[漫画] あなたと死にたい。『不実の男』
ブログ7周年を迎えて8年目に入りました。なんだかんだで結構長くなってきたな。
おまえが死んでからずっと死にたかった
どうしたことでしょう。山田酉子先生、今年入って3冊めの作品集!
各社いろんなところで執筆しているからこそなんでしょうね、この発売ペース。
普段ほとんどBLは読まない俺ですが、この作家さんは追っていますね。
なんといっても溢れ出る言葉のセンスが最高にストライク。リリカルでセンチメンタルでポエミーで…ふわっとしつつ心をグサグサえぐってくるような感触がたまらんです。
今回の短篇集は「死にたがる人」をメインに据えたものが集められている。
全体的に、消えない心の陰りをなんとなく感じます。
悲観主義者ってペシミストって言うらしいですね。ググったら出てきた。そんな感じだと思います。
ペシミストたちの短篇集。女々しい男。情けない男。くだらない男。クズな男。
ほの暗い、ぼんやりとした絶望がずーっと視界を覆っている、脳を支配する…それでいで山田酉子流の軽やかなポエム調デザインで彩られた作品たち!
このポップな憂鬱。爽やかな厭世観。嫌いじゃない。むしろ大好き…!
けっこうエグい傷を見せつける作品もありますけれど、やっぱりオシャレに彩ってしまうね、この作家さん。むしろこの柔らかさに油断して、時に振りかざされる悪意のナイフにヤラれたりして。
個人的には、今年出た3冊の中では今回のが1番好き。
影を背負った暗い男たちばっかりです。
短編が5つに、描きおろし番外編を加えた構成。
短篇集なので順番に感想を書いていこう。
現役の男子高校生(彼氏の甥っ子)に触れたことで、自信の高校時代に思いを馳せ、なんだか懐かしくも苦々しい味わいに心震わせる。
かつての自分に「聞いたか 高校時代の俺よ」と語りかけるシーンが、この作品とこの主人公の全てでもあるかもしれない。
これといった罪悪感もなく、浮気をした。
まるで自然なことなように、大好きな人以外の男と寝た。
それはつまり彼にとって、それは本当に自然なことだったから、なのでしょう。
その子はきれいで繊細で尖っていて、遠いようで近い。
だってきっと似たもの同士だから。彼を愛することは、悩み悔やんで涙をのんだ昔の自分へたむける花だったから。あの頃の自分を救う大切なひと時だったから。未来にはこんなに素敵な日があるんだよと伝える餞だから。
主人公と年下の彼。重なる部分も結構あって、それが読み手にもチクリとした感触をもたらす。
過去の自分をなんとか祝福しようとする姿には、弱々しくも神々しい光がさすような、不思議な感慨がありますなぁ。
それにしてもまーーーー彼氏がクズ!描きおろし漫画「不実の男」はクズ・ラブ!な歪んだ内容となっており、興奮してしまう。ここまで理不尽でいいのかよ、と。
わざと傷つけてるような気もするが、単純に無神経なだけなのかもしれない。計算ずくの悪さなのか天然なのか読めないがどっちにしたってクズいのである。
ともかく彼は時に悪意でもって主人公を縛り付ける。甘い束縛は、むしろ縛り付けるよりもっと強烈に主人公を吸い寄せる。
ダメな恋をしているなって見えるけれど、ダメな恋なりに、なんだかうまくやっていけそうなのが不思議なものだ。もちろん、主人公はこれから何度だってコイツのせいで傷ついて泣いたりするんだろう。でもその度にご褒美をもらって、またすがる。
ああ、主人公もダメ人間なんだな、こりゃ。かわいらしい意地悪な関係。
死を望む少年の暗部に、ぎりぎり手が届かない。手をひっこめたそばから少年はどっぷりと湖に沈んでいき、本当の顔が見えなくなる。
暗いお話だ。冷ややかな余韻を残す。柔らかな失望を浴びるイヤな寒気。
うまく死ぬことができなった男たちの、シンプルな物語ではあるんだけれど、それだけではない、少年と大人の差、みたいな残酷な一面を見せつける。
それでいて少年の横顔に「大人」を見つけるラストは絶品モノの美しさ。
男は情けないね。少年は思い切りがよく、全てを託せたのだ。
仮にどんなに幸せになったってきっと。
貴方とともに死ぬ喜びに代わるものなんて無いと、彼はそう思っていた。
なんという清潔な愛情…。このモヤモヤした感情をどうすれば!でもモヤモヤしたいからこの作家さんの漫画よんでる部分もあるので、ある意味ではこれぞ醍醐味なのである…
言葉の響きのみにまず着目した、吟遊詩人たる山田酉子エッセンス。
弟の死によりスランプになったミュージシャン。彼にスリを仕掛けたクズ男。そこから始まるひねくれた関係は、優しい再生への男たちを導く。
これは比較的明るい話でしたね
ただ死にまつわる短篇集であることから、どうしたって喪失感がのっぺりと存在していて、居心地が悪い。居心地が悪いが、その中で安定を見つけ出していく。どうにかして、生きていく。
そういう意味でこの「ひゅーすとん」は死に立ち向かうためのひとつの結論を探し当てた物語でもあり読後感はすごくよかったです。
死を描くということは、逆説的に生を描くものなのだな。
「死にたがる男」として弟が面白い。
まぁまず死にたがるに理由はないのかもしれない。そういう人種なのだろう。作中には弟が実はとても寂しがりやだったのかも的描写も少しあるが、確証は持てない。やっぱり何故死ぬのかははっきりと見えない。
そういう掴みどころのない、いつ消えてしまうか分からない存在は
きっと誰かの心をかき乱して、そのまま攫っていくものなのかもしれない。
魅惑的で、最高に卑怯な生き様を見せつける死者たちこそ、ダメな男への愛がみなぎる本作「不実の男」の真髄だなと思ったりする。
死こそ不実。だから良いって見方もある。
これは完全に主人公が死にたがり。恋人と心中をはかり、自分だけが生き残った。その後は惰性のまま歩み続けている。
死の香りが濃密なんだけど、ズッシリ重くはならない雰囲気作りがお見事。
それはなにより、もう死んでいて一番ヘビーな状況にある幽霊くんが、なんとも可愛らしいからっていう理由。
「貴方なしでは生きていけないから、はやく呪い殺してよ」
と身勝手なことを思っている主人公だけれど、しかしそんな絶望の淵から少しだけ踏み出すラストの、ほんわかとした心地よさ。祝福感が素敵。
すごく暗い死にたがりの漫画だけれど、優しい漫画でもあるなぁ。
恋は生命を輝かせる。恋は死を誘う。
そのどちらかを選択できるのも生者の特権だな。
一緒に死ぬことでしか満たされなくなるほどとは、どれだけ切迫した恋だったのだろうかと、心中というシチュ自体けっこう萌えたりするもので。
「つめたい恋人」同様に、最愛の人に先立たれ残された男の話。
孤独の者をよそから眺めている視点がけっこう鋭いですね。
タイトルにもあるように孤独。どう癒すか。どう殺すか。生きてる限りずっと孤独であることには限界があるかもしれないけれど、主人公は孤独であることで恋人に操を立ていているような感じ。
孤独を通じて愛する人に想いを捧げる。いじらしい切ない愛情だなぁ。染みる。
ずっと貴方の中で生きていたい。そう祈ったプログラム。
死ぬ側にも残される側にも等しく降り積もるやるせなさに震える。
ストレートに感動で気持ちが昂ぶって泣けるお話です。
ラストシーンの暖かな2人の時間に、スッと胸の氷が溶けて冷たい水になったみたいな、よく分からないけどそういう感覚がした。まだ冷えているけど、もう感情を凍らせる必要もなくなった。
「ワードサラダ」ってオシャレだなぁ。俺も頻繁に使って行きたい。こんなのまるで出来の悪いワードサラダだね、とかうわキザだなこれは。
言葉のチョイスやリズムからくる余韻が全編にまぶされていて、味わい深い短編。
そんな「不実の男」感想でした。
山田酉子先生のBL短篇集では、これまでで1番好きかもしれない。
蔓延する喪失感。コイツがもう垂涎モノってもんです。
全作とにかく「死」のにおいが漂っていて、研ぎ澄まされた緊張感と絶望感がぬるい味の薄い紅茶にでも浸かってるかのようなムードがたまりません。
短いエピソードばかりなのに、たっぷりと甘い、淡い、柔い、切ない余韻を残していく。
山田酉子先生の作品はフラットな体温を持っていると思います。熱くも冷たくもなく、肌にフィットする感じの。だから疲れない。
でも今回の作品は、ちと体温低めな作品が揃っていて、それが印象深い。
今回で確信しましたが、俺は山田酉子作品の、最後の一言が好きだな。
各エピソードのラストを飾る、とっておきの言葉。
これがもう堪らない。これが最高の余韻を残してくれる。
今回もまるで詩集みたいな心地良いリズムがクセになる漫画でございました。
『不実の男』 ・・・・・・・・・・★★★★
死と恋の短篇集。世界は乾いているのに読んでると心潤う、染みる一冊です。
いちど少女漫画雑誌でも読み切り描いたので、また少女漫画も読みたい。
不実の男 (B`s-LOVEY COMICS) (2013/07/13) 山田酉子 商品詳細を見る |
おまえが死んでからずっと死にたかった
どうしたことでしょう。山田酉子先生、今年入って3冊めの作品集!
各社いろんなところで執筆しているからこそなんでしょうね、この発売ペース。
普段ほとんどBLは読まない俺ですが、この作家さんは追っていますね。
なんといっても溢れ出る言葉のセンスが最高にストライク。リリカルでセンチメンタルでポエミーで…ふわっとしつつ心をグサグサえぐってくるような感触がたまらんです。
今回の短篇集は「死にたがる人」をメインに据えたものが集められている。
全体的に、消えない心の陰りをなんとなく感じます。
悲観主義者ってペシミストって言うらしいですね。ググったら出てきた。そんな感じだと思います。
ペシミストたちの短篇集。女々しい男。情けない男。くだらない男。クズな男。
ほの暗い、ぼんやりとした絶望がずーっと視界を覆っている、脳を支配する…それでいで山田酉子流の軽やかなポエム調デザインで彩られた作品たち!
このポップな憂鬱。爽やかな厭世観。嫌いじゃない。むしろ大好き…!
けっこうエグい傷を見せつける作品もありますけれど、やっぱりオシャレに彩ってしまうね、この作家さん。むしろこの柔らかさに油断して、時に振りかざされる悪意のナイフにヤラれたりして。
個人的には、今年出た3冊の中では今回のが1番好き。
影を背負った暗い男たちばっかりです。
短編が5つに、描きおろし番外編を加えた構成。
短篇集なので順番に感想を書いていこう。
クズ彼氏に振り回される主人公が浮気しちゃうお話。●不実の友
現役の男子高校生(彼氏の甥っ子)に触れたことで、自信の高校時代に思いを馳せ、なんだか懐かしくも苦々しい味わいに心震わせる。
かつての自分に「聞いたか 高校時代の俺よ」と語りかけるシーンが、この作品とこの主人公の全てでもあるかもしれない。
これといった罪悪感もなく、浮気をした。
まるで自然なことなように、大好きな人以外の男と寝た。
それはつまり彼にとって、それは本当に自然なことだったから、なのでしょう。
その子はきれいで繊細で尖っていて、遠いようで近い。
だってきっと似たもの同士だから。彼を愛することは、悩み悔やんで涙をのんだ昔の自分へたむける花だったから。あの頃の自分を救う大切なひと時だったから。未来にはこんなに素敵な日があるんだよと伝える餞だから。
主人公と年下の彼。重なる部分も結構あって、それが読み手にもチクリとした感触をもたらす。
過去の自分をなんとか祝福しようとする姿には、弱々しくも神々しい光がさすような、不思議な感慨がありますなぁ。
それにしてもまーーーー彼氏がクズ!描きおろし漫画「不実の男」はクズ・ラブ!な歪んだ内容となっており、興奮してしまう。ここまで理不尽でいいのかよ、と。
わざと傷つけてるような気もするが、単純に無神経なだけなのかもしれない。計算ずくの悪さなのか天然なのか読めないがどっちにしたってクズいのである。
ともかく彼は時に悪意でもって主人公を縛り付ける。甘い束縛は、むしろ縛り付けるよりもっと強烈に主人公を吸い寄せる。
ダメな恋をしているなって見えるけれど、ダメな恋なりに、なんだかうまくやっていけそうなのが不思議なものだ。もちろん、主人公はこれから何度だってコイツのせいで傷ついて泣いたりするんだろう。でもその度にご褒美をもらって、またすがる。
ああ、主人公もダメ人間なんだな、こりゃ。かわいらしい意地悪な関係。
これが今作では1番好き。このどん底感がたまらない…。●誰かと夏
死を望む少年の暗部に、ぎりぎり手が届かない。手をひっこめたそばから少年はどっぷりと湖に沈んでいき、本当の顔が見えなくなる。
暗いお話だ。冷ややかな余韻を残す。柔らかな失望を浴びるイヤな寒気。
うまく死ぬことができなった男たちの、シンプルな物語ではあるんだけれど、それだけではない、少年と大人の差、みたいな残酷な一面を見せつける。
それでいて少年の横顔に「大人」を見つけるラストは絶品モノの美しさ。
男は情けないね。少年は思い切りがよく、全てを託せたのだ。
仮にどんなに幸せになったってきっと。
貴方とともに死ぬ喜びに代わるものなんて無いと、彼はそう思っていた。
なんという清潔な愛情…。このモヤモヤした感情をどうすれば!でもモヤモヤしたいからこの作家さんの漫画よんでる部分もあるので、ある意味ではこれぞ醍醐味なのである…
ヒューストンって響き、面白いな。ってのは自分も思ったことがある。●ひゅーすとん
言葉の響きのみにまず着目した、吟遊詩人たる山田酉子エッセンス。
弟の死によりスランプになったミュージシャン。彼にスリを仕掛けたクズ男。そこから始まるひねくれた関係は、優しい再生への男たちを導く。
これは比較的明るい話でしたね
ただ死にまつわる短篇集であることから、どうしたって喪失感がのっぺりと存在していて、居心地が悪い。居心地が悪いが、その中で安定を見つけ出していく。どうにかして、生きていく。
そういう意味でこの「ひゅーすとん」は死に立ち向かうためのひとつの結論を探し当てた物語でもあり読後感はすごくよかったです。
死を描くということは、逆説的に生を描くものなのだな。
「死にたがる男」として弟が面白い。
まぁまず死にたがるに理由はないのかもしれない。そういう人種なのだろう。作中には弟が実はとても寂しがりやだったのかも的描写も少しあるが、確証は持てない。やっぱり何故死ぬのかははっきりと見えない。
そういう掴みどころのない、いつ消えてしまうか分からない存在は
きっと誰かの心をかき乱して、そのまま攫っていくものなのかもしれない。
魅惑的で、最高に卑怯な生き様を見せつける死者たちこそ、ダメな男への愛がみなぎる本作「不実の男」の真髄だなと思ったりする。
死こそ不実。だから良いって見方もある。
これも大好きだなー!暗い暗い!●つめたい恋人
これは完全に主人公が死にたがり。恋人と心中をはかり、自分だけが生き残った。その後は惰性のまま歩み続けている。
死の香りが濃密なんだけど、ズッシリ重くはならない雰囲気作りがお見事。
それはなにより、もう死んでいて一番ヘビーな状況にある幽霊くんが、なんとも可愛らしいからっていう理由。
「貴方なしでは生きていけないから、はやく呪い殺してよ」
と身勝手なことを思っている主人公だけれど、しかしそんな絶望の淵から少しだけ踏み出すラストの、ほんわかとした心地よさ。祝福感が素敵。
すごく暗い死にたがりの漫画だけれど、優しい漫画でもあるなぁ。
恋は生命を輝かせる。恋は死を誘う。
そのどちらかを選択できるのも生者の特権だな。
一緒に死ぬことでしか満たされなくなるほどとは、どれだけ切迫した恋だったのだろうかと、心中というシチュ自体けっこう萌えたりするもので。
これも、これも素晴らしい…。●中土井さんの孤独
「つめたい恋人」同様に、最愛の人に先立たれ残された男の話。
孤独の者をよそから眺めている視点がけっこう鋭いですね。
タイトルにもあるように孤独。どう癒すか。どう殺すか。生きてる限りずっと孤独であることには限界があるかもしれないけれど、主人公は孤独であることで恋人に操を立ていているような感じ。
孤独を通じて愛する人に想いを捧げる。いじらしい切ない愛情だなぁ。染みる。
ずっと貴方の中で生きていたい。そう祈ったプログラム。
死ぬ側にも残される側にも等しく降り積もるやるせなさに震える。
ストレートに感動で気持ちが昂ぶって泣けるお話です。
ラストシーンの暖かな2人の時間に、スッと胸の氷が溶けて冷たい水になったみたいな、よく分からないけどそういう感覚がした。まだ冷えているけど、もう感情を凍らせる必要もなくなった。
「ワードサラダ」ってオシャレだなぁ。俺も頻繁に使って行きたい。こんなのまるで出来の悪いワードサラダだね、とかうわキザだなこれは。
言葉のチョイスやリズムからくる余韻が全編にまぶされていて、味わい深い短編。
そんな「不実の男」感想でした。
山田酉子先生のBL短篇集では、これまでで1番好きかもしれない。
蔓延する喪失感。コイツがもう垂涎モノってもんです。
全作とにかく「死」のにおいが漂っていて、研ぎ澄まされた緊張感と絶望感がぬるい味の薄い紅茶にでも浸かってるかのようなムードがたまりません。
短いエピソードばかりなのに、たっぷりと甘い、淡い、柔い、切ない余韻を残していく。
山田酉子先生の作品はフラットな体温を持っていると思います。熱くも冷たくもなく、肌にフィットする感じの。だから疲れない。
でも今回の作品は、ちと体温低めな作品が揃っていて、それが印象深い。
今回で確信しましたが、俺は山田酉子作品の、最後の一言が好きだな。
各エピソードのラストを飾る、とっておきの言葉。
これがもう堪らない。これが最高の余韻を残してくれる。
今回もまるで詩集みたいな心地良いリズムがクセになる漫画でございました。
『不実の男』 ・・・・・・・・・・★★★★
死と恋の短篇集。世界は乾いているのに読んでると心潤う、染みる一冊です。
いちど少女漫画雑誌でも読み切り描いたので、また少女漫画も読みたい。
[漫画]世界は悩み、戦い、走りつづける。『新装版 真・女神転生デビルチルドレン』3巻
新装版 真・女神転生 デビルチルドレン(3)<完> (KCデラックス) (2013/07/23) 藤異 秀明 商品詳細を見る |
子供達の未来に安らぎと 幸せがありますように―――
お前が表紙かよ!!って当時の読者はみんな思ったと思う。
「新装版 真・女神転生デビルチルドレン」完結となる第3巻の感想です。
3ヶ月連続で発売されてきた新装版もいよいよラスト。
表紙はアゼル様。エレジーの父親にして刹那の叔父。ラスボスです。
「最終巻は誰が表紙かなー。刹那・未来はもう出たし、エレジーが最有力か。もしくはゼットくんで仲良し小学生3人組揃い踏みな感じで。パートナーも考えるとクール&ベールのペア表紙とかも良さそう」
などと想像を膨らましておりましたが、アゼルお父様が表紙を持っていくとは一切予想をしてなかった。ネットで最初に書影をチェックした時は思わず爆笑してしまったよww
いやしかし、めちゃくちゃカッコイイじゃないですか!
禍々しい迫力にゾクゾクくる。児童漫画の皮をかぶることすらしない潔さが眩しい!さすがはデビチル漫画版!
世界を救うハードボイルド小学生漫画、復活ッ!『新装版 真・女神転生 デビルチルドレン』1巻
この血塗れた手は、世界を変える覚悟だ。『新装版 真・女神転生デビルチルドレン』2巻
3巻はまるっと最終章です。白熱のラスボス戦と、彼らのその先。
ついに顔を合わせた刹那、未来、ゼットの3人。
原宿小学校の仲良し3人組。何も知らなかったころ一緒にいた、2人のデビルチルドレンと、1人の巨大な不確定要素。
物語は一気にラストへと駆け上っていく。愛と世界を賭けた最終決戦!
一気に全員が覚醒を果たすこの見開き、何度見てもカッコイイ…!
このラストバトル付近の展開は、とてもストレートな印象を受けます。
目の前の運命に翻弄され続けた彼らが、ようやく特定の「相手」を見つけたからかな。
特に刹那に関しては、この決戦中、とても冷静に見えます。
相変わらずその戦いには傷を伴う。それでも旧来の友をそばに置くことで、なんとなく刹那の孤独が自然に晴れているような。
これまではヒリつくように冷たい心の痛みにふるえているような、人を寄せ付けない部分もあった少年だったと思います。
しかしラストバトルでの数少ない味方が、刹那が全幅の信頼を寄せるメンバーであることは、戦いの中ですら彼に安らぎを与えているように思います。
もう殺意で暴走したりしない。
一度、アゼルにブチ切れましたが、それを押さえ込んだ未来は流石。
なんだかんだで刹那は1人じゃだめな子だと思う。子供だし当然ではあるんだけれど…。
強大な敵を前にした危機的状況ですが、刹那は過去最高に安定しています。目標と信条がぴったり合わさっている。揺るぎない。
初期のころのキレッキレ刹那さんも格好良いですが、あまりにも子供が重たい運命を背負わされていたなぁ。そういう意味でこの最終決戦…特に言及はありませんが刹那の描かれ方にもラストバトルの風格を漂わせています。
見逃せないのがエレジーとアゼル、憎しみ合った親と娘の物語。
ラストバトルはエレジーにとって親殺しにあたる。当然そこに痛みや葛藤があって、ところどころにズキズキくる描写があります。
愛されたい娘と、彼女にある善の力を恐れた父親。
アゼルは全体的に見ても幼稚というか大人げない人物像に見えます。
「私とちゃんと向き合ってよッ!!臆病者!!!」
悲痛な娘の叫びにまったく耳を傾けない父。
結局最後まで、父と娘は分かり合えないままでした。世界の再生は叶えられたものの、その裏にあったエレジーの想いは、果たされぬまま…。
だからこそ過去に区切りをつけて、エレジーは未来にいけるのだろうけれど
こういう親子を見ると、児童漫画としては意外な要素放り込んでるなと改めて思います。
まぁこの作品の「親」というのは、たいがいヒドイ運命をたどっている気がしますが…。
死を踏み越えて未来に進む。そのテーマはやはり一貫している。
たとえ大切な人を失っても。たとえ自分のエゴのために誰かの命を奪っても。
改善懲悪なストーリーラインにはなっているのですが、節々に読者に正義とは何だという疑問符を投げかける内容になっている。
殺したところで晴れやかな気持ちになるようなシーンもなく、やはり「死」と真摯に向き合った作品だと思いす。
エピローグは駆け足感満載ではありますが、すっきりしますね。
刹那の顔には刻まれた傷跡。きっといつまでも消えないその傷に、それを背負って生きていく刹那のこれからの人生に思い馳せる。いつまでも闘いながら未来へ駆けていく。
「絶望しない」という最後の言葉にグッと来るのは、この作品ならではの感動だと思う。
さてこっからは描きおろし漫画の話だー!
今回の新装版シリーズ1番の目玉、藤異秀明先生のかきおろしデビチル!
連載終了から10年経って、また新しいデビチル漫画が読めるとは。
この描きおろし漫画に浮き足立った当時の読者も多いはず。
内容は、旧単行本でいうと1巻と2巻の間。新装版で言うと1巻第5話の後。
未来を失い、完全に暗黒面に落っこちたやさぐれモード刹那さん。
作中もっともキレていた頃の刹那さんなので、そりゃもういろいろヤッています。
オイオイおいおいグロッグロじゃねーか!
憂さ晴らしをするように敵を虐殺。これでも小学5年生の男の子です…。
乾ききった刹那の心を表すように、戦いが戦いを呼ぶ荒んだ世界観がまさにデビチル!
ある意味で、この作品らしい要素をきっちり抽出した特別編ですね。
研ぎ澄まされた殺意と、自分の中で暴れる焦燥、狂気…。
読者に鮮烈な印象をのこしたであろうサンドランド編の前日譚として
目覚める未来、暗躍するゼット、動き始めるエレジー一行、闇を深める刹那…と
メインメンバー揃い踏みで、新しい彼らを見れて大変嬉しいです。
当時の連載中にもどんどん絵柄が変わっていった藤異秀明先生なので
この描きおろしページだけまるで絵が違うのもまた一興というヤツですw
あと小学5年の女の子にして未来ちゃんはおっぱいが大きすぎると思います!
当時のアシスタント、木下エースケ氏によるオマケ漫画は
全撮影を終えて打ち上げムードな役者たちの一幕…という、オマケ漫画らしい構成w こういう遊びゴコロは大好き。
エレジーが素だとこういう引っ込み思案で照れ屋な女の子、っていうのはいい舞台裏設定w
これまでの登場キャラクターほぼ全員が登場して、いっそうお祭り感を強めてくれる。このオマケ漫画は幸せすぎる…!
そんなデビチル新装版3巻でした。
これまでの感想でも書いて来ましたが、この作品は本当に思い入れがある。
漫画を読んで格好良さに震えた経験は、この作品が初めてでした。
ハードなバトルにシナリオ…何度もゾクゾクさせてもらえた。
幼少の思い出とともに、懐かしさを伴って思い出される作品のひとつでしたが、こんなにカッコいい新装版になって生まれ変わってくれて最高の気分。
二十歳をこえてじっくり読み返すと、また味わいが違って面白いです。
子供のころ読んでいた作品が文庫化や新装版化すると、ときの流れを意識せざるを得ない、複雑な悲しさも味わいもしますが…!
ともかく自分にとってのトラウマ兼金字塔的な作品であり
せっかく新装版として出たので多くの人に読んで貰いたいなとおもう次第。
描きおろし漫画も素晴らしいので、当時好きだった人も要チェックですよ。
『新装版 真・女神転生デビルチルドレン』3巻 ・・・・・・・・・・★★★★☆
思い出いっぱいな作品。描きおろしも満足。いまでも少年心をくすぐる作品だ。
[漫画]傷つきやすくて暴れやすい、沸騰気味の思春期ハート『R-中学生』3巻
更新ペース落ちててごめんなさい。いずれ戻れるかなと。
馬鹿だなぁ、お前ら。
バカで下品でリビドー全開な中学生漫画「R-中学生」3巻。完結です。
あーーー終わってしまったーーーー…。大好きな作品でしたよ本当に。
バカバカしくってそれがなんだか愛おしく、性欲に突き動かされてるだけのあの時代を思い出し、かすかにノスタルジックな気分にさせられ、でもやっぱり最高に下らなくて笑えてしまう、素晴らしい純度の思春期漫画でした。
とにかく若々しいエネルギーにあふれた本作。
最終巻となった3巻は、まさに作品の集大成とも言える結実を見せます。
「恥ずかしい」という気持ちとどう向き合うか。
思春期なんて自意識の塊みたいなもので…まぁ思春期でなくても恥への抵抗は人ならある。
そこで「R-中学生」は恥ずかしさを乗り越えて成長する。大人へと駆けていく子どもたちの、その眩しい背中を見つめるような確かな感動がありました。
3巻表紙は読者から見て向こう側へと歩いていくメイン男子3人。バイバイだ。
秘密のカイカン・・・傷だらけの僕らの思春期。『R-中学生』1巻
リビドー全開!とびきりビタースイート!『R-中学生』2巻
個人的にこの3巻は、上でも書きましたが、「恥ずかしさと向き合う中学生」がテーマになっているように感じました。
大きく2つの章に分けられていて、前半が椎名さんと大蔵くんのエピソード。そして後半が伊地知くんのエピソード。
伊地知くんはR-中学生の第一話のメインを務めた少年であり、納得です。
順番に2つのエピソードについて感想書いていきます。ネタバレ込み。
●椎名さん&大蔵くん
女装趣味のある大倉くんが贔屓にしている、衣装のオーダーメイドをしてくれるブランド“α”。実はこれを社長をやっていたのが…というお話。
なんといっても楽しいのが大蔵くんのハッチャケぶりである。
恐らく友達もおらず、こっそりノートに衣装のデザインを描いていた大蔵くん。
しかし幸か不幸か、R-中学生の主人公軍団に女装趣味を発見され…
これはいかんぞ…けっして癒えない心の傷を負ってしまう…!!
と思ったらぽつりと言われた「かわいい」の一言に大興奮。自らを超開放してクラスでファッションショー開いちゃうまで行く。
大蔵くんがいいキャラですよ。恥ずかしさの呪縛から解き放たれてとても楽しそうなんですよ。
「かわいい」という言葉が嬉しかった。その興奮が恥ずかしさを上回った。
今までの「R-中学生」としてもかなり浮いているキャラ(まぁ濃いキャラばっかりだし、みんな浮いてるようなもんか)ですが、周囲とは違うものを持っていても鬱屈していない、キラキラした男の子で好感が持てます。まぁ歪んですれまくりなヤツも大好きですがw
そういうちょっとスレちゃった女の子である椎名さんと、いい組み合わせだと思いますよ。
●伊地知くん
さて、本番。椎名さん編での彼の妙な挙動はここにつながる。
女子の汚物フェチ。それは当然クラスメイトはもとより、仲のいい堀田や吉倉にも知られていない…いなかった。けれど今回彼のその性癖が、学校を揺るがす大騒動へとつながっていきます。
まぁ盗んだナプキンを隠れてクンカクンカしてたらバレちゃったという
どーしようもない現行犯逮捕だったわけですが、これは重大事件です。
リアルにドン引かれ、面白がった奴らから迫害をうける。
先生は「彼はこのままだと性犯罪者。どうすれば彼を救えるか、みんなで意見を出しあいましょう」とクラス会議開いちゃう。居場所なんて学校から消え失せる。
しかしそんな中で少年たちの友情が熱く心に染みる。
普段バカばっかりやってる連中。それはシリアスな展開な中でも変わらない。
彼らはむしろ、バカであることを貫くことで、この危機を打ち破ろうとする。
真面目に、正しいことと信ずるため、バカをやる。
なんだろうなぁ。…この胸がスカッとするよな熱さは…!!
感動というか誇らしいというか、愚かさがそのダメさを失わないまま正当な武器にできてしまうのが素晴らしい。なんとも心突き動かします。
当然なダメなんだよ。いけないことなんだよ。でもあえてバカな方法でしか戦わないこんな奴らが、ほんと大好き。
なにが「チンブラ四天王」だよってみんな呆れたり怒ったりする。
けれどそんなの知ったことではないのだ。バカでいたい。バカなことをしでかした友のために、みんなの底にある汚れた部分だって晒すのだ。
そして熱狂が支配するラストシーンに向かう
全校集会で男女みんなが「オナニー!」と叫びまくる…!!
もう何も言えない。突き抜けた情熱でバカなことをしでかしたら、それはそれは、心はスッキリ晴れ渡るものです。最ッ高に笑えて、感動できる場面ですよ!
オナニーはこんなふうに明るみに出せる話題じゃない。当然。
デリケートな中学生だもの。友達と下ネタで話すことはあっても、例えば異性の目の前で自分のそんな恥部を晒す勇気なんて普通無い。
ましてやここは全校集会の場。こんな注目を浴びてしまえば好奇な注目を集めてしまい、いじめられてしまうかも知れない。
でも。誰か1人だけに傷つかせちゃならないと、自らそんな恥部をさらけ出す連中がたくさんいる。
やがてそんな流れを面白がる人間も乗っかりだして、最終的にはこの意味不明のテンションが支配する、全校集会でのオナニーコールへと突入する。
しかしまっさきにオナニーの告白をした女の子、中田さんの漢っぷりな…!!
普段おっとり、でも怒るとコワい。そんな二面性をもった少女なのですが
この告白をするとき、彼女は至って平然と、いつものおっとり口調で「わたしはオナニーしてまーす」。女の子なんて特に羞恥が強いだろうに先陣切っちゃったよこの娘!
「私は別に、恥ずかしくないです」
「やましい気持ちがあることのが普通で人間らしくて、私はすきです」
これですよ。恥ずかしさとどう向き合うかって、ひとつの答えがここにある。
中学生としてはやや達観しているかもしれない。でも真摯な言葉だ。
こんな立派なこと、きっと男子たちは思ってもいられない。
けれどそれでも立ち上がれたのは、友達を助けるためっていう、すごく純粋な熱意。
自分たちが中心となって巻き起こしたこの前代未聞の珍事。
この日は一生ものの思い出になったろうさ。間違いなく。
沸騰したみたいな物語のテンションに滅茶苦茶ワクワクしながら読んでいて、読み終えたと思ったら、少し泣いてた。
馬鹿だなぁ、お前ら。
全力の愛をこめたであろう担任教師のこの一言は、まさに俺のものでもある。
そんな「R-中学生」最終巻でした。
なんかほぼ話の筋書いてしまったわけですが…この後半の展開は…本当に語りたかった…。大好きな場面です。これぞR-中学生!
最終話、みんなで帰っていく場面の、なんとも言えない寂寥感…。
でもどんな関係に落ち着くのか、もしかしたら示唆されてるような気もして、じんわり胸に染み渡る幸福感…。甘酸っぱい夕暮れが胸に染みる…。
「俺もオナニーしてます!!多分数えきれないほど今までやってます!!」
と絶叫告白したら、好きな稲沢さんから「ちょっとかっこよかった」と言われちゃう吉倉ァ!!!うまくいってね。
最後、みんな伊地知くんにある程度の理解を示して許せたのは
「他の人とちがう欲求を持っている自分」を、少しでも認識しているからかもな。
ひっそりと、誰にも知られないように隠している本心とか欲望とか…みんなあるはず。特に性に芽生えた中学生で、一切無いなんてことがきっと無い。
心の奥深いところで生まれた共鳴が、最後に爆音のオナニーコールに化けた。そう思うと、やっぱり素晴らしいクライマックスだと思います。
思春期の繊細さが、その殻をぶち破る瞬間が見れた。幸せなことです。
「中学のころ学校でさ、全校集会中に男子も女子もオナニーって叫びまくったことあったんだ」
「なにそれ、どういう状況よ」
「よく分かんないけど、でも俺も一緒になって叫んだなぁ。今でも思い出すと興奮してくるわ」
なんて、同僚との何気ない飲み会のネタのひとつになったりするかも知れない。
バカだなぁ、でもあの頃はムチャクチャだったな…なんて苦笑交じりに思いながら、思春期の眩さを思い出して涙が出そうになったりする。
あの日を。それ以外のどうでもいい日も思い出して、胸の奥がキュッとなる。
彼らにも、きっとそんな未来が待ってる。子供は大人になる。忘れ去られる日々があって、ずっと鮮明に刻まれる一瞬がある。
中学生にしか歩めない馬鹿げた日常がある。あったのだ、きっとそれぞれに。
時に逃げ出したり、時に熱くなりすぎちゃったり、暴走したり泣いたり傷ついたり。そんな愛すべきしょーーーもない時間は、中学生にこそ許された宝物のようなひと時。R-中学生に届けられる、あの頃のときめき。
…うん。浸って書きすぎた!反省。
「R-中学生」これにてお終い。エバーグリーンな魅力を放つ思春期漫画。
モヤモヤしてばかりだったあの時代は、思い出になって暫くすると何故だかキラキラしだして困る。自分と重ねて楽しんだり、そうでなくても、思春期を通過した者の心になにかしら感触を残す、傑作だと思います。
『R-中学生』3巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
素晴らしい最終巻でした。敏感思春期ハートの傷と熱、突き刺さる。
淫らで清々しい、痛くて柔らかくて冷たくて、ちょっと泣ける。こんな青春。
R-中学生(3)<完> (ヤングマガジンコミックス) (2013/07/05) ゴトウ ユキコ 商品詳細を見る |
馬鹿だなぁ、お前ら。
バカで下品でリビドー全開な中学生漫画「R-中学生」3巻。完結です。
あーーー終わってしまったーーーー…。大好きな作品でしたよ本当に。
バカバカしくってそれがなんだか愛おしく、性欲に突き動かされてるだけのあの時代を思い出し、かすかにノスタルジックな気分にさせられ、でもやっぱり最高に下らなくて笑えてしまう、素晴らしい純度の思春期漫画でした。
とにかく若々しいエネルギーにあふれた本作。
最終巻となった3巻は、まさに作品の集大成とも言える結実を見せます。
「恥ずかしい」という気持ちとどう向き合うか。
思春期なんて自意識の塊みたいなもので…まぁ思春期でなくても恥への抵抗は人ならある。
そこで「R-中学生」は恥ずかしさを乗り越えて成長する。大人へと駆けていく子どもたちの、その眩しい背中を見つめるような確かな感動がありました。
3巻表紙は読者から見て向こう側へと歩いていくメイン男子3人。バイバイだ。
秘密のカイカン・・・傷だらけの僕らの思春期。『R-中学生』1巻
リビドー全開!とびきりビタースイート!『R-中学生』2巻
個人的にこの3巻は、上でも書きましたが、「恥ずかしさと向き合う中学生」がテーマになっているように感じました。
大きく2つの章に分けられていて、前半が椎名さんと大蔵くんのエピソード。そして後半が伊地知くんのエピソード。
伊地知くんはR-中学生の第一話のメインを務めた少年であり、納得です。
順番に2つのエピソードについて感想書いていきます。ネタバレ込み。
●椎名さん&大蔵くん
女装趣味のある大倉くんが贔屓にしている、衣装のオーダーメイドをしてくれるブランド“α”。実はこれを社長をやっていたのが…というお話。
なんといっても楽しいのが大蔵くんのハッチャケぶりである。
恐らく友達もおらず、こっそりノートに衣装のデザインを描いていた大蔵くん。
しかし幸か不幸か、R-中学生の主人公軍団に女装趣味を発見され…
これはいかんぞ…けっして癒えない心の傷を負ってしまう…!!
と思ったらぽつりと言われた「かわいい」の一言に大興奮。自らを超開放してクラスでファッションショー開いちゃうまで行く。
大蔵くんがいいキャラですよ。恥ずかしさの呪縛から解き放たれてとても楽しそうなんですよ。
「かわいい」という言葉が嬉しかった。その興奮が恥ずかしさを上回った。
今までの「R-中学生」としてもかなり浮いているキャラ(まぁ濃いキャラばっかりだし、みんな浮いてるようなもんか)ですが、周囲とは違うものを持っていても鬱屈していない、キラキラした男の子で好感が持てます。まぁ歪んですれまくりなヤツも大好きですがw
そういうちょっとスレちゃった女の子である椎名さんと、いい組み合わせだと思いますよ。
●伊地知くん
さて、本番。椎名さん編での彼の妙な挙動はここにつながる。
女子の汚物フェチ。それは当然クラスメイトはもとより、仲のいい堀田や吉倉にも知られていない…いなかった。けれど今回彼のその性癖が、学校を揺るがす大騒動へとつながっていきます。
まぁ盗んだナプキンを隠れてクンカクンカしてたらバレちゃったという
どーしようもない現行犯逮捕だったわけですが、これは重大事件です。
リアルにドン引かれ、面白がった奴らから迫害をうける。
先生は「彼はこのままだと性犯罪者。どうすれば彼を救えるか、みんなで意見を出しあいましょう」とクラス会議開いちゃう。居場所なんて学校から消え失せる。
しかしそんな中で少年たちの友情が熱く心に染みる。
普段バカばっかりやってる連中。それはシリアスな展開な中でも変わらない。
彼らはむしろ、バカであることを貫くことで、この危機を打ち破ろうとする。
真面目に、正しいことと信ずるため、バカをやる。
なんだろうなぁ。…この胸がスカッとするよな熱さは…!!
感動というか誇らしいというか、愚かさがそのダメさを失わないまま正当な武器にできてしまうのが素晴らしい。なんとも心突き動かします。
当然なダメなんだよ。いけないことなんだよ。でもあえてバカな方法でしか戦わないこんな奴らが、ほんと大好き。
なにが「チンブラ四天王」だよってみんな呆れたり怒ったりする。
けれどそんなの知ったことではないのだ。バカでいたい。バカなことをしでかした友のために、みんなの底にある汚れた部分だって晒すのだ。
そして熱狂が支配するラストシーンに向かう
全校集会で男女みんなが「オナニー!」と叫びまくる…!!
もう何も言えない。突き抜けた情熱でバカなことをしでかしたら、それはそれは、心はスッキリ晴れ渡るものです。最ッ高に笑えて、感動できる場面ですよ!
オナニーはこんなふうに明るみに出せる話題じゃない。当然。
デリケートな中学生だもの。友達と下ネタで話すことはあっても、例えば異性の目の前で自分のそんな恥部を晒す勇気なんて普通無い。
ましてやここは全校集会の場。こんな注目を浴びてしまえば好奇な注目を集めてしまい、いじめられてしまうかも知れない。
でも。誰か1人だけに傷つかせちゃならないと、自らそんな恥部をさらけ出す連中がたくさんいる。
やがてそんな流れを面白がる人間も乗っかりだして、最終的にはこの意味不明のテンションが支配する、全校集会でのオナニーコールへと突入する。
しかしまっさきにオナニーの告白をした女の子、中田さんの漢っぷりな…!!
普段おっとり、でも怒るとコワい。そんな二面性をもった少女なのですが
この告白をするとき、彼女は至って平然と、いつものおっとり口調で「わたしはオナニーしてまーす」。女の子なんて特に羞恥が強いだろうに先陣切っちゃったよこの娘!
「私は別に、恥ずかしくないです」
「やましい気持ちがあることのが普通で人間らしくて、私はすきです」
これですよ。恥ずかしさとどう向き合うかって、ひとつの答えがここにある。
中学生としてはやや達観しているかもしれない。でも真摯な言葉だ。
こんな立派なこと、きっと男子たちは思ってもいられない。
けれどそれでも立ち上がれたのは、友達を助けるためっていう、すごく純粋な熱意。
自分たちが中心となって巻き起こしたこの前代未聞の珍事。
この日は一生ものの思い出になったろうさ。間違いなく。
沸騰したみたいな物語のテンションに滅茶苦茶ワクワクしながら読んでいて、読み終えたと思ったら、少し泣いてた。
馬鹿だなぁ、お前ら。
全力の愛をこめたであろう担任教師のこの一言は、まさに俺のものでもある。
そんな「R-中学生」最終巻でした。
なんかほぼ話の筋書いてしまったわけですが…この後半の展開は…本当に語りたかった…。大好きな場面です。これぞR-中学生!
最終話、みんなで帰っていく場面の、なんとも言えない寂寥感…。
でもどんな関係に落ち着くのか、もしかしたら示唆されてるような気もして、じんわり胸に染み渡る幸福感…。甘酸っぱい夕暮れが胸に染みる…。
「俺もオナニーしてます!!多分数えきれないほど今までやってます!!」
と絶叫告白したら、好きな稲沢さんから「ちょっとかっこよかった」と言われちゃう吉倉ァ!!!うまくいってね。
最後、みんな伊地知くんにある程度の理解を示して許せたのは
「他の人とちがう欲求を持っている自分」を、少しでも認識しているからかもな。
ひっそりと、誰にも知られないように隠している本心とか欲望とか…みんなあるはず。特に性に芽生えた中学生で、一切無いなんてことがきっと無い。
心の奥深いところで生まれた共鳴が、最後に爆音のオナニーコールに化けた。そう思うと、やっぱり素晴らしいクライマックスだと思います。
思春期の繊細さが、その殻をぶち破る瞬間が見れた。幸せなことです。
「中学のころ学校でさ、全校集会中に男子も女子もオナニーって叫びまくったことあったんだ」
「なにそれ、どういう状況よ」
「よく分かんないけど、でも俺も一緒になって叫んだなぁ。今でも思い出すと興奮してくるわ」
なんて、同僚との何気ない飲み会のネタのひとつになったりするかも知れない。
バカだなぁ、でもあの頃はムチャクチャだったな…なんて苦笑交じりに思いながら、思春期の眩さを思い出して涙が出そうになったりする。
あの日を。それ以外のどうでもいい日も思い出して、胸の奥がキュッとなる。
彼らにも、きっとそんな未来が待ってる。子供は大人になる。忘れ去られる日々があって、ずっと鮮明に刻まれる一瞬がある。
中学生にしか歩めない馬鹿げた日常がある。あったのだ、きっとそれぞれに。
時に逃げ出したり、時に熱くなりすぎちゃったり、暴走したり泣いたり傷ついたり。そんな愛すべきしょーーーもない時間は、中学生にこそ許された宝物のようなひと時。R-中学生に届けられる、あの頃のときめき。
…うん。浸って書きすぎた!反省。
「R-中学生」これにてお終い。エバーグリーンな魅力を放つ思春期漫画。
モヤモヤしてばかりだったあの時代は、思い出になって暫くすると何故だかキラキラしだして困る。自分と重ねて楽しんだり、そうでなくても、思春期を通過した者の心になにかしら感触を残す、傑作だと思います。
『R-中学生』3巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
素晴らしい最終巻でした。敏感思春期ハートの傷と熱、突き刺さる。
淫らで清々しい、痛くて柔らかくて冷たくて、ちょっと泣ける。こんな青春。
[漫画]たゆたいながら、いつしか照らし出される。『夏の前日』4巻
夏の前日(4) (アフタヌーンKC) (2013/07/05) 吉田 基已 商品詳細を見る |
泣くかと思った
しっとり官能的な空気が最高にグッとくる「夏の前日」。4巻が出ましたので感想を。
表紙いいですね!ゆらめく水面と、まどろむ哲夫。晶さん膝枕。
甘えているような、すがっているような…。なんだろう、哲夫が溺れて晶さんにたどり着いたようにも見えます。水面というモチーフがまずこの作品にぴったりですねえ。晶さんの和服も涼しげな青。夏らしい。
基本的に主人公の2人がイチャイチャするのを眺める漫画…
だったはずが3巻でいよいよ話が大きく動き始めました。
4巻はすこしずつ恐ろしさが背筋を登ってくるような感覚でした。静かに少しずつ端っこの方から崩れていくような。
相変わらず愛おしげに触れ合う哲生と晶さんのセクシーな場面に鼻息あらく興奮する。性的接触はなくとも甘いひと時に、思わず悶絶しながら読める。
…しかし。この巻はなかなに辛い展開もあったりする。
いいなぁこの空気は。夏の生ぬるい空気の中に、ギリギリの切実な感情がある。
前巻→触れて、感じて、愛して、1人で描く。『夏の前日』3巻
さてさてもう。俺がこの漫画にハマってる大きな理由は、哲生と晶さんの関係が大変にニヤニヤできるからってことですよ。
幸せすぎて見てて飽きない。お前らかわいすぎだよ!!
甘えて、甘えさせて、甘えられて、甘やかして。
学生である哲生にとって晶さんは年上の彼女です。2人の関係ってけっこうあやふやだと思うんですよね。間違いなく好き合っているけど、直接そういう言葉を投げかけ合うようなことはしない。相手をどう向き合うか、どう愛するか、そこに微かな葛藤も実に美味しい部分です。
3巻で晶さんは「孤独を手放さないで」「私に媚びないで」と述べていましたが、でも自分に甘え媚びてくる相手を嫌になんて思ったりしない。相手に触れられることは、至福。
一方的に甘えたり甘やかしたりするんじゃなくて、相手にとっての大切な居場所として、その人がいる。時には甘えるし、時には甘やかす。どっちだっていいんだ、繋がってさえいれば。その時の気分でいい。
そういう、良い意味での不安定さ。それが生身の体温のような確かさで感じられて凄く好き。イニシアチブを交換しあってるみたいな関係。
つまり俺にそういう立場逆転のしあうセックスをもっと見せてくれ、とこう言いたいのです。今回だと20話と26話では明らかにセックスの質が違っていて、それはストーリーの展開の影響もあるのですが、…素晴らしいな…!
まぁそんな下品な話はともかく、愛しあう2人を見るのが楽しい。結論。
晶さんの可愛さは今回も最高でしたね。「あたし哲生のおよめさんになればいいのではないかしら」の言葉はもう、テンション上がるよな…!!
しかし哲生は揺れている。
「はなみ」という女性が、どんどん彼との距離を縮めてくる。
別に華海が哲生に興味があるというわけじゃなく、ただ自分の彼氏の友人だから。まぁどんな人なのか興味を持っているようだけれど、この娘はナチュラルに無意識に接近して、そういうのに免疫ない人間をまどわせてしまうタイプだと思う。明るくて人懐っこくて素直。
哲生はかねてから華海のことを絵のモチーフとしてか、もしかしたらそれを含んだもっと大きな気持ちをいだいて見つめてきた。
そこからの急激な接近。今回なんてふたりきりで映画なんて行っちゃう。
自然と、揺れる。
仕事に疲れる晶さんと、恋人ではない女の子と遊びに行って思わず笑顔になっちゃってる哲生。まるで心まで遠くなってるようにそんな風景が描かれた第25話「やましいなんかなにも」はもう胸が締め付けられましたよ。タイトルから言い訳がましくてツラい…。
友人の恋人、恋人の友人、今後という関係以上に進展は哲生と華海のことだからないと思うけれど、哲生の明らかな動揺・感動を見るに、…浮気かこれ。
写真を手に入れて、「俺の華海」。いけない…いけませんよ…。
隠し切れない。こんな風に所有欲の一端を見せてしまってはもう。
たゆたっていたのに、すっかり照らしだされてしまったよ、哲生の気持は。
心と体が欲するぬくもりや安らぎは晶。
けれどストイックに芸術の世界に生きている哲生。彼が欲するひとつの芸術として、彼の琴線に触れる女性は、きっと華海なんだろう。憧れの女性として華海はいる。
哲生自信「こっちはいってはいけない道だ」とばかりに自制を試みていますが、花海に惹かれているのはもやは明確。
はてさてどうなるかーと思ったら、単行本後半で爆弾が落とされたでござるの巻。
きっつい…。
晶さんのこんな激しい感情の宿った表情は。そう見れるものではない。
ひとりで芸術に没頭する哲生を遠く眺めることで楽しそうにしていた晶さん。
「あたし見てみたいのよ。彼と、彼の見る世界を」は1巻での彼女のセリフ。
絵を描く哲生が好き。哲生の絵が好き。だからこそ読み取れたのかもしれない。哲生が華海に特別な情熱を燃やして描いたことが分かったのかもしれない。
珍しく負の感情を爆発させた晶さんは見どころのひとつではありますが、展開上、喜ばしいものではないなぁ…うぅ…。
激情ほとばしらせる晶さんに胸にあるのは、嫉妬か悲しみか。
過去最大の試練を迎えた哲生と晶の関係。
これからどう復活するのか。はたまた転げ落ちていくか。
いま、かなり危ないバランスでゆらゆらしてる状態ですね。
ほど1年に1冊ペースで来ている作品なので、続きはまた来年か。待ち遠しいなぁ。楽しみで、けっこう怖い…!
そんな「夏の前日」4巻でした。
書いてきたとおり、ストーリー的につらい局面に入って来ました。
前半はいつもどおり胸ほっこり股間もっこりなハートフルイチャラブに悶える。しかし後半でおもいっきり心傷めつけられました…。
1巻からずっとあたためてきた問題が、ついに表面化してきた。
まぁいつだって、どんなに甘やかなシーンにだって、なんだか刹那的な感覚がある作品でした。
トーンを使わない画風なこともあって、雰囲気はまるで戦前の日本みたいな感じ。完全に現代劇ではあるんですが、どこかセピア色なムードで、ノスタルジックな感傷を刺激してくる。
思えば「夏の前日」というタイトルが意味深で。
通り過ぎた日々。思い出を取り出し懐かしむ。そんな風景が浮かぶのです。
「気がつくと ボクらみんな 8ミリ映写機の フィルムの中」なんて、この作品の元ネタの曲でも歌われていました。最近聞きましたよ。
そんなわけで、胸の痛む切なさのつまった一冊。思わず息を潜めてじっと読んでしまった。心わしづかみにされた。
シリアス深まる本編のあと、注目すべきはほっこりする番外編を挟んで現れる巻末の「官能おまけまんが」!この漫画で吹き出すほど笑ってしまうとはww
相手に来てほしい衣装をリクエストする試み。
晶さんのリクエストも哲生のリクエストもあたま悪いよwやっぱりこの2人かわいすぎ!
『夏の前日』4巻 ・・・・・・・・・★★★★
来たぞ来たぞ…いよいよ加速を始めた。じわじわと蝕まれるような恋物語に。
[漫画]この胸のくすぐったさを分けあって。『ラストゲーム』4巻
ラストゲーム 4 (花とゆめCOMICS) (2013/07/05) 天乃忍 商品詳細を見る |
―――何故だろう 今日はいろんなものがキラキラして見える
順調に連載を重ねている「ラストゲーム」第4巻の感想。
お前ら大学生だよね?と投げかけたい若々しいファッションの表紙2人がかわすぎる…!
制服風というか。この作品の表紙はペアルックのキャラ2名で構成されていますが、これってすっごい可愛いと思います。
特に今回の構図の柳と九条さんは、まだ本編ではお目にかかれない距離感(柳の肩に寄りかかる九条さん!)でドキドキしますよ。
「ラストゲームはコテコテの少女漫画にしたい」と作者の天乃先生が語っているように、これぞ少女漫画だなぁ…と恍惚となるイベント満載ですよ。どストレートにときめきが心を撃ちぬいてくる!
前巻→粉のように飛び出す、せつないときめきです『ラストゲーム』3巻
4巻の目玉は、九条の静かな変化にあり!
物語開始当初とくらべて随分いろんな表情を見せてくれるようになりました。
3巻の九条さんは、柳との距離感に心細いような、心もとないような緊張を感じ取っていました。柳を男の子としてちょっと意識しだした。これは本当に大切な一歩だなぁ。
対人関係にそれほど悩みを抱えない性格であろう九条さんが、ずっと近くにいたひとりの男の子に緊張する。
どう話せばいいのか。どう接すればいいのか。
とまどって体がこわばって、ついつい離れたくなっちゃうけど、実際離れちゃうとほんのり寂しかったり不安になったりして。
まだ自覚がないぶん、自分の気持に自分が振り回されている様子がかわいすぎる!
もしかしたら嫌われちゃったかも…。
それが不安だし、それを確かめることも怖かったりして。普段の行動力がまるで発揮されず臆病に縮こまってしまった九条さんメチャクチャかわっいい!
エラいこっちゃですよ。九条さん柳のこと意識しまくりですやん。
九条さんの視界についにキラキラフィルターがかかった!
どんどん。どんどん柳に心傾けて行ってるよ九条さん。
未だ恋愛感情に無自覚であり、おそらくしばらくは自覚ないまま行くんじゃないかなとは思いますが、もはや言い逃れできないレベルに想い深まっている。
一方でそんな九条の変化を目ざとくキャッチし調子にのる柳。
文句なしイケメンなはずなんですがこいつが全うに格好いいことするとなぜか笑みが漏れてしまう不思議!
なにせ作中No.1の愛すべきヒロインである柳くんですよ。
3巻でついにこじらせすぎて「早く起きろよ、眠り姫」と名ポエムを吐き一部愛好家の間で話題を呼んだ柳くん。というかネットで感想漁っていたらわりとここみんなお気に入りのシーンみたい。ですよねー!!
まぁともかく調子に乗っちゃう柳くんです。
九条さんとの関係が進展するのはとても嬉しい楽しいことですし、報われてほしい男の子です。
でも「やっぱりコイツ、オレのこと相当好きじゃね?」とか言っちゃうの見ると、オイまだ安心してんじゃないぞお前!と叱咤を飛ばしたくなりますね!
まぁ調子に載ってまたから回っちゃう柳くんを見ると、なんだか安心なような相変わらずで呆れるような。もう何年も九条さんと一緒にいるのに、いまだに彼女の扱い方がわかってないあたり可愛い。
男らしさと女々しさと残念さのバランスがとても良いキャラクターだとおもいます。
主人公2人の色づくラブコメ模様の裏で、相馬くんはだいぶ切ない心情を見せていきます。
まぁ作品的に敗北しかありえないような状況ではありますが…。
選ばれないと分かっていても、不毛な片思いだと知っていても、引き返せない。
静かに必死に自分の気持ちを向き合っていく相馬くんは、見ていて胸が痛みますねぇ…。なんらかの形で彼にも救済があればいいんだけど、どうだろう…。
そして4巻からの新キャラ・新ヒロイン!
どうも柳に気があるっぽい、お嬢様大学に通ってる橘桃香という女の子。
本人は普通の家庭といっていましたが、たぶん裕福だろうな。
で、どうもこの娘…
……なんか!!どう考えても!!クセモノ!!
不器用な連中ぞろいな本作において、ついに恋愛の駆け引きの上手そうなキャラクターがやってきました。起爆剤になるよなぁこれは。
鈍感ヒロインを焚き付ける、これぞライバルヒロイン!な活躍に期待w
新キャラの登場でまたまたかき乱されそうな九条の柳の関係。
といってもこの作品は基本的に安心して読めるラブコメ漫画。
今度ともまったりずっとニヤニヤさせてもらいたいものです。
今回は読み切りも一本(時代劇・忍者ラブコメ)も一緒に収録されましたが、こちらもかわいすぎる。登場人物みんなちょっとズレてる感じが微笑ましいw
「ラストゲーム」大学が舞台な漫画ではありますが、なんて初々しいんだーと毎度思う。
この清涼感。中学生か!!と叫びたくなる時もあります。でも大学生らしく、例えば友人宅に集まって家飲みやったり、自然と大人っぽさ…というか大学生くささを匂わせる世界にいる時もあっていいねえ。こういう大学生の空気感好き。
あ、そういえば今回の単行本はアニメイトでフェアをやっていて、購入時レジでクジをひいたのですが、運良く当たって複製原画ゲット!嬉しいけどさてどう保存しようw
『ラストゲーム』4巻 ・・・・・・・・・★★★☆
ほっこり安定の大学生ラブコメ。新キャラ登場で5巻でまた進展あるかも。