[漫画]俺と彼女は、友達にはなれっこなかった。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic』1巻
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic 1 (サンデーGXコミックス) (2013/05/17) 伊緒 直道 商品詳細を見る |
ありがと、さっき立ち上がってくれて。
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic」第1巻の感想―。
アニメも放送中ですね。だんだんとこの作品らしい黒さが浮き彫りになってきた感ありワクワクが止まらんな!
こちらはサンデーGXで伊緒直道が手がけている方のコミカライズ。
「俺ガイル」のコミカライズといえば、ビッグガンガンでやっている佳月玲茅先生によるコミック版もあります。どちらも原作小説1巻の途中まで、アニメで言う所の2話くらいまでかな。
同じ範囲をわざわざ2つのコミカライズで描くのは勿体ないかもなーとも思いつつ、しかしどちらもなかなかいい出来。作家の違いが現れますしね。
そういえばこの1巻、オビがついたままだと主人公の八幡が隠れてしまうんですね。いいデザインじゃん。それでいいよそれで。彼は隠れてこそだと思う。
さて内容について。
収録範囲はチラッと戸塚が出てきたまで。実質、材木座がいい笑顔で締めくくる。
そんなことはいいんだけど、このサンデーGX版コミカライズ、原作読者の視点から見ても演出・解釈・些細だけど追加要素などがあり、普通にお気に入り。
まず八幡がちゃんと格好いい(&情けない)という所。
自分の為、というていで由比ヶ浜の為に立ち上がる場面は迫力バッチリで力に呑まれました。
その直後との落差も面白くてよかったw
作品のテンションの上下がつよめに描かれている気がしますね。
浮き沈みがはげしいぶん、この作品らしい毒も見えやすくなっているような。
それはキャラクターの表情にも表れている。とても生き生きとしていますね。主人公は死んだような目をしていますがそれが彼の生きている証なのである。
ヒロインたちもきちんと可愛らしく描かれています。
雪ノ下も彼女らしい気難しさと捻くれを見せつつ、凛とした佇まい。
初期はまったく雪ノ下のデレが無い一方、甘い成分を担うのは由比ヶ浜。しょっぱなからフラグ立てちゃってるビッチっぽい恋愛脳ピュアガール。
雪ノ下とくらべて分かりやすい思考回路をしてくれている分、ストレートなラブコメ担当という感じですねえ。実際可愛いし。
たぶん雑誌掲載したときバレンタイン時期だったんだろうなーって扉絵。
原作小説だとまだ冬になっていないので、いまから2月14日イベントが待ち遠しくなるなw
八幡が負った小中でのトラウマイベントの数々も、心底痛々しく、けれど感傷的になりすぎない。カラッと笑えるものとしても流せる塩梅。
失恋したり嘲笑を受けたりする主人公をまっとうに描いたら暗いばかりになってしまいそうなものです。でもそこは八幡。卑屈すぎるほど卑屈な高二病マインドを手に入れたことにより、ギャグ風な自虐のようなタッチで語られる。この空気がまた好きだったりする。
そしてこれはいいと思ったのが、このシーン。
以下は原作の軽いネタバレを含んでしまうものなのですが…。
原作5巻6巻と、もしかしたらこれ以降に関わってくるかもしれない話題に「雪ノ下の嘘」というものがあります。
これの精算が行われる原作6巻の盛り上がりは凄まじいものなのですよ…。
八幡のことを“知っていた”のかどうか。
より正確には、『雪ノ下雪乃は、八幡が雪ノ下家がおこした事故に被害者であることを知っていたのか?』ということです。
これに関しては原作1巻に、手がかりとなる描写は見つけられていない(俺は)んですけれども、ここの補完をしてくれているのがこのコミカライズ。
高校入学式の日に交通事故で入院して、入学ぼっちが確定した八幡。
そのことを聴いた雪ノ下は、かすかな動揺を見せます。それが上のシーン。
八幡をひと目見たときから、「あ、あの時うちの車が轢いちゃった人だわ(ざっくり)」とは分かって無かった、ということかな。少なくとも自分はそう解釈する。会った瞬間には分かっていなかったし、奉仕部にやってくるまで八幡という少年を認識はしてなかったんだろう。
まぁ雪ノ下自身が起こした事故ではありませんし、たぶん運転手の都築さんや雪ノ下の両親がなんとかやったんでしょう。だから雪ノ下は八幡を見たことはなかった。もしくは顔を覚えるほどの接触は無かった、と。
八幡は5巻で雪ノ下雪乃へした失望の正体は、彼女が嘘をついたこと。
嘘とはなんだったのか?
これが恐らく、奉仕部として出会う前につながりがあったことを知っていて隠した、という内容のものです。隠しただけで嘘と解釈するのだから、八幡の潔癖は相当なものだと思うけれど(そういう少年だから、きっといろんな人が心を動かされる。)
雪ノ下がどんなことを思い、自分の立場(あの事故の加害者側であったこと)を明かさずにいたのか。この疑問への描写は原作にも非常に少なく、手がかりに欠けていたポイント。
今回のコミカライズで、雪ノ下雪乃の心理を読み解く小さなヒントが与えられたように思いますね。
これは原作ファンは目を通しておくとニヤリとできる箇所かと。
そんな「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている@comic」1巻の感想。
やータイトル長いですね。
作画を手がけた伊緒直道さんは、これが連載デビューとのことですが、読みやすいし絵もキュートかつ格好いい感触でなかなかお気に入り。
キャラクターの感情の迫力をきっちり描いてくれており、満足いっています。
八幡が読んでるラノベとか、小ネタも効いているw
ただ進行は遅いので、どこまでこのコミカライズが続いてくれるかだなぁ。
漫画でも原作6巻を読みたいし、もちろん7巻以降の漫画化も見てみたいんですが、果たして。
アニメと合わせて各種コミカライズシリーズも楽しみですね。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている@comic」1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
ちょっとした原作補完と、メリハリある演出で読ませてくれる漫画版。