[漫画]寂しさだって賑やかさに塗りかえられて『僕らはみんな河合荘』 4巻
僕らはみんな河合荘 4巻 (ヤングキングコミックス) (2013/05/30) 宮原 るり 商品詳細を見る |
聞きたい いま 聞きたい
「僕らはみんな河合荘」4巻の感想です。
相変わらず下品だけど、みんな素で遠慮なく笑いあってる空気が素敵!
宮原るり先生は「恋愛ラボ」が今度アニメ化しますけれど、こっちもなってくれないかな…!
単行本の最初のカラー口絵ですが、改めてここを1巻から順番にみてみると、律ちゃんと宇佐くんの関係が着実に縮まっているのが現れていますね。
1巻は宇佐に気づかず読書に熱中する律。
2巻は律の注意をひこうとしてる(ように見える)宇佐と彼に視線を向ける律。
3巻は並んで読書をする2人。
そして4巻では本の内容についての意見交換をしている2人。
ゆ―――っくりと関係を深めていっている2人。うーん微笑ましい。
そこをじっくりと描かれるからこそ、ちょっとした進歩に感動したりして。
4巻はおおっとなるラブコメイベントもあったりして、でもいつもどおりのバカバカしい喧騒。
そしてふと心に刺さる、リアルな人間関係の悩みも包み込まれた内容となっています。
人と人の距離感を慎重にみつめるこの作品ならではの味わい。
ギャグ漫画としても楽しんでいますが、こういう一筋縄ではいかない要素を組み込んでくる部分が大好きだなぁ。
前巻→ここは不思議と心落ちつくんだ。『僕らはみんな河合荘』3巻
今回はシロさんの株が爆アゲする内容だったな!!
大人なのにずーっとヒマそうに家にいて、子供みたいにはしゃいでて、そして超がつくほど変態で面倒臭いマゾヒスト。この作品のギャグにはシロさんが関わることが多いし、実際すげー面白くて大好きな男なんだけれど!
今回はシロさんが普通にすれば普通にカッコいいことが物語で効果的に見せられて、シロさんにときめいてしまった俺は自分が悲しい!!!
シロさんと麻弓さん、息合っているしいい感じじゃねーかとも思うんだけど
あんまりシロさん関連のフラグは信じないようにしてますw
ふざけてるようで、ちゃんとその人が傷ついた時にはさらりとフォローをいれたり、都合よく利用されることすら良しとして人と関係を築く。
シロさんは人と関係することが楽しくてしょうがない、みたいな印象がある。
たまに滅茶苦茶格好いいのも、ふだんバカみたいな言動ばかりのギャップでな。
まぁ大変な目にあいたい、面倒な目にあいたい、というメンタルどMのサガと言ってしまえばその通りなんだけどw
改めてシロさんいい人だなーっと確信した。大好きだわこの人!
上はシロさんがスーツでばっちりキメたエピソードは、それ以外の面でもお気に入り。
麻弓さんが同窓会に行って、学生時代の友人たちと再会するのですが
そこで交わされる女同士に密かな対決と暖かな絆がたまらない。
女二人して酒読んでヘラヘラ笑いながら「ヘーキヘーキ」と言っちゃうシーンいいなぁw 大人になってもこうしてつながりあえている女の友情(愛憎入り乱れた)素敵です。
いちおう主人公の宇佐が高校生なので学生たちがメインのエピソードも多いですが、この作品は群像的な面もあって、こうして時々オトナなドラマも混じってくるのが面白いよなぁ。
いろんな年代・いろんな立場のキャラクターの物語や感情が入り乱れて、それがギャグにしてもシリアスにしても、お互いを引き立てあっている。
そういう様々な要素がゴチャッと一緒に詰め込まれてるのが「河合荘」なんだな。気持ちがスッキリしない話もあるけど、整頓しきれないモノがたくさんあるから面白いんだろう。
ところで麻弓さん、過去の栄光を引きずりまくってるけど納得ですよ。
こりゃ引きずるわ。学生時代、滅茶苦茶かわいいなオイ!
それが今じゃ高校の学祭にもぐりこんで男子たちの視線を浴びて優越感に浸る。
このきもちよさそーな素敵ドヤ顔。
ああ…うん…過去を知ってさらに麻弓さんの残念度が上がった気がするね…。
宇佐くんと律ちゃんにも進展がありました。
ちゃんと関係が進んでいる実感がある。すごく丁寧にそこを描いてくれる。
いつもだったら宇佐が律ちゃんに振り回されることが多い。
でも今回ははっきりと、律ちゃんが宇佐くんに振り回されていました。宇佐くんの知らないところでな…。
宇佐くんが自分の傍にいない。もっと楽しいこと・好きなことを見つけたのかな…なんて、言葉にならない寂しさを募らせる律ちゃん。
明らかに宇佐くんのこと気にしまくりですよ!見てるか宇佐!見てないよな宇佐!残念だなぁおまえ!!
宇佐も宇佐で、「俺のことなんて気にもせず、本に夢中だろうけどなぁ」なんてコイツがぼやいてるそのコマで本に集中できずうなだれる律ちゃん!この切ないスレ違いが終盤に生きてくるわけですよ!!
これまで河合荘という住まいを介してつながっていたように思います。
帰り道が一緒だから。話たいこともあるから。
でも宇佐としてはもっと近くなりたいなと思っていただろう。
そんな中、今回ついにメールアドレスもゲット。そして電話も。
律と宇佐。個人と個人でやっとつながったような気がしますね。
些細なようで、きっと大きな一歩。
そして帰り道。宇佐がやっているゲームに興味を示す。
「どんなゲームなの?」
「珍しいッスねー、先輩が本以外の話なんて。ゲームも好きなんスか?」
「…なんとなく。気になって。」
このシーンすごい好き。夕焼け空の下、ゆっくり育つ心。相手の気持ちも、片方は自分の気持ちすら気付けていないけれど。もどかしー!
明らかな興味を持って、宇佐くんに歩み寄っていった律ちゃん。
ああ~~この地味な、大切な一歩に胸ときめいてしまうよ!!
宇佐ァ!!「珍しいッスねー!」じゃねーよ!「ゲームも好きなんスか?」じゃねーよ!!お前興味もたれてるぞ!
そんな「僕らはみんな河合荘」4巻でした。
いつもどおりキレのあるシモネタの連打に笑わせてもらうと共に、着実に深まるラブがコメる雰囲気にドキドキですよ!
下ネタをガンガン前面に押し出しておきながら、ピュアな恋愛を両立してるのは凄いなw ギャグもちょいシリアスも恋愛もひっくるめて、人の心をしっかり描いていこうっていう姿勢が好きですね。
前の住人・馬淵が帰ってくるエピソードも、ちょっとした厳しさを見せつついっぱいの優しさとぬくもりが広がっていて味わい深い。好きだな。
そしておなじみの描きおろしシリーズ「シロさんと俺」も笑えるw
毒もあり甘酸っぱさもあり、そして呆れるほどバカバカしい。
この河合荘の賑やかさは、ずっと読んでいたいなと思える。
『僕らはみんな河合荘』4巻 ・・・・・・・・・★★★★
安定の、そして進歩の4巻。シロさん活躍!シロさんの目も初登場するよ!
[漫画]心に青さとみずうみを。『あおくて堅い』
あおくて堅い (GUSH COMICS) (2013/05/10) 山田 酉子 商品詳細を見る |
恋はいつでも初恋の顔をしている
山田酉子さんのコミックス「あおくて堅い」の感想。BLです。
先月には「ばらのすべて」も発売しています。山田先生の作品が一気にたくさん読めて心がホクホクします。作品は冷え冷えとした空気ですけれど。
山田先生らしい叙情的な傷とあまやかな毒、飄々としたクールなリズムは今回も健在であり、この作風に惚れている俺としてはそれだけでも買ってよかったと思えるのである。
今回も恋に溺れてる切実な様子が心に突き刺さるなぁ。
「BL界の吟遊詩人」と作者紹介にありましたが、これはいい表現だと思うw
個人的には少女漫画も描いてほしいですねえ。前にbiancaに読み切り書きましたが、定着しないかな。BLでも買いますけどね!
これまでの山田酉子作品記事
刹那的、オンナノコ。『女の子のすべて』
カッコよくて弱くて泣き虫で強がりで 『クララはいつも傷だらけ』
自由に愛して自由に生きよう。『かなしい人はどこにもいない』
「好きだから」の先にあるもの『ロング&ビューチフルライフ』
深く息をして、僕らは悲しい恋をする。『ばらのすべて』
今回は表題作「あおくて堅い」から続く連作シリーズ4話と
一話完結の短編4つを収録した単行本となっています。
さくっとそれぞれの話の感想を書いていこう。
●あおくて堅い
表題作シリーズは歳の差もの。
予備校に務める先生・甲良と、19歳の浪人生・隆行の恋。
ところが隆行は自由で気まぐれで、なかなか構ってくれない。
そして「隆行が構ってくれないから」とかわざわざ口に出して泣いちゃう先生のこの情けなさ&かわいらしさ。
普段の様子とか見てるとオトナと子供としての立場は分かりやすく区分されているんだけれど、恋愛事になると年齢より人間性に左右されている感じで面白い。
このシリーズで面白いと思ったのが3話目に「過去の恋愛」に目を向けだしたこと。
それは作中で女性が「昔の男ってそそります」といったり、甲良が昔の恋人と再会したことに誘導されてのもの。思い出になることへの感傷に満ちている。
ああそうだ。「過去に結んだ関係」を思い出すのとても甘いものなのだろう。
いつかやってくるかもしれない、悲しい「終わり」を思いつつ、すてられんだろーなー、この子に
俺がいつかそうしたように、
でも俺は おまえの特別な 昔の男に なりたい
その先の途方も無い時間にすら愛情を向けている。
あの子の「昔の男」になれたらいいなぁ、なんて。
記憶としてふっと何気なく思い出してもらえるような存在になりたいのだと。そして懐かしんでもらいたいのだと。
どれだけこの恋を人生に刻むつもりだろうか。いいね!
愛しい人に付けられた傷は、何時まで経ってもきっと痛いまま、自分をノスタルジックに染める甘い束縛になる。
ところで「あおくて堅い」っていうこのタイトル。
最初に見た時、Grapevineの楽曲「マリーのサウンドトラック」の冒頭
「蒼くて堅くて破瓜のようで 遠くて不確かで 嘘」
を思い出しました。もしかして狙って引用したものなのかな。
なんとなく山田酉子とGrapevineの親和性は結構高いと思うんだw
乾いてて甘酸っぱくセンチメンタルで思考がまとまらない感じ。
●バースデイ
ほんのりヤクザもの。
優しい顔して意外とコワい男のヒト。さらりと口説いてきて、お気軽なキス。
暴力はそれ主導の話になると痛々しいけれど、物語を引き立てるスパイスとしてなら気持よくドキドキさせてくれるよな。世界の裏側にほんのすこし触れるような。
●ファンファーレ
あ~これ大好き。恋の傷がクッキリしてて、生々しくて、それでいてふわふわと宙に浮くような幸福な浮遊感まであって。最後にリードの持ち手が変わるのも鮮やか。
「恋の傷は恋で癒せよっ!」ってどっかの麻里さんも言ってた。
山田先生らしい軽やかなリズムが細部まで心のひだをくすぐってくれる。
それにしてもホモセックス目撃した周りの理解度の高さwww
こんなのを知っても動じないお姉さんが面白いしコワイし、きっと彼女に恋をした彼にとっては残酷なものだ。どうやっても彼は彼女の心を揺らせない。でもそれでいい。
●うぶにゃん
何時まで経っても「うぶ」なままでいられるというのはむずかしい。
好きも嫌いも慣れちゃって感情が希薄になっていくことだってある。
でも世の中にはもしかしたらいつまでも少年のようでいられるような男もいて、そういう奴は諦観してばかりの大人から眩しく見られて、そしてたぶんモテる。
BLモノではあるけれどそれと切り離しても通ずるロマンみたいなのがあるかも知れない。うぶにゃんは可愛すぎるけど、ちゃんと大人として仕事できそうだし。
●湖底
最後のモノローグがすごく染み入るけどよく考えなくても意味はわからない。
今回では1番に詩的でとらえどころのない短編だと思うけれど
喜怒哀楽がそっと溶かされた、淡くしずかな空気が絶品。
「みずうみ」というワードが神秘的な響きすら持って輝く。
そんな「あおくて堅い」でした。
今回は氏の単行本でも直接的な性描写が多いですね。わりとガッツリ目。
とは言え肉体的なものより心の機微をじっくり見つめるような視線が多くて、心が静かになる。気持ちいい。
今回はなんとなく水っぽいものがカギとなっている印象もあります。
そうなると「あおくて堅い」というタイトルも深いものを感じられるような。
2ヶ月連続で山田酉子先生の単行本が出るという幸せな時期が終わってしまったので、またしばらく待ちの時期!
『あおくて堅い』 ・・・・・・・・・★★★☆
お洒落ですねぇ。ふだん器用な人たちの不器用な部分がかわいいかな。
[CD]明るいと思いきや……隠し切れない心の傷。『Hello Alone』
Hello Alone TVアニメ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」エンディングテーマ (2013/05/22) 雪ノ下雪乃(CV.早見沙織)&由比ヶ浜結衣(CV.東山奈央) 商品詳細を見る |
アニメ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」のED曲「Hello Alone」が発売したので購入。ジャケットはぽんかん⑧神の描きおろしだぁー!!
OP曲「ユキトキ」でも更新をしたので、EDをやろうと思っていましたが
買ってみて歌詞を読んでみたら、びっくり。
爽やかに気持ちを盛り上げるサウンドで歌われるのは、
後悔にまみれた、とても心痛む歌詞。
通常のものと、由比ヶ浜結衣ソロのバラードバージョンがあります。
曲調がガラリと違っていて面白いです。特にバラードバージョンのピアノの旋律は美しいですねえ。これアニメ5話で流れた時おおっ!?となりましたよ。
でもこの記事で注目していきたいのは主に歌詞についてです。
OP曲→雪ノ下雪乃の内面を描く、アニメ俺ガイルOP『ユキトキ』
歌詞はうたまっぷとかで見ればいいんじゃないかな。
「最後まで僕は素直じゃなくて 繋がれてた糸をわざと もつれさせて 切り離した」
自ら距離をとる。人間関係に臆病な人物が浮かびます。
傷つけられるなら自分で傷つきたい。
「ヒコーキ雲がにじんで 消えてしまう前に 逢いたいと言えてたなら」
「終わりのない切なさからも 抜け出せていたのかな」
盛り上がりあるサビ部分の歌詞。
しかし明るい歌声に乗せて、こんなに後悔の念が込められている。
「言えてたなら」「抜け出せていたのかな」など、失敗をしてしまった人物がifを夢想する切ない場面が思い浮かぶ。
多くの言葉が過去形で綴られている点で、心の痛みが深められていきますよ…。
2番の歌詞になるとさらに傷は見えやすくなっていきます。
「無理に笑って 忘れるよりも 静けさへと仕舞いこんで 止まったまま 傷つきたい」
「夕日が海の果てに 消えてしまう前に 嘘だって伝えてたら」
「あのまぶし過ぎた毎日を 取り戻すことできた?」
素直な気持ちを伝えられなかった。嘘をついてしまった。
楽しかった日々を失ってしまった。それ取り戻すためのチャンスすら逃した。
などなど、至る所に「人間関係における致命的な失敗」を匂わせるフレーズが散りばめられており、とても不穏なものを感じます。
OP「ユキトキ」は本編にはまだありえないほど幸福度がたかい内容でした。
しかしEDでここまで爽やかにどん底に落としてくるあたり、凄い。
では自分の解釈か何かを。
この曲の歌詞中では一人称は登場しないので、俺なのか私なのかすらわからない。
でも歌詞から察する後ろ向きなキャラクターから察するに
やはりこの歌の主人公は比企谷八幡なのかなと思う。
「Hello Alone」というフレーズにぴったりくるような精神性を持つのは彼くらいなものだと思う。
でも彼だけの曲だ、それ以外の可能性はない、と断じてしまうのも勿体無い。
例えばCメロの
「言葉は欺くし(雪ノ下)」
「優しさは裏腹で(由比ヶ浜)」
「実は逃げてばかりいたのかも(雪ノ下)」
「甘え過ぎていたのかも(由比ヶ浜)」
といった、ヒロイン2人がそれぞれ違うところを順番に歌っていく箇所は
その担当キャラクターの資質や心理を示しているような気もする。
「嘘」で八幡を苦しめた雪ノ下が「欺き」と言い、実は逃げていたと歌うのも、
「優しい女の子」である由比ヶ浜が「裏腹」と言い、甘え過ぎていたのかもと反省するのも。
2人の切実な思いが反映されているような構成だと思います。
もしくは、ストーリーは今後この詩のような内容になっていくのか。
その中で特に気になってくるのが、サビで繰り返されるこのフレーズ。
「また君とふたりぼっち Hello Hello,Alone」
失敗をして、大切な人との間の距離に苦しみ悲しむ主人公。
しかし最後にやってくる「君とふたりぼっち」は、ともすれば非常に救いがある言葉。
失敗をしたって君は傍にいてくれる。そんな確信と安心を感じているであろう一節だなぁ。寄り添う誰かの存在は本当の救いだ。
でも正直この他の歌詞を読んでいると、サビ最後だけ「また君とふたりぼっち」なんて優しい言葉を投げかけてくれていても、うまくそれが信じられなかったりする。
暖かい時間を、大切な人を遠ざけて自分を傷つけた。
涙を止められなかった。ごめんねと言えなかった。
けれど君はいてくれる。ふたりぼっち。だけどAlone。
「君」ってのはもう1人の自分なのではないかな、とも思った。
自分だけの世界に閉じこもって、そこに救いを探す切迫した想いがあふれているようにも考えられるんですよね。
失敗をしてしまった自分。それを慰めてくれる、胸の内のもう一人の自分。
より救いのない解釈だけれども、個人的にはこれがシックリくるかな。「Alone」をどう捉えるかは、考えてみるともっと面白そうな解釈の幅を見つけられるかも。
作詞を担当したのは藤林聖子さん。
何やら調べてみたら、『さも物語の展開を読んでいるかのような作詞に定評があり、一部ファンからは「予言者」と呼ばれていたりする。』という記述がされていたりしている。
曲調からは想像できないような青春の苦味をはじけさせる素晴らしい歌詞だと思います。
ドラマCDで過去に歌われてきた雪ノ下&由比ヶ浜のデュエットソングはほぼラブソングでした。アニメEDでそれを裏切ってシビアな内容で攻めてきたのは素晴らしいですね。
今度でるキャラソンアルバムでも歌詞に注目してみたいところ。
ともかく、「Hello Alone」、切ない心理描写が鮮やかに美しい風景に溶け込んでいる佳曲。元気いっぱいなA面、しっとりバラードな別バージョンの違うも面白いし、CD買ってよかったなとおもいます。
[漫画]俺と彼女は、友達にはなれっこなかった。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic』1巻
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic 1 (サンデーGXコミックス) (2013/05/17) 伊緒 直道 商品詳細を見る |
ありがと、さっき立ち上がってくれて。
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic」第1巻の感想―。
アニメも放送中ですね。だんだんとこの作品らしい黒さが浮き彫りになってきた感ありワクワクが止まらんな!
こちらはサンデーGXで伊緒直道が手がけている方のコミカライズ。
「俺ガイル」のコミカライズといえば、ビッグガンガンでやっている佳月玲茅先生によるコミック版もあります。どちらも原作小説1巻の途中まで、アニメで言う所の2話くらいまでかな。
同じ範囲をわざわざ2つのコミカライズで描くのは勿体ないかもなーとも思いつつ、しかしどちらもなかなかいい出来。作家の違いが現れますしね。
そういえばこの1巻、オビがついたままだと主人公の八幡が隠れてしまうんですね。いいデザインじゃん。それでいいよそれで。彼は隠れてこそだと思う。
さて内容について。
収録範囲はチラッと戸塚が出てきたまで。実質、材木座がいい笑顔で締めくくる。
そんなことはいいんだけど、このサンデーGX版コミカライズ、原作読者の視点から見ても演出・解釈・些細だけど追加要素などがあり、普通にお気に入り。
まず八幡がちゃんと格好いい(&情けない)という所。
自分の為、というていで由比ヶ浜の為に立ち上がる場面は迫力バッチリで力に呑まれました。
その直後との落差も面白くてよかったw
作品のテンションの上下がつよめに描かれている気がしますね。
浮き沈みがはげしいぶん、この作品らしい毒も見えやすくなっているような。
それはキャラクターの表情にも表れている。とても生き生きとしていますね。主人公は死んだような目をしていますがそれが彼の生きている証なのである。
ヒロインたちもきちんと可愛らしく描かれています。
雪ノ下も彼女らしい気難しさと捻くれを見せつつ、凛とした佇まい。
初期はまったく雪ノ下のデレが無い一方、甘い成分を担うのは由比ヶ浜。しょっぱなからフラグ立てちゃってるビッチっぽい恋愛脳ピュアガール。
雪ノ下とくらべて分かりやすい思考回路をしてくれている分、ストレートなラブコメ担当という感じですねえ。実際可愛いし。
たぶん雑誌掲載したときバレンタイン時期だったんだろうなーって扉絵。
原作小説だとまだ冬になっていないので、いまから2月14日イベントが待ち遠しくなるなw
八幡が負った小中でのトラウマイベントの数々も、心底痛々しく、けれど感傷的になりすぎない。カラッと笑えるものとしても流せる塩梅。
失恋したり嘲笑を受けたりする主人公をまっとうに描いたら暗いばかりになってしまいそうなものです。でもそこは八幡。卑屈すぎるほど卑屈な高二病マインドを手に入れたことにより、ギャグ風な自虐のようなタッチで語られる。この空気がまた好きだったりする。
そしてこれはいいと思ったのが、このシーン。
以下は原作の軽いネタバレを含んでしまうものなのですが…。
原作5巻6巻と、もしかしたらこれ以降に関わってくるかもしれない話題に「雪ノ下の嘘」というものがあります。
これの精算が行われる原作6巻の盛り上がりは凄まじいものなのですよ…。
八幡のことを“知っていた”のかどうか。
より正確には、『雪ノ下雪乃は、八幡が雪ノ下家がおこした事故に被害者であることを知っていたのか?』ということです。
これに関しては原作1巻に、手がかりとなる描写は見つけられていない(俺は)んですけれども、ここの補完をしてくれているのがこのコミカライズ。
高校入学式の日に交通事故で入院して、入学ぼっちが確定した八幡。
そのことを聴いた雪ノ下は、かすかな動揺を見せます。それが上のシーン。
八幡をひと目見たときから、「あ、あの時うちの車が轢いちゃった人だわ(ざっくり)」とは分かって無かった、ということかな。少なくとも自分はそう解釈する。会った瞬間には分かっていなかったし、奉仕部にやってくるまで八幡という少年を認識はしてなかったんだろう。
まぁ雪ノ下自身が起こした事故ではありませんし、たぶん運転手の都築さんや雪ノ下の両親がなんとかやったんでしょう。だから雪ノ下は八幡を見たことはなかった。もしくは顔を覚えるほどの接触は無かった、と。
八幡は5巻で雪ノ下雪乃へした失望の正体は、彼女が嘘をついたこと。
嘘とはなんだったのか?
これが恐らく、奉仕部として出会う前につながりがあったことを知っていて隠した、という内容のものです。隠しただけで嘘と解釈するのだから、八幡の潔癖は相当なものだと思うけれど(そういう少年だから、きっといろんな人が心を動かされる。)
雪ノ下がどんなことを思い、自分の立場(あの事故の加害者側であったこと)を明かさずにいたのか。この疑問への描写は原作にも非常に少なく、手がかりに欠けていたポイント。
今回のコミカライズで、雪ノ下雪乃の心理を読み解く小さなヒントが与えられたように思いますね。
これは原作ファンは目を通しておくとニヤリとできる箇所かと。
そんな「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている@comic」1巻の感想。
やータイトル長いですね。
作画を手がけた伊緒直道さんは、これが連載デビューとのことですが、読みやすいし絵もキュートかつ格好いい感触でなかなかお気に入り。
キャラクターの感情の迫力をきっちり描いてくれており、満足いっています。
八幡が読んでるラノベとか、小ネタも効いているw
ただ進行は遅いので、どこまでこのコミカライズが続いてくれるかだなぁ。
漫画でも原作6巻を読みたいし、もちろん7巻以降の漫画化も見てみたいんですが、果たして。
アニメと合わせて各種コミカライズシリーズも楽しみですね。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている@comic」1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
ちょっとした原作補完と、メリハリある演出で読ませてくれる漫画版。
[漫画]ずっとイチャイチャしてればいいよ!『琴浦さん』5巻
琴浦さん 5 ドラマCD付き限定版 (マイクロマガジン☆コミックス) (2013/05/24) えのきづ 商品詳細を見る |
私は知ってるの 真鍋くんが本気で私を好きでいてくれてることを
「琴浦さん」の第5巻の感想です。
こちらは限定版。書きおろし漫画の小冊子とボリュームあるドラマCD付き。
通常版はまた後日発売されるようですが、ファンならこの限定版を買っておいて損はない。ドラマCDは普通に単品3000円で販売したほうが自然なほどの収録時間だし…!限定版にのみ付属のものについてもまた後ほど書こう。amazonでは瞬殺してるがな!(今のところ
テレビアニメが放送終了して一段落といった所ですね。
原作のストーリーも4巻で大きな局面を迎えたこともあり、5巻は息抜きのように明るくほんわかとしたラブコメモード全開であります。うん、琴浦さんかわいい!堪能できましたよ!
ドラマチックな展開が特徴的な4コマ漫画ですが、1冊トータルで見るなら過去1番平和だったんじゃないかなw
人の悪意とか不幸、ネガティブな要素も盛り込んでくる作品。
だからこそ琴浦さんが掴んだ今の幸福が染みる。甘酸っぱい恋愛を彼女が「普通の女の子」として楽しめているということを自然に楽しめるし、ふと冷静になってみればその尊さに感動してしまう。
平和な日常を好きな人となにげなく過ごす琴浦さん最高にかわいいよ!
とは言え、今回は琴浦さんを狙う新しい男キャラも登場したり。
真鍋のライバルとなるのか…!?いま2人の愛が試される!…的な感じか。
前巻→かわいい妹ができました。『琴浦さん』4巻
さて先にも書いたとおり、今回の5巻はまるっと平和モード。
4巻にて登場した琴浦さんの妹・絢香ちゃんも町にやってきて、賑やかな日常が展開していきます。
子供らしい無邪気さで話題に無意識に切り込んでいくのが面白いなw
すでにESPメンバーに溶け込んでいる感もある絢香ちゃん。
彼女が出ると彼女の話題に引っ張られがち(みんながゲームにハマりだす流れなんかそのままで、彼女の影響力は作中でも強いんだなと思った)なので、結構扱いがむずかしい娘なのかもしれません。
でもいい動きをしてくれるのは間違いないし、やはり準レギュラーくらいにはなってほしいなぁw
表情が豊かで見ていて楽しいし!
真鍋くんのエロスな妄想にあきれつつ自分とのギャップにガッカリしつつな琴浦さんは、絢香という餌につられて社交界デビュー。そしてそこでどこぞの金持ちぼっちゃまに目をつけられてしまいます。
真鍋からすれば、ライバル出現というわけですね。
琴浦さんも母親たちから「恋人の選択肢は多ければいいじゃない?」みたいな事言われちゃうし。
しかし、なんというか深刻さはあまりないので、わりと安心して見てられるw
暗い展開もやる「琴浦さん」ですが、琴浦さんと真鍋くんのこじれた関係とかダメになっていく恋とかが見たいかと言われればそれはNo…。他の作品ならそういうのも好きだけどこの2人でそれはやっちゃいけないのだ…!
不安は無く、むしろライバルが現れたことでさらに2人の絆が深められようとしている様子を見て胸もほんわかしますよ。お坊ちゃま勝ち目なさすぎぃ!
このシリーズは次の巻まで続きますが、最後までニヤニヤできるものがいいな!
エロスだエロスだと妄想やってますけれど、琴浦さんと真鍋くんはい今のところ実にピュアなお付き合いができていますよね。頭で考えていることはともかくw
なんにもエロいことはしていない。キスだって…。
けれど真鍋くんが持ち前のエロスを前面に押し出して、それを琴浦さんが読んでしまうというシチュのおかげで、「性的なことを意識する関係」にはなっている。このスレスレ感というか…いまだに初々しい感じがたまらなくかわいいじゃないですかー!
真鍋くんは妄想はするけど、現実に琴浦さんを傷つけてしまうようながっつき方はしませんしね。考えているやっているものではなく、人間関係における生粋のバランス感覚のよさがあるのではないかなと思います。
でもせっかくこんな美味しい展開(恋のライバル!関係の見つめなおし!!)をやっているのですから、やはり期待したいのは、恋人としての2人の前進ですね!
というわけでラブコメっぽい雰囲気でとても楽しめました。
「なんで私のことを好きになったの?」って上手く聞けなくてもじもじしてる琴浦さんを見て、なんの気持ちも沸かないヤツがいるかー!
5巻でなにげなく書かれていた母親との距離感に「おっ」となった。
こんなに自然に連絡をとり合って、食事をして、親子で恋の話をしたりする。
まぁその恋の話というのがお母さんの失敗談だったりするのでズーンと重かったりもするのですが…でも、こんな近い存在になれていることが、素晴らしいです。
上にシーンはちょっとしたケンカですが、以前のような深刻さは薄い。家族としての信頼を前提とした、ある種親への甘えのようなスキンシップに感じられます。
実際このあとのシーンで母親が「誤ってばかりだったあの子がねぇ 私に口答えするようになるとは」と微笑みながら言っています。仲いいじゃないですかもうー!
親子関係。それは琴浦さんを縛る呪いのような過去。ですが少しずつそこから開放されていっているのが目に見えてわかり、作品の成熟を感じさせます。着実に変化してきているよな。
そんな第5巻でした。
全体的に日常ラブコメディな雰囲気で、とても和やかです。
こういうのが大切な時間なんだなぁと、この作品においてはこの平和がとても嬉しく感じるものです。
巻末のオマケ漫画では琴浦さんがメイドさんになってご奉仕の巻。恥ずかしがり屋な琴浦さんの魅力が詰まりまくりで実に美味であった(渋い顔で)
あとがきでは「もうちょっと続く」とあるので、もしやあと3巻以内には終わる感じだろうか。最後まで追わせて頂きます。
まったくどうでもいいけどこのコマがすごくツボったのでなにか使えそう。いや使わないけど。じっくりみるほどに面白いよこれwww
あとこれも非常にどうでもいいが、最近の森谷さんの髪型を見ていても自然と笑える。なんかカニっぽい。コレ毎朝セットしてんのかな…。「いってきまーす」と朝家から出かける彼女を見て家の人たちは「あの娘もオシャレに目覚めたね」とか思ってるんだろうか…なんだろう…すげぇな…。
さてこっからは限定版についてくるものの話。
この限定版は2100円ですが、ついてくるものを考えればだいぶお得でしょう!
まず小冊子。
書きおろしのショートストーリーが8P。そしてWEBで見ることができた「春香の部屋」の原作脚本(絵コンテみたいなもの)が収録。
やはり注目したいのは書きおろし漫画の方なわけですが…
正直ギャグのキレとかニヤニヤ指数とかすごくて超おもしろいww
実に平和なバカップルやってます。それでいて頭悪い!!
夢の中だからなんでもありだ!とばかりに無茶苦茶な展開だよw
琴浦さん「しちゃう!?いちゃいちゃしちゃう!?」
なにこのノリw 夢でも現実でもイチャイチャしてくれてればいいよ!
真鍋の夢に出てきた巨乳の琴浦さん。乳浦さんと呼ぼう(どうでもいい
おっぱいが増量して気分も上向きな謎テンション琴浦さんかわいいし、ワイプで見られる現実のひんぬーリアル琴浦さんも不貞腐れた様子もダブルかわいいのだ!
そしてドラマCD。こちらは2部構成。
1つめが「アニ浦さん」。アニメと原作の設定入り乱れてのメタ発言飛び交うコメディドラマ。
森谷さんの家が宗教家から道場にかわったこととか、琴浦さんの小さな胸の話とか、まぁいろいろ。話題が混沌としていてまとめづらいw
結構際どい話題もしていて(アニメBDの売上的な…)、だいぶ冒険している脚本。バカだなぁw
バーリトゥードと表現されていたけれど、まさにそんな感じ。
2つめ「それから…」。こちらはアニメ版のアフターエピソード。琴浦さんと真鍋くんのデートを描いたもの。エピソード的には原作との矛盾もないので、原作しか読んでなくても問題なさそう。なによりすげぇニヤニヤできるからイイよ(笑顔
デート中はエロス妄想は一切禁止だ!と言われ、がんばって欲望を抑えこむ真鍋。そのせいでデートなのにうまく楽しめず疲労感が募っていく。みかねた琴浦さんは勇気を出して自分から少しだけ迫ってみたりもしたり…うん…いいよぉ…(気持ち悪い笑顔
微妙なスレ違いがまた頬をゆるませてくれやがる!
「何も考えられず笑っていられる今」を噛み締める。素晴らしい幸福感。
琴浦さん演じる金元さんのわざとらしい&あざといボイスの連打にも笑うw
気を利かせる森谷さんのいい仕事っぷりも格好いいな!
そしてこのドラマCD!ケースからCDを取り出すとその下には……!!
はい。期待通りでした。ホントに期待通りで笑ってしまったよ!!
『琴浦さん』5巻 ・・・・・・・・・・★★★★
限定版の内容も本編も、イチャイチャ成分多めで素晴らしいな……!恥ずかしがり屋琴浦さんをしゃぶりつくす(ゴクリ