[CD]「ラブライブ!」TVアニメ第1期関連の全曲感想
「ラブライブ!」第2期、毎週の最大の楽しみになっています。
最新の8話が素晴らしく、来週に期待が上がりすぎて、楽曲を聴きまくっていたらまた感想を残しておきたくなりました。
去年リリースされたベスト版の全曲感想はしましたが
それ以降感想をあげてはいなかったので、けっこうたまっているんですよ。
前回→アニメからハマった勢いでラブライブ!ベスト盤全曲感想
それでとりあえず、今回はテレビアニメ1期関連の曲感想をやっていきます。
また時間を見つけて残りのものをやっていけたらなと思います。
今回感想をかくのは、これらのCDやBDで聴くことができる楽曲。
・『僕らは今のなかで』
アニメからの新参なのではじめて耳にしたラブライブの曲はこれでした。
イントロの旋律だけで涙腺が震える…!
「楽しいだけじゃない、試されるだろう だってその苦しさもミライ」
現実の厳しさを理解しつつそこにぶつかっていく強さ。オープニングナンバーにふさわしい強烈なメッセージ性が押し出され、それでいてとてもポップ。アイドルとしての彼女たちの魅力が凝縮された、まさに代表曲と呼べるものではないだろうか。
サビの「怖がるクセは捨てちゃえ!」のメロディで拳を突き上げるととてもアツいのでオススメ。
「ラブライブ!」という物語にぴったりと寄り添い、エヴァーグリーンな輝きを放つアンセム。
・『WILD STARS』
μ'sとしては他にはない低音でせめるクールな一曲。
すこし攻撃的なイメージが浮かび、シリアスな曲展開にしびれる。Bメロの、一旦気分をセンチメンタルに浸らせるかのような美しいメロディが特に好き。
恋愛のはじまりを歌った内容だけど、それだけではなく、立ち向かう強さを秘めているかのような内容で、テーマをひとつには絞ってはいない。
ライブでのパフォーマンスでさらに好きになったような感じもありますね。振り付けがちょっと独特な感じで良かった。
・『きっと青春が聞こえる』
Aのメロは抑え、Bメロで上向き、サビで羽ばたくような、きれいなメロディライン。センチメンタルなムードを漂わせつつも幸福感たっぷり。
メンバー同士の友情や絆を感じさせてくれる歌詞がしみますよねぇ。μ’sという内側にも、リスナーという外側へも響くような、世界すべてに捧げられたような歌詞。
こういうのはほかの曲でもありそうだけど、この曲は不思議と“こちら”に向けて響いてくるような、いやラブライブの世界とこの世界が本当に繋がれたかのような、親密さとスケールの大きさを感じる。
不思議と、慈しむような優しい歌声に感じてしまう曲でもある。
あとカラオケで歌うとサビの難易度が何気に高い、と思う。
・『輝夜の城で踊りたい』
フィーバー!と始まるパーティーチューン。正直ありえないくらいクオリティが高いと思う…!アイドルソングとして完璧なんじゃないだろうか。
掛け声が豊富に挿入されていて単純に聞いていて賑やかで、楽しすぎる。
間奏のメンバーのセリフ回し箇所もあざとすぎて、そこだけ何度も聞いてしまったり。でも曲そのものの魅力がズバ抜けていている。
いい意味で媚びッ媚び!とにかく聞いて楽しいという意味ではトップクラスの楽曲。
これはライブでもセットリストの定番化して欲しいものです。
・『ススメ→トゥモロウ』
2年生3人の楽曲。
グイグイ加速させる演奏気持ちいい、急かすドラムにどっしり存在感のあるベース。演奏の格好良さもさることながら、積極的に合いの手を入れていくサビは、平時に聞いていてつい「ハイハイハイ!」と入れてしまいたくなる、魔法のようにキュートな吸引力。
この曲のうみちゃんの歌声が半端なくタイプだったりする。いちばん可愛く聞こえる。 アニメでの投げキッスも決まってたなぁ…。。
個人的にはこの曲中の穂乃果の腕まくりシーンが大好きなので、聞くと腕まくりしたくなる。俺がアニメ1話で最初に心掴まれたのはあの腕まくりシーンだから……!!
・『START:DASH!!』
アニメ一期の核となった大切な曲。μ’sのはじまりとなったナンバーであり、その意味合いは大きい。 特別な存在感を放っています。
闇の中でもがくような懸命さを感じるも、あくまでも希望を絶やさない。悲しみをたたえたようなイントロから、溌剌とした歌声が乗ってきた段階で、まるで火がついたかのように胸が熱くなる。
この曲は3人バージョンで、のちに9人で歌ったものもリリースされますが彼女たちのルーツとして、プレイリストに欠かすことのできない、欠けるなんてあり得ない、原石の魅力むきだしのマスターピース。
曲の良さと同時に、その背景にあるドラマ、重ねられた感情、宿った決意……それらが「START:DASH!!」を特別なステージへと押し上げる。
・『これからのSomeday』
生徒会3年生ペアを除いた7人の歌唱。ポップながらもどっしりブ厚いサウンドが魅力。ベースが目立つ。暴れている。ギターもシャキシャキしたカッティングでサウンドを軽快にしあげる。
楽しいことを楽しみ抜こうという姿勢が気持ちがいいポップナンバー。「いつの日か」と繰り返していく歌詞には、まさに夢見る少女たちの輝きが詰まっている。
ワクワクと浮き足立つ感情を反映したようなメロディがツボです。サビラストの「まだまだまだ……」「もっともっともっと……」と繰り返すあたりとか、キューンと胸掴まされる!女の子のわがままさを感じるようなフレーズでたまらない。
衣装の可愛らしさも特筆すべきポイント。あざとさはトップクラスですなぁ!
・『Wonder zone』
五本指ソックス!気持ちいい……!
ことりちゃん専用……とは言わないでまでもバッチリとセンターを飾った、ことりちゃんのポップソング。
人だけではなく、繋がれる“場所”の素晴らしさ。楽しませたいし、自分達も楽しみたい。とにかく、「場」への憧れ、感謝、希望、それらがつまっている歌詞がいいですねえ。
それでいて「泣かずにがんばらなきゃ輝けないね!」など、なかなかに男らしいフレーズが加わる。
曲の個性としてはやや埋没しがちなライン(あくまでも個人的に…)なんだけれど、ラブライブ楽曲は曲にドラマ性を与えることで影の薄い曲が出来ないのが素敵だなと思う。
・『No brand girls』
一気に駆け出すギターリフ!アップテンポなロックナンバー。軽快なメロディでまとまっている。とにかく、コールが楽しい曲でもある。振り付けも、ライブで練習したので思い出深いw
個人的にははまりやすく飽きやすく回帰しやすい曲。この凄まじいノリのよさは、インスタントにテンションをあげるのに向く。そのため個人的にはエナジードリンク的な扱いとして、普段はあまり聞かなかったりする。
トップクラスに前向きでソウルフルなサビ歌詞になんど励まされたか。ここぞと言うときに聞きたい。
黒レザーのテカテカ衣装も、イイヨネ!
あとこれはどうでもいいけど、このCDのジャケットの真姫ちゃんはなにそのポーズ???
・『START:DASH!!』(9人ver)
9人バージョン。
これぞミューズが誇る名曲。もう九人で歌っているという事実がすでに涙を誘うわけで卑怯。
シリアスな曲調で、なんて朗らかな歌声たちだろう。本当に歌の女神か。
3人バージョンの所で書いたことが大体、そのままここにも当てはまるのであとは省略。
全てが始まったこの曲を改めて9人で歌う。その価値は計り知れないけれど、観客のいないステージで3人だけで歌ったあのシーンこそが、この曲のエネルギーが最も高まっていた瞬間だなと感じる。
ここから先がBD特典曲になります。1巻から7巻のものまで順に。
・『夢なき夢は夢じゃない』
ファイトだよっ!
イメージはランニングを隣で応援してくれる女子マネ。らしい穂乃果ソロ曲。ともかく自転車にまたがって登場し歌い出したライブパフォーマンスが強烈すぎてあの光景ばかりが思い出される……。
ほのからしい、とにかく百パーセントの元気で畳み掛けるナンバー。
「君」への熱烈な応援歌であり、自信たっぷりに背中を押してくれる口調には穂乃果の良さがばっちり出ているよなぁ。「君」への信頼と、揺るがない自分の自信。私が応援してるんだから絶対大丈夫って歌うんですよ。これがすごい。アイセイッファーイ!
・『Anemone heart』
思い出せ。君は眼に焼き付けたか。あの腰つきを―――。
なんのこっちゃわからなくてもアレです。4thライブ1日目の模様はアニメ2期BD映像特典になるらしいので、それを見ましょう。
海未ちゃんとことりちゃんのデュエット曲は、淡い情欲のほとばしるクールでアダルトなナンバー。アニメ1期を見ていた段階ではこの2人の関係に特別燃えるものを感じていなかった鈍感な俺も、この曲の破壊力により開眼できました。
ここまでまっすぐなガチレズリリックを綴り世に出してしまったわけだけど、園田さん大丈夫なのかしら。
心の性感帯ズキズキうずかせる少女たちの色香が全開。
・『なわとび』
花陽ソロは泣きメロ炸裂の名バラード。心の底から丁寧に歌い上げる様子がたやすくイメージできる、やさしい熱唱は聴き応え抜群。
アニメ1期第4話とシンクロした内容となっており、不安げに揺れる心情と溢れる感謝が織り込められています。タイトルを含め、この内容を「なわとび」で例えたあたり抜群のセンスを感じる。
サビメロの起伏なんか、まるで思い出をなぞるような理想的な旋律。クサいメロディがズバンとストライクで決まる。
「孤独なHeaven」といい「なわとび」といい、かよちんソロ曲は不思議と琴線に触れる、触れまくる。泣けちゃった、ごめんね…。歌声が好きなのかもしれない。
ライブでもこの曲のパフォーマンスは二度共、涙腺が緩んだ。
・『Beat in Angel』
凛と真姫のデュエットソングは、ユーロビート色の強いアップテンポ・ナンバー。BD特典曲では1番好きだったりする。まじエンジェーゥ!
凄まじくポップなメロディーとギラギラしたアレンジが異様にハイテンション。一昔前のエイベックス系をなんとなく彷彿とさせるような感覚。
”やがて 「ふたりきりになりたい病気」になる 甘い薬をあげましょう”
”いずれ 「くちびるを奪いたい病気」になる 強い薬をあげましょう”
こんな必殺フレーズがガンガン飛び交い、相当にリスナーを煽ってくる。
普段あんなキャラなのに自分の持ち歌はこんなんばっかりな真姫ちゃん可愛いし、無邪気に挑発歌詞を歌いこなす凛ちゃんもかわいいし、もう聞くたび“Break Down!”
・『にこぷり♡女子道』
きたー!徹底して自分のキャラの押し出しくる強烈な自己紹介ナンバー。まさに彼女にとっての名刺代わりのような一曲となっています。
とは言え彼女はあくまでも、こういう舞台裏を感じさせない「完璧なアイドルとしての私」を提供としようと自己研鑚しているストイックな人間。この曲では結構そういう舞台裏を明かしてしまっているので、「こういう努力をしてかわいく作っている私」という像をひとつの別キャラクターとして分離させた上で歌っている、実はかなり器用な曲なのかもしれない。いやそうだろうか…?
”痛さも本気 悪いか本気さ それがにこの「女子道」”
とこれまた胸打たれるキラーフレーズ。素で喧嘩上等のファイティングポーズをかましてくるのが彼女の魅力。誇らしく自分を掲げるその強さ。
一番おもしろいのは「守りたくなるはずでしゅ」の部分。そのキャラ付けはいかがなものか。
・『硝子の花園』
デーデッデーと言えばこの曲。希と絵里のデュエットナンバー。
タイトルからイメージさせる通りの、歌謡曲ムードが濃い一曲。イントロから「ラーーラーラーララーラーラー♪」とコーラスに入る、いい意味で古めかしい演出。
しかしてその内容は過去のラブライブ楽曲でもズバ抜けてエロティック。園田式リリック術の真髄。
「Anemone heart」が至るまでとすれば、「硝子の花園」の世界観はすでに致してしまいそれがもう何度も、何度も繰り返されているような。閉じた楽園の中で幸福感と痛みと切なさを抱え、絡まる糸のようにふたりベッドに沈む。そんなイメージが湧く。
恋愛の対象が明らかに女性として描写されており、圧倒的なガチレズパワーが爆発した耽美な魔曲。
・『LONELIEST BABY』
最後は9人全員で歌う、オシャレなカッティングギターで幕を開けるパーティチューン。ディスコ調なサウンドは、涼しげなのに熱を帯びているような不思議な温度。
恋愛のことのようで、μ’sがリスナーに語りかける応援歌のようでもあり、どちらとしても楽しく聴くことができる。
この曲は絵里の歌唱が輝いていますね。間奏後のブリッジ部分での「アイラブユー♪」の歌い方の、ちょっと甘えたような発声には心射抜かれてしまう…!
こういうちょっとディスコ調のサウンドの曲、輝夜とかもそうだけど、とても好きなのです。
そんな感じで以上、アニメ1期関連曲の感想でした。
そのうちアニメ2期曲の感想にも着手したい。それ以外にもまだ感想かいてない曲たくさんあるなぁ。
二期BDにも当然、新曲がついてくるということで、それもとてもとても楽しみです。
えっ、1期関連の全曲感想とつけておいて「ぷわぷわーお!」の感想が無い?
……察せ!!
最新の8話が素晴らしく、来週に期待が上がりすぎて、楽曲を聴きまくっていたらまた感想を残しておきたくなりました。
去年リリースされたベスト版の全曲感想はしましたが
それ以降感想をあげてはいなかったので、けっこうたまっているんですよ。
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それでとりあえず、今回はテレビアニメ1期関連の曲感想をやっていきます。
また時間を見つけて残りのものをやっていけたらなと思います。
今回感想をかくのは、これらのCDやBDで聴くことができる楽曲。
僕らは今のなかで【DVD付】 (2013/01/23) μ\'s 商品詳細を見る |
・『僕らは今のなかで』
アニメからの新参なのではじめて耳にしたラブライブの曲はこれでした。
イントロの旋律だけで涙腺が震える…!
「楽しいだけじゃない、試されるだろう だってその苦しさもミライ」
現実の厳しさを理解しつつそこにぶつかっていく強さ。オープニングナンバーにふさわしい強烈なメッセージ性が押し出され、それでいてとてもポップ。アイドルとしての彼女たちの魅力が凝縮された、まさに代表曲と呼べるものではないだろうか。
サビの「怖がるクセは捨てちゃえ!」のメロディで拳を突き上げるととてもアツいのでオススメ。
「ラブライブ!」という物語にぴったりと寄り添い、エヴァーグリーンな輝きを放つアンセム。
・『WILD STARS』
μ'sとしては他にはない低音でせめるクールな一曲。
すこし攻撃的なイメージが浮かび、シリアスな曲展開にしびれる。Bメロの、一旦気分をセンチメンタルに浸らせるかのような美しいメロディが特に好き。
恋愛のはじまりを歌った内容だけど、それだけではなく、立ち向かう強さを秘めているかのような内容で、テーマをひとつには絞ってはいない。
ライブでのパフォーマンスでさらに好きになったような感じもありますね。振り付けがちょっと独特な感じで良かった。
きっと青春が聞こえる (2013/02/06) μ\'s 商品詳細を見る |
・『きっと青春が聞こえる』
Aのメロは抑え、Bメロで上向き、サビで羽ばたくような、きれいなメロディライン。センチメンタルなムードを漂わせつつも幸福感たっぷり。
メンバー同士の友情や絆を感じさせてくれる歌詞がしみますよねぇ。μ’sという内側にも、リスナーという外側へも響くような、世界すべてに捧げられたような歌詞。
こういうのはほかの曲でもありそうだけど、この曲は不思議と“こちら”に向けて響いてくるような、いやラブライブの世界とこの世界が本当に繋がれたかのような、親密さとスケールの大きさを感じる。
不思議と、慈しむような優しい歌声に感じてしまう曲でもある。
あとカラオケで歌うとサビの難易度が何気に高い、と思う。
・『輝夜の城で踊りたい』
フィーバー!と始まるパーティーチューン。正直ありえないくらいクオリティが高いと思う…!アイドルソングとして完璧なんじゃないだろうか。
掛け声が豊富に挿入されていて単純に聞いていて賑やかで、楽しすぎる。
間奏のメンバーのセリフ回し箇所もあざとすぎて、そこだけ何度も聞いてしまったり。でも曲そのものの魅力がズバ抜けていている。
いい意味で媚びッ媚び!とにかく聞いて楽しいという意味ではトップクラスの楽曲。
これはライブでもセットリストの定番化して欲しいものです。
ススメ→トゥモロウ/START:DASH!! (2013/02/20) μ\'s 商品詳細を見る |
・『ススメ→トゥモロウ』
2年生3人の楽曲。
グイグイ加速させる演奏気持ちいい、急かすドラムにどっしり存在感のあるベース。演奏の格好良さもさることながら、積極的に合いの手を入れていくサビは、平時に聞いていてつい「ハイハイハイ!」と入れてしまいたくなる、魔法のようにキュートな吸引力。
この曲のうみちゃんの歌声が半端なくタイプだったりする。いちばん可愛く聞こえる。 アニメでの投げキッスも決まってたなぁ…。。
個人的にはこの曲中の穂乃果の腕まくりシーンが大好きなので、聞くと腕まくりしたくなる。俺がアニメ1話で最初に心掴まれたのはあの腕まくりシーンだから……!!
・『START:DASH!!』
アニメ一期の核となった大切な曲。μ’sのはじまりとなったナンバーであり、その意味合いは大きい。 特別な存在感を放っています。
闇の中でもがくような懸命さを感じるも、あくまでも希望を絶やさない。悲しみをたたえたようなイントロから、溌剌とした歌声が乗ってきた段階で、まるで火がついたかのように胸が熱くなる。
この曲は3人バージョンで、のちに9人で歌ったものもリリースされますが彼女たちのルーツとして、プレイリストに欠かすことのできない、欠けるなんてあり得ない、原石の魅力むきだしのマスターピース。
曲の良さと同時に、その背景にあるドラマ、重ねられた感情、宿った決意……それらが「START:DASH!!」を特別なステージへと押し上げる。
これからのSomeday/Wonder zone (2013/03/06) μ\'s 商品詳細を見る |
・『これからのSomeday』
生徒会3年生ペアを除いた7人の歌唱。ポップながらもどっしりブ厚いサウンドが魅力。ベースが目立つ。暴れている。ギターもシャキシャキしたカッティングでサウンドを軽快にしあげる。
楽しいことを楽しみ抜こうという姿勢が気持ちがいいポップナンバー。「いつの日か」と繰り返していく歌詞には、まさに夢見る少女たちの輝きが詰まっている。
ワクワクと浮き足立つ感情を反映したようなメロディがツボです。サビラストの「まだまだまだ……」「もっともっともっと……」と繰り返すあたりとか、キューンと胸掴まされる!女の子のわがままさを感じるようなフレーズでたまらない。
衣装の可愛らしさも特筆すべきポイント。あざとさはトップクラスですなぁ!
・『Wonder zone』
五本指ソックス!気持ちいい……!
ことりちゃん専用……とは言わないでまでもバッチリとセンターを飾った、ことりちゃんのポップソング。
人だけではなく、繋がれる“場所”の素晴らしさ。楽しませたいし、自分達も楽しみたい。とにかく、「場」への憧れ、感謝、希望、それらがつまっている歌詞がいいですねえ。
それでいて「泣かずにがんばらなきゃ輝けないね!」など、なかなかに男らしいフレーズが加わる。
曲の個性としてはやや埋没しがちなライン(あくまでも個人的に…)なんだけれど、ラブライブ楽曲は曲にドラマ性を与えることで影の薄い曲が出来ないのが素敵だなと思う。
No brand girls / START:DASH!! (2013/04/03) μ\'s 商品詳細を見る |
・『No brand girls』
一気に駆け出すギターリフ!アップテンポなロックナンバー。軽快なメロディでまとまっている。とにかく、コールが楽しい曲でもある。振り付けも、ライブで練習したので思い出深いw
個人的にははまりやすく飽きやすく回帰しやすい曲。この凄まじいノリのよさは、インスタントにテンションをあげるのに向く。そのため個人的にはエナジードリンク的な扱いとして、普段はあまり聞かなかったりする。
トップクラスに前向きでソウルフルなサビ歌詞になんど励まされたか。ここぞと言うときに聞きたい。
黒レザーのテカテカ衣装も、イイヨネ!
あとこれはどうでもいいけど、このCDのジャケットの真姫ちゃんはなにそのポーズ???
・『START:DASH!!』(9人ver)
9人バージョン。
これぞミューズが誇る名曲。もう九人で歌っているという事実がすでに涙を誘うわけで卑怯。
シリアスな曲調で、なんて朗らかな歌声たちだろう。本当に歌の女神か。
3人バージョンの所で書いたことが大体、そのままここにも当てはまるのであとは省略。
全てが始まったこの曲を改めて9人で歌う。その価値は計り知れないけれど、観客のいないステージで3人だけで歌ったあのシーンこそが、この曲のエネルギーが最も高まっていた瞬間だなと感じる。
ここから先がBD特典曲になります。1巻から7巻のものまで順に。
ラブライブ! 1 <特装限定版> [Blu-ray] (2014/05/28) 新田恵海、南條愛乃 他 商品詳細を見る |
・『夢なき夢は夢じゃない』
ファイトだよっ!
イメージはランニングを隣で応援してくれる女子マネ。らしい穂乃果ソロ曲。ともかく自転車にまたがって登場し歌い出したライブパフォーマンスが強烈すぎてあの光景ばかりが思い出される……。
ほのからしい、とにかく百パーセントの元気で畳み掛けるナンバー。
「君」への熱烈な応援歌であり、自信たっぷりに背中を押してくれる口調には穂乃果の良さがばっちり出ているよなぁ。「君」への信頼と、揺るがない自分の自信。私が応援してるんだから絶対大丈夫って歌うんですよ。これがすごい。アイセイッファーイ!
・『Anemone heart』
思い出せ。君は眼に焼き付けたか。あの腰つきを―――。
なんのこっちゃわからなくてもアレです。4thライブ1日目の模様はアニメ2期BD映像特典になるらしいので、それを見ましょう。
海未ちゃんとことりちゃんのデュエット曲は、淡い情欲のほとばしるクールでアダルトなナンバー。アニメ1期を見ていた段階ではこの2人の関係に特別燃えるものを感じていなかった鈍感な俺も、この曲の破壊力により開眼できました。
ここまでまっすぐなガチレズリリックを綴り世に出してしまったわけだけど、園田さん大丈夫なのかしら。
心の性感帯ズキズキうずかせる少女たちの色香が全開。
・『なわとび』
花陽ソロは泣きメロ炸裂の名バラード。心の底から丁寧に歌い上げる様子がたやすくイメージできる、やさしい熱唱は聴き応え抜群。
アニメ1期第4話とシンクロした内容となっており、不安げに揺れる心情と溢れる感謝が織り込められています。タイトルを含め、この内容を「なわとび」で例えたあたり抜群のセンスを感じる。
サビメロの起伏なんか、まるで思い出をなぞるような理想的な旋律。クサいメロディがズバンとストライクで決まる。
「孤独なHeaven」といい「なわとび」といい、かよちんソロ曲は不思議と琴線に触れる、触れまくる。泣けちゃった、ごめんね…。歌声が好きなのかもしれない。
ライブでもこの曲のパフォーマンスは二度共、涙腺が緩んだ。
・『Beat in Angel』
凛と真姫のデュエットソングは、ユーロビート色の強いアップテンポ・ナンバー。BD特典曲では1番好きだったりする。まじエンジェーゥ!
凄まじくポップなメロディーとギラギラしたアレンジが異様にハイテンション。一昔前のエイベックス系をなんとなく彷彿とさせるような感覚。
”やがて 「ふたりきりになりたい病気」になる 甘い薬をあげましょう”
”いずれ 「くちびるを奪いたい病気」になる 強い薬をあげましょう”
こんな必殺フレーズがガンガン飛び交い、相当にリスナーを煽ってくる。
普段あんなキャラなのに自分の持ち歌はこんなんばっかりな真姫ちゃん可愛いし、無邪気に挑発歌詞を歌いこなす凛ちゃんもかわいいし、もう聞くたび“Break Down!”
・『にこぷり♡女子道』
きたー!徹底して自分のキャラの押し出しくる強烈な自己紹介ナンバー。まさに彼女にとっての名刺代わりのような一曲となっています。
とは言え彼女はあくまでも、こういう舞台裏を感じさせない「完璧なアイドルとしての私」を提供としようと自己研鑚しているストイックな人間。この曲では結構そういう舞台裏を明かしてしまっているので、「こういう努力をしてかわいく作っている私」という像をひとつの別キャラクターとして分離させた上で歌っている、実はかなり器用な曲なのかもしれない。いやそうだろうか…?
”痛さも本気 悪いか本気さ それがにこの「女子道」”
とこれまた胸打たれるキラーフレーズ。素で喧嘩上等のファイティングポーズをかましてくるのが彼女の魅力。誇らしく自分を掲げるその強さ。
一番おもしろいのは「守りたくなるはずでしゅ」の部分。そのキャラ付けはいかがなものか。
・『硝子の花園』
デーデッデーと言えばこの曲。希と絵里のデュエットナンバー。
タイトルからイメージさせる通りの、歌謡曲ムードが濃い一曲。イントロから「ラーーラーラーララーラーラー♪」とコーラスに入る、いい意味で古めかしい演出。
しかしてその内容は過去のラブライブ楽曲でもズバ抜けてエロティック。園田式リリック術の真髄。
「Anemone heart」が至るまでとすれば、「硝子の花園」の世界観はすでに致してしまいそれがもう何度も、何度も繰り返されているような。閉じた楽園の中で幸福感と痛みと切なさを抱え、絡まる糸のようにふたりベッドに沈む。そんなイメージが湧く。
恋愛の対象が明らかに女性として描写されており、圧倒的なガチレズパワーが爆発した耽美な魔曲。
・『LONELIEST BABY』
最後は9人全員で歌う、オシャレなカッティングギターで幕を開けるパーティチューン。ディスコ調なサウンドは、涼しげなのに熱を帯びているような不思議な温度。
恋愛のことのようで、μ’sがリスナーに語りかける応援歌のようでもあり、どちらとしても楽しく聴くことができる。
この曲は絵里の歌唱が輝いていますね。間奏後のブリッジ部分での「アイラブユー♪」の歌い方の、ちょっと甘えたような発声には心射抜かれてしまう…!
こういうちょっとディスコ調のサウンドの曲、輝夜とかもそうだけど、とても好きなのです。
そんな感じで以上、アニメ1期関連曲の感想でした。
そのうちアニメ2期曲の感想にも着手したい。それ以外にもまだ感想かいてない曲たくさんあるなぁ。
二期BDにも当然、新曲がついてくるということで、それもとてもとても楽しみです。
えっ、1期関連の全曲感想とつけておいて「ぷわぷわーお!」の感想が無い?
……察せ!!
[漫画]ラジオはお好きですか?『満ちても欠けても』2巻
満ちても欠けても(2)<完> (KCデラックス) (2014/05/13) 水谷 フーカ 商品詳細を見る |
あなたの耳に届いていますでしょうか?
「満ちても欠けても」2巻、最終巻の感想です。
前回「14歳の恋」4巻で更新しましたが、同作者の作品。
主にラジオ局に務める人間を描いたお仕事漫画です。その点かなり「14歳の恋」とは違ったものですが、水谷フーカ先生らしい優しさがあふれている!
人間のちょっとかわいらしい部分がクローズアップされているのが胸をくすぐります。
それでいて、いかに仕事と向き合うか、という熱いテーマも押し出されており、今回で完結しましたがこの作家さんの作品でもかなり好きな部類に入りますね…!
お仕事漫画といっても雰囲気はふんわりとしていて説教臭くない、優しく応援されているような心地がするのです。
ラジオという“不完全なメディア”に愛と情熱を燃やす人々。実はよく知らないそのお仕事の裏側を覗くことができます。シナリオ・ネームを現役アナウンサー(界隈的にはわりと有名な吉田尚記氏)が監修しています。
「満ちても欠けても」は一話完結のオムニバス形式。
どこからでも読めるし、「自分はこのエピソードが1番好きだ」という意見もかなりバラつきがあると思います。
全13話のなかで様々な主人公が登場し、しっかりとその一話の中でその章が完結している。そして読み進め、いろんな人の感情が積もり積もることで、「ラジオの良さ」が様々な角度から集約されていく。
思い思いに救われたり、夢中になったり、励まされたり、なにより聞いている時間が楽しい!
そんな、ラジオへの恋を描いた作品だと思います。
毎回、その回の主役が「ラジオはお好きですか?」という問にこたえ、幕が下りる。
その言葉も個性が出てきて面白いし、読後感のいい演出で好きでした。
作中ではラジオは音でしか伝えられない不完全なメディアと言いつつ、この作品はだからこそラジオの魅力を丁寧に拾い上げていく。
映像はない、音だけの世界。
だからこそ空間のなかに気楽に漂うことができ、ひと人の心を掴んでしまう瞬間がある。どうしようもなく悩む時、ふとラジオから流れるその声、音楽、言葉から、熱いものを感じることがある。
“だからこそ”の部分が魅力的に描かれているんですよね。
ラジオだからこそできるリスナーとのリアルタイムのゆるいつながりとか、急な企画を急につくれてしまうとか。
第10話を例に出しますが、突貫で新コーナーが発足し、急ピッチで企画名と詳細が詰められいく様子を「これこそラジオだ!」と主人公が感動する場面があります。製作者の手作り感が出るのも面白くて、それも醍醐味だよなー。
この第10話。2巻の中でも特に好きです。
これは主人公の描く理想みたいなものに、とても惹かれるからかな。
主人公の葛藤とか目標とか、ストレートに胸に刺さって気持ちがいいです。
あと最後の、お姉さんの赤面。ね!!
第12話もよかったなぁ。
最終話はボーナストラック的な位置づけだと思うし、じっさい12話は過去最高の盛り上がりをみせた。臨場感のある描写でラジオの面白さを見せつけられる。
そしてあの2人の、適度な距離感が心地よかった!
恋愛的な進展を期待して読んだものの、仕事仲間としての絆の深まりを感じさせるこのエピソードは、この2人にとっての素晴らしいものでした。
音でしか伝えられないラジオというメディア。
それを、音を伝えることができない漫画というメディアで描く。
考えてみればかなり困難なことに挑戦しているよな、とビックリします。
この作品は面白い。ラジオというものの魅力も、こうして感じ取ることができる。
ということは、成功しているんだと思います。
じっくり読んでみると感じるのが、特にセリフのテンポの良さですよね。吹き出しの位置とか、枠外にはみ出した手書き文字とか、文字の大きさもこだわりを感じる。
水谷フーカ作品は常に読みやすさが追求されているように思っているのですが、この作品では特に「言葉の流れ」に意識が向く。
自然と頭の中で音声として流れ込んでくるかのような、スムーズで自然な言葉。
これが作品の臨場感にも繋がっているように感じます。
俺は基本アニラジとたまにSOLを聴くくらいなのですが、「ラジオ、いいじゃん!」と思わせてくれました。いい漫画です。
あと個人的に4月から会社員になって、仕事とかどうしようこのままで大丈夫かなーとか考えてしまっている時期なので、お仕事漫画として励まされました。
リアルの自分にこういう形でフィードバックされました、という表現をするのはあんまり恥ずかしくてしませんが、事実ちょっと救われたりして。
声は人の心に寄り添うのだ。満ちても欠けても見えなくても夜にはお月様がいてくれるように、この世にはいつだって人の声をのせた電波が飛び交う。そのひとつでも、たまに捕まえてみよう。もしかしたら人生を変えてしまうなにかに、そこで出会えるのかもしれない。
あなたを勇気づける言葉が、あなたのすぐに近くで、あなたに届くのを待っている。
かもしれない。
『満ちても欠けても』2巻 ・・・・・・・・・★★★★
最終巻。充実感がありました。水谷フーカ作品の良さが、情熱的なかたちで出てきていますね。
[漫画]淡く輝く季節をきみと。『14歳の恋』4巻
14歳の恋 4 (2014/04/25) 水谷 フーカ 商品詳細を見る |
大人だって 可愛いんじゃん
14歳の恋、最新4巻の感想。
4巻。4巻ですよ。個人的には作品は3巻を超えると、連載としての単位が変わるような気持ちがします。好きな作品が長く続くことは嬉しいです。
この作品の表紙イラストはなんとも言えない、美しさや儚さを感じます。今回も好きだなぁ。
ハチマキして、ポンポン持って、空を背に教室で2人。こうやって女の子の髪にふれる瞬間にしたって、冷静に考えると、……すげぇな……(呆然)
でも裏表紙も素晴らしいんですよ。こちらは夕焼けの屋上なんですが。本編を読むとさらに味わい深い場面、距離。「こっち見てよ」ってなんど願い、なんどこのシーンを繰り返したのだろうか。かわいいわぁ。
前巻→悩んで悔やんで喜んで、心震わせて。『14歳の恋』3巻
さて季節は秋。表紙も冬服になり、そして体育祭のシーズン。
それに合わさる内容となっており、今回も、胸あたたまる。
賑やかさよりただ流れていく風をゆっくり感じられる、落ち着いた雰囲気が素敵だよな。
和樹と彼方のペアは相変わらず、ちょっとすれ違ってはまた胸いっぱいに喜ぶ。14歳はけっこう激しく感情を揺り動かして、思い思いに突っ走ったりする。
第19話なんかがお気に入り。めそめそしちゃう彼方がかわいいのと、周囲が思う“大人っぽさ”に振り回されてこんなに苦しんでしまう事の、ある種の子供っぽさというか。爽やかな読後感も素晴らしい、14歳の恋エッセンスみなぎるエピソードでした。
それで、ですよ。大変なんですよ日野原先生が。
不良と評判の無愛想男子、長井くんとのただならぬ関係にある女教師なのですが
大人の色気を武器にするイタズラをしかけたら、やり返されてメッチャ赤面しちゃうとかいうヨダレが止まらないニヤニヤ展開!
ラブストーリーとしての興奮度の高さは、長井&日野原先生ペアが作中最強だなと思う。
だって一番美味しいんだもの。
美人で実はドSな女教師が、10も年下の少年に、こんな醜態をさらされてしまう、なんて。ああなんて、可愛らしい、愛おしい……!
3巻で「本気?なんのことよ やめて 14歳なんかに」と言っていた彼女。
ああこのまま落ちていくしかないな、と確信するセリフを放ってしまったばかりに、14歳のガキンチョ相手に、みごとに感情ゆさぶられまくりである。見事なフラグ回収。どう見ても本気になっちゃってますよね。
このエピソードは長井くんのがんばりにも注目したいところで、本当にがんばったんだ。
それでも一番のご褒美たるこの光景を目にできないのは、ああ、もどかしい。
まぁ、ギリギリに踏ん張ってそういう可愛らしい部分を隠し通せるあたりが、大人の証かもしれない。
きっといつか、かわいいその表情を素直に彼の前で見せてくれたらいいな。
そしておなじみの葵ちゃんのエピソードや、日野原先生をみつめる男子と彼をみつめる女子。ふんわりと切ない匂いが心をくすぐるお話も添えられ、こちらも14歳たちの青い世界を彩る。
サプライズだったのは、「お前この学校の生徒だったのかよ!!」という、水谷フーカ先生の過去作品のキャラクターがゲスト出演した件。
これに関しては実際読んでいただきたい思いが強いので、あまり書きませんが……うれしいファンサービス、みたいなものですねw おもわずまたあの本を読み返しました。
そんな「14歳の恋」4巻でした。
登場人物がというか、注がれる視線が増えたな、と思います。
いろんな人間が、いろいろ考えて、いろんな人を見つめて、その届く視界が広がればそれだけこの作品の奥行きが生まれる。せっかく学校という舞台にいるわけで、こうしていろんなペアの物語をクローズアップしていく方向は大歓迎。
主軸となる和樹と彼方は、関係性としてみれば健全・安心の象徴のようなもので、だからこそほかのペアはちょっと禁忌的な関係性に足を踏み入れているのかもしれない。
それと、個人的には楽園コミックスから“5巻”が誕生するというのはかなり予想外。でも、ずっと、読んでいたいな。と贅沢なことを思ってしまう。
振り返ってみればあっっっと言う間に流れていった14歳のあの季節が、漫画ならば長く堪能できるというのは良いな。
なんの感慨もなく終わらせてしまった時間を懐かしめるは、こういう漫画に触れている時かも。
読み終えて、またこの裏表紙に行き着いて、なんだか眩しくなるのです。今日も14歳の世界を包み、空は美しい。
『14歳の恋』4巻 ・・・・・・・・・★★★★
14歳はかわいい。大人だって、かわいい。みんな可愛くって胸が詰まる!
[漫画]まつりだ!じっくりカオスに織り込まれた短篇集『おるたな 宇河弘樹短編集2』
短縮気味。
お前は私の誇りだった
「おるたな 宇河弘樹短篇集2」の感想。
朝霧の巫女を完結させた宇河弘樹先生の短篇集、第二弾。(第一弾はかなり前に出た「妖の寄る家」です)
「おるたな」とくればスピッツだろうという自分の中の常識が覆されたタイトル。ということはどうでもよくて、今回も濃密な世界観を堪能できる、至福の一冊となっています。
メダマは「朝霧の巫女」の外伝。ですがほか二作もすごいので、短篇集としてかなりいい出来!
短篇集ということで3作品が収録されていますので、さくっと個別に。
・『炎上の猫三味線』
これは今回初めて読んだ作品。コミックヴァルキリー掲載。ヴァルキリーまでは追えていなかったなぁ……。
愛に狂いし化け猫が追って達とバトルする、この本の中ではアクション重視な作品。
ドがつくほどシリアスなようで、三味線と同化した謎ウェポンで銃撃戦かましつつ、あっさり生き死にが決する。ハチャメチャなテンションを感じます。
アクションの面白さも設定のエグさや面白さも、物語の疾走感のなか十分に詰め込まれていますね。
愛する男の革で仕立てたであろう三味線。それを愛でる猫女。彼女に執着するもうひとりの猫女。
闇やら病みやら感じるエッセンスも効き、物淋しい結末も味わい深い。
巻末告知によると、どうやらこの作品をたたき台とした新連載がアワーズGHにて開始される予定があるとのことで、読者としてもテンション上がる。
・『THE CINDERELLA SHOES』
ドラゴンエイジpureに掲載された読み切り。これは当時雑誌を買って読んで、かなり気に入っていた作品。ようやく単行本化してくれたか待ってたぞ!
舞台の面白さもさることながら、描かれる親子関係、主従関係、……それらがからみ合って読み応えバッチリ!
ジェンダー的テーマが大きく見えていますが、それだけではなく生きるということへの示唆に富んだ爽快なクライマックスもたまらない。
泥だらけにしたドレスと靴でなお荒野を進み、宇宙にまでだって手を伸ばす。強く美しいその横顔。
「わたしのおっぱい 見る?」のセリフはその文面から漂うムードとはまったく逆方向に心えぐられ、かなりの名シーンとなってるよなぁ。
名シーンといえば父親との決別の場面も、相当に胸が熱くなる。
個人的にはこの本で一番好きな短編で、何度も読み返してしまう傑作。性の面倒くささと向き合い、覚悟と決断をし、未来を切り開く、とてもとても眩しいストーリー。
あとがきではこの作品の続編ネタが放り込まれています……めちゃくちゃ面白そうなアイデアなので、はやく作品として読みたいんですが!!
・『アサギリノミコ』
まつりだ!ということで朝霧の巫女外伝。
かなり遊びを入れているコメディ全開のセルフパロディものとなっています。朝霧の巫女の主要キャラが再登場し、かなり混沌とした進行w
日瑠子陛下がすごく!ヒロインしてる!(大事)
アワーズでときどき、本当に時々掲載され「これ単行本化するのか?」と怪しんで切り取って保存していましたが、ちゃんとコミックスにまとまりました。安心。
連作短編ということでそれならではのドライブ感で暴走しますが、最後にちゃんとオチがつくのはすごいなw
本編完結後だからこそのお祭りパラレルワールドで、なんとなく、これで朝霧が本当に完結したか……と今になって思えてしまいました。
こんなおふざけ漫画でも作画の重厚さには気合が入っていて(特にアクション)、やはり話も絵もセットで噛み合っている作家さんだよなあ。
そんな短篇集。
荒々しさも繊細さも情緒あるタッチに同居させる作画と、人間のヘヴィーな心情を書き綴るストーリーセンス、どちらも非凡なものを感じさせてくれる作家さんの魅力が出ている一冊になったと思います。
この本を手に取る人は「朝霧の巫女」既読者がおおいんじゃないかなぁとは感じますが、ここから宇河作品に入ってもも楽しめるのでは。朝霧とは無関係の読み切り2作品もクオリティ高いです。
今度から新連載が始まるとのことですが、連載ペースはどうなるのか(ビクビク)
『おるたな 宇河弘樹短篇集2』・・・・・・・・・★★★★
「THE CINDERELLA SHOES」が単行本収録されたということが自分にとって価値ありまくり。じっくりカオスに織り込まれた短篇集。
おるたな―宇河弘樹短編集2 (ヤングキングコミックス) (2014/05/16) 宇河 弘樹 商品詳細を見る |
お前は私の誇りだった
「おるたな 宇河弘樹短篇集2」の感想。
朝霧の巫女を完結させた宇河弘樹先生の短篇集、第二弾。(第一弾はかなり前に出た「妖の寄る家」です)
「おるたな」とくればスピッツだろうという自分の中の常識が覆されたタイトル。ということはどうでもよくて、今回も濃密な世界観を堪能できる、至福の一冊となっています。
メダマは「朝霧の巫女」の外伝。ですがほか二作もすごいので、短篇集としてかなりいい出来!
短篇集ということで3作品が収録されていますので、さくっと個別に。
・『炎上の猫三味線』
これは今回初めて読んだ作品。コミックヴァルキリー掲載。ヴァルキリーまでは追えていなかったなぁ……。
愛に狂いし化け猫が追って達とバトルする、この本の中ではアクション重視な作品。
ドがつくほどシリアスなようで、三味線と同化した謎ウェポンで銃撃戦かましつつ、あっさり生き死にが決する。ハチャメチャなテンションを感じます。
アクションの面白さも設定のエグさや面白さも、物語の疾走感のなか十分に詰め込まれていますね。
愛する男の革で仕立てたであろう三味線。それを愛でる猫女。彼女に執着するもうひとりの猫女。
闇やら病みやら感じるエッセンスも効き、物淋しい結末も味わい深い。
巻末告知によると、どうやらこの作品をたたき台とした新連載がアワーズGHにて開始される予定があるとのことで、読者としてもテンション上がる。
・『THE CINDERELLA SHOES』
ドラゴンエイジpureに掲載された読み切り。これは当時雑誌を買って読んで、かなり気に入っていた作品。ようやく単行本化してくれたか待ってたぞ!
舞台の面白さもさることながら、描かれる親子関係、主従関係、……それらがからみ合って読み応えバッチリ!
ジェンダー的テーマが大きく見えていますが、それだけではなく生きるということへの示唆に富んだ爽快なクライマックスもたまらない。
泥だらけにしたドレスと靴でなお荒野を進み、宇宙にまでだって手を伸ばす。強く美しいその横顔。
「わたしのおっぱい 見る?」のセリフはその文面から漂うムードとはまったく逆方向に心えぐられ、かなりの名シーンとなってるよなぁ。
名シーンといえば父親との決別の場面も、相当に胸が熱くなる。
個人的にはこの本で一番好きな短編で、何度も読み返してしまう傑作。性の面倒くささと向き合い、覚悟と決断をし、未来を切り開く、とてもとても眩しいストーリー。
あとがきではこの作品の続編ネタが放り込まれています……めちゃくちゃ面白そうなアイデアなので、はやく作品として読みたいんですが!!
・『アサギリノミコ』
まつりだ!ということで朝霧の巫女外伝。
かなり遊びを入れているコメディ全開のセルフパロディものとなっています。朝霧の巫女の主要キャラが再登場し、かなり混沌とした進行w
日瑠子陛下がすごく!ヒロインしてる!(大事)
アワーズでときどき、本当に時々掲載され「これ単行本化するのか?」と怪しんで切り取って保存していましたが、ちゃんとコミックスにまとまりました。安心。
連作短編ということでそれならではのドライブ感で暴走しますが、最後にちゃんとオチがつくのはすごいなw
本編完結後だからこそのお祭りパラレルワールドで、なんとなく、これで朝霧が本当に完結したか……と今になって思えてしまいました。
こんなおふざけ漫画でも作画の重厚さには気合が入っていて(特にアクション)、やはり話も絵もセットで噛み合っている作家さんだよなあ。
そんな短篇集。
荒々しさも繊細さも情緒あるタッチに同居させる作画と、人間のヘヴィーな心情を書き綴るストーリーセンス、どちらも非凡なものを感じさせてくれる作家さんの魅力が出ている一冊になったと思います。
この本を手に取る人は「朝霧の巫女」既読者がおおいんじゃないかなぁとは感じますが、ここから宇河作品に入ってもも楽しめるのでは。朝霧とは無関係の読み切り2作品もクオリティ高いです。
今度から新連載が始まるとのことですが、連載ペースはどうなるのか(ビクビク)
『おるたな 宇河弘樹短篇集2』・・・・・・・・・★★★★
「THE CINDERELLA SHOES」が単行本収録されたということが自分にとって価値ありまくり。じっくりカオスに織り込まれた短篇集。
[漫画]その楽園は腐臭に満ちて『ヒメゴト~十九歳の制服~』7 巻
ヒメゴト~十九歳の制服~ 7 (ビッグコミックス) (2014/04/30) 峰浪 りょう 商品詳細を見る |
ああ、これで、やっと行ける… 暗い、汚い、底の底に…
「ヒメゴト~十九歳の制服~」の第7巻が出たので感想を。
まず表紙には主人公3人が揃いました。これまでの表紙は1人ずつ(1巻~3巻)→2人ずつ(4巻~6巻)と来ていました。
ついに3人揃って、物語も佳境に差し掛かってきたなと実感!
じっさい内容を読んでも、いよいよすべてが暴かれていくストーリー。
3人それぞれが持つヒミツが絡まり、ヒミツを守るためにヒミツに縛られていく。
それぞれがヒミツを持ち合わせ、けれどそれを隠して形作る『楽園』が今回描かれるのですが、すべてがグズグズの駄目になっていく感じが素晴らしいです。
なにもかも底へ落ちていく。底の底に墜ちていく。
これまでの感想。
ヒミツを抱えあう19歳の三角関係。『ヒメゴト~十九歳の制服~』1,2巻歪み絡まる19歳たちの性。『ヒメゴト~十九歳の制服~』3巻
友達でも恋人でも足りない気持ち。色めく19歳の夜。『ヒメゴト~十九歳の制服~』4巻
黒髪ロングの日らしいので永尾未果子さん(ヒメゴト)についてまとめる
……なんか巻を飛ばして穴空き状態で申し訳ない。
「ヒメゴト~十九歳の制服~」の主人公は19歳の3人。
ボーイッシュな風貌ながら、自分の中の「女」を素直に見つめることができない由樹。
イケメンだが女性への変身願望をかかえ、由樹の“女友達”となった男、佳人。
清楚なお嬢様を装い、夜は学生服に身を包み売春を行う未果子。
それぞれが性別や年齢、性に関係したコンプレックスや欲望を持っています。
この3人の関係がとてもおもしろい!
利己的で残酷で、刹那的な快楽を求め合っている。
友達のフリして、好きなフリして、受け入れるフリして、実は己の欲望に忠実に。
けれどただそれだけに相手を利用できるほど乾いた関係でもなく、やり場のない感情がひたすら積もっていく。大切なのは間違いない。けれど痛む心とうずく体は矛盾する。
それぞれのヒミツが暴かれたり、バレる寸前にまで来たものの致命的な決定打には至らず、なんとかここまでやってこれた3人。
けれどこの3人のヒミツ、…とくに未果子のヒミツはバレたら即・関係崩壊待ったなしな爆弾であり、すでに佳人は知っている段階。
あとはいつ由樹が知ってしまうのか。あるいは最後まで隠し通し、未果子は欲望を完遂できるのか。
さてこの7巻の見どころといえばついに始まったレズセックスのターンであることは疑いようもなく、それはそれは味わい深いものでしたねハイ。
ウム…
しかしまぁ、なんて幸福感のない。密やかで暗いものであることよ。
描写としてはやはり色っぽく、さすがに気分が高揚します。
けれどこの2人の関係は……こんな事をしたって埋まるわけがない。すれ違うばかりなのに。
影の中で、闇に隠れて、ひっそりと息が絡み合う。
ひとりで慰めていた由樹を目撃に、そのまま押し倒して抱き始める未果子。
由樹の中の少年性に心奪われている彼女は、由樹が『女性』の体をもてあましていたことに強い動揺を覚えましたが、すぐに考えを切り替えました。
だって未果子自身がふたつの顔を持っているから。
少年である由樹を手に入れるために、女性である由樹を虜にする。それこそが7巻での未果子の行動原理。
むしろセックスならば未果子の得意分野。自分から離れられなくするため、未果子はついに由樹との性的接触を持ちます。
ところが、そうも上手くいかない。
未果子は由樹にたいして積極的に責めの手を加えますが、逆に由樹から“される”ことに強い拒絶を見せる。
相手には触れたい。気持よくさせたい。けれど自分は相手から触れられたくない。
未果子には様々な矛盾があります。
少年、あるいは少女へのあこがれ。美しく清らかなものを求める彼女の心は真実。
でも体が求めるのは、ちがう。もっと汚らしい、男と交わる闇の時間です。
男を利用し見下しエクスタシーを感じるあの時間がどうしても欲しい。
だからこそ。
由樹は純粋・純潔の象徴であり、由樹に触れているその瞬間の自分も、未果子自身の理想でなくてはならない。由樹と交わるその時間は、未果子にとっての宝物だから。
けれど心のどこかが囁きかける。「お前の体は汚い」と。
由樹にこんな汚いものを触らせるわけにはいかない。
未果子のつよい欲望は、その欲望すら裏返しにしてもっと純度の高いものを求めてしまう。
理想と切り離された下半身・・・快楽を得るためのそれが、本当に欲しいものを遠ざける。
心地いい闇にそまるほど、憧れのものは手からすり抜ける。
めんどくせぇ!でもこういうのが、いいんだ‥‥!!
ストーリーの大きな展開と言えば、3人が共同生活を始めたということ。
いやこれ全然歓迎できることじゃなくて、むしろ「ああ…いよいよ終わりだ、おしまいだ」ぐらいの絶望です。
こんなふうにこじれた3人が共同生活とか送ったって、むしろそれは地獄にしかなりえない。こいつら全速力でドブ沼ダイブ決めやがった!
すぐにボロが出て、いよいよ全員のすべてが丸裸になるよ!すべてが台無しだ!まったくもって壊れてしまうんだ!
それでも、たった刹那の安らぎであったとしても。
この「家族ごっこ」には癒やされてしまう。
互いに監視の目を光らせて、策略を巡らせ、“あわよくば”を胸に抱きながら、欺きの上でやさしい家族ごっこをしよう。
友達ごっこをしよう。普通の仲の良い、女の子の楽園を満喫しよう。
平穏を装う中に互いの思惑や欲望がひっそりと息づき、隠し切れないほどの性のにおいをまき散らしだす。けれど正面上だけは清い少女たちの、理想的なほどに閉じた世界。
まさしくギリギリのバランスで成り立った楽園だった。
しかし楽園は腐敗する。
(予想通りに)転落していく7巻終盤の展開は、目を覆いたくなるような、けれど続きが気になって仕方がない、極上のスリルがあります。
まさしく7巻最終話のタイトルは「約束地-ヤクソクノチ-」。
このラストは最初から決まっていた事であるかのような、そんなタイトルが付けられました。
それを踏まえて今回を表紙絵をもう一度見なおしてみる。
きっとここは水中で、光も届きにくい所にまで落ちている3人。
中央で全身から力をぬいている由樹とそれに絡みつく2人。
未果子は腕を伸ばして由樹を抱こうとしており、そのまま底にまで共に向かおうとするかのようです。一方で右側、佳人は由樹の背を抱えようとしてるようなポーズ。
未果子が黒の制服、佳人が白の制服を身につけているのも意図的か。
まぁ佳人が由樹を救おうとしていても、むしろ彼という存在が由樹を苦しめている最大級の要因でもあったりするわけで、なかなかどうして3人ともが幸せになれそうもない。
さてそんな「ヒメゴト~十九歳の制服~」7巻の感想でした。
クライマックス目前ということで、次の巻で完結かな。
個人的には最初からおそらく最後まで、未果子という少女を追いかけたいという理由がとても大きい作品です。それだけ彼女は好きだな。
7巻ではこれまでにない、円満な雰囲気で未果子が満ち足りた表情をしてくれた。
味わったことのない“家族のぬくもり”ってやつを擬似的にでも楽しんで、穏やかに眠った。…それだけでよかったのに!!
体に触れられるのを拒絶したけれど、ホントは体ごと全部まるごと愛されたいはずなのにね。大事な所で臆病で、きっとこれから何か大切なものをを失うね。アンビバレンスかわいい未果子さんの未来を見届けたい。
光と影が世界にあるなら人間にだってそうだ。ふたつの顔があってふたつの欲があって、満たされたい。大切にしたいし一緒に落ちていきたいし穢したいのに愛されたい。そんな面倒くささがが最高に楽しい!
それぞれ張り巡らす策略は、破滅に向かうのか、はたまたちゃんと幸福に導かれていくのか。…全速力でバッドエンドに向かっているように見えますけれど、それは最後の審判(作中)を待つべし。
そこは楽園だ。腐ったようなにおいが漂う。関係が腐っていく、人間が腐っていく、空間。そこは楽園だったのだ。
優しい日々がそこにはあったのに、いまにも砕け散りそうだ。
「ヒメゴト~十九歳の制服~」7巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
正直面白すぎる。物語も佳境でヒートアップする地獄!
心をジワジワと蝕むような緊迫感はこの作品の強い魅力です。