[本]甘く切ない、だけじゃない。 『ひらり、』Vol.4
ピュア百合アンソロジー ひらり、 Vol.4 (2011/04/23) 袴田 めら、仙石 寛子 他 商品詳細を見る |
私たちふたり 誰にも内緒だけど
普段とちょっと変わりまして、アンソロ本で更新をしてみようかなと。
新書館から発売されている百合オンリーアンソロジー「ひらり、」Vol4です。
1号目から買い続けていますが、新しいものが発売されるたびにどんどん面白さが増していく勢いのあるアンソロジーシリーズ。今回は4号目になりましたが、今回も凄かった!どんな作品が載ってるかは公式HPへどうぞ。
Vol.3までとは表紙のデザインがリニューアルされていますが、内容は変わらず。
多数の作品が掲載されていますが、なんせ多いので絞ります。特に気に入った作品について感想をつらつらとー。
待ってましたの続編!Vol.2で掲載されたものの続きですね。自転車と加瀬さん
この作品は本当に可愛らしくてたまりません。「未満れんあい」が有名な高嶋ひろみ先生ですが、こちらも是非とも長く続いて単行本化して欲しいですね。連載枠みたいに。
今回はより恋愛感情が高まったからこそのちょっとしたトラブルが2人に訪れます。でも結局ベタベタしてるだけなので無問題。山田さんの叫びにベッドの上でのたうちまわりました・・・しょうがないこれはしょうがないですよ!ニヤニヤするに決まってるじゃないですかあー!!
互いの「女の子」な部分にドキドキしてる2人がいいですね。日に焼けた加瀬さんは、山田さんの白く柔らかな肌に。山田さんは加瀬さんの豊満なおっぱいに!
相手が女の子だからこそ惹かれてしまうんですねえ。代わりじゃなく!
雨隠ギド先生の作品。雨隠ギド先生はvol.1以来久々の登場となりました。永遠に少女
そして個人的には今回No1に胸震えた物語がこれです。
高潔で美しく破滅的な、2人だけの世界の幸福。ストーリーもさることながら要所要所に非常に印象的なカットが用いられており、視覚的にも印象に残りました。2人のウェディングドレス姿とか。あと扉絵も凄く好きですねぇ。
(クリック拡大)
ずっと姿の変わらない幽霊の少女・みずきと、彼女を唯一見ることができ、また触れることもできる少女・みずほ。互いに寄り添いながら時を歩み、みずほは幼い子供から女性へと成長していきますが・・・みずきは、変わらないまま。
友達以上にお互いを想いあっていた2人ですが、時の流れがもたらす変化に少しずつ戸惑いが生じてしまい・・・というお話ですが、結末も素晴らしかった。素敵な未来じゃないですか・・・!
雨隠ギド先生の絵が好きなのでそれだけで楽しめてしまいましたが、「永遠」の「女の子」というテーマから、少女へのロマンも内包されているように感じたり。本当にいろいろ描ける作家さんですね。
カザマアヤミ先生は「ひらり、」初登場。あなたと彩る世界の色
大切に思うからこそ、ずっとそばに居たいからこそ、親友の奈子に「鬱陶しい」と思われたくない主人公・理歩。彼氏のいる奈子を思いやり、自分よりも彼氏を優先してよと繰り返す。
とにかく遠慮してしまって仕方ない、臆病者な女の子が理歩です。
でもそんな風に自分から逃げていってしまうような彼女に、奈子はストレスを感じて・・・それがいよいよ爆発したとき、2人の関係は以前とはちょっと違っていました。
長い間いっしょにいた2人。けれど初めて手をつないで、2人して顔赤らめて。
なんかもーぅこの初々しさはなんなんでしょうね!世界って綺麗ですね。うわあ。
しかし、なんだか妙にリアリティを感じる2人だなぁと思います。感情が生々しいというか、この2人の関係って凄く現実にありそうな感じがして、けれどこんなに上手くいかないケースも多いんじゃないかなぁなんて思ってしまいます。
でもそれにしたって「彼氏よりもだよ」なんて言っちゃって、奈子の彼氏さん超涙目ですね。でもまぁ、それとこれは別腹ってことで。お肉も好きだけど甘いものはもっと好き、そんな感じでいいんじゃないでしょうか。女の子はずる賢くていい。・・・なんか凄く主題から離れてる気がします。
安定してほっこりする百合漫画を届けてくれるささだあすか先生。今回も癒されますねぇ。おとなりのせんぱい
タイトルどおりに、お茶目で天然な先輩さんがとてもかわいく魅力的な一作なのですが、ポーカーフェイスな主人公が先輩と一緒にいることで少しずつ崩されていく様子にもニヤニヤしてしまいます。
地味といえば地味ではありますが、シンプルに整えられた作画は読みやすさ抜群。
読みきり集めて単行本化してくれないですかねー。
第一回『ひらり、』GLコミック大賞グランプリ受賞作品。きれいなあのこ
吉田丸悠先生はこれで「ひらり、」デビューとなる新人さん。けど検索してみたら、2008年にIKKIの新人賞イキマンに「そして世界は平和になる」という作品で入賞していた作家さんでした。
さて内容は、アイドルとして活躍する主人公・木原さんと、クラスの中でもちょっと浮いてる天然娘・谷本さんの交流を描くもの。丁寧に感情や人物の表情を描いていて好印象。
いい空気を描いてくれる作家さんだなと思います。
しかしこの作品はなんと言っても終盤の展開がすさまじいのですよ。丹念にくみ上げてきた心地いい雰囲気を残酷に引き裂くまさかのの展開に、読んでいてしばし呆然。こんな終わり方なんて・・・と思ったら、ラストはしっかり〆。いやぁビックリ。無茶苦茶引き込まれました。
みんなが思ってるより、谷本さんはいろいろ思っていたのですね。彼女は本当に素直で、だからこその悲劇が終盤に待ち受けていたのです。主人公にとっても、彼女にとっても。
百合漫画というより友情物語かなとは思いつつ、とにかくドラマで魅せる改心の作品なのではないでしょうか。ラストシーンをもうちょっとじっくり見てみたかった、というのは巻末の総評にあったとおり感じましたが、それを踏まえても高い完成度を誇る短編になっていたと思います。
今回のVol4はちょっと毒が足りてないようにも感じていたので、最後の最後にズキッとくるお話をくれたという意味でも好き。この人の作品もっと読んで見たいですねぇ。
甘く切ない、だけじゃない、女の子たちの世界。
んではまとめ。
今回も楽しませてもらいました。おなじみの作家さんから実績ある作家さんの新規参入、今回でひらり、デビューの作家さんもそれぞれが質の高い物語を届けてくれて大満足。
単行本化して欲しい作品が多いアンソロシリーズですので、単行本化できる程度には同一の作家さんの作品を連続して掲載して下さると嬉しいです。というか長く続いて欲しいな「ひらり、」。
そういえば今回4コマ漫画も増えてきていて誌面がちょっと目新しい感じでしたね。固まって配置されていたので読んでいてバランスが気になりましたが、面白い傾向。
芳文社が発売している「つぼみ」も同じ百合アンソロですが、若干方向性が違うというのは感じてます。そういえばつぼみと言えば、小川麻衣子先生の新連載?が実に美味でしたが今あんまり関係ないので省略。でも本当に続きが楽しみですよ。
今回で初めてレビューしたのですが、本当に良質なアンソロとなっていますので、気になった人は遡って集めてみるのもオススメしたいです。雑誌ではないので大きな書店などでは発売されて結構経つ号も買えるかなと思いますので。
もちろんこのVol.4からでも全然大丈夫です。基本読みきりです。好きな作家さんが参加してる号を買えば、他にもぴったりくる作家さんが見つけられるのではないでしょうか。
たっぷりまったり百合の世界に浸れる素敵なアンソロジー「ひらり、」、今後も応援していきたいです。いい漫画をありがとうございました。Vol.5は8月発売予定。
『ひらり、』Vol4 ・・・・・・・・・★★★★
今回もレベル高い一冊。吉田丸先生は要チェックな気がする。ギド先生は流石!
[本]最終決戦!2人手をつなげる未来へ! 『タッコク!!!』6巻
タッコク!!! 6巻
見せてあげるよ!愛の力を!!
サンデー超で連載されていた福地翼先生の「タッコク!!!」もこれにて完結!
トンデモな法律「卓球告白法」が成立した日本を舞台にしたハイテンションなラブコメでした。
卓球告白法とは、告白とともに卓球の試合を申し込み、それに勝利すれば相手に強制的に告白を受け入れさせることができる、つまり卓球が強けりゃどんな人も相手を選び放題!という凄まじいもの。愛をかけて卓球に燃える少年少女を描く作品です。
設定からしてムチャクチャですが、これがまたコメディとしても大変テンポよく、またラブコメとしても非常に楽しめる作品となっていました
というわけでそんな「タッコク!!!」の最終第6巻の感想を。
今作のメインヒロインであるカコちゃんは、全国卓球ランキング一位の女の子。
ガクとカコはお互いにベタ惚れ状態なのですが、「卓球告白法」のせいで恋人同士にはなれていないという2人。なんだかんだと紆余曲折あり、世界各国から卓球の強い少年たちを集める「AAA計画」に巻き込まれ、結果を残したガク。
上位6名と卓球ランキング1位のカコを迎え集結した最強の7人。
そしてこの巻の冒頭で、AAA計画の全貌がようやく明かされることとなります。
なんと宇宙人と戦うためだそうです。ってえー!!
と驚きましたがまぁそれでこそこの作品というもの。いいんですよこれで!熱ければ!
しかしコメディチックにノリで押し切っていくかと思いきや、これまで微妙に散らばっていた謎や伏線が「宇宙人」というワードで綺麗に結びついてしまいました。
最初から「宇宙人」で計算して作品描いていたのかと・・・!これは凄い。凄いというか、いやまぁコメディだからの力技なんですけど、この真相をわざわざ意味深に最終巻まで引っ張ってきたのかと思うと、やはり面白いwこういうところも好きですねぇ。
しかしいざ宇宙人との対戦の日となると、ここに来てさらに驚きの真相が。
宇宙人VS地球人の戦い。そのはずなのに、ガクの目の前に立つのは、愛するカコちゃん。
対戦相手は彼女だったのです。カコちゃんは宇宙人だったんですよ!
これには冗談抜きで衝撃を受けたのですが、なるほどこれもきちんと前々から仕込まれていたことだったのですね。あまりにも世間知らずだった幼いころのカコは、地球の知識が無かったが故。無茶苦茶な展開なようでいて、この"無茶苦茶"は初期からずっと計画されていたと。
コメディだからしなーと流してた部分にきちんと大切な情報が潜んでいたことに気づかされ、一杯食わされたなとニヤリ。しかしそうして出来上がったこの最終決戦の構図は、なんとも熱いものじゃないですか。地球最強の少女が、最強の敵として立ちはだかる・・・!
そうして始まった地球の明暗を分ける決戦も、この作品らしさにあふれたものでした。
変に理屈っぽくなりすぎず、スポーツの娯楽性だけを抽出したような。
戦略性とか知ったこっちゃねーぜと技の打ち合いになったり、またマッチポイントからの大逆転というパターンが多い作品だったので、スポーツ漫画としての深い楽しみはそれほど無い・・・というとアレかもしれませんが、そういう個人的な意見です。でも楽しければOKなのです。
この漫画はスポーツ漫画ではなく、あくまで卓球を織り交ぜたラブコメ作品ですから。
この巻ではカコちゃんの打球が卓球台をブチ抜きます。
物語終盤のシリアスな空気の中では「やばすぎるなカコちゃん・・・」と震えたものですが、冷静に考えてみればなんぞこれですねw漫画的ギミックは無茶があるほど面白いもので、しっかりそれをやり抜いて終わっていったことはこの作品のすばらしい所だったと思います。
そしてこれまでややコメディ面に偏りすぎてた感もあった『ラブ』の要素ですが、そちらの盛り上がりも抜群の最終巻だったと思います。地球の命運を握った戦いから、「タッコク」を申し込み単純かつ熾烈な愛のバトルに昇華されていく展開には胸を熱くさせられましたね・・・!
1巻からずっとずっとブレなかった2人の想い。意外なカタチで相対することになったガクとカコちゃんですが、大きく見渡せば全てが彼らのために出来上がった最高のステージ。全人類が見つめる中で、まっすぐに、力強く、「好き」と伝えるのだ。
超スケール・超ハイテンションのラブ卓球バトル。ラストを飾るに相応しい一戦でした!
決戦前の堂々とした告白と、それを受けたあとの伏し目がちなカコちゃんの表情にやられてしまった自分ですが、最後のカコちゃんの満面の笑みはまさに至高。念願叶った結末に、ほろり涙も浮かべてしまうというものです。
最高の笑顔。最高の涙。最高の結末。
そうだ、カコちゃんはその笑顔が一番かわいいのだ。
ではまとめ。
「うえきの法則」を完結させた福地先生の、作品としては2つ目の連載作品。
恋愛、コメディ、スポーツを織り交ぜた、元気のいい少年漫画に仕上がっていたと思います。だいぶサンデーらしい作品だなぁとも思っていたり。
中盤少しだけ心配になってしまいましたが、見事な結末を迎えてくれました。
この作品の魅力は、なんといってもキャラクター。
ガクとカコちゃんの間の抜けた、それでいて愛に満ちたやりとりには何度もニマニマさせてもらいました。もっちり幼児体系なカコちゃんはそちらの方面(どちらだ)としても辛抱たまらないキャラクターとなっていました。彼女のほかにも、出番は少ないものの個性を強く発揮したキュラクターは大勢います。わいわいがやがや、トンデモな卓球に勤しみながらラブでコメったりなんなりする、その雰囲気がこの漫画の最大の魅力でした。
それでいてストレス無く読める勢いの良さ!コメディとして非常に楽しめる作品でしたし、ラストまできちんと計算された物語となっており、締りのいい終わり方でしたね。完結に向け少々急ぎ足になってしまっているような感じはしましたが、それでも評価は揺るぎません。しっかりとした未来をつかみつつ、まだまだ喧騒は収まらない。この作品の世界を愛する読者にとっては、ある意味理想の終え方を迎えたのではw
気持ちのいい作品をありがとうございました。「タッコク!!!」、面白かったです。
『タッコク!!!』6巻 ・・・・・・・・・★★★☆
最終決戦もこの作品らしいノリを貫いて、見事なエンディングへ。全6巻と集めやすく、オススメしたい作品の1つ。少年漫画らしい少年漫画したね。カコちゃんかわいいなぁー。
見せてあげるよ!愛の力を!!
サンデー超で連載されていた福地翼先生の「タッコク!!!」もこれにて完結!
トンデモな法律「卓球告白法」が成立した日本を舞台にしたハイテンションなラブコメでした。
卓球告白法とは、告白とともに卓球の試合を申し込み、それに勝利すれば相手に強制的に告白を受け入れさせることができる、つまり卓球が強けりゃどんな人も相手を選び放題!という凄まじいもの。愛をかけて卓球に燃える少年少女を描く作品です。
設定からしてムチャクチャですが、これがまたコメディとしても大変テンポよく、またラブコメとしても非常に楽しめる作品となっていました
というわけでそんな「タッコク!!!」の最終第6巻の感想を。
今作のメインヒロインであるカコちゃんは、全国卓球ランキング一位の女の子。
ガクとカコはお互いにベタ惚れ状態なのですが、「卓球告白法」のせいで恋人同士にはなれていないという2人。なんだかんだと紆余曲折あり、世界各国から卓球の強い少年たちを集める「AAA計画」に巻き込まれ、結果を残したガク。
上位6名と卓球ランキング1位のカコを迎え集結した最強の7人。
そしてこの巻の冒頭で、AAA計画の全貌がようやく明かされることとなります。
なんと宇宙人と戦うためだそうです。ってえー!!
と驚きましたがまぁそれでこそこの作品というもの。いいんですよこれで!熱ければ!
しかしコメディチックにノリで押し切っていくかと思いきや、これまで微妙に散らばっていた謎や伏線が「宇宙人」というワードで綺麗に結びついてしまいました。
最初から「宇宙人」で計算して作品描いていたのかと・・・!これは凄い。凄いというか、いやまぁコメディだからの力技なんですけど、この真相をわざわざ意味深に最終巻まで引っ張ってきたのかと思うと、やはり面白いwこういうところも好きですねぇ。
しかしいざ宇宙人との対戦の日となると、ここに来てさらに驚きの真相が。
宇宙人VS地球人の戦い。そのはずなのに、ガクの目の前に立つのは、愛するカコちゃん。
対戦相手は彼女だったのです。カコちゃんは宇宙人だったんですよ!
これには冗談抜きで衝撃を受けたのですが、なるほどこれもきちんと前々から仕込まれていたことだったのですね。あまりにも世間知らずだった幼いころのカコは、地球の知識が無かったが故。無茶苦茶な展開なようでいて、この"無茶苦茶"は初期からずっと計画されていたと。
コメディだからしなーと流してた部分にきちんと大切な情報が潜んでいたことに気づかされ、一杯食わされたなとニヤリ。しかしそうして出来上がったこの最終決戦の構図は、なんとも熱いものじゃないですか。地球最強の少女が、最強の敵として立ちはだかる・・・!
そうして始まった地球の明暗を分ける決戦も、この作品らしさにあふれたものでした。
変に理屈っぽくなりすぎず、スポーツの娯楽性だけを抽出したような。
戦略性とか知ったこっちゃねーぜと技の打ち合いになったり、またマッチポイントからの大逆転というパターンが多い作品だったので、スポーツ漫画としての深い楽しみはそれほど無い・・・というとアレかもしれませんが、そういう個人的な意見です。でも楽しければOKなのです。
この漫画はスポーツ漫画ではなく、あくまで卓球を織り交ぜたラブコメ作品ですから。
この巻ではカコちゃんの打球が卓球台をブチ抜きます。
物語終盤のシリアスな空気の中では「やばすぎるなカコちゃん・・・」と震えたものですが、冷静に考えてみればなんぞこれですねw漫画的ギミックは無茶があるほど面白いもので、しっかりそれをやり抜いて終わっていったことはこの作品のすばらしい所だったと思います。
そしてこれまでややコメディ面に偏りすぎてた感もあった『ラブ』の要素ですが、そちらの盛り上がりも抜群の最終巻だったと思います。地球の命運を握った戦いから、「タッコク」を申し込み単純かつ熾烈な愛のバトルに昇華されていく展開には胸を熱くさせられましたね・・・!
1巻からずっとずっとブレなかった2人の想い。意外なカタチで相対することになったガクとカコちゃんですが、大きく見渡せば全てが彼らのために出来上がった最高のステージ。全人類が見つめる中で、まっすぐに、力強く、「好き」と伝えるのだ。
超スケール・超ハイテンションのラブ卓球バトル。ラストを飾るに相応しい一戦でした!
決戦前の堂々とした告白と、それを受けたあとの伏し目がちなカコちゃんの表情にやられてしまった自分ですが、最後のカコちゃんの満面の笑みはまさに至高。念願叶った結末に、ほろり涙も浮かべてしまうというものです。
最高の笑顔。最高の涙。最高の結末。
そうだ、カコちゃんはその笑顔が一番かわいいのだ。
ではまとめ。
「うえきの法則」を完結させた福地先生の、作品としては2つ目の連載作品。
恋愛、コメディ、スポーツを織り交ぜた、元気のいい少年漫画に仕上がっていたと思います。だいぶサンデーらしい作品だなぁとも思っていたり。
中盤少しだけ心配になってしまいましたが、見事な結末を迎えてくれました。
この作品の魅力は、なんといってもキャラクター。
ガクとカコちゃんの間の抜けた、それでいて愛に満ちたやりとりには何度もニマニマさせてもらいました。もっちり幼児体系なカコちゃんはそちらの方面(どちらだ)としても辛抱たまらないキャラクターとなっていました。彼女のほかにも、出番は少ないものの個性を強く発揮したキュラクターは大勢います。わいわいがやがや、トンデモな卓球に勤しみながらラブでコメったりなんなりする、その雰囲気がこの漫画の最大の魅力でした。
それでいてストレス無く読める勢いの良さ!コメディとして非常に楽しめる作品でしたし、ラストまできちんと計算された物語となっており、締りのいい終わり方でしたね。完結に向け少々急ぎ足になってしまっているような感じはしましたが、それでも評価は揺るぎません。しっかりとした未来をつかみつつ、まだまだ喧騒は収まらない。この作品の世界を愛する読者にとっては、ある意味理想の終え方を迎えたのではw
気持ちのいい作品をありがとうございました。「タッコク!!!」、面白かったです。
『タッコク!!!』6巻 ・・・・・・・・・★★★☆
最終決戦もこの作品らしいノリを貫いて、見事なエンディングへ。全6巻と集めやすく、オススメしたい作品の1つ。少年漫画らしい少年漫画したね。カコちゃんかわいいなぁー。
[本]正直でバカな青春送ってますよ 『男子高校生の日常』4巻
男子高校生の日常(4) (ガンガンコミックスONLINE) (2011/04/22) 山内 泰延 商品詳細を見る |
しょうがないわね――――――――!!!
順調に回を重ねて4巻目。「男子高校生の日常」最新刊です。
今回もあまり日常らしくないのに「日常だ」と思わずうなづいてしまうような感じ。
ぶっ飛んだネタばかりではあるのですが、不思議とこのテンションの高さに自然と馴染めてしまいます。バカな高校生たちによるバカ騒ぎ。面白いです。
ではさくっと4巻感想へ。
一話読みきりコメディを16話収録。するする読めてしまう手軽さもこの作品のいいところ。
単行本の前半は夏休みモードにつき夏っぽいものが多かったですね。
中でもオビにも採用された第54話と、続く55話のなかなかなインパクトw
ヒデノリは不幸なボーイ・ミーツ・ガールに見舞われやすいようで、今回は背後から見知らぬ女の子の強烈なドロップキックを食らって川に突き落とされます。しかもそれが女の子がした人違いだと発覚。
4巻の表紙はその最悪に気まずい空気の中にいるバカたちを描いたものとなってます。
明らかにおっ立ったフラグも易々無かったことにしてしまうヒデノリ。
まぁ彼には1巻からすでにお決まりの相手がいるのでね!
(クリック拡大)
はい、文学少女さんですね。文学少女もこの巻大目に登場しています。
今回彼女のプライベートも覗けるようなエピソードも収録されており、彼女の知り合いらしき男の子も登場します。しかし彼と歩いてるところを偶然ヒデノリに目撃されてしまい、なぜか大慌ての文学少女ことやっさん。
謎の競争に全力を投じた後、ヒデノリを捕まえて必死の弁解をしてるのが上の画像。
なんですかね、「彼氏がいる」と勘違いされるのがそんなに嫌だったんでしょうか。フヘヘ
そういえば63話でヒデノリに後ろを取られたときの頬の赤みは、最初読んだときは緊張感によるものだとさらりと流してしまっていましたが、しかし改めてみると・・・ヒデノリのこと、むっちゃ気にしてますよね!
ヒデノリもヒデノリで文学少女をあえて避けているようですし、なんだか甘酸っぱい香り漂う展開・・・。ラブ方面でもこの作品は盛り上がってしまうかも知れませんね!
まぁこの作品のことですから、仮にそういう方向に行ったとしてもそう簡単なものになってくれるとは到底思えませんがwなんにせよ気になるところです。
文学少女の可愛らしさがまたひとつ新たな段階へ行ってしまった4巻・・・!
そして今回もりんごちゃんはアホかわいいな!
この作品の女の子キャラでは、文学少女と並ぶほどに好きなりんごちゃん。
男子高校生たちが女の子のパンツを見るために他校の彼女を呼び出すのですが、罠とは露知らず彼らの嘘を信じきったりんごちゃんは頼られていると勘違いしてすごい笑顔&ハイテンションです。かつてないほどの優越感に浸っています。ああ、本当にバカだなとw
男子高校生たちにライバル意識を持っているからこそで、それを逆に利用されてしまって、しかも最後まで騙されたことに気づかないままパンツ見られて去っていく。最後までドヤ顔で・・・。
この作品に関してはこのくらいでさっくりまとめます。
相変わらずの読みやすさ。すぐ読める軽さと、何度も読み返せるネタの上手さがある作品。勢い任せでありつつシュールだったり。絶対的にツッコミが足りてないのは間違いない。
それとちょっとずつこれまでとは違った方向性のネタも増えてきたような気も。オチのバリエーションが広がってきたように思いました。
そしてこの作品を盛り上がるバカなキャラクターたちの魅力は健在、・・・どころかよりパワーアップしてきましたね。みんな本当かわいいな。
かわいい。かわいいけど、なんだかそれ以上に「愛らしい」と言いたくもなるような女の子たち、と男の子たち。この作品、特別絵がうまいわけではないんですけど、不思議と女の子が可愛いですよね。目がないキャラも結構いるのに彼らもなぜか可愛く思えてくるのが不思議。
5巻は12月発売予定とちょっと先になりますが、楽しみに待ちたいと思います。
最後に何気にお気に入りの1コマを。
お前それどういう転び方だよww
『男子高校生の日常』4巻 ・・・・・・・・・★★★☆
お前ら本当バカだよな、なんて笑いながら読める、安心感すら漂いだした第4巻。
[本]アキちゃんの芽生えに笑顔満開! 『はじめてのあく』9巻
はじめてのあく 9 (少年サンデーコミックス) (2011/04/18) 藤木 俊 商品詳細を見る |
なんだかんだでこの毎日が好きなのは認めないとね
安心して読める一話読みきりをやってくれてる「はじめてのあく」9巻が発売です。
もっともサンデー本誌では現在VSネビロス編が展開されており、本格的なバトル編をやっているわけですが(かなり面白いです)、この9巻収録分はまだまだゆったりまったり日常編。
いつもどおりにぎやかに、それでいて少しずつ深まる絆があったり、変わりつつある関係があったりで、読んでいてほっとできる良い作品。
ラブコメ的にも見逃せない展開が続く第9巻の感想へ!笑顔満開!(俺の)
大好きなシズカちゃんが今回も出番少なくて涙目・・・!どういうことだ!
と思いましたがまぁちょっと待てと。よく見てみろと。アキちゃんがかわいいぞと!
キョーコの友人にしてミス健康美。サブキャラながらキョーコと並ぶくらいに初々しく可愛らしいキャラクターなのです。そういえばこの巻の表紙もアキちゃんが最大。さすが分かってる。
単行本冒頭のキャラ紹介ページでは2巻からずっとユキに胸をもまれているあたり、この作品におけるこのキャラクターのポジションが伺えるというものです。おっぱいおっぱい。
キャラ紹介で思い出しましたがこの作品は掲載時期に合わせてほぼリアルタイム展開をする作品でして、着々と登場キャラクターが年を重ねていっています。もうみんな17歳なんですね。感慨深い。アキちゃんとジローはまだ16歳ですが。
まぁそれはともかくとしてアキちゃんがかわいいなという話の続き!
・・・芽生えてますなぁ!!
そんなワケないって思ってはいるけれど、ついつい期待してしまったり。
とっさの勘違いに今の彼女の淡い感情が見事に現れててニヤニヤがとまらない!
・・・それにしても「合体」にこんな反応するって・・・・・・彼女の脳内ではどこまで赤城との妄想が進んでいるんでしょうか・・・・・・?思春期め!
赤城も基本ダメなやつなんだけど、たまーにカッコいい事しやがるもんだからな。
ちなみに9巻には王道のお風呂イベントがありますが、予想通りプロのガードマン・湯気さんが大活躍してくれています。いつもお疲れでしょうに、たまにはお休みしてはいかがか。
それと正義サイドの人間、黒澤さん初登場。
真面目なはずなのにうっかりジロー組の流れに乗せられてしまう様子にはほっこりしますねぇ。変態呼ばわりされて必死の正義告白もジローにまともに受け取ってもらえなかったり。
初登場巻からカバー4コマもカバー裏もゲットして、藤木先生もお気に入りなのかも。
ちなみに貧乳を気にいているらしく、こっそりバストアップ体操に励んでいたりします。
髪をおろした姿が新鮮で思わずズキュン。彼女はこの先もかなりの活躍を見せます。
みんなで温泉入って、学校祭のために動いたり、準備のために学校に泊り込んだり。
清々しく青春してくれてて、読んでいて気持ちいいです。いつもなんですけどね。
みんなの記憶に刻まれ続ける大切な思い出たちが散らばってるような。
この作品が完結したとき、この単行本たちがまるでアルバムみたいに感じられるような。
そのくらいに「毎日の楽しさ」がぎゅっと詰め込まれた漫画だと思います。
ものすごく楽しい。楽しくて、ちょっとノスタルジック。
どんどん登場キャラが増えていって、出番が明らかに少なくなっているキャラとかいますけど、でもそうやって彩りを増している学校生活は、本当に楽しそうで。ちょっとうんざりするくらい賑やかな日々。
そういえば、ちょっとずつそれぞれのキャラクターの未来を想像させるイベントが入ってきましたね。ほほえましいような、ちょっと寂しいような。
願わくばこんな日々がずっと・・・と思うけど、確かに進んでいく時間。
んではまとめでも。
安定感抜群の「はじめてのあく」も9巻目。安定はするけど飽きさせはしない。
今回の表紙自分大好きなんですが、教室というある意味区切られた空間の中でみんなが楽しそうにしてるイラストということで、不思議とキュンとさせられます。ザ・学校生活。
今回はアキちゃんがラブコメ的に大活躍しましたが、彼女以外にも魅力的なキャラがたくさんいる作品です。男の子女の子問わず。みんなかわいいなぁ。黄村もこれはこれでw
嫌な気分にさせない、心安らぐ良質なコメディ作品ということは間違いないです。
定期的にラブコメ的盛り上がりを用意してくれてる点も嬉しい、サンデー伝統の居候コメディー。俺のシズカちゃんはまだか。次巻10巻は7月発売予定!
『はじめてのあく』9巻 ・・・・・・・・・★★★☆
居心地のいい漫画。一話完結ばかりなので読みやすいですし、おススメのシリーズ。
[本]亡霊を背負い戦うものたち。 『ハンザスカイ』6巻
ハンザスカイ 6 (少年チャンピオン・コミックス) (2011/04/08) 佐渡川 準 商品詳細を見る |
逃げんな
週間少年チャンピオンにて連載中の「ハンザスカイ」も6巻が発売。
これまで1巻~5巻の表紙は、並べてみると半座の成長具合を分かりやすく見て取れましたが、その一連の流れはここらでいったんストップでしょうか。
しかし今回の表紙は不敵に笑う半座、ということでこれも6巻の内容を表していますね。
一冊の大部分が主人公・半座の試合であるこの6巻、今回もテンション上がる内容です!
インターハイ予選準決勝、半座ら御門高校があたったのは東嶺大市川高校。
名のある高校というわけではなかったが、4強の一角・照明高校を破りのし上がってきた注目株。加えて半座とあたる先鋒・結城選手は、なにやら半座との因縁があるようで・・・。
というのも彼は半座と中学校が同じ。半座は彼を認知してはいませんでしたが、当時の半座は単なる喧嘩野郎で校内の知名度は高かったようで、まぁしょうがない話。
しかし結城は半座に対して並々ならぬ感情を抱いているようで、試合前から半座をバカにした発言をするなど、強烈な挑発を仕掛けてきます。
ひたむきに空手を続けてきた彼にとって、半座が同じ舞台に立っているという現実は空手への、そしてそれに一生懸命に生きてきた自分への侮辱・・・・・・と結城は考えている。
半座が身勝手な拳を振るっていた横で、自分は空手の鍛錬を重ねてきたのだから。
場違いな不良を全力でブチのめしてやろうと、そしてこれまでの自分の人生を証明してやろうと、冷静を欠き半ば躍起になっている様子が感じられます。
半座としては、ただバカみたいに喧嘩をしていたころの自分をいまだに引きずっている相手なので、ちょっと戦いにくかったり。作中では「亡霊」と例えられていましたがそのとおり。結城も半座自身も、過去の半座の呪縛が完全には解かれていないまま。
だからこそ、押される一方だった半座が繰り出した反撃の一撃目に大興奮!
(クリック拡大)
その幻想をブチ殺す!と言わんばかり。
結城の放った攻撃を避けるでもなく受け止めるでもなく、前進し攻撃に転じています。
この一連の流れは半座らしいなぁと思うと同時に、過去を振り切って見せたことの感動もあり!
しかしこれに頭に血が上った結城はブチ切れ。
半座が喧嘩ではなく予想以上の「空手」をしていて、その上自分から点を取ったということが彼のプライドを傷つけました。「どこまでナメてんだ」と激昂しものっそい顔芸を披露。
そして新たに繰り出される独特の「ステップ」に、半座はまたしても苦戦を強いられます。
必死に食らい付くも追いつけない、縮まらない点差・・・しかし試合の決着は、予想だにしない形に。読んでてびっくりしましたとも。
試合終了後の結城。文字通り、拳に込めた想い。かつての自分は、亡霊だ。
きっと変われる。もっと強くなる。昨日より、今日より。
だから逃げるな。自分の弱さから。この悔しさから。亡霊を背負って行け。
彼は中学校のころからすでに、半座と比べて自分が負けていると感じていたように見えます。半座に空手の世界に立ち入って欲しくなかったのは、自分を守るためだったのかも。
世界が違うなら、勝ち負けが分からないままにできる。自分は奴より優れてると思い込める。
そんな風にごまかしてる自分を見ないようにしていたのが、これまでの彼でした。
けれどきっと、彼はこの試合で何かを得られたのだと思います。負けたからこそ。半座と戦ったからこそ。ここからですよ、彼の空手は。だってまだ一年生なんだ。
まとめ。
今回は主人公である半座を掘り下げた内容となっており、2人の少年の過去と今がぶつかり合う非常に熱い内容となっていました。
というか読んでいてむしろ相手側の結城にも深く感情移入してしまったかもしれません。
172ページの歪んだ笑いといい、最後の無念の表情といい・・・何気にかなりいろんな表情を見せてくれたキャラクターでもありましたが、彼の背負うドラマがなんにせよ魅力的でした。
このハンザスカイは相手校にも「負けられない理由」をしっかりと持たせている作品。
丁寧に、力強く、試合で対決する2人を描いてくれる作品だなと、しみじみ思います。
毎試合異なった試合展開で飽きさせませんし、「燃える」と一口に言ってもその方向性も様々。今回は半座もカッコいいですが、全てを終えた結城にこの巻の真髄を見つけたり(
しかしもちろん半座の試合運びもよかった。「ルールのあるケンカ」と空手を例えていますが、そのとおり。これは空手であり、試合であり、ケンカではない。バカ正直に突進することばかりが美徳なのではない。軽やかに横にステップしてからの上段蹴りは爽快!
いい感じに少年漫画をやってくれてます。いまかなり好きなスポーツ漫画。
続く7巻もまた熱い展開が続くみたいで、単行本で読むのが楽しみです。
『ハンザスカイ』6巻 ・・・・・・・・・★★★★
一冊ぎっしりと試合!今回も魅せられましたねぇ。表紙もかっこいいです。