2ntブログ

正直どうでもいい(移転しました)

マンガ感想を主に書くブログ。移転につき凍結中。

[本]爆乳おくさん、街をゆく!日常に溶け込む癒しとエロス。 『おくさん』1巻

「ムシブギョー」がなんてことなく最終回を迎えて俺死亡。しょ、昇格は…!?
おくさん 1巻 (ヤングキングコミックス)おくさん 1巻 (ヤングキングコミックス)
(2009/09/18)
大井 昌和

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   今度隣に引っ越してきた沖田といいます

発売された時から気になっていたのですが、買うのが遅れすぎましたね・・・。
月刊ヤングキング掲載、大井昌和さんの「おくさん」1巻です。
表紙からまったく自重しない巨乳を披露しておりますこのおくさんの
おっぱいおっぱいかつイチャラブ全開な日常を描いた作品です。
非常に楽しめた一作でしたので、今回はこの作品について。



あらすじ・・・を書こうと思ったのですが、特に説明することないw
主人公はB107の巨乳おくさん沖田さん。
新しく引っ越してきたアパートと、見るもの全てが新鮮な、新しい街。

20100927193247.jpg (クリック拡大)

毎度おくさんがなんだかおかしなことを仕出かすのを楽しむ1話完結スタイルです。
作中の時間経過はゆったりとしていますが
話のテンポはとても良いので、眠くなるようなお話でもありません。
天然なおくさんの様子がとても可愛いので、癒し要素もありますが
そのおくさんの色んな部分がぷるんぷるんなので、エロスな要素が色濃いかw
まぁなんにせよ、おくさんの魅力が素晴らしい作品です。
そして彼女にヤラれてしまえば、その瞬間にこの作品の勝ち、というw
はい、当然のごとくもう負けました。大敗北もいいとこですよ、陥落です。


おくさんが越してきた隣には、元気いっぱいの3姉妹が住んでいました。
まだ幼い彼女たちと仲良くなったおくさんは、次第に思い始めます。
「やっぱり子供欲しいな……」
これはイケませんね、全国の旦那たちが涙を流しながら股間を熱くしてしまいます。
今なお新婚のようなラブラブっぷりのこの夫婦ですが実はもう結婚6年目です。
というわけでそろそろお子さんもいてもいいかも、みたいな時期かもしれないですね。

20100927193244.jpg(墓穴を掘るおくさん)

「恭子は子供が欲しいだけで、Hな事したいとかじゃなくて・・・

どうかと思う発言ですがその願望は強く持っているようです。
さて、そんなおくさんが本屋で子作り特集がされている雑誌を発見、購入します。
家に帰りドキドキしながらページをめくっていく――・・・
そしてそこには、どんな男をもソノ気にさせるこの世の真理が記されていました。
さっそく試しちゃうおくさん。

20100927193223.jpg

見事に着こなしました、裸エプロン!
「真に受けちゃダメよね」とか言いながらバッチリ真に受けてるじゃないですか、もう!
夫の気を引こうとするおくさんがまるで恋する少女のようでたまりません・・・!



こんな調子で、ずーっとおくさんは旦那さんラブ。
その揺るぎなさも、日常漫画らしい安定感を感じさせてくれますね。
おくさんは本当に少女のような輝きを放っているのですよ。
人妻の生活感をしっかりと描写していますし、おくさん実はもう32歳なのですが
ダイレクトな「好き」の感情表現や、旦那へのピュアな視線は、もうキラッキラ。
彼氏彼女よりもいわゆる世間的な意味でも繋がってるのが夫婦なので
設定の土台的な部分がすごくしっかりとしている印象。
「夫婦」というワードのこの頼もしさ!結婚6年目というのも絶妙w
これっぽっちも不穏な心配をする必要なく、素直にイチャラブを堪能できます。

それと、「Hなことをしたいワケじゃない」とおくさん言ってますけども
裸エプロン来たり、新聞読んでる旦那さんの眼の前で服をちょっとずつ脱いで誘ったり
実はかなりお好きなようですね・・・!
この単行本のラストも、思わず逆にイラッときそうな夫婦のやりとりがw

しかし、こんな可愛い奥さんを愛を一身に受ける羨ましすぎる旦那様の素顔は
一切見せない作りとなっており、そこはかなり徹底しています。
夫の名前は明かされず、『旦那』から「だーさん」と彼女は読んでいますしね。
まぁ彼女のパートナーである存在まで描いてしまうと
おくさんのある種の神秘性がやや薄れそうだなとは思いますし
なにより読者が最も羨み、自分を重ねたいと感じる存在でしょうから
そこは自由にご想像ください、という読者にやさしい設計でもあるとw



あとは女体描写も、気合いが入ってて盛り上がりましたね
107のおっぱいを揺らしながら日々家事をこなすおくさん。
何気ない動作ひとつひとつにそのおっぱいが揺れに揺れる!
おっぱいをまくらがわりにしたり、エレベーターにおっぱいをはさんだり・・・。
垂直に垂れるおっぱい、ちょっと潰れるおっぱい、手を突っ込まれるおっぱい!
豊満なそれを有効活用した、数々のおっぱいシチュエーションを楽しめます!(何それ
加えておくさん、最近体つきがぷよぷよしてきたことが悩みの種でもありまして
大きめなお尻や、ちょっとだけふくよかなお腹も実にグッド。
いつもノロケ全開のおくさんの笑顔と合わせて、なんとも素敵な気分に浸れるのです。

20100927215608.jpg

跳ねるおっぱいに目がいきがちですが、
この収まりきってないお尻と、シャツが垂れて垣間見えた2段腹にロマンがある!


と、そんな感じの作品。
日常系漫画として、かなり気に入った作品です。
作画的にも、背景や小道具までしっかり書き込まれていて好印象。
上にも書いたように女体描写も実に素敵な作品です。
各キャラクターの表情も、デフォルメも上手い。
そしてなにより、おくさんがかわいい!これが一番大きいかもw
読むと笑顔になれる作品だと思います。
夫婦のイチャラブものとか大好物だわー!という人にはオススメしたい一作!
2巻はまだかなー。

『おくさん』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
ぷるんぷるんなおくさんの日常を描いたお話。ほっこりもっこりしながら読みましょう。
どうでもいいですが、月刊ヤングキング全然本屋で見つからない・・・。

[本]リングに上がるには、まだ遅くないだろ。 『馬鹿者のすべて』1巻

「まもって守護月天!」まさかの新作に震えた。速攻でP買ってDLしました。

馬鹿者のすべて 1 (ヤングジャンプコミックス)馬鹿者のすべて 1 (ヤングジャンプコミックス)
(2010/09/17)
村岡 ユウ

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   自分が笑う人生を送りたい

ヤングジャンプにて連載中、村岡ユウ先生の「馬鹿者のすべて」。
今回は先日発売された単行本1巻について。
ちょっとこのブログらしからぬ作品のチョイスですが、これがなかなかに面白い。
表紙もこれカッコいいんですよね、誰かに殴られてると思いきや・・・!という。
そしてビックリしました。
少なくともこの1巻では、1度たりとも、ニコリとも笑えませんでした、自分。
なんつーハードな話なのかと。
もうちょっと手加減してくれと思いましたよ。
見たくないですもん、こんな現実。全然上手くいかないリアルなんて。



主人公・宇治田は28歳のコンビニ店長。
学生時代に虐められた経験を持つも、特にそれを不思議がることはなく
平平凡凡とした人生を、「それしかない」と思い込んで、レジを打つ毎日。
そんな彼を突き動かす転機は、突然にやってくる。
夜勤を任せたアルバイト店員が、強盗に刺殺された。
自分の判断で夜勤を頼んだため、宇治田が感じる責任は重かった。
彼の葬式に参列し、彼の親に土下座で謝るも、相手は漫画の原稿を彼に渡した。
死んだアルバイト店員は、貧乏な実家への仕送りのためにバイトを頑張りながら
漫画の専門学校に通う学生だった。
彼から尊敬を受けていた宇治田は、その原稿を受け取り、読んでみる。
それは、ボクシングの漫画。彼が一生懸命に書きあげた作品だった。
主人公の決め台詞は「たかがジャブ、されどジャブ」―――
これは宇治田の口癖が元となった台詞で、実際にジャブで試合に勝利するその漫画の主人公は、努力すれば夢はかなう、絶対に報われる、小さな積み重ねが勝利を生む・・・そんなことを、高らかに宣言しているかのようだった。

20100922002131.jpg

苦労人だったバイトの男の子が、必死にこの世に残したその物語は
しかし全然、面白くなかった。
絵もド下手で、シナリオもありふれてて・・・本当に、しょーもない。
そして夢叶わぬまま、彼はあっさりと死んだ。殺された。
努力と苦労を踏みにじられ、こんなつまらないモノしか残せなかった。
彼にはきっと才能が無かった、自分のように。それは漫画を見て分かった。
けれどこの行き場のない激情が、止め処ない怒りが、宇治田を駆り立てる・・・!

でもまぁ、、才能も経験もないド素人が急に一念発起したところで
簡単に全てがひっくりかえるほど、現実は優しくない。
あっさりと宇治田の浅い考えは打ち砕かれてしまう・・・。



この作品のテーマは、タイトルにもある通り、『馬鹿』。
諦めの悪い、向こう見ずで、身の程知らずな馬鹿であることだ。

高校時代に自分を虐めてきた男・南と再会した宇治田。
彼はすでにボクシングで才能を開花させ、TV中継で世界戦に臨む腕前。
女子アナとの熱愛が報道され、街の人々との関係も良好、子供たちにも大人気!
社会的地位、経済力、女、ボクシングの腕前・・・・・・完敗だ。
そんな男に、高校時代の怨みを晴らすべく立ち向かう主人公・・・。
いやぁ、心情的には分かるんだ。応援したくなるのは当然。
でもなぁ、涙が出てくるくらいみじめなんだ。
本人にとってはそれしか目指すべき場所が無いんですよ、南をこの拳をブン殴る瞬間だけを夢みて努力をするんですよ、過去に縛られ続けているから。
でも相手の南からすれば、世界を目指す彼からすれば、宇治田なんてどうでもいい。
今更過去を引き合いに出されて勝負しろなんて言われても、なんだよ今更という感じ。
本気出せば1発KOなんて余裕。宇治田から『貸りてた』金は利子付きで返してやった。
けれど宇治田はまだ諦めてない。
だって目指してるのは、謝罪を受けることでも金を取り返すことでもなく
南をこの手でブン殴ることだから。
それにしたって諦めが悪いな、この主人公!
これまでの人生の中で、黙りこくって耐えてきたことの反動か。

でもね、もう全然ダメ。
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必死に全身動かして、この拳がアイツに届くように走るけれど、追いつけない。
努力はしているよ、でもダメなんだ。
これが『才能の差』なんだよ。
凡人がどんなに努力しても、一握りの天才たちには、敵うわけがないんだ。
分かってるつもりだよ、そんなこと。

けど、素直に負けを認めるなんて、出来るわけがないだろ。

ってなわけで、28歳コンビニ店員宇治田くん、まだまだ諦めませんよ!
だって、馬鹿だからさ!
全然カッコよくない主人公です。いいトコなんてほとんどありません。
けれど、勝負を続ける。続けるしかない。
そうでないと、自分は一生後悔することになる。
みじめなんだけれど、それは本人にも分かっていて
だからこそボッコボコになってもリングからは下りない宇治田は、なんだかカッコいい。
まぁ、勝てる見込みなんて、これっぽっちも無さそうなのが現状なんですが・・・。
食らいついて食らいついて、まだ構えは解きません。



今後の展開次第でかなり評価が揺らぐ作品だと思います。
この一巻はかなり凹む内容で、読むのがしんどい人もいるかなと。
負けてばかりの主人公がどうなっていくのか。『馬鹿者』で在り続けられるのか。
かなり続きが気になるシリーズであることは間違いありません。

20100922002137.jpg

立ち上がれ、何も言えなかった男たち。
リングに上がるにはまだ遅くない。
他人に笑われてもいいだろ。
自分が笑える人生送るために、馬鹿になれ。

『馬鹿者のすべて』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
不公平に立ち向かえ、不器用男子!と言う熱い漫画。馬鹿になるのもいいじゃないですか。



小説ブログもこっそり更新しました。「空ろの箱と零のマリア」1巻→

[本]平凡?特別?大切な言葉と、大切な存在。 『flat』1巻

今回はいつもよりさらにダラダラ書いた気がします。
flat (1) (BLADE COMICS)flat (1) (BLADE COMICS)
(2008/09/10)
青桐 ナツ

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   そしたら一緒におとまりしようか

4巻も発売したところで俺はやっと1巻を手にしたのであった。「flat」1巻感想!
自分もタイトルだけは知っていたのですが、この度ようやく読んでみることに。
アヴァルスなんてマイナー誌連載で、4巻までに120万部突破とヒット中ですが
話題になるだけの力はあるなぁと感じる作品でした。

あらすじ。
超マイペースな男子高校生・平介は、いつも気の赴くままに生きていた。
ある日楽しみにしていた調理実習が中止になり、ふてくされた彼が家に戻ると
従弟の秋くんとご対面。なりゆきで秋くんのお世話係になることに。
その秋くん、とにかく『耐える』子で、世話をするにもする世話がない・・・(?
マイペース高校生と忍耐幼児の、不思議な組み合わせで送る物語です。



まーなにより秋君ですよ。
「こりゃかわいいわ」と素直に思いますw
幼児という存在は、なんだか人間の本能的な部分をくすぐってくれますね。

20100920223834.jpg

手を繋ぎたいけど繋げない秋くんが、もう・・・っ!
このシーンからも分かるかも知れませんが、秋くんは思慮深い子です。
相手の迷惑にならないかを常に考えて、自分の要求を押し込めるような。
そういう意味では、秋君はあまり子供らしい子供ではないのかもしれません。
(どういうのが「子供」なのかは、まぁ人それぞれ定義が違うかもしれませんが)
この1巻では、平介と秋君の出会いを描きつつ
最初に平介が立ち向かう問題として、そんな秋君をどう変えていくかが置かれています。
変える、というとちょっと意味合いが強いかもしれません・・・
「そんな心配しなくてもいいんだよ」と言葉だけじゃなく行動で示してあげること、かな。

20100920223831.jpg

「一緒に遊んで」の一言が言えず、孤独な背中に哀愁漂う秋君・・・。
彼は出来る子供なんだけど、それと同じくして、色々出来ないことが多い子でもある。
もじもじして、何か言いかけた口を閉じて、目を伏せて、我慢する。
「自分を伝える」ということが、極端に苦手。
周りの大人も、この子遠慮してるんだなって分かって色々やってみたんだろうけれど
大人がそういう行動を起こしてしまった時点で、秋君は
「自分が迷惑をかけてしまった」と思い悩んでしまうんだろう。
さぁ、こんな子に、どうすれば『我がまま』を言わせられるのか。
答えには、わりとすぐにたどり着けます。

そしてついに。
20100920223822.jpg

「おとまりしたい」ですって!!もう!!あーもう!!(鼻息荒く
もったいぶってもったいぶって、お願いがそれって・・・!!かわいよおおおおおぼぼ

(冷静になって)というわけで、ついに言えた秋君。
そして平介は、それを笑顔で受け止める。あっさり「いいよ」と言う。
そう、この『あっさり』がいいんだ。
余裕たっぷりに、全然苦にもなってないんだって、見せつけること。
平介だからこそのスタンスで、秋君は『大人』を理解します。

そしてこの事により、平介への秋君の想いはどんどん膨張!
平介を見上げる秋君の瞳は、常にキラキラしてるんですよね・・・!
それは平介の事を、尊敬できる大人として認識しているから。
平介にそんな意識は全く無いし、それどころか世間的にはいい加減な奴だと思われてるほど。
責任感もない、フラフラしてるだけの男子高校生です。
けれど、秋くんから見れば、平介は立派な「大人」。実の父よりも信頼度が高いw
子供の持つ世界感って、多分きっと、かなり小さい。
小さな背と体では、見あげられる高さにも限度があるように。
そんな秋君の中に、スコーンと大人としてハマってしまったのが平介なんだろうな。
シンプルなようでいて実は意外とよく分からないなぁ、「大人」。
少なくとも、秋君は自分を受け止めてくれた平介に、憧れを抱いている。
子供らしくない子供の秋。
大人らしくない大人の平介。
「子供」が見る「大人」と、「大人」が見る「子供」。
優しい視点から、人間を二分するそれについても触れた作品かもしれません。

・・・あんまり上手くまとまって無いw



それとこの作品は、平介の成長物語という側面もあります。
第一話からすでにそういう見せ方をしていますし、特にラブレターの件なんかは特に。
相変わらずゆる~く生きてていい加減な平介ですが
大事な部分はわりと察して行動できるようなってきている・・・かな。
彼が今度どう変わっていくか、秋君と接するようになるのかも
この作品の大きな注目点かなと思います。
告白への対応からするに、ちゃんと筋の通った人物だと思うので。
・・・しっかし、確かになんとなくモテるのが分かる気がする主人公w



なんだか雑な更新になってしまった気がします。
この作品、読後の感覚を言葉にするのが非常に難しい。
少なくとも、自分の技量では上手くいかなったように思います・・・ぐ、ぎ。
しかし、言葉に出来ない感情を得られるというのは、決して嫌いではないですw
結論言えば、大好きな作品です。
もちろん面白いんですけども、心にしみこむ温もりが心地いい。
とても優しい温度が感じられる作品になっていると思います。
なにより、秋君の笑顔が素敵。
無邪気な、心からの「楽しい」「嬉しい」の感情が、眩しい。
いい顔するようになったなぁ、秋君。
これからもそんな彼の姿を見ていきたいなぁと思うには十分。
もっと早くに読んでおくべきだった!

平凡かもしれない。特別かもしれない。
でもまぁ、とりあえずは2人で居られればいいんじゃない。
きっとそれが一番大切なこと。

『flat』1巻 ・・・・・・・・★★★★
今までスルーしててすいませんでした。かなりツボです。ハートフルとはこういうこと。

[本]家族から家族へ。ほろり日常系ひよこコメディー。 『ぴよぴよ 水上悟志短編集Vol.2』

鬼畜課題がどっさり。
ぴよぴよ―水上悟志短編集Vol.2 (ヤングキングコミックス)ぴよぴよ―水上悟志短編集Vol.2 (ヤングキングコミックス)
(2007/01/26)
水上 悟志

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   そうか・・・・・・今巣立ったのか・・・

アワーズで「惑星のさみだれ」を完結させたばかりの水上悟志先生。
その内容等は最終巻発売時に触れますが、まとめるなら最高の物語だったと。
そんな水上先生が以前発売した短編集「ぴよぴよ」が素晴らしかったので、今日はその感想。
さみだれにハマった時点で過去作にさかのぼっていきたかったんですが
地元の本屋では全然見つからなくてですね・・・買うのに苦労しました。(通販あるだろ

ぴよぴよ

全3話の表題作。
水上さんらしい気の抜けるコメディとちょっとほろりと来る切なさが楽しめる1作。

女の子が神社で買ったひよこ。
お父さんの許可も貰い、おうちで育てることになりました。しかし3年後には・・・

20100917211654.jpg

ちょっと大きくなりすぎました。
こんな調子で、のんびりした世界観に妙におかしなファンタジー要素を詰め込んだ
独特のかわいらしくシュールな雰囲気がとてもツボw
まず異常なサイズのひよこ・源八郎がビジュアル的にすごいですしね。
タンコブから子供から誕生したり、結局正体は分からないままだったり、唐突に巨大化したり。
その上源八郎が「ぴぴ」しか言わないのにそれが理解されてるとして物語は進みますので、完全に読者はおいてけぼりを食らいます。けどそれも含めて「面白い」と感じられるからいいなぁwギャグですからねw

咥えて結構メッセージ性ある作品でもあります。
さみだれにもあるテーマですが、「人間」というのは、引き継いで引き継がれて続いていく。
それは家族の中でも言えることです。
娘すずめは1話では小学生、2話では高校生、3話では結婚前夜の女性として描かれます。
子はいつか巣立つもの。
「家族」はいつまでも同じ形を保ちません。作中でも、別れが描かれます。
この作品では2人(1人+1匹?)の親が登場しますが、第3話終盤でのやりとりは素晴らしい。
父はいつも無表情で、ボケるときも真面目な時もあわてた時も、そのスタンスを崩しません。
けれど娘の門出のこの日。
「幸せになるのだよ」と娘を見送ったにだけ、彼は満面の笑顔になるのです・・・!
まぁ自分はまだ具体的な感覚は到底分かりませんけれど
「家族」という特別な繋がりは、なんでもないように見えてドラマ性があるというか
非常に面白いものだなぁと思いますね。色んな感情が混じり合います。
家族に限らずとも、1つの「繋がり」で結ばれた集まりは
解散してしまってからも、「帰ることができる場所」として残り続けるのかな。

まぁうだうだ言わずとも、このなんとも言えない寂しさがたまらない・・・。
これかー・・・これが娘を嫁に出す父の気持ちかー・・・!
かと思いきや最終頁のまさかのオチでそのしんみりしたムードを吹き飛ばすオチがw
こういう落とし所の上手さも素敵だなぁwコメディーとして最後まで行った!
ちょっと泣けて、だいぶ切なくて、かなり笑える中編作品です。

20100917211652.jpg(クリック拡大)

このシーンまじほろり。

魔界斬妖剣・ドキドキ地獄変

うっわー恥ずかしいいい!!
でもまぁ自分も、こういう「好きだ」って大声で叫んじゃうような漫画が大好きですww
かなりの出オチですが、展開も早いですが、ボーイミーツガールものとして
なかなか面白い風に仕上がっていると思います。
ラストのページではニヤニヤせざるを得ない。

それと妹ちゃんかわいいから次回作ヒロイン化希望。さみだれでもちょっと出たけど。
20100917230631.jpg
兄を手玉にとるこの態度、挑発的な目つき。でもスカートはしっかりガード。
これはちょっとー・・・・・・イイですね。

がんばってちゃんとやめよーぜ

レベルが高い短編集ですが、個人的には「ぴよぴよ」と並んでこの短編が好き。
自分の中にある「現実的な怠惰」と「熱血漢的な情熱」をそれぞれキャラクターに見立てて脳内で争わせている少年のお話。いつもいつも、彼の中では前者の「やめよーぜ」君が勝ちます。
眼の前には、自分が何かできるかもしれないチャンスがある。
けれどふとそれによるデメリットや他人任せな姿勢が邪魔をする。
理想を叫ぶ「がんばってちゃん」が、毎度のように「やめよーぜ」に負ける姿は
現実ってそうだよなぁという諦めの思いを読者にも運んできます。

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涙をあふれさせる「がんばってちゃん」は、主人公の素直な感情そのもの。
それが出来ればカッコいいんだろうな、気持いいんだろうな。
けれどためらいなく踏み出せるほど、自分はもう子供ではない。
理想ばかりじゃどうにもならないことを、知ってしまっているから。
そんな中からの“逆転劇”が最高にカッコよくて、最高に気持ちいいのですよ!

主人公は、きっとからも葛藤を繰り返すだろう。
けれど、まぁたまには踏み込んでくれるんじゃないかなと思う。
決して落とさないように、無くさないように、「がんばってちゃん」を背負っている彼だから。
最後のコマのシルエット、染みるなぁ。

えらぶみち

ちょっと抽象的だなぁと。と思ったら夢の話でした。
子供の頃夢描いた未来の自分に、今の自分はなれているだろうか。
そんな葛藤を描く短編です。

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人生の話と、昔死んだ仲良しだった女の子の繋がりがやや弱いかな、と思いましたが
彼女は主人公が忘れていた「昔の自分」を再び蘇らせるための手段だったのかなと。
しかしラストは感動しました。ループものとしても面白かったです!
彼女は主人公を助けるためにこの夢を作りだしたけれど
思ったより話が弾んで、人生の話に行ってしまった感じか。
彼女にとってはちょっと残酷な結末かもしれないけれど、
そういうのを受け止めるのも、大人になるということなのかも。
子供のままの少女を思い泣いた主人公ですが
彼の言葉で、少女はちょっとだけ、大人になれたのかもしれないですね。

サンダーガールと百鬼町

百鬼町シリーズ。
残念ながら「散人左道」が未読なので、色々詳しくは言えない・・・。
サンダーガールさんと妖怪たちが、道の巨大岩を動かそうとするお話です。
最初はみんな白けていますが、主人公の行動が妖怪たちを動かす流れは
王道ではありますが、やはり盛り上がるというものw

しかし水上先生はやっぱりこういうデザインが好きなんだなぁと。
妖怪かわいい!

風穴頭と百鬼町

百鬼町シリーズ。
この短編集では数少ない、アクションをメイン?としたお話です。
自分はアクション中の衣類の動きを見るのが地味に好きなのですが
この話は布が武器ということで、個人的に大好きな結構好きなバトル方法w
「なかなか味のある顔してんな」も、綺麗なオチで好きです。

このシリーズはやはり本編を読んでこそな気がしますので
はやく「散人左道」も読んでみたいところです。



そんな感じの短編集。かなり面白かったです。
「げこげこ」から絵もかなりスッキリと上手くなっていますし、読みやすい。
「惑星のさみだれ」や「戦国妖狐」で水上先生を好きになった人も
気に入る短編がいくつもあるはずなので、未読の人は短編もオススメしたいです。
何度も読み返して楽しめる1冊になっているのでは。

『ぴよぴよ 水上悟志短編集Vol.2』 ・・・・・・・・・★★★★
レベルの高い短編集。全作結構メッセージ性が強いので、鼻につく人はいるかも?
短編集Vol.1『げこげこ』もオススメです。

[本]ゆっくり混ざる寂しさと温もり。年上幼馴染との同居物語。 『たいようのいえ』1巻

いきなり忙しくなってテンパってます。
たいようのいえ(1) (デザートコミックス)たいようのいえ(1) (デザートコミックス)
(2010/09/13)
タアモ

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   じゃあ一緒に帰るか?

幼馴染→Good!
年の差→Cool!
同居→Perfect!!


という、実に美味しい要素を詰め込んだ、タアモさんの新作「たいようのいえ」。
1巻が発売されたので早速買ってきたのですが、面白いですねぇこれ!
タアモさんといえば小学館で結構な数の単行本を出していますね。
本作で長編シリーズ&講談社デビューということですが
これまでのタアモさんの作品に馴染みがある方はスムーズに入り込めると思います。
ちょっと切ない、けれど温かいホームドラマとなっています。

簡単にあらすじなどを。
唐突に年の差幼馴染の2人が同居することに。
その事に少なからずドキドキする真魚(まお)と、わりと平気そうな社会人・基(ひろ)。
昔は一緒に遊んで、たくさんの時間を過ごした家ですが
今はもう、昔と一緒にはしゃぐことはできないようで・・・。
真魚は17歳で、基は社会人で、2人きりで―――
お互いちょっと違った気持ちを抱えながら、2人の日常は始まります。
また、ラブコメちっくな展開に終始するでもなく、このお話は
メインの2人の心に巣食う「寂しさ」で、一味違った物語になっているかなと。



はてさて真魚ちゃんがとても可愛いです。(いきなり
まぎょちゃんと呼ばれるのが定番化している本作のヒロイン。
寂しがり屋なのに意地っ張り。すぐ泣いちゃうし、素直になれないし、口は悪い。
作者のタアモさんも書いていますが、まるっきり中2w
ちょっと困ったこの性格には、彼女の生い立ちが関係してきます。
彼女はこれまでの家庭環境により、「暖かな家庭」に恵まれなかった。
幼いころから両親の仲が悪く、離婚した後に彼女は父親に付いていきますが
父の再婚相手とはギクシャクし、父は自分のことをどう思っているのか分からない。
子供の頃からずっとずっと、真魚は寂しさをこらえて生きてきた。
だから、今。
たった2人で、気心知れた幼馴染で、突然「暖かな家庭」を手にしてしまっても
彼女はどうすればいいのか、分かりません。
なのでとりあえず意地を張っておきます。

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「寂しかったら話し相手くらいはしたげる」

真正面から言えないんですよ、「寂しい」なんて。
分からないんですよ、どうすれば満たされるのか。
だからこの言葉にメッセージを隠しています。「一緒にいて」と。
くぅおおおぉ・・・・・・この保護欲を掻きたてられる感じは・・・ッッ
優しくされても悪態ついちゃうし、感謝の言葉なんて言えっこない。
不器用な言葉と、ちょっとだけ期待を滲ませた行動で、気持ちを伝えてくる。
素直になれない女の子というのは、素敵なものですね・・・!

そして初めて家族らしい家族になれたことで、彼女には家庭のルールが課せられます。
その中に「門限」という、子供によく課せられる約束事項が。
しかしなぜかこれに大喜びの真魚ちゃんです。

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はしゃぎすぎてちょっと空気読めてない娘になっちゃってます。
しかしこんなに喜ぶのも、考えてみれば当然でした。
子供の頃、彼女の帰りを待っててくれる人は、いませんでした。
門限というのは、つまり、誰かが自分を待っていてくれること。
そんな当然のことすら、彼女には経験の無いことだったのです。
彼女の孤独の傷の深さを象徴するエピソードですが
同時に今の彼女が手にしているぬくもりの尊さが、印象的に伝わるお話でした。



もちろん真魚だけでなく基の中にも、寂しさはあります。
両親を失い、兄弟とは離れ離れ。
たった1人で、たくさんの思い出が詰まった大切な家を守っています。
彼もまた少し面白い立ち位置にいますね。
面白いのが真魚が彼のためにと家事を手伝ったのに、基は複雑な表情を見せる点。
基は真魚のためにやれることは全部してあげます。
忙しくてもご飯を作るために家に帰るし、彼女の内面のサポートもか。
それを感じて真魚が頑張ったのに、それがちょっと不満という。
大切な人だからこそ、なにかしてあげたい、役にたちたい。
そんな思いやりを互いにするものだから、逆に不満が溜まっていくw
基は未だに真魚を子供扱いというか、自分に頼り切って欲しいと思っているみたい。
なにもしなくていい、この家にいてくれるだけでいい、と。
しかし否が応にも真魚を「女の子」として意識せざるを得ない展開が1巻ラストに!
これを受けて基がどう変わるのか・・・!2巻が楽しみです!



「おかえり」と「ただいま」。
そんなありふれたはずの会話が、キラキラ輝いて見える瞬間。
全然特別なんかじゃない・・・。けれどそれが特別になったお話です。
タイトルの「たいよう」は、普遍的だけど1つしかない尊いもの、という意味もあるかな。
「家族」の温かさは、その有無も内容も価値も、人によって違うでしょう。
その人にとっても「たいよう」は、1つだけしかない、とかそんな感じで・・・。
各エピソードどれも印象的でしたし、終盤の展開は非常に続きが気になるので
12月発売予定の2巻が待ち遠しいですね。上手く行ってもいいけど、展開早すぎ?w
そんな感じで、期待の新シリーズです!

20100914223041.jpg

『たいようのいえ』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
ありがちな表現ですが、心温まるという表現がぴったり。爽やかな読み心地です。

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引っ越し先

ブログを引っ越しました。 当ブログは更新を停止し、新ブログにて更新をしています。 https://sazanami233.hatenablog.com/

楽園に花束を

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漣

Author:漣
「さざなみ」と読みます。
漫画と邦ロックとゲーム。
好きなのは思春期とかラブコメとか終末。

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基本毎日います。記事にしない漫画感想とかもたまにつぶやいてますので、宜しければどうぞ。

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