[漫画]魔法少女といっしょに世界を変えよう『昭島スーサイド☆クラブ』1巻
昭島スーサイド☆クラブ 1 (チャンピオンREDコミックス) (2012/09/20) 菅原 キク 商品詳細を見る |
やなこと全部 違う!!ってブチのめせたらな―――なんて…
「昭島スーサイド☆クラブ」1巻の感想。
平凡な街、平凡な少年、魔法使いの女の子。そんなお話です。
オビには神聖かまってちゃんのちばぎんさんがコメントを寄せており何やってるんですか感。
表紙とこのオビで興味をもって読んだのですが、内容もなかなかに面白かったです。
というか色々とツボな要素が見つけられまして、いいものに出会えたなと。
キラキラした青春漫画とは違います。青臭いけど輝かしくはない。
夜を舞台に、日陰者たちがこっそり世界を変えようとする漫画。
不良に絡まれてたら、突然空から女の子が降ってきて、助けてくれた。
そんなボーイ・ミーツ・ガールの王道のような始まりをします。しかも魔法少女!
けれどそんなファンタジーが許される世界ではないんですよね。彼女は、この鬱屈とした世界から主人公を救ってくれる存在ではない。
街ゆく人から白い目で見られてイタい子扱い。魔法なんて使えないからホウキで殴りつける。そしてときには敗北する。そんな魔法少女なんです。そう、現実はいつだって厳しいのだ。
現実的な冷たさを持った世界と、それと戦う魔法少女。うむ、これだけで心の奥深いところがズクンと震える気がする。
ケアリーこと垣之上が作った組織が「昭島スーサイド☆クラブ」。タイトルですね。
これはざっくりと言えば、勝手に町の平和をまもる組織。世界を変えるために。
東京・昭島を舞台に、トラブル解決をやっていくような感じか。
そんな魔法少女に手を引かれる主人公・涼介。
彼のスタンスがこの漫画をさらに面白く、心に響くものにしています。
だって本当に普通なんだ涼介は。不満があっても口にだせない。なんとなく、何か少し世界が変わってくれれば、と思っている。それだけです。
それは自分が変われないから変化を世界に求めている甘ったれなのかもしれない。でもそんな都合のいい期待をするのも仕方ないじゃないか。だって世界を変える力なんてないのだから。
無力感と、ぼんやりとしながらも確かにある不快感。
確かに力はないけれど、なんとかしたいという想いだけは強くある少年です。
だからこそ、この物語の主人公なんだろうなぁ。「クソくらえ」と吐き出す勇気すらないけれど、言ってやりたいという気持ちだけはある。
晴れて魔法少女ヒロイン・垣之上すうと出会った涼介。
彼女と一緒なら何かがかわる!自分にも何かできる!灰色の日常をブチ破れる!
そんな淡い期待をしてしまいますが、第2話目がイキナリ凄いのです。
完敗である。げげーっ。いきなり挫折だ。
頼みの魔法少女は大人に殴られてノックアウト。1人残されて、「ごめんなさい」と繰り返すことしかできない。垣之上さんをまもることできず、リアルな暴力の前に屈服する。
夢物語が現実に打ちのめされる瞬間は、物語はじまってすぐに訪れるのです。
いやぁキツいキツい。女の子が殴られてそこで倒れてるのに、こっちは「ごめんなさい」って相手に謝るしかできないって、超カッコわるい。でもさ、これが限界だ。今んところの。
やっている事そのもののイタイタしさもあるけれど、少年少女の思うがままには世界って変えられない、ってところを見せつけられて、読みながら予想外に傷つきます。
まるで出来損ないのセカイ系。「世界を変えるんだ!」って言ったって、たかがこんな小さな町の1つ、たった2,3人相手に負けてしまう。こんなの何ができるっているんだ。
そしてこれだけリアルに現実を立ち塞がらせる作品なら、今後もこのスタンスは変わらないでしょう。きっと彼らはこれから先何度だって負ける。わからないけど、多分。
そんな苦い想いをしてまで彼らはやっぱり、戦っていくんだろうな。心が折れるまで、時には虚勢をはって、がんばるんだろう。これはこれで、すごくアツい青春に違いない。
僕らの周りには、いくつもいくつも納得行かないことやイヤなことがあるんだ。
日陰者たちのカウンターパンチは、このクソッタレな世界に届くかな。
ボーイ・ミーツ・ガールの甘酸っぱさはあり、その楽しみはあります。
でもこの作品の本題は、少年少女がこの世界に戦いを挑んでいくその様子を、眩しく苦々しく見つめていくことにあると思います。
すっごく青臭いです。現実を見ろよ、大人になれよって話です。
でも社会に迎合できない・しようとしない彼らの行く末、見守りたくなります。
必死になろう。それくらいの覚悟で戦おう。
「自殺」と名付けられた物騒なその名前には、そんな意味で込められているらしい。
悪あがきにしか見えない。でも悪いあがきでもいいよな。
だって本当に欲しいのは、世界を変えてやろうって牙むいて拳握って立ち向かっていける自分そのものなんだ、きっと。少なくとも、主人公の本当の想いはそれだと思う。
にしても「スーサイド☆クラブ」って、このノリいいよね。
鬱屈とした世界の中、手を組んだ日陰者や外れ者たち。彼らの心からの叫びはまっすぐ口にするのは恥ずかしくて、ガキっぽいかもしれない。けれどすごくエネルギッシュで、こちらの心も突き動かされるのです。
ここはスーサイド☆クラブ。今日も明日も、勝手に死ぬ気で町をまもります。
『昭島スーサイド☆クラブ』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
好きな雰囲気。甘くて苦くて痛くて熱い。垣之上さんの2面性もグッとくる。中二病とは少し違うかもしれないけど、ちょっと似ている所があるかもしれない。生暖かく見守りたい。
脳内テーマ曲はスピッツ「夜を駆ける」で(どうでもいい
[漫画]秋深まり絆も深まる。『銀の匙 Silver Spoon』5巻
銀の匙 Silver Spoon 5 (少年サンデーコミックス) (2012/10/18) 荒川 弘 商品詳細を見る |
真剣にやればかざる必要無いんじゃないかな
「銀の匙 Silver Spoon」5巻の感想。
今回の表紙はエゾノーの女の子たち。いままでになく華やかですな。
でもこの中でメインキャラと言えるのって真ん中の段の3人くらいのような気が。
ほかの娘は単行本のオマケラフでプロフィールが公開されてるますけれど、こうして表紙にまでやってくるとは。でもこういうのすごくいいな表紙だなと思います。
ストーリーにあまり絡まない人たちもこうして集合すれば、それぞれのキャラクターが見えてきます。なにより主人公の八軒視点で進む話なので、女の子たちだけのシーンってあまり無いし。
彼女たちの普段の雰囲気が垣間見えて好きなイラストです。
メインキャラじゃなくても表紙に居てもいいよな。彼らもこの世界の住人だ。
前巻→あまじょっぺー夏を噛み締めろ。『銀の匙 Silver Spoon』4巻
この巻はいつになく御影アキが素直だったような印象。
近いようで遠い距離感をキープしてきた彼女。むしろ遠ざけているような感じすらあった。
八軒も踏み込んでいこうとはしていかないんだけど、御影もふかく踏み込まれないように身構えていた気がします。アキの様子を見るに、八軒のことはすごく気にかけているようですけれど。
けれど今回、御影と八軒はケンカみたいな状況になってしまいます。
いつも柔軟な御影がこんなにマジになるのは馬のことであり、さすが馬バカという具合ですが、そう茶化すのもいけないな。みんな真剣。
ケンカをするってなかなかに体力を使うもので、こうなってしまっては2人の間柄も変わらざるを得ない。
ラブコメ的なときめきは薄いです。
もっとどっしりとした、力強いメッセージが込められている。泥臭くもある。
主人公とヒロインのいざこざという、まぁ結構おいしいイベントだと思うのですが、安直にそういう色恋沙汰に持っていかないのもこの作品らしいです。
でもさりげなく、縮まる2人の距離を見せてきたりもする。(方言でいじる所とか)
そういえばそうだ。この作品は「さりげなさ」が粋だなとも思う。
しっかり伝えるべきことは伝えに来る。迫力たっぷりに頭に入り込んでくる。
でも何でも無いような日常会話の1つ1つや、ふと見えるキャラクターの表情がいい。みんなで日々の生活に夢中になってるのもいいなぁ。普通の生活がなんでも楽しそうだ。
さらりと大事なことを訴えかけてくるんですよね。
で、話を戻して八軒と御影の話。
今回八軒に立ちはだかった壁は、どうすれば馬と心を通わせられるのか。
通わせるというか、どう共存すればいいのか、という話。
自分だけができなくて、周囲から取り残されていく恐怖感は、かつて八軒が味わい傷ついてきたもの。トラウマになってしまっているだけに余計に焦って、失敗してしまう・・・。
ここらへんの息苦しさは、読んでいるこちらもハラハラしてしまいました。
それで御影と衝突してしまうんだけど、一連の流れのどこか居心地のわるいムードを吹き飛ばす、爽快な空が広がったこのシーンが印象的です。
知らないうちに誰かに助けて助けてもらって、それがめぐって自分と他者が繋がっている。
それって馬と人と同じだ。主と従者じゃなくて、「従え」と手綱を引っ張るのではなくて。
このシーンで八軒の視界が広がっただろう。馬も表情もいいなぁ。
不思議ともの言いたげたな空模様や、動物たちの表情も、味わい深い作品です。
さっき、この作品は「さりげなく物言う」ところがいいよねえ、と書きましたけど
大人たちのカッコよさってのも、さりげなく描かれている印象。
特別カッコつけているわけじゃないんだけど、いい言葉をくれるんだよなあ・・・!
4巻の校長先生もステキでしたが、5巻も大人たちの活躍にしびれる。
このシーンは別にコマが大きいわけでもなく、本当にさらっとあるんですが、だからこそ突然にテンション上がってしまう大人カッコよさがみなぎっている!
生徒たちが不安がっても、その不安を吹き飛ばしてやる大人たち。あっさりと許可しちゃったり、子供たちだけじゃ大変な作業を率先してやっていたり。
そうそう。子供が思うほど、大人は物分りわるい生き物じゃないんさ。
大人たちは子供たちの背中をおす。その中で自分らもついでに楽しんじゃう。いいなぁこのスタンス。イキイキしてるのは子供たちだけじゃない。エゾノーでは大人たちだってキラキラしてる!
彼ら自身はキラキラしてるなんて意識これっぽっちもなさそうだけど、俺はそう見えてしまう。
挑戦を促し、それを最大限に応援し、子供達を見守る大人たち。カッコいい。
相変わらず賑やかなエゾノーを満喫。「銀の匙」5巻でした。
ケンカして怒鳴ったり、コンプレックスを指摘され恥ずかしがったり・・・
御影のいろんな姿が見れて、彼女の人間性を深く知れた気がします。
彼女は心を明かしてくれないので、なんとなく掴みどころがないのですが
どうしても譲れない部分と大切にしていきたい想いが、見えたかな。
やっぱりいい娘ですしね。もっといろんな表情が見えていったら嬉しい。
楽しく青春を走ってる。それぞれが悩みながら苦しみながら前に進んでる。
その2つの感触がいいバランスで混ざっていて好き。農業高校が舞台の作品らしい、自分が知らなかった世界をたくさん見せてくれるのもこの作品の面白さです。
次の6巻ではいよいよ八軒のデビュー戦。どう考えてもひと波乱くらいありそうで、楽しみ。
『銀の匙 Silver Spoon』5巻 ・・・・・・・・・★★★★
秋深まる。人との絆も深まる。いろんなことを吸収して成長していく八軒が眩しい。
[告知]漫画ブロガーが本気で教えたい “今年出たすごい1巻” のこと
こんな記事がありました。
→熱血作品からファンタジーまで:
漫画ブロガーが本気で教えたい “今年出たすごい1巻”
(ITmedia eBook USER)
へぇへぇ。ふんふん。いやぁ今年もいろんな作品が世に出たものだ。
>漫画の書評をブログで日々発信しているブロガー・漣さんが、2012年に発売された漫画の中から特にオススメしたい新作品をピックアップ。
……あれ。
てことで落ち着かないのでなんの面白みもない小芝居を。ほ、本当に面白くない・・・。
改めまして。
上の記事、漣が書かせていただきました。よろしくおねがいします!
今年発売された「1巻」のコレがすごかった、アレも面白かった、な感じの事を書きました。
ポチッと読んでみてください、よろしくお願いします・・・!ふかぶかー。
いつもブログで書いてるのとはまた違った内容に、なって、る・・・?いつも通りかな。
→熱血作品からファンタジーまで:
漫画ブロガーが本気で教えたい “今年出たすごい1巻”
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>漫画の書評をブログで日々発信しているブロガー・漣さんが、2012年に発売された漫画の中から特にオススメしたい新作品をピックアップ。
……あれ。
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ポチッと読んでみてください、よろしくお願いします・・・!ふかぶかー。
いつもブログで書いてるのとはまた違った内容に、なって、る・・・?いつも通りかな。
[漫画]きっと絶対、世界は悪に満ちている『空が灰色だから』3巻
空が灰色だから 3 (少年チャンピオン・コミックス) (2012/10/05) 阿部 共実 商品詳細を見る |
それって普通でしょ?
「空が灰色だから」の3巻の感想。
今回のイメージカラーは青。これまでの赤、黄よりちょっと爽やかでヤバい雰囲気は薄い・・・?
いやいや、3巻もこれまで通り、多彩で刺激的なエピソードが並びます。
本当にこの漫画は心をえぐってくる。面白いんだけど、テンションあがるタイプのものではないなぁ・・・。しみじみと自分に染み込んで、というか自分が吸い込まれていく感覚。
この作品らしさは1巻から揺るがないですね。過去の更新でも触れていますが。
心ざわめく空の色。レッツ・ガガスバンダス。『空が灰色だから』1巻
傷ついたらハマる、思春期の光と闇。『空が灰色だから』2巻
1話完結オムニバス。今回も特に気に入ったエピソードの個別感想を。
●第26話 世界は悪に満ちている
うわぁ。。これをこの漫画がやるか。というか、この漫画でやるから破壊力が凄いのか。
主人公はマジカルラブファイター・アン。と名乗るニート女子。
高校を中退してからはや5年。今日もぬいぐるみを引きずり町をパトロール。
この設定だけでアイタタなのに、さらに追い詰めてくるんですよ。
「世界は悪に満ちている」そう信じることで救われる。正義を振りかざす、自分の役目が生まれるから。悪が存在するということは彼女の存在理由だから。
けれど尽くパトロールは失敗してしまうのです。
イジメをしている子供達を制裁。でも勘違いで子供達ただ遊んでいただけ。自分の間違いを認めず力技で解決、したと思い込んで自己満足。「妖怪コスプレババア」とか呼ばれている。
見るからにワルそうな不良たちを見かけても、「ここは私の出る幕じゃない」と自分を納得させてスルー。子供には強くでられるのに、怖そうな相手にはこのザマである。
情けなくて弱っちい正義の使者。
世界を信じることができなくなって、勝手な妄想を押し付けている。
おもわず「うわぁ・・・」とひいてしまいそう。この漫画はストレートに悪意やバイオレンスを描くけれど、こういう遠回りな居心地の悪さとか病んだ様子を描くのもすごく上手い。
けれど感動的なのは、最後のパイン入りカレーですよ。
最初はギョッとするかもしれないけど、嫌いな人もいるかもしれないけど。
でも食べてみれば意外とイケるよ。そういうもんだ。世界は意外と懐が深い。
女の子が抱き続けた幻想が、ちょっとずつ現実と溶け始めた。短い話の中ですごく奥行きがあるというか、ドラマの奥深さがあります。これはいいな。大好き。痛みと、安らぎがある。
カレーに入れる食材なんて、よっぽどヘンなもんじゃない限り、だいたい美味しく食べられる気がするな。それはもっと広い意味で考えることができる、というか考えたくなる、美味しさの秘密だ。
●第28話 歩く道
この手の話はお手の物感ありますが、なんでだろう。
夢見がちな思春期の失敗。第28話「世界は悪に満ちている」とは違うようで同じメッセージを届けます。世界は大したことなんてない。
メッセージは同じの「世界は悪に満ちている」「歩く道ですが」ですが、世界をどう捉えるかが違うし、そのせいで真逆のエンディングを迎える。これは面白い関係にあるなぁ。雑誌掲載時には気づかなかったけれど、単行本で一気読みすることで考えがまとまることもあるな。
それとこのオチを見て、この作品の徹底した姿勢を再確認。
徹底的に落すときは落す。容赦がなくて思い切りがいい。・・・落ち込む。
夢が打ち砕かれた瞬間の、どうしようもなくさめた空気が心臓に突き刺さりますわ。ドキッとするというより、鼓動が止まってしまったかのような。音がなくなる瞬間がやってくる。
●第29話 少女の異常な普通
普通ってなに?
誰が決める?
私って普通?それとも異常?
普通かそうじゃないか。周りの人と自分の違いはなにか。誰だって考えたことがあるんじゃないだろうか。ヒトと関係して生活していかなきゃならないなら、当然考えてしまうことだ。
自分のアイデンティティについて頭を悩ませる少年少女はこれまでたくさん登場してきたけど
周囲の人間への敵意とイラ立ちを、ここまでストレートに露にしたのも珍しいかも。
口数少ない女の子が、心の底で友たちへの怒りをバクハツさせている。
その内容は、他人に対する「普通」「異常」のレッテル貼りに関して。自分としては1度か2度ではないくらいに感じたことがあることだけに、このエピソードへは没入した気がする。
この話に限らず、「ああ、この気持ち、1度は経験があるぞ」ってのを、この作品には何度も感じている。
自分を投影して作品を読み込もう、なんて体力のいることいつもはできないけれど、無意識のうちそうなっているなら話は別。そうさせるだけのパワーがその作品にはあるのだから。
鬼の形相になって口汚く不満を吐きちらかす主人公も、後半には息切れしてくるんですよね。そりゃ、心で思っているだけではなにも変わらない。だんだんと心は折れてくる。
まぁ、そこからの逆転が待っていますけど。でも結局この決着だって、数でひねり潰した形なんだよなぁ。内容がアレだったのでスカッとする展開には違いないけれど。
各々の道徳心と世間が認める「普通」は、どう組み合わさって世界のルールになっていくのか。
なんて、いかにも中学生な思考をぐーるぐると楽しんで、この話はおしまいにしよう。
まとまってないけどなぁ。この息苦しさ、ツボです。好きだ!とは言えないけれど・・・!
●第36話 ただ、ひとりでも仲間がほしい
ウヒョオオオオオきたきた!ムリにテンション上げてるけどこれは読むことすらツラい!
この気持ち悪さは過去トップクラス!コミックスの1番最後でこれ持ってくるのか・・・!
「みんな“きょう気”が全然足りないわ(得意気」
きょう気だけが自分の存在理由であり、居場所とする女の子が主人公。
怖がられたり気持ち悪がられたりして嬉しがってる様子。背伸びしている感ありあり。
頭がおかしな人のフリをして特別感を味わいたいってだけ・・・なファッションキチさんかな。
このコミックスのカバーを外したところの描き下ろしマンガも、この娘のなんちゃって狂人さんっぷりを茶化した内容でした。微笑ましいというか、苦々しいというか・・・!
それを踏まえてのあのラストシーン。やり方がヒドいよな。意味不明な日本語からして、正体不明の恐怖がありますし、なにより見た目のインパクトがすごすぎる。
これも「異常」と「普通」の話に繋がるのかも。
途方もない「異常」が出てくれば境界線は歪んで見方もかわる。主人公泣きながら「絶対普通じゃない」とか言ってしまうし。
けれどグロテスクさに隠されているものに目を凝らして見れば、結構切ないものがある、かも。
痛ましいほどの寂しさ。でもそんな想い汲み取ってやれるほど、こちらも冷静じゃいられない。
衝撃的なお話です。
そんな「空が灰色だから」第3巻。
安定しています。こういう作品で安定しているってのは凄いことです。クオリティの維持とか難しそうだし、読む側のハードルも上がっていく一方。でもこの作品はそれ応えていきます。
注意して欲しいのは、この漫画、別にグロやホラーばかりではないということ。
インパクトが凄いのでついついそちらに注目がいってしまいますが、心の奥深くまで届いてしみこむような優しいお話もあります。笑ってしまうコメディや恋愛ものも。
とにかくいろんなストーリーが読める。この欲張りさ、幅広さ、それも大きな魅力です。
そしていろんなストーリーがあるからこそ、次の話がどんなモノになっているのか最後まで読めない緊張感がある。そのあたりは、これまでの単行本感想でも書いてきました。
いやー面白いなぁこの漫画は。万人に勧められるはずもない作品だけれど、いろんな人がこの作品に圧倒されてみてほしいなと思います。好きになるか嫌いになるかわかりませんが、いい読書体験はできそうな。
「心がざわつく」とは本当にこの作品らしいコピーです。4巻でも心ざわつきたい。
『空が灰色だから』3巻 ・・・・・・・・・★★★★
少年少女たちのナイーヴな心を映しだす、光と影の思春期コミック。
[漫画]ただのドMです。あなたが好きです。『待て! モリタ』
待て! モリタ (エフ×コミックス) (2012/08/09) 松本藍 商品詳細を見る |
今日制服のまましよっか
発売してから結構経っていますが、「待て!モリタ」の感想を。
「生きろ!モリタ」の続編ということで、実質2巻目です。
メイン2人ともが可愛くて、ちょっとマニアックな恋を楽しませくれるシリーズ。
「生きろ!」を読んだときは2巻が出るとは思っていませんでしたが、続編が出ることは喜ばしいことです。今回の「待て!」もノリは全く変わっていません。相変わらずかわいい2人。
前巻→ドM童貞×ドS女子高生な変態恋愛模様『生きろ!モリタ』
掲載誌のエロティクス・エフというと、サブカル色の強いマニアックな作品が揃っているという印象(本誌未読)。しかしこの「モリタ」シリーズは読みやすい、明るく幸せなラブコメディー。エロFってほんといろんな作品あるようです。
たしかにSMの世界を描くマニアックさはありますが、それがこの2人の関係を面白おかしくさせている!
SMといってもガッツリ描写があるでもなく、全体的な印象としてはむしろ爽やか。
ざっとストーリー。
26歳童貞フリーター、モリタ。趣味はSMグッズ収集。ちなみにM。
勇気を振り絞り、掲示板でSMのパートナーを募集したら、会ってくれたのはなんと女子高生。
その彩ちゃんは ふだんの振る舞いからしてサディスティックさが隠せてない・隠してない。
10歳も下も女の子とSMでつながってしまったモリタ。彼が彩ちゃんのことが好きになってしまうのは自然な流れとして、はたして彩ちゃんの方は・・・?
とにもかくにも、いいように彩ちゃんに振り回されるモリタがヒサンかわいのである。
職なし童貞、かつナチュラルにヘタレ、受身、ドMとそんな男なんですけど
それをいじる彩ちゃんが彼を魅力的にしている。そしていじってると彩ちゃんもぐっとかわいくなる。ようするに2人がイチャイチャと縛ったり叩いたりしてるシーンでとても和む(ひでえ
相手の人間性とピッタリ合わさってる感じが見て取れるんですよね。
SMといってもハードなプレイはないし、こちらとしても安心できる。
・・・もっとキッツいのも見てみたかったかもしれないけど、やりすぎると雰囲気崩壊か。
2巻でツボだったのはモリタのこの告白シーン。誰にしたのかは伏せますが、これは読んでて吹き出してしまったw こんなの用意してきたのかよ!
ヤル気を出すために自分を縛って興奮してから作業をするような男ですけど
これまで、SM趣味をあることは後ろめたい事として考えていたように見えます。
しかしここで、自分を開放してみせた。笑ってしまったけれど、モリタが一生懸命に振りしぼった勇気が感じられる、アツいシーンであることは間違いありません。
時期を同じくして彼は就職をするのですが・・・・・・・いやぁ、いい具合に開き直ってていい調子じゃないですか!なんだかんだで人生、順風満帆なのでは。少なくともこれからの未来は。
ストーリーとしてはだいぶ王道で、なんとなく先は読めるんですけどそれって別に作品の魅力が浅いというわけではない。ストレートに来るからこそ、胸を刺さるものも当然ある!
やっぱり素敵なのはこの2人の、イビツなようで安定したじゃれあい(SMプレイとも言う)。
やってることは結構ひどいのになぁ。繰り返しますが、本当にほほえましい!
彩ちゃんの毒舌笑顔に胸ときめかすのは、モリタだけじゃないんだ!
しかし16歳でこれだからすごいなぁ。これから知識を得ていったらどうなるんだこの娘・・・!
モリタシリーズの2巻目ですが、3巻目はあるのかなぁ。やることやったし、完結かな。
松本藍さんは別の連載を準備中とのこと。そちらも楽しみにしよう。
この単行本には「コール・ミー」という読み切りも収録されていますが、こちらも大学生カップルの小っ恥ずかしい恋愛模様が楽しめる一作でした。
『待て!モリタ』 ・・・・・・・・・★★★☆
2冊目。相変わらずニヤニヤほっこりできる2人でした。こいつらのデートかわいすぎ。