[漫画]明日はきっとあなたと出会う? 『今日のあすかショー』3巻
今日のあすかショー 3 DVD付限定版 (小学館プラス・アンコミックスシリーズ) (2012/09/28) モリ タイシ 商品詳細を見る |
いっそ、潔くヌードモデルとかの方が、自分には向いてるのかな…って!
モリタイシ先生の「今日のあすかショー」3巻が発売されました。
なんとアニメ化ですよ!3巻の限定版もアニメDVD付き。自分はこちらを買いました。
まぁテレビアニメでもOVAでもなく、スマホ向けのアプリか何かで配信されているらしいです。でもこのアニメ、絵もかわいらしくできてますし、結構好き。
Youtubeでも第1話が無料で配信されているので、試しに見てみては。短いですし。
で、前の巻までの感想。
→あすかちゃんの無自覚エロス記録集 『今日のあすかショー』1巻
→見逃せない女の子がここにいます。『今日のあすかショー』2巻
それでは3巻の感想へ。
3巻も全12話収録。
年1冊ペースを崩さないのはじれったくもあり、いい仕掛けだなと思わされもしたり。
季節感を強く打ち出したエピソードがおおい「今日のあすかショー」の単行本は、そのままあすかちゃんが過ごす一年間を観察できるつくりになっています。四季折々のあすかちゃんがいるのです。
人目をひくかわいらしさ。ピュアで天然。でも妙なことを考え込んでしまう面倒な性格。
今日もあすかちゃんは、街ゆく人たちの日常を、ちょっとだけ幸せにしていきます。
単行本紹介にある「ありふれた日常の風景も、彼女が現れれば忘れられない一瞬に変わる!」ということが書いてありますが、まさにそのとおりで。
彼女は特別な存在ではない。普通に学校に通う学生です。だから彼女は日常を壊さない。
彼女と会った人たちが「ああ、今日はなんとなく、いい一日だった」と満足気なため息をもらせるような、そんな存在。
この作品の何が琴線に触れるのかって、シンボルとしてのあすかちゃんなんですよ。
この漫画に登場する男性キャラはさまざまで、年齢もバラけてます。
そしてそれぞれの男たちが、違った見方であすかちゃんを見つめる。
道行くかわいい女の子A。実の娘。友達とじゃれあう少女。バスを追いかける女子高生。少年がある日出会った、ちょっと大人の女性。・・・こんな風に、あすかの立ち位置が毎回けっこー変わる。
で「なんか不思議な女の子だったな…」と思いつつ、幸せになってる。
どんな年になっても、結局かわいい女の子を目で追ってしまうものだ、男というのは。
そしてそれを容認してくれる懐の広さがある女の子なんですよ。だって盗撮されかけても笑った許してるんだもの。どんな娘だ。いい娘すぎるってレベルじゃない。
みんなあすかちゃんと会って、ほんのちょっと日常を乱されて、幸せになっている。
みんながみんな、一瞬だけ近づけたあすかという少女を思い出にするだけ。
恋人にしたいなーとかそういう欲を男側が出す描写があまりないのが面白いですね。
男たちはどこか割り切ってこの女の子を見つめている。
「適当にドライブしてたらなんかいい景色見れたわ」くらいのノリ。
ああ、こんな娘に現実に会えたら楽しそうだなぁ、なんてぼんやり考える心地よさです。この距離感がいいんですよ。あすかちゃんに特定の相手ができたら、なんか複雑だし!
あすかちゃんはみんなのもの。みんなの天使。これだ!(何がだ
くだらなく些細で、ドラマティックなワンシーン。それが男たちを元気づける。
まぁそこらへんの、あすかちゃんに感じる「遠さ」がステキなんだ、っていう話は2巻の時とかにもしてるので重複するんですが、まぁ新刊が出るたびに心に染みるのでまた書いてみました。
そういう「日常に潜むロマン」的要素が自分の心をやさしく刺激してくれる本作。
でもそんな抽象的なことよりももっとシンプルなこと。
小難しいのは置いておいても、あすかちゃんはかわいいんだ。
毎度のことながらあすかちゃんの不思議な行動は、注目せざるを得ない。
ブランコで女の子2人乗りしたらおきたハプニング・・・思わず笑ってしまったw
でもこれなら麻央ちゃん幸せそうだよな・・・!
3巻で好きだったのはこのブランコの話とか、31話「盗撮」36話「小川」とか。
あすかちゃんの天然だけど一筋縄じゃ行かない魅力が、見事に現れていました。
この作品は本当にかるーく読めて気持ちを軽くしてくれますねえ。
モリタイシ先生は個人的にはストーリー作家だと思っているんですが、こういうショートものもすごく楽しい。いでじゅうの時も1話完結エピソード上手かったしな。
あと33話「草食系男子」の話は、なるほどなと思いました。イメージにとらわれすぎていたけど、言われてみれば確かに、違和感がある表現だった。でも結局自己防衛の言い訳系男子オチw
ともかく単純に、かわいくてちょっと不思議な女の子を観察する漫画。
けれどそこになんだかロマンティックな部分も感じられて、面白いです。
まったりリラックスしながら読んで、あすかちゃんの魅力をふわふわ味わう。
『今日のあすかショー』3巻 ・・・・・・・・・★★★★
安定のシリーズ。掴みどころがが有るような無いような・・・不思議な女の子に抱くロマン。
[漫画]ほんとは寂しがりやのあなたに届くように。『星屑クライベイビー』
星屑クライベイビー (マーガレットコミックス) (2012/09/25) 渡辺 カナ 商品詳細を見る |
もしくは たったひとりのキミの所へ。
表紙買い。そして成功。渡辺カナさんの短編集「星屑クライベイビー」の感想です。
ふら~っと売り場をうろついていたら、ノーチェックだったこの単行本を発見。
本当にきれいな表紙で、ついつい手にとってしまいました。内容もばっちり面白かった。表紙買いしてよかったです。収録された4作、どれも気に入りました。
どれも学校を舞台にした青春漫画ですが、それぞれに違った味わいがあります。
●星屑クライベイビー
コミックスの表題作。一冊読み終えても、この作品が1番好きでした。
あとがきで作者も「すごくかきたかった話なので、かけて本当によかった」としていました。月並みですが、たしかにそれだけの情熱が込められているのが感じ取れたかもしれません。
とにかく人あたりのいい、好かれて当然の完璧な転校生の女の子、内藤。
彼女を「宇宙人」として観察をする主人公、そら。
小説家をめざす中で「いいネタを見つけた!」と勝手に内藤さんのまわりをうろつきだすそら君です。しかしひょんなことから内藤さんとの直接的な関わりを持ち、不思議なかたちで2人の絆が深まっていきます。
ヒロインの内藤さんに関しては、もっと描写が欲しかったとは思いました。
主人公の一人称視点のため、彼女の内面的なものが見えてくる場面が少なかったかも。
進行に問題はないですが、もっとじっくり浸るために、もっと描写が欲しかったな。
しかし主人公の少年、そら君には文句なしに素晴らしい演出がされています!
主人公が魅力的に描かれているというのはとても重要。最初こそ、ただひょうきんな男の子かと思いましたが、夢に向かう中での彼の苦悩の見せ方がとてもよかったのです。
宇宙が大好きだった。大きくなって背が伸びれば、もっと近づけると思っていた。
けれど夢だった宇宙飛行士は、背が大きくなるほどに遠くなっていく。
ただ漠然と夢を思い描いているだけじゃ、どうにもならない現実を知る。
自分じゃどうせ叶わない夢だと諦める。けれどそこから違った夢を見つけることができた。
ここ!「爆発した。俺の体は宇宙空間に投げ出され、~」の一連の流れ!
このシーンのインパクトがすごくて、一気に物語の呑まれた感じがあります。
「夢中になる」という感覚が詰めこまれているシーン。
ここからこの主人公を好きになって、クライマックスまで走ります。ちょっと臆病なそら君だけど、おっかなびっくりでも伝えたい言葉を選んで放つ。
自然な流れの中でアツい物語になっているのが素敵。自分なりのやり方で、もう一度宇宙に近づくんだ、と。ひたむきな気持ちで心を支え、行動に起こす主人公。応援したくなります。
これは恋愛漫画ではないですね。この先の2人がどんな関係になるかはわからないけれど、このストーリーで描かれいるのは、友情かなと思う。必死に、離れていきそうな心をつなぎとめたいと思う、ぬくもりだ。そして文章を書くのが好きな人に向けて「あなたの文章が一番素敵だと思ったの」は殺し文句だわなと感じたのであった。
「未来からのメッセージじゃないかな」という、最後の先生の言葉が染みます。
大人になれば君もわかるよ、とも言う。ああなるほど。主人公の最後のモノローグ「何かを捨て、諦めなければいけなかった人達に」がここに繋がるのかな。誰かのために書かれた物語は、きっと人の心を動かすのだ。出来るなら、胸おどるようなファンタジー。それを君に。
●デイ・ドリーム・ビリーバー
ずっと夢ーを見てー、幸せーだったなー。ってアレでしょうか。そんなタイトルの短編。
しょっぱなから主人公が報われることがあるのか、不安になる出だし。
しかしこれがもう染みる染みる。一筋縄ではいかない片思いと、その思い出の物語。
愛とは、その人に幸せになって欲しいと願う気持ち。
そんな言葉がそのままテーマとなっているような作品でした。
主人公はとてもかわいらしく、おまけに献身的で、どうか報われて欲しかったけれどなぁ。「私のこと好きになってほしいって思うんだ。わがままで自分勝手で、ほんとうにごめんなさい…」とかどうしようかと。それが責められてしまったらおしまいだ。幸せになって欲しいと願うのが愛だとしても、それを叶えてあげられる相手に自分が選ばれれば、そりゃ嬉しいんだけど。
とは言え悲劇のヒロインに終わっておらず、きちんとした未来が描かれているのは、複雑ながらもどこか清々しい不思議な読後感。しかし、くっそ切ない。失恋がきちんと描かれている。
でも最後に、がんばったごほうびをもぎ取っていく、少女のしたたかさが微笑ましくもあり…!
「星屑クライベイビー」と一緒に、終わり方が印象に残る作品です。
●ハロー・グッドバイ
前2作がどちらかと言えばビターな味わいでしたが、こちらは甘めの短編。
人として憧れるあまりにその人の恋を応援するばかりの主人公、若菜が主人公。
前の「デイ・ドリーム・ビリーバー」にも通ずる、ちょっと自己犠牲はいったヒロイン像。そのため続けてまさか・・・と思ったものの、いやぁいい!爽やかでキュンとくる、遠回りな恋物語。ニヤニヤできました。
キヨくんのキャラクターもいいなぁ。嫌みのないカッコいい男だ。とは言え、ラストで傷心のままなぁなぁで決断しちゃった感じがあって、大丈夫かよと思いもしたけれどw まぁそこはここぞというところで勝負に出た(偶然ひらめいた形だけど)ヒロインの作戦勝ちということで!
そしてタイトル「ハロー・グッドバイ」へのつなぎも秀逸。そう使うかと。
甘酸っぱく、青春ムードをおもいっきり感じ取れた漫画でした。
そしてふむう主人公がかわいい!!いいツインテールだ!
●リリィは水の上。
人の目が気になるあまり、本当の自分をうまく出すことができない百合乃。空気をよむことに長けており、だからこそ人には好かれやすい。けれど彼女の深いところを知っている人はいない。
しかしある日、いっこ下の男の子に告白されて、彼女の日常は一変するのでした。
これはまっすぐな恋愛漫画だなぁ。コンパクトにまとまっていて、単行本のラストとしてさらりと読み終えていい気持ちを残してくれる感じ。
タイトル通り、主人公が水たまりを駆け抜けるシーンがお気に入りです。
目立つことが嫌いなのに、そうしてまで駆け寄りたかったんだという。行動で示される感情の高ぶりをロマンチックに演出しています。
ちょっと不思議な形ですけど、百合乃さんが意図しないうちに、この男の子の前では素直な自分を出せている。こういうのを見ると、お似合いじゃないかと思ったりする。
そしてエンディングのオマケ漫画がとても微笑ましいです。これも要チェック。
そんな短編集「星屑クライベイビー」でした。
比較的にながめに感想を書いたことからもわかると思いますが、表題作が飛び抜けて好き。
しかし他3作も気に入っています。少女漫画的王道もあれば、ちょっとひねりのきいたものや、胸を打つシリアスな恋物語まで揃っています。1冊中で印象が似た話がないのはいい。
絵柄もポップで読みやすいです。とってもかわいい。しかしイザというときには力強く魅せる絵を置いてくる。表題作ではこれがとてもよかった。
カラーイラストもいちいち綺麗なんだ。コミックスでモノクロになってしまっているけど、ぜひカラーで見たかった・・・。オビに小さくカラーページが載っていたので眺めています・・・。
キラキラとした青春の甘さ、まぶしさ。と同時に胸を疼かせるリリカルな切なさがある。
学生時代に感じる漠然とした将来への不安や、人間関係の悩みもリアルな形で取り込まれています。
しかしどれもが美しい物語。ニヤニヤできて、しっとりできて、いい1冊でした。
『星屑クライベイビー』 ・・・・・・・・・★★★★
甘酸っぱい4作品。美しい表紙に惹かれたらぜひ。新連載があるようなので、そちらも期待。
[漫画]歪んで苦しんで愛しあって、キラキラしてる。『妄想少年観測少女』4巻
妄想少年観測少女 4 (電撃コミックス) (2012/07/27) 大月 悠祐子 商品詳細を見る |
ゆ…指いれちゃ やだ…
発売して結構経ってしまってますが関係ないや。「妄想少年観測少女」の4巻の感想。
これにて完結となります。全4巻・・・もっと読みたかったという気持ちもあり、衝動にあふれたこの作品ならベストかなというタイミングでもあり・・・。
オムニバス形式でいろんなカップルの「ちょっと歪んだ恋」を描き続けてきた本作。
フェチズムを絡めて刺激的なストーリー。少年少女のむき出しな本音がぶつかり合う、青春漫画としてもとても楽しめた作品でした。もちろん恋愛モノとしても、エロも。
なにかに追い詰められているかのように、刹那的に生きる彼ら。
思春期のよどみやらキラめきやら小っ恥ずかしさやらがギュッと詰まった、大好きな漫画です。
→フェチ心あふれる、少年少女の恋愛模様 『妄想少年観測少女』
→欲望にまみれて生きよう少年少女 『妄想少年観測少女』2巻
→この色香に惑わされたい。『妄想少年観測少女』3巻
オムニバス形式でつづられるので、各ペアごとに触れていきたいと思います。
●一ノ瀬陽太/大地花
「妄想少年観測少女」史上、1番まったりのほほんとした癒しカップル!
ヒロインの花は3巻ラストに収められていた短編「恋愛観測」の主人公です。
あの頃はまだ観測者でした。でも今度は、恋をする。
4巻は他のエピソードでも感じましたが、他エピソードとの因果関係も強調されていたかな。
だから「連鎖する」「どんどんと続いていく」というイメージが強まりました。
オムニバスならではの楽しい仕掛けですし、最終巻としてのまとまりも良い!
このエピソードで微笑ましいのは、花ちゃんの変化でしょう。間違いなく。
「見ているだけだったはずが・・・」という転落感。まさに恋におちたというやつである。
見つめることが生きがいだった。見ることで恋をした花。
でも「恋愛観測」ができなくなってしまう瞬間すらきてしまいます。
心がいたんで、まっすぐ見れない。けれどそれは、彼女が変わった証であって。
恋をしている人たちは、キラキラで、眩しくてとても綺麗だと花は言っていました。
そして彼女もまた、星みたいにキラキラする。
その星が輝くのは、好きになってしまった少年の瞳の中、というのが、なんともロマンチックすぎる落としどころだなと思いました。こういう、綺麗に前フリとオチがつながると、どんな作品でも清々しい気持ちにさせられますね。
●繭
番外編みたいなものですね。2巻登場の百合カップルと、清水良介×木乃内リサ。
清水良介×木乃内リサは本作トップクラスにエロいシチュだなと思っていたので再登場嬉しいです。まぁエロいシチュのペアばかり登場する作品ですが・・・あのラストには度肝抜かれましたからね!
あのラストの見開きに至るまでの流れ。なんて艶やかなシーンか・・・!
ひとりよがりな、わがままな欲望に目覚める少年。いや目覚めたんじゃないか。そういう乱暴をしてしまうほど、目の前の相手に狂っているわけで。
いじめられては、女装させられては「男なのに・・・」と悔しがっていた清水くんですが
この時本当にゲスい、けどれ必死でど美しい表情をしています。欲望に忠実でキラキラ。
で、イヤイヤいっておきながら自分から彼の頬に手をそえるリサさんである。
お前らあああああああああああ!!!(笑顔で)
●岡崎透/本田美羽子
これはなんというか、この作品なりの王道だなぁと感じたお話w
この作品は、何かに追い詰めらてるようにして行動を起こすキャラクターたちの、『切羽詰まってる感』だと思っています。このお話はその切羽詰った感じを、ちょっとかわいく仕上げた感じ。
かわいく感じたのは、他のカップルと比べても、「子供のころにしていたピアノ遊びをもう一度しよう」という回帰的な動きがメインだからかな。昔に戻りたいっていうノスタルジーがあって。
けどその子供の頃にしてた遊びっていうのは非常にアブないものです。
幼稚なことかもしれないけど、もう子供じゃない彼らがそれをしたら・・・きっと大変なことになってしまう。本当ならしてはいけないこと。そしてその禁忌を破る。
「こんなことしちゃいけないのに」という意識が常にあることが、よりムードを高めます。
理性におしたおして畳み掛けるエロスです。直情的に暴走するキャラたちを読んでいるとこちらもテンション上がってきますよ。
それは甘美なる禁断の果実。自分たちの意思で、決意で、それを手にする。
少女側が触れ合うことを強く求め、少年がそれに戸惑うばかりの描写がかわいらしいです。
美羽子は・・・うーん、こんな幼馴染いたら道踏み外すわなw
しかし中学2年生でこんなことになって・・・とってもいけないと思います・・・ハフハフ
しかしストレートに性的行為がテーマとなっているぶん、直接的にエロいエピソードだったとも思います。
そういう雰囲気を孕んでる、ほのめかしてる、じゃなくまっすぐにエロい。
けどそこに所有欲だとかサディスティックな気持ちだとかがなく、純粋に2人ともが相手を好きというだけで求め合っている。「昔に戻りたい」は、もう一度ふれあいたいというのを言葉を買えて言っているだけのこと。やはりピュアな構造だと思う。
性行為は、彼らの好きだという気持ちのエネルギーが正方向に向けて解き放たれた結晶でもあります。
長編エピソードでは本編最後に位置するこのエピソードですが、「無垢な恋」も暴走すりゃこうなるんだよ、ってのを見せつけてくれる、「妄想少年観測少女」らしいメッセージだったのかなと。
無垢なら何をしてもいいのかい、と投げかけてるような。結果的にそれは本当に清らかなものだっただろうか。なにが美しく、なにが醜いのか。そういうところにまで言及している気すらします。恋とはすなわちそういうものだろうと。
どんな2人の形であれ、本当にただ綺麗なだけじゃ、きっとつまらないから。
もっと欲しがっていいよ。汚しあっていいよ。それはおかしなことじゃない。
「『好き』の形はたくさんあって、きっとそれらは、ヘンなんかじゃない」
というこのシリーズを総括してのモノローグで〆。素敵です。
●妄想少年観測少女
そしてシリーズ通してのエピローグ。次の主人公にバトンタッチをする内容。
見ているだけだったけど、いつのまにか主人公になっていた少女がいました。
どんどんと繋がって広がっていくからこそ、次の主役がこうして描かれていますね。
「妄想少年観測少女」の世界を完全に閉じはしません。
あとなにげに、恋敗れてしまった女生徒が切なかわいい・・・。好きだな。
ということで、各話?ごとに感想を書いてきました。最後まで楽しませてくれた漫画です。
思春期こじらせて熱にうかされて暴走しちゃうような少年少女の青春とか性春とか、自分は本当に大好きです。この作品はツボをチクチクと、ズクズク刺激してきました。
もちろんエロいです。エロいのはいいですね。でもそれだけじゃない。
心の底から相手を欲しがってしまってどうしようもない。焦燥感と自己嫌悪とその他いろいろな感情に振り回されて、自分でも意味分かんなくなってる感じのキャラクターたち。
彼らの姿は、まさに青春を生きているって感じで、すごく眩しいです。愛らしい。
汚らしい欲望を見せてもいい。ボロボロになってもいい。
ただただ「夢中になっている」その様子が、本当に心に残りました。刻まれました。
いい作品でした。個人的にはこういうドロドロした色っぽい青春漫画の、代表格として記憶しておきたい作品になりました。大月悠祐子先生ありがとうございました。
『妄想少年観測少女』4巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
大好きなシリーズの完結巻。とても楽しめました。微笑ましさがあり、脳がビリビリくるエロスもあり、恋愛漫画として素直に面白かった。欲望に忠実なのは、いいことだ。
[漫画]イチャイチャ百合ちゅっちゅ!『桜Trick』 1巻
桜Trick (1) (まんがタイムKRコミックス) (2012/08/27) タチ 商品詳細を見る |
ウソだよ たくさんキスしてあげるね
タチ先生の「桜Trick」の1巻が発売されています。まんがタイムきららミラク連載作。
「イチャイチャ百合ちゅっちゅ!」とはなんともアタマの悪いタイトルの記事になりましたが、この漫画を読んでる最中の俺のテンションからすれば、これはもう仕方がない。
くおおおおおおおなんぞコレえええええええ
こんなシーンばかりの作品なんです!本当に!激アマ!
ひたすらに女子高生たちがイチャイチャし、気持ちが高ぶってちゅっちゅしまくる。
こんな作品読んだらおかしくなるって。もうずーーーーっとキスしてんの。
あまりにも甘さが強いので、自分の中で過剰摂取にならないように3日くらいかけて読みました。
では今日はこの「桜Trick」の感想をー。
きららミラク創刊号から掲載されている作品です。
4コマ雑誌を定期購読したことなかったので、いいタイミングで登場してくれた雑誌でした。
で読んでみたらこの漫画の第1話にブチあたり・・・凄まじいインパクトに震えた・・・!
その時にはミラク創刊号感想のときにも書きました。
→"自由"がテーマの新4コマ雑誌創刊!『まんがタイムきらら ミラク』創刊号
ゆる~い、ほわほわ~な女の子たちの女子高生ライフのはじまり。
いわゆるきらら系らしい、やさしい雰囲気。最初は少々の百合要素を匂わせる程度でした。
ふむふむ、繊細でかつ柔らかそうな女の子たち、いいじゃないですか!
と思ったらチュッチュしはじめたのである。
「んぅ」
「優ちゃん今声だした 可愛い」
「んむ」
「ううっ声が出ちゃう 春香に聞かれていたらどうしよう…」
「もっと出して優ちゃん」
「もう一度 もう一回だけ」
「ん」
「抑えなきゃ 抑えなきゃ」
「んにゅ」
これは…恥ずかしすぎる・・・。ニヤニヤがとまらんな・・・!!!
というわけでけっこうガチな方向に百合百合している本作。
第1話以降もキスシーンは続きます。ノルマでも課せられているのかと思うくらいに、毎度ちゅっちゅしまくるお約束。
メインとなるキャラクターは2人。
あまえんぼうで照れ屋で花の髪飾りが目立つのが優。わんこみたいなツインテだ。
好きの気持ちををとめられない暴走
基本はアグレッシブに突っ込んでいく春香が優を誘っていくかたち。
優も、春香とのキスが大好きだとは口では言わないけど、態度でまる分かりです。なんにも繕えてない不器用さが最強に愛らしい・・・!
結局のところ、見ていて本を投げ出したくなるくらいに小っ恥ずかしく満開両思いなので
なーんの心配もすることなく、ただただ2人の甘い甘いイチャイチャを堪能するのみ。
ドロドロした黒い感情がうずまく・・・そんな百合ワールドも好きなのですが
こちらはカラッと明るくみずみずしい。ピュアで美しい世界が広がっています。
やってることはキスまでで、2人は満足している様子。
さらにディープな関係に進むことはあるかなぁ。なさそうかも。あったら凄いなw
関係はすでに出来上がっているので、ストーリーや関係進展の要素は薄いかな。
優の姉である美月さんあたりが覚醒するかどうかはカギになりそうですが!
話はズレますが・・・美月さんが今回まで何度も家にやってきているはずの春香の顔を知らなかったのは、どうやらたまたま風邪だったり修学旅行だったりのタイミングらしいです。
そういう日を「狙って」家に上がり込んで春香は優との時間を満喫していたのではないかと・・・そんな適当な妄想をしてしまいました。そんな裏はないかなぁw
作中登場するカップル(?)はほかに2組います。
個人的には恋愛感情ぜんぜんなさそうにつるんでる、ゆずと楓がお気に入り。
主人公たちがベタベタしまくりなので、ほどよい距離感で互いを分かり合ってる感じがほっとします。どっちがより良いということではなく、いろんな女の子2人の関係があるのだなという意味で。
もう一方のしずく&コトネは・・・しずくちゃんが完全にネコでかわいらしいですね。気まぐれだけどちょっと甘えん坊で。小動物チックな魅力あふれてます。あと超受身。
つらつらと書いてきましたが、とにっかく甘い漫画でした。多幸感はんぱない。
各エピソードもほっぺたおちそうに美味なものばかりですが
カバー裏もかきおろしの巻末漫画も、オマケがどれも震えるほど可愛らしく・・・ッッ!
切ない百合漫画が好みなのですが、ここまでハッピーを突き抜けてくれるのも最高です。
もうかわいいとしか言ってない更新になっていますが、仕方ないですよね。
「桜Trick」1巻、最高に幸せな女の子たちのキスが楽しめる作品です。
では最萌えな1コマを紹介して終わります。
もおおぉぉぉマジかわいいな!!
『桜Trick』1巻 ・・・・・・・・・・★★★★
百合チュッチュ最高みゃああああああってことです。溶けてしまいそうな甘い百合キス。
[漫画]甘く淡くちょっと切なく過ぎる14歳の日々。『14歳の恋』2巻
14歳の恋 2 (2012/06/30) 水谷 フーカ 商品詳細を見る |
これが恋でないというなら この胸の音に 何と名前がつくだろう
だいぶ書くのが遅れましたが「14歳の恋」2巻の感想です。熟成させすぎた。
感想書くにあたってまたじっくり読み返してみたのですが、はぁー・・・本当に甘酸っぱい。そして存分にニヤニヤしながら悶絶できる!
恋愛アンソロジー「楽園」で連載されている本作は、そのタイトルどおりの思春期まっさかりな男女の恋がやさしく触れ合って読者が爆発する青春漫画。なんじゃそりゃという感じでしょうが、私は奇声を上げるのをこらえながら読んでいます(断言)。
ノスタルジックで軽やかな空気で満ちており、とても雰囲気がいい。
思春期のいじらしい恋心に、なにげない日常が彩られていく。ああ爽やか。
表紙もかわいらしい。意図しているのかな。2人で作る空色のハートマーク。
「2年B組の田中彼方と吉川和樹は、周りに比べて大人っぽい」
この作品を象徴するかのような一節です。
この巻のオープニングをかざる第6話は、この一節をさらに深める形で、14歳の身体にやってくる変化を、そしてそれに戸惑う彼らを描いた内容。
2人がお互いの身体の成長を感じ取るエピソードで、しょっぱなから破壊力バツグンです!
「いつのまに こんなに変わっていたんだろう」なんて、相手の変化にドキマギする。
少年は少女に、少女は少年に。
小学生のころと同じ感覚で触れ合って、でも相手の意外な柔らかさやたくましさを知ってちょっと気まずくなって・・・あああああもどかしい!かわいい!!
で、恐る恐る確かめるように「触っても、いい?」ですよ。顔真っ赤にしちゃって。
相手の身体がこんなに変わっているということにドキドキする彼らですが
でも「自分が大人の身体になってきている」なんて自覚はできていないようで。
いやいや、相手もそうだけど、あなたも自分が思ってるより大人になってるんですよ。
そういう意識と身体のすれ違いやアンバランスさも思春期の愛おしさよジ゙ュルリ
彼方が和樹ののどぼとけを見て大興奮する第8話とかも、微笑ましさで爆発しそう。
主人公2人は相変わらずと言えば相変わらずな青春を直進している横で
2巻はサブキャラクターらの魅力が存分に発揮された内容でもあったと思います。
ガラが悪くてクラスメートの大半は近寄りがたく思っている長井くんですが
彼が日野原先生におちょくられるシーンはいちいちニヤけてしまうw
日野原が隠し持つS属性をうずかせてしまうばかりに、長井くんは結構ヒドい目に・・・。
たしかに長井くんはヒネクレ者なのか、クラスで浮いた存在ですけども、14歳のそれなんてそこの知れたものというか。
いやそこがしれない人や場合もあるだろうけど、長井くんは多分チョロい(色々)。そういうのを簡単に見破れてしまう先生だから出来るんだろうなぁ。
しかし!しかしですよ!2巻でもっともニヤけてしまうシーンはこれですよ!
ぐもーっ!先生ー!!
些細なことで起きた形勢逆転。けれどそんな時にちょっとだけ大切にされて、この照れ顔であります。なんなのこれ。普段の強気なあの先生がこんな・・・・・・乙女か!!乙女だわ!!!
ということで最高にかわいい日野原先生に胸いっぱいになるのです。
そしてここで普段の仕返しなんてできない、根本的な部分でイイコな長井くんにほっこり。
ここにも14歳の恋がある。
そして2巻からの新キャラクター、志木さんも注目したいところ。
周囲にあかせない恋をしているという点で彼方と和樹も切ない境遇ですが、志木のそれはさらに辛いな。彼女のモノローグはいつもチクリと心に刺激がくる。
しかしそれでもひたむきに恋に向かっていく志木さんの姿も、やはり眩しい。
「14歳の恋」というタイトルだけあり、ここにもまた、1つの美しい恋がある。
ちなみに2巻の書き下ろしはこの志木さんが主人公のエピソードで恋におちる瞬間の彼女を見ることができます。このシーンのなんと美しいこと。俺の心のやわい部分がそろそろ悲鳴をあげる。
1コマ1カットそれぞれがハッとさせられるくらい鮮やかにキマる瞬間が多々あって、水谷フーカ先生の漫画の上手さを感じます。なめらかに流れていくような読みやすさと美しさを備えた演出に惚れ惚れします。
水谷フーカ先生といえば「ロンリーウルフ・ロンリーシープ」などの百合漫画群もたまりませんが、個人的には「14歳の恋」は飛び抜けて好きかもしれないなと。
14歳という年齢が持つ不安定さを実に上手に描き出している。悶絶につぐ悶絶である。
主人公だけじゃなくサブキャラたちの活躍も目覚しいのは、記事で書いたとおり。
けれど彼らが特別ではなくて、14歳のみんなそれぞれに変化は訪れている。密かに大きく変わっていく、その只中にある中学生たちは、ノスタルジーを掻き立てられるじゃないですか。
男と女がハッキリしだして、妙に意識しすぎて空回ししてうまくいかなくて・・・そんななんだか痛々しくも甘く懐かしいあの頃が蘇るみたい。あの微妙な空気をうまく閉じ込めています。
この作品はそんなに熱血で膨大なエネルギーを蓄えた作品、というわけではないと思います。あくまで作品事態はとても軽やかで爽やかで、心地いいものです。
けれどこの作品が読者に残していく興奮は、読んだそばから自分自身の中で膨張してはちきれんばかりになっていく。たまらず胸をキュンとさせてくれる。なんかもうたまらなくなる。
14歳の恋は甘くて、苦々しくて、強くて弱くて。素敵。
『14歳の恋』2巻 ・・・・・・・・・・★★★★
この雰囲気、ツボだなぁ。甘く淡く軽やかに、確かに感情を揺さぶる中学生の恋。