[漫画]深く息をして、僕らは悲しい恋をする。 『ばらのすべて』
ばらのすべて (Canna Comics) (2013/04/26) 山田 酉子 商品詳細を見る |
光への憧れだけで焼きつくされそうになる時もある‥・
ッヒョーー格好いいなぁこの表紙!鮮やかに散る赤色。目を奪われます。
山田酉子先生の新作「ばらのすべて」の感想です。これはBL作品。
うちのブログでBL取り上げる事はほとんど無いんですが、この作家さんはがっつり追いかけているのでね。へへ。しかしうちでBL更新していったい誰が読んでくれるのか。でも大好きな作家さんなんですよ!!
著者通算5冊目の本作は、一冊まるっと使った長編。
芸能界の裏側を描く、スリリングな読み心地が楽しい作品。
ジャ○ーズJr(みたいなもん)に所属する.主人公らのドロドロな関係を主軸にしたストーリー。あとがきにも触れられていましたが、銃とかクスリとかヤ○ザとか、アブない要素も詰め込まれています。
作者特有の静寂やもの寂しさ漂うお洒落なムードは今回も健在。
山田酉子作品の青さ、鋭さ、軽さ、冷たさ。今回も魅了してくれました。
海の底で深呼吸しているような。まぁそんなのできないですけど。ゆっくりと心を切なく浸してくれる感覚が素敵すぎる。
過去の作品の感想
刹那的、オンナノコ。『女の子のすべて』
カッコよくて弱くて泣き虫で強がりで 『クララはいつも傷だらけ』
自由に愛して自由に生きよう。『かなしい人はどこにもいない』
「好きだから」の先にあるもの 『ロング&ビューチフルライフ』
内容について。
アイドルの卵として活動する気弱な青年・糸田川。彼が片思いする植芝くんは、1年前に事務所をやめて音信不通になり、そして今はアダルトビデオに出演中。
そのAVを糸田川がたまたま見てしまい、そしてある日再会までしてしまう。
やっと再会できた片思いの相手。しかし植芝はすでに光のあたる舞台を降りて、闇の世界に踏み込んでいる。深い考えをすることをなく植芝に近寄っていく糸田川は、そうして彼の知らない世界へと関係していくことになります。
芸能界を舞台にしているだけあり、個性的かつ作中世界におけるイケメン力(ぢから)の高い連中ばかり登場しています。あんまりキラキラはしていない印象ですが。
そしていろんな男が出てくる。弱い男。強い男。悪い男。
いろんなヤツがいろんな絡み方(物語的に・物理的に)をしており
それぞれの人間関係がはらむ緊張感や怠惰や甘酸っぱさがいい感じです。
しかし植芝くんが面白いのです。
ビジュアルはカッコいいんですが、その内面が実にダメ野郎で。
優しくない・地も涙もない・大事にしてくれない‥そんなダメ男を好きなダメ男です。ようするにドM!ドマゾである!(どうでもいいがドエムというよりドマゾと言う方がより変態性が増して好き)
自分をきちんと愛してくれない相手“だから”好きになってしまう、その根っからの不幸体質!激しくいたぶられるのが好きだし、キツい言葉を浴びせられるのが好きだし、報われないのが好きなのだ。なんて面倒臭いヤツだ。不憫でかわいい。
自分を好きになってくれる相手を、植芝は好きにならない。
人の好意を受け止めようとしない、自分の性欲に忠実でワガママな男なのだ。
そういう残酷なエゴイストであることを彼は自覚しているし、それでも変わろうとしないその決意の強さも魅惑的に見える。
植芝は作中で女性から「ブスな女みたいだ」と言われますが、これ面白い見方だよなーと思って印象的です。コミックス帯にもこのフレーズは引用されてましたね。
しかしまぁ主人公の糸田川君もMですからね!
糸田川と植芝。ふたりしてドM!糸田川は植芝よりはマイルドだけど、好きな人に困らされたい願望はアリと見える。ドM同士のカップリングとか不毛じゃないですか‥お前ら大丈夫なのか‥。でもそんな不安定な関係性もまた面白いんだ。
でも糸田川と植芝、両方とも似たような髪型・顔で混乱したなぁ。このメインの2人は見た目まで似通っている。これはあえてなのかなとも思うけれど、やや不親切な気がしないでもないかな。
2人がラストで掴んだ相思相愛の関係を、ずっと続けられるとは思わないかも。
どこかで破綻しそう。ヒドイ別れ方をしそう。糸田川くんは絶対としても、植芝もなんだかんだで糸田川のことを引きずったりしてさ。
そういう、一生忘れられないってくらいまで相手を心に刻むことが出来るのはそれはそれで非常にロマンチックなことだよなと思う。
それで全く話はあー江夏くんカッコいいなー。コイツはカッコいいよ。
でもあとがきで「江夏くんは中村くんに片思いしてる受キャラ」と裏設定暴露されてて笑ったwww こいつがどんな恋愛するかも見てみたいw
これがカバー裏面。ビジュアル面でもカッコよさで言ったらコイツ断トツだな。
しかもそれでいて作中で一番の働きものであり、努力をしているし、それを鼻にかけないカリスマがある。どうすんだよこの男!すげーいいヤツじゃねぇか!この完璧スペックで男に片恋しててしかも受というのがいいね(ニコッ
そんな感じの「ばらのすべて」でした。
これまでの山田酉子コミックスの中でもトップクラスにキャッチーな要素が詰まっているんでないかと。いやBLの知識浅いですけどたぶん…だってジャ○―ズだよ…。
でも明らかに影が濃い。漂う空気がひんやりとしていて心地いいです。
どこか仄暗くてお洒落でリリカルで、自分でも不思議なくらい心が澄まされていくのを感じるんだよなあ。気持ちがいい。肌に合うというか。
繊細で、残酷で、優雅で、詩的で。うむ、かっこいい。
ちなみに来月にも山田先生のコミックスが別の所から出るようで、こちらも楽しみ!
『ばらのすべて』 ・・・・・・・・・★★★☆
推してる作家さん。芸能界のアブない闇をクールに描く。無条件降伏で好きな空気。
[漫画]失敗しても、また跳べるよ。『銀の匙 Silver Spoon』7巻
銀の匙 Silver Spoon(7) (少年サンデーコミックス) (2013/04/18) 荒川 弘 商品詳細を見る |
八軒君の夢はここから際限無く広がってるんじゃないのかな。
7月からアニメも始まる「銀の匙」第7巻。
賑やかしいエゾノーのムードに包まれて、父親への緊張や、未だぼやけたままの将来や御影アキとのふわふわした関係やら…主人公・八軒の心の動きが印象的な巻になったと思います。満足度の高い一冊。
後半からは野球部の駒場のエピソードもありますが、これがまた…ね…!
激動の展開へと走りだす内容でもあるのかな。
6巻→本気で吠えて本気で悔しがる、これぞ青春!『銀の匙 Silver Spoon』6巻
そういえばアニメは制作A-1らしいですね。楽しみだな。
でもサンデーだとムシブギョーが夕方で始まったんだから、銀の匙も夕方にやってくれたらよかったのになーとは思うwノイタミナは合ってるんだけど、でも深夜にやるのは勿体無い…!
さて7巻の感想。
アゾノー祭当日の朝に過労でぶっ倒れた八軒。そして父親との対峙。
シリアスに幕を開ける7巻ですが、これまた染みる話ばかりなんだ…。
いまさらですが7巻を読んでから改めて6巻の時間予告ページを読むと、心がじんと来ますわ。
「誰よりも頑張った。それでも報われないこともある。」
「理不尽を受け入れなければいけないこともある」
「でも、きっと誰かが見てくれている。」
「この世の中、けっこう捨てたもんじゃない」
優しいばかりじゃない世界を描きつつ、でも「捨てたもんじゃない」という着地がこの作品らしいです。
時には失敗もするよ。上手くいってばかりじゃいられない。
でもまた跳べる。きっと跳べる。
馬と人をシンクロさせたこのワンシーン、いいなぁ。
病院で父親に厳しい言葉を浴びせられる八軒を見ていると本当にこちらも傷つくし、気が滅入る。でも八軒にとっては、自分を見つめなおすいい機会にはなるかも知れない。
「父さんのいうことは全然違う」と反抗する勇気も出ていなかったけれど、いずれそんな抵抗ができる場面が見たい。
回復して学校に戻ってきた八軒の様子も面白いんだけど、見ていてツライ。
迷惑をかけてしまった負い目を感じて「打ち上げに出る資格なんてない…」とか弱気モードだし、御影と再会したら戸惑っちゃうし。
印象的なのが、エゾノー初日が何事も終えられたと聞いて、ちょっと拍子抜けした表情をする八軒。
それは喜ばしいはずなのに、自分がいなくても成し遂げられたという事実は、心が弱ってる八軒にとっては自分の無力感を強調することにしかならない。ワガママなんだけど、それだけこの時の八軒は自分の存在意味を探していたんだよなぁ。
このシーンでは一緒に泣いてしまった。唐突に、一緒に涙が込みあげた。
考案し、実現に向けて頑張って、でもその結果を目の前で見ることは叶わなかった。
それでも、参加してくれたお客さんのメッセージを読んだら嬉しすぎて、嬉しすぎて。
倒れるまでスケジュールに忙殺された八軒だけど、ちゃんと手応えをつかめて本当に良かった…!
回復した八軒を出迎えた御影はかわいかったしカッコ良かったし、あーーーすげー好きなシーンですねこの一連の流れは。
初期とくらべてもちゃんと自分の意見をぶつけてくれるし、いろんな表情出してくれるし、彼女も変わってきた気がしますね。八軒と仲良くなってる証拠。
御影は6巻で言っていた「わかろうとする努力はやめたくない」という言葉は非常に印象的でしたね。たしかにそっと穏やかに誰かの世界に入っていける女の子だよなぁと、八軒とのこれまでを思い出しても思う。
彼女の変化を周囲も感じ取っているようで、いい傾向ですね。
御影いい娘やん!!って話をしたので続いて御影と八軒の恋愛模様の話。
6巻でエゾノー祭終わったらデートしよう!とダメそうなフラグを立てたら案の定そのすぐ翌日に倒れて気まずくなっちゃう八軒クン!!
でもそのわだかまりはちゃんと解けて、いよいよデートだイケる!
お、おお…なんだよ…この空気…!!!
全体的に恋愛要素はとてもアッサリと描いてる「銀の匙」。
でも今回のイベントは直球でときめき度高いんじゃないでしょうか!
相変わらず御影は色恋に弱いのでお馬さんに夢中ですが!それでもいいよ!たぶんこの日を思い出して冷静に客観的に見てみれば、ちゃんとデートできてたって分かるはずだから!たぶん!
八軒&御影のお出かけを無邪気に妨害しにかかる男を総出で撃退するクラスの女の子たちの協力っぷり面白かったなぁw
すげーラブコメっぽいイベントで良かったです。心地良い空気。
でもそんな楽しい日々は、悩みと共にある。
将来はなにをしよう。何が出来るんだろう。何を目指せばいいんだろう。
農業高校はすでに将来を見据えた生徒がたくさん。夢に向かって歩き出している。でも八軒はまだ明確な夢を持てていない。
でも何も描いていない白紙は、前向きに見つめることだってできるはず。
よくあるようなセリフなんだけど、この作品で放たれる言葉はどれもどっしりと大地に根付いているような説得力を持っていて、心に食い込むんだ。
ここから夢はどこまでだって広がっていける。
「それでも諦めきれない」と思えるほどの強い欲求。本当の夢というのは、そういうものだ
この見開きはセリフと合わせて、世界の広大さを見せつけるような開放感ある場面。抜けるような空とか続いていく道とか、印象的な絵です。
あー。将来について悩んで、友達と語り合って、ふといい言葉を受け取れたりするこの空気。苦悩の先のこの爽やかな感動が、実に青春くさくてたまりませんね!!
楽しさも甘さも苦さも青春は全部ひっくるめて漠然とある。
7巻は駒場のエピソードで幕を閉じ、気になるところで8巻へ続きます。
そんな「銀の匙」7巻でした。
農業漫画としての続麺が強い本作ですが、この7巻はいつもより更にすげー「青春漫画」の雰囲気が色濃くて、垂涎モノでございます。
もちろん今まで青春漫画として楽しめていましたが、今回はターニングポイントになりそうな場面が多かったかもしれない。
大きなイベント、失敗、親との確執、恋愛、友情、将来への不安と夢。
いろんな場面から、いろんな言葉から、確かに魂揺さぶられました…!
「生きるための逃げはアリ」。
だけど、逃げることでその問題はなくなりはしない。先延ばしにしたものは、いずれその精算を求められる。
いろんな体験を通じて、八軒の心も育ってきました。心だけじゃなく身体もどんどんたくましくなってますが!そろそろ
秋はやがて厳しく長い冬へ。北海道の冬は大変らしいぞ…!
『銀の匙 Silver Spoon』7巻 ・・・・・・・・・★★★★
大切な時間を刻んでいく味わい深い青春農業漫画。アニメも楽しみ!!
小ネタですけど、轟先生はどう見てもあの人だったw
それに一番最初の縦ロールたまこ、まじで違和感無くて最初分からなかった…!
[漫画]あの超カオスなアマガミが帰ってきたぞ!『あまがみっ!SS+plus』
あまがみっ!SS+ plus (ファミ通クリアコミックス) (2013/04/15) ピアイ才 商品詳細を見る |
う~んウナギ 我ながら旨かったな…
うわーどうしようおもしれー!感想書きたいけど、でも手におえたもんじゃないw
「アマガミ」販売元のエンターブレインが直々に世に出してしまった、ピアイ才先生の「あまがみっ!」シリーズは、読む者を置いてきぼりにしそうな超疾走感で突き抜ける強烈なギャグ漫画。
アマガミのコミカライズシリーズは本当に出来が多いものが多くて、ファンとしては喜ばしい限りでした。しかし中でもこの「あまがみっ!」はとびきり異質。原作を弄り倒しすぎて影もカタチもない有様ですよ!
好き勝手やりすぎ!それでいて原作ゲームやアニメの小ネタを拾ってむりやり話をこじ開けていく豪快さが楽しいw話のスジはムッチャクチャなんですが、この漫画だからこそ許されるノリが最高に愛おしい!
これが同人誌じゃなく公式のコミカライズで出てるってのがすごすぎますよww
こういう自由さもアマガミのメディアミックスの面白さだったよなぁ。また新しいのが読めて嬉しいです(ホロリ
1巻 アマガミ・・・ですよねこれ?『あまがみっ!』1巻
2巻 キャラ崩壊の嵐!破天荒すぎるアマガミ 『あまがみっ!』2巻
基本はアニメ版2期、「アマガミSS+」に沿った内容。
でも全然沿ってないのでオリジナルのギャグ漫画みたいなものかもしれない。パッション君とかシカとか、細かいネタ拾ってますけど、マジメに原作に従おうなんて気はさらさらないのです。この作品はそれでいいw
アマガミと言えばの主人公、橘さんですよ!
ぬるぬるする液体で遊びながら主人公登場。これは吹き出す。
これが連載第1話目の最初の1コマですよ。もう意味分かんない。でもこれが平常運転。
しかもこれが出オチにならず、ずっとこんなテンションが続いてるんだからもう頭イカれてるんじゃねーかと。ピアイ才先生の才気迸る…。
今回の収録分ではこの登場シーンがもっとも面白いとどこかで評判らしいですがw
全7話で、主要ヒロイン6人のメイン回と、最後に番外編の温泉回。
ヒロインの順番なんかも完全にアニメ2期通りなのですが、ヒロインたちも見事にぶっ壊れてるので原作を知っていればそれだけ面白いし、むしろ知ってなくても楽しいと思うw
ただでさえキャラが濃い連中ばかりだった「アマガミ」ですが、それをさらにカオスに煮詰めています。行き過ぎてキャラ崩壊の嵐!それがイイ!
絢辻さんはそもそも原作の時点でアクが強かったですが、さらに恐ろしく、そしてあざとくキャラを深めてますねえ。ロリ辻さんとはどうしようもねえかわいさだわ。
リンゴを握りつぶすアヤツジサン!
食欲のみで稼動するひどいキャラ崩壊を食らった梨穂子ですが、今回ではなんと1番のラブコメ要員となっています。夏バテにより食欲が減退したらやっと食べること以外にも考えが行くようになりました。これまでがホントに弄られてばかりだったので、ようやく報われたと言ってもいいw
七咲はマジメな娘なのでギャグ方向に弄りにくそうだと思うんですが、ピアイ才先生はさすが。でも濃ゆいキャラが多すぎて七咲埋もれ気味かもしれないが、彼女に頑張れという方が無茶かwオチの適当感に笑ったw あとM字まくらネタ見たかったなー!
モジャかわいい棚町薫!扉絵の浴衣姿がめちゃくちゃかわいい!寿司屋の息子が心底ヒドいキャラになっている。突拍子もなく現れてUMAを探してまた森に消えていくなど相変わらず森島先輩はぶっ飛んでた。
漲るおっぱいパワーでモテモテになった中多紗江ちゃん。マジメなようでいて、一度勢いづくとほっといてもナチュラルにぶっ壊れたことしだすのが彼女らしいと言えば、そうなのかも知れないな…たぶん…。
森島先輩はメイン回じゃなくてもだいたい毎回出てきて存在感放ちまくりでしたが、ついにやってきた主役回でも頭おかしい(褒め言葉)。もちろんアニメに出てきたジェシカと2人揃って頭おかしい。
でもこの森島先輩のノリが「あまがみっ!」を象徴しているようにも思うw
そして最終回。まさかのうなぎEND。温泉回だというのに温泉に入ったの橘さんだけでした!残念!あとみゃーが撃ち落とされてました!
そんな…感じの…「あまがみっ!SS+plus」でした…(ガクッ)。感想書くの難しすぎぃ!!
面白すぎるストーリー&キャラ崩壊。こういうのがコミカライズとして公式で出版されるということが、アマガミという作品の懐の深さを裏付ける。
アニメ2期も終わって、あーもうアマガミ関連は出尽くしたかなーと思ったら、遅れてこんなプレゼントがやってきてくれたので、本当に嬉しいですよ!
憎いのが、ちゃんと可愛いヒロインたちも書けるということ。
たまーに崩し絵じゃないマジメ絵が出てくるんですが、そのクオリティの高さに「この作画で一冊やってください」と思わんでもない…でもピアイ才先生だしそんなのはしてくれないだろうw
お腹いっぱいのコミカライズ(?)でした。なんとレベルの高いギャグ漫画か!
ここまでめちゃくちゃなのに好感度が高いのは、純粋にギャグが面白いのもありますが、作者さんが「わかってる」からなんですよね。細かい小ネタの拾い方とか本当にこの作品を愛して何度も触れ直したんだろうなぁと思うし、キャラをブチ壊すにしても愛がある。原作へのリスペクトと作者のやりたいギャグが一体となっていることが、このシリーズのなにより素晴らしいところです。
カバー裏の表紙案、4とか8とかも見てみたかったなw
『あまがみっ!SS+plus』 ・・・・・・・・・★★★★
まさかの復活を果たした原作ガン無視コミカライズ。清々しいまでのカオス。
[漫画]さぁ、私達の恋を始めましょう。『名前はまだ無い』
名前はまだない (百合姫コミックス) (2013/04/18) かずま こを 商品詳細を見る |
それじゃあ 恋しようか
かずまこを先生の百合姫コミックス3冊め、「名前はまだない」の感想。
女の子の女の子の眩しく愛おしい一瞬をきりとった、爽やかなガールズラブ作品です。
どこか切なげな感触はあっても、基本ハッピーに胸暖まるストーリーが集まっています。はぁ。もう、何も言えない。ため息しかでてきませんよ、この可愛らしさ。この余韻。
ピュアで軽やかで、ギュッとこちらの心を掴んできますよ!
楽園でやってる「ディアティア」シリーズを好きになって、かずまこをさんの百合漫画を読むようになりましたが…いやぁこれはいいものだ。
もちろん百合姫コミックスなので、女性同士の恋愛ばかりの一冊です。
表紙も素晴らしいのです。作りのしっかりとしたオビと、表紙本体、として単行本最初のカラー口絵の3コンボがバッチリ決まる!
全3話からなる表題作「名前はまだない」のほか、一話完結の短編4つ、前の作品の番外編1つを収録。せっかくなので個別に感想書いていきます。どれも良かった!
15ページもない短編が大半ですが、短いページだからこそ一気に沸騰するようなスピード感もある。けれど空気感の演出も絶妙で、あとひく余韻にも舌鼓。
●3秒ルール
トップバッターにしていきなり凄まじくときめかせてくれる短編。
持ち時間は3秒。言葉に詰まったほうが負け。
そんなルールをこっそり心に秘めてはじまる、2人の恥ずかしい恋のお話。
「だったら私を付き合いませんか」
の唐突な一言を投げかけて、さて負けてしまうのはどちらかな。
たった11ページの短編。しかし3カウントで会話が進行していく演出と、最後に待ち受けるお見事としか言い様がない赤面に悶絶!!
告白をした後の、ふわふわと不安定で甘酸っぱい空間がたまりませんな。
「それじゃあ恋しようか」の決め台詞で華麗に〆るのもよかった。
●uracoi
いつもしかめっ面。そのせいか「殿」なんてアダ名をついた女の子・遠野さん。
そんな彼女に決死の覚悟の告白をされた主人公の、これまたニヤニヤできる短編。というかこの漫画全部まるごとニヤニヤ漫画ばっかりですからね…。
告白の返事をもらえず不安でそわそわして、悲しげな表情まで見せちゃう。告白されてどう応えればいいのかわからない。2人揃って不器用な感じで、おっかなびっくり近づいていく感じがイイ。
遠野さんのしかめっ面が徐々に崩れていくを見て、布団で転げまわった。照れた表情がかわいすぎる……!!
●恋はお静かに
頭をぶつけたら、密かに好きなあの娘の心の声みたいな幻聴が聞こえるようなる。
実は両思いでした…みたいな都合のいい、妄想全開な幻聴。でもそれは実は!みたいなアレでコレでニヤニヤでございます。
「恋はお静かに」なんてきっとムリな話。心の鼓動が鳴り止まない。
けれど今はまだ秘密にしていたい。好きだってことも、赤くなった顔の意味も、ドキドキを抑えようと必死になってるのも、あの娘にだけには秘密に。
2人が慌てぶりがまーーーかわいいんだ。急激に近づいていく過程!最後には耳まで真っ赤にしちゃう!クライマックスの逆転で変な声出たわ!!大のお気に入り!
心がバレてしまったら困る。「今日だけは、あの娘のことを考えずに過ごさなきゃ!」なんて誓うわけですが、そんなの無理でしょわかってます!
●消し去る恋と願い事
そういえばあったなぁ。消しゴムに願い事を書いて使いきろうっておまじない。
一回なんか書いて、でも途中でその消しゴムなくした記憶しかない…。
まぁそれはともかく、この短編は消しゴムのおまじないで展開する、本作では唯一のややビターテイストな作品。切ない…。
今にも離れ離れになってしまいそうな、その間際の勇気は、幸せな未来をつかめただろうか。彼女たちの未来に幸福を想像して、自分だけちょっと救われた気分になったりしました。ハッキリとした結論を見せないのが、味わい深かったです。おまじないの効果、出るといいよな。
●名前はまだない
表題作。タイトルがお洒落だし、意味深くてカッコいいです。
私はあなたから名前を呼ばれない。名前はまだない。
ちょっと小悪魔っぽい女の子が、1人でいるのが静かな女の子にアタックを仕掛けていくお話。戦略的に、気まぐれみたいに、簡単にキスをする。このちょっと奔放な感じがいいなー!
いきなりキスして相手を観察してるシーンとか「こ、この女!」感ヤバい。
でもこういうのが、なんだろうか、女の子の深い部分を覗けたような気持ちになれて、ある種の感動があったりする。
他の短編よりもぐっとじっくり関係を深めていく様子が印象的。
これこそ個人的には余韻が素晴らしいなと思った作品。「このわくわくと切ない気持ち」に名前をつけないんですよね。貴女と私の関係にも、きっとまだ名前はまだない。友達以上恋人未満のそれに、きちんとした言葉なんてない。
間違いなく恋し合った2人。両思いをほぼ確信したような2人。
でも、まだ結論は出さない。今の関係の浮遊感を楽しみませんか、と無言で通じ合えているようなムードに、俺の心は鷲掴みです。恋は過程も楽しむのだ!
そして最初に描かれたものの時系列的にエピローグに位置づけられたエピソード「recalculation」も綺麗で気持ちを落ち着けてくれます。忘れてならない巻末描きおろし漫画も、破壊力たかいよ!!
2人とも、結構なクセモノなんだけど、結局似たもの同士なんだろうなと思う。
●匿名プロローグ
作者初コミックス「純水アドレッセンス」のキャラクターの番外編。なつかしい2人に再会できました。やっぱこの先生すげえいいキャラだなー!ちゃんと大人っぽくてでも子供っぽくて!うーわー!
そんな作品がズラーリな「名前はまだない」でした。
糖分多め、だけどそこにちょっぴりのスパイスも効かせてあります。
涼やかな風が感じられるような、全体的に爽やかな空気がたまりませんね。
青春モノとしての百合漫画、という色が強い気がしますね。淡くて気持ちがいいです。ディープな百合ではなく、優しい百合漫画でした。
この作家さんの漫画はどうにもツボらしいので、飼い続けていきたい所です。
『名前はまだない』 ・・・・・・・・・★★★★
爽やか優しいほんわか百合作品集。ときめかされますわ。
[漫画]ますます賑やか!これは純愛ですよ?『恋愛暴君』2巻
恋愛暴君2 (メテオCOMICS) (2013/04/12) 三星めがね 商品詳細を見る |
死ぬ気で彼女と向き合いなさい!
あーーいいなー!2巻にしてはやくも安心感すらある。このドタバタ騒がしい日常は、居心地の良さと愛おしさに包まれています。
「恋愛暴君」2巻が出ました。1巻2巻と2ヶ月連続刊行となっており、しかもだいぶ宣伝されていますね。これは期待されてるんだろうな。
もちろんそれに相応しい面白さを持った作品ですよ。
そんな感じかは1巻の感想でも書いたので、そちらも見てもらえれば。
→元気になれるわちゃわちゃ賑やかラブコメ!『恋愛暴君』1巻
あと特設サイトも作られてます。あらすじはここ見ればわかりやすいですね。
URL見て知りましたが、「恋愛暴君」て英語にすると「ラブタイラント」なんだ。
暗い気持ちに一切ならずに済むドタバタコメディってのは、読んでいると本当に幸せになってきますよ!
作者の三星めがねさんの紡ぐ、まさに転がるように心地いい話のリズム。
ギャグのノリも自分に合いましたし、なによりキャラ力(ぢから)も良し!
2巻の表紙にもなったヤンデレ少女茜がベストフェイバリット。残念な美人さんであり、主人公が好きで好きで仕方ない様子が可愛くて仕方ない。もっとおっぱい使って迫って欲しい!(ニカッ
1巻ラストで気になる発言をしていた女の子、委員長さん。
2巻の前半は彼女と先生を主軸としたストーリーになっています。
委員長への好意をまるで隠せていない、大人っぽさ皆無の微笑ましい楠先生。
先生からの好意を自覚しつつ、どうしたもんかを頭を悩ませる委員長。
スレちがっているらしいこの2人をなんとかくっつけようとする主人公たちは奮闘します。グリちゃんがめずらしくちゃんと天使らしい仕事をしている!!
と思いきやメンバーにまともな人がいないので、混乱してばかりでグチャグチャになってしまうのがねえ、コメディのお約束。
しかし委員長がいいキャラしてる!
底の深い発言と表情に、読んでいてドキドキしてしまいましたよ。
「茜を遠ざけて私に告白でもするのかと思った」とかね。真面目なのかおちょくってるのか、判別のつかないテンションで言ってくるもんだから!
こういう本心の見えない、捻りのあるキャラすげえ好きだなぁ。小悪魔キャラか。
ちょっと影がある感じですが、でもまっすぐ恋する女の子でもある。
しかもトリッキーであるだけで、決して不快にならないキャラクター。
計算高く、自らの恋を育てていく。将来を見据えて。あーイイ娘だわ…!
いつも慌ただしい先生とクールな彼女の、きっと幸せな未来を思って笑顔。
主人公たちが基本的にバカばっかりなので、期間限定のゲストキャラながら、主人公たちをちょっと遠くから眺める保護者っぽいポジションにいてくれたのも良かった。茜のことを理解していたし、委員長という役職らしく、ちゃんと委員長っぽいキャラなんですよね、表面はw
ゲストとしてだけじゃなく準レギュラーとして出てくれないかなぁ。
さて、委員長がかわええんじゃという話をした所で
みんな大好きヤンデレ娘、茜さんの話をしましょう。
主人公も言ってますけど、本当に理不尽なんですよ!
私以外と仲良くしちゃダメ。浮気したらブッ殺す(天使の加護で死にませんけど)。でも例え男でも主人公を傷つけようものなら、容赦はしない。
邪魔なものを排除しようってアクションもホントに遠慮ないしな…。
この2面性!!デレとの切り替わりも面白い。
「あなたは私のモノ」という意識の塊なのですよ。行き過ぎた純愛!
これだけ愛されたらたまんないよなぁ、いい意味でも悪い意味でもw
主人公も、もうちょい彼女の好意に応えたれよ!と思ってしまいますが
ヤンデレキャラを真正面から受け入れちゃうとそこで話終わっちゃう気もするので
しばらくは茜さんにはヤキモチ焼きつつ殺意抱いてもらいつつ好感度MAXをキープしていただきたい所ですね!
病んでいるというのはギャグのネタとしてだけじゃなくて、彼女の純粋な恋心の深さを常にアピールされているってことでもある。
これだけ好意を寄せてくる娘なんですから、主人公としっかり幸せ掴んでほしい!
2巻後半からは主人公の妹ちゃんも登場。アブない百合っ娘・柚ちゃんも少しずつ主人公になびいてしまっているし、さらにラブコメ戦線は混沌深まりそうな…。
しかも2巻末では、グリちゃんとの単独デート回!
グリちゃんは捉え所ない正確なんだけど、無自覚にかわいさを振りまいているのがいいですね。
グリちゃんは恋の天使、キューピッド。でも人間の男の子との恋は?
天使と人間の恋仲はホントは駄目らしいのですが、グリちゃんのパワーならなんとかなってしまいそうに思えてしまうw フサさんとラブやん的な構図になったりするんだろうか…そうか主人公プーになっちゃうか…。(勝手な妄想)
そんな「恋愛暴君」2巻でした。
タイトルに暴君とついていますが、まさにそんなイメージの賑やかなラブコメ。
恋愛の甘い部分も酸っぱい部分も喧騒にまぎれて溶け込んでる。
恋愛要素を引き立てつつ、でもしっかり楽しいコメディやってますねえ。
斬新な漫画というわけではありませんが、冒頭でも描いたとおり、安心感がある。
読み心地の良さは、つまりこの世界の居心地の良さなんだろうな。
テンポよくサクサク進んでくれるし、ストレスフリーな漫画でございます。
でも6話の柚ちゃんなんか「ちゃんと自分の恋と向き合え!」とアツい叫びをしてくれてたまらなかった。そういう面でラブコメと侮れない魅力もあったりします。
3巻は8月に発売。今なら2巻直後の9話、最新の10話がメテオで読めますね。
新キャラのピチピチキューピッドさん…。
『恋愛暴君』2巻 ・・・・・・・・・★★★☆
きほん気楽に脳天気に楽しめる漫画ですなー。グイグイ引っ張ってくるラブコメ。