[漫画]あなたのそばにいられるように。 『25時のバカンス 市川春子作品集2』
25時のバカンス 市川春子作品集(2) (アフタヌーンKC) (2011/09/23) 市川 春子 商品詳細を見る |
おまえは私を 粉々にしてもいいんだ
初の単行本「虫と歌」から約2年。ようやっと短編集第2弾「25時のバカンス」が発売です。
アフタヌーンで掲載された「25時のバカンス」「パンドラにて」「月の葬式」の3作を収録。
今回もシュールなのに情熱的、グイグイ意識を引きづり込まれてはメチャクチャにさせられる、魅力的な物語たちが揃っています。市川春子先生の作品には中毒性あり。
装丁は前回と同じく市川春子先生自身が担当。実際に手で持ってさらに楽しめるつくり。
では短編集なので作品ごとに触れていければなと。
今回の表題作。2話構成で、これだけで単行本の半分くらいを占めるボリュームを持った作品となっています。・25時のバカンス
三十路をすぎた研究者の姉が、放浪している弟を捕まえて20歳を祝うお話。ざっくりそう言ってしまえばシンプルなんですが、これは本当に味わい深い漫画なのですよ。身震いするほど。
お姉ちゃんは新種の貝を食べたせいで、貝に寄生されてしまっています。身体の中は空洞。人の形はしていても普通じゃないキャラクターが登場するのがこの作家さんのお決まり。
寄生している貝たちも、初登場はグロかったんですけどそれぞれコミカルな面を見せてくれていて、寄生されてるお姉ちゃんも飄々としているおかげで、シリアスなはずがむしろそれが楽しい感じに。
そしてもう姉ちゃんと弟の空気がかわいくてかわいくて!
しっかり者でポーカーフェイスのクールなお姉ちゃんは、「お姉ちゃんらしく」あるためなのか、はたまた別の感情からか、弟とのやり取りの中にかすかに切なさを透かせています。
「声に届くところにいてよ、見てるからね」と弟が言った後、ポツリと呟いたのが上のシーンです。「見てる だけか」ですって!オオオオお姉ちゃんー!
姉ちゃんも弟も、流石血がつながってるだけあって程良い空気を保った会話をしているのですが、「深入りしちゃいけない」と遠慮してしまってる部分に、互いにちょっとだけ居心地の悪さを感じている感じというか。そんなもどかしさがまたたまらないのです!
そして極めつけは80ページですよ。身体を心配した弟に手をつないでもらうお姉ちゃん。
「見てるだけか」と呟いたお姉さんですが、いざ手をつないだら…
顔赤くなってる…。
実の弟にマジ照れ!クールな女性が思わず赤面してしまう様子はやはり素晴らしい!
俗っぽいこと書きまくってますが、本当はもっと真面目なこと書こうと思ってましたよ。でも文章にするために読み返してたら、ああやっぱりこの姉弟は最高にかわいいなと思いまして。
お姉さんのその特殊な性質からして印象深いシーンはたくさんあるのですが
中でも衝撃的かつエロティックなのが、山場にあたるこの場面。
(クリック拡大)
お姉さんの割れた下半身から腕を突っ込んで中をまさぐる・・・という見たこともない絵面のインパクトは強烈。「これ?」「それは違う!」と怒られた弟くんは一体なにを触ってしまったのか…こいつは興味が尽きないですな。
研究者としての極限のストイックさと好奇心が、どんどんと姉自身を弱らせる。
弟のために、弟のためにと自分をなげうってしまうお姉さんの生き方は非常に危なっかしです。でも後半明らかにされていく事実からも、彼女がどれだけ弟を愛しているかが分かり、頬がゆるんでしまう。
そんなふうに近親相姦を匂わせつつも、けれど物語の深いところで人間の業にも触れている。
たっぷりと盛り込まれた切なさとや温かさが心地いい。哀愁と清涼感を兼ねそろえる力作。
最終的には離別してしまうものが多かった市川先生において、このラストを読むことができる嬉しさと言ったら。弟が溺れそうになったとたん即浮上してきたお姉さんをみたときはもう…。
読み応えある愛のおはなしでした。大好きです。
84ページに出てくる「孤独は、生まれてから塵に帰るまでの苦い贅沢品です」のくだりも何気にすごいなーと思い、何度も口にしてみました。おもしろいなぁ。
続く「パンドラにて」は、後半の超展開がなんとも不思議な余韻をのこす作品。・パンドラにて
というか一体何がどうなったのか、うまく把握しきれない。でもなぜか目頭が熱い。
舞台は地球を遠く離れ、宇宙。土星の衛星パンドラです。
そこはえりすぐりの女の子たちの学校があり、主人公となるのはその学校の問題児である二条さんと、彼女の前に突然現れたしゃべることのできない女の子です。
終始独特のミステリアスな空気があって、ときおりコメディチックになることはあっても、何とも言えない感覚を引きづります。そしてラストへと。
ちょっとだけ百合っぽさを匂わせるも、メイン2人を繋ぐのは恋でも、友情とも少し違うような。終盤の展開は意味わからなくてもなんだかとても心に響いて何度も読み返してしまいました。
大勢の少女たちが踊る見開きページが好きです。
最後になる「月の葬式」は、2人の男が主役。・月の葬式
なんでも分かる、出来る高校生3年生の男の子が、きまぐれで試験をサボって北に逃げる。そこで偶然知り合った男と、なぜだからかりそめの家族になってしまうお話。
しかしその男は実はただの人間ではなく…と、途中から一気に話が動きます。
しかし今回の異人の特性は、視覚的にむちゃくちゃインパクトありましたね。というかグロい。肌が穴だらけになっている描写をしっかりと入れてくるので、苦手な人は鳥肌レベルでしょう。
でも本当にこの男どものやりとりはおかしくてかわいい。
ジョークや嫌みを言い合う様子がほほえましいです。友だちか、まるで本当の兄弟みたい。
ストーリーはゆるやかに盛り上がっていきます。ショッキングなシーンで一旦突き落とされてからも、だんだんと熱を帯びていく。無気力だった主人公に目標が出来てくる。
何でも分かるはずだった。自分は天才だった。でも、何もできやしない。
主人公は無力感に襲われますが、男が求めているのは治療ではなく、最後の瞬間をともにすること。そして死んだあと、自分を月の光にしてくれること。
後半に起こる2人の真摯な意志がゆえの微妙すれ違いがまたセンチメンタル…。
そして続く230ページの見開きは、圧巻。
エピローグでの締め方も素晴らしかった。最後の最後に見せてくれたほほ笑みが、極上のまぶしさ。絵的にはすごいことになっていますが、美しいラストですよこれは。
いびつな舌触り、でもなんかクセになる味。いい作品です。
そして「似合いますよ」と髪型褒められて豪快にガッツポーズ決めるるり子さんかわいい。
というかこの作品に登場するマダムたち、みんな愛嬌あっていいですねw
以上、「25時のバカンス 市川春子作品集2」の感想でした。
心と記憶に強烈に刻み込まれる絵、言葉、物語。
1冊目の作品集でまざまざと見せつけられたそれらを、今回もみせつけてくれます。
そして変わらないのは、作品の難解さも。
特に今回で言えば「パンドラにて」は未だに全貌がつかめない。でも面白い。その空気に触れていることがそもそも楽しかったりします。
他の作品で言っても、正しく読めてるか自信はありません。でもそれでいいのかも。
このなめらかで切ない、刺と毒を秘めた味わいに、そのままゆったりと浸っていたくなる。
よみといてやろうと躍起になっては、逆になにかを見落としてしまうような気すら。本当に感覚的な楽しみ方をしてしまう作品です。だから感想書きづらいです。でも大好きです。
そして1冊目と比べると、キャラクターから感じられる生命力が強くなった、かな。なんとなく。表情を描くのが上手くなったのかもしれません。
どの作品も人間と人間ではないなにかとの交流を描いたもので、まず見た目にインパクトある漫画になっていますし、それぞれの特徴を活かした切ない物語が展開しています。
ただ切なさはあっても、悲しい結末にはならない作品があるおかげで、前回と短編集と比べるとちょっとだけ明るめな内容と言えるかもしれません。
海、宇宙、雪国と、収録されてる3作の舞台も狙ったようにバラけていて、そういう意味でとてもバランスがいい。中でも「25時のバカンス」は珠玉と言わざるをえない、美味な一作でした。
繰り返し繰り返し味わいたくなる一冊だと思います。自分は寝る前にたまに読みます。
切なく温かい、命と命が紡ぐ愛があります。
『25時のバカンス 市川春子作品集2』・・・・・・・・・★★★★☆
2冊目の作品集。言葉にしづらい感情が積もり積もる、味わい深い1冊。
[漫画]名古屋コミティア39に行ってきましたわーい。
9月25日に行われた名古屋コミティア39に行ってきましたー。
愛知県に住んでるのに行ったことありませんでした。東京のコミティアは行ったことあるのに…。で、どんなもんぞやとタイミングが合ったので見学ついでに向かいました。
コミティアというのは同人誌即売会ですが、2次創作ではなくオリジナルばかりなイベント。
ハンバーガー無料クーポン狙いでお昼にマック寄ってから12時30分すぎに会場着と言う体たらく(開場は11時)でしたが、もともとそう規模が大きくないイベントなので十分回りきれました。
収穫物はこんな感じ。
(クリック拡大)
上の左端「雪の童話」(シラトリ)から右「宿日メンテナンス」「嘘つき誠二郎」(ひなこめし)の3冊は、東京コミティアからの委託コーナーで購入したものです。
「雪の童話」は冬に結実する恋のお話。秒速5センチメートルとか…好きなので…
「宿日メンテナンス」はエロありの恋愛物。かわゆし。
「嘘つき誠二郎」は上の本とはタッチが多少変わっていて、微BL?友情物か。
この2冊を出した「ひなごめし」というサークルさんの本は初めて買いましたが、綺麗な線の作家さんですねえ。可愛らしくもスタイリッシュな印象です。あと眼の描き方が好き。
それで会場で買った本へ。
下段左端「花と砂糖と君が好き(乙女サバ)」はあんまりかわいくてニヨニヨしてしまったw 人づきあいとコンプレックスに頭を抱える女の子のお話で、コミカルでありつつも「女の子!」という感じをガンガン押し出す乙女チックムードがお気に入りです。要チェックな作家さんに1人追加!という感じ。
サークルHPのギャラリーからWEB漫画も読めます。これも面白かった!
つぎ右へ。「きみのひとカケラ」はCD付き同人誌で、会場で試しに曲を聴かせてもらえて、じっくり聞いてみたいなーということで購入。作中にサインがあって、タイミングを合わせて曲を再生してシンクロさせながら読むというのがなかなか楽しかったです。内容はある種王道ながら切ないもの。
下段右から3冊眼、女の子が手を上げてる赤い本から右にある4冊がサドルガナイツさんの本。
「うちの嫁が魔法少女になった件」「詮索厨は注意されたし。」「悩むめも」は世界観とキャラクターが共通するシリーズ。いちおうそれぞれ読み切りですが合わせて読むと最高に「なにこいつらかわいすぎる」という感じです。
話の流れは完全にギャグなんだけど、勢いの良さとキャラ立ちっぷり、垣間見える夫婦愛にニヤリとできる「うちの嫁が」。打って変わってわりと真剣な、でもリア充爆発しろ漫画「悩むめも」。自重しない女の子トミーさんの暴走が楽しい「詮索厨は注意されたし」。
魔法少女になった嫁ちゃんもかわいいキャラですが、いつも敬語な夫さんにも萌え。ときどき余裕なくなって敬語じゃなくなってしまう辺りもステキじゃないですかー。
最後の「公共便所ライダー」は読者を彼方に置き去りにしていく不条理ギャグ漫画。どうしろと。
という具合でした。もうちょっと買いたい本ありましたが、金銭的に・・・。
でも規模は小さいとは言え、コミティアって楽しいなって思いました。
全く知らない作家さん、全く知らない漫画に出会える、すごく面白い場です。
秋の東京コミティアは・・・無理そうですが・・・100回目のは行きたいですね・・・(白目)
愛知県に住んでるのに行ったことありませんでした。東京のコミティアは行ったことあるのに…。で、どんなもんぞやとタイミングが合ったので見学ついでに向かいました。
コミティアというのは同人誌即売会ですが、2次創作ではなくオリジナルばかりなイベント。
ハンバーガー無料クーポン狙いでお昼にマック寄ってから12時30分すぎに会場着と言う体たらく(開場は11時)でしたが、もともとそう規模が大きくないイベントなので十分回りきれました。
収穫物はこんな感じ。
(クリック拡大)
上の左端「雪の童話」(シラトリ)から右「宿日メンテナンス」「嘘つき誠二郎」(ひなこめし)の3冊は、東京コミティアからの委託コーナーで購入したものです。
「雪の童話」は冬に結実する恋のお話。秒速5センチメートルとか…好きなので…
「宿日メンテナンス」はエロありの恋愛物。かわゆし。
「嘘つき誠二郎」は上の本とはタッチが多少変わっていて、微BL?友情物か。
この2冊を出した「ひなごめし」というサークルさんの本は初めて買いましたが、綺麗な線の作家さんですねえ。可愛らしくもスタイリッシュな印象です。あと眼の描き方が好き。
それで会場で買った本へ。
下段左端「花と砂糖と君が好き(乙女サバ)」はあんまりかわいくてニヨニヨしてしまったw 人づきあいとコンプレックスに頭を抱える女の子のお話で、コミカルでありつつも「女の子!」という感じをガンガン押し出す乙女チックムードがお気に入りです。要チェックな作家さんに1人追加!という感じ。
サークルHPのギャラリーからWEB漫画も読めます。これも面白かった!
つぎ右へ。「きみのひとカケラ」はCD付き同人誌で、会場で試しに曲を聴かせてもらえて、じっくり聞いてみたいなーということで購入。作中にサインがあって、タイミングを合わせて曲を再生してシンクロさせながら読むというのがなかなか楽しかったです。内容はある種王道ながら切ないもの。
下段右から3冊眼、女の子が手を上げてる赤い本から右にある4冊がサドルガナイツさんの本。
「うちの嫁が魔法少女になった件」「詮索厨は注意されたし。」「悩むめも」は世界観とキャラクターが共通するシリーズ。いちおうそれぞれ読み切りですが合わせて読むと最高に「なにこいつらかわいすぎる」という感じです。
話の流れは完全にギャグなんだけど、勢いの良さとキャラ立ちっぷり、垣間見える夫婦愛にニヤリとできる「うちの嫁が」。打って変わってわりと真剣な、でもリア充爆発しろ漫画「悩むめも」。自重しない女の子トミーさんの暴走が楽しい「詮索厨は注意されたし」。
魔法少女になった嫁ちゃんもかわいいキャラですが、いつも敬語な夫さんにも萌え。ときどき余裕なくなって敬語じゃなくなってしまう辺りもステキじゃないですかー。
最後の「公共便所ライダー」は読者を彼方に置き去りにしていく不条理ギャグ漫画。どうしろと。
という具合でした。もうちょっと買いたい本ありましたが、金銭的に・・・。
でも規模は小さいとは言え、コミティアって楽しいなって思いました。
全く知らない作家さん、全く知らない漫画に出会える、すごく面白い場です。
秋の東京コミティアは・・・無理そうですが・・・100回目のは行きたいですね・・・(白目)
[漫画]巨大蟲とほんのりラブ?な夏来たる 『常住戦陣!!ムシブギョー』3巻
常住戦陣!!ムシブギョー 3 (少年サンデーコミックス) (2011/09/16) 福田 宏 商品詳細を見る |
―――季節は夏。生命が最も盛りを増す頃―――
少年サンデーで連載中の「常住戦陣!!ムシブギョー」の3巻が発売されました。
まっすぐな少年漫画を貫く本作ですが、その良さは今回も健在。
今回も賑やかな1冊となっているのではないでしょうかー。
2巻から続く、長富丸ことのちの9代目将軍・徳川家重のエピソードで3巻スタート。
人や外の社会とのコミュニケーションを嫌う長富丸。
どんなに知識を持っていても、予測しえないハプニングに出会って恐怖に脚がすくんでしまう彼は、本の知識だけで蟲に立ち向かうことができないことを知ります。
そんな彼には、知識が無くても気合い1つで得体の知れない蟲に飛び込んでいく仁兵衛の姿は、とても眩しく見えたのでしょう。
また、蟲奉行所の先輩にあたる人物・恋川春菊のエピソードも今回収録。
彼もまた仁兵衛のまっすぐさに胸打たれて、同僚としてより絆を深めました。
陣兵衛の見せる生き方って本当に不器用なんですけれど、力技でもなんとかやりたいことを貫いて見せる様子がとても魅力的。マイペースでいて自分の正義を貫く主人公を、ストレス無く魅せてくれる。これは何気に凄いことなんじゃないかなあとも思ったり。
まぁ自分が仁兵衛が好きなだけってだけなんですけどもw
さてこの2巻で1番の目玉と言えばそう、仁兵衛周辺のハーレム化です。
そのがんばりで人望を得つつあつ陣兵衛。
エネルギッシュな彼を囲んでのにぎわいも増えてきまして、それはラブコメ的方向にも飛び火?というか長富丸が超連載版にいないわりに結構馴染んできて、構図が面白いことになってきましたね。
そして安定のお春ちゃんのヒロインっぷりである!
お春ちゃんは基本としては日常をつかさどるヒロインのポジションであるので、こういう所では存在感を出してきますね。バトルでは火鉢ちゃんがヒロインとして働きますしね。
ただこの巻お春ちゃんのえっちぃシーンが少なかったのが残念ですな!フンスフンス(鼻息荒く
しかしバトルでのヒロインであるはずの火鉢ちゃんにも、なにやら・・・。
お、お、お。
幼く芽吹いた・・・かもしれない?彼女の新しいきもち。
まぁこれは仁兵衛への意識がどうというより、年頃の女の子として恋愛チックなイベントにドキドキしてるだけという感じでしょうか。しかし誤解が招いたものであってもニヤニヤできるかどうかが重要なので、どうか成長していってもんですが、どうなるか・・・!
とは言え、彼女に関しては正直なところ本格的に陣兵衛と恋仲になる方向に行かれるよりも、気になる存在ではあるけどなにより仲間としての信頼感で繋がってる、といった風に進んでいってくれた方が嬉しいかなぁ。上手いバランスを保っていてほしいなとこっそり願ってもいたり。
まぁ雑誌掲載分を読んでると、4巻はだいぶイチャついた内容になってるんじゃないかなとw
夏はバトルと恋の季節ですかね?
さて、ほかにもストーリーのシリアス部分でも気になる部分がいくつか。
長富丸エピソード中で登場した日本地図が興味深いです。
西日本を埋めつくすバツ印・・・。西日本は今どうなっているのか。
蟲の勢力との闘いが描かれていくであろう今後の展開で、重要な要素になるのかも。
そして無涯がかつて所属していた「蟲狩」があまりにも怪しい活動をしていて気になるところ。しばらくは彼らが物語に絡んできそうな感じですね。
それにしても無涯になついてるらしい女の子・蜜月がエロい恰好してるのでムラムラします。
そして終盤の目玉、夏最大の蟲・兜虫の登場。
これがもう意味わからないくらいバカデカいスケールで呆然。
デカすぎる・・・。
こいつの足元に広がる街と比べると、どれだけ途方もない大きさか分かるでしょうか。
こんなのにどう対処するのか蟲奉行所。気になる内容は4巻へ続く!
以上、「常住戦陣!!ムシブギョー」3巻でした。
一度しきりなおして始まった本作ですが、どんどんと新連載版でのオリジナルストーリーが色濃くなってきて、過去作の読者も先が読めない展開になってきました。
とくに蟲狩関連は気になるところですね。
そして何やら1人江戸への憧れに胸熱くしている仁兵衛の父。もしや彼も江戸へやってくるのでしょうか・・・?いろんなキャラクターが動き出し、長期連載に向けあったまってきた感じ!
現在福田先生はケガのためにサンデーでの連載がストップしてしまっています。、早くの回復を願うのと同時に、はやく続きを読みたくなる1作です。
『常住戦陣!!ムシブギョー』3巻 ・・・・・・・・・★★★☆
人間関係の構築。じわじわと世界の中で仁兵衛の存在感が増してきたのでは!
[漫画]いがみあい認めあう女の子たちの闘い。 『ねじまきカギュー』2巻
ねじまきカギュー 2 (ヤングジャンプコミックス) (2011/09/16) 中山 敦支 商品詳細を見る |
愛は風紀より尊い
みんな大好き「ねじまきカギュー」2巻が発売されましたよ!
今回もクレイジーに愛の溢れるバトルとストーリーが展開されていきます。
勢い重視の作品なのでもう細かいことはいいのです。GoGo。
ちなみに今回のオビには鈴木央先生の推薦コメントが。
1巻はメインのカギューちゃんの魅力を前面に押し出した、キャラクター紹介をじっくりと迫力たっぷりに描いていくような内容でした。
それと比べると2巻は、まず舞台となる学園の設定や、これから主人公たちが立ち向かっていくのであろう敵対組織の詳細、そしてサブキャラクターたちの活躍等が描かれており、今後に向けて世界観を広げに来た巻だという印象です。
最初から目立ったものとしては、舞台の学園の設定。
生徒数1万人、敷地面積は東京ドーム100個ぶんというこの作品らしいぶっ飛んだスケールと、掲げる校訓「絶対個性主義(キャライズム)」がユニークで面白いです。
1巻出だしから変人ばかりであることに後から理由をつけた感じがいいですね!
そういうところもこの作品の好きなところですよ、自由なのに説得力あるというか。
そしてひとまずカギューちゃんたちと敵対する学園の番人・風紀四天王が登場。
不純異性交遊、しかも生徒と教師という禁断の関係を絶たんと、カギューちゃんや鴨先生に対抗する組織としていっきに台頭してきました。鴨先生に争うつもりは全くないんですけどね・・・。
また、まだ物語に強く関与はしてきてはいないものの、明らかに異質なオーラを放つキャラクターも新登場です。
この個性的すぎる学園の理事長を務める人物。
あれっ、トラウマイスタの社長さんじゃないですか!
スターシステム的なものでしょうか。性格とか言動の意味不明感も相変わらずです。
底の見えない恐ろしさを持った理事長。この先きっと活躍するでしょうし、彼がどんなサプライズを見せてくれるか、楽しみになってきましたね!
しかし2巻で目覚ましいものと言えば、この2巻表紙となっている2人の女の子。
1巻ではカギューちゃんのライバルキャラだった揚羽ちゃん(表紙左)と富江ちゃん(右)です。
敗北してからはかぎゅーちゃんの友人ポジションに収まった2人ですが
1巻のころからどうもウマが合わないようで、2巻ではついに怒りが爆発します。
そんなことしてる場合じゃないってのにー!
カギューちゃんの前でこそ大人しい2人ですが、本来は登場時に見せた危なっかしさを持っています。ガチで相手を殺しにかかります。容赦ねぇ。
でも本当の目的とイラだちの原因を2人が見つけた時、2人は手を組むのです。
揚羽と富江のこの関係がとても好き。友情ではなくもっと露骨で、キレイなものではない。でも2人ともが、自分よりなによりカギューちゃんが好きなのだ。
もともとは鴨先生を好きだったのに、ライバルであるカギューちゃんに蹴散らされ、彼女の生き様にまた心奪われた女の子たち。
そしてこの息の合い様である。お前ら本当は普段からもっと仲良くできるだろ!
でもきっとそうできないのが彼女たちの不器用さで、かわいらしさかな。
彼女たちは慣れ合いを好まない。それでも共闘するのは、憎み合ってはいてもお互いの力を信じているからなんだろうなぁ。ライバルとしていがみあい、認めあえる関係。いがみ愛・認め愛かー!
という感じの第2巻。
カギューちゃんの活躍が1巻と比べると減りましたが、それでも物語のテンションが下がりません。サブキャラクターたちの強烈さに目が離せなくなるのです。
いろんな面で『濃い』面白さが発揮されているシリーズだと思います。
それとこの作品、1話1話のテンポがとてもよく、1冊通してもスピーディに読み上がりますが、単行本で読み終えたときの満足感や、胸に残るインパクトの大きさがいいですね。余韻というか、なんかすごい漫画読んだぞっていう感覚がじわじわと来るというか。
ただインパクトは視覚的なものによるものがまだ大きくて、それでも最高に楽しめているんですが、さらに一歩進めてキャラの奥深い魅力を活かしたものに成長していくと、より嬉しいかも。
理屈抜きの力強さとカオスをたたえた作品ですが、物語もこれからさらに盛り上がっていってくれそうで期待。流れ的に3巻はきっとカギューちゃんが熱くなりそうですし・・・!
和み系な巻末オマケ漫画も必見の2巻でした。3巻マーダー
『ねじまきカギュー』2巻 ・・・・・・・・・★★★☆
主役陣以外の魅力も際立ってきた2巻目!今回もぶっ飛んだ1冊。
[漫画]輝きだした、かけがえのない春。 『四月は君の嘘』1巻
四月は君の嘘(1) (月刊マガジンコミックス) (2011/09/16) 新川 直司 商品詳細を見る |
君は 春の中にいる かけがえのない 春の中にいる
「四月は君の嘘」の1巻が発売されました。さっそく購入。
もともと前作「さよならフットボール」がとても評判がいいようで、そのうち読んでみたいなぁと思っていたら新作が出ましたので先にこちらを、と。そしてこれがなかなかに面白かった!
タイトルからどんなジャンルかが予測しづらいかも知れませんが、本作は音楽漫画です。
今日はこの作品の感想をー。
小学校のころはその才能を開花させ、多くの賞を受賞。神童と呼ばれた天才ピアニスト・有馬公生は、いまはもうステージに上がることはなく、穏やかに高校生活を送っています。
11歳の秋から、彼はピアノがひけなくなってしまったのでした。
そんな彼がひょんなことからであった女の子・宮園かをりはヴァイオリニスト。
そして流れで彼女のコンクール出場の様子を見ることになるのですが、そこでの彼女の姿に公生は衝撃を受けたのでした。
コンクールの本心なんか完全に無視。なによりも楽しそうに、自由に。
やりたいことをやりたいように誇らしげにやり遂げてみせるかをり。
コンクールとして認められないくらいに個性を強く打ちだした演奏をした彼女は、当然コンクールの審査員たちからは良い顔をされませんでしたが、会場の盛り上がりは確かなもので。
そんな常識外れな演奏を見て、彼の中で少しずつ変化が起きていくのでした。
主人公の公生くんは、精神的なストレスから、演奏中に音が聞こえなくなってしまいました。それが原因でピアノ演奏から距離を置くようになってしまっています。
でもアルバイトでピアノに触れる仕事をやっているのを見るに、椿ちゃんが言ったように「しがみついてる」というような感じは受けますね。重圧から逃れたいけれど、自分にはピアノしかない。
とは言っても第3話、子どもたちに公生がピアノを弾いてあげるシーンを見ると、演奏を止めてしまう直前のシーンでその穏やかな表情に、楽しさを感じているように見える気も。自信はなし。でもきっと、彼は本質的にはピアノが好きでいてくれているんじゃないかなと思ってます。当然。
本作のメインヒロインと思われる女の子・宮園かをりちゃんですが、彼女はかなりお気に入りのキャラクターです。物語を動かすキーキャラクターでもあり。
とにかく表情が豊か!演奏と同じく、生命力の強さを感じます。
笑顔で音楽を楽しんで、パンツみられたら顔赤くして、初対面の男にも殴りかかって。
そして音楽には真摯に向き合ってみせる。なにがなんでも音楽を奏でなきゃいけないと。
「悲しくてもボロボロでもどん底にいても 弾かなきゃダメなの」
「そうやって私達は生きていく人種なの」
いいですねえこのセリフ!
単純に自信家なのではなく、音楽家としての意識の強さが、彼女の音楽の源なのか。
そしてこの表情です。キリッと明日を見ているのがカッコいい。
そしてなによりこのシーン。公生にコンクールでの伴奏を頼みこむ彼女ですが・・・
予想外の涙に、ページをめくった瞬間にドキッとしました。
あんなに自らへの肯定の言葉を口にしていたのに、なぜ泣いてしまうのか。
でもそりゃそうか、まだ子供なんだもの。味方は欲しいんだ。その瞬間にはこの世界の誰よりも自分を近くから見て支えてくれる、強い味方が。
願わくば、それは同じステージの上に。そしてそれはピアノ伴奏で、公生であって欲しい。
ふいに零れおちてしまった彼女の弱さが、とても印象に残りました。
それでいて公生も公生ですよ!
結局、「女の子ために立ち上がる」という男の子らしい素直で単純な決断!
でもそれくらい衝動的でなきゃ、トラウマ引き摺ってもう一度ステージになんか立てないか。
男の子らしい立ち上がり方じゃないですか。大好きです。
と、わりとストーリーについてばかりお話してしまった「四月は君の嘘」1巻感想でした。
ボーイ・ミーツ・ガールの青春ムードにときめいたり、いちど道を絶たれた状態からの再生に胸熱くさせられたり。やや長いオープニングかと思いますが、それでもじっくりと読ませられます。
メインとなるキャラクターの立ち位置が固まり、そして主人公の再生が始まりました。
本当に最初の大盛り上がりがやってくるのは次の2巻なのでしょう。
それでさらに躍動感ある作品になっていってくれそうですね。
再びステージに上がるのであろう公生は、無事伴奏を成しとげることはできるのか!
今からどんな展開になっていくのか楽しみです。
詩的なタイトルによく合った、全体的に懐かしさや切なさを漂わせる、魅力的な物語となっていると思います。しかし「嘘」なんてちょっと不穏な単語、気になりますね。
さて、いよいよ物語が走り出しました。青春と音楽は、4月にどんな光景を見せてくれるのか。
『四月は君の嘘』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
切なくも熱い青春エネルギーを強く感じる新シリーズ。音楽漫画としても面白くなりそう!
講談社さん、作中登場する挿入歌を実際に聞ける動画を用意しているようです。
→『四月は君の嘘』をもっと楽しむために
→『四月は君の嘘』をもっと楽しむために その2
こちらもチェックしてみては。
これが作中でかをりちゃんが弾いてた「クロイツェル」ですね。
他の作品でも、Youtube等でみれる紹介動画を公式が作ってくれるケースがたまにありますが、紹介記事に使いやすくてなかなかありがたいですね。個人的にもこういうの好きです。