまず「友達なんかじゃない」。
悪意に立ち向かうことができた二人の友情のお話。ガラの悪いギャルが実は不器用で依存体質なただの女の子だとわかってニヤニヤしてしまった。
のと同時、いつだってこんな清らかな二人を引き裂こうとする悪意がそこらに落ちているだと思う。
「8304」は男の子ふたりの切ないワンシーンを描いた作品。名作。
非常に実験的かつ哲学的な表現が多用されており、ストーリーの魅力を大きくふくらませている。
それでいて読んでいるとコマ割からセリフの並びから、とにかくテンポがいい。ディスコミュニケーションとその裏腹の想いまで、ひといきに読ませる流れの良さ!
永遠というものを見せてもらったような、そんな気持ちにさせてくれます。
そしてラストを飾る破滅的な短編「7759」。
久しぶりに「ヤバいのを読んでしまった」という気にさせられた。
どこまで行っても、歪んでいる、救いがたい。ミステリー仕立てになっていてそういうふうにも楽しめるし、甘美なる死への憧れというふうにも読める。
平凡な日常の描写に隠れ潜む、死への伏線。生命の賛美を謳いつつ、真っ向から死へと歩んでいく。
言語化できない魅力がありますが、「8309」「7759」ともに狂気が滲んでおり、さらに言えばやるせなくも美しいセンチメンタルがあって、やっぱり阿部共実先生は天才なんだよな。
3.僕だけがいない街/三部けい
1巻の時の感想
トラウマに立ち向かうループ・ミステリー『僕だけがいない街』1巻
アニメも大人気なようで嬉しい「僕街」。実際出来いいですね。
しかし原作漫画の盛り上がりもすさまじい!クライマックスに向けてストーリーが疾走していく。
1巻の時に感想を書いてからうちではなかなか更新出来ていませんでしたが、旬な作品になりましたね・・・!
2015年下半期には6巻7巻と発売されていますが、個人的には6巻で冗談抜きに泣いてしまった。加代ちゃん・・・良かった・・・!!!!
黒幕の種明かしがされ、主人公の大ピンチ、そして最終章へ突入!という漫画として1番に盛り上がる場面に来ているわけですが、これまでに配置されてきた伏線がいっきに収束してストーリーとつながった時の快感といったらスゴいですよ。サスペンスものの醍醐味、見事にハマっている。
6巻の加代は感動で、7巻第39話の愛梨のあのシーンでは切ないやら甘酸っぱいやら。読んでいて感情をグチャグチャにかき混ぜられてしまう。揺さぶられてしまう。
主人公たちの感情がダイレクトに読者に突き刺さってくる。後悔も、歓喜も、執念も。
アニメ効果もあって単行本も売れているようですが、たんにストーリーを追うだけでなく漫画としての魅力にも富んでいるのです。
演出も素晴らしい。まるで小説のように長いモノローグが続く回があると思ったら、モノローグをしゃべっていたキャラが途中からすり替わったり。
すぐそばまで忍び寄る殺意の威圧感も、ビシビシとページから放たれてくる。
ストーリーの魅力だけでなくこの表現力も愛される理由でしょう。
「正統派で面白い漫画」といった風に感じます。
原作はいよいよ完結が近いとのことで、次の8巻が最終巻になるのかな。
アニメも放送中で実写映画も3月に公開。いまを羽ばたく人気作品になってきた中でのスマートな完結もキレイでいいですね。最後まで楽しませていただきます。
2.デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション/浅野いにお
コミックス第3巻にして、物語がグッと動いた一冊。
詳しくは個別記事で書いたのでそちらにでも。更新モチベがMAXになった。
感想→君がいるならたとえ世界が終わる日も。『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』3巻
平和だと信じきっていたはずの日常が突如崩れさる。
欠けたまま高校生活は幕を閉じて、次の舞台へ。静かに移り変わるかと思いきや、3巻の一番最後にまた衝撃。
サブカルヲタが寄ってたかるだけの漫画じゃねーぞ!可愛らしさと恐怖が共存する世界観、シニカルな視線、物語のうねり。一級品の面白さです。
1.ハレルヤオーバードライブ!/高田康太郎
あ゛゛~~~~~~最高だ~~~~~~~~~~!(前回同様)
恋と音楽の!!バンドストーリー!!「ハレルヤオーバードライブ!」万感の最終巻!!!
実際14巻でストーリー上のラスボス的存在との決着はついたわけで
この最終巻、じっくりと丁寧に奏でられるエンドロールは、恋と音楽に彩られた彼らの青春をみごとにその未来へと送り出す、素晴らしいものだった。
バンド漫画としての面白さ、ラブコメの破壊力、メキメキと画力演出力が向上する作家さんの成長、青春まるだしのクッッサい言葉の数々・・・どれも最高だったと言える!
6年に及んだ連載を締めくくるにふさわしい、祝福に満ちた最終巻。
なんでこんなにキラキラしているんだろうか。スポットライトを浴びるステージはもちろん、練習風景や誰かと一緒の放課後だって、眩しくて仕方がなかった。みんなかっこ良くてかわいかった。楽器演奏してる女の子ってセクシーだよな。どうでもいいけど。
リフレインのように過去のシーンを描き直すようなシーンがあるのも素敵。恋に決着を付け、そしてあるがままの熱を抱えて未来へと走りだす。
まるっと一冊のエンドロールは、最後のボーナストラックまで必聴。
多くは語らず。最終巻の感想とかどうやってもネタバレじゃねーか。
けどみんなあるべきところに収まった。100%の祝福の想いで読み終えることが出来ました。
麗ぁあぁぁああ~~~~~~~~~~~~
締めの挨拶となります。ありがとうございました。
2015年の下半期の一般向け漫画からBEST10をまとめました。
自分自身、半年ごとに読んだ漫画を振り返るのってなかなか楽しいものです。
まぁさっそく↓↓↓
ちなみに2015年上半期はこちら
10.ハピネス/押見修造
ハピネス(2) (講談社コミックス) 押見 修造 講談社 2015-12-09 売り上げランキング : 5711 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
1巻、2巻とこの下半期に発売された「ハピネス」。
ダークファンタジー少年漫画。非日常へとはみだしてしまった主人公の運命を描いた作品で、押見カラーにじみ出まくりの威圧感・異物感を堪能できる一作。
「惡の華」ファンとしては、同じ別冊マガジンで連載がはじまったこの新作にも期待値大だったわけですが、予想通りどっぷりとハマっています。
人の生き血をすする化物に噛まれてから様子がおかしくなった主人公。もともとクラスの日陰者だったのに、血の臭いに反応したり突如暴力的になったり、ロクに日常生活を送れない有様に。
物語を彩る多彩な演出表現もみごたえがあります。特に2巻のあの覚醒シーンなんて、漫画を読んでいてなかなかこんな悪寒を感じるってことそうそう無い。
狂気で沸騰する視界。怪しく艶やかに光る夜景。憂鬱な空気、歪んだ日常、自分の中に眠る怪物の血・・・!!むせ返るような中2スメルがたまらない!!
グチャグチャに内側をかき回される。「読者を揺さぶる」ことに関して、本作はすごい攻撃力を備えているのです。この魅惑の表現を味わうために読んでいると言ったっていい。
それと、おそらくヒロインである五所雪子ちゃんが猛烈にかわいい・・・。あのフランクなしゃべりとか、なのにクラスでは浮いてるだとか、、あの不器用な懐き方とか・・・。
押見先生のヒロインは常磐さん然り、なんでこうもツボをついてくるんだろうか。
文句のつけようがない傑作である「惡の華」でしたが、ふとかすかに感じたのが巻ごとの微妙なキリの悪さ。その点「ハピネス」は意識されてかどうなのかは不明ですが1巻2巻それぞれバッチリな幕引きである。特に2巻のヒキなんてスゴい。追うなら今!!
・・・それにしても、押見先生の描く女の子の泣き顔って、絶妙に小汚くて、たまらなく愛おしくなるのだ。
9.あの子に優しい世界がいい/あおのなち
あの子に優しい世界がいい (IDコミックス) あおのなち 一迅社 2015-10-23 売り上げランキング : 34643 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
これは個別に記事を書いていますので、詳しくはそちらへ。
→恋のような魔法があるなら『あの子に優しい世界がいい』
レベルの高い短編集で、コミティアぢからがギュッと詰まっている一冊!
収録作のとくに「二人で明けて」「彼女の破片」が大好きで、たまらない。
BL/GLがテーマのいわゆる同性愛者を描いているんだけれど、優しいだけでなく卑怯だったり冷ややかだったり、視線が面白い。なのに包み込むような甘さできちんとラッピングされている。関係を肯定してくれる言葉がある。
スタイリッシュでムダのない画面作りと、ポエミーなモノローグで更に大好物度マシマシ。次の単行本をはやく!!ください!!
8.世界鬼/岡部閏
世界鬼(11) (少年サンデーコミックス) 岡部閏 小学館 2015-08-12 売り上げランキング : 51587 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
サイケデリックメンヘラ漫画の帝王「世界鬼」も無事完結。
ぶっ飛んだ展開の連続でした。読者を裏切り、時に不快にすらさせる凶悪のストーリーにひたすら振り回された全11巻。俺は好きだけどこれを好きだという人とあまりお近づきにはなりたくない。ヤマアラシのジレンマ的なやつだな(違う
「最終兵器彼女」にブチあたって漫画の面白さにはまり込んだ人間なので、いつまでたってもセカイ系の息吹にやられたいという願望が抜け切れない自分ですが、14年から15年にかけてはこの「世界鬼」でその欲望を満たしていました。
なんていうか、この意味不明なスケール感とか、簡単に命が消えていく絶望感とか、そのなかで刹那的に駆け抜ける少年少女の人生とか、たまらないですよね。「キミ」と「セカイ」を天秤にかけるお約束もばっちり。
問題なのが、この漫画でメインを張る連中がみんな本当に根っからの狂人だということ。
いとも容易く、誰か別の命を犠牲にして目的を達することを選択できるやつら。そして主人公は救世主ならぬ“終世主”だ。
最終巻では、正直言って普通の作品だったら「こんな結論アリかよ」って呆然とする結論がくだされる。
「所詮、赤の他人でしょ?」ってことをこんなにあっけらかんと言えてしまうこの作品は異常だ。異常なのに、それを認めてくれることで、軽くなる心も確かにあったりした。
最後の最後までブレない作品だった。一見、晴れやかな締めくくりだ。数えきれない命を足蹴にして輝くハッピーエンド。最終巻のカバー裏は必見。
間違えてしまうことにためらいがない物語でしたね。この意味不明な、とびっきりのエンディングをぜひ読んで欲しいです。僕らはしょせん、両手で届く範囲にある命しか、その重さをはかれない。
自分にとって要る命と要らない命を瞬時に切り分けていく痛快さと、無理解の苦しみ。常に(読者に)つきまとう罪悪感もまた素晴らしい。
命をかけたデスゲームはジャンルのひとつとして確立されていますが、中でもこの作品がやったことはひとつの道標になると思う。
いつまでたってもこういうのが好きなんだなぁ。
7.ワールドゲイズクリップス/五十嵐藍
ワールドゲイズ クリップス (4) (カドカワコミックス・エース) 五十嵐 藍 KADOKAWA/角川書店 2015-09-04 売り上げランキング : 69996 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
すごいポエム漫画。1巻~3巻も十分に面白かったけれど、最終巻にしてすさまじい濃度でポエムが撒き散らされている。いやもう本当にすごい。こんなに口数の少ない、ただそこにあるだけの世界を漫画にできるんだ。
最後の最後に「やりきった!!」巻のある見事な最終巻でした。惚れ惚れ。
全13編。それぞれにつながりはほとんど無い。瞬間、断片、破片。
人物同士の関係や感情が希薄で、あてもない言葉と、淡い色彩の風景、輪郭のみえない日常で無気力に切実に生きていくキャラクターたち。
切り裂かれそうな喪失感だったり、肩の力のぬけるぐったりとした無気力なやりとりだったり、なんとも独特なテンポに物語が支配されている。
基本的にはボーイ・ミーツ・ガール的なつくりになっているんだけれど、さきにも書いたようにみんなドライな感覚で生きている。熱を持ったキャラクターが極端に少なく、ゆえにぬるい空気のまま交わされる愛の言葉やキスや約束といった、大切ないろんなものが、不思議とやさしい読み心地を与えてくれる。
単行本中盤、とくに「一人遊び」シリーズから最終話までの流れは絶品。
あいまいなものが、あいまいなまま、大切になっていく。
作者さんが思春期の空間の住人たちに、ひじょうに愛着を持って描いてくれていることがよく分ります。
コミックスの作りもよく、デザインの良さも相まって「ずっと本棚においておきたい」欲を掻き立てられる。ヤングエースというエンタメ重視な雑誌からよくこんなのが出てきたなってくらい挑戦的で、いい意味で空気以上のものではない作品。大好き。
10代の不可思議さ。理不尽な感情。だれかの体温。物憂げな夜。
漫画という媒体で詩を詠むと、こういう形になっていくんだ。
「エスカレーターの30秒 頭の中で 窓の外の世界を燃やした」
6.飴菓子/群青
飴菓子(1) (KCx) 群青 講談社 2015-09-07 売り上げランキング : 5127 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ITAN連載の群青先生の新作「飴菓子」。これがなかなか、スゴい。
種族の結びつき。呪いのような宿命によって、依存関係を強制させられてしまうオオカミと『飴菓子』と呼ばれる妖精のような存在。そこに生まれる悲劇的な物語、強い愛情。
オオカミは成長すると一時期、すべての食物を受け付けなくなる。そうなると、オオカミたちは飴菓子を探す。自分だけの飴菓子を見つけ出し、自分の血を飴菓子に与えていく。約一年の飢餓期の終わりに、その飴菓子をオオカミは食らう。
一年間、極限の空腹のなかにいながら自分の飴菓子を守りぬくオオカミ。そうしていく中で、飴菓子との間に単なる食べ物として以上の感情を抱いてしまうこともある。
こどもの頃に読んだ「あらしのよるに」を、よりファンタジックに、より残酷な運命を背負わせたような印象。つまりまぁ、命をやりとりする愛のお話なので、これがもう重い重い。
見た目からすると少年のような狼と、はかなげな妖精の少女という組み合わせ。
しかし男女という性別をこえた別の、別次元のオリジナルな関係性が築かれる。
単なる恋や愛とも言いがたい。命を預け合うというすさまじい環境下に置かれるからこそ紡がれるドラマがあり、その果てに避けられない離別が待ち受けているわけだから、読み返すことで言葉ひとつひとつが甘酸っぱくて堪らない。
設定の勝利。だけにとどまらず、丁寧に言葉を探しだして物語に乗せている、魂のこもった仕事を実感させられるネーム力もお見事。インパクト絶大な名文句が飛び出しまくる第一話、第二話でいっきに心掴まれます。
単行本の構成も見事で、過去編から始まりそして現代へとストーリーは結ばれていく。
どう話を進めていくのだろうと途中気になったんだけど、現代編に進んだことで世界観も開けてきた。そしてあまりに飴菓子をめぐる運命が残酷すぎてゾクゾクくる。
可憐ながらに命を軽々しく扱われる飴菓子。
だからこそ、彼女たちは自らを捧げることに躊躇が無い。そういういきものだから。
恋でもなく愛でもなく、ただ所有欲と空腹に騙された絆に過ぎないのかもしれない。けれど理由はどこに置いてきたって、こんなに儚くて胸を突き刺す命の物語を見逃すわけにはいかないのだ。
「あなたに 好きって 言ってもいい?」なんてセリフがまさにこの作品を象徴する。その想いを正しく果たすための生き方はどこにもない。添い遂げるなんて夢は見ない。飴菓子を愛するなら、彼女を食べれば良いのか、共に死に絶えればいいのか、それとも。答えはなんだ。
5.夕方までに帰るよ/宮崎夏次系
夕方までに帰るよ (モーニング KC) 宮崎 夏次系 講談社 2015-09-23 売り上げランキング : 7339 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
センチメンタルな風景をコミカルに不可思議に切り取る宮崎夏次系。
こういう作家にハマると俺にもヴィレバンな血流が巡っているのかと実感しますがそれがさておき、やっぱりこの作家さんの澄んだ感性はすさまじい。
「どこか壊れてしまった人々」が「明らかにネジ曲がった世界」で暮らす。
そんな風景をずっと描き続けている作家さんで、一度ハマったら病み付きになる。ずっと愛して止まない。
シュールなタッチで描かれる衝動や哀しみの表現力といったら。
最新作連作集「ホーリータウン」と同時に発売された本作。こちらは実は2010年から連載されていた初期の作品になります。
主人公の家庭はすでに崩壊している。
両親はカルト宗教にのめり込み、まともに会話は出来ない。
優しかったお姉ちゃんはゴミの中に引きこもった。
家族。血を分かつ世界で最も濃い繋がりでさえ、時に断絶する。
引きこもった姉を救いたい主人公は、姉のアパートの管理人と出会う。
主人公はかつての姉のキラキラした姿に今なお鮮明に憧れていて
だからこそ、今の哀れな姉の姿を心配しながら、実は少し、あざ笑ってもいる。
姉の取った引きこもりの手段だって、ダンボールとゴミをかき集めた中に潜り込むことだった。そんな愚かな、そんなチャチな方法で、自分を守るしかなかった。
自分を守るための空間なのに、どうして一人の時間というのは、ときに自分を傷つけるのだろう。
拒絶しかない。憧れの姉を想い、今の姉を拒絶した。姉を心配しにやってきた弟を彼女は拒絶した。
なのに物語は拒絶に拒絶を重ね、最終的にはすべての帰るべき場所を失ってしまう。
それなのに、優しい感触を残した祝福があり、不思議な読後感で幕を閉じる。
ヒリヒリとした純粋な魂が、ネジ曲がった世界で、薄汚れた空気で、誰かの悪意で傷つけられながら放浪し、たどり着く夕暮れ。
ラストシーンと「夕方までに帰るよ」というタイトルを改めて噛み締めた時、思わず泣けてしまう作品。
4.死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々/阿部共実
死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々(2)(少年チャンピオン・コミックス・タップ!) 阿部共実 秋田書店 2015-12-08 売り上げランキング : 8307 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
阿部共実先生の最新作、タイトルが長くて難易度高いヤツ第2巻。
方向性としては「空が灰色だから」と同じスタイル、キャラクターを入れ替えたオムニバス連作。
9作の短編を収めており、なんとなく文学的な作品が重点的に収められている気がしますね。もちろんコミカルで可愛らしい作品もあったり、メランコリックな思考のループに絡め取られそうになったり。阿部共実先生らしさが1巻からさらに全開ダダ漏れになっています。
そしてラストを飾る、研ぎ澄まされた、美しい劇薬。
短編集なので好きなのをつらつら書いていくとまず「友達なんかじゃない」。
悪意に立ち向かうことができた二人の友情のお話。ガラの悪いギャルが実は不器用で依存体質なただの女の子だとわかってニヤニヤしてしまった。
のと同時、いつだってこんな清らかな二人を引き裂こうとする悪意がそこらに落ちているだと思う。
「8304」は男の子ふたりの切ないワンシーンを描いた作品。名作。
非常に実験的かつ哲学的な表現が多用されており、ストーリーの魅力を大きくふくらませている。
それでいて読んでいるとコマ割からセリフの並びから、とにかくテンポがいい。ディスコミュニケーションとその裏腹の想いまで、ひといきに読ませる流れの良さ!
永遠というものを見せてもらったような、そんな気持ちにさせてくれます。
そしてラストを飾る破滅的な短編「7759」。
久しぶりに「ヤバいのを読んでしまった」という気にさせられた。
どこまで行っても、歪んでいる、救いがたい。ミステリー仕立てになっていてそういうふうにも楽しめるし、甘美なる死への憧れというふうにも読める。
平凡な日常の描写に隠れ潜む、死への伏線。生命の賛美を謳いつつ、真っ向から死へと歩んでいく。
言語化できない魅力がありますが、「8309」「7759」ともに狂気が滲んでおり、さらに言えばやるせなくも美しいセンチメンタルがあって、やっぱり阿部共実先生は天才なんだよな。
3.僕だけがいない街/三部けい
僕だけがいない街 (7) (カドカワコミックス・エース) 三部 けい KADOKAWA/角川書店 2015-12-22 売り上げランキング : 110 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
1巻の時の感想
トラウマに立ち向かうループ・ミステリー『僕だけがいない街』1巻
アニメも大人気なようで嬉しい「僕街」。実際出来いいですね。
しかし原作漫画の盛り上がりもすさまじい!クライマックスに向けてストーリーが疾走していく。
1巻の時に感想を書いてからうちではなかなか更新出来ていませんでしたが、旬な作品になりましたね・・・!
2015年下半期には6巻7巻と発売されていますが、個人的には6巻で冗談抜きに泣いてしまった。加代ちゃん・・・良かった・・・!!!!
黒幕の種明かしがされ、主人公の大ピンチ、そして最終章へ突入!という漫画として1番に盛り上がる場面に来ているわけですが、これまでに配置されてきた伏線がいっきに収束してストーリーとつながった時の快感といったらスゴいですよ。サスペンスものの醍醐味、見事にハマっている。
6巻の加代は感動で、7巻第39話の愛梨のあのシーンでは切ないやら甘酸っぱいやら。読んでいて感情をグチャグチャにかき混ぜられてしまう。揺さぶられてしまう。
主人公たちの感情がダイレクトに読者に突き刺さってくる。後悔も、歓喜も、執念も。
アニメ効果もあって単行本も売れているようですが、たんにストーリーを追うだけでなく漫画としての魅力にも富んでいるのです。
演出も素晴らしい。まるで小説のように長いモノローグが続く回があると思ったら、モノローグをしゃべっていたキャラが途中からすり替わったり。
すぐそばまで忍び寄る殺意の威圧感も、ビシビシとページから放たれてくる。
ストーリーの魅力だけでなくこの表現力も愛される理由でしょう。
「正統派で面白い漫画」といった風に感じます。
原作はいよいよ完結が近いとのことで、次の8巻が最終巻になるのかな。
アニメも放送中で実写映画も3月に公開。いまを羽ばたく人気作品になってきた中でのスマートな完結もキレイでいいですね。最後まで楽しませていただきます。
2.デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション/浅野いにお
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 3 (ビッグコミックススペシャル) 浅野 いにお 小学館 2015-08-28 売り上げランキング : 21730 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
コミックス第3巻にして、物語がグッと動いた一冊。
詳しくは個別記事で書いたのでそちらにでも。更新モチベがMAXになった。
感想→君がいるならたとえ世界が終わる日も。『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』3巻
平和だと信じきっていたはずの日常が突如崩れさる。
欠けたまま高校生活は幕を閉じて、次の舞台へ。静かに移り変わるかと思いきや、3巻の一番最後にまた衝撃。
サブカルヲタが寄ってたかるだけの漫画じゃねーぞ!可愛らしさと恐怖が共存する世界観、シニカルな視線、物語のうねり。一級品の面白さです。
1.ハレルヤオーバードライブ!/高田康太郎
ハレルヤオーバードライブ! 15 (ゲッサン少年サンデーコミックス) | |
高田 康太郎 小学館 2015-11-12 売り上げランキング : 25625 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
あ゛゛~~~~~~最高だ~~~~~~~~~~!(前回同様)
恋と音楽の!!バンドストーリー!!「ハレルヤオーバードライブ!」万感の最終巻!!!
実際14巻でストーリー上のラスボス的存在との決着はついたわけで
この最終巻、じっくりと丁寧に奏でられるエンドロールは、恋と音楽に彩られた彼らの青春をみごとにその未来へと送り出す、素晴らしいものだった。
バンド漫画としての面白さ、ラブコメの破壊力、メキメキと画力演出力が向上する作家さんの成長、青春まるだしのクッッサい言葉の数々・・・どれも最高だったと言える!
6年に及んだ連載を締めくくるにふさわしい、祝福に満ちた最終巻。
なんでこんなにキラキラしているんだろうか。スポットライトを浴びるステージはもちろん、練習風景や誰かと一緒の放課後だって、眩しくて仕方がなかった。みんなかっこ良くてかわいかった。楽器演奏してる女の子ってセクシーだよな。どうでもいいけど。
リフレインのように過去のシーンを描き直すようなシーンがあるのも素敵。恋に決着を付け、そしてあるがままの熱を抱えて未来へと走りだす。
まるっと一冊のエンドロールは、最後のボーナストラックまで必聴。
多くは語らず。最終巻の感想とかどうやってもネタバレじゃねーか。
けどみんなあるべきところに収まった。100%の祝福の想いで読み終えることが出来ました。
あとハレルヤオーバードライブ最終話、最後4pって掲載時はカラーだったんだけどまあ当然単行本だとモノクロになってて、見返すともったいないなと思ったんで見開きカラー分のせときます。すげー元データ重かった。 pic.twitter.com/wAF1uIG9rY
— 高田 康太郎@ハレルヤ14巻6/12発売 (@kosamehal) 2015, 11月 16
麗ぁあぁぁああ~~~~~~~~~~~~
締めの挨拶となります。ありがとうございました。
[漫画]クリスマスだよエロ漫画2015!
クリスマスが近づいてきたので今年もやります。
毎度懲りずにクリスマス=エロを安直に結びつける更新の日。
クリスマスはエロ漫画を読めよ2015。
クリスマスだからエロ漫画の年間まとめを更新する、うち的には恒例のやつです。
過去のエロ漫画総括記事。
クリスマスだからエロ漫画2010!
クリスマスこそエロ漫画だよ2011!
クリスマスだしエロ漫画2012!
クリスマスなんだしエロ漫画2013!
クリスマスなのでエロ漫画2014!
今回で六回目ですか。
前回の更新から、作品の選出をした12月20日くらいにかけて発売された成年向け単行本から
抜けるとか泣けるとかニヤけるとか、いろいろ基準ひっくるめたお気に入りを10冊選びました。
お前らクリぼっちがどうとか言ってないでエロ漫画でも読んでいればいいじゃないかと!
ところでクリぼっちってクリ勃○みたいでスケベですよね・・・耳にする度ドキドキする・・・
もちろん18歳以下キッズは見ないでください。
毎度懲りずにクリスマス=エロを安直に結びつける更新の日。
クリスマスはエロ漫画を読めよ2015。
クリスマスだからエロ漫画の年間まとめを更新する、うち的には恒例のやつです。
過去のエロ漫画総括記事。
クリスマスだからエロ漫画2010!
クリスマスこそエロ漫画だよ2011!
クリスマスだしエロ漫画2012!
クリスマスなんだしエロ漫画2013!
クリスマスなのでエロ漫画2014!
今回で六回目ですか。
前回の更新から、作品の選出をした12月20日くらいにかけて発売された成年向け単行本から
抜けるとか泣けるとかニヤけるとか、いろいろ基準ひっくるめたお気に入りを10冊選びました。
お前らクリぼっちがどうとか言ってないでエロ漫画でも読んでいればいいじゃないかと!
ところでクリぼっちってクリ勃○みたいでスケベですよね・・・耳にする度ドキドキする・・・
もちろん18歳以下キッズは見ないでください。
[漫画]2015年上半期面白かった漫画BEST10
ツイッターには毎日顔出してるのにブログはこのざまです。お久しぶりです。
7月になったということで、せっかくだから上半期の面白かった漫画をまとめました。
すっかりアウトプットの時間は減りましたが、やはり漫画は大好きなので
こうして半年間を振り返る作業は楽しかったです。
では10位から。
10.わがままちえちゃん/志村貴子
2015年上半期は怒涛のごとく志村貴子作品が発売されていました。ありがたさしか無ぇ。
どれも甲乙つけがたし。ですがあえて1番すきだったのはこの「わがままちえちゃん」。好きというか、1番心に引っかかりが残って後を引いたのはこれ。
「ちえ」「さほ」は姉妹。そして、幼いころに死に別れてしまいました。
日々を生きる中で、その喪失を噛みしめる女の子を描いた作品です。
この漫画は複雑というか、トリックがおおい構成をしているため、読みにくさがあります。例えば導入部ではさほが主人公でちえが死んだ幽霊となって登場します。が、それはちえの妄想。現実はちえが生きて、さほが死んだ。
結局終盤まで、ちえの妄想がいろんな所にあらわれて、その過去が本当なのか、今見えてる光景は現実なのか、わかりづらいまま進んでいく。きっとそれは混沌としたちえの精神世界そのものなんだろう。
構成上、もう一度読みなおすとある程度把握できますが、やはりストーリーに本筋は見えづらい。ストーリーを楽しむというより、千切れたようにバラバラに散らばった少女の心をそっと集めていくためのお話のように思う。
晴れることのない後悔、悲しみ、嫌悪、喪失感。「聞こえるような気がするだけ 自分の聞きたいように聞こえるだけ」と涙するちえちゃんの姿には、こっちまで泣きそうになった。
「ちえ」という少女を読み解く面白さもありますが、喪失とどう向きあえばいいのかというテーマは非常の好みでした。
思春期の女の子のナカミはわかりづらいってのを、体現した作品でもあるのかな。なんにせよ、はち切れんばかりに濃密に、少女の心の声を浴びせられる漫画でした。
まるで少女の痛みの声が、薄く永遠に響いているような。
9.ステラとミルフイユ/渡辺カナ
連載が終わったのは去年ですが単行本発売が3月だったため入れる。
渡辺カナ先生は「星屑クライベイビー」(記事 ほんとは寂しがりやのあなたに届くように。『星屑クライベイビー』)を読んで1発でファンになったんですが、今作が2作目の連載作。前連載作「花と落雷」と違い少年が主人公の青春漫画。
年上ヒロインの椿さんがかわいくてなァ・・・!見た目、ちょっとやんちゃな(明るい髪色で八重歯が目立つとなぜかヤンキーっぽく見える)彼女ですが、ワタワタと慌ただしく照れたりする様子がたまらない。そして抱えた過去や、そこにあった仄かな初恋!
再び、ちゃんと言葉にしてさよならを告げる椿さんは非常に切ない。
確かに好きだった。けれど一緒に歩んでは行けない。
コミュニケーション不全かつ父親との不仲もある主人公もいい。
恋によって変わる、というわけではなく、変わるために彼自身の努力が見えるのが好感度高いのです。閉じた部屋が開かれそこから光が差し込むように、どんどんと彼をめぐる世界は輝きだす。
恋愛だけではなく、人生を考えた時になにが大切なものなのか、深いテーマに潜っていく最終巻。
特に椿さんの下した決断それぞれはどれも女性としてのカッコよさを感じるし、同時にある種の男らしさもあって、3巻は特にしびれまくった。
刹那的に誰かの手をとるよりよほど誠実に、2人は寄り添う。甘酸っぱさあふれるクライマックス。
表紙デザインもカンペキ。本編の清涼感にぴったりの綺麗さだ。手元においておきたくなる、このデザイン性もお気に入りになっている理由のひとつ。
8.ダンジョン飯/九井諒子
2015年初頭、発売日から3日遅れで書店をめぐるも・・・・・・まさかの「ダンジョン飯難民」になったことのインパクトが強い。買えたのは2週間くらい後でしたね・・・コミティアのジュンク堂出張販売コーナーで・・・。さっすがコミティアだぜ!
さて2015年を象徴するタイトルのひとつになったようにも思う本作。売れに売れ、脅威の売れ行きになっているとか。「坂本ですが?」といいなにがポーンと売れるのかわかんないな。
しかし売れるのも納得のおもしろさ。最近グルメ漫画は目立ってきてるように思いますが、この作品はファンタジー。
自給自足でダンジョン内の食材を料理する、異色の作品となっています。
バジリスクをローストターキーみたいにしたり、人喰い植物をタルトにしたり、なんと“動く鎧”まで調理!そして毎回、丁寧なレシピ付きだ!
ゲームの世界の食文化を、まるでそれが実在しているかのように丁寧に描いていく。読めば読むほどどんどんと異世界に自分が入ってしまうような、不思議なリアリティと没入感。
個人的に九井諒子作品だと叙情的な作品(「進学天使」とかたまんないです)が好きだったんですが、「ダンジョン飯」は娯楽要素たっぷりでハッピーな作品。ほんといろんな漫画を描ける、すごい作家さんです。この作品だけじゃなくとりあえず単行本全部面白いから、ビビる。
リアクション芸人みたいになってきてるエルフのマルシルさんの不思議なかわいさにも舌鼓を打ち、そろそろ妹を救いに行くという目的も忘れていそうな彼らの旅は続く。
7.ピコピコ少年SUPER/押切蓮介
押切蓮介先生の体験談をもとにしたゲームエッセイコミック「ピコピコ少年」シリーズの第3弾。過去の2冊も面白かったが、それを踏まえてもやたら本作は面白かった。
エピソードがどれも脂の乗った旨さというか、これは本当に実体験なのかというくらいの意味不明な面白さ。読む者の心をやわらかく、そしてセンチメンタルに染め上げるノスタルジックな世界。
バカバカしかったり、甘酸っぱかったり、または胸が苦しくなる切なさや、静かに心に降り積もる怒りや悲しみ・・・・・・とにもかくにも、この一冊でリアルな青春時代の悲喜こもごもがたっぷり詰まっていて、エッセイという枠を超えてストーリーの面白さに夢中になる。
お気に入りはオフ会の話だ・・・もう、読んでて切なさのあまりそっとページを閉じてしまった・・・。
でもどんな悲しみもきらきら輝く大切な思い出に感じてしまうのは、僕らがちょっと大人になってしまったからだろうか。
押切先生と同年代であればさらに楽しめるわけで、そこは悔しさを感じてしまうポイントではありますが、たとえ時代を共有していなくともこの波瀾万丈感はとても楽しい。
漫画ファンを騒がせた「ハイスコアガール」の騒動のことにも触れられており、これはファンとしても必読。
絶えず好きなものを愛し続ける、楽しみ続ける、ガキの頃の愚かしさを貫く。ゲームと一緒に大きくなった。今度はゲームが救ってくれた。
泣いて笑えてしかも胸をアツくする、素晴らしい一冊。ピコピコ少年の火は消えない!
6.やさしいセカイのつくりかた/竹葉久美子
最終巻。どうなるかと思ったら、予想を上回るすばらしい結末を見せてくれた作品です。
恋に友情に将来に・・・なやめる女子高生たちと、その教師を務める19歳の天才学者の物語。
ラブコメディーとして読んでいた序盤から一転、中盤からは努力と才能の話、家族との向き合い方、過去の恋と今の恋、報われない想い・・・「おいおいドンドン重くなってるじゃねーか!」「でもすっげー面白いぞ!」と深みを増していった作品。
特に物語後半は顕著だったけれど、女の子のずるいところや愚かな所までかなりディープに描いていて、掲載誌の電撃大王チックな萌え漫画とちょっと感触が違っている。男の女のエグい距離感も描かれる。
でもどれも、キラキラとロマンチックな関係性に決着して、最終巻は文句なしの大団円。
天才でありながらそれをひた隠していた少女、葵。彼女と主人公の朝永の関係性というのが個人的には最高の、これ以上あるかってくらい納得の結着で・・・。
「やさしい女の子」として朝永に立ち向かう少女がいて。同じ舞台で、志を同じくするライバルとして勝ち上がってきた少女がいて。
最後まで主人公である朝長は「根本的には他人を信用できないタイプの人間である」という主人公にあるまじき性質のままだと感じましたが、彼はそれでいいのだな。全能である必要もない。ただ、将来に悩む少女たちにとって道を指ししめすことができる人間ではあった。そういうところで朝永はいいキャラクターだ。
「学び舎」という舞台をもっと好きになれた作品でもありました。この作品は学校がもつ機能をちゃんと正しく描こうとしてくれた印象があり、それは最終巻で自由に羽ばたいた少女たちの姿をみて確信した。セカイの愛し方を、ようやく彼ら彼女らは知ったのだと思う。教室から笑顔で飛び出していくこの最終巻の表紙は感慨深い。
・・・若干世の理から外れた結着した女の子と教師もいたけどな!最終話で見せてくれたバッチリ幸せな夫婦っぷりにホッと一安心です。
それにしても、改めて。朝永と葵の関係、カッコよすぎるでしょ。最高。
タイトルにある「つくりかた」もこの作品らしくていいな。見つけるではなく、作るのだ。この力強さと理屈ありきな感じ、学者漫画でもある本作に合っている。最終巻で指し示されたこのタイトルに意味も、味わい深い。
5.帰ってきたサチコさん/朔ユキ蔵
朔ユキ蔵先生がフラワーズで掲載した作品を収めた短篇集。幅広い雑誌で活躍している作家さんですが、女性向け雑誌から出た単行本って初めてだったよな。
さてこの本に収録されている5つの短編ですが、びっくりする。
5本、全部めちゃくちゃおもしろい。
舞台やジャンルは違えど、どれも激しく胸を揺さぶる、熱い作品たち。朔ユキ蔵作品をすべて読んできているわけではないけれど、これ傑作じゃないでしょうか!!
圧巻なのが表題作。突然70年前に飛ばされ、そこで家族をなし、そして10年がたち、また現代に戻ってきた主人公の女性。40ページほどの作品ですが、それと感じさせないくらいのストーリーの厚みとクライマックスのカタルシス!飛ばされた過去と現実がつながるラストはタイムスリップものの醍醐味ですが、魅せ方もお見事。70年前の旦那さんの強い想いが果たされる感動。なんて切なくきらめくラストシーンだろう・・・グッときたラブストーリー。
「走れみつる」は女優にあこがれてアイドルになった主人公のお話。女性が女性に憧れるときの感情って面白い。ラストのふてぶてしさと力強さに満ちたセリフもかっこいい。
「かりそめ」はお伽話のように美しい、ドリーミーな作品。夜空を飛んで心も舞い踊る。一緒に夜空を飛び、女性の手を取れるくらい。まるで一遍の詩のようなあじわい。
「心ここにあらざれば」はファンタジーが舞台。政略結婚した国王と后が、心を封印した国政の末路は、悲劇だがふたりの確かな愛情が感じられる。最後の胸に刺さる。
最後を飾る「劇的」はこれも素晴らしい。死んだ弟との思い出を回想つつ荷物を片付けるお話なのですが、切ないお話なのに前向きになれる。激しい慟哭と、再生の物語。
しばらく本棚のメイン所に配置したい。ハイレベルな一冊。短篇集好きな人には特にオススメ。
4.四月は君の嘘/新川直司
これは単独で記事を上げているので、そちらを。
素晴らしい少年漫画でした。疾走感と喪失感が最高潮となる最終巻。クラクラしそうに美しく切ないラスト。
→消えない春に君はいる。『四月は君の嘘』11巻
3.水色の部屋/ゴトウユキコ
陰鬱だ・・・しかしどうしようもなく惹かれる世界。「水色の部屋」は上下巻で発売されたゴトウユキコ先生の、まるで映画のように美しくまとまった作品。
ゴトウユキコ先生といえば思春期男子のリビドーを軸に、セクシーだったりバカバカしかったりするお話を描いてきた作家さん。
しかし今回はとても重い。とてつもなく、重い!
主人公はもんもんと、母親に対する劣情を抱く少年。近親相姦というテーマの時点の重いのに、田舎町の窮屈な空気、人間の悪意、消えない過去の傷、歪んだ欲望、エトセトラ・・・様々な「直視したくないもの」をぶつけてくる。窒息しそうだ。
描かれるのは強烈なバイオレンスと生々しい腐臭の漂うセックス。
地獄じみた世界にようこそ。でもここは現実。思春期という牢獄だ。
主人公の母親が「性の対象」となるというのが恐ろしくもあり、見どころのひとつである本作。ちゃんとかわいいんです。童顔で、エロい体型してて、母性本能強くて。
そしてこの作品、表情がいい。興奮に染まったエロい表情もいいし、情念の滲む恐ろしい表情も、虚無を体現した無表情も、試すような挑発の視線も。
息苦しい世界観とそこに生きる人間のナマっぽい空気感。これにより、この作品の暴力性はさらに威力を増す。描かれたエロスは一層、魅惑的だ。
もっとも、幸福なセックスなんてない。この作品は圧制や征服、あるいは堕落の象徴としてのセックスが多く登場する。この大人びた感触は読んでて胸のあたりがヒリヒリと痛み出す。
主人公がかかえる鬱屈とした感情は、特別なものではあるけれど、この行き場のないモヤモヤはきっと共感できるものだと思う。思春期の頃の・・・あの、学校だけが世界のすべてかのような閉塞感・・・馴染めなければそれだけで生きる資格がないような錯覚・・・辛い!思い出したくない!やめてくれ!
ストーリーの流れも素晴らしかったです。人の気持ちを大切にした、歪んだ愛の物語だったと思います。
上半期の「もっとも良かった1コマ」を選ぶとしたら、本作下巻のラストコマの、慈愛をたたえた微笑みを挙る。
母と子のオンリーワンな関係を描いた作品としても、本作は読み応えありました。血のつながりを持った母親は、どんな人間であれどんな人生を歩むのであれ、たったひとりしか存在しないんだ。
ラスト。穏やかな水色の部屋、心細い背中をそっと押す、甘い声。
最後の最後まで、エロいなぁ。エロいぞこれは。
2.あそびあい/新田章
完結したってことで一気読みした作品。あまりの面白さに1時間半くらいで三冊読破してしまった・・・俺としては脅威のハイスピード。
『不憫な恋愛漫画』。本作一言で表すならそうなる。
“僕が好きになった女の子は、誰とでも寝るんだ”って、そうオビに書かれる作品。フリーセックス主義な小谷さんと、彼女に恋した山下くんの青春ストーリー。
主人公に感情移入しながら読むと、ことごとく思いを裏切ってくれる小谷さんに腹が立つ。なのにそれでも彼女を思い続けて、好きで居続けて、勝手に傷つくまでココロの動きがシンクロしてとてもキツい。彼女と他の誰かとのセックスをこれでもかと見せつけられて、だんだんと小谷さんの無神経さが羨ましくなってくる異常な感覚にまで陥ってくる。
しかしドラマが動いていくと単なる「彼女に裏切られるオレってかわいそう」なお話から、趣が変わる。ここからが更に面白いのだ。
彼女に誠実なお付き合いを求めていた純情な主人公。なのにいざ別の女の子と付き合うことになったら、小谷さんのことを忘れられずひどいお付き合いをしてしまう。
恋愛において何らかを「選ぶ」ことを難しさと残酷さ。悲しいくらい届かない、本当の気持ち。
自己嫌悪と闘いながら、思い通りにいかない想い人に傷つけられながら、汚い人間になりながら、それでも下す決断の価値。その重みをしっかりと感じさせてくれるストーリーの完成度。
中盤から襲いかかる主人公の苦難は、ページをめくる手をひたすらに早めてくれた。
ラストも個人的には素晴らしかった。こういう距離感の男女関係に着地するか、と。
主人公が望む関係ではないけれど、でもほかの一体だれが、スーパー特売まで一緒に来て欲しいと彼女に言ってもらえるだろうか。
「体の関係」をフィーチャーした本作。その結末はとても穏やかに心のつながりを確かめるもので、彼らの不透明な「いつか」を夢見ながら泣いてしまった。ラスト5話はぜひ読んでみて欲しい、傑作だと思います。
女の子ってこわいな。そしてかわいいな。でもって、わけがわからない。
あっっでもこの作品って主人公がセックス上手くないと成り立たないからやっぱムカつくわ!!!!!!!
1. ハレルヤオーバードライブ!/高田康太郎
あ゛゛~~~~~~最高だ~~~~~~~~~~!
まさにクライマックスのさなかである。ここに至るための物語だった。大きなステージで、まばゆいスポットライトを浴びて、ティアドライブは疾走する!
青春バンドグラフィティ、「ハレルヤオーバードライブ」。15巻で完結すると明言されたので、今回の第14巻は物語全体における最高潮!!
1巻から読み進めているとみるみる画力があがっていき、ライブの描写力が上がっていったのも本作の特徴であり見どころ。光がちらばり、魅惑のメロディが空間をうめつくす。僕らの歌声が、未来に祝福を奏でる。
とても贅沢な一冊になっていると思う。なにせページの大半が演奏シーンなのです。エモーショナルな会場の空気をバッチリ捉えた描写は最高級の臨場感をもたらす。
上の画像のような各話タイトルコールの演出も電撃的でカッコいい。こういう、「ズバーンッ!!!!」てキメるタイトル演出大好きなんだよ・・・映画みたいでさ・・・!!
ひと目見ただけで読む者の心を掴んで離さない、閃光のような華やかな作画はこの作品の大きな武器。その武器が、過去最高にいかされているのが巻なんですよ!
ここにきて浅緋にまつわる種明かしがされる。正直いえば「いや、とは言え盗作した罪は消えませんよね??」という思いは拭えなかった。倒れた彼を見て、必死だったんだなとは思えど、同情は出来なかった。
そんな微妙なモヤモヤは、主人公の小雨が晴らしてくれる。ロックスターに面と向かって、「オレは勝手にやりたいようにやるんで…貴方も自分で勝手に助かってください」と言ってのける。
助けを差し伸べるではなく、音楽を愛する者として、信頼を寄せた発言。小雨だってとっておきの曲を浅緋に奪われたのに・・・こんなセリフを言われてしまっては、こちらも何も言えなくなる。
長くに渡りこの作品のラスボスとして君臨した浅緋。その結末も含め、14巻の完成度は素晴らしい。素晴らしいという以外ないよこんなの!
「ハレルヤオーバードライブ」のタイトルもついに本編に登場。ライブシーンでこの作品がやりたかったことは果たされた印象も受ける。
破裂しそうな興奮と湧き上がる寂しさとが混ざり合って、なにも言えなくなる・・・。
上半期の1位を決めるにあたって結構迷っていたんですが、やっぱり自分を一番興奮させてくれたこの作品にしたいなと思って。三角関係にしろ、演奏シーンの華やかさにしろ、終わりゆく青春の1ページを刻む物語にしろ・・・すべてがツボです。
いよいよ、次が最終巻。ハレルヤ!みんな幸せになってくれ!!麗あ!
ということでBEST10でした。また下半期も同じようにやれたらいいな。では。
読んでいただきありがとうございました。
7月になったということで、せっかくだから上半期の面白かった漫画をまとめました。
すっかりアウトプットの時間は減りましたが、やはり漫画は大好きなので
こうして半年間を振り返る作業は楽しかったです。
では10位から。
10.わがままちえちゃん/志村貴子
わがままちえちゃん (ビームコミックス) 志村 貴子 KADOKAWA/エンターブレイン 2015-03-25 売り上げランキング : 10672 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2015年上半期は怒涛のごとく志村貴子作品が発売されていました。ありがたさしか無ぇ。
どれも甲乙つけがたし。ですがあえて1番すきだったのはこの「わがままちえちゃん」。好きというか、1番心に引っかかりが残って後を引いたのはこれ。
「ちえ」「さほ」は姉妹。そして、幼いころに死に別れてしまいました。
日々を生きる中で、その喪失を噛みしめる女の子を描いた作品です。
この漫画は複雑というか、トリックがおおい構成をしているため、読みにくさがあります。例えば導入部ではさほが主人公でちえが死んだ幽霊となって登場します。が、それはちえの妄想。現実はちえが生きて、さほが死んだ。
結局終盤まで、ちえの妄想がいろんな所にあらわれて、その過去が本当なのか、今見えてる光景は現実なのか、わかりづらいまま進んでいく。きっとそれは混沌としたちえの精神世界そのものなんだろう。
構成上、もう一度読みなおすとある程度把握できますが、やはりストーリーに本筋は見えづらい。ストーリーを楽しむというより、千切れたようにバラバラに散らばった少女の心をそっと集めていくためのお話のように思う。
晴れることのない後悔、悲しみ、嫌悪、喪失感。「聞こえるような気がするだけ 自分の聞きたいように聞こえるだけ」と涙するちえちゃんの姿には、こっちまで泣きそうになった。
「ちえ」という少女を読み解く面白さもありますが、喪失とどう向きあえばいいのかというテーマは非常の好みでした。
思春期の女の子のナカミはわかりづらいってのを、体現した作品でもあるのかな。なんにせよ、はち切れんばかりに濃密に、少女の心の声を浴びせられる漫画でした。
まるで少女の痛みの声が、薄く永遠に響いているような。
9.ステラとミルフイユ/渡辺カナ
ステラとミルフイユ 3 (マーガレットコミックス) 渡辺 カナ 集英社 2015-03-25 売り上げランキング : 71578 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
連載が終わったのは去年ですが単行本発売が3月だったため入れる。
渡辺カナ先生は「星屑クライベイビー」(記事 ほんとは寂しがりやのあなたに届くように。『星屑クライベイビー』)を読んで1発でファンになったんですが、今作が2作目の連載作。前連載作「花と落雷」と違い少年が主人公の青春漫画。
年上ヒロインの椿さんがかわいくてなァ・・・!見た目、ちょっとやんちゃな(明るい髪色で八重歯が目立つとなぜかヤンキーっぽく見える)彼女ですが、ワタワタと慌ただしく照れたりする様子がたまらない。そして抱えた過去や、そこにあった仄かな初恋!
再び、ちゃんと言葉にしてさよならを告げる椿さんは非常に切ない。
確かに好きだった。けれど一緒に歩んでは行けない。
コミュニケーション不全かつ父親との不仲もある主人公もいい。
恋によって変わる、というわけではなく、変わるために彼自身の努力が見えるのが好感度高いのです。閉じた部屋が開かれそこから光が差し込むように、どんどんと彼をめぐる世界は輝きだす。
恋愛だけではなく、人生を考えた時になにが大切なものなのか、深いテーマに潜っていく最終巻。
特に椿さんの下した決断それぞれはどれも女性としてのカッコよさを感じるし、同時にある種の男らしさもあって、3巻は特にしびれまくった。
刹那的に誰かの手をとるよりよほど誠実に、2人は寄り添う。甘酸っぱさあふれるクライマックス。
表紙デザインもカンペキ。本編の清涼感にぴったりの綺麗さだ。手元においておきたくなる、このデザイン性もお気に入りになっている理由のひとつ。
8.ダンジョン飯/九井諒子
ダンジョン飯 1巻 (ビームコミックス) 九井 諒子 KADOKAWA/エンターブレイン 2015-01-15 売り上げランキング : 764 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2015年初頭、発売日から3日遅れで書店をめぐるも・・・・・・まさかの「ダンジョン飯難民」になったことのインパクトが強い。買えたのは2週間くらい後でしたね・・・コミティアのジュンク堂出張販売コーナーで・・・。さっすがコミティアだぜ!
さて2015年を象徴するタイトルのひとつになったようにも思う本作。売れに売れ、脅威の売れ行きになっているとか。「坂本ですが?」といいなにがポーンと売れるのかわかんないな。
しかし売れるのも納得のおもしろさ。最近グルメ漫画は目立ってきてるように思いますが、この作品はファンタジー。
自給自足でダンジョン内の食材を料理する、異色の作品となっています。
バジリスクをローストターキーみたいにしたり、人喰い植物をタルトにしたり、なんと“動く鎧”まで調理!そして毎回、丁寧なレシピ付きだ!
ゲームの世界の食文化を、まるでそれが実在しているかのように丁寧に描いていく。読めば読むほどどんどんと異世界に自分が入ってしまうような、不思議なリアリティと没入感。
個人的に九井諒子作品だと叙情的な作品(「進学天使」とかたまんないです)が好きだったんですが、「ダンジョン飯」は娯楽要素たっぷりでハッピーな作品。ほんといろんな漫画を描ける、すごい作家さんです。この作品だけじゃなくとりあえず単行本全部面白いから、ビビる。
リアクション芸人みたいになってきてるエルフのマルシルさんの不思議なかわいさにも舌鼓を打ち、そろそろ妹を救いに行くという目的も忘れていそうな彼らの旅は続く。
7.ピコピコ少年SUPER/押切蓮介
ピコピコ少年SUPER 押切 蓮介 太田出版 2015-02-05 売り上げランキング : 4760 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
押切蓮介先生の体験談をもとにしたゲームエッセイコミック「ピコピコ少年」シリーズの第3弾。過去の2冊も面白かったが、それを踏まえてもやたら本作は面白かった。
エピソードがどれも脂の乗った旨さというか、これは本当に実体験なのかというくらいの意味不明な面白さ。読む者の心をやわらかく、そしてセンチメンタルに染め上げるノスタルジックな世界。
バカバカしかったり、甘酸っぱかったり、または胸が苦しくなる切なさや、静かに心に降り積もる怒りや悲しみ・・・・・・とにもかくにも、この一冊でリアルな青春時代の悲喜こもごもがたっぷり詰まっていて、エッセイという枠を超えてストーリーの面白さに夢中になる。
お気に入りはオフ会の話だ・・・もう、読んでて切なさのあまりそっとページを閉じてしまった・・・。
でもどんな悲しみもきらきら輝く大切な思い出に感じてしまうのは、僕らがちょっと大人になってしまったからだろうか。
押切先生と同年代であればさらに楽しめるわけで、そこは悔しさを感じてしまうポイントではありますが、たとえ時代を共有していなくともこの波瀾万丈感はとても楽しい。
漫画ファンを騒がせた「ハイスコアガール」の騒動のことにも触れられており、これはファンとしても必読。
絶えず好きなものを愛し続ける、楽しみ続ける、ガキの頃の愚かしさを貫く。ゲームと一緒に大きくなった。今度はゲームが救ってくれた。
泣いて笑えてしかも胸をアツくする、素晴らしい一冊。ピコピコ少年の火は消えない!
6.やさしいセカイのつくりかた/竹葉久美子
やさしいセカイのつくりかた (6) (電撃コミックス) 竹葉久美子 KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-02-27 売り上げランキング : 6771 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
最終巻。どうなるかと思ったら、予想を上回るすばらしい結末を見せてくれた作品です。
恋に友情に将来に・・・なやめる女子高生たちと、その教師を務める19歳の天才学者の物語。
ラブコメディーとして読んでいた序盤から一転、中盤からは努力と才能の話、家族との向き合い方、過去の恋と今の恋、報われない想い・・・「おいおいドンドン重くなってるじゃねーか!」「でもすっげー面白いぞ!」と深みを増していった作品。
特に物語後半は顕著だったけれど、女の子のずるいところや愚かな所までかなりディープに描いていて、掲載誌の電撃大王チックな萌え漫画とちょっと感触が違っている。男の女のエグい距離感も描かれる。
でもどれも、キラキラとロマンチックな関係性に決着して、最終巻は文句なしの大団円。
天才でありながらそれをひた隠していた少女、葵。彼女と主人公の朝永の関係性というのが個人的には最高の、これ以上あるかってくらい納得の結着で・・・。
「やさしい女の子」として朝永に立ち向かう少女がいて。同じ舞台で、志を同じくするライバルとして勝ち上がってきた少女がいて。
最後まで主人公である朝長は「根本的には他人を信用できないタイプの人間である」という主人公にあるまじき性質のままだと感じましたが、彼はそれでいいのだな。全能である必要もない。ただ、将来に悩む少女たちにとって道を指ししめすことができる人間ではあった。そういうところで朝永はいいキャラクターだ。
「学び舎」という舞台をもっと好きになれた作品でもありました。この作品は学校がもつ機能をちゃんと正しく描こうとしてくれた印象があり、それは最終巻で自由に羽ばたいた少女たちの姿をみて確信した。セカイの愛し方を、ようやく彼ら彼女らは知ったのだと思う。教室から笑顔で飛び出していくこの最終巻の表紙は感慨深い。
・・・若干世の理から外れた結着した女の子と教師もいたけどな!最終話で見せてくれたバッチリ幸せな夫婦っぷりにホッと一安心です。
それにしても、改めて。朝永と葵の関係、カッコよすぎるでしょ。最高。
タイトルにある「つくりかた」もこの作品らしくていいな。見つけるではなく、作るのだ。この力強さと理屈ありきな感じ、学者漫画でもある本作に合っている。最終巻で指し示されたこのタイトルに意味も、味わい深い。
5.帰ってきたサチコさん/朔ユキ蔵
帰ってきたサチコさん (flowers コミックス) 朔ユキ蔵 小学館 2015-06-10 売り上げランキング : 33798 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
朔ユキ蔵先生がフラワーズで掲載した作品を収めた短篇集。幅広い雑誌で活躍している作家さんですが、女性向け雑誌から出た単行本って初めてだったよな。
さてこの本に収録されている5つの短編ですが、びっくりする。
5本、全部めちゃくちゃおもしろい。
舞台やジャンルは違えど、どれも激しく胸を揺さぶる、熱い作品たち。朔ユキ蔵作品をすべて読んできているわけではないけれど、これ傑作じゃないでしょうか!!
圧巻なのが表題作。突然70年前に飛ばされ、そこで家族をなし、そして10年がたち、また現代に戻ってきた主人公の女性。40ページほどの作品ですが、それと感じさせないくらいのストーリーの厚みとクライマックスのカタルシス!飛ばされた過去と現実がつながるラストはタイムスリップものの醍醐味ですが、魅せ方もお見事。70年前の旦那さんの強い想いが果たされる感動。なんて切なくきらめくラストシーンだろう・・・グッときたラブストーリー。
「走れみつる」は女優にあこがれてアイドルになった主人公のお話。女性が女性に憧れるときの感情って面白い。ラストのふてぶてしさと力強さに満ちたセリフもかっこいい。
「かりそめ」はお伽話のように美しい、ドリーミーな作品。夜空を飛んで心も舞い踊る。一緒に夜空を飛び、女性の手を取れるくらい。まるで一遍の詩のようなあじわい。
「心ここにあらざれば」はファンタジーが舞台。政略結婚した国王と后が、心を封印した国政の末路は、悲劇だがふたりの確かな愛情が感じられる。最後の胸に刺さる。
最後を飾る「劇的」はこれも素晴らしい。死んだ弟との思い出を回想つつ荷物を片付けるお話なのですが、切ないお話なのに前向きになれる。激しい慟哭と、再生の物語。
しばらく本棚のメイン所に配置したい。ハイレベルな一冊。短篇集好きな人には特にオススメ。
4.四月は君の嘘/新川直司
四月は君の嘘(11)<完> (講談社コミックス月刊マガジン) 新川 直司 講談社 2015-05-15 売り上げランキング : 525 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
これは単独で記事を上げているので、そちらを。
素晴らしい少年漫画でした。疾走感と喪失感が最高潮となる最終巻。クラクラしそうに美しく切ないラスト。
→消えない春に君はいる。『四月は君の嘘』11巻
3.水色の部屋/ゴトウユキコ
水色の部屋<下> ゴトウ ユキコ 太田出版 2015-04-15 売り上げランキング : 22640 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
陰鬱だ・・・しかしどうしようもなく惹かれる世界。「水色の部屋」は上下巻で発売されたゴトウユキコ先生の、まるで映画のように美しくまとまった作品。
ゴトウユキコ先生といえば思春期男子のリビドーを軸に、セクシーだったりバカバカしかったりするお話を描いてきた作家さん。
しかし今回はとても重い。とてつもなく、重い!
主人公はもんもんと、母親に対する劣情を抱く少年。近親相姦というテーマの時点の重いのに、田舎町の窮屈な空気、人間の悪意、消えない過去の傷、歪んだ欲望、エトセトラ・・・様々な「直視したくないもの」をぶつけてくる。窒息しそうだ。
描かれるのは強烈なバイオレンスと生々しい腐臭の漂うセックス。
地獄じみた世界にようこそ。でもここは現実。思春期という牢獄だ。
主人公の母親が「性の対象」となるというのが恐ろしくもあり、見どころのひとつである本作。ちゃんとかわいいんです。童顔で、エロい体型してて、母性本能強くて。
そしてこの作品、表情がいい。興奮に染まったエロい表情もいいし、情念の滲む恐ろしい表情も、虚無を体現した無表情も、試すような挑発の視線も。
息苦しい世界観とそこに生きる人間のナマっぽい空気感。これにより、この作品の暴力性はさらに威力を増す。描かれたエロスは一層、魅惑的だ。
もっとも、幸福なセックスなんてない。この作品は圧制や征服、あるいは堕落の象徴としてのセックスが多く登場する。この大人びた感触は読んでて胸のあたりがヒリヒリと痛み出す。
主人公がかかえる鬱屈とした感情は、特別なものではあるけれど、この行き場のないモヤモヤはきっと共感できるものだと思う。思春期の頃の・・・あの、学校だけが世界のすべてかのような閉塞感・・・馴染めなければそれだけで生きる資格がないような錯覚・・・辛い!思い出したくない!やめてくれ!
ストーリーの流れも素晴らしかったです。人の気持ちを大切にした、歪んだ愛の物語だったと思います。
上半期の「もっとも良かった1コマ」を選ぶとしたら、本作下巻のラストコマの、慈愛をたたえた微笑みを挙る。
母と子のオンリーワンな関係を描いた作品としても、本作は読み応えありました。血のつながりを持った母親は、どんな人間であれどんな人生を歩むのであれ、たったひとりしか存在しないんだ。
ラスト。穏やかな水色の部屋、心細い背中をそっと押す、甘い声。
最後の最後まで、エロいなぁ。エロいぞこれは。
2.あそびあい/新田章
あそびあい(3) 新田章 講談社 2015-04-23 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
完結したってことで一気読みした作品。あまりの面白さに1時間半くらいで三冊読破してしまった・・・俺としては脅威のハイスピード。
『不憫な恋愛漫画』。本作一言で表すならそうなる。
“僕が好きになった女の子は、誰とでも寝るんだ”って、そうオビに書かれる作品。フリーセックス主義な小谷さんと、彼女に恋した山下くんの青春ストーリー。
主人公に感情移入しながら読むと、ことごとく思いを裏切ってくれる小谷さんに腹が立つ。なのにそれでも彼女を思い続けて、好きで居続けて、勝手に傷つくまでココロの動きがシンクロしてとてもキツい。彼女と他の誰かとのセックスをこれでもかと見せつけられて、だんだんと小谷さんの無神経さが羨ましくなってくる異常な感覚にまで陥ってくる。
しかしドラマが動いていくと単なる「彼女に裏切られるオレってかわいそう」なお話から、趣が変わる。ここからが更に面白いのだ。
彼女に誠実なお付き合いを求めていた純情な主人公。なのにいざ別の女の子と付き合うことになったら、小谷さんのことを忘れられずひどいお付き合いをしてしまう。
恋愛において何らかを「選ぶ」ことを難しさと残酷さ。悲しいくらい届かない、本当の気持ち。
自己嫌悪と闘いながら、思い通りにいかない想い人に傷つけられながら、汚い人間になりながら、それでも下す決断の価値。その重みをしっかりと感じさせてくれるストーリーの完成度。
中盤から襲いかかる主人公の苦難は、ページをめくる手をひたすらに早めてくれた。
ラストも個人的には素晴らしかった。こういう距離感の男女関係に着地するか、と。
主人公が望む関係ではないけれど、でもほかの一体だれが、スーパー特売まで一緒に来て欲しいと彼女に言ってもらえるだろうか。
「体の関係」をフィーチャーした本作。その結末はとても穏やかに心のつながりを確かめるもので、彼らの不透明な「いつか」を夢見ながら泣いてしまった。ラスト5話はぜひ読んでみて欲しい、傑作だと思います。
女の子ってこわいな。そしてかわいいな。でもって、わけがわからない。
あっっでもこの作品って主人公がセックス上手くないと成り立たないからやっぱムカつくわ!!!!!!!
1. ハレルヤオーバードライブ!/高田康太郎
ハレルヤオーバードライブ! 14 (ゲッサン少年サンデーコミックス) 高田 康太郎 小学館 2015-06-12 売り上げランキング : 1681 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
あ゛゛~~~~~~最高だ~~~~~~~~~~!
まさにクライマックスのさなかである。ここに至るための物語だった。大きなステージで、まばゆいスポットライトを浴びて、ティアドライブは疾走する!
青春バンドグラフィティ、「ハレルヤオーバードライブ」。15巻で完結すると明言されたので、今回の第14巻は物語全体における最高潮!!
1巻から読み進めているとみるみる画力があがっていき、ライブの描写力が上がっていったのも本作の特徴であり見どころ。光がちらばり、魅惑のメロディが空間をうめつくす。僕らの歌声が、未来に祝福を奏でる。
とても贅沢な一冊になっていると思う。なにせページの大半が演奏シーンなのです。エモーショナルな会場の空気をバッチリ捉えた描写は最高級の臨場感をもたらす。
上の画像のような各話タイトルコールの演出も電撃的でカッコいい。こういう、「ズバーンッ!!!!」てキメるタイトル演出大好きなんだよ・・・映画みたいでさ・・・!!
ひと目見ただけで読む者の心を掴んで離さない、閃光のような華やかな作画はこの作品の大きな武器。その武器が、過去最高にいかされているのが巻なんですよ!
ここにきて浅緋にまつわる種明かしがされる。正直いえば「いや、とは言え盗作した罪は消えませんよね??」という思いは拭えなかった。倒れた彼を見て、必死だったんだなとは思えど、同情は出来なかった。
そんな微妙なモヤモヤは、主人公の小雨が晴らしてくれる。ロックスターに面と向かって、「オレは勝手にやりたいようにやるんで…貴方も自分で勝手に助かってください」と言ってのける。
助けを差し伸べるではなく、音楽を愛する者として、信頼を寄せた発言。小雨だってとっておきの曲を浅緋に奪われたのに・・・こんなセリフを言われてしまっては、こちらも何も言えなくなる。
長くに渡りこの作品のラスボスとして君臨した浅緋。その結末も含め、14巻の完成度は素晴らしい。素晴らしいという以外ないよこんなの!
「ハレルヤオーバードライブ」のタイトルもついに本編に登場。ライブシーンでこの作品がやりたかったことは果たされた印象も受ける。
破裂しそうな興奮と湧き上がる寂しさとが混ざり合って、なにも言えなくなる・・・。
上半期の1位を決めるにあたって結構迷っていたんですが、やっぱり自分を一番興奮させてくれたこの作品にしたいなと思って。三角関係にしろ、演奏シーンの華やかさにしろ、終わりゆく青春の1ページを刻む物語にしろ・・・すべてがツボです。
いよいよ、次が最終巻。ハレルヤ!みんな幸せになってくれ!!麗あ!
ということでBEST10でした。また下半期も同じようにやれたらいいな。では。
読んでいただきありがとうございました。
[漫画]2014年面白かった漫画BEST35
お久しぶりです。ぜんっぜん漫画関係の更新ができてない!!すみません!
今日は今更、2014年の漫画私的BEST記事です。
もう2015年にはいって結構経ってしまってますが・・・去年の漫画についていちおうまとめた記事を作っておきたかったので…。通常更新があまりできなてなかったぶんも。
BEST30のつもりで書いてたらいつのまにか35作になってたので半端なBEST35となってます。ならもうちょい頑張ってBEST50にすりゃよかったんですけどね!
35.星の子/羽柴麻央
光をたどるように、フィルムを逆再生するように進む、命のドラマ。母と子の絆を描いた物語。表題作がとにかく好きで、読んでいた時期が個人的になんかもう、行き詰まってたタイミングだったので、これを読んでぼろぼろ泣きました。普遍的テーマを扱った作品だとは思いますが、ここまで自分に突き刺さったのも自分のことながら不思議に思ったりする。ただ、問答無用に涙腺を決壊させられた。
同時収録の読み切りも、切ない余韻がきもちよく心にのこる、素敵なセンチメンタルストーリー。やっぱり羽柴麻央先生は短編漫画の名手だ!
34.月に吠えらんねぇ/清家 雪子
カオス文学マンガ。実在の詩人ではなく、その作品のイメージから新たに作り上げられたキャラクターとして詩人が登場する。萩原朔太郎や北原白秋や正岡子規や室生犀星や・・・といった面々が暮らす異世界を描いた漫画。なんかもう、全然うまく説明できないんだけども、すごいカオスなのだ。世界は変わる、時代も切り替わる、突然詩の中に迷い込む。作品の内側も外側もすべて、空想の不確定な領域でふわふわ漂っている。1巻はまだまだ世界観が生きていなかったけれど、2巻からの盛り上がりと混迷っぷりは読んでいると脳みそがずいぶんと敏感になる。キャラクターはかなり漫画チックに味付けされているので、むちゃくちゃな展開をしているのに不思議と読みやすくて良いな。
いろんな詩人の詩が作中挿入される効果でさらにどっぷりとコトバの世界にひたれる。混迷極める文学ファンタジー。
33.おしえて! ギャル子ちゃん/鈴木 健也
俺の中で燦々と輝く傑作「蝋燭姫」を描いた鈴木健也先生が、意外な作品でブレイクしてくれたなと面白い気持ちでいます。ネットで話題となり、コミックスも売れ行き好調という「ギャル子ちゃん」。女の子への素朴な疑問を解き明かしていく構成で進むので、オヤジっぽいスケベ心を満たしてくれるのです。けれどエロいとか下品とかあまり感じないのは、ギャル子ちゃん含めキャラクターの不思議な清涼感のおかげかな。
ぎっしりつまった楽しいコミックス。ながく続いてくれることを期待しています。
32.アナーキー・イン・ザ・JK/位置原光Z
ついに投下された位置原光Z先生の商業単行本!コミティアキッズ的にはマストな一冊と言える。下ネタ多めな会話劇を繰り広げる女子高生コメディ…なんだけれども、なんの説明もツッコミもなしに単眼娘がレギュラーにいたりして、独特のテンポと空気感にやみつき。「ぎじんかかっぷる!」「小悪魔淫魔サキュバスちゃん♥」あたりの甘々な男女関係なんかは脳内麻薬分泌されまくりでしたね。なんでこんなに位置原先生の描く女の子はかわいらしいのか!
31.僕のヒーローアカデミア/堀越 耕平
個性豊かなキャラクター、作画のタッチの使い分けと純粋にアツいストーリーで漫画的快感も強烈!ストレートな少年漫画。弱虫少年の成長物語であることと、成長物語に必要な「努力する姿の説得力」、そして「少年の背中を押す、戦うための理由」、こういった部分の作りが上手いから、読んでて素直に主人公を応援したい作品になっているのかなと思います。読んでいて、突っ走っているようでかなり頑丈に慎重に練り上げていると感じるんですよね。泥臭さとキャッチーさが見事に噛み合ってる。キャラデザもとんがってて面白い。死柄木弔のデザインは天才的だと思う。早くも人気爆発中なのも頷けるおもしろさだ。
30.冗談だよ、バカだな/岸 虎次郎
岸虎次郎先生の短篇集。エロティックでインモラルで、ときめきに満ちた物語が詰まっています。描かれていることはエロ漫画テイストなのに、雰囲気と絵のタッチで読み心地をまるで変えてくる。美しくて切なくて、胸をドキドキ高鳴らせる。
しなやかな肉体、溢れ出る激情、抑えられらない好奇心―――少年少女たちの隠された青春の1ページは、リアルな感触を残しつつも幻想的ですらある。個人的には放尿百合漫画「葦原」が至高でした。
高揚と感傷が一度に押し寄せる、魅惑の夕暮れ。
29.フラジャイル 病理医岸京一郎の所見/草水敏・恵三朗
病理医というなかなかスポットライトのあたらないポジションにあえて着目した医療漫画であり、「病」をめぐる人間ドラマとしての面白さも抜群な新作。病院という組織の中で戦う主人公たちの姿は新鮮に楽しめるし、人の命を預かる重みをずっしりと感じるストーリーも、「表情」で魅せる迫力ある展開もグイグイ引き込まれる。アフタヌーンの近年の新作でもイチオシ。
28.恋のシャレード/ルネッサンス吉田
死ぬってなんだろう。怖いな。高3女子と予備校教師の歳の差恋愛を描いた作品。喪失感と色気と乾きが絶妙にブレンドされた空気感が好きな感じ。ふんわりとリリカルで、人が思う「寂しさ」の感触をゆっくりと読み手に与えてくれる。「恋のまね事に過ぎない」と言いながらもロマンティックシチュエーションが炸裂するクライマックスもお気にいりです。(あと小ネタ程度ではあるけれど、各話タイトルの邦楽曲名のチョイスがにくい)
27.ブレイクブレイド/吉永 裕ノ介
大いに盛り上がった、というわけではないにしろ、練り上げられてきたドラマがいままさにうねりを増し、見逃せない展開に入ってきている。安定して超面白いっていう反則みたいなやつな!かつての幼馴染同士が命を奪い合うひりつくような緊迫感と切なさを内包しつつ、戦争はさらに白熱していく。安定した面白さを見せつけてくれている異世界ファンタジー戦記。連載ペースがやや不安ではあるものの、着実に盛り上がる展開を積み重ねる。
26.蒼き鋼のアルペジオ /Ark Performance
アニメ化以降メディアミックスでも盛り上がっている作品ですが、原作の盛り上がりも最高潮だったと言える(掲載ペースはいろんな仕事が舞い込んできた影響かわりとガタガタではあったけれど)。個人的にはもうアシガラちゃんが!アシガラちゃんがかわいすぎて!!おてんば生意気お嬢様ってキャラクターと、それに振り回される姉妹たちに愛が止まらなくなりました。ドリフターズに次ぐ今のアワーズの柱と言えます。
25.フラグタイム/さと
さと先生の新機軸、百合漫画。時間を少しだけ止めることができる主人公と、ただ一人その秘密を知る少女。ふんわりとした優しいタッチで、ビシバシと感情を迸らせぶつけあう少女たちのドラマティックなストーリーを綴っています。1巻はまぁまぁくらいの感想でしたが2巻の出来栄えは素晴らしかった!悪戯心とピュアな想いが交差する、ビタースイートガールズラブ。思春期少女はめまぐるしいんだ。
24.夜をとめないで/ハルミチヒロ
アンソロジー雑誌「楽園」にて掲載されたものを収録した短編集。エロ方面でも活躍する作家さんですが、著作で特徴的に思うのがいじらしい女心の描写の巧みさ。そして感傷を抉りだすストーリーの面白さ。本作はハルミチヒロ先生のそういった部分を最大限に表した作品集であり、「これが読みたかったんだー!」と叫びたくなるような出来栄え。芸がない書き方になるけれど本当にどれをとっても素晴らしい短編が詰まっている……。仄暗いものもあれば明るくハッピーな恋もあり、しかし切り裂かれるような胸の痛みを伴う、切ない愛の物語がある!恋愛漫画が好きでよく読む人ならば、きっと充実感たっぷりに味わえるはず。至福!
23.ボールルームへようこそ/竹内 友
競技としてのダンスの世界を描く熱血少年漫画は、今年も絶好調でした。大会も終わって華々しい展開ではないのに、とにかく引き込まれる。主人公の成長と次なる課題、寄せられる期待と燃える闘志。次のフェイズへの移行期間でここまでワクワクさせられるのは凄い。心臓が着火するように、興奮で手足も震えてくるぞ!
登場した新ヒロインもめっちゃくちゃかわいいし、相変わらず高レベル安定の漫画だなぁ。そして今年はもっと面白くなってくれる予感がビシビシ来てる。
22.LES MISERABLE/新井 隆広・ヴィクトルユーゴー・豊島 与志雄
タイトルだけ知っていて実はどんな作品か知らなかった「レ・ミゼラブル」。そのコミカライズが本作ですが、見事なクオリティです。原作を知らないのでどうアレンジが加えられているかとかは分かりませんが、力強く物語に引きこんでくれる、骨太な新井先生の作画が魅力的すぎる。ここまで感情が溢れ出る表情を描いてくれるかと!ストーリーは悲劇的な要素が強いですが、少年漫画的に胸をあつくさせてくれる展開もばっちり。「人間賛歌」の謳い文句も頷ける大ボリュームの大河。
自分のように「レ・ミゼラブル」をあまり知らないっていう人にもオススメしたい、読み応え抜群の連載作です。
21.カザマアヤミ/恋愛3次元デビュー ~30歳オタク漫画家、結婚への道。~
赤裸々すぎるでしょ…!!!初々しいラブコメの名手カザマアヤミ先生が、同じく漫画の紺野あずれ先生と出会い結婚に至るまでを描いた恋愛エッセイ漫画。不器用というか、だいぶ世間ずれした著者がいかに恋愛をしたのか、単純に読み物として面白い。ツッコミどころ満載で笑えるししかもどんどん作家さんのことが好きになるw しかもこのおふたりの作品をすでに知っているなら、さらに楽しく読めること間違いなし!萌えキャラすぎでしょカザマアヤミ先生。この気持ちを!どこにぶつければいいの!!
ちょうどこれ書いてたら流れてきたバレンタインネタ。見てるこっちまで幸せじゃー。
20.運命の女の子/ヤマシタ トモコ
3つの作品を収録した短篇集。個人的にヤマシタトモコ先生の漫画を最も美味しく頂けるのは短編漫画(24P~40Pくらいの)と思っていて、短篇集が大好物。収められた3作はどれも味わいが違っており、バランスのいい一冊となっています。淡々と不気味なリズムで展開される静かなサスペンスホラー「無敵」、届かない想いを軸に少年少女の青春を描いたセンチメンタルなラブストーリー「きみはスター」が甲乙つけがたく好き。あと装丁もいい。紙の本ならではだ!
19.バガタウェイ/古日向 いろは
主人公のチームはもちろんだけど、読んでいて相手側のチームに感情移入を激しくしてしまい、恐ろしいほど心揺さぶられるここ最近のバガタウェイ。メンバーそれぞれの熱い想いがフィールドで絡まりぶつかり合う、チームスポーツ漫画の醍醐味を楽しませてくれました。大野城が好きだったんだけど11巻の小倉中央ヤバすぎたでしょ、泣くでしょ。いよいよ次は決勝戦。終わりが見えてきたのかもしれない。
18.幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい/黒谷 知也
IKKIの新人作家による短篇集。どの作品もさわやかなタッチで、寂しさや悲しみや美しい思い出、喪失、幸福を描き出す。面白いというよりお気に入りの詩集のような一冊。何度も繰り返し読み返して、ちょっとだけ気持ちを変えてくれる。軽やかな読み心地でスッと心に物語が染み込み、波紋のようにじわりじわりと、世界に連れて行ってくれる。「海を見に行く」は表題作の番外編的位置づけでありながら、あまりに美しいエンドロールで呆然としてしまった。
僕たちの幸福と孤独。それは青い色をしている。
17.ムシヌユン/都留 泰作
「この漫画どこへ向かうんだ!!??」っていう意味不明なドライブ感がすごすぎますよね、ムシヌユン。もう2巻が待ち遠しい。ジャンルとしてはなんと説明すればいいのやらって感じですけれど公式的には「亜熱帯SF」。主人公の絶望と哀傷、それらすべてが宇宙空間から飛来した謎めいたパワーで怒りへと変換され暴走を開始!
ナンセンスな荒唐無稽さと、作品内の光景が脳内に飛び散るような強烈な異世界描写力、人間ドラマとしての面白さ、なにをとっても1巻時点での完成度が凄まじい…ゾクゾクと背筋に衝撃が走る面白さ!!
16.恋と病熱/磯谷 友紀
磯谷先生の真骨頂って感じのオムニバス・ストーリーズ。夫婦一組につき子はひとり。「兄弟」「姉妹」の存在は禁忌とされる世界で、どうしようもなくひかれあう兄と妹、または姉と弟――…男女だけではなく同姓や、むしろ禁忌に背き複数の子を産んだ母親にもスポットを当てていく。圧倒的な息苦しさと、その中で懸命に輝く愛情の、切ない交錯。後ろめたさを実感させてくれるからこそ、より物語に引き込まれる。
秘密ってのはみんなが秘密にしているから見えないだけで、きっと世界のそこら中にいっぱいの秘密が隠されている。そういう、「見えない別の世界」への甘いロマンが詰まった作品です。
15.中学性日記/シモダアサミ
ただただ、「かわいい………―――――」と溜息をついてしまう。思春期の心と体、友達に片思いの相手に、そして自分自身に振り回される“思春期”。オムニバス形式というスタイルもばっちりハマっていて、多種多様な思春期の悩みと失敗と恋模様をたっぷりニヤニヤ楽しめる。ともすれば下品になる話題もさらりと爽やかに読ませてくれるのは、この作家さんならではのワザ。戸惑って傷ついて自爆して、ときたま世界は微笑んでくれる。
14.天にひびき/やまむらはじめ
完結巻。大学を舞台にした青春漫画としても、「努力」「才能」との向き合い方を描いた作品としても、9巻10巻の展開は強烈だった。残酷で、高潔で、憧れと無念があって、どこまでも遠く果てしなく祈りがある。圧倒的な才能をもつ者を、その周囲の人々の感情を軸に見事に描き切っています。
雑誌掲載字はアッサリしすぎと感じた最終話も、コミックスで加筆され大満足。全10巻と収まりがいいサイズです。ラストとかあまりに爽やかすぎて、感動。
13.子供はわかってあげない/田島 列島
ひと夏の非日常、きらめくボーイミーツガール、忘れられない夏休みの海辺。素朴なテイストで綴られる青春物語で、全2巻ですっきり収まっている良作。華々しさは皆無と言えるんだけど、恋の喜びをのせた爽やかな風が吹いてくるような。素朴でふんわりとした空気の中で、一生涯忘れられることのない、鮮烈な夏休みの青春模様でたいへん心をモダモダさせてくれました。子と親の関係性を描いた部分も泣ける。
ああ、夏休み。甘酸っぱく眩しい季節!!
12.こいのことば/緑のルーペ
1巻完結。緑のルーペエッセンスは今回も炸裂している。ヒロインとの関係性とか、世界との向き合い方とか、これまでの作品を読んでると共通している部分も多いけれどそれがゆえにハマる人はどっぷりハマる。エロチックでかわいらしくて、地獄の底でうごめくような苦しみと、絶望の中でうすく輝く祝福がある。個人的には緑のルーペ作品を読んだことない人に最初にオススメしたい一冊。読みやすいさと「らしさ」のバランスも良い。ねじくれているようで、どこまでも透明な純粋さがきらめく物語です。
願うだけの、願い合うだけの「こい」。愛よりよっと遠く、ちぎれてしまいそうに脆い、はじめての臆病な「こい」。美しいラストシーンは必見です。
11.四月は君の嘘/新川 直司
アニメも放送中。今をきらめく青春音楽漫画であり、先日、連載では完結を迎えました。単行本発売ベースでこの記事を書いているので、最終話を加味せずにこの順位です。
切なさと興奮が折り重なり、燃え上がるようなド迫力の演奏シーンで心がカラッポになってしまう読書体験はこの作品ならでは。今はただ祈りを捧げるように、心の準備をしなくちゃならない。演奏家の彼らと同じく、読み手の僕らだってきっと、最後を見届ける覚悟をしなくちゃいけない。最終巻は今年の春発売。アニメの出来もめちゃくちゃいいのです。
10.3月のライオン/羽海野 チカ
ランキングを作るにあたって、間違いなく面白い長編ストーリー漫画的「上位定番作品」をあえてランキングに入れるかどうかってのは悩みどころではあるんだけれど、2014年にこいつは入れなきゃいけない。3月のライオンは、零くんは男を見せるって点で過去最高級にアツい。どこを着地点とするか、微妙に見えてこなかったこの作品の、未来のなにかが少しだけ分かったような気もする。
最初からきっと最後まで、戦う人たちの物語なのだ、これは。棋士ひとりひとりのドラマをじっくりと描いてくれるのもそうだし、戦わねばならぬ場面でがっしり腰据えて立ち向かえる強さを得た零くんの成長にも泣けてくる。
個人的には97話の、お母さんのモノローグにも目頭がグッと熱く震えた。ハチクロと並ぶ10巻となってなお、テンションが落ちないというのも恐ろしい!
それとBUMP OF CHICKENとコラボしたのにはひっくり返ったぞ…。
9.夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない/宮崎 夏次系
宮崎夏次系さんは喪失感を描く天才だと思っている。どこかユーモラスで切なくて、なにかを無くしてしまった僕と君の孤独な世界。
3冊目の短編集となってもクオリティは依然高く、表現力に更なる磨きもかかった。「僕は毎日」「なほちゃんの白い玉子焼き」「リビングで」等で心臓が散り散りになりそうなくらい寂しくなりながらも、淡い恋の甘さにくらりとくる「明日も触らないね」、夫婦の再生を描いた「妙な夢」といったラブストーリーに胸が震える。特にこれまでの作品とくらべても、恋愛感情や恋愛関係が描かれた短編が多かったように思う。魅惑の一冊。
8.夏の前日/吉田基已
じっくりと描かれてきたこの儚い恋愛物語も、無事に完結しました。満足度しゅごい…センチメンタルな風景と恋愛、自らの世界の中でひたすらに自分と戦う芸術家としての戦い、そのどちら共が見事に結実。
愛しあい、憧れ合うからこその二人らしい結末だったと思う。
この主人公に対してこれだけの優しさを手向けるきとができる晶さん本当にいい女性だ……。
あの日々は。熱に浮かされ、夢の中を漂っていたような、甘く苦しいひととき。
ひどい夏の予感は、きっともう晴れた。
7.週刊少年ガール/中村ゆうひ
漫画表現の実験場。遊びゴコロある仕掛けが毎回用意されていて、そのアイデアの面白さを頂くだけでも美味なのに、加えて作画のタッチがめっちゃ好みなのです。黒髪美人いっぱいだー!!
1巻収録「光にかざして」なんかは、電子書籍も流行する昨今において、紙に本だからこそできる仕掛けが切ないストーリーと噛み合っていて、しびれるくらい感動しました。トリッキーな短編が多いものの、青春モノ全般が好きなので全編ひたすらに身悶えしておりました。どこかスタイリッシュな画面作りと驚愕のアイデアの宝庫。
6.ちーちゃんはちょっと足りない/阿部 共実
うっかり朝にこの作品を読んで会社に行ったせいで、その日はずっとイヤな気分だった。どうしようもなく立ち直れなくなる瞬間が、この作品には描かれているし、それを読んで自分もそれくらいに憂鬱に襲われた。人の心がドス黒く染まっていく劇薬。ただショッキングなだけの刺激物ではなく、読む人になにかしらの気持ちを沸き上がらせる、強烈なメッセージも持っている。肯定か納得かそれとも拒絶か。ただ、落ち込んでる時に読ともっとひどい気持ちになるからよした方がいい。
名実ともに阿部共実先生の看板作品となった感がある。インパクトは絶大。あとの評価はあなた次第。
5.デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション/浅野 いにお
14年開始の新連載の中ではもっともハマってる漫画です。世界滅亡と隣あわせの、ちょっと歪んだ平和な日常。「ちくしょう!浅野いにおの女の子に、こんな素直にかわいいと思わされるなんて!」というナゾの悔しさがこの作品をさらに面白くしている(個人差あり)。
世界観の恐怖感とかわいらしさ、思春期の小さな悩みと世界の大きな危機。絶妙の一言で片付けていいものか、半端ないバランス感覚とセンスで綱渡りをし続ける「ゆるふわ・ディストピア・ユースフルデイズ」。タイトルコールの「ズバーンッ!」感が気持ちいいぞ!
4.惡の華/押見 修造
近年の自分の漫画ライフの中でも、ここまで熱中した作品は少ない。しかしまぁ2014年における「惡の華」というのは、続いていた長いエピローグも幕を閉じた、といった感覚に近い。
燃え盛る業火のような思春期の熱狂と、それから先の贖罪のための日々。
無事にこの作品が結着してくれてよかった。いままさに思春期のただ中にいる人々と、かつて思春期の嵐の中でもがいた人々の、両方に向けて放たれる歪んだ愛の弾丸。これでもかと濃密に「思春期」を叩きつけてくれた、自分にとってずっと忘れられない作品になりそうな作品。
3.魚の見る夢/小川 麻衣子
待っていたんだ、この小川麻衣子をなぁ…!!!感傷と残酷を美しく内包した2014年最強の百合漫画だったと思う。もうひとつの連載作であり代表作「ひとりぼっちの地球侵略」とはかなり趣の異なる作品で、本作2巻のエモーショナルな展開は圧巻だった。まさに爆発だった。全2巻と集めやすいこともあって、今後しばらくは自分の中の百合漫画の金字塔として光放つ存在となっていると思う。
もがき、切り裂かれるような号哭のあと、めぐりくる優しい季節。そしてさよならの果ての永遠を、あのひとは手に入れた。
2.聲の形/大今 良時
あの傑作読み切りを連載化!と聞いたときはこれはぜったいマズいパターンだぞと思ったのに、いざ始まってみれば見事な青春物語として駆け抜けてくれた。2014年完結。
この作品について何かを語ろうとすると、自分の明かしたくないものを明かしてしまうような気がして、怖い。ただ本当に真摯に、生きることに立ち向かう少年少女の姿に涙が出る。砕け散ったはずの青春を少しずつでも取り戻していくこの物語は、実際すでに高評価を得ているわけではあるけれど、もう文句なしに2014年の代表作。最終話、最後の見開き、あまりに可憐すぎてクラクラきた。
1.ヒメゴト~十九歳の制服~/峰浪 りょう
今年のナンバーワンは本作。とにかく19歳という年齢を描きとった大学生漫画として、その完成度の高さが素晴らしい。モラトリアムの不安げな空気感、人間模様のめんどくささ、かわいらしいキャラクターがどんどんと歪み、さらに美しく、黒く染まっていく様……とくにこの最終巻の内容は何度読んでも!何度読んでも胸が締め付けられるように切なく、そして爽やかな気持ちになる!
倒錯感たっぷりなインモラルラブストーリーであり、ジェットコースターに乗り込んだような強烈な展開のうねり!ずっと夢中で読み、新刊を読むたびに次の新刊発売まで辛抱たまらなかった。
そして、こんなこじれたストーリーをよくぞここまでスマートに終結できたものだと、なによりもそれに唖然とするレベルの着地。10巻以内で完結するオススメ漫画として執拗に人に勧めたい、闇の青春漫画と言えます(どんなだ)。
どうか最高に格好いいファックサインをその目に焼き付けて欲しい。
そしてこの、最高に甘い、最後のヒミツも。
番外編 NARUTO-ナルト-
これだけ、最終巻が出たのが2015年なんだけど、2014年を代表する出来事だったということで許して欲しいです。
僕ら世代にとってNARUTOってのは本当に偉大で大事な作品だった。
小学校高学年のときにアニメ放送が始まり、あっというまに自分もドはまりしたし、周りもドハマりだった。忍術の印を練習したり、腕をフラずに垂らしたままの忍者走りなんかも、校庭でよくやった。少年ジャンプを買いだしたのだって、NARUTOの最新話を読みたいからだった。ちょうど螺旋丸の修行をしていたころだった。ジャンプを買いだしたらいちご100%とかプリティフェイスとかに夢中になってまた別の道が開けた。
脱線したがまぁ、つまりこの作品はきっと僕ら世代のシンボル的作品のひとつだったのだ。
40巻を超えたあたりでコミックスを集めるのをストップしたし、正直やや興味をそそられなくなってしまった時期はあった。でも物語が明らかに終わりに向かっていく展開において、毎週ワクワクは抑えきれなかった。14年に入ってからの連載は、じっくりと味わいつくすように楽しんだ。子供の頃から追い続けた一大巨編の完結である。ランキングとか関係なしに、NARUTOの完結というのは個人的には2014年を代表する出来事だった。
この画像、完結当時よく出回ったものだけど、見てるだけでまた泣けてくるくらい良い。このイラストに近い形で生きてきたものだから、NARUTOと共にあゆめた10年程の年月が、誇らしく感じられたりする。それはもう。恥ずかしいことに。素敵なことに。
力強い成長物語だったなあ。時間はかかるけれどじっくりと読み返したい漫画です。そして今NARUTOがいないジャンプを読むとちょっと寂しくなる。
長くなりましたが以上、35作+1作、2014年のBEST記事でした。ありがとうございました。
2015年もいっぱい面白い漫画が読みたいです。……もう2月も中旬になってしまいましたが!!!
今日は今更、2014年の漫画私的BEST記事です。
もう2015年にはいって結構経ってしまってますが・・・去年の漫画についていちおうまとめた記事を作っておきたかったので…。通常更新があまりできなてなかったぶんも。
BEST30のつもりで書いてたらいつのまにか35作になってたので半端なBEST35となってます。ならもうちょい頑張ってBEST50にすりゃよかったんですけどね!
35.星の子/羽柴麻央
星の子 (マーガレットコミックス) 羽柴 麻央 集英社 2014-01-24 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
光をたどるように、フィルムを逆再生するように進む、命のドラマ。母と子の絆を描いた物語。表題作がとにかく好きで、読んでいた時期が個人的になんかもう、行き詰まってたタイミングだったので、これを読んでぼろぼろ泣きました。普遍的テーマを扱った作品だとは思いますが、ここまで自分に突き刺さったのも自分のことながら不思議に思ったりする。ただ、問答無用に涙腺を決壊させられた。
同時収録の読み切りも、切ない余韻がきもちよく心にのこる、素敵なセンチメンタルストーリー。やっぱり羽柴麻央先生は短編漫画の名手だ!
34.月に吠えらんねぇ/清家 雪子
月に吠えらんねえ(1) (アフタヌーンKC) 清家 雪子 講談社 2014-04-23 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
カオス文学マンガ。実在の詩人ではなく、その作品のイメージから新たに作り上げられたキャラクターとして詩人が登場する。萩原朔太郎や北原白秋や正岡子規や室生犀星や・・・といった面々が暮らす異世界を描いた漫画。なんかもう、全然うまく説明できないんだけども、すごいカオスなのだ。世界は変わる、時代も切り替わる、突然詩の中に迷い込む。作品の内側も外側もすべて、空想の不確定な領域でふわふわ漂っている。1巻はまだまだ世界観が生きていなかったけれど、2巻からの盛り上がりと混迷っぷりは読んでいると脳みそがずいぶんと敏感になる。キャラクターはかなり漫画チックに味付けされているので、むちゃくちゃな展開をしているのに不思議と読みやすくて良いな。
いろんな詩人の詩が作中挿入される効果でさらにどっぷりとコトバの世界にひたれる。混迷極める文学ファンタジー。
33.おしえて! ギャル子ちゃん/鈴木 健也
おしえて! ギャル子ちゃん 1 (MFコミックス) 鈴木 健也 KADOKAWA/メディアファクトリー 2014-11-22 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
俺の中で燦々と輝く傑作「蝋燭姫」を描いた鈴木健也先生が、意外な作品でブレイクしてくれたなと面白い気持ちでいます。ネットで話題となり、コミックスも売れ行き好調という「ギャル子ちゃん」。女の子への素朴な疑問を解き明かしていく構成で進むので、オヤジっぽいスケベ心を満たしてくれるのです。けれどエロいとか下品とかあまり感じないのは、ギャル子ちゃん含めキャラクターの不思議な清涼感のおかげかな。
ぎっしりつまった楽しいコミックス。ながく続いてくれることを期待しています。
32.アナーキー・イン・ザ・JK/位置原光Z
アナーキー・イン・ザ・JK (ヤングジャンプコミックス) 位置原光Z 集英社 2014-05-19 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ついに投下された位置原光Z先生の商業単行本!コミティアキッズ的にはマストな一冊と言える。下ネタ多めな会話劇を繰り広げる女子高生コメディ…なんだけれども、なんの説明もツッコミもなしに単眼娘がレギュラーにいたりして、独特のテンポと空気感にやみつき。「ぎじんかかっぷる!」「小悪魔淫魔サキュバスちゃん♥」あたりの甘々な男女関係なんかは脳内麻薬分泌されまくりでしたね。なんでこんなに位置原先生の描く女の子はかわいらしいのか!
31.僕のヒーローアカデミア/堀越 耕平
僕のヒーローアカデミア 1 (ジャンプコミックス) 堀越 耕平 集英社 2014-11-04 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
個性豊かなキャラクター、作画のタッチの使い分けと純粋にアツいストーリーで漫画的快感も強烈!ストレートな少年漫画。弱虫少年の成長物語であることと、成長物語に必要な「努力する姿の説得力」、そして「少年の背中を押す、戦うための理由」、こういった部分の作りが上手いから、読んでて素直に主人公を応援したい作品になっているのかなと思います。読んでいて、突っ走っているようでかなり頑丈に慎重に練り上げていると感じるんですよね。泥臭さとキャッチーさが見事に噛み合ってる。キャラデザもとんがってて面白い。死柄木弔のデザインは天才的だと思う。早くも人気爆発中なのも頷けるおもしろさだ。
30.冗談だよ、バカだな/岸 虎次郎
岸虎次郎作品集 冗談だよ、バカだな 岸 虎次郎 太田出版 2014-12-13 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
岸虎次郎先生の短篇集。エロティックでインモラルで、ときめきに満ちた物語が詰まっています。描かれていることはエロ漫画テイストなのに、雰囲気と絵のタッチで読み心地をまるで変えてくる。美しくて切なくて、胸をドキドキ高鳴らせる。
しなやかな肉体、溢れ出る激情、抑えられらない好奇心―――少年少女たちの隠された青春の1ページは、リアルな感触を残しつつも幻想的ですらある。個人的には放尿百合漫画「葦原」が至高でした。
高揚と感傷が一度に押し寄せる、魅惑の夕暮れ。
29.フラジャイル 病理医岸京一郎の所見/草水敏・恵三朗
フラジャイル 病理医岸京一郎の所見(1) 草水敏 恵三朗 講談社 2014-11-21 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
病理医というなかなかスポットライトのあたらないポジションにあえて着目した医療漫画であり、「病」をめぐる人間ドラマとしての面白さも抜群な新作。病院という組織の中で戦う主人公たちの姿は新鮮に楽しめるし、人の命を預かる重みをずっしりと感じるストーリーも、「表情」で魅せる迫力ある展開もグイグイ引き込まれる。アフタヌーンの近年の新作でもイチオシ。
28.恋のシャレード/ルネッサンス吉田
恋のシャレード (Feelコミックス FC SWING) ルネッサンス吉田 祥伝社 2014-10-08 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
死ぬってなんだろう。怖いな。高3女子と予備校教師の歳の差恋愛を描いた作品。喪失感と色気と乾きが絶妙にブレンドされた空気感が好きな感じ。ふんわりとリリカルで、人が思う「寂しさ」の感触をゆっくりと読み手に与えてくれる。「恋のまね事に過ぎない」と言いながらもロマンティックシチュエーションが炸裂するクライマックスもお気にいりです。(あと小ネタ程度ではあるけれど、各話タイトルの邦楽曲名のチョイスがにくい)
27.ブレイクブレイド/吉永 裕ノ介
ブレイクブレイド(13) (メテオCOMICS) 吉永 裕ノ介 ほるぷ出版 2014-05-12 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
大いに盛り上がった、というわけではないにしろ、練り上げられてきたドラマがいままさにうねりを増し、見逃せない展開に入ってきている。安定して超面白いっていう反則みたいなやつな!かつての幼馴染同士が命を奪い合うひりつくような緊迫感と切なさを内包しつつ、戦争はさらに白熱していく。安定した面白さを見せつけてくれている異世界ファンタジー戦記。連載ペースがやや不安ではあるものの、着実に盛り上がる展開を積み重ねる。
26.蒼き鋼のアルペジオ /Ark Performance
蒼き鋼のアルペジオ 10巻 (ヤングキングコミックス) Ark Performance 少年画報社 2014-12-26 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
アニメ化以降メディアミックスでも盛り上がっている作品ですが、原作の盛り上がりも最高潮だったと言える(掲載ペースはいろんな仕事が舞い込んできた影響かわりとガタガタではあったけれど)。個人的にはもうアシガラちゃんが!アシガラちゃんがかわいすぎて!!おてんば生意気お嬢様ってキャラクターと、それに振り回される姉妹たちに愛が止まらなくなりました。ドリフターズに次ぐ今のアワーズの柱と言えます。
25.フラグタイム/さと
フラグタイム 2 (少年チャンピオン・コミックス・タップ!) さと 秋田書店 2014-11-07 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
さと先生の新機軸、百合漫画。時間を少しだけ止めることができる主人公と、ただ一人その秘密を知る少女。ふんわりとした優しいタッチで、ビシバシと感情を迸らせぶつけあう少女たちのドラマティックなストーリーを綴っています。1巻はまぁまぁくらいの感想でしたが2巻の出来栄えは素晴らしかった!悪戯心とピュアな想いが交差する、ビタースイートガールズラブ。思春期少女はめまぐるしいんだ。
24.夜をとめないで/ハルミチヒロ
夜をとめないで ハルミチヒロ 白泉社 2014-11-28 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
アンソロジー雑誌「楽園」にて掲載されたものを収録した短編集。エロ方面でも活躍する作家さんですが、著作で特徴的に思うのがいじらしい女心の描写の巧みさ。そして感傷を抉りだすストーリーの面白さ。本作はハルミチヒロ先生のそういった部分を最大限に表した作品集であり、「これが読みたかったんだー!」と叫びたくなるような出来栄え。芸がない書き方になるけれど本当にどれをとっても素晴らしい短編が詰まっている……。仄暗いものもあれば明るくハッピーな恋もあり、しかし切り裂かれるような胸の痛みを伴う、切ない愛の物語がある!恋愛漫画が好きでよく読む人ならば、きっと充実感たっぷりに味わえるはず。至福!
23.ボールルームへようこそ/竹内 友
ボールルームへようこそ(7) (講談社コミックス月刊マガジン) 竹内 友 講談社 2014-11-17 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
競技としてのダンスの世界を描く熱血少年漫画は、今年も絶好調でした。大会も終わって華々しい展開ではないのに、とにかく引き込まれる。主人公の成長と次なる課題、寄せられる期待と燃える闘志。次のフェイズへの移行期間でここまでワクワクさせられるのは凄い。心臓が着火するように、興奮で手足も震えてくるぞ!
登場した新ヒロインもめっちゃくちゃかわいいし、相変わらず高レベル安定の漫画だなぁ。そして今年はもっと面白くなってくれる予感がビシビシ来てる。
22.LES MISERABLE/新井 隆広・ヴィクトルユーゴー・豊島 与志雄
LES MISERABLES 3 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル) 新井 隆広 ヴィクトル・ユーゴー 豊島 与志雄 小学館 2014-08-12 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
タイトルだけ知っていて実はどんな作品か知らなかった「レ・ミゼラブル」。そのコミカライズが本作ですが、見事なクオリティです。原作を知らないのでどうアレンジが加えられているかとかは分かりませんが、力強く物語に引きこんでくれる、骨太な新井先生の作画が魅力的すぎる。ここまで感情が溢れ出る表情を描いてくれるかと!ストーリーは悲劇的な要素が強いですが、少年漫画的に胸をあつくさせてくれる展開もばっちり。「人間賛歌」の謳い文句も頷ける大ボリュームの大河。
自分のように「レ・ミゼラブル」をあまり知らないっていう人にもオススメしたい、読み応え抜群の連載作です。
21.カザマアヤミ/恋愛3次元デビュー ~30歳オタク漫画家、結婚への道。~
恋愛3次元デビュー ~30歳オタク漫画家、結婚への道。~ カザマアヤミ 双葉社 2014-05-23 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
赤裸々すぎるでしょ…!!!初々しいラブコメの名手カザマアヤミ先生が、同じく漫画の紺野あずれ先生と出会い結婚に至るまでを描いた恋愛エッセイ漫画。不器用というか、だいぶ世間ずれした著者がいかに恋愛をしたのか、単純に読み物として面白い。ツッコミどころ満載で笑えるししかもどんどん作家さんのことが好きになるw しかもこのおふたりの作品をすでに知っているなら、さらに楽しく読めること間違いなし!萌えキャラすぎでしょカザマアヤミ先生。この気持ちを!どこにぶつければいいの!!
カザマさんがチョコ作ってくれた。うめえ~(*´Д`)
— 紺野あずれ (@azure_konno) 2015, 2月 14
ちょうどこれ書いてたら流れてきたバレンタインネタ。見てるこっちまで幸せじゃー。
20.運命の女の子/ヤマシタ トモコ
運命の女の子 (アフタヌーンKC) ヤマシタ トモコ 講談社 2014-08-22 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
3つの作品を収録した短篇集。個人的にヤマシタトモコ先生の漫画を最も美味しく頂けるのは短編漫画(24P~40Pくらいの)と思っていて、短篇集が大好物。収められた3作はどれも味わいが違っており、バランスのいい一冊となっています。淡々と不気味なリズムで展開される静かなサスペンスホラー「無敵」、届かない想いを軸に少年少女の青春を描いたセンチメンタルなラブストーリー「きみはスター」が甲乙つけがたく好き。あと装丁もいい。紙の本ならではだ!
19.バガタウェイ/古日向 いろは
バガタウェイ 11 (BLADE COMICS) 古日向 いろは マッグガーデン 2014-12-10 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
主人公のチームはもちろんだけど、読んでいて相手側のチームに感情移入を激しくしてしまい、恐ろしいほど心揺さぶられるここ最近のバガタウェイ。メンバーそれぞれの熱い想いがフィールドで絡まりぶつかり合う、チームスポーツ漫画の醍醐味を楽しませてくれました。大野城が好きだったんだけど11巻の小倉中央ヤバすぎたでしょ、泣くでしょ。いよいよ次は決勝戦。終わりが見えてきたのかもしれない。
18.幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい/黒谷 知也
幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい (IKKI COMIX) 黒谷 知也 小学館 2014-10-30 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
IKKIの新人作家による短篇集。どの作品もさわやかなタッチで、寂しさや悲しみや美しい思い出、喪失、幸福を描き出す。面白いというよりお気に入りの詩集のような一冊。何度も繰り返し読み返して、ちょっとだけ気持ちを変えてくれる。軽やかな読み心地でスッと心に物語が染み込み、波紋のようにじわりじわりと、世界に連れて行ってくれる。「海を見に行く」は表題作の番外編的位置づけでありながら、あまりに美しいエンドロールで呆然としてしまった。
僕たちの幸福と孤独。それは青い色をしている。
17.ムシヌユン/都留 泰作
ムシヌユン 1 (ビッグコミックス) 都留 泰作 小学館 2014-07-30 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「この漫画どこへ向かうんだ!!??」っていう意味不明なドライブ感がすごすぎますよね、ムシヌユン。もう2巻が待ち遠しい。ジャンルとしてはなんと説明すればいいのやらって感じですけれど公式的には「亜熱帯SF」。主人公の絶望と哀傷、それらすべてが宇宙空間から飛来した謎めいたパワーで怒りへと変換され暴走を開始!
ナンセンスな荒唐無稽さと、作品内の光景が脳内に飛び散るような強烈な異世界描写力、人間ドラマとしての面白さ、なにをとっても1巻時点での完成度が凄まじい…ゾクゾクと背筋に衝撃が走る面白さ!!
16.恋と病熱/磯谷 友紀
恋と病熱 (A.L.C.DXもっと!) 磯谷 友紀 秋田書店 2014-07-16 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
磯谷先生の真骨頂って感じのオムニバス・ストーリーズ。夫婦一組につき子はひとり。「兄弟」「姉妹」の存在は禁忌とされる世界で、どうしようもなくひかれあう兄と妹、または姉と弟――…男女だけではなく同姓や、むしろ禁忌に背き複数の子を産んだ母親にもスポットを当てていく。圧倒的な息苦しさと、その中で懸命に輝く愛情の、切ない交錯。後ろめたさを実感させてくれるからこそ、より物語に引き込まれる。
秘密ってのはみんなが秘密にしているから見えないだけで、きっと世界のそこら中にいっぱいの秘密が隠されている。そういう、「見えない別の世界」への甘いロマンが詰まった作品です。
15.中学性日記/シモダアサミ
中学性日記(1) (アクションコミックス(月刊アクション)) シモダアサミ 双葉社 2014-02-10 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ただただ、「かわいい………―――――」と溜息をついてしまう。思春期の心と体、友達に片思いの相手に、そして自分自身に振り回される“思春期”。オムニバス形式というスタイルもばっちりハマっていて、多種多様な思春期の悩みと失敗と恋模様をたっぷりニヤニヤ楽しめる。ともすれば下品になる話題もさらりと爽やかに読ませてくれるのは、この作家さんならではのワザ。戸惑って傷ついて自爆して、ときたま世界は微笑んでくれる。
14.天にひびき/やまむらはじめ
天にひびき 10巻 (ヤングキング・コミックス) やまむらはじめ 少年画報社 2014-11-29 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
完結巻。大学を舞台にした青春漫画としても、「努力」「才能」との向き合い方を描いた作品としても、9巻10巻の展開は強烈だった。残酷で、高潔で、憧れと無念があって、どこまでも遠く果てしなく祈りがある。圧倒的な才能をもつ者を、その周囲の人々の感情を軸に見事に描き切っています。
雑誌掲載字はアッサリしすぎと感じた最終話も、コミックスで加筆され大満足。全10巻と収まりがいいサイズです。ラストとかあまりに爽やかすぎて、感動。
13.子供はわかってあげない/田島 列島
子供はわかってあげない(上) (モーニング KC) 田島 列島 講談社 2014-09-22 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ひと夏の非日常、きらめくボーイミーツガール、忘れられない夏休みの海辺。素朴なテイストで綴られる青春物語で、全2巻ですっきり収まっている良作。華々しさは皆無と言えるんだけど、恋の喜びをのせた爽やかな風が吹いてくるような。素朴でふんわりとした空気の中で、一生涯忘れられることのない、鮮烈な夏休みの青春模様でたいへん心をモダモダさせてくれました。子と親の関係性を描いた部分も泣ける。
ああ、夏休み。甘酸っぱく眩しい季節!!
12.こいのことば/緑のルーペ
こいのことば 緑のルーペ 太田出版 2014-08-26 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
1巻完結。緑のルーペエッセンスは今回も炸裂している。ヒロインとの関係性とか、世界との向き合い方とか、これまでの作品を読んでると共通している部分も多いけれどそれがゆえにハマる人はどっぷりハマる。エロチックでかわいらしくて、地獄の底でうごめくような苦しみと、絶望の中でうすく輝く祝福がある。個人的には緑のルーペ作品を読んだことない人に最初にオススメしたい一冊。読みやすいさと「らしさ」のバランスも良い。ねじくれているようで、どこまでも透明な純粋さがきらめく物語です。
願うだけの、願い合うだけの「こい」。愛よりよっと遠く、ちぎれてしまいそうに脆い、はじめての臆病な「こい」。美しいラストシーンは必見です。
11.四月は君の嘘/新川 直司
四月は君の嘘(10) (講談社コミックス月刊マガジン) 新川 直司 講談社 2014-10-17 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
アニメも放送中。今をきらめく青春音楽漫画であり、先日、連載では完結を迎えました。単行本発売ベースでこの記事を書いているので、最終話を加味せずにこの順位です。
切なさと興奮が折り重なり、燃え上がるようなド迫力の演奏シーンで心がカラッポになってしまう読書体験はこの作品ならでは。今はただ祈りを捧げるように、心の準備をしなくちゃならない。演奏家の彼らと同じく、読み手の僕らだってきっと、最後を見届ける覚悟をしなくちゃいけない。最終巻は今年の春発売。アニメの出来もめちゃくちゃいいのです。
10.3月のライオン/羽海野 チカ
3月のライオン 10 (ジェッツコミックス) 羽海野 チカ 白泉社 2014-11-28 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ランキングを作るにあたって、間違いなく面白い長編ストーリー漫画的「上位定番作品」をあえてランキングに入れるかどうかってのは悩みどころではあるんだけれど、2014年にこいつは入れなきゃいけない。3月のライオンは、零くんは男を見せるって点で過去最高級にアツい。どこを着地点とするか、微妙に見えてこなかったこの作品の、未来のなにかが少しだけ分かったような気もする。
最初からきっと最後まで、戦う人たちの物語なのだ、これは。棋士ひとりひとりのドラマをじっくりと描いてくれるのもそうだし、戦わねばならぬ場面でがっしり腰据えて立ち向かえる強さを得た零くんの成長にも泣けてくる。
個人的には97話の、お母さんのモノローグにも目頭がグッと熱く震えた。ハチクロと並ぶ10巻となってなお、テンションが落ちないというのも恐ろしい!
それとBUMP OF CHICKENとコラボしたのにはひっくり返ったぞ…。
9.夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない/宮崎 夏次系
夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない (モーニング KC) 宮崎 夏次系 講談社 2014-05-23 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
宮崎夏次系さんは喪失感を描く天才だと思っている。どこかユーモラスで切なくて、なにかを無くしてしまった僕と君の孤独な世界。
3冊目の短編集となってもクオリティは依然高く、表現力に更なる磨きもかかった。「僕は毎日」「なほちゃんの白い玉子焼き」「リビングで」等で心臓が散り散りになりそうなくらい寂しくなりながらも、淡い恋の甘さにくらりとくる「明日も触らないね」、夫婦の再生を描いた「妙な夢」といったラブストーリーに胸が震える。特にこれまでの作品とくらべても、恋愛感情や恋愛関係が描かれた短編が多かったように思う。魅惑の一冊。
8.夏の前日/吉田基已
夏の前日(5)<完> (アフタヌーンKC) 吉田 基已 講談社 2014-08-07 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
じっくりと描かれてきたこの儚い恋愛物語も、無事に完結しました。満足度しゅごい…センチメンタルな風景と恋愛、自らの世界の中でひたすらに自分と戦う芸術家としての戦い、そのどちら共が見事に結実。
愛しあい、憧れ合うからこその二人らしい結末だったと思う。
この主人公に対してこれだけの優しさを手向けるきとができる晶さん本当にいい女性だ……。
あの日々は。熱に浮かされ、夢の中を漂っていたような、甘く苦しいひととき。
ひどい夏の予感は、きっともう晴れた。
7.週刊少年ガール/中村ゆうひ
週刊少年ガール(1) 中村ゆうひ 講談社 2014-03-17 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
漫画表現の実験場。遊びゴコロある仕掛けが毎回用意されていて、そのアイデアの面白さを頂くだけでも美味なのに、加えて作画のタッチがめっちゃ好みなのです。黒髪美人いっぱいだー!!
1巻収録「光にかざして」なんかは、電子書籍も流行する昨今において、紙に本だからこそできる仕掛けが切ないストーリーと噛み合っていて、しびれるくらい感動しました。トリッキーな短編が多いものの、青春モノ全般が好きなので全編ひたすらに身悶えしておりました。どこかスタイリッシュな画面作りと驚愕のアイデアの宝庫。
6.ちーちゃんはちょっと足りない/阿部 共実
ちーちゃんはちょっと足りない (少年チャンピオン・コミックスエクストラもっと!) 阿部 共実 秋田書店 2014-05-08 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
うっかり朝にこの作品を読んで会社に行ったせいで、その日はずっとイヤな気分だった。どうしようもなく立ち直れなくなる瞬間が、この作品には描かれているし、それを読んで自分もそれくらいに憂鬱に襲われた。人の心がドス黒く染まっていく劇薬。ただショッキングなだけの刺激物ではなく、読む人になにかしらの気持ちを沸き上がらせる、強烈なメッセージも持っている。肯定か納得かそれとも拒絶か。ただ、落ち込んでる時に読ともっとひどい気持ちになるからよした方がいい。
名実ともに阿部共実先生の看板作品となった感がある。インパクトは絶大。あとの評価はあなた次第。
5.デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション/浅野 いにお
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 1 (ビッグコミックススペシャル) 浅野 いにお 小学館 2014-09-30 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
14年開始の新連載の中ではもっともハマってる漫画です。世界滅亡と隣あわせの、ちょっと歪んだ平和な日常。「ちくしょう!浅野いにおの女の子に、こんな素直にかわいいと思わされるなんて!」というナゾの悔しさがこの作品をさらに面白くしている(個人差あり)。
世界観の恐怖感とかわいらしさ、思春期の小さな悩みと世界の大きな危機。絶妙の一言で片付けていいものか、半端ないバランス感覚とセンスで綱渡りをし続ける「ゆるふわ・ディストピア・ユースフルデイズ」。タイトルコールの「ズバーンッ!」感が気持ちいいぞ!
4.惡の華/押見 修造
惡の華(11)<完> (講談社コミックス) 押見 修造 講談社 2014-06-09 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
近年の自分の漫画ライフの中でも、ここまで熱中した作品は少ない。しかしまぁ2014年における「惡の華」というのは、続いていた長いエピローグも幕を閉じた、といった感覚に近い。
燃え盛る業火のような思春期の熱狂と、それから先の贖罪のための日々。
無事にこの作品が結着してくれてよかった。いままさに思春期のただ中にいる人々と、かつて思春期の嵐の中でもがいた人々の、両方に向けて放たれる歪んだ愛の弾丸。これでもかと濃密に「思春期」を叩きつけてくれた、自分にとってずっと忘れられない作品になりそうな作品。
3.魚の見る夢/小川 麻衣子
魚の見る夢 (2) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ) 小川 麻衣子 芳文社 2014-01-10 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
待っていたんだ、この小川麻衣子をなぁ…!!!感傷と残酷を美しく内包した2014年最強の百合漫画だったと思う。もうひとつの連載作であり代表作「ひとりぼっちの地球侵略」とはかなり趣の異なる作品で、本作2巻のエモーショナルな展開は圧巻だった。まさに爆発だった。全2巻と集めやすいこともあって、今後しばらくは自分の中の百合漫画の金字塔として光放つ存在となっていると思う。
もがき、切り裂かれるような号哭のあと、めぐりくる優しい季節。そしてさよならの果ての永遠を、あのひとは手に入れた。
2.聲の形/大今 良時
聲の形(7)<完> (講談社コミックス) 大今 良時 講談社 2014-12-17 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
あの傑作読み切りを連載化!と聞いたときはこれはぜったいマズいパターンだぞと思ったのに、いざ始まってみれば見事な青春物語として駆け抜けてくれた。2014年完結。
この作品について何かを語ろうとすると、自分の明かしたくないものを明かしてしまうような気がして、怖い。ただ本当に真摯に、生きることに立ち向かう少年少女の姿に涙が出る。砕け散ったはずの青春を少しずつでも取り戻していくこの物語は、実際すでに高評価を得ているわけではあるけれど、もう文句なしに2014年の代表作。最終話、最後の見開き、あまりに可憐すぎてクラクラきた。
1.ヒメゴト~十九歳の制服~/峰浪 りょう
ヒメゴト~十九歳の制服~ 8 (ビッグコミックス) 峰浪 りょう 小学館 2014-11-28 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
今年のナンバーワンは本作。とにかく19歳という年齢を描きとった大学生漫画として、その完成度の高さが素晴らしい。モラトリアムの不安げな空気感、人間模様のめんどくささ、かわいらしいキャラクターがどんどんと歪み、さらに美しく、黒く染まっていく様……とくにこの最終巻の内容は何度読んでも!何度読んでも胸が締め付けられるように切なく、そして爽やかな気持ちになる!
倒錯感たっぷりなインモラルラブストーリーであり、ジェットコースターに乗り込んだような強烈な展開のうねり!ずっと夢中で読み、新刊を読むたびに次の新刊発売まで辛抱たまらなかった。
そして、こんなこじれたストーリーをよくぞここまでスマートに終結できたものだと、なによりもそれに唖然とするレベルの着地。10巻以内で完結するオススメ漫画として執拗に人に勧めたい、闇の青春漫画と言えます(どんなだ)。
どうか最高に格好いいファックサインをその目に焼き付けて欲しい。
そしてこの、最高に甘い、最後のヒミツも。
番外編 NARUTO-ナルト-
NARUTO -ナルト- 72 (ジャンプコミックス) 岸本 斉史 集英社 2015-02-04 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
これだけ、最終巻が出たのが2015年なんだけど、2014年を代表する出来事だったということで許して欲しいです。
僕ら世代にとってNARUTOってのは本当に偉大で大事な作品だった。
小学校高学年のときにアニメ放送が始まり、あっというまに自分もドはまりしたし、周りもドハマりだった。忍術の印を練習したり、腕をフラずに垂らしたままの忍者走りなんかも、校庭でよくやった。少年ジャンプを買いだしたのだって、NARUTOの最新話を読みたいからだった。ちょうど螺旋丸の修行をしていたころだった。ジャンプを買いだしたらいちご100%とかプリティフェイスとかに夢中になってまた別の道が開けた。
脱線したがまぁ、つまりこの作品はきっと僕ら世代のシンボル的作品のひとつだったのだ。
40巻を超えたあたりでコミックスを集めるのをストップしたし、正直やや興味をそそられなくなってしまった時期はあった。でも物語が明らかに終わりに向かっていく展開において、毎週ワクワクは抑えきれなかった。14年に入ってからの連載は、じっくりと味わいつくすように楽しんだ。子供の頃から追い続けた一大巨編の完結である。ランキングとか関係なしに、NARUTOの完結というのは個人的には2014年を代表する出来事だった。
NARUTO世代の育ち方 pic.twitter.com/ifr9Yl4A1e
— お腹を空かせたツボ浅野 (@50_offf) 2014, 10月 4
この画像、完結当時よく出回ったものだけど、見てるだけでまた泣けてくるくらい良い。このイラストに近い形で生きてきたものだから、NARUTOと共にあゆめた10年程の年月が、誇らしく感じられたりする。それはもう。恥ずかしいことに。素敵なことに。
力強い成長物語だったなあ。時間はかかるけれどじっくりと読み返したい漫画です。そして今NARUTOがいないジャンプを読むとちょっと寂しくなる。
長くなりましたが以上、35作+1作、2014年のBEST記事でした。ありがとうございました。
2015年もいっぱい面白い漫画が読みたいです。……もう2月も中旬になってしまいましたが!!!