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正直どうでもいい(移転しました)

マンガ感想を主に書くブログ。移転につき凍結中。

高月かのんキレる 『あげくの果てのカノン』3巻

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米代恭

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   私のことを途中で放り出すなら、結局は奥さんを選ぶなら、
   ずっと神様のままでいてほしかった。


いつもタイトルでポエってるけど印象的なシーンがあったので簡潔に。
先が気になりすぎて月スピ購読も始めてしまったキッカケの「カノン」第3巻。
屈折しながらも純粋で、それゆえに圧倒的な熱量を保ち続ける暴走恋愛漫画です。
いま最も目が離せない不倫恋愛×SF漫画であると言える。他に有るかは不明。

過去の記事はこちら。
炸裂する無垢なる狂気 『あげくの果てのカノン』1巻
一生の恋を確信する瞬間、そして誰かを裏切る。『あげくの果てのカノン』2巻

第2巻ではカノンのライバル(と言えるのかはやや不透明だけれど、ポジション的には)となる、境初穂サイドを掘り下げていく内容でした。
3巻はこれまでい無かった形で、カノンの感情が爆発しまくる。

愛しい愛しい、わたしの神様。
あなたから貰ったのは恋と恋の歓びと、傷と失望と、地獄行きの片道切符。



正しいままで清らかなままで、美しい愛を死ぬまで果たしたいと願う。
けれど人の心は移ろう。崇な正義も変貌する。純粋な愛情も風化する。
間違っていると知ってもなお、過去の自分を裏切ってもなお。
生きていくには、現在進行系の己の感情が放つ声があまりにも大きすぎて
それを全てコントロールしきるには人類はきっと幼すぎる。
間違っていると分かっていても、踏み越えてしまう一線があるのだ。

第12話は先輩本人の本心も垣間見ることができる、夫婦のバックボーンが描写される。これが非常に刺激的。かのんフィルターが濃い目にかけられている本編なので、先輩はいつだってキラキラしているんだけれど、ここで先輩の「生の声」を聞くことができる。結果、やはり先輩はなかなかの曲者で、ぶっちゃけクソ男と言っていい。
けれどここで感じるのは、境先輩の心の傷の深さと、麻痺しきった感覚だ。
「どうせこの気持ちもすぐになくなるのに」と、全てを諦観した言葉が重い。彼の背負う使命もまた。

変わってはいけないと自分を律しても、戦うたびに欠損し、補修され続ければ過去の自分が少しずつ消えていく。自分の役目を全うするごとに、自分が少しずつ狂い出す。
あの頃の僕は、なにを大切にしていただろう。なにを尊く守ろうとしていただろう。
全てを受け止めてくれた妻からの言葉は、呪いとなり彼にのしかかる。
そしてそんな彼だからこそ。かのんの存在を気にかけた。
心の芯から永遠の崇拝を信じ切って、自分を慕ってくれる女の子。
境先輩はどんな思いでかのんの恋を、その狂気的な熱量を感じていたのだろう。

彼女の恋の強度を確かめることで、己の絶望を癒そうとしたのかもしれない。
または、すこし意地悪に、彼女を気持ちを試しているような気もする。
「変わらずにいられる感情なんて、本当にこの世にあるのか?」と。

まぁカノンにとっては先輩は神様なので、この世の全てのなにものと天秤にかけようと、先輩が死ねと言えば死ねてしまう人種なので、狂ってしまいっているので・・・彼女の規格外っぷりを、意外と作中のいろんな人達は測り間違えていく。
十分に狂っている世界と物語なんだけれど、その中においても並の狂い方じゃないぜ、この女の子の恋は。



2巻から引き続く、初穂さんといい弟のヒロくんといい、「報われない側」の人たちが本当にいい働きをしてくれる。彼らが新しい顔をみせるたび、悪意という色素をそっとかのんの心臓に滴らすたび、ゾクゾクしちゃうしストーリーはグングン面白くなるし。
いや「報われない」のは果たして誰なのかという事も思うが。

特に初穂さんの、計算高い魔女っぽいところと、すぐに泣いちゃうメンタルの弱さと、かのんに対しては「強い女」として立ち向かうところも、旦那への複雑な愛情も、研究への熱心さも自己嫌悪もなにからなにまでかわいい。かわいすぎる。
そして今回1番頑張ったと言えるヒロくんもかわいい。悔しそうに涙目になる思春期男子ってのは、もう食欲も増すってもんですわ。
ヒロくんなんて、きっと勝ち目なんてあるわけないと知って、それでもうっかり暴発してしまった。
今回からそんな2人がまさかのコンビ結成の兆しアリ。どうなるんだ・・・!!

そんな魅力的なキャラクターたちに手をひかれ、かのんの物語も熱気が増しまくり。
初穂さんの差し金とはいえ、今回ついにかのんは、神様に対して怒りを露わにする。
神様とその信者としてではなく、ひとりの女がひとりの男に対して、物申す。
そりゃあ、酷いことをされているのは間違いないのだから。
境先輩のせいで涙で目も晴らして、人には言えない恋をして、それでも裏切られ続けているかのん。
けれど怒れるようになったということは大きな変化に違いない。
本心を伝えることで、きっと面倒な女だと思われてしまう。嫌われてしまうかも知れない。それでもあなたを好きだからこそ、言いたいこともある。
もっともっと、私を愛してほしい。全てを捨ててでも、私を選んでほしい。
そんな欲深い本性がかのんの中で膨らんでしまっている。
それを口にして本人にぶつけてしまえるほどに、関係は進化している。
あの境先輩に、ビンタだってカマせる女の子になれました。

雨降って地固まる。激しくぶつかった後は、ご褒美ような、甘い逃避行。
目を細めてしまいそうなキラキラ眩しい幸せな時間。
文学的で美しい描写と演出の妙技がいかんなく発揮されております。
不倫という薄暗い関係でありながら、どうしてこんなに美しく、
それこそまるで儚いおとぎ話のような、憧れを感じる光があるのだろうか。




キャラクターそれぞれにしっかりと血が流れているのを感じる作品。
人物描写がリアルなのにエンタメになってるし、それでいてセリフひとつひとつに熱があって、共有したくなる美しさがあって、恐ろしくもあり憧れもある。
読みやすさと、絶妙な間に深いメッセージを感じるような演出の共存がされているのもたまりません。
ベタ褒めですけど本当にこの作家さんは漫画を描くのがうめぇなと思う。

どんどんとかのんが、”生”の女の子っぽく可愛らしく、エゴも強まり、
それでいて恋が深まるごとに誰かを不幸にして、自分すらも傷つけていく。
切ない世界観と、倫理に訴える必死な恋愛模様のバランスも最高。

3巻表紙、今回もやはり風に飛ばされる傘が登場する。
そして作中でもかのんが傘を持たないまま立ち尽くすシーンがある。
傘を持たぬ女、かのん。そこになんとなく、他の人とは違う生き方を選ぶことができる彼女の本質だったり、その内面の痛ましさだったりが感じられる気がする。

カノン3

世界から許されなくても、その想いを貫けるのだろうか。
変わらないものが、たったひとつでも、この世にはあるのだろうか。

『あげくの果てのかのん』3巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
かのんがますますどんどん可愛らしい。雨上がりの夕焼けと呪いのような“I'm Yours”.

たったそれだけのための万能薬 『売野機子のハート・ビート』

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   じゅりがアパートから出て行ってしまった
   おれたちの にせもののアパートから


今でもひとりでアジカンの「ソルファ」や事変の「教育」を聞いているときは立ちあがってエアギターをしているので、根本的に10年前からなんら進歩がない。
漫画を読むのと同じくらい音楽を聞くのも好きで、大好きなものが2つも一緒に摂取できると小躍りしてしまう。音楽漫画が好きです。演者側でも、リスナー側でもいい。音楽が流れている漫画が好き。

そんなわけで「売野機子のハート・ビート」もドンぴしゃ。
もともと大好きな作家さんだったんですけど、今回のテーマはもうズバリ音楽。
まずこの作品集のこのタイトルをつけるのがニクいですよね。
「売野機子のハート・ビート」・・・短編集に作家名が冠せられてるのも、まるでラジオ番組名のように感じられるのもかっこいい。
ラジオ番組のようだというのはまさしく、本作はナビゲーターである著者が、いかに読者を心地よく楽しませラストシーンに運ぶかをきっちりと計算し1冊に仕上げられている感触もある。その点で言えばラジオ番組とも言えるが、ミュージシャンのミニ・アルバムに近いかもしれない。

ハート・ビート

各話の行間にはプレイ画面まで表示されて、デザインも細部に拘りが光る。
絵柄がレトロな少女漫画を思わせる作風なのに、細部には現代的なエッセンスが盛り込まれていて、そのギャップも甘酸っぱい。

全4曲。いろんな角度から、「音楽と生きる人」「人に寄り添う音楽」を描く。
すげぇ面白いってわけではないんだけどすげぇ好き。そんな本。



『イントロダクション』
有名バンドマンがとある夜明けに、一般人の女性に一目惚れする。
無骨だがロマンチストな性格の主人公。彼がこれまで歌ってきた歌詞になぞるようにシンクロしていくストーリーがとても美しいです。
この作品に登場するヒロインとか、後述する「青間飛行」のLULUとか、まさしく売野機子作品のヒロインの王道をいっている。言葉数が少なく、覚めたような顔をして、冷たい言葉を放ちながら、強く強くぬくもりを求めている。不器用な女性だ。
本作には「ああ、この瞬間って素敵だ」「こういうとき、相手を好きだと思う」というような、瞬間瞬間のロマンチシズムというか、
甘酸っぱい感触だけを遺していく断片がいくつも重ねられている。
ストーリーもしっかりしているけれど、本当に詩集のようだ。
夜明け前、過ぎるヘッドライトが君の髪を1本1本を照らしていく。

ヒロインの詳細はネタバレになってしまうんだけれど、彼女からすれば望み続けた音楽を手に入れた形にもなって、それに自分の血を混ぜていくんだろう。
彼女の執念が現実に勝ったとも言えるけれど、主人公からしても彼の空想が現実に塗り替えられていく感覚があるはずだ。男女ちがった立ち位置からひとつの曲に接していて、そして人生が交わった瞬間に、より強く光る。
パッと眩く照らし出される瞬間に宿る、男女の甘い夜の物語。

・・・冷静になればなるほど、ヒロインが恐ろしくなるけどな!!




『ゆみのたましい』
貫かれるような力強い言葉がとにかく印象的な一片。
おねショタものだが、一筋縄ではいかない、初恋のストーリー。
高名な音楽家の母をもつ主人公のぼく。音大受験のために母に教わるべく、ぼくより6つ上の女子高生ゆみが家にやってきて、ふたりの交流が始まる。
音楽がもつ残酷な一面が描かれていて、たとえば本作では音楽にまつわる才能の話だ。ただ寄り添うだけの優しいものではなく、時として人は音楽に”選ばれる”。そして選ばれなかった人だっているのだ。

ヒロインのゆみは、恵まれていて、きっと幸福だった。
そこを主人公のぼくは幼さゆえに勘違いをして、勝手に寂しくなって、自分の知らない世界の巨大さを知る。
少年が、大人の世界に触れてハッとする瞬間に、切り刻まれたようなショックって尊いよなあ、大事だよなぁ。
けれどそんな時に、ゆみが放つとっておきのセリフが心に染み込む。
モヤモヤした気持ちがすっと透明になるような感覚がお見事でした。




『夫のイヤホン』
このコミックスでは一番好きな作品かも。
これは音楽と仕事をする人間ではなく、ただの一般市民にまつわるエピソード。
専業主夫をしている男性が、昔のヒット曲をテレビ番組で聞いてから、なーんかひっかかる感覚に囚われしまう。ずっとイヤホンで昔の曲ばかりきいてしまう。
違和感の正体を探っているだけなのに、いつもと違うようすの旦那さんに奥さんも慌てふためいて可愛いったらありゃしない。

思春期の生きづらい日々の中。
親の言葉も遠い。友人の言葉も見当ハズレ。自分の言葉も見つからない。
答えを知りたいのにだれも答えてくれない孤独の毒に犯されていく。
きっとそんな時に救ってくれたり、答えをくれたり、そもそも悩みを忘れさせてくれる・・・そんな役割と、10代の時に聞く音楽というのは担ってくれている。いや音楽に限定せずに、なにか夢中になれることとか憧れとか、とにかく自分だけが浸れる別世界というのは、本当にあの時、頼りになるのだ。
本作における音楽というのも、そういった面をフィーチャーしている。
音楽と思い出は、俺たちの中で血管につながれている。

人生は地続きで、昔聞いていた曲を再び聞いて、当時を思い出し立ちすくむ時だってある。けれど今きいている音楽を、10年後、どんな時に再び聞いているだろうか。
夫婦の空気感も大好き。穏やかな顔して、自分にとってのやわい部分を鋭利に突いてくる。それでいてポジティブで、音楽への情熱も過剰ではなく、馴染みやすい。
いい漫画だなぁ。俺はこういうぬるい漫画、大好きなんだよ。




『青間飛行』
大ヒット歌手のLULU。彼女はとある男からのインタビューしか受けなかった。
ところがその男(主人公の上司)がアメリカに渡って別の仕事を始めるってことで白羽の矢が立ったのが春紀。音楽ライターの主人公だ。
音楽ライターの仕事ってどんなのだろうっていう意味では、面白い世界を覗けてワクワクする短編となっている。
同時に、気難しい女性歌手のバックボーンから始まり、仕事を通じて音楽で繋がった男女の、遠く薄く秘密めいた、甘酸っぱいストーリーへの向かっていく。

LULU、大人の世界で怯えて縮こまる少女でしかない。圧倒的な才能のせいで、だれにも彼女は笑顔を晒せられなかった。
そんななか、主人公の上司だけは彼女に歩みよった。

上司は、どんな遣り取りがあの日にLULUとあったか、話そうとしない。
それは彼自身も、話したくない美しさをあの思い出に感じていたんじゃないかな。
恋心とかではなく、人と人の心がつながれた瞬間の、微かな振動を。
LULUが青空を仰いだシーン、映画のワンシーンみたいで泣きそうになった。




そんな感じで音楽をテーマにした短編集。
どれもこれも、いろんな角度から音楽と人の関係を描いていて堪らない。
人を選びそうな作風ではあるけれど、刺さる人にはきっとぶっ刺さる。
今後も、おぼつかない、美しい、不器用な物語を描いてほしい作家さんです。

音楽の持つ作用って時に恐ろしく、時に優しく、いろんな言葉で音楽について語る本作は
自分の中にまた新しい音楽観を作ってくれたようにも感じます。
最後に本作で印象的なモノローグを。

おれたちは
ゆらぐものと
ゆるぎないもとの
波間を遊ぶ



『売野機子のハート・ビート』・・・・・・・・・★★★★
好きな音楽を聞いているとき、普段より少しだけマシな自分になれる気がする。
それだけ。たったそんだけの万能薬。

一生の恋を確信する瞬間、そして誰かを裏切る。『あげくの果てのカノン』2巻

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   私の『希望』は、先輩の苦しみや、彼の妻を、踏み台にして、やっと『恋』になる。
 
「あげくの果てのカノン」2巻が出ています、結構前に。遅くてすんません。
今年1巻がリリースされた作品の中でもかなりお気に入りな一作。
不倫恋愛×SFという悪魔的合体、そして主人公の暴走とともにストーリーもカオス。
崩壊した世界でたっひとつの想いに振り回される、かわいらしい、悪党の物語だ。どうしようもない片思いの顛末の物語だ。誰かを不幸にすることでしか完結しない恋だ。誰かを。己を。

前回→炸裂する無垢なる狂気 『あげくの果てのカノン』1巻




1巻がとんでもない所で終わったのですが、しすかに幕を開ける第2巻。
呆然としたまま、変わりない日常にもどるかのん。
あの一件の後になるとその日常が守られてることの価値を、痛いほど感じる。
変わらない世界の代償に、変わって変わって変わり果てていく先輩に、胸が締め付けられる。
そんな所にやってくるのだ。超、重要人物!

kanon22.jpg

奥様襲来!

「今度はあなたなのね」という、ああもう、こんなヒドイ言葉ってあるのかと。
明らかな敵意をもって目の前にたつ彼女に、かのんは立ち向かえるわけもなく。
大好きな男性に世界でたったひとり選ばれた女性に、凍てついた視線を浴びるのみ。

きましたねー、非道徳的な恋愛をしているシチュエーションにおいてこれは重大イベント。
個人的にはまだまだ先の話かと思ったら、2巻からガッツリと奥様・初穂さんが絡んでくる展開。
かのんがしていることは。かのんが抱く想いは。初穂さんを傷つける。
それと知っても恋をやめられない以上、かのんと初穂さんは火花散らせるしかない。
だめなことだとしても、好きな人のあたたかさに触れてしまったとき、世間体なんて単なる「つまらない話」に成り下がってしまう。

不倫と覚悟して踏み込んだ部分は間違いなくあって、そもそも報われると思っていたわけでも無い。
けれど目の前に、自分の恋が万が一成就したときに転落させてしまう人物が現れたとき
どこまで想い貫くことができるかは、ひとつの分岐路だと思う。
「恋なんていわばエゴとエゴのシーソーゲーム」って、不倫したミュージシャンも歌ってた。
そしてかのんは今回、ひとつの決心を持って、いや決心もできぬまま、周囲を巻き込んでいく。



この作品は適度のアニメチックで、そして純文学的でもあって
読んでるとき、セリフのひとつひとつに、かのんの淋しげなモノローグに、まるで耳をそばだてるかのように慎重に文字をメでゆっくりと追いながら読んでしまう。

2巻はスタンダールの恋愛論から引用がされていて
「恋が生まれるには、ほんの少しの希望があれば十分だ。」のフレーズが登場する。
まさにこの作品にぴったりだし、ひねくれた脳みそしているので一瞬立ち止まってしまえば「しゃらくせぇ!」と思ってしまうようなポエミーな演出にも感じる。でもやはり、そんな小さな恥ずかしさは吹き飛んでいく。いやむしろもっとしゃらくささと出していってほしい。こういうの大好きだから。
この作品は神秘的に聴かせてくれる。言葉が持つ小さな棘までも、ありのままに操っている。
湧き上がる切なさ、行く当てない絶望、血管を駆け巡る興奮、狂信的な恋のありさまを。
余すこと無く。
作者が慎重に、絵と言葉を紡いで漫画にしていることが感じられるんですよね。

かのんが先輩の顔に触れたときの「私は今、神さまに触れている。」ははっとさせられるような、グロテスクさと祝福を感じました。
グロいって先輩がじゃない。あの場面そのものが。

kanon24.jpg

「正しい」という言葉の意味を、もう一度見つめ直したくなる。
8年間思い続け、叶わなかったはずの恋。それが果実のようにいま目の前に実るとき、
『どんな控えめな女でも、希望を見た瞬間 目が血走る』。




変わり続ける先輩。かのんにキスをしたあと「ごめんね」と言った先輩。
先輩に愛されることの幸福と、「不倫する先輩」を信じられない、アンビバレンスな混乱が彼女の脳内をぐるぐる巡る。
問い詰めるかのんにたいして、先輩があきらめたような表情とともに言ったセリフが
どこか作り物めいた印象の先輩らしからぬ、人間くさすぎるセリフでたまらないのです。
「人はそう単純いられないから」と。
ドキッとしますよね。どんなに体がおかしくなっても先輩は人だし、生きているし、ときに間違えを犯す。
そして浮き彫りになる、かのんの強烈な信仰心と盲目。
かのんは、先輩を人として、自分と同じ生物として、捉えられているだろうか。
そこに強烈な距離がないだろうか。

不倫をする。自分にたいして冷たい声をかける。
そんな新しい先輩のいち面すら、かのんにとってはある種ファンタジーのようなものなんだろうなとも思う。
究極的には自分が満たされたいだけのエゴをいつしか見出されてしまう。
自分の恋に「発狂」する彼女の姿は、人間として根っこにある汚い部分、幼い部分、そしてとてもかわいらしい部分のように感じますね。見ていて危なっかしくて仕方がないけれど。

先輩にまつわる思い出のエピソードに、パッヘルベルのカノンがありました。
内省的な少女だった幼いかのんは、自分の名前がコンプレックスだった。
自分には到底似合わない、美しい名前だと言って。
しかしそこに境先輩がパッヘルベルのカノンをピアノ演奏したことを知り、
かのんにとって自分の名前が、価値あるものに変貌する。
先輩はある彼女からコンプレックスを拭い去り、本当に救済となり得ていたと分かる。
「生きる希望」とまで呼べてしまうほど、強大すぎる存在感。
そう考えると今の2人の距離感ってすごいことなってるよな。キスまでしたぞ。




さてさて、2巻ではさらにサブキャラクターたちの心情も描かれだして
これまた一層ストーリーが面白くなってきています。
かのんの弟と先輩の奥さん。当事者と家族として接してきた人物のうちに秘めた感情とは。
悲恋萌えをこじらせるとかのんの弟くんとか可愛すぎて仕方がないし、
初穂さんも、いまの彼女を形成した歴史が紐解かれたことで、魅力がうなぎのぼりってもんです。
第10話とか幸せすぎて何も言えなかったですからね。
境さんの恋人として、また妻として、研究者としてどんどん新しい一面が見えてくる至福。

戦闘による欠損修復によって書き換えられていく個人の人間、「心変わり」。
初穂さんは研究者の立場からその現象について理解をしてたし、それをさせないための研究に熱意も燃やしていた。・・・現状、自分の旦那の心変わりを止める手立てはないが。
旦那が浮気をしていることを知っているし、むしろなんかめっちゃ隠しカメラで観察している。
その上で旦那を牽制する。
いっときの浮ついた感情より「結婚」という契約の重大さを、その価値を。
まるで隠しナイフをつきつけるかのように、彼女は彼に問うのだ。
初穂さんの側からこの物語を観たとき、あまりにも残酷で、ゾクゾクする。

kanon21.jpg

そして印象的だったのが、かのんが友人と不倫の恋について話していたときに出た
「結婚って、なんなのだろうか」という問い。
ここでは、いろいろ変化があるのが当たり前だから互いの変化を許し合えるようになっていく「結婚」なのかな、という表現がされている。
この作品がもっと未来へと進んだとき、登場人物たちはそれぞれどんな答えを持っているのだろうか。一度ここに立ち返って比較してみるのもきっと面白いはずだ。



そんなこんなの第2巻。
1巻も面白かったが、正直2巻から一気に加速してきたように感じます。
ここまで来て、恋愛漫画に抵抗がない人にはひろくおすすめできる領域に来たような。
織り込まれてた様々な立場のキャラクターの感情と、理屈をときに凌駕する暴力的な恋心。
甘酸っぱくて、ほんのすこし血の味の混じった、ダークでポエミーな作品です。

kanon23.jpg

ああ、かのんのこの眼が、夢を見るばかりの人間ではなくなっていて
寂しいやら嬉しいやら、きっと不幸が待ち受けると知る、悲痛な覚悟だ。

改めて2巻の表紙を見てみる。
崩壊した都市、
夕焼けの世界、
着たままのレインコートと風に流される雨傘、
かのんのむかう先には先輩が待つ。けれど地続きではない。彼女はそこにたどり着けるのだろうか。
かのんは先輩に「やさしくしたい」と言う。先輩を苦しめているのは自分なのに。そして先輩を苦しめられるほどに彼の人生に食い込めたことの幸福と残虐な信仰が並び立つ。
先輩を思って無邪気にストーキングしてたときの方が、よほどいい顔していたのに。

『あげくの果てのカノン』2巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
めちゃくちゃ面白い、おい・・・感情揺さぶられまくる。じっくりと世界に浸りたい。

ナイト・イズ・スティル・ヤング.『アフターアワーズ』1巻

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   私たちの夜は、まだ始まったばかり。

ヒバナで連載中。ゆるふわオシャレ系クラブ百合漫画という唯一無二のジャンルを切り開く「アフターアワーズ」の第一巻の感想です。
陰キャラとして全力で人目を避ける学生時代を過ごしたものとしては
「渋谷のクラブ」なんてワードはもはや許しがたい程のパリピ力を持っており
半ば憎しみめいた感情が湧く・・・かと思いきや
渋谷のクラブとか、アングラなDJ文化とか、女性の同棲生活とか、
自分にとっての未知がたっぷり詰まった世界が展開され、しかもそれが輝いて見える。
そんな魔法のような空間にすっかり魅了されてしまうのですよ。

誰かと出会うことで世界が変わる快感。
それは人でも音楽でも同じ。
きっと人は未知のなにかに魅了されることをどこかで願いながら生きている。
クラブは別に人との出会いの場だけではなく、新しい音楽に夢中になれる場でもある。
むしろ音楽好きが集まるわけで、そりゃあ話があうやつもいるかもしれない。
新しい何かに触れられる小さな箱庭。現実も、ちょっぴり忘れられる。

「ミラーボールの下でゴリゴリEDMでウェイしながら酒のんでクネクネするんでしょ?」
・・・とんでもない。クラブはいいぞ。都会は眩しいぞ。音楽は楽しいぞ!ワクワクすんぞ!!
個人的にはこういうタッチでDJ文化を描いた作品は読んだことがなくて、この界隈への興味も湧いた。ひとつの職業・文化を取り扱うマニアックな視点も素晴らしい。
それでいてシンプルに、女性同士のココロの交流を描いた作品としてもレベル高い。
キラキラした素粒子がガンガン放出されている、そんな漫画です。
都会の夜のエモさ、ここにあり。



で、そんな素晴らしい作品がまさかそんな事態に陥ってるとは・・・
けっこうタイムラインを賑わせたこのツイート。
自分もなんかできたらってことでブログを書くわけですが。
こんな騒動が無くてもいつかは言及したいなと思っていたので
みんなもっと読んでくれ!!!!という気持ちで更新です。

まぁとにかく。紹介がてら今更ながらの1巻感想です。




主人公のエミは友人に連れられ気乗りしないままクラブにやってきた。
そこで出会ったケイに関係が含まっていき、深夜のクラブ文化に触れていく。
夜の楽しみ方。知らない音楽の聞き方。音楽の新しい聞き方。VJってなに?

「知らないでしょ?とろろこんぶのおにぎり 探して買ってきて」
一夜を共にしたあと、そう微笑むケイ。非常に印象的な第一話のセリフ。
この漫画のテーマを言ったいるように思えます。きっと探せば見つかる、もしかしたら意識してないだけでそばにあるかもしれない、でもこれまで見えていなかった新しい何か。
美味しいかもしれないし、口に合わないかもしれない。でも、それを知るために。

アフアワ11

VJとはDJが流す音楽に合わせて、リアルタイムで映像を編集する人。
初挑戦で身震いするほどの興奮を味わったエミは、そこから新しい音楽の味わい方を知る。
音楽が楽しい瞬間。あの高揚が、本作は爽やかに描かれている。
そしてその快感を初めて味わって、ドキドキしてたまらない感触。これが清々しいのです。

ケイさんの伸び伸びした立ち振舞いが、俺が思う「都会的」そのもので、憧れがある。
彼女のまとっている空気がそのままこの作品のカラーになっているように感じる。
奔放で、ちょっとミステリアスで、なのに笑顔ばかりが似合って、
楽しいこと全部やりたいだけやってしまうようなエネルギーがあって。
あと部屋が超かっこいい。

ケイさんの過去が語られていく中で、たどってきた悔しい思い出や
好きばかりの情熱だけではなんともならなかった現実も見えてくる。
クラブイベントの主催側の事情が垣間見えてドキドキするんですけど
そこらへんは知識豊富な作者だからこそ踏み込めた領域なのだろうとも思う。

細かな部分を言えば構図や演出が凝っているシーンがとても多くて
ひとつの画集のような気持ちでページを開くこともできる。
内容もそうだけど作品全体がなんかもうオシャレなんだよな。
例えば第3話のラスト、はじめてVJをやって打ち上げして、店から出たらもう朝で。
スタッフたちが真っしろな朝の街をゆっくり静かに歩いて行く見開きなんか
映画のクライマックスのような情緒感があふれていてたまらない。
間のとり方や、吹き出しの工夫とか、上のような「魅せる構図」とか
あと内容とセリフと演出が完全にバチッとハマってたこのシーン

アフアワ12

後ろで車が通りすぎて、逆光で一瞬ケイさんの表情が見えなくなるんですけど
あまりにカッコよすぐてスマホの待受にしたくなった。




エミちゃんが彼氏とズルズル同棲しているっていう設定もグッとくる。なるほど浮気百合。
百合漫画というにはいわゆる恋愛要素はそんなに濃くはなくさっぱりとしている。
しかし、エミちゃんがケイさんがべったりと甘えてるような、精神的にも
どんどん拠り所としていくその様子にホッコリしてしまうのだ。
むしろ1話でずいぶん性急にセックスをしたことが
ケイさんもあの夜に酔ってしまっていたことがわかる嬉しい部分。

アフアワ13

ふたりとも、もう大人といえる年齢なんですよ。
けれどまるで楽しいことしかこの世にないような夜を知っている。何度も足を踏み入れる。
大人だからこそ知る現実の辛さを、それを忘れさせてくれる夜の時間の、描かれる日常バランスの巧みさ。
音楽を楽しむことはそういう心の豊かさをくれることんだと感じさせてくれますね。

音楽漫画というほどズンズン言わせていないんですが、「音楽を楽しむ空間」への強い愛情が感じられる漫画なんですよね。プレイヤーよりではなくむしろ客席のほうに近い。
秘密めいた都会の夜の香りがする、いい漫画なんですよ。
俺もこの漫画を読んでからクラブ行きました。ニジロックっていうアニソンと邦ロックばっかり流れる岐阜アニクラなんですが、楽しくて大体2ヶ月おきに行ってます。
個人的にはそういう楽しみをくれた意味もあって大好きな漫画です。
クラブ文化を知らなかった人がクラブに行き出すようなエネルギーがあるんですよ。
続刊、ちゃんと出てほしいなぁ。

http://hi-bana.com/works008.html
試し読みできるから。ぜひ1話だけでも読んでみてほしい。

『アフターアワーズ』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
夜のたのしみはまだまだこれから。東京と、音楽と、女の子の景色。

[漫画]炸裂する無垢なる狂気 『あげくの果てのカノン』1巻

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米代 恭

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   この人を好きでいたら不幸になる。わかっているのに、どうしようもなくずっと好き。

禁忌的な関係だとか、終末世界だとか、無垢がゆえの狂気だとか。
これでもかと俺の”好き”を内包してくれた新作「あげくの果てのカノン」の1巻が出ました。
ひっさしぶりにドストライクな新作。面白いのはもちろんの事、愛してしょうがないなにかがこの物語の中にはある。煮えたぎって溢れでてしまうような恋のエネルギー、それは非常に真剣で、ときに恐怖を感じさせる。
これはもう痛々しくて仕方がない。格別に恥ずかしくなるほどに、そして胸がきしむほどに、痛む。

オビには押見修造先生、志村貴子先生、村田沙耶香先生と漫画家のみならずビッグネームから応援コメントが寄せられているけれど、各作家さんのコメントもかなりエモくてオススメです。
ともかくかなりグッと来ましたので久しぶりに更新・・・!
とりあえず第一話の試し読みができるから気になったら読んでみて欲しい。




エイリアン襲来によって世界のあり方は大きく変わった。
しかしそんなことお構いなしに主人公、かのんは8年間にも及ぶ境先輩への強烈片思いを抱えている。
先輩はもはや世界のすべて。その恋心はストーカーじみていて、精神の不安定さとかメンヘラ全開である。
先輩との会話を録音して反芻するわ、これまでのやり取りを日記にして全部書き留めてるし、先輩の職場やスケジュールも調べあげて出待ちするし、第三者からストーカー行為を咎められようものなら逆上、癇癪、あとの祭・・・。
そんな主人公の危うさを、たっぷり余すことなく楽しめるこの一冊!

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見ていて面白い、というのが1番の感想。
ハイテンションと超ダウナーな空気が瞬時に入れ替わる。むしろ切り替わらずに同居させ、もう思考回路もムチャクチャなまま感情爆発。
「そんなわけない」って思っても、「もしかしたら」と思う心が歓喜する。都合のいい解釈と自己嫌悪のループ。
彼女なりのロジックの上でモノローグは垂れ流されるんだけど、オトメの全力全開な内容は可愛らしくもあり、しかし23歳に当たり前に備わっているべき社会的常識を踏み倒しているこの未成熟すぎる感覚が、恐ろしくもある。

なのに、彼女に不思議と感情移入をしてしまう。
コントロールの効かない恋愛感情に浮かされて、自己嫌悪の沼におもいっきりハマりこんで
それでも圧倒的な自己肯定と個人崇拝のエネルギーで、自分と心と戦って、相手にぶつかっていく愚かな姿を
愛おしいと思えないんなんてそんなのウソだなって思うわけですよ。俺はね。

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はっとさせられるシーンやモノローグの多いこと多いこと。
言葉を大切にしている作品だなと感じます。言葉のチョイスや、それをどうページに配置するかをじっくり吟味して作られているように感じる。
質のいい詩集のような、言葉と思考のゆらぎがとてもとても心地良いのです。
静かに彼女の中でだけ繰り広げられる感情の爆発。歓喜、自責、興奮、絶叫、傷嘆。
頭のおかしい、おかしくなりそうな、甘くて苦い恋の世界。




不思議とこの世界の異常さを、住人たちは口にしないんだけれど。
例えばエイリアンと戦う特別機関に所属する人間は、ちぎれた身体のパーツを復活させることができる。
進化した科学のチカラが「絶対」の安心感を産む。勝てるし、取れても復活するし、きっと死なない。
だから警報がなって避難をしなくちゃならなくても人々は至ってのんきだ。
人々の順応性の高さを感じる。だけれどそこから浮かび上がる、主人公の「異常な正常さ」が面白い。

境先輩は、戦場の最前線でエイリアンと戦う戦士です。
甘いルックスから世間的にもアイドル的人気を得ている先輩は、主人公の学校の先輩でもあり
彼女は学生時代からの8年間をひたすら先輩につぎ込んで、先輩だけが世界のすべてで。
だからこそ、パーツ交換によって、人格や趣味趣向までどんどんと変わっていく先輩に対して
「大好き!!!!!愛してる!!!!!!!!」だけじゃない感情まで抱き始めている。

ハンバーガーを食べようとしたのを止めたシーンはギャグのようでもあるし、
「私の知らない先輩」を受け入れられなかった彼女の、一瞬の拒絶反応だったように思う。
かのんの中で渦巻く感情は、もはや「恋」の一言では片付けられない。
いや、そもそも、恋を一言で片付けようというのが愚かなことなのかもしれないね。(いつか使おうとノートに温存していた決めゼリフです)

だから危うく思うのは、「私は先輩のことが好きなのだ」という刷り込みだけが頭に残って
とうの先輩がまったく別の人間になり変わっていたとして、その時はたして彼女はなにを選べるのか、ということ。
どこまで描かれるか、続くのか分からない物語だけれど
1巻の時点で相当バランス的にグラグラしているのに、これから一体どうなっちゃうってんだ。見逃せない。

あとこれ本当にアツいんですけど。
先輩は既婚者です。

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先輩、ロクでもねえな




かわいく思われたいし、でも近づき過ぎたら自信の無さですぐにヘタれちゃうし、
特別にはなりたいけれど、かと言って「不倫とする先輩」なんて見たくはない・・・
1巻のラストでは怒涛の展開で急転直下、スリリングなのは恋模様だけじゃないって事で
素直にストーリーのうねりにも唸らされる期待作。

タイトルにも主人公の名前にもなっている「カノン」。
有名なクラシック曲だったり、カノンコードだったり、色々と聴くワードですが
意味を調べてみると「聖書」と結びつくワードでもあるようで。
妄信的な恋を描くこの作品らしい要素ですね。
繰り返されて、少しずつ変化していく思考回路。その迷路をたどっていく読者。

それにしても俺はこういう、ひとケカラほどのセカイ系DNAを持って生まれた作品を愛してしまうクセがついているらしい。途方も無い世界の残酷さを、素晴らしさを、虚しさを感じさせてくれるこういう作品が、大好きです。
それでもってネジはぶっ飛んでるが、純粋に恋のエネルギーを漲らせて生きている主人公を見ると、思い報われようが報われまいが、素敵だなって気持ちにさせられる。
まぁともかく。月スピ的にもプッシュされていると見る本作。さらに盛り上がる2巻への期待がすごい。

『あげくの果てのカノン』1巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
メンヘラストーカー女の純愛記録。というだけでもない。人間本来の危うさや恐ろしさ、愛おしさを詰め込んだ作品。

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