[漫画]最近読んだ漫画の感想メモ(9/27)
更新ペースこんなんになってしまってすいません。
なんもかんも社会がわるい。艦これはわるくない。
うちには「そのうち感想書こう」とおもった本を積んでいく箱があるんですけど、溢れてます。どうしようもねぇ。でも短くても感想かいていかないと気分よくないので、だーっとやっていきます。
とりあえず5冊。時間みつけてこれからこういう更新を適度にやっていくかも。
ほんとうは1冊1冊、じっくりと感想かいていきたいのですが、中々時間がなくてすいません。
アフタヌーンの集中連載が単行本化。
小学生の男女がヒミツを通じて一夏の静かな恋と冒険をする。ゆるやかな空気のなかで、子供ならではの息苦しさがだんだんと重くのしかかり、そこから開放される甘酸っぱい終盤の展開がとても気持ちがいいです。
話と核となる部分は、小学生が抱えるものとしてはあまりにヘビーなもので、途方にくれてしまうのもムリはない。
だからこそもがいて苦しんで、好きな子の手をつないで、戦ったり逃げたりして。誰にも見られず、こっそりと触れた相手の感触は、きっとお互い忘れられないものとなるのだろう。小学生の限界ですよねっ…!
片足が動かない猫。片親の不在。無神経なことば。チクチクと重たい要素が胸を差してきますが、エンディングもひとくちに丸く収まるわけでもない。とても現実的な距離を突きつけてきます。
だからこそ祈りたいのだ、と。必死に先へ進もうとする少年と少女の物語として、個人的に気に行ったラストです。願わくばもうちょっと未来も見てみたかったですがw
ヒロインの父親がなんの救いもないダメ親父だったんですけど、カバー裏をみて少しだけ、心が安らぎました。いい描き下ろしです。
中学生カップルの清らかさといやらしさをノスタルジーたっぷりに描く日常漫画。もうね…ほんと…もー!!もー!!!もーーーー!!!!!
と思わず雄叫び上げたくなるような、かわいらしい一瞬がギュッとギュッと詰まっており、まさしくキラキラした青春を感じさせてくれる最近のお気に入り漫画。
その効力はおのれの中学生時代を懐古させ、むずがゆくほろ苦い味わいを思い出させます。とくになんのイベントもなかったけど。なんというかこう…中学生の空気が、びっくりするくらい生々しい気がする。でもそれが不快ではなく、とても嬉しい感覚をくれる。
ヒロインが中学生なのに身長180オーバー!主人公の男の子はチビ!という並ぶと見るからになんじゃおまえらという身長バランスが微笑ましすぎる!
初めてのお付き合いらしい、試行錯誤と臆病とリビドーの暴走と反省の連続。
2巻だとおっぱい見ちゃったり、同じ布団に入ってモゾモゾしてたら勢いあまりおっぱいに触れちゃうシーンがあるんですけど、それを咎めるヒロインのとっておきの一言が「アダルト!」ですよ。えっアダルトって。ここでスケベでも変態でもエロでもなく「アダルト」をチョイスするセンスに脱帽ですよ!ロマンですよ!はぁ~~富士山さん!!天使かよ!
女性作家らしい繊細な視点が土台にあるのもいいですね。あるあるとマニアックをふわふわさ迷いつつ、少年がどこを見てるか分かってるのが素敵です。共感と羨望がごちゃまぜに襲い掛かってくるこわい漫画。
「八潮と三雲」がつぎで最終巻なんて!そんなー!と嘆いていたら八潮と三雲新刊と同時に発売されたこの短篇集「僕の棺で晩餐を」がどストライクでしたーッ!
草川先生はこういうひんやりとした甘美な恋物語もイイですね…。
多くの作品が吸血鬼との出会いから連鎖したロマンスを描いたもの。切ない、ほろにがい読後感をのこしていく作品が揃っています。「八潮と三雲」とだいぶ方向性が違うのですが、個人的にはこういう路線も大好物。予期せぬ破壊力におもいっきり心揺さぶられてしまいました。
やはり吸血鬼というモチーフそのものが魅惑的で美しくて恐ろしくて、ロマンに溢れてる!
好きなのは表題作「僕の棺で晩餐を」。鋭い氷のナイフを思わせるクライマックスの切なさは絶品ですな。モノローグの言葉選びも慎重で、ぴったり合っています。
「星は暁のかげ」なんかは主人公のキャラクターが印象的。切迫した、情熱的な感情の発露に感動。「しのびごと」はラストシーンがなんとも美しいです。幽霊ネタは結構好きなんだなぁ。
喪失のむこうにある感情こそ尊いのかもしれない。冷たくて悲しい、けれど強い愛情を感じさせてくれる物語達でした。いいね…!またこういう単行本が読みたい。
ムック「まんが秘宝 男のための青春まんがクロニクル」のなかで、押見修造さんがこの本の話をしていたので買ってみました。柏木ハルコ作品は初体験です。
傷つけ合いボロボロになりながらも愛しあう男女の物語。短篇集ですが通しで読んでみると情熱的な漫画を描く作家さんだなぁと感じました。
冒頭に収録された「別れる」は薬によって恋心を無くせる社会を描いたもので、SFチックな背景が面白い。ですが本質は、自らその恋心を手放してしまおうとしながらもどうしようもなく傷つき涙を流す、泥臭さと生臭さまである女性の心理描写の凄まじさ。切ないけど力強い生命力も宿したお話だなぁ。
つづく「DIARY」はセンチメンタルが急加速する喪失の物語。女性のなまなましい感情をせんぶぜんぶブチまけ、その中に輝く愛おしさに気づく。なかなか得がたい感動がありました。もっと先を見てみたかったエンディングではあるけど、とても好き。
そして特にしびれたのが「裸のえろ」。かわいくてエロティックで、おいてけぼりにされたような哀しみがありますね…。押見先生もこれが好きらしい。
本題ではありませんがなにげに設定背景も興味深い。まだ徴兵制度がある日本が舞台なのかな。
「えろ」ちゃんのキャラが面白くて、おバカな子供のような、人懐っこい小動物のような、生身の欲求を持った女のような、絶妙なバランス。女に翻弄され安らぐ男の末路はぜひご確認を。
ユーモアがあり、切り裂かせるような切なさがあり、前向きさがあり、男と女のすれ違いがあり、おそろしい情念と、身を焦がす愛情があり…。味わい豊かな短篇集で、これは男女ともに読みやすく、かつなにかを残していく漫画なのではと思います。
宮崎夏次系さん二冊目の単行本。
いかにも小難しい雰囲気漫画なような感触ではありますが、コイツがなかなかに染み入る。感傷的な青さが広がっているのです。
一冊目と同様になんとなく不条理系なムードを出しつつ、一冊目よりも人と人の距離感をじっくり見つめている、ような…?
世界の構想能力というか発想の面白さは相変わらず。加えてその中に人間の心を映し込んでおり、個人的には一冊目よりぐっと親しめる感じでした。
誰かが誰かに心動かされる瞬間を切り取った、独特の緊張感を放つシーンがいくつかあって、それがお気に入り。
「地図から」「線路と家」が好きです。幻想的な風景がいくつも散らばっていて、ページをめくる楽しさもきらめく一冊でした。シュールとセンチメンタルの融合。これからも追い続けてみたい作家のひとりです。
なんもかんも社会がわるい。艦これはわるくない。
うちには「そのうち感想書こう」とおもった本を積んでいく箱があるんですけど、溢れてます。どうしようもねぇ。でも短くても感想かいていかないと気分よくないので、だーっとやっていきます。
とりあえず5冊。時間みつけてこれからこういう更新を適度にやっていくかも。
ほんとうは1冊1冊、じっくりと感想かいていきたいのですが、中々時間がなくてすいません。
神様がうそをつく。 (アフタヌーンKC) (2013/09/20) 尾崎 かおり 商品詳細を見る |
アフタヌーンの集中連載が単行本化。
小学生の男女がヒミツを通じて一夏の静かな恋と冒険をする。ゆるやかな空気のなかで、子供ならではの息苦しさがだんだんと重くのしかかり、そこから開放される甘酸っぱい終盤の展開がとても気持ちがいいです。
話と核となる部分は、小学生が抱えるものとしてはあまりにヘビーなもので、途方にくれてしまうのもムリはない。
だからこそもがいて苦しんで、好きな子の手をつないで、戦ったり逃げたりして。誰にも見られず、こっそりと触れた相手の感触は、きっとお互い忘れられないものとなるのだろう。小学生の限界ですよねっ…!
片足が動かない猫。片親の不在。無神経なことば。チクチクと重たい要素が胸を差してきますが、エンディングもひとくちに丸く収まるわけでもない。とても現実的な距離を突きつけてきます。
だからこそ祈りたいのだ、と。必死に先へ進もうとする少年と少女の物語として、個人的に気に行ったラストです。願わくばもうちょっと未来も見てみたかったですがw
ヒロインの父親がなんの救いもないダメ親父だったんですけど、カバー裏をみて少しだけ、心が安らぎました。いい描き下ろしです。
富士山さんは思春期(2) (アクションコミックス) (2013/08/28) オジロ マコト 商品詳細を見る |
中学生カップルの清らかさといやらしさをノスタルジーたっぷりに描く日常漫画。もうね…ほんと…もー!!もー!!!もーーーー!!!!!
と思わず雄叫び上げたくなるような、かわいらしい一瞬がギュッとギュッと詰まっており、まさしくキラキラした青春を感じさせてくれる最近のお気に入り漫画。
その効力はおのれの中学生時代を懐古させ、むずがゆくほろ苦い味わいを思い出させます。とくになんのイベントもなかったけど。なんというかこう…中学生の空気が、びっくりするくらい生々しい気がする。でもそれが不快ではなく、とても嬉しい感覚をくれる。
ヒロインが中学生なのに身長180オーバー!主人公の男の子はチビ!という並ぶと見るからになんじゃおまえらという身長バランスが微笑ましすぎる!
初めてのお付き合いらしい、試行錯誤と臆病とリビドーの暴走と反省の連続。
2巻だとおっぱい見ちゃったり、同じ布団に入ってモゾモゾしてたら勢いあまりおっぱいに触れちゃうシーンがあるんですけど、それを咎めるヒロインのとっておきの一言が「アダルト!」ですよ。えっアダルトって。ここでスケベでも変態でもエロでもなく「アダルト」をチョイスするセンスに脱帽ですよ!ロマンですよ!はぁ~~富士山さん!!天使かよ!
女性作家らしい繊細な視点が土台にあるのもいいですね。あるあるとマニアックをふわふわさ迷いつつ、少年がどこを見てるか分かってるのが素敵です。共感と羨望がごちゃまぜに襲い掛かってくるこわい漫画。
僕の棺で晩餐を (花とゆめCOMICS) (2013/09/05) 草川為 商品詳細を見る |
「八潮と三雲」がつぎで最終巻なんて!そんなー!と嘆いていたら八潮と三雲新刊と同時に発売されたこの短篇集「僕の棺で晩餐を」がどストライクでしたーッ!
草川先生はこういうひんやりとした甘美な恋物語もイイですね…。
多くの作品が吸血鬼との出会いから連鎖したロマンスを描いたもの。切ない、ほろにがい読後感をのこしていく作品が揃っています。「八潮と三雲」とだいぶ方向性が違うのですが、個人的にはこういう路線も大好物。予期せぬ破壊力におもいっきり心揺さぶられてしまいました。
やはり吸血鬼というモチーフそのものが魅惑的で美しくて恐ろしくて、ロマンに溢れてる!
好きなのは表題作「僕の棺で晩餐を」。鋭い氷のナイフを思わせるクライマックスの切なさは絶品ですな。モノローグの言葉選びも慎重で、ぴったり合っています。
「星は暁のかげ」なんかは主人公のキャラクターが印象的。切迫した、情熱的な感情の発露に感動。「しのびごと」はラストシーンがなんとも美しいです。幽霊ネタは結構好きなんだなぁ。
喪失のむこうにある感情こそ尊いのかもしれない。冷たくて悲しい、けれど強い愛情を感じさせてくれる物語達でした。いいね…!またこういう単行本が読みたい。
失恋日記 (Feelコミックス) (2013/05/08) 柏木 ハルコ 商品詳細を見る |
ムック「まんが秘宝 男のための青春まんがクロニクル」のなかで、押見修造さんがこの本の話をしていたので買ってみました。柏木ハルコ作品は初体験です。
傷つけ合いボロボロになりながらも愛しあう男女の物語。短篇集ですが通しで読んでみると情熱的な漫画を描く作家さんだなぁと感じました。
冒頭に収録された「別れる」は薬によって恋心を無くせる社会を描いたもので、SFチックな背景が面白い。ですが本質は、自らその恋心を手放してしまおうとしながらもどうしようもなく傷つき涙を流す、泥臭さと生臭さまである女性の心理描写の凄まじさ。切ないけど力強い生命力も宿したお話だなぁ。
つづく「DIARY」はセンチメンタルが急加速する喪失の物語。女性のなまなましい感情をせんぶぜんぶブチまけ、その中に輝く愛おしさに気づく。なかなか得がたい感動がありました。もっと先を見てみたかったエンディングではあるけど、とても好き。
そして特にしびれたのが「裸のえろ」。かわいくてエロティックで、おいてけぼりにされたような哀しみがありますね…。押見先生もこれが好きらしい。
本題ではありませんがなにげに設定背景も興味深い。まだ徴兵制度がある日本が舞台なのかな。
「えろ」ちゃんのキャラが面白くて、おバカな子供のような、人懐っこい小動物のような、生身の欲求を持った女のような、絶妙なバランス。女に翻弄され安らぐ男の末路はぜひご確認を。
ユーモアがあり、切り裂かせるような切なさがあり、前向きさがあり、男と女のすれ違いがあり、おそろしい情念と、身を焦がす愛情があり…。味わい豊かな短篇集で、これは男女ともに読みやすく、かつなにかを残していく漫画なのではと思います。
僕は問題ありません (モーニングKC) (2013/08/23) 宮崎 夏次系 商品詳細を見る |
宮崎夏次系さん二冊目の単行本。
いかにも小難しい雰囲気漫画なような感触ではありますが、コイツがなかなかに染み入る。感傷的な青さが広がっているのです。
一冊目と同様になんとなく不条理系なムードを出しつつ、一冊目よりも人と人の距離感をじっくり見つめている、ような…?
世界の構想能力というか発想の面白さは相変わらず。加えてその中に人間の心を映し込んでおり、個人的には一冊目よりぐっと親しめる感じでした。
誰かが誰かに心動かされる瞬間を切り取った、独特の緊張感を放つシーンがいくつかあって、それがお気に入り。
「地図から」「線路と家」が好きです。幻想的な風景がいくつも散らばっていて、ページをめくる楽しさもきらめく一冊でした。シュールとセンチメンタルの融合。これからも追い続けてみたい作家のひとりです。
[漫画]あなたの尾ビレが見たいのです!『深海魚のアンコさん』1巻
深海魚のアンコさん(1) (メテオCOMICS) (2013/09/12) 犬犬 商品詳細を見る |
サイズが小さくてかわいい!チカチカ光るのがかわいい!あと…尾ビレもかわいい!!
いまは艦これにドップリなわけですが、擬人化といえばこの「深海魚のアンコさん」も面白い。
お気に入りのほのぼのコメディです。業界騒然ならぬ『魚界騒然!』とのことw
タイトルから察せるとおり、本作は魚類の擬人化モノ。
普通の人間にまじって人魚たちが学校生活をおくっている、学園コメディです。
魚類擬人化…というか人魚は今年アニメ化されたものもありましたし完全な目新しさはありませんが、それぞれの個性がはっきり現れたキャラクターたちの日常風景はとても和みますね…。
人間化したキャラクターに元ネタの特徴をどれほど反映し落としこむかが擬人化の面白さであり見どころ。まったりとしながらも賑やかな日々は、なかなかに濃ゆくて楽しい。
あとあれですね。女の子かわいい。大事です。女の子がかわいいのです!
WEBでやってる漫画なので試し読み可能です。
基本的に一話ごとにゲストキャラが登場し、その人を軸に展開していきます。
主人公はアンコさん。チョウチンアンコウの人魚です。
それから人魚好きな人間の女の子・若狭さん。アンコさんをライバル視している闘魚(ベタ)の人魚・トウナさん。だいたいこの3人がメインキャラかな。
人魚と人間がいっしょに暮らしている学校が舞台なだけあって
異文化コミュニケーションの面白さがあります。
それは人間⇔人魚もありますし、人魚間でも言えることです。
おそらく常識レベルでしか魚のことは知らないのでトリビア的知識が増えるw
「この娘はこういう特徴があるんだな~」とかふむふむのんびり読んでると
いつのまにやら、その娘のかわいさ(&いやらしさ…?)に絡め取られている。
人魚たちの体質は妙にマニアックで、心の奥底がザワザワするんですよ…!!
ウナギの人魚、うなちゃんは緊張するとヌルヌルした液が出ちゃう。
ミルクもでちゃう。
ひじょーに申し訳ないんですが、お下品な妄想をしてしまいますよね…(笑顔)
ファンタジーな生物との性行為はどういう風なんだろうかと考えてしまうのはよくあること。「モンスター娘のいる日常」とか、読みながら滅茶苦茶ワクワクしますよね…。
他にも1巻だとフグ、マンボウ、ホホジロザメといった有名ドコロから、そんなのもいるんだ…?な人魚たちも登場。
個人的にイチオシな女の子は、やはり主人公のアンコさんかな。
けっして優れた娘じゃありません。むしろ若干ポンコツな感じが…。
彼女は本当に恥ずかしがり屋で、コンプレックスも持っている様子。
「自分の尾ビレはかわいくない」って、見られることを嫌がって、見られたら泣き出してしまう…。そんな弱虫なアンコさん…かわいすぎるな…ッ!!
人魚が本来の下半身にもどるシーンは全部好きですねぇ。個性があって。
アンコさんの尾ビレなんか、最初みたときは一瞬「ぐ、グロい…!」と思いました。
こんなにかわいい女の子の、人には見せたくない下半身…!
ということで、なんだか見てはいけないものを見たかのようなトキメキと興奮があったことは間違いない…!
でもそれは初見のインパクトがあったからで、慣れるとこの尾ビレこそが最高に可愛かったりするのである!ベタのようなヒラヒラ綺羅びやかな体ではないけれど、なんだかとても愛おしいですよ!
アンコさんが恥ずかしがりながら見せてくれる下半身をもっと拝みたいのです!
なんか尾ビレって言葉がエロく思えてきたな…。尾…。ビレ…。ビレ……。
ほかにも、産卵をオープンな話題にすることに抵抗は強いようです。
卵のネタはもっと膨らませて欲しいんですけど、やりすぎると作風が崩れてしまうか…。
やはりこの作品には、ほのぼのとしている中にマニアックな要素を忍ばせ、理由もわからずなぜか興奮してしまう…みたいな今の適度なエロスがいい塩梅。
妄想が膨らみまくる産卵ネタ。
そんな「深海魚のアンコさん」1巻でした。かわいいお魚さんがいっぱいでてくるほのぼのコメディ。絵柄もすっきり可愛らしくて好感度高い!
その中で、妙にマニアックなネタがキラリと光っています。
おかしな属性を読み手に植えつけかねない、危なさもあるかもしれないw
アンコウのオスとメスの「融合」のネタは、自分の中で新しいトビラが開きかけた。
アンコさんはなんのカリスマもない女の子なんですが、不思議とほかの人を呼び寄せてしまいますよね。そこはさすがアンコウというべきか。主人公をアンコウにしたのは結構上手い気がする。
カリスマはなくとも不思議と居心地がいいような、そんな空間を作ってくれる娘なのかもしれませんね。
でも彼女自信はけして社交的で活発というわけではない。
だからこそか、学校生活の中でいろんな人たちと接することで、彼女の世界も広がっていっているのを感じます。
これから続いていく間に新しいキャラクターも大勢出てくるとは思います。それも楽しみにしつつ、現時点でも魅力的な女の子たちが揃っているので、掘り下げたエピソードも見てみたいですねぇ。
『深海魚のアンコさん』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
ほのぼのキュートでときどきマニアックなエロス。キャラも可愛いしツボですね。
[漫画]何度もいつまでも幾らでもずっとずっとずっと君に恋する『不死身ラヴァーズ』1巻
不死身ラヴァーズ(1) (少年マガジンコミックス) (2013/09/09) 高木 ユーナ 商品詳細を見る |
お願い 消えないで
毎月なんかしら新連載がはじまっているこの頃の別マガですが
最近はじまったものだと特にこの「不死身ラヴァーズ」が好みです。
凄くエネルギッシュで、胸掻きむしる衝動がある漫画。とにかく読み手を揺さぶってやろう、心乱してやろうと挑みかかってくる作風は、師匠の諫山創さんとも通ずるものがある、かも。
恋愛漫画なのですが、独特の主人公像と設定とよってなかなか新鮮な読み味。
まさにハイテンションとセンチメンタルの怒涛のせめぎ合い…!かと思ったら一体になってこちらに飛び込んでくる迫力。
物語の面白さもありますが、まず作品のパワーに圧倒されますね!
主人公・甲野じゅんは「長谷部りの」という少女に恋をします。
恋をします。また恋をします。またまた恋します。繰り返します。
なにせ彼女は、消えては現れまた消えてはまた甲野の前に現れる、不思議な存在。甲野がその恋を燃えがらせ想いを届けると、それを受け取った長谷部はこの世界から消えてしまうのです。
小学校のときから中学、高校、そして大学生となった現在まで。
いつになれば甲野の恋は実るのか。
「不死身ラヴァーズ」は甲野の人生において何度も巡り来る「長谷部りの」とのひと時を描いていく作品です。
同一人物のはずがどんな世界線のスレか、微妙に違った長谷部が現れる。まずこれがいいですよね。いろんなヒロインとの恋が見られて楽しい。主人公は一途にひとりの女の子に恋をし続けているわけで、彼の高潔さが失われない。
とは言えこの主人公、甲野じゅんがスゴいのです。
冷静に…いや冷静に考えるまでもなく、彼は異常なのです。
読めば一発でわかると思いますが、なんの遠慮もなくがむしゃらにヒロインに突き進んでいく!
そして愛する少女がこの世界から消え、その存在を自分以外だれも覚えていないような残酷な日常になっても、彼はずっと長谷部りのに恋をし続ける。
すさまじいバイタリティの押せ押せ主人公なのです。度を超えたバカなだけなのか…?いやれだけじゃないはず!
なんども長谷部りのが彼の前に現れるのは、運命がどうとかというより、彼の執念が奇跡を成し遂げているのではないだろうか…。
何度も死にそうなくらいの苦しみを受けとめ、それでも恋をできる喜びを噛みしめる。
恋をすることで生きていられる。
とまぁ恋愛至上主義者もきっとまっさおな全力爆進の恋愛少年。気持ちがわるくて気持ちがいい、まっすぐなバカですよ!
このままだと一生のあらゆる時間を長谷部に恋しながら駈けずりまわることになる。恋するリビングデッド。まさしくゾンビのようなのです。
なんど心をボロボロに痛めつけられても。ザクザクと切りつけられても。不屈の精神で彼はなんども立ち上がる。
普通だったら病みそうなものですが、彼はその純粋さをいっさい失わない。
なんともソウルフルな少年です。主人公だからこそ彼の異常性は大々的にアピールはされてはいませんが、やっぱコイツすごいよ。
「不死身ラヴァーズ」でいまのところ一番すきなシーンは、目の前で長谷部が消えてしまい、混乱と傷心で我を忘れんばかりの彼の精神情景ひととおり。
いやぁ、傷つく少年って大好物です。これがまたいい表情するんですよ。読んでてこっちまでズキズキ傷む。ここでカタルシスが生まれる。
妙にファンシーな表現でグロテスクな描写をやってのけたり、ギョッとさせてくれます。
高揚感のあるラブストーリーを突き進み、その代償のようにクライマックスに待ち受けるのは、途方も無い絶望とセンチメンタル。この落差が大好きだなぁ…!
1巻の中だとじっくり描かれている長谷部りのは2人。
高校時代、ギャルっぽいけど書道が得意な長谷部。
大学時代、記憶障害を持ちながらも朗らかな長谷部。
どちらも、少しずつちがった魅力を輝かせる女の子。同じ女の子なのに、こういう所も面白い。
特に大学生の長谷部はいいなぁ。寝ると記憶をなくしてしまうヒロイン。
「長谷部が世界から消えても自分は覚えている」という甲野の境遇もあってか、この時のふたりは記憶というキーワードで強く結ばれていたように思います。
ぜったいに君のことを忘れない。君が忘れても俺が覚えているから、と。これまでの甲野自信が証人なのです。彼はずっと「長谷部りの」を忘れず、忘れられず、追いかけてきたから。
記憶という拠り所のない不安な日々を送ってきた大学生の長谷部は、彼にどれだけ救われただろうか。これだけ力強くこちらに向かってきてくれる、全力で好きといってくれる相手に、どれだけの感謝があっただろうかと。
彼女にとって、「明日の約束」はあまり意味を持たない。だって忘れてしまうから。記録はできても、そこに宿った大切な想いも忘れる。自分の気持ちだって消える。
だから今を生きることをポリシーとしている少女なのです。
でも彼女は甲野の明日の告白を楽しみにする。覚えていなくたって甲野は自分に向かってきてくれるのだと信じることができるから。この長谷部にここまで踏み込むことができたのは、甲野のがむしゃらさがあったからに違いない!
じっさい、彼女は甲野を受け入れる(いろんな意味で)。こんな、あまりに切ない状況なのに、読んでて体の奥底からゾワゾワと、興奮とともに幸福感が湧き上がってきました。
その後に彼が負った心の傷があったとしても、「よかったな、甲野」と言いたくなるわ!
長谷部が消えるときは、甲野の想いが届いたとき。
消えたその時の長谷部たちは、勘違いでなければ、幸せそうでした。
そこからフッ…と急にいなくなる唐突さも残酷で好きなのですが
第3話のラストを見るに、もしかしたら長谷部が消えるタイミングは、望みがかなった瞬間なのかも知れないな。
そんなこんなの「不死身ラヴァーズ」1巻です。
ひたすらハイテンションに突っ切って行く中にも、主人公の必死さ、切実な感情が胸をうつ。しんみりとはさせず狂騒の中にそういう切なさを滲ませている。
この勢いの良さは青春くささそのものでもあり、命も魂も燃やして突き進む少年は眩しいことこの上ない。
女の子のかわいさはもちろんのこと、「男の子」という生物に捧げるロマンを感じるな…!
これからまた次々と新しい長谷部りのとの暴走ロマンスに興じるのでしょう。楽しみ。
あとなにげに気になってるのが主人公の友人のイケメンくん。ホモくせぇ!
イケメンくんは様々な場面でさわやかにホモ臭を香らせてくれる。ナチュラルに甲野のこと大好きっぽいですね!いいよいいよ!
そして何度かガシャコーっと携帯で写真を撮ってましたね。甲野と長谷部が映っていると思いますが、彼が写真をとる場面もなにげに気になったので、もしかして何かの伏線…?
タイトルは「不死身ラヴァーズ」。
ラヴァーズというからには恋人同士なのだ。相思相愛なのだ。
どんな理不尽な運命に引き裂かれようとも、何度だってまた会えるような、そんな世界一むちゃくちゃな不死身の関係。に、なれればいいな。
『不死身ラヴァーズ』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
主人公と設定が濃い!一生を尽くして恋をしそうな勢いのアツい切ない恋愛漫画。
[漫画]黒髪ロングの日らしいので永尾未果子さん(ヒメゴト)についてまとめる
タイトルのとおりです。
今日は9月6日。黒髪ロングの日らしいです。今年も黒ロン祭に参加です。
→【募集】黒ロン祭2013 開催のお知らせ
黒ロン記事を書こうと思い立った段階で、いま一番自分が夢中になっている黒ロン娘はだれだろうなと考え、この娘にしました。
永尾未果子さんが好きだ!!!
漫画「ヒメゴト ~十九歳の制服~」のキャラクター、永尾未果子さんです。
去年の「黒ロン祭2012」もヒメゴトでエントリーしたので、どれだけ熱を上げているかおわかりいただけただろうか…。
とりあえずしばらく俺は黒髪ロング=永尾未果子で推していくつもりです。
去年と代わり映えしませんか?いやいや、愛の証ってやつですよ!
いちばん彼女らしいイラストがカッコいい単行本2巻を張っておく。
「ヒメゴト」には3人の主人公がいるのですが、未果子ちゃんに焦点をあてて、現状のまとめのようなことをしつつ、どこらへんが魅力的な黒ロンちゃんなのかをPRしようと。
なにせ…たぶん知名度とか………超おもしろい作品ですよ!
過去の更新
ヒミツを抱えあう19歳の三角関係。『ヒメゴト~十九歳の制服~』1,2巻歪み絡まる19歳たちの性。『ヒメゴト~十九歳の制服~』3巻
友達でも恋人でも足りない気持ち。色めく19歳の夜。『ヒメゴト~十九歳の制服~』4巻
過去の更新でも未果子について語ってきていますが、今回はそのまとめのような形にできればと。発売中のコミックス5巻までの範囲で。
簡単に作品紹介。
「ヒメゴト ~十九歳の制服~」は大学1年生の男女が主人公。
3人が3人とも、「19歳」をこじらせていて最高にめんどくさいのだ、コレが。みんな深いコンプレックスを抱き、悩み、ときに共鳴する。
もう男の子じゃなくなった。もう女の子じゃなくなった。
行き場を失った「自分」を暗闇の中で探す。聞こえをよくするならばまさにモラトリアムまっしぐらな内容です。
でも実質、暗く湿った性欲を主軸にストーリーは進むので、ドロドロした青春模様が繰り広げられます。
魅力的な主人公たちの感情が複雑に絡み合い、倒錯的なヒミツの関係におぼれていく。
続きが気になりすぎてお腹がいたくなってくるよ…!
本当によくキャラクターが練られていて、ドラマの進展が面白すぎる!
そんな主人公たちの中でも、ひときわ黒く輝いてくれているのが未果子。
自分自身、まだ彼女の魅力を噛み砕けていないので、現状の整理も兼ねての更新です。
簡単に言うなら、かわいくて怖い、捻くれこじらせダメ女、です。(ひどい簡略)
変に純粋で暴走しやすい乙女であり、目的のために周囲を利用することを躊躇しない悪党でもあります。そういうギャップが…恋にしたたかな感じが、たまらなく惹かれる!
●「少女」へのこだわりと、年齢へのコンプレックス
「ヒメゴト」は大学生となったことで揺らぐ性意識がテーマなのだと思います。
未果子のこだわりは、うつくしい少女であることを保つこと。
彼女のコンプレックスは大きなものに「年齢」があります。19歳。大学生は、もう大人とも呼ばれるに十分な年齢。彼女は葛藤しているのです。
彼女の最大級の地雷ポイントが、これはもう1巻の序盤で明らかになるのですが
大学生なのに15歳のフリをして、売春を行っています。
相手の男をだますことで、「私はまだ15歳の女の子として通用するのだ」と愉悦に浸る。また大人になることへの恐怖心のようなものも手伝い、とにかく「15歳」のままを生きようと必死です。
本当に15歳だったときに彼女にとってのターニングポイントがあったのかな。
そういう、男を手玉に取り自尊心を満たす、ぶっちゃけとんだクソ女なわけですが
悲痛なほどの彼女の心の痛みは物語の中で少しずつ語られていき、すっかり愛着が湧いてしまいました。
必死にもだきコンプレックスと戦う彼女は、その手段がいかに真っ黒で賛同を得難いものであろうとも、応援したくなってしまう。
自分の価値にすごく敏感なキャラクターなのです。
というか男を相手にしてるときのデビル未果子さんと、好きな相手を目の前にしたときのエンジェル未果子さんのギャップがね。かわいすぎるんです。
●「男」と「男の子」
例えば第8話によく表れていますが、未果子の言う「男」と「男の子」は明らかにニュアンスに違いがあります。「男」には明らかな侮蔑を、「男の子」には甘い憧れを込めて、彼女は使い分けています。
生き方が不器用だとか、性的な接触をしてこないとか、いじらしさとか健気さとか。
彼女がもとめる「男の子」は、清らかでかわいらしい存在のことを指していそうです。
未果子は「ヒメゴト」の女性主人公、由樹のなかの少年性に惚れ込みます。
それはどうにも「由樹は男ではないのだから自分に実害が及ぶ心配のない」という安心感があってのものだろうなと思い、ここの恋慕の情は彼女のよわさの現れなのだろうなとも思えてしまう。彼女のやらしさを感じる部分とも言える。
構図としては百合。ただ未果子は由樹に男の子であってほしいと思っている。女としての由樹はほぼ必要としてない。
その上、由樹は自分の密かな恋のために、未果子を半ば利用している形もとっていました。
騙し合い(双方、相手も自分自身も騙している)の百合、ということでだいぶ入り組んでいますが、こういうめんどくさい人間関係こそ大変美味でございます!!
しかし売春なんてやっておきながら、彼女の心が求めている恋愛とは、非常に幼い。それこそ小学生同士のような甘酸っぱいものだと見えてきます。
性欲の世界にドップリと浸かりながら、しかしというかだからこそというか、真に清らかな世界を求めてしまう。
少年と少女の、性欲のない、美しい世界に手を伸ばす。
男性に嫌悪を抱くに至ったきっかけが過去にあるようですが、まだハッキリとは語られず。
47話冒頭等にチラッと見えるものから予想するのは、レイプ被害によるトラウマでしょうか。
トラウマ描写を踏まえた妄想ですが、未果子の求める恋愛像は、砕け散った青春時代のやりなおしを求めての結果なのかなとも考えられます。
男性を嫌悪し、純真無垢な少年の魂を求める。社会の闇に身を投げても、未果子は心の奥底ではファンタジーを生きている。
大人と子供の境目である「19歳」「大学生」らしい揺らぎだよなぁ。
彼女はまだ大人になりきれていないし、事実それを忌避もしています。しかしどうにも彼女の現状と理想はアンバランスで、もはや崩壊寸前。
そういう悲痛でギリギリな生き様こそ、彼女の大きな魅力だと思いますね…!
●心と体の矛盾
彼女のアンバランスさは、心と体の関係に強く強く表れています。
心が本当に求めていた、「男の子」との清らかな接触。
自己満足のために利用するだけの、「男」との泥まみれの接触。
心が満たされるのは「男の子」。でも体が、満足のために求めてしまうのは、愚かで汚れた、
「男」との遊びの時間。
由樹とじゃ濡れなかった。でも男といると濡れた。
心の充足と体の充足が一致しない…。その事実に、彼女自身がおおきく戸惑う。心と体のバランスが狂ってきていることが分かっています。
清らかなものを求める彼女の心は本当です。でも体が許さない。
かなりの悪女であり人間関係を翻弄するキャラクターではありますが、強い女性として描かれているわけではないのがポイントですね。
複雑な想いを抱えながらも、やはり彼女は恋のために生命を燃やしている乙女である。ビッチであることと乙女であることは矛盾しない。
矛盾といえばもうひとつ。
彼女は15歳だと自分を偽っていますが、2巻で語っていたように、ありのままの自分を受け止めてもらうことが本当の望みです。
けれどその自信がないからこそ臆病になってしまう。自分の快楽のために、自分の理想から遠く離れた世界にいついてしまった。
これもまた彼女の愛おしさを加速させる要因ですよ…!生きづらそうな人だよなぁ。
●やっぱり黒髪ロング
あれだけ少女である自分を保つ、試すことに執着する彼女のこと、
ただなんとなく黒髪ロングにしているわけがないのです。
第30話では、おそらく肉親とみられる人物にむりやり髪を来られ、少年のような風貌の小学生未果子がすこし描かれています。
おそらくこの出来事の反動で、彼女は黒いままの髪を伸ばすのでしょう。
現在の彼女の容姿や行動を形づくる多くの要素は、過去のトラウマが影響している。
彼女の美しさは、彼女の抱えるトラウマやコンプレックスの裏付けでもあるのです。
悲しみをまとっているからこそ美しい。
物語の主人公のひとり、佳人は未果子にあこがれています。
佳人は女装が趣味なのですが、未果子のファッションを真似てなりきってしまうほどの入れ込みぶり。
彼が未果子をみつめる場面で、彼女の美しさが客観的に語られています。
その長い黒髪に漂うのは、無垢であどけない、
とは真逆の、計算しつくされた美―――
「自分の価値を怖いほど分かっているからこそ、彼女は完璧な少女なのだ」と評しています。
これは彼女の美しい顔立ちやガーリーなファッションを指すのではなく、徹底して美しさを貫く、彼女の黒髪をみつめた時の感嘆が現れた言葉です。
彼女の美しさを完璧にしているのは、その黒髪である。
事実、彼女の黒髪は漫画をよみながら読者に鮮烈な印象を与えるアイテム。
人を欺く。秘密を覆い隠す、本音を遮断する。
そういった演出に彼女の黒髪ロングが用いられるこの場面が最高にクール。
カーテンのように2人をしきる、黒髪による断絶。
男の首元に垂れかかる黒髪。それはまるで男を脅かす悪意そのもの。
髪でくびり殺される直前のような恐怖と緊張がある、めちゃくちゃ好きなシーン。
また、少女のままでありたい少女の夢を包み込んだ、ひとつの理想の少女像としての黒髪ロング…その意味合いの奥深さに、黒髪ロングへのロマンが燃えさかる。
彼女の黒髪ロングは、そのまま彼女のすべてを表しているようにも思えます。
まっくろな制服を身にまとい、夜のなかに黒髪ロングを舞わせる彼女の姿は、もうあれだよね、黒の妖精と呼びたい。
自分が彼女を好きな理由に、黒髪ロングへのこだわりとロマンを感じることは大きいです。
哀情、憧憬、情念…それらを宿した黒髪ロングは、一層美しいのだ!
ということで永尾未果子ちゃんについての記事でした!!
たった1人のキャラクターでこれだけ複雑なドラマを抱えているのに
「ヒメゴト」はほかに2人の主人公がいて、ほかサブキャラも結構いて
それぞれの想いや勇気やコンプレックスが響きあい絡み合う。
そりゃもう面白いのです。物語のうねりが半端無く、吸い取られるような心地なのです。
このブログではけっこう頻繁に名前を出していますが、「ヒメゴト」はいまトップクラスにアツい作品のひとつなので、いろんな人に読んでみてほしいなぁと。
クセはつよいですが、とても魅力的な黒ロンちゃんがいるということで
この記事を読む人は黒ロン好きの諸兄方にもおすすめしたい!
読もう!「ヒメゴト ~十九歳の制服~」! (雑な締め方)
あまりに推しすぎてやらしかったですかね。いやもうホント大好きなんです。
作中でも触れられていますが、名前もいいですよね。未果子。
まるで禁断の果実のような、うつくしくも淫らな響き。素敵です。
今日は9月6日。黒髪ロングの日らしいです。今年も黒ロン祭に参加です。
→【募集】黒ロン祭2013 開催のお知らせ
黒ロン記事を書こうと思い立った段階で、いま一番自分が夢中になっている黒ロン娘はだれだろうなと考え、この娘にしました。
永尾未果子さんが好きだ!!!
漫画「ヒメゴト ~十九歳の制服~」のキャラクター、永尾未果子さんです。
去年の「黒ロン祭2012」もヒメゴトでエントリーしたので、どれだけ熱を上げているかおわかりいただけただろうか…。
とりあえずしばらく俺は黒髪ロング=永尾未果子で推していくつもりです。
去年と代わり映えしませんか?いやいや、愛の証ってやつですよ!
いちばん彼女らしいイラストがカッコいい単行本2巻を張っておく。
ヒメゴト~十九歳の制服~ 2 (ビッグコミックス) (2011/08/30) 峰浪 りょう 商品詳細を見る |
「ヒメゴト」には3人の主人公がいるのですが、未果子ちゃんに焦点をあてて、現状のまとめのようなことをしつつ、どこらへんが魅力的な黒ロンちゃんなのかをPRしようと。
なにせ…たぶん知名度とか………超おもしろい作品ですよ!
過去の更新
ヒミツを抱えあう19歳の三角関係。『ヒメゴト~十九歳の制服~』1,2巻歪み絡まる19歳たちの性。『ヒメゴト~十九歳の制服~』3巻
友達でも恋人でも足りない気持ち。色めく19歳の夜。『ヒメゴト~十九歳の制服~』4巻
過去の更新でも未果子について語ってきていますが、今回はそのまとめのような形にできればと。発売中のコミックス5巻までの範囲で。
簡単に作品紹介。
「ヒメゴト ~十九歳の制服~」は大学1年生の男女が主人公。
3人が3人とも、「19歳」をこじらせていて最高にめんどくさいのだ、コレが。みんな深いコンプレックスを抱き、悩み、ときに共鳴する。
もう男の子じゃなくなった。もう女の子じゃなくなった。
行き場を失った「自分」を暗闇の中で探す。聞こえをよくするならばまさにモラトリアムまっしぐらな内容です。
でも実質、暗く湿った性欲を主軸にストーリーは進むので、ドロドロした青春模様が繰り広げられます。
魅力的な主人公たちの感情が複雑に絡み合い、倒錯的なヒミツの関係におぼれていく。
続きが気になりすぎてお腹がいたくなってくるよ…!
本当によくキャラクターが練られていて、ドラマの進展が面白すぎる!
そんな主人公たちの中でも、ひときわ黒く輝いてくれているのが未果子。
自分自身、まだ彼女の魅力を噛み砕けていないので、現状の整理も兼ねての更新です。
簡単に言うなら、かわいくて怖い、捻くれこじらせダメ女、です。(ひどい簡略)
変に純粋で暴走しやすい乙女であり、目的のために周囲を利用することを躊躇しない悪党でもあります。そういうギャップが…恋にしたたかな感じが、たまらなく惹かれる!
●「少女」へのこだわりと、年齢へのコンプレックス
「ヒメゴト」は大学生となったことで揺らぐ性意識がテーマなのだと思います。
未果子のこだわりは、うつくしい少女であることを保つこと。
彼女のコンプレックスは大きなものに「年齢」があります。19歳。大学生は、もう大人とも呼ばれるに十分な年齢。彼女は葛藤しているのです。
彼女の最大級の地雷ポイントが、これはもう1巻の序盤で明らかになるのですが
大学生なのに15歳のフリをして、売春を行っています。
相手の男をだますことで、「私はまだ15歳の女の子として通用するのだ」と愉悦に浸る。また大人になることへの恐怖心のようなものも手伝い、とにかく「15歳」のままを生きようと必死です。
本当に15歳だったときに彼女にとってのターニングポイントがあったのかな。
そういう、男を手玉に取り自尊心を満たす、ぶっちゃけとんだクソ女なわけですが
悲痛なほどの彼女の心の痛みは物語の中で少しずつ語られていき、すっかり愛着が湧いてしまいました。
必死にもだきコンプレックスと戦う彼女は、その手段がいかに真っ黒で賛同を得難いものであろうとも、応援したくなってしまう。
自分の価値にすごく敏感なキャラクターなのです。
というか男を相手にしてるときのデビル未果子さんと、好きな相手を目の前にしたときのエンジェル未果子さんのギャップがね。かわいすぎるんです。
●「男」と「男の子」
例えば第8話によく表れていますが、未果子の言う「男」と「男の子」は明らかにニュアンスに違いがあります。「男」には明らかな侮蔑を、「男の子」には甘い憧れを込めて、彼女は使い分けています。
生き方が不器用だとか、性的な接触をしてこないとか、いじらしさとか健気さとか。
彼女がもとめる「男の子」は、清らかでかわいらしい存在のことを指していそうです。
未果子は「ヒメゴト」の女性主人公、由樹のなかの少年性に惚れ込みます。
それはどうにも「由樹は男ではないのだから自分に実害が及ぶ心配のない」という安心感があってのものだろうなと思い、ここの恋慕の情は彼女のよわさの現れなのだろうなとも思えてしまう。彼女のやらしさを感じる部分とも言える。
構図としては百合。ただ未果子は由樹に男の子であってほしいと思っている。女としての由樹はほぼ必要としてない。
その上、由樹は自分の密かな恋のために、未果子を半ば利用している形もとっていました。
騙し合い(双方、相手も自分自身も騙している)の百合、ということでだいぶ入り組んでいますが、こういうめんどくさい人間関係こそ大変美味でございます!!
しかし売春なんてやっておきながら、彼女の心が求めている恋愛とは、非常に幼い。それこそ小学生同士のような甘酸っぱいものだと見えてきます。
性欲の世界にドップリと浸かりながら、しかしというかだからこそというか、真に清らかな世界を求めてしまう。
少年と少女の、性欲のない、美しい世界に手を伸ばす。
男性に嫌悪を抱くに至ったきっかけが過去にあるようですが、まだハッキリとは語られず。
47話冒頭等にチラッと見えるものから予想するのは、レイプ被害によるトラウマでしょうか。
トラウマ描写を踏まえた妄想ですが、未果子の求める恋愛像は、砕け散った青春時代のやりなおしを求めての結果なのかなとも考えられます。
男性を嫌悪し、純真無垢な少年の魂を求める。社会の闇に身を投げても、未果子は心の奥底ではファンタジーを生きている。
大人と子供の境目である「19歳」「大学生」らしい揺らぎだよなぁ。
彼女はまだ大人になりきれていないし、事実それを忌避もしています。しかしどうにも彼女の現状と理想はアンバランスで、もはや崩壊寸前。
そういう悲痛でギリギリな生き様こそ、彼女の大きな魅力だと思いますね…!
●心と体の矛盾
彼女のアンバランスさは、心と体の関係に強く強く表れています。
心が本当に求めていた、「男の子」との清らかな接触。
自己満足のために利用するだけの、「男」との泥まみれの接触。
心が満たされるのは「男の子」。でも体が、満足のために求めてしまうのは、愚かで汚れた、
「男」との遊びの時間。
由樹とじゃ濡れなかった。でも男といると濡れた。
心の充足と体の充足が一致しない…。その事実に、彼女自身がおおきく戸惑う。心と体のバランスが狂ってきていることが分かっています。
清らかなものを求める彼女の心は本当です。でも体が許さない。
かなりの悪女であり人間関係を翻弄するキャラクターではありますが、強い女性として描かれているわけではないのがポイントですね。
複雑な想いを抱えながらも、やはり彼女は恋のために生命を燃やしている乙女である。ビッチであることと乙女であることは矛盾しない。
矛盾といえばもうひとつ。
彼女は15歳だと自分を偽っていますが、2巻で語っていたように、ありのままの自分を受け止めてもらうことが本当の望みです。
けれどその自信がないからこそ臆病になってしまう。自分の快楽のために、自分の理想から遠く離れた世界にいついてしまった。
これもまた彼女の愛おしさを加速させる要因ですよ…!生きづらそうな人だよなぁ。
●やっぱり黒髪ロング
あれだけ少女である自分を保つ、試すことに執着する彼女のこと、
ただなんとなく黒髪ロングにしているわけがないのです。
第30話では、おそらく肉親とみられる人物にむりやり髪を来られ、少年のような風貌の小学生未果子がすこし描かれています。
おそらくこの出来事の反動で、彼女は黒いままの髪を伸ばすのでしょう。
現在の彼女の容姿や行動を形づくる多くの要素は、過去のトラウマが影響している。
彼女の美しさは、彼女の抱えるトラウマやコンプレックスの裏付けでもあるのです。
悲しみをまとっているからこそ美しい。
物語の主人公のひとり、佳人は未果子にあこがれています。
佳人は女装が趣味なのですが、未果子のファッションを真似てなりきってしまうほどの入れ込みぶり。
彼が未果子をみつめる場面で、彼女の美しさが客観的に語られています。
その長い黒髪に漂うのは、無垢であどけない、
とは真逆の、計算しつくされた美―――
「自分の価値を怖いほど分かっているからこそ、彼女は完璧な少女なのだ」と評しています。
これは彼女の美しい顔立ちやガーリーなファッションを指すのではなく、徹底して美しさを貫く、彼女の黒髪をみつめた時の感嘆が現れた言葉です。
彼女の美しさを完璧にしているのは、その黒髪である。
事実、彼女の黒髪は漫画をよみながら読者に鮮烈な印象を与えるアイテム。
人を欺く。秘密を覆い隠す、本音を遮断する。
そういった演出に彼女の黒髪ロングが用いられるこの場面が最高にクール。
カーテンのように2人をしきる、黒髪による断絶。
男の首元に垂れかかる黒髪。それはまるで男を脅かす悪意そのもの。
髪でくびり殺される直前のような恐怖と緊張がある、めちゃくちゃ好きなシーン。
また、少女のままでありたい少女の夢を包み込んだ、ひとつの理想の少女像としての黒髪ロング…その意味合いの奥深さに、黒髪ロングへのロマンが燃えさかる。
彼女の黒髪ロングは、そのまま彼女のすべてを表しているようにも思えます。
まっくろな制服を身にまとい、夜のなかに黒髪ロングを舞わせる彼女の姿は、もうあれだよね、黒の妖精と呼びたい。
自分が彼女を好きな理由に、黒髪ロングへのこだわりとロマンを感じることは大きいです。
哀情、憧憬、情念…それらを宿した黒髪ロングは、一層美しいのだ!
ということで永尾未果子ちゃんについての記事でした!!
たった1人のキャラクターでこれだけ複雑なドラマを抱えているのに
「ヒメゴト」はほかに2人の主人公がいて、ほかサブキャラも結構いて
それぞれの想いや勇気やコンプレックスが響きあい絡み合う。
そりゃもう面白いのです。物語のうねりが半端無く、吸い取られるような心地なのです。
このブログではけっこう頻繁に名前を出していますが、「ヒメゴト」はいまトップクラスにアツい作品のひとつなので、いろんな人に読んでみてほしいなぁと。
クセはつよいですが、とても魅力的な黒ロンちゃんがいるということで
この記事を読む人は黒ロン好きの諸兄方にもおすすめしたい!
読もう!「ヒメゴト ~十九歳の制服~」! (雑な締め方)
あまりに推しすぎてやらしかったですかね。いやもうホント大好きなんです。
作中でも触れられていますが、名前もいいですよね。未果子。
まるで禁断の果実のような、うつくしくも淫らな響き。素敵です。
[漫画]最近読んだ最終巻の感想をいっきに
ブログ更新が滞っているあいだに、いくつか好きなシリーズの最終巻が出ました。
ホントは全部個別記事を書いていきたいくらいなんですが、どうにも時間がなく…。
更新候補の最終巻が溜まってきたので、一斉に感想を書いてしまいます。
ということで謎の「6つの最終巻の感想の寄せ集め」更新です。
通常更新より短めにはなってしまいますが、どれもいい漫画でした。
総合タワーリシチ
つぼみ、なんで死んでしまったんだ…。「総合タワーリシチ」もつぼみの休刊と合わせて、これで最終巻となりました。
百合漫画として、しっかりと「ラブコメ」をやっていてくれていた作品です。語弊はあるかもしれないけれど、個人的にはつぼみ版「ゆるゆり」的ポジションとして認識をしておりました。長く続いてくれたら嬉しかったんだけどなぁ…。
生徒会のメンバーも本格参入し、一層ワイワイと騒がしくなってきました。
3巻で最終巻であり、それに合わせてストーリー的なまとまりもあります。しかしこのカオスな状況でよくぞここまで本筋を整頓できたなと思ってしまうw
最後までこの喧騒の中でゴチャゴチャっとしながら時々しっとりとした時間が流れる、その緩急が楽しかったので、最後までこの作品らしかった!それでいて、頑張って「踏み込んでいく」ラストでした。
友達か、それ以上か。アンバランスさが眩しいね!メインキャラクターそれぞれにとっておきにチャーミングな部分があって、みんなおバカでもあって、みんな時々真剣になって。楽しい時間が流れている作品だ。
魅力はテンポの良さと、賑やかさ。
勢い任せにサクサク読めてしまう快適さは、この作品の持ち味でした。表情のデフォルメもやたらかわいらしかった。この作家さんの次回作が楽しみです。芳文社以外で新作も準備中とのことで。
作者のブログにタワーリシチのイラストも載っていてニヤニヤできますね…!
となりの怪物くん
終わってしまった…。素晴らしい、完璧なハッピーエンドでした。
ほろ苦さも甘酸っぱさもたっぷり贅沢に詰め込んだ傑作ですよこれは…!
少女漫画をたくさん読んでいる人間ではありませんが、個人的に忘れられない少女漫画のタイトルになりそうです。それくらい、全てがキラキラ輝いていた作品。
表紙からして感慨深いものがあります。ハルの首輪が外れました。これまでの表紙ではつねに付けられていたハルの首輪。きっと最終巻で外れるんだろうと予想してはいましたが実際それを目の当たりにすると分かっていても感動する…!
首輪は、放すとどこに飛んでいってしまいそうな奔放なハルと、それをつなぎとめている保護者としての雫の関係性が示されていたように思います。
付き合いだしても外されなかったハルの首輪はついに外れた。これで本当に、2人は心通じ合わせた恋人になれたのだろうと、そう確信できます。
まぁ首輪とったら本当に遠くに飛んでいっちゃうわけですが…それでも、それに動ずることもないガッシリとした信頼感が築けている。
最終巻は足早に過ぎ去っていく高校3年の日々。季節は流れながれ、卒業に至る。
雫とハルに関してはもう安心しきりだったので、気になるのがサブキャラクターたちの行末でした。魅力的な友人たちがたくさんいて、もはや群像劇と呼びたいほど愛着が湧いています。
みんな大人になったときの姿を見せてくれるのは、最後ならではの最高のサービスですよね…!エピローグで成長した姿を拝めるのがほんと大好き。
イモい私服ばかりだった雫が、エピローグでは…ねえ!!ああ、成長しやがってなぁ、寂しいじゃねえかと、嬉しさと切なさがごちゃまぜになりました。
眩しい未来へかけていく、愛しいみんなをいつまでも見つめていたい。
個人的に最強のクライマックスだったのが卒業式での某女子が放った「知ってます?わたしの学校、意外と近いんですよ?」。ニヤニヤするなってのがムリだっつーの!!うわぁぁぁん!!!みんな可愛すぎて破裂しそう!!!!これからサブキャラを主人公にした番外編が続いていくらしいので期待大です!!!
7時間の音符(ノート)
おそるべき殺傷能力を誇るベタ甘センチメタル恋愛漫画「7時間目の音符」。これも完結。
かわいすぎて悶すぎてアタマいたくなることを、もう無いのか…!悶すぎてベッドの上で叫びながらクロール泳ぎしていました。目頭が熱くなってくるな、自分のバカっぷりに。
あらかじめ予定していた尺で完結できたようで良かったです。
構成的にもベストタイミングでした。欲張りなもので、読者としてはもっともっとデロ甘なイチャコラを見せつけてくれー!と願ってしまうものではありますが、終わりたい所で完結した作品は限りなく幸福だよなぁきっと。
いろんなタイプのペアがいる漫画で、サブキャラたちの恋愛も見逃せなかった本作。
しかしやはり注視したいのは主人公ペア。
最終巻。いよいよ2人のガマンがいよいよ効かなくなってきたので、リビドーまみれ(と言ってしまうとだいぶゲスい内容に思われるけどそれはそれは清々しく微笑ましいものであります…)な展開となっているような、なっていないような、いや間違いなくリビドーまみれだよクッソ!!クッソ!!!
恐るおそる相手の体にふれる、ふれたがる、ふれられる。その緊張と恐怖と興奮の一瞬。衝動的な「接触」の生々しい臨場感。…本当に読んでてドキドキしますよ…!!
ネクタイ女子が好きな俺としては、この作品のネクタイの使い方は見事だったよなって。
あずみさんは基本いつもネクタイだし、他のヒロインに関しても、ここぞというところに忍ばせる萌えポイントとしてのヒロインのネクタイ装着に心が色めきだったのだ。
この作品は分かりやすさとさりげなさの両立は見事なもので、基本的に直球にドキュウウウンと胸貫かれるんだけど、細やかにドラマを紡ぎ上げる丁寧な進行も素晴らしい!!
主人公ふたりの結論の持っていきかたとか、演出でも全体的にスマートな盛り上がりを楽しめました。
あとエピローグ。さりげなーく、鶴ちゃんの左手薬指に。定演のチラシに司会者として記されてる美鶴ちゃんの苗字みせてけろけろー!(壊)
エピローグの何もかも幸福に包まれている感覚は、ほんと、涙が出てくるくらい幸せだったね…。読みだしたらもうジタバタしながら全力で悶え楽しむしかない。これぞ、イチャラブ漫画…!
志摩さんはフォワードで新連載「ぼっちな僕らの恋愛事情」を始めたらしく、こちらも期待。
ふたりの恋愛書架
「7時間の音符」と合わせて発売された同じくフォワードの恋愛漫画。
どちらかと言うとしっとりとした、大人びた雰囲気です。砂糖とミルクたっぷりなコーヒーで一息つけるような、リラックスできる漫画。
しかし落ち着きのある2人はそうであろうとも、読んでる俺もそう落ち着き払って読んでるわけはなく。
それはもう、情けないくらいの悲鳴を上げながら体をグニョらせ楽しんだわけです。
年上おねえさんのかわいい所が全部ここにある!!と思う!!
高校生男子と年上おねえさんの結婚前提な同棲生活を、こんな自然に軽やかに、日常の中の高揚感も忘れず、優しく描かれたらもう。…ここが理想郷だ…。
そうすることが当たり前かのように、楽しくじゃれあう2人を眺めているのは実に心地よかったです。イチャラブの興奮と、家族という安らぎが混ざり合って、独特の雰囲気を醸し出していました。「家族」は重要なキーワードでしたね。
本について、この作品は魅力的な言葉をくれました。
本や物語、それらを形作る「言葉」への、力強くも穏やかな愛が感じられる。
イチャラブ漫画としてもありますが、もしかしたらそれ以上に、こういった「本」そのものの愛おしさを語らう作品の姿に、心奪われたのです。
「終わってほしくない本」という言葉で、愛おしい人を表現した人がいました。
それは自分にとってこの作品がそうなのかもしれない。
書架の間。それが2人のすみか。見方を変えればこの本は俺の本棚の住人でもあり、これだけ本を愛する2人なら、窮屈だけどずっと俺の本棚に住まわせてやりたいなぁとおかしな感想を抱いてしまった。クサッ!
ひばりの朝
気分が悪くなる漫画。というのが正直なところではある。
それはむしろ作者も作品もそういう意図をもって仕掛けてきているわけだから、ならばとこちらも全力でそのとおりに剛球を受け止めようとするんだけど、これがなかなかエグいわけです。
黒い、深い、さまざまな感情が渦を巻く作品だけど、あまりにもその様子が生々しい。生臭い。
男も、女も。それぞれの「いやらしい」所を曝け出される。
傷つけて遊んでやりたい。頼られてあわよくばヤりたい。どうしようもなく「性」に縛り付けられ、翻弄される人間を見せつけられる。不快さの煮詰まったよどんだ空気。
意識なく致命的な過ちを犯す、傍観者もどきたちの悲劇の連鎖。悲劇というよりかは自己責任による面が強すぎて、かわいそうと言えるだけのものではないが、そこに物語としてのカタルシスは無くて、やっぱり滅入る。
無神経で軽薄で残酷。安全圏から眺めているだけの、醜い人々。
でもどうにもそれを直視して叩くことが出来ないのは。じゃあ自分なら?と問いかけたとき、正しい何かを見つけ掴むことなんて出来そうにないから。きっとこれが当たり前だ、普通なんだって顔して、ただ見てるだけなのだ、きっと。
「いかなければ、さもなくば、しんでしまう」
そしてひばりが迎えたあの朝を、読者はなにも知ることは出来ません。
「息を止めていたので平気でした」「息をとめていたので平気でした」「息を止めていたので…」
そう繰り返してたったひとりの日々を消化していくひばりにただ胸が痛むとともに、こんなふうに読者として平穏な立ち位置で「かわいそう」と思っているだけの自分の足元がガラガラと崩れ落ちるような、強烈な没入感と罪悪感。
しっかり傷跡を残してくれる。ひりひり傷んでなかなか治らない。自分へのフィードバックが強烈過ぎる。
ありふれた悪意、無意識の距離感。自分の中にも大きな影が落とし込まれて「読めて良かった」と言いたいけど、そこまで達観できないモヤモヤした感覚の方が自分の中に大きい。
ともかく印象深い作品ではあることは間違いないですね。
みんな自分のエゴで、自分のために冷酷になって、苦しそうに楽しそうに生きている。
今まさに傷つけられた人間の言葉だったり、傷つけてやろうとする鋭い言葉だったり、ただ傍観を決め込んだ者の乾ききった言葉だったり。言葉の暴力性を感じた作品でもあります。
放浪息子
今回、最終巻でずらっと感想書いてきましたけど、「最終巻なんて読みたくない」度だったらこの「放浪息子」がNo.1でした。
自分はアニメを見てから原作を読みだしたあきらかな新参ではありますが、「放浪息子」の世界がこれで終わりなんて、ツラすぎる…!!
いつまでも続いていくような気がしていたよ…!
いやしかし、やっぱり安那ちゃんは最高にかわいくってな………!!!!
安那ちゃんに関しては14巻でクライマックスを迎えていたわけで、15巻はエピローグに近いものを感じました。
「そしたら女装おじさんとデートする へんなおばさんでいいよ もう」
「ね その場合ってさ あたしレズビアンってことになるの?」
と聖女のような包容力を見せてくれる。素晴らしいね…。
最終巻、二鳥くんが客観的に自分をみつめることで未来を考えていくくだりは、そのくだり自体に大人になった余裕のようなものを感じて、ははぁと深く息をついた。よく考えこむだけの、ある種のたくましさを感じます。
それでいて、男の体を持っていることを受け止める。たくましくなる体を認めた。声変わりもした。自慰もする。…いや今回の二鳥君、すごくお猿さんモード入っていましたが、こういうのを見ると嬉しくなってしまうのです。オナニーを描いているのにまったく爽やかさが薄れないのは凄いよな。
物語の終着とは、歩みを止めることではなく、エンディングのあとにも生き続けるだけの強さを手に入れてから物語から旅立っていく、その後姿を見つめることに最終階の醍醐味はある。
男の子らしさ/女の子らしさをを見つめ続けて、結局女の子になりたかった男の子と、男の子になりたかった女の子はそれぞれ自分の気持ちを見つけ出す物語でした。
いろんな感情の中をふわふわと漂って、さまよってきた「放浪息子」は、ふん―――わりと、ゆったりと、静かに、やわらかく着地しました。
普通に次の巻が出てもおかしくないような感触でもある。でも確かに答えが見えたのです。なるほど、ここで終わらなきゃいつだ、ってタイミングかもしれない。
この穏やかなクライマックスだからこそ、未来へ歩み出すだけの力を蓄えた、弱虫な少年少女の強さを感じるのです。
たった今目の前にある現実を相手にジタバタしてるんだけど
軽やかに流れに身を任せているような、柔軟なポジティブさが底にあっていい。
そして本当にさりげない言葉のひとつひとつが、心に響く。
「昔の自分の言葉ってさ そんなに絶対?」という言葉はやはりグサッとくる。
昔の自分に今の自分が縛り付けられる必要はないはずなのに、そうなってしまう事は結構ある。「変わる」ことって、そう悪いことなのだろうかと。
千葉さん好きとしては、ああいう形で物語を締めくくってくれたことも嬉しかったり。
「放浪息子」は終わってしまったけれど、スピンオフみたいな形でサブキャラ達の物語が語られていったら、最高だなぁ…。
さまざまな「性」に敏感な、澄んだ空気の住人たち。どうかみんな幸せであるといいな。志村貴子先生ありがとうございました。大好きな作品です。
最終話のサブタイトルがアニメのED「For you」なのも嬉しい。名曲。
ホントは全部個別記事を書いていきたいくらいなんですが、どうにも時間がなく…。
更新候補の最終巻が溜まってきたので、一斉に感想を書いてしまいます。
ということで謎の「6つの最終巻の感想の寄せ集め」更新です。
通常更新より短めにはなってしまいますが、どれもいい漫画でした。
総合タワーリシチ
総合タワーリシチ (3) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ) (2013/07/27) あらた 伊里 商品詳細を見る |
つぼみ、なんで死んでしまったんだ…。「総合タワーリシチ」もつぼみの休刊と合わせて、これで最終巻となりました。
百合漫画として、しっかりと「ラブコメ」をやっていてくれていた作品です。語弊はあるかもしれないけれど、個人的にはつぼみ版「ゆるゆり」的ポジションとして認識をしておりました。長く続いてくれたら嬉しかったんだけどなぁ…。
生徒会のメンバーも本格参入し、一層ワイワイと騒がしくなってきました。
3巻で最終巻であり、それに合わせてストーリー的なまとまりもあります。しかしこのカオスな状況でよくぞここまで本筋を整頓できたなと思ってしまうw
最後までこの喧騒の中でゴチャゴチャっとしながら時々しっとりとした時間が流れる、その緩急が楽しかったので、最後までこの作品らしかった!それでいて、頑張って「踏み込んでいく」ラストでした。
友達か、それ以上か。アンバランスさが眩しいね!メインキャラクターそれぞれにとっておきにチャーミングな部分があって、みんなおバカでもあって、みんな時々真剣になって。楽しい時間が流れている作品だ。
魅力はテンポの良さと、賑やかさ。
勢い任せにサクサク読めてしまう快適さは、この作品の持ち味でした。表情のデフォルメもやたらかわいらしかった。この作家さんの次回作が楽しみです。芳文社以外で新作も準備中とのことで。
作者のブログにタワーリシチのイラストも載っていてニヤニヤできますね…!
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終わってしまった…。素晴らしい、完璧なハッピーエンドでした。
ほろ苦さも甘酸っぱさもたっぷり贅沢に詰め込んだ傑作ですよこれは…!
少女漫画をたくさん読んでいる人間ではありませんが、個人的に忘れられない少女漫画のタイトルになりそうです。それくらい、全てがキラキラ輝いていた作品。
表紙からして感慨深いものがあります。ハルの首輪が外れました。これまでの表紙ではつねに付けられていたハルの首輪。きっと最終巻で外れるんだろうと予想してはいましたが実際それを目の当たりにすると分かっていても感動する…!
首輪は、放すとどこに飛んでいってしまいそうな奔放なハルと、それをつなぎとめている保護者としての雫の関係性が示されていたように思います。
付き合いだしても外されなかったハルの首輪はついに外れた。これで本当に、2人は心通じ合わせた恋人になれたのだろうと、そう確信できます。
まぁ首輪とったら本当に遠くに飛んでいっちゃうわけですが…それでも、それに動ずることもないガッシリとした信頼感が築けている。
最終巻は足早に過ぎ去っていく高校3年の日々。季節は流れながれ、卒業に至る。
雫とハルに関してはもう安心しきりだったので、気になるのがサブキャラクターたちの行末でした。魅力的な友人たちがたくさんいて、もはや群像劇と呼びたいほど愛着が湧いています。
みんな大人になったときの姿を見せてくれるのは、最後ならではの最高のサービスですよね…!エピローグで成長した姿を拝めるのがほんと大好き。
イモい私服ばかりだった雫が、エピローグでは…ねえ!!ああ、成長しやがってなぁ、寂しいじゃねえかと、嬉しさと切なさがごちゃまぜになりました。
眩しい未来へかけていく、愛しいみんなをいつまでも見つめていたい。
個人的に最強のクライマックスだったのが卒業式での某女子が放った「知ってます?わたしの学校、意外と近いんですよ?」。ニヤニヤするなってのがムリだっつーの!!うわぁぁぁん!!!みんな可愛すぎて破裂しそう!!!!これからサブキャラを主人公にした番外編が続いていくらしいので期待大です!!!
7時間の音符(ノート)
7時間目の音符(ノート) (4) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) (2013/08/10) 志摩 時緒 商品詳細を見る |
おそるべき殺傷能力を誇るベタ甘センチメタル恋愛漫画「7時間目の音符」。これも完結。
かわいすぎて悶すぎてアタマいたくなることを、もう無いのか…!悶すぎてベッドの上で叫びながらクロール泳ぎしていました。目頭が熱くなってくるな、自分のバカっぷりに。
あらかじめ予定していた尺で完結できたようで良かったです。
構成的にもベストタイミングでした。欲張りなもので、読者としてはもっともっとデロ甘なイチャコラを見せつけてくれー!と願ってしまうものではありますが、終わりたい所で完結した作品は限りなく幸福だよなぁきっと。
いろんなタイプのペアがいる漫画で、サブキャラたちの恋愛も見逃せなかった本作。
しかしやはり注視したいのは主人公ペア。
最終巻。いよいよ2人のガマンがいよいよ効かなくなってきたので、リビドーまみれ(と言ってしまうとだいぶゲスい内容に思われるけどそれはそれは清々しく微笑ましいものであります…)な展開となっているような、なっていないような、いや間違いなくリビドーまみれだよクッソ!!クッソ!!!
恐るおそる相手の体にふれる、ふれたがる、ふれられる。その緊張と恐怖と興奮の一瞬。衝動的な「接触」の生々しい臨場感。…本当に読んでてドキドキしますよ…!!
ネクタイ女子が好きな俺としては、この作品のネクタイの使い方は見事だったよなって。
あずみさんは基本いつもネクタイだし、他のヒロインに関しても、ここぞというところに忍ばせる萌えポイントとしてのヒロインのネクタイ装着に心が色めきだったのだ。
この作品は分かりやすさとさりげなさの両立は見事なもので、基本的に直球にドキュウウウンと胸貫かれるんだけど、細やかにドラマを紡ぎ上げる丁寧な進行も素晴らしい!!
主人公ふたりの結論の持っていきかたとか、演出でも全体的にスマートな盛り上がりを楽しめました。
あとエピローグ。さりげなーく、鶴ちゃんの左手薬指に。定演のチラシに司会者として記されてる美鶴ちゃんの苗字みせてけろけろー!(壊)
エピローグの何もかも幸福に包まれている感覚は、ほんと、涙が出てくるくらい幸せだったね…。読みだしたらもうジタバタしながら全力で悶え楽しむしかない。これぞ、イチャラブ漫画…!
志摩さんはフォワードで新連載「ぼっちな僕らの恋愛事情」を始めたらしく、こちらも期待。
ふたりの恋愛書架
ふたりの恋愛書架 (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) (2013/08/10) ヤマザキ コレ 商品詳細を見る |
「7時間の音符」と合わせて発売された同じくフォワードの恋愛漫画。
どちらかと言うとしっとりとした、大人びた雰囲気です。砂糖とミルクたっぷりなコーヒーで一息つけるような、リラックスできる漫画。
しかし落ち着きのある2人はそうであろうとも、読んでる俺もそう落ち着き払って読んでるわけはなく。
それはもう、情けないくらいの悲鳴を上げながら体をグニョらせ楽しんだわけです。
年上おねえさんのかわいい所が全部ここにある!!と思う!!
高校生男子と年上おねえさんの結婚前提な同棲生活を、こんな自然に軽やかに、日常の中の高揚感も忘れず、優しく描かれたらもう。…ここが理想郷だ…。
そうすることが当たり前かのように、楽しくじゃれあう2人を眺めているのは実に心地よかったです。イチャラブの興奮と、家族という安らぎが混ざり合って、独特の雰囲気を醸し出していました。「家族」は重要なキーワードでしたね。
本について、この作品は魅力的な言葉をくれました。
本や物語、それらを形作る「言葉」への、力強くも穏やかな愛が感じられる。
イチャラブ漫画としてもありますが、もしかしたらそれ以上に、こういった「本」そのものの愛おしさを語らう作品の姿に、心奪われたのです。
「終わってほしくない本」という言葉で、愛おしい人を表現した人がいました。
それは自分にとってこの作品がそうなのかもしれない。
書架の間。それが2人のすみか。見方を変えればこの本は俺の本棚の住人でもあり、これだけ本を愛する2人なら、窮屈だけどずっと俺の本棚に住まわせてやりたいなぁとおかしな感想を抱いてしまった。クサッ!
ひばりの朝
ひばりの朝 2 (Feelコミックス) (2013/07/08) ヤマシタ トモコ 商品詳細を見る |
気分が悪くなる漫画。というのが正直なところではある。
それはむしろ作者も作品もそういう意図をもって仕掛けてきているわけだから、ならばとこちらも全力でそのとおりに剛球を受け止めようとするんだけど、これがなかなかエグいわけです。
黒い、深い、さまざまな感情が渦を巻く作品だけど、あまりにもその様子が生々しい。生臭い。
男も、女も。それぞれの「いやらしい」所を曝け出される。
傷つけて遊んでやりたい。頼られてあわよくばヤりたい。どうしようもなく「性」に縛り付けられ、翻弄される人間を見せつけられる。不快さの煮詰まったよどんだ空気。
意識なく致命的な過ちを犯す、傍観者もどきたちの悲劇の連鎖。悲劇というよりかは自己責任による面が強すぎて、かわいそうと言えるだけのものではないが、そこに物語としてのカタルシスは無くて、やっぱり滅入る。
無神経で軽薄で残酷。安全圏から眺めているだけの、醜い人々。
でもどうにもそれを直視して叩くことが出来ないのは。じゃあ自分なら?と問いかけたとき、正しい何かを見つけ掴むことなんて出来そうにないから。きっとこれが当たり前だ、普通なんだって顔して、ただ見てるだけなのだ、きっと。
「いかなければ、さもなくば、しんでしまう」
そしてひばりが迎えたあの朝を、読者はなにも知ることは出来ません。
「息を止めていたので平気でした」「息をとめていたので平気でした」「息を止めていたので…」
そう繰り返してたったひとりの日々を消化していくひばりにただ胸が痛むとともに、こんなふうに読者として平穏な立ち位置で「かわいそう」と思っているだけの自分の足元がガラガラと崩れ落ちるような、強烈な没入感と罪悪感。
しっかり傷跡を残してくれる。ひりひり傷んでなかなか治らない。自分へのフィードバックが強烈過ぎる。
ありふれた悪意、無意識の距離感。自分の中にも大きな影が落とし込まれて「読めて良かった」と言いたいけど、そこまで達観できないモヤモヤした感覚の方が自分の中に大きい。
ともかく印象深い作品ではあることは間違いないですね。
みんな自分のエゴで、自分のために冷酷になって、苦しそうに楽しそうに生きている。
今まさに傷つけられた人間の言葉だったり、傷つけてやろうとする鋭い言葉だったり、ただ傍観を決め込んだ者の乾ききった言葉だったり。言葉の暴力性を感じた作品でもあります。
放浪息子
放浪息子 15 (BEAM COMIX) (2013/08/28) 志村貴子 商品詳細を見る |
今回、最終巻でずらっと感想書いてきましたけど、「最終巻なんて読みたくない」度だったらこの「放浪息子」がNo.1でした。
自分はアニメを見てから原作を読みだしたあきらかな新参ではありますが、「放浪息子」の世界がこれで終わりなんて、ツラすぎる…!!
いつまでも続いていくような気がしていたよ…!
いやしかし、やっぱり安那ちゃんは最高にかわいくってな………!!!!
安那ちゃんに関しては14巻でクライマックスを迎えていたわけで、15巻はエピローグに近いものを感じました。
「そしたら女装おじさんとデートする へんなおばさんでいいよ もう」
「ね その場合ってさ あたしレズビアンってことになるの?」
と聖女のような包容力を見せてくれる。素晴らしいね…。
最終巻、二鳥くんが客観的に自分をみつめることで未来を考えていくくだりは、そのくだり自体に大人になった余裕のようなものを感じて、ははぁと深く息をついた。よく考えこむだけの、ある種のたくましさを感じます。
それでいて、男の体を持っていることを受け止める。たくましくなる体を認めた。声変わりもした。自慰もする。…いや今回の二鳥君、すごくお猿さんモード入っていましたが、こういうのを見ると嬉しくなってしまうのです。オナニーを描いているのにまったく爽やかさが薄れないのは凄いよな。
物語の終着とは、歩みを止めることではなく、エンディングのあとにも生き続けるだけの強さを手に入れてから物語から旅立っていく、その後姿を見つめることに最終階の醍醐味はある。
男の子らしさ/女の子らしさをを見つめ続けて、結局女の子になりたかった男の子と、男の子になりたかった女の子はそれぞれ自分の気持ちを見つけ出す物語でした。
いろんな感情の中をふわふわと漂って、さまよってきた「放浪息子」は、ふん―――わりと、ゆったりと、静かに、やわらかく着地しました。
普通に次の巻が出てもおかしくないような感触でもある。でも確かに答えが見えたのです。なるほど、ここで終わらなきゃいつだ、ってタイミングかもしれない。
この穏やかなクライマックスだからこそ、未来へ歩み出すだけの力を蓄えた、弱虫な少年少女の強さを感じるのです。
たった今目の前にある現実を相手にジタバタしてるんだけど
軽やかに流れに身を任せているような、柔軟なポジティブさが底にあっていい。
そして本当にさりげない言葉のひとつひとつが、心に響く。
「昔の自分の言葉ってさ そんなに絶対?」という言葉はやはりグサッとくる。
昔の自分に今の自分が縛り付けられる必要はないはずなのに、そうなってしまう事は結構ある。「変わる」ことって、そう悪いことなのだろうかと。
千葉さん好きとしては、ああいう形で物語を締めくくってくれたことも嬉しかったり。
「放浪息子」は終わってしまったけれど、スピンオフみたいな形でサブキャラ達の物語が語られていったら、最高だなぁ…。
さまざまな「性」に敏感な、澄んだ空気の住人たち。どうかみんな幸せであるといいな。志村貴子先生ありがとうございました。大好きな作品です。
最終話のサブタイトルがアニメのED「For you」なのも嬉しい。名曲。