[漫画]消えない春に君はいる。『四月は君の嘘』11巻
リハビリ更新・・・みたいなやつ。久しぶりに更新欲爆発な一冊だった。
きっと 素晴らしい旅になるよ
さて「四月は君の嘘」ラストとなる第11巻が発売しました。
結論から言うに、間違いなく素晴らしい作品だった。
これほどまでにセンチメンタルで、激情ほとばしる作品として最後まで走りきってくれるとは。
傑作。傑作ですよこれは!
雑誌で掲載された最終話を読み、そしてアニメも最終話まで見切り、いよいよ原作コミックス最終巻となったわけですが、この3フェイズそれぞれでボロボロ泣いてますからね俺。
特にこの作品に関して言えばアニメ版の出来も最高級だった。
漫画も変に引き伸ばしとかもされず(と読んでて思っただけだけど)、作品的にベストなタイミングでの幕引き。そして本編のストーリーそのものの、完成度。さまざまな面からみても、幸福な作品のように感じられます。
過去の更新記事↓
輝きだした、かけがえのない春。 『四月は君の嘘』1巻
熱狂がぼくらの背中を押す『四月は君の嘘』2巻
波乱のコンクールが幕を開ける『四月は君の嘘』3巻
最初のうちしか感想あげてなかったか・・・もっと毎回かかないといけなかったなぁ。
それでは11巻の内容について触れていきますが、ネタバレ注意でお願いします。
タイトルに付けられた「四月」と「嘘」の秘密が最終巻でついに明かされるってのも、出来すぎなくらい、キザなくらい、完璧な構成だよなぁ。
目の前で倒れたかをり。想像以上に深刻だった彼女の病状を目の当たりにした公生。
過去のトラウマがフラッシュバックして襲いかかり、公生はとてもコンクールに臨める精神状態ではなくなってしまう。
喪失の予感。抱えきれないほどの切なさと痛みに、ただうずくまる。
しかしそんな彼の背中をまたも押してくれるのは、かをりなのです。
本当は彼女が1番こわくて、泣きそうで、挫けそうなのに。
それでも公生の目の前で、強い「宮園かをり」を演じる。
もはや強がりだと公生も知っているけれど、それでも「あがく姿勢」を見せつける、いや彼に突きつける。今までどおりの、公生を煽って立ち上がらせる、彼女ならではのやり方。
この二人をつなぐ「君」という言葉に宿る神聖さ。タイトルにもあるとおりこの作品にとって「君」というワードはある種特別なのだ。
この病院の屋上でのシーンは、不思議と神秘的にも感じた。
セリフのひとつひとつの鋭さもある。ストーリーにおけるこの場面の重要性を、結末をこの時点で知らなくても読者としてはなんとなく察していた事もある。
ひとつの覚悟を固めるための大切な場面であり、喪失の恐怖に震えながら立ち向かう少年と少女の悲しい触れ合い。
ひとりぼっちになるのは嫌だという君に、「私がいる/僕がいる」と伝え合う。
ヒリヒリするように息苦しい緊張感と、ただただ綺麗な「雪の中の君」。
ああ・・・もう、言葉にならないな、本当に、なんでこんなに綺麗で、哀愁に満ちてるんだよ。最高だよ。読んでて心が散り散りに砕けそうだ。
悲しみの中に、人を突き動かすための熱いエネルギーまであふれている。
名シーンだな、これぞ。
最終話を読んだあとに読み返してみれば、この屋上での場面っていうのがもしかしたら彼と彼女の最後の対面だったのかな、と思い至りより一層この場面の重要性が浮かび上がる。
そしていよいよコンクール――― 公生の出番だ。
「四月は君の嘘」の演奏シーンが大好きでした。
演奏シーンの迫力が、この作品の魅力に直結していたようも思う。
情熱的で、スピード感にあふれていて、もうとにかく絵としてカッコいい。
演奏の疾走感や、それを味わう客席の感嘆、膨れ上がる熱量、奏者の必死な、あるいは悲しげな表情―――音楽を披露するという試された場所で、“とっておきの一瞬”が連発されていく。ドラマティックとしか言いようがない。突き動かされないワケがない。
そしてそれに載る言葉の数々。ポエム台詞、センチメンタル。モノローグ。これもまたこの作品の味わい深さ。というかポエミーな要素が濃い作品ほど大好きなんですよね・・・。力強く、絵と言葉が踊っている。
そんな演奏シーンのクオリティは、最終巻でも発揮されている。
どんなに悲しいシーンであっても、演奏に入ればこっちのテンションが俄然上がるのです。
まるで胸ぐら掴まれて「こっちを見ろ」と言われてるような、問答無用な迫力。
公生の瞳に鍵盤がうつりこんでみるのを見るたびに脳みそチカチカしてくる、かっこいい。
そんな中、作中最後の演奏シーンには、神がかり的泣き演出でもって更に豪華な装飾が施される。
この場面はアニメ版の演奏シーンも最強なんでね、見てない人はチェックですよ。
かをりがステージの上から消えたアトの、暗闇にひとり取り残された公生、静寂――――
そして会場全体から万感の、最大級の絶賛が送られる。爆音の歓声。
しかし公生は、静かに涙を流す。
君への、君からの「さよなら」のメッセージを胸に。
音を伝えられない漫画という媒体において、鮮やかなほどに音の緩急を描く。静寂からの大歓声なんかは、もうこの漫画の醍醐味のような興奮が詰まっている。
そしてエンドロールとなる最終話は、穏やかなオルゴールが終始鳴っているような、ゆるやかなテンポの中で、喪失とそしてひとりの少女のすべての想いが明かされていく。
綺麗な、本当に綺麗な構成。
で、こっからはもう本当にいよいよネタバレでしかないです。
名作であることは前提とした上で、個人的には、この最終話は「欠けることない大団円だった」とは言いがたい結末でもあったのです。個人的には、ですよ。
なのでちょっとした不満を書くので、気分を害される方も居るかもしれないです。ごめんなさい。
まあまず、かをりちゃんは生き抜いてほしかったという自分の熱望はかなわなかった事。
これはしょうがない。最終話を読んだら、もう最初からこの結末はきまっていたんだってわかる。この結末のための全44話だったのだから。
けれど。奇跡を信じさせてくれるこの漫画だからこそ。最後の奇跡がかなわなかったことのショックがデカい・・・。
かをりちゃんは必死に最後の1年間を生きた。だからこそ彼女は、この世界にたくさんの足あとを残せた。だれかの記憶の中で永遠に生き続けていく。
でもさー!!やっぱ彼女には生きて、もっともっと幸せに成ってほしかった。もっともっと、遠くまで羽ばたいて欲しかった。欲張りに、遥か彼方まで。
あと作中で「いちご同盟」という作品が登場しました。自分もこれを機に読みまして、どうやら「四月は君の嘘」という作品はこの「いちご同盟」をとても意識して描かれてるのだと分かりました。たぶん作家さんにとっての大切な作品なんだろうなと思う。
だからこそ、「いちご同盟」の結末を力強く乗り越えるようなラストを楽しみにしていた部分があります。
しかし結果としては「いちご同盟」に近い結着となったため、なんとも言えないモヤモヤに襲われています。「結局同じことがやりたかったのか」とか。
でも作品そのもの完成度やストーリーの力があるからこそ、「二番煎じ」感がない。そこがこの作家さんなりの、「いちご同盟」への挑戦だったのかもしれない。
影響を強く受けている別の作品のタイトルやその台詞を、作中に盛り込んでまで、「四月は君の嘘」は読者に「いちご同盟」を意識させた。これは作家としてかなり勇気が要ることだったはず。
それを考えるとなんと堂々としたエンディングだろうか。同じところにたどり着いても、薄っぺらにならない。むしろ「いちご同盟」を乗り越えることができていると思う。
かをりちゃん愛がある分やっぱりモヤモヤするけれど、作品としては一級品だわ、やっぱりさ。
あと一点、「音楽漫画として熱中させてくれたのに音楽漫画としての到達点が見えにくい」こと。
極上の音楽漫画であり、格別な青春ラブストーリーでもあった本作。
涙腺をブチ壊す勢いでセンチメンタルに綴られる最終話は見事なものでしたが・・・
もうちょっと、かをりの死を乗り越えた先の公生の姿を見たかった。
あの死をどう受け止め、彼はどんなふうに演奏家として成長したのか。
それをちゃんと確認できないと、音楽漫画のラストとしてはやや足りてないように感じてしまう。
青春漫画としては完璧だ。
しかし音楽漫画として見た時、微妙な歯切れの悪さがあって、そこがなんとも惜しく思う。
せめてラストシーンでかをりに向けて一曲弾く公生が見たかったかもしれない。
贅沢を言うなら、もうすこし大人になったみんなの姿を見て、安心したかった。
でもこの作品は14歳から15歳にかけての作品として完結した。
そこは作者なりのこだわりがあるように感じるから、一概に不満も言えないけれど。
やはり「公生はこんなにも成長したのか!」ってのを感じたかったという思いは強い。
かをりの宝物である写真をピアノの上に飾った公生。
この部分から、この先ずっと公生がかをりへの思いを忘れないこと、そしてピアノに寄り添った人生を送ることが暗示されている。
公生の、読者の胸をえぐるように切ない、かをりからのラブレターは
あの出会いの四月を永遠のものにしてしまう魔法そのもの。
誰も彼も、彼女を忘れない。いや忘れられない。
ああ、なんて甘酸っぱい「嘘」なんだ。彼女の青春がここから始まった。
走りだした足が止まらない。いけ、いけ、あの人のところまで。
これが最期だって光っていたい!
ということで「四月は君の嘘」最終巻の感想でした。
最後でちらほらとマイナスなことも描いてしまいましたが、それらは全部読者の贅沢な希望ってだけです。
やっぱり総括すると「素晴らしい作品だった!」と大満足なのです。
特に冒頭でも書きましたが、かをりの「嘘」の秘密が最終話で明かされる構成はもう完璧にきまりすぎ。
最後まで読んだ今ではこの11巻表紙を見るだけでもすでにジワリと来る・・・。
11巻という巻数も一気読みしやすいでしょうし、これは音楽漫画の傑作のひとつとしてこれからも語り継がれていくはず。
美しく切ない“君の嘘”、とろけるように甘酸っぱい青春模様、情熱的に疾走する音楽へのロマン。
そしてこれだけの作品を完結させ新川直司先生の次の作品にかかる期待は凄まじい。
ありがとうございました。大切な作品になりました。
Twinkle,twinkle,little star,
How I wonder what you are!
『四月は君の嘘』11巻(最終巻) ・・・・・・・・★★★★☆
綺麗な最終巻。祈るように、これからの未来を思い描きたい。また、春が来る。
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さて「四月は君の嘘」ラストとなる第11巻が発売しました。
結論から言うに、間違いなく素晴らしい作品だった。
これほどまでにセンチメンタルで、激情ほとばしる作品として最後まで走りきってくれるとは。
傑作。傑作ですよこれは!
雑誌で掲載された最終話を読み、そしてアニメも最終話まで見切り、いよいよ原作コミックス最終巻となったわけですが、この3フェイズそれぞれでボロボロ泣いてますからね俺。
特にこの作品に関して言えばアニメ版の出来も最高級だった。
漫画も変に引き伸ばしとかもされず(と読んでて思っただけだけど)、作品的にベストなタイミングでの幕引き。そして本編のストーリーそのものの、完成度。さまざまな面からみても、幸福な作品のように感じられます。
過去の更新記事↓
輝きだした、かけがえのない春。 『四月は君の嘘』1巻
熱狂がぼくらの背中を押す『四月は君の嘘』2巻
波乱のコンクールが幕を開ける『四月は君の嘘』3巻
最初のうちしか感想あげてなかったか・・・もっと毎回かかないといけなかったなぁ。
それでは11巻の内容について触れていきますが、ネタバレ注意でお願いします。
タイトルに付けられた「四月」と「嘘」の秘密が最終巻でついに明かされるってのも、出来すぎなくらい、キザなくらい、完璧な構成だよなぁ。
目の前で倒れたかをり。想像以上に深刻だった彼女の病状を目の当たりにした公生。
過去のトラウマがフラッシュバックして襲いかかり、公生はとてもコンクールに臨める精神状態ではなくなってしまう。
喪失の予感。抱えきれないほどの切なさと痛みに、ただうずくまる。
しかしそんな彼の背中をまたも押してくれるのは、かをりなのです。
本当は彼女が1番こわくて、泣きそうで、挫けそうなのに。
それでも公生の目の前で、強い「宮園かをり」を演じる。
もはや強がりだと公生も知っているけれど、それでも「あがく姿勢」を見せつける、いや彼に突きつける。今までどおりの、公生を煽って立ち上がらせる、彼女ならではのやり方。
この二人をつなぐ「君」という言葉に宿る神聖さ。タイトルにもあるとおりこの作品にとって「君」というワードはある種特別なのだ。
この病院の屋上でのシーンは、不思議と神秘的にも感じた。
セリフのひとつひとつの鋭さもある。ストーリーにおけるこの場面の重要性を、結末をこの時点で知らなくても読者としてはなんとなく察していた事もある。
ひとつの覚悟を固めるための大切な場面であり、喪失の恐怖に震えながら立ち向かう少年と少女の悲しい触れ合い。
ひとりぼっちになるのは嫌だという君に、「私がいる/僕がいる」と伝え合う。
ヒリヒリするように息苦しい緊張感と、ただただ綺麗な「雪の中の君」。
ああ・・・もう、言葉にならないな、本当に、なんでこんなに綺麗で、哀愁に満ちてるんだよ。最高だよ。読んでて心が散り散りに砕けそうだ。
悲しみの中に、人を突き動かすための熱いエネルギーまであふれている。
名シーンだな、これぞ。
最終話を読んだあとに読み返してみれば、この屋上での場面っていうのがもしかしたら彼と彼女の最後の対面だったのかな、と思い至りより一層この場面の重要性が浮かび上がる。
そしていよいよコンクール――― 公生の出番だ。
「四月は君の嘘」の演奏シーンが大好きでした。
演奏シーンの迫力が、この作品の魅力に直結していたようも思う。
情熱的で、スピード感にあふれていて、もうとにかく絵としてカッコいい。
演奏の疾走感や、それを味わう客席の感嘆、膨れ上がる熱量、奏者の必死な、あるいは悲しげな表情―――音楽を披露するという試された場所で、“とっておきの一瞬”が連発されていく。ドラマティックとしか言いようがない。突き動かされないワケがない。
そしてそれに載る言葉の数々。ポエム台詞、センチメンタル。モノローグ。これもまたこの作品の味わい深さ。というかポエミーな要素が濃い作品ほど大好きなんですよね・・・。力強く、絵と言葉が踊っている。
そんな演奏シーンのクオリティは、最終巻でも発揮されている。
どんなに悲しいシーンであっても、演奏に入ればこっちのテンションが俄然上がるのです。
まるで胸ぐら掴まれて「こっちを見ろ」と言われてるような、問答無用な迫力。
公生の瞳に鍵盤がうつりこんでみるのを見るたびに脳みそチカチカしてくる、かっこいい。
そんな中、作中最後の演奏シーンには、神がかり的泣き演出でもって更に豪華な装飾が施される。
この場面はアニメ版の演奏シーンも最強なんでね、見てない人はチェックですよ。
かをりがステージの上から消えたアトの、暗闇にひとり取り残された公生、静寂――――
そして会場全体から万感の、最大級の絶賛が送られる。爆音の歓声。
しかし公生は、静かに涙を流す。
君への、君からの「さよなら」のメッセージを胸に。
音を伝えられない漫画という媒体において、鮮やかなほどに音の緩急を描く。静寂からの大歓声なんかは、もうこの漫画の醍醐味のような興奮が詰まっている。
そしてエンドロールとなる最終話は、穏やかなオルゴールが終始鳴っているような、ゆるやかなテンポの中で、喪失とそしてひとりの少女のすべての想いが明かされていく。
綺麗な、本当に綺麗な構成。
で、こっからはもう本当にいよいよネタバレでしかないです。
名作であることは前提とした上で、個人的には、この最終話は「欠けることない大団円だった」とは言いがたい結末でもあったのです。個人的には、ですよ。
なのでちょっとした不満を書くので、気分を害される方も居るかもしれないです。ごめんなさい。
まあまず、かをりちゃんは生き抜いてほしかったという自分の熱望はかなわなかった事。
これはしょうがない。最終話を読んだら、もう最初からこの結末はきまっていたんだってわかる。この結末のための全44話だったのだから。
けれど。奇跡を信じさせてくれるこの漫画だからこそ。最後の奇跡がかなわなかったことのショックがデカい・・・。
かをりちゃんは必死に最後の1年間を生きた。だからこそ彼女は、この世界にたくさんの足あとを残せた。だれかの記憶の中で永遠に生き続けていく。
でもさー!!やっぱ彼女には生きて、もっともっと幸せに成ってほしかった。もっともっと、遠くまで羽ばたいて欲しかった。欲張りに、遥か彼方まで。
あと作中で「いちご同盟」という作品が登場しました。自分もこれを機に読みまして、どうやら「四月は君の嘘」という作品はこの「いちご同盟」をとても意識して描かれてるのだと分かりました。たぶん作家さんにとっての大切な作品なんだろうなと思う。
だからこそ、「いちご同盟」の結末を力強く乗り越えるようなラストを楽しみにしていた部分があります。
しかし結果としては「いちご同盟」に近い結着となったため、なんとも言えないモヤモヤに襲われています。「結局同じことがやりたかったのか」とか。
でも作品そのもの完成度やストーリーの力があるからこそ、「二番煎じ」感がない。そこがこの作家さんなりの、「いちご同盟」への挑戦だったのかもしれない。
影響を強く受けている別の作品のタイトルやその台詞を、作中に盛り込んでまで、「四月は君の嘘」は読者に「いちご同盟」を意識させた。これは作家としてかなり勇気が要ることだったはず。
それを考えるとなんと堂々としたエンディングだろうか。同じところにたどり着いても、薄っぺらにならない。むしろ「いちご同盟」を乗り越えることができていると思う。
かをりちゃん愛がある分やっぱりモヤモヤするけれど、作品としては一級品だわ、やっぱりさ。
あと一点、「音楽漫画として熱中させてくれたのに音楽漫画としての到達点が見えにくい」こと。
極上の音楽漫画であり、格別な青春ラブストーリーでもあった本作。
涙腺をブチ壊す勢いでセンチメンタルに綴られる最終話は見事なものでしたが・・・
もうちょっと、かをりの死を乗り越えた先の公生の姿を見たかった。
あの死をどう受け止め、彼はどんなふうに演奏家として成長したのか。
それをちゃんと確認できないと、音楽漫画のラストとしてはやや足りてないように感じてしまう。
青春漫画としては完璧だ。
しかし音楽漫画として見た時、微妙な歯切れの悪さがあって、そこがなんとも惜しく思う。
せめてラストシーンでかをりに向けて一曲弾く公生が見たかったかもしれない。
贅沢を言うなら、もうすこし大人になったみんなの姿を見て、安心したかった。
でもこの作品は14歳から15歳にかけての作品として完結した。
そこは作者なりのこだわりがあるように感じるから、一概に不満も言えないけれど。
やはり「公生はこんなにも成長したのか!」ってのを感じたかったという思いは強い。
かをりの宝物である写真をピアノの上に飾った公生。
この部分から、この先ずっと公生がかをりへの思いを忘れないこと、そしてピアノに寄り添った人生を送ることが暗示されている。
公生の、読者の胸をえぐるように切ない、かをりからのラブレターは
あの出会いの四月を永遠のものにしてしまう魔法そのもの。
誰も彼も、彼女を忘れない。いや忘れられない。
ああ、なんて甘酸っぱい「嘘」なんだ。彼女の青春がここから始まった。
走りだした足が止まらない。いけ、いけ、あの人のところまで。
これが最期だって光っていたい!
ということで「四月は君の嘘」最終巻の感想でした。
最後でちらほらとマイナスなことも描いてしまいましたが、それらは全部読者の贅沢な希望ってだけです。
やっぱり総括すると「素晴らしい作品だった!」と大満足なのです。
特に冒頭でも書きましたが、かをりの「嘘」の秘密が最終話で明かされる構成はもう完璧にきまりすぎ。
最後まで読んだ今ではこの11巻表紙を見るだけでもすでにジワリと来る・・・。
11巻という巻数も一気読みしやすいでしょうし、これは音楽漫画の傑作のひとつとしてこれからも語り継がれていくはず。
美しく切ない“君の嘘”、とろけるように甘酸っぱい青春模様、情熱的に疾走する音楽へのロマン。
そしてこれだけの作品を完結させ新川直司先生の次の作品にかかる期待は凄まじい。
ありがとうございました。大切な作品になりました。
Twinkle,twinkle,little star,
How I wonder what you are!
『四月は君の嘘』11巻(最終巻) ・・・・・・・・★★★★☆
綺麗な最終巻。祈るように、これからの未来を思い描きたい。また、春が来る。
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こんな素晴らしい作品に出会え、同じ作品への同じ思いを持っている読者に出会えて、とてもうれしいです。
ありがとうございました。
(ps.私は日本語母語者ではないので、ちょっと変な文法も出ているかもしれません。もしあれば、すみませんね。)