[本]奥様は馬で、同級生は天使で。 『竜の学校は山の上』
「あの花」第1話にハートをフルボッコにされました。
そんなもの なんにも違わないのよ
ふら~っと衝動買いした作品だったのですが、当たりでしたね!
今回は九井諒子さんの作品集「竜の学校は山の上」での更新とします。
収録された作品は商業誌に発表されたものではなく、webだったり同人誌としてだったりで世に出された作品たち。それらに加筆修正を加えて一冊にしたものがこちらですね。
収録作のいくつかは九井諒子さんのHPで無料で読むことができますので、気になる方はまずそちらで作品を読んでみてはどうでしょうか。感じは掴めるかと。
加えて公式でPVが。収録作のひとつ「進学天使」をダイジェストで動画として読めます。
別窓で大きくしないと読みづらいかも。
BGMはPerfect piano lessonの「Springstorm」。選曲も俺得じゃないですかー!
まぁ紹介はここまでにしまして、内容について触れましょう。
どの作品もたまらないので短編全てについて感想をつらつらと・・・。
魔王城から中学校まで、様々な舞台で「人間」を描く作品集となっています。
例えばこの作品は、勇者が世界を守り抜いた後、故郷に帰ってのお話なのですが、選ばれた勇者に屈折した想いを抱く主人公だったり、政治的に利用される勇者だったり・・・。
魔王を倒して、世界は平和になったのか。いや、そんなわけはないのだ。
見せ掛けのハッピーエンドの向こう側を描くというコンセプトも良いですし、ほんのり切ないラストもロマンチックな香り。普遍的なファンタジー世界が舞台だからこそ、自分がこれまで触れてきたファンタジーの裏側にも想い馳せることとなった、個人的には軽く衝撃的な一作。
勇者はどんなことを感じ、この世界を戦ったのか。
web版と読み比べるとかなり2人の距離感が明確に感じられるようになり、より深みが出ていますね。設定としてはいわゆる「美女と野獣」です。
語り部が口にする呪われた王子の物語を聞き、「王女がただの村娘であったなら」と零す高齢の女性の伏せ眼がちな横顔に、またしても切なさがぐんぐんこみ上げる。
彼女が何も語ろうとはしない夜。ただもしかすると、そこには誰も知ることができない恋の記憶があるのかも知れない。いいなぁ。はぁ。あと王女さん超美人。
主のいなくなった魔王城の再利用に乗り出す人類・・・果たしてうまくいくのか、というお話。
この作品も細かく加筆修正がされてよりブラッシュアップされていますね。
しかし個人的にはweb版で描かれた、勇者の仲間の死亡描写なくなっているのは少々残念でもあったり。ああいう生々しい死の絵はあって欲しかったかも。無念の表情も痺れる。
この作品もファンタジー作品で、RPGのエンディングのその後を描いたもの。
自らが勝ち得た平和を信じようとしない、世界に絶望した勇者。
それでも勇者がくれた平和を信じ続ける、病に悩まされる少女。
しかりながら迎えたラストは、もちろん最高のものかどうかは分からないけれど、ささやかな笑顔は確かにあるであろう、救いのあるもの。
最後まで人間の光と影を見せ付ける、残酷ながら美しい物語だと思います。
「支配」とは人間から見た物事の一面にしかすぎない。ということで「魔王」が実は世界を平和にしてくれていた存在だと描くお話です。
皮肉が利いているようで、でもきっとこれがハッピーエンド。巣立ち。自立。子供は反抗期を経て大人になるんです?ちょっと違うかw
いろんな女性の神様が登場するので、何気に本作一番華やかな気がしますね・・・!
豊穣の神のデザインに強烈にもんもんさせられるわけですが、しかし花の神ちゃんもいいじゃないですかと!幸薄そうな表情にひかれます!
内容としてはそれなりにページ数もあるので、読み応えのある作品ですね。
物語としての盛り上がりもしっかり提供され、個人的には幸せな終わり方だと思いました。
けれどラストは主人公たちとは別の視点から物語を捕らえることで、ほんのり無常感の漂うものになっています。単純な終わり方をしてくれないのが意地悪で、好きです。
単行本表紙にも大きく登場しているかわいらしい奥さんが目玉です。
家事も出来て、心遣いもバッチリ。その上甘えん坊で可愛らしい、ナイス奥さん。

ただ、馬です。
この世界は猿人と馬人の2種類の人間がいます。夫は猿人、奥さんは馬人。
猿人はまるきり現実世界の人間そのまま。けれど馬人の設定が面白いです。
ひどく勤勉で、睡眠も猿人より短くていいし、総じて無駄な時間を過ごすことが苦手。企業としても猿人よりも馬人の方が雇いやすいから、猿人の雇用が減っている世界。
同じ土俵にたっては、猿人には馬人に及ばない点が多すぎるのです。
そのせいで猿人政府が馬人の勤務体系を見直す法案が出されたり。
現代日本を舞台に、そんな少しだけ歪んだ社会を描いた作品となっています。
先ほどの猿人×馬人の夫婦のほかに、同じ会社に勤めている社会人たちのペアのストーリーも同時進行的に描かれ興味深いです。猿人が抱えるコンプレックスなど。
社会人編がややシリアスなため、イチャイチャ夫婦がイチャチャする気の抜けた4コマ漫画に癒されますねぇwしかし別々のペアでもって家庭と社会の2場面を分けて描くことで、それぞれにやや異なった形で猿人と馬人の共存が表現されており、うまい構成だなと感じました。
人種というやや扱いにくいテーマを描いている本作ですが、かなりスマートにまとまった良作なのではないでしょうか。お気に入りです。
まぁなによりですね。

「同じがいいの!」
なんですかこの(><)は!もうううううう奥さんかわいいー!
そしてこの作品もテーマとしては「現代神話」と同じく、普通の人間とそうじゃない人間の間にある複雑な感情や、共存の是非、といった感じ。
学生の男の子と女の子の恋愛がメインということで、大分馴染みやすいお話でもあります。
飛ぶトレーニングのために留学をする・・・ことにはちょっと抵抗がある少女。
彼女の意思を尊重し、「自分の好きなようにしないと後悔するぞ」なんて遠まわしなアドバイスをする男の子。まぁそれは「そばにいて欲しい」なんて言えない照れが故。そんな油断が許されているのは、彼女が留学に乗り気でないからこそなんですが。
羽があったとしても、それが彼女が普通の人生を諦める理由にはならない。
そう彼は信じていた。周囲の無理な期待にこたえてやる必要なんてないのだと。
(クリック拡大)
けれどそれは揺らぎ、そして崩れてしまった。
実際に空を羽ばたく少女を見て、少年は思ってしまったのだ。周囲の期待に応える必要はない・・・けれど応えられる能力を手放すことは、本当に彼女にとって良いことなのだろうか。彼女がそれを望む望まないに関わらず、空を飛ぶということは彼女にとっても大切なことなのではないだろうか、と。
そして少年は、少女を傷つけてしまう。
理解したつもりになってしまった弱さ。正しいことだと信じぬくことが出来なかった。
大局的に見れば正しかったのかもしれない。正しかったのかもしれないが、彼はきっとこの結末を本心から望んでいたわけではなかっただろうし、自分も彼女があんな表情をするところなんて見たくなかった。でも逆に言えば、あえてこの結末を見せられたからこそ、こんなにも胸に残る作品になったのかも知れません。
大人だったら理性的に割り切れただろうし、子供だったらもっと夢ばかり見れたかもしれない。どちらでもない、この年頃特有の不幸であり、ロマンですよね。些細なズレから連鎖する。
きっと正しく真実を受け止めるのに、この男の子では何かが足りなかった。
思春期だからこその不安定さが織り成すセンチメンタル。
思わずため息。いいですねえ。強烈に切ないのに、なんでこうほっこりするのか。

あと天使ちゃんかわいいなって!この作品何気に女の子キャラかわいいのですよ。
竜が存在していることが当然なこの世界。竜もまた、ある意味で「家畜」として人間社会に溶け込んでいます。まぁそれでもちょっと珍しいようですけども。
舞台は全国で唯一「竜学部」を有する宇ノ宮大学。
新入生の主人公は、そこで竜研究会の部長と出会い、物語が始まります。
竜は貴重な生き物です。けれど今、人間社会は竜を必要とはしていません。
あらゆる面でコストがかかりすぎる上に、食用としてもイマイチ、ペットとしても難ありまくり。ぶっちゃけ役立たずなのだ。
でもやっぱりそれでも惹かれてしまうもので。なんたって、竜ですよ。
ただ「好き」なだけじゃ現実的に食っていけない。竜を好きな人間も、竜そのものも、共倒れになってしまう。だからこそ、人間にとって竜が役に立つということを証明しなければならない。竜のために、竜の活用法を見つけなければならないのです。
竜研究会の会長はそれを目指している人物。けれどどうにも研究が行き詰る・・・。
好きだからこそもっと認められて欲しいと願うのに、好きだからこそ得た知識で、それが困難であることも分かってしまっている。竜は役立たずだって言われることが何よりも悔しいのに、それを否定してやることもできない自分が一番、情けない。
言ってしまえば、自分を否定するための、自分との戦いなのだ。
しっかりとした舞台設定がされており、竜がいる世界というのが実にリアルに感じられるのもこの作品の面白さ。その上で「価値観」の問題をベースに、軽やかにメッセージを届けてくれる良作です。終盤の飛翔シーンになぜだからすごく感動してしまった。
こんなにカッコいいのに、それが認められない世界なんて、そりゃ悔しいもんだ。
部長さんの秘めたる情熱に胸打たれるとともに、その飄々とした性格や彼女自身のかわいらしさにも笑顔。息の上がったときの表情のなんたる色っぽさ!
そんな感じで、さわやかな興奮を届けてくれる、人と竜と強い意志の物語。
「おめでとう!君は栄えあるくずの中のくず!」とか迷言が飛び出す作品でもありw
作品集としては一番最後におかれている作品で、ほんのり前向きになれます。
ほどよく力の抜けた感じのゆるめなタッチの作画もお気に入り。さらりと読めます。
いや、なげぇよ!と自分で言いたくなるくらい今回の記事ちょいと長いですね。
ではまとめといきます。
RPG風ファンタジーから現代を舞台にしたものまで、また物語の方向性もバラエティー豊富で、様々な作品を一度に楽しめるという意味で非常に好きな感じの短編集でした。
優しく感動させられるものから後悔に身をよじりたくなるようなものまで。
ページ数のボリューム感に相応しい、素敵な物語がぎっしりと詰まった一冊です。
普通の人間とそうじゃない存在の組み合わせがよく登場するので、テーマとしてはやはりそこらへんを強く滲ませているなという印象。人外キャラが多数登場するのも楽しいですね!
またこの絵も素敵だなーと。この素朴な絵柄は清涼感あります。
土のにおい、風のにおい、涙のにおい。あっさりとした作画ですが、だからこそ想像力が刺激されて、短編ごとにに違った空気を感じられたように思います。
詰め込みすぎていない画面のため読みやすさも抜群。けれど手抜きはされていません。
それと女の子が可愛いということはさっきから何度も書いてますっけね。こう、キラキラしてるわけではないんですけども、なんとなくずっと見ていたくなるような感じで魅力的な女の子たちがいっぱいです。彼女たちがいる世界もまた、同じことが言えます。
決して綺麗に輝く物語ではないけれど、でもどれもすごく切実で、温かで、面白い。
総じて、様々な面でレベルの高い本になっているのではないでしょうか。
多彩なメッセージを届けつつ、それが押し付けがましくなっていないのも○。
どの作品からもいわゆる同人漫画っぽさは感じるので、それが気になる人がいるかもしれません。しかし個人的にはそういうのもひっくるめてかなりツボ。視点の面白さにもニヤリ。
あなたの心をそっと揺さぶる物語が、きっと見つかります。
『竜の学校は山の上』 ・・・・・・・・・★★★★☆
いろんな層にお勧めしたい良質な作品集。ファンタジーだったり現代モノだったりで賑やか。
※234ページには作者も発売後に気づいて悶絶したようですが「集中せん」という原稿のメモが消されないまま残されてしまっていたりします。笑ってスルーだ。
![]() | 竜の学校は山の上 九井諒子作品集 (2011/03/30) 九井 諒子 商品詳細を見る |
そんなもの なんにも違わないのよ
ふら~っと衝動買いした作品だったのですが、当たりでしたね!
今回は九井諒子さんの作品集「竜の学校は山の上」での更新とします。
収録された作品は商業誌に発表されたものではなく、webだったり同人誌としてだったりで世に出された作品たち。それらに加筆修正を加えて一冊にしたものがこちらですね。
収録作のいくつかは九井諒子さんのHPで無料で読むことができますので、気になる方はまずそちらで作品を読んでみてはどうでしょうか。感じは掴めるかと。
加えて公式でPVが。収録作のひとつ「進学天使」をダイジェストで動画として読めます。
別窓で大きくしないと読みづらいかも。
BGMはPerfect piano lessonの「Springstorm」。選曲も俺得じゃないですかー!
まぁ紹介はここまでにしまして、内容について触れましょう。
どの作品もたまらないので短編全てについて感想をつらつらと・・・。
魔王城から中学校まで、様々な舞台で「人間」を描く作品集となっています。
この単行本は前半にRPGのような世界観を舞台にしたファンタジー漫画が集められているのですが、どの作品も輝かしい勇者の活躍を描いたような王道なものではありません。どこかしら捻くれた、一癖あるものばかり。帰郷
例えばこの作品は、勇者が世界を守り抜いた後、故郷に帰ってのお話なのですが、選ばれた勇者に屈折した想いを抱く主人公だったり、政治的に利用される勇者だったり・・・。
魔王を倒して、世界は平和になったのか。いや、そんなわけはないのだ。
見せ掛けのハッピーエンドの向こう側を描くというコンセプトも良いですし、ほんのり切ないラストもロマンチックな香り。普遍的なファンタジー世界が舞台だからこそ、自分がこれまで触れてきたファンタジーの裏側にも想い馳せることとなった、個人的には軽く衝撃的な一作。
勇者はどんなことを感じ、この世界を戦ったのか。
若干の加筆と、3ページほどの描き下ろしがされた全8ページの短編。魔王
web版と読み比べるとかなり2人の距離感が明確に感じられるようになり、より深みが出ていますね。設定としてはいわゆる「美女と野獣」です。
語り部が口にする呪われた王子の物語を聞き、「王女がただの村娘であったなら」と零す高齢の女性の伏せ眼がちな横顔に、またしても切なさがぐんぐんこみ上げる。
彼女が何も語ろうとはしない夜。ただもしかすると、そこには誰も知ることができない恋の記憶があるのかも知れない。いいなぁ。はぁ。あと王女さん超美人。
勇者が魔王を倒し、平和を勝ち取った世界。魔王城問題
主のいなくなった魔王城の再利用に乗り出す人類・・・果たしてうまくいくのか、というお話。
この作品も細かく加筆修正がされてよりブラッシュアップされていますね。
しかし個人的にはweb版で描かれた、勇者の仲間の死亡描写なくなっているのは少々残念でもあったり。ああいう生々しい死の絵はあって欲しかったかも。無念の表情も痺れる。
この作品もファンタジー作品で、RPGのエンディングのその後を描いたもの。
自らが勝ち得た平和を信じようとしない、世界に絶望した勇者。
それでも勇者がくれた平和を信じ続ける、病に悩まされる少女。
しかりながら迎えたラストは、もちろん最高のものかどうかは分からないけれど、ささやかな笑顔は確かにあるであろう、救いのあるもの。
最後まで人間の光と影を見せ付ける、残酷ながら美しい物語だと思います。
あっさりシュールな短編。ちょっとコメディ調。支配
「支配」とは人間から見た物事の一面にしかすぎない。ということで「魔王」が実は世界を平和にしてくれていた存在だと描くお話です。
皮肉が利いているようで、でもきっとこれがハッピーエンド。巣立ち。自立。子供は反抗期を経て大人になるんです?ちょっと違うかw
ここからRPG編を脱します。この作品は日本昔話風味。代紺山の嫁探し
いろんな女性の神様が登場するので、何気に本作一番華やかな気がしますね・・・!
豊穣の神のデザインに強烈にもんもんさせられるわけですが、しかし花の神ちゃんもいいじゃないですかと!幸薄そうな表情にひかれます!
内容としてはそれなりにページ数もあるので、読み応えのある作品ですね。
物語としての盛り上がりもしっかり提供され、個人的には幸せな終わり方だと思いました。
けれどラストは主人公たちとは別の視点から物語を捕らえることで、ほんのり無常感の漂うものになっています。単純な終わり方をしてくれないのが意地悪で、好きです。
個人的に一番好きかも知れないのがこの作品。現代神話
単行本表紙にも大きく登場しているかわいらしい奥さんが目玉です。
家事も出来て、心遣いもバッチリ。その上甘えん坊で可愛らしい、ナイス奥さん。

ただ、馬です。
この世界は猿人と馬人の2種類の人間がいます。夫は猿人、奥さんは馬人。
猿人はまるきり現実世界の人間そのまま。けれど馬人の設定が面白いです。
ひどく勤勉で、睡眠も猿人より短くていいし、総じて無駄な時間を過ごすことが苦手。企業としても猿人よりも馬人の方が雇いやすいから、猿人の雇用が減っている世界。
同じ土俵にたっては、猿人には馬人に及ばない点が多すぎるのです。
そのせいで猿人政府が馬人の勤務体系を見直す法案が出されたり。
現代日本を舞台に、そんな少しだけ歪んだ社会を描いた作品となっています。
先ほどの猿人×馬人の夫婦のほかに、同じ会社に勤めている社会人たちのペアのストーリーも同時進行的に描かれ興味深いです。猿人が抱えるコンプレックスなど。
社会人編がややシリアスなため、イチャイチャ夫婦がイチャチャする気の抜けた4コマ漫画に癒されますねぇwしかし別々のペアでもって家庭と社会の2場面を分けて描くことで、それぞれにやや異なった形で猿人と馬人の共存が表現されており、うまい構成だなと感じました。
人種というやや扱いにくいテーマを描いている本作ですが、かなりスマートにまとまった良作なのではないでしょうか。お気に入りです。
まぁなによりですね。

「同じがいいの!」
なんですかこの(><)は!もうううううう奥さんかわいいー!
これも非常に印象的だったお話。羽の生えた少女のいる日常。これだけでも絵的に魅力的。進学天使
そしてこの作品もテーマとしては「現代神話」と同じく、普通の人間とそうじゃない人間の間にある複雑な感情や、共存の是非、といった感じ。
学生の男の子と女の子の恋愛がメインということで、大分馴染みやすいお話でもあります。
飛ぶトレーニングのために留学をする・・・ことにはちょっと抵抗がある少女。
彼女の意思を尊重し、「自分の好きなようにしないと後悔するぞ」なんて遠まわしなアドバイスをする男の子。まぁそれは「そばにいて欲しい」なんて言えない照れが故。そんな油断が許されているのは、彼女が留学に乗り気でないからこそなんですが。
羽があったとしても、それが彼女が普通の人生を諦める理由にはならない。
そう彼は信じていた。周囲の無理な期待にこたえてやる必要なんてないのだと。

けれどそれは揺らぎ、そして崩れてしまった。
実際に空を羽ばたく少女を見て、少年は思ってしまったのだ。周囲の期待に応える必要はない・・・けれど応えられる能力を手放すことは、本当に彼女にとって良いことなのだろうか。彼女がそれを望む望まないに関わらず、空を飛ぶということは彼女にとっても大切なことなのではないだろうか、と。
そして少年は、少女を傷つけてしまう。
理解したつもりになってしまった弱さ。正しいことだと信じぬくことが出来なかった。
大局的に見れば正しかったのかもしれない。正しかったのかもしれないが、彼はきっとこの結末を本心から望んでいたわけではなかっただろうし、自分も彼女があんな表情をするところなんて見たくなかった。でも逆に言えば、あえてこの結末を見せられたからこそ、こんなにも胸に残る作品になったのかも知れません。
大人だったら理性的に割り切れただろうし、子供だったらもっと夢ばかり見れたかもしれない。どちらでもない、この年頃特有の不幸であり、ロマンですよね。些細なズレから連鎖する。
きっと正しく真実を受け止めるのに、この男の子では何かが足りなかった。
思春期だからこその不安定さが織り成すセンチメンタル。
思わずため息。いいですねえ。強烈に切ないのに、なんでこうほっこりするのか。

あと天使ちゃんかわいいなって!この作品何気に女の子キャラかわいいのですよ。
ドラゴンがいる日常。そんなお話。竜の学校は山の上
竜が存在していることが当然なこの世界。竜もまた、ある意味で「家畜」として人間社会に溶け込んでいます。まぁそれでもちょっと珍しいようですけども。
舞台は全国で唯一「竜学部」を有する宇ノ宮大学。
新入生の主人公は、そこで竜研究会の部長と出会い、物語が始まります。
竜は貴重な生き物です。けれど今、人間社会は竜を必要とはしていません。
あらゆる面でコストがかかりすぎる上に、食用としてもイマイチ、ペットとしても難ありまくり。ぶっちゃけ役立たずなのだ。
でもやっぱりそれでも惹かれてしまうもので。なんたって、竜ですよ。
ただ「好き」なだけじゃ現実的に食っていけない。竜を好きな人間も、竜そのものも、共倒れになってしまう。だからこそ、人間にとって竜が役に立つということを証明しなければならない。竜のために、竜の活用法を見つけなければならないのです。
竜研究会の会長はそれを目指している人物。けれどどうにも研究が行き詰る・・・。
好きだからこそもっと認められて欲しいと願うのに、好きだからこそ得た知識で、それが困難であることも分かってしまっている。竜は役立たずだって言われることが何よりも悔しいのに、それを否定してやることもできない自分が一番、情けない。
言ってしまえば、自分を否定するための、自分との戦いなのだ。
しっかりとした舞台設定がされており、竜がいる世界というのが実にリアルに感じられるのもこの作品の面白さ。その上で「価値観」の問題をベースに、軽やかにメッセージを届けてくれる良作です。終盤の飛翔シーンになぜだからすごく感動してしまった。
こんなにカッコいいのに、それが認められない世界なんて、そりゃ悔しいもんだ。
部長さんの秘めたる情熱に胸打たれるとともに、その飄々とした性格や彼女自身のかわいらしさにも笑顔。息の上がったときの表情のなんたる色っぽさ!
そんな感じで、さわやかな興奮を届けてくれる、人と竜と強い意志の物語。
ダメダメな主人公の再生を描くショート。これもどこかシュールな読み心地です。くず
「おめでとう!君は栄えあるくずの中のくず!」とか迷言が飛び出す作品でもありw
作品集としては一番最後におかれている作品で、ほんのり前向きになれます。
ほどよく力の抜けた感じのゆるめなタッチの作画もお気に入り。さらりと読めます。
いや、なげぇよ!と自分で言いたくなるくらい今回の記事ちょいと長いですね。
ではまとめといきます。
RPG風ファンタジーから現代を舞台にしたものまで、また物語の方向性もバラエティー豊富で、様々な作品を一度に楽しめるという意味で非常に好きな感じの短編集でした。
優しく感動させられるものから後悔に身をよじりたくなるようなものまで。
ページ数のボリューム感に相応しい、素敵な物語がぎっしりと詰まった一冊です。
普通の人間とそうじゃない存在の組み合わせがよく登場するので、テーマとしてはやはりそこらへんを強く滲ませているなという印象。人外キャラが多数登場するのも楽しいですね!
またこの絵も素敵だなーと。この素朴な絵柄は清涼感あります。
土のにおい、風のにおい、涙のにおい。あっさりとした作画ですが、だからこそ想像力が刺激されて、短編ごとにに違った空気を感じられたように思います。
詰め込みすぎていない画面のため読みやすさも抜群。けれど手抜きはされていません。
それと女の子が可愛いということはさっきから何度も書いてますっけね。こう、キラキラしてるわけではないんですけども、なんとなくずっと見ていたくなるような感じで魅力的な女の子たちがいっぱいです。彼女たちがいる世界もまた、同じことが言えます。
決して綺麗に輝く物語ではないけれど、でもどれもすごく切実で、温かで、面白い。
総じて、様々な面でレベルの高い本になっているのではないでしょうか。
多彩なメッセージを届けつつ、それが押し付けがましくなっていないのも○。
どの作品からもいわゆる同人漫画っぽさは感じるので、それが気になる人がいるかもしれません。しかし個人的にはそういうのもひっくるめてかなりツボ。視点の面白さにもニヤリ。
あなたの心をそっと揺さぶる物語が、きっと見つかります。
『竜の学校は山の上』 ・・・・・・・・・★★★★☆
いろんな層にお勧めしたい良質な作品集。ファンタジーだったり現代モノだったりで賑やか。
※234ページには作者も発売後に気づいて悶絶したようですが「集中せん」という原稿のメモが消されないまま残されてしまっていたりします。笑ってスルーだ。
[本]ティアドライブ本格始動。期待と不安入り混じる初ライブ! 「ハレルヤオーバードライブ!」4巻
![]() | ハレルヤオーバードライブ! 4 (ゲッサン少年サンデーコミックス) (2011/04/12) 高田 康太郎 商品詳細を見る |
隣を見て!!私が一緒にいる!!
ゲッサンにて連載中の「ハレルヤオーバードライブ!」4巻が発売されました。
3巻の記事はこちら→加速する青春模様。解き放て音楽の魔法! 『ハレルヤオーバードライブ!』3巻 3巻から続き、今回も目をひく華やかな表紙イラスト!かわいいですねー。
ゲッサンとしても強く推している作品であるようで、カラーを多く獲得しています。
しかしまぁ当然ですがコミックス収録の際には大半がモノクロになってしまっているので、ファンは本誌もチェックして欲しい作品ですね。それだけの価値はあり。
ちなみに同日発売のゲッサン最新号にはこの4巻の付け替えカバーが付いてきまして、単行本は麗、ゲッサン付録はハルさんと分けられています。どちらを見えるようにするか非常に悩みどころだったりしますね!ちなみに絵柄はこちらの下のほうにサンプルが。
はてさて今回はというと、一冊まるまる待望の、そして怒涛のライブ編となっています。
小雨の新バンド「ティアドライブ」初ライブということで、見逃せない内容の第4巻。
これまではあくまでも部活としての狭い世界を描いてきた本作ですが、ついに外の世界へ彼らの音楽を披露することになり、ストーリーの大きな広がりを予感させますね。
迎えた初ライブの日。もちろん緊張のためガチガチになってしまっている小雨ですが
そんな彼に追い討ちをかけるように、とある女の子と再開してしまいます。
それは中学卒業の日に小雨が告白し、見事に玉砕した女の子・ミキ。彼にとって彼女は「冴えない過去の象徴」であり、小雨はライブ前に強烈なプレッシャーに襲われることに。
はたしてティアドライブ初ライブは成功するのか・・・!
今回ライブ編ということで演奏シーンが多く、絵的にも内容的にも異常にテンションあがる一冊となっているわけですが、主人公小雨のみならず、麗やハル先輩など女性キャラが強く輝いた1冊でもあるなと感じます!
個人的にライブ前のこのやりとりからしてたまらなく胸を熱くしてしまいました。

ミキに「空回りしてる」「見ていられない」と陰口を叩かれてるのを聞いてしまった小雨。
落ち込む彼にあえて聞こえるように、麗はミキに対して反論をします。
同時刻、ハル先輩もティアドライブをバカにした他バンドマンに言い放ちます。
「朝倉小雨はやる男だ!!」
強い信頼、大きな期待。こんなに強く信じられている自分。さぁ大変だ、気合いれろよ。応えられなきゃ、カッコ悪いよな。ステージに上がる前からこんなにも燃える!
この作品には、小雨をめぐるメインヒロインは2人います。
小柄でかわいらしいけどむちゃくちゃにパワフルなドラマー少女・ハルと
主人公の小雨に恋して入部してきた真面目なベース少女・麗。
どちらも甲乙つけがたくかわいらしいので困ったものなのですが、いやぁ4巻の麗の活躍っぷりと言ったらたまりませんね!このかわいさはどういうことか!
彼女は小雨のティアドライブのメンバーでもあり、案の定ライブ開始直後からぜんぜんうまくいかない小雨に不安を募らせます。グダグダな演奏に会場から出て行ってしまうお客さんも出始め、いよいよ最後の一曲となってしまったころ、ついに麗が動きました。大胆に。
かつて好きだったミキが小雨の目の前にいる。自分の歌を聞いている。
過去の象徴である彼女との対峙は、まるで昔の自分との対決。うまく羽ばたけないままもがく小雨の背中を押すべく、彼女は彼を手をとります。

そしてそのまま自分の胸へ。
「あなたは一人じゃない、仲間の自分がいる」ということをアピールするとともに、小雨に自分の「女の子」を意識させるというすばらしき一手でございます。策士め!
ともあれこのおかげでいろんな悩みが頭から吹っ飛んだ小雨。いよいよ、爆発。
過去を振り切って進んだこと、そして確かな結果を得たこと。
この巻は物語として大きな盛り上がりのある巻ですし、小雨というキャラにとっても大きなターニングポイントになったことでしょう。 彼は目覚しい成長を遂げています。
これまでは暴走するだけで空回ってきた小雨ですが、4巻では目の前の問題に対してまっさきに理にかなった解決策を提案していたりします。
もちろんそれは無謀であることは変わりませんが、彼はその行動力をうまい方向へコントロールすることができつつあるのかもしれません。
そしてもちろん音楽の面においても。ミキからは「やる男だ」と認められましたし、ハルさんは彼の歌声を聞いて「優しい声も出せるようになったんだな・・・」と評価しました。
「ハレルヤオーバードライブ!」は見所の多い作品だと思いますが、みるみる成長してくれている小雨の魅力がそのままこの作品の魅力でもあるよなと。
そしてこの巻、ハル先輩が「希望」という曲に苦しめられている理由が明かされ、また「敵」であると明確に描かれた浅緋先輩が始めて本格的に物語に組み込まれてきました。
小雨は浅緋と初対面を果たし、彼と戦うことを選びます。
この作品の大きな流れが見えて、今後の期待がより大きくなった一冊でした。
ではまとめ。
一冊まるまる高いテンションが維持され(後半シリアスですが)、とても楽しめました。
この作品の目玉でもあるド派手な演奏シーンも目いっぱいに堪能できます。
ティアドライブのライブと同時に、先輩たちのバンド「メタりか」の演奏も今回描かれますが、この描写もよかったですね。同じステージに立ったからこそ分かる、先輩たちの偉大さ。その背中は、まだ遠いか。
ラブコメ的にも見逃せない箇所が多く、本当に充実感のある一冊でしたね。
今後のハル先輩の動向には気になりますねぇ。今月のゲッサンを読むと特にw
なんにせよ、様々な面で今後の楽しみがある作品であることは間違いありません。
爽やかポップな青春バンドストーリー、ますます見逃せませんね。

少年少女のまっすぐなイマに、激しく楽しい音楽を。
『ハレルヤオーバードライブ!』4巻 ・・・・・・・・・★★★★
大盛り上がりのライブ編。読んでて心揺さぶられますねー!
[本]これもまたひとつの奇跡。『ひぐらしの哭く頃に雀 燕返し編』上下巻
![]() | ひぐらしの哭く頃に 雀 燕返し編 (上) (近代麻雀コミックス) (2010/07/27) 竜騎士07 山田J太 商品詳細を見る |
![]() | ひぐらしの哭く頃に 雀 燕返し編 下 (近代麻雀コミックス) (2011/02/26) 山田J太 商品詳細を見る |
いい麻雀してるじゃないか
今日は「ひぐらしの哭く頃に雀 燕返し編」の上下巻をまとめて。
前に自分がちらっとやったラジオでも微妙に触れた作品ですね。
ひぐらし漫画は数あれど、中でもかなり異色なものの1つなのではと思います。
公式の方で出た麻雀ゲームのコミカライズ、という形式ではあるのですが自分はそのゲームをやっておらず、この漫画で雀シリーズに触れましたので、原作との比較はできません。
それでまぁネタ的なものを少々期待をしつつ(麻雀ということで脱衣をなんとなく予想してました)、またJ太先生の美麗イラストひぐらしキャラクターを堪能するべく購入したのですが、もうとんでもないとんでもない。土下座。
物語として、ひぐらし的カケラのひとつとして、ガチで面白い作品に仕上がっています。
物語の構造としてひぐらし本編をなぞったものとなっており、今回ももれなく時報トミーはお亡くなりになるわけですが、読んでいて非常ににぎやかな印象です。
というのも本作は部活の一環として麻雀をしまくるというものなので、ひぐらしを彩るヒロインたちの出番も多くそれぞれに魅力的な決めシーンがあり、また赤坂なども登場する(雀ゴロという設定)お祭りのような展開。ひぐらしキャラ勢ほぼぞろいと言えるのではないでしょうか。
もともとある部活という何でもありな設定を活用し本編とは大きく異なった「麻雀を軸に回るストーリー」も、それほど違和感の無いものになっています。
また麻雀を疑心暗鬼を呼ぶ過酷なゲームであるとしているため、ひぐらしらしさもバッチリ感じさせてくれます。不思議なくらい無理のないストーリー展開になってたなと。

そしてそのストーリーというのがまた熱くてですね・・・!
ひぐらし本編では各編に散らばっている様々な要素を少しずつつまんだ総合的な内容でありながら、その上で部活メンバーとの絆を前面に押し出した、まったく新しい物語が紡がれています。
圭一が疑心暗鬼に取り込まれるということで、「鬼隠し編」の色が強いかなと思いますが
ストーリーは竜騎士07さん監修。麻雀漫画と侮る無かれ、間違いなく「ひぐらし」です。
多くの点でコミカライズ作品としての上手さを感じさせられる作品ですね。
もう何度か言ってますが、自分は本当にこの話に完全にやられてしまいまして。
特に下巻の展開の熱さはすさまじく、泣いてしまいましたよ冗談抜きで!こんな面白くいひぐらしに新しく触れられたことにもまた感動です。あぁー。
疑心暗鬼にとらわれた圭一。すべてが疑わしく思えてきて、正体不明の疎外感・苛立ちからのストレスで首をかきむしる。なんとか勝つために麻雀に嵌まり込んでいき、それを繰り返すたびに圭一の中の混沌は大きく膨らんでいく・・・。
じりじりと追い詰められるような緊迫感がよく描かれていましたね。
心苦しい展開が続き、不吉な予感に心が折れてしまいそうになりますが・・・
けれどこのお話では、梨花も驚く奇跡が起きる。いや、起こすのだ。彼らが。
途中明らかに「鬼隠し編」をなぞった展開を読者に予期させる展開に入りましたが、見事にそれを裏切ってくれました。圭一に何かが届いた、ifの世界の「鬼隠し」を思わせます。
ひぐらし本編を知った上で読むと、そういう意味でも目頭が熱くなりました。
イカサマを仲間に仕掛ける、ということの意味がやさしく変わっていくシーンは個人的にも大のお気に入りですし、この燕返し編の目玉でもあるでしょう。何せ「燕返し」です。

ちなみに物語を動かす役割の大部分を担うのがレナでもあり、レナ党の私は歓喜です。
このコマのレナのかわいさと物語におけるカタルシスに俺の顔面は大変なことに!
ラストへの流れや着地点も絶品で、こういう世界もいいじゃないかと!
ファンとしてはこういう物語を読めてよかったなぁと強く感じました。
ではまとめ。
麻雀をメインにした異色のひぐらし漫画。しかしその出来映えもまた異色。
原作にない漫画オリジナルストーリーでこの完成度・・・!びっくりですよ!(雀のゲームで同様のシナリオがあったら違うので申し訳ないですが・・・)
まだ読んでいないひぐらしファンはぜひぜひチェックしてみて欲しいところ。
しかし正直な話、自分は麻雀をしたことがなくルールもあまり知らないという人間でして。
自分が麻雀を詳しく知っていれば、麻雀漫画としてまた別の視点からもこの作品を楽しめたのかなと思うと、ちょっと悔しいですね。麻雀勉強したいなぁ。
しかしながらそんな自分でも大変楽しめましたし、感動しました。ルールが分からないからと言ってそこに不安を感じる必要はありません。もちろん麻雀を知っていればより楽しめるのでしょうが。あとがきで竜騎士07先生も書いていましたが、ひぐらしファンへ向けた麻雀入門作品という役割もあるようです。
そしてJ太先生作画に期待していた自分ですが、バッチリです。どのキャラクターもかっこよく、恐ろしく、そしてなによりかわいらしい。レベル高いですなぁ。
シナリオ、イラスト両方において素晴らしいひぐらしコミックなのでは!
麻雀を抜きにしても間違いなくお勧めできる作品です。というか知らない自分が読んで熱にやられて麻雀やりたくなったので、そういう意味でも嬉しい作品。
『ひぐらしの哭く頃に雀 燕返し編』上下巻 ・・・・・・・・・★★★★
異色なコラボで奇跡のような出来映え。文句なしに熱く面白いコミカライズ!
[本]初々しい年上女性との初夜が熱い! 『ノ・ゾ・キ・ア・ナ』7巻
さいきん更新が減ってきててすいません。
ノ・ゾ・キ・ア・ナ 7
宣戦布告だ・・・!
ちょいと前に週間サンデーに「ノゾミとキミオ」という全3話の作品が掲載されまして、即座に心射抜かれた自分はすぐさま本名ワコウ先生をググり、この「ノゾキアナ」をチェックしていなかったことを悔やみつつ買いに走ったものです。
むちゃくちゃに愛らしい表情をするヒロインもすばらしかったのですが、思春期独特の変態っぽさをムンムン漂わせるフェチな舞台設定は感涙モノです。
ちなみに今なら「ノゾミとキミオ」第一話が無料公開されてます→クラサンHP(4月25日まで)
しかし今回は「ノゾキアナ」の更新。
そんなわけで取り上げるのは当然今回が初めてですが、いやぁ面白いのですよ!
ケータイ漫画ということでそういう需要が大きいのでしょうが、所謂エロ漫画です。
しかしエロ漫画によくある一話完結ものではなく、しっかりとしたストーリーがある長編シリーズであり、ストーリーも文句なしに面白いのです。目が離せない展開の連続!
まぁ目が離せないのはエロいからでもありますが。
では感想へー。
6巻で新たに登場した女の子・亘まどかと急接近をする主人公・城戸龍彦。
新しい恋に浮き足立つ城戸ですが、変わらずすぐ近くで存在感を放ち続ける本作の看板娘(?)生野えみるには、やはり心乱されてしまう彼なのでした。
「死んでも覗き合いを続ける」と堂々宣言するなど、強い執着を見せるえみる。
まどかとの恋はどうなるのか・・・と同時に、えみるの動向も非常に気になる展開です。
んでこの7巻ですが、まどかちゃんがかわいすぎるんじゃい!ですよ!

まどかちゃんは主人公から3つ年上の女性。
しかし学年的には後輩にあたる人物であり、またその性格からいまだに性経験がなく、処女であることにコンプレックスを抱いているようです。
さぁそんなまどかちゃんが主人公との初のセックスに挑むのが今回です!
お姉さんキャラのはずが経験がないため、主人公にリードをお願いしているまどかちゃん。頼りなく初々しい年上女性との夜とか・・・・・・これが、心か―――と浄化されかねない素晴らしさ!恥らいつつも覚悟を決めた彼女の表情に興奮も最高潮です。
そしてもちろんエロい。18禁ではないにしろ、エロさは十分です。

スペシャルサンクス:マンガのおかげでしたのけやきさん (無許可です)(ニコッ)
本当にいい表情をしてくれる・・・!本名ワコウ先生が描く表情が大好きです。
もっとじっくり2人の時間を描いて欲しかった・・・とも思いましたが、しっかりと物語を進めてくれるのは嬉しいところでしょう。主人公の心理描写も丁寧にされています。
この巻は彼女の純粋さが輝きまくる内容になっていたなと感じました。メインキャラであるえみるが底知れぬものを秘めているようなキャラクターなので、余計に彼女の存在は作品においても癒しになっていたようにも。かわいいなぁ。
しかしこの巻、えみるの動きにも注目したいところですね。
6巻で改めてその潜めた恐ろしさを主人公に、そして読者に見せ付けた彼女ですが、7巻での彼女はこれまでとは明らかに様子がおかしいのです。
目立った最初の変化は、城戸がまどかと結ばれた夜を約束どおりに覗いていた時。
自身の動揺に気づいているように見える彼女は、改めて城戸に自分との距離を、近くのにどうしようもなく遠く距離を、「あたしが城戸さんのそばにいられるのは、「覗き穴」の向こうまで・・・どうがんばっても、そこまでなんですから」と表現しました。城戸に・あるいは自分自身に言い聞かせるように。
どうがんばっても、という言い回しは実に引っかかりがあるもので
これには彼女の諦観が込められているようにも感じて、切なさが際立ちます。

愛していると告げようと、えみるは恐らく自分が報われるとは思っていない。
「覗き合い」に執着する彼女の真意はいまだ測れません。しかし彼女が城戸に並々ならぬ感情を抱いていることは間違いなく、またそれがあふれ出した今回の展開はすごかったですね。
ミステリアスなえみるの真実が見えるのも、もしかしたら近いかも知れません。
確実に変わりつつある人間関係。流石えみる、一筋縄ではいかない女の子。
ではまとめへ。
これまでなんだかんだで激動の展開を数多く迎えてきた「ノゾキアナ」ですが
今回はややしっとりと、上に書いたように人間関係の成熟・変化を追っています。
しっとりといいつつ、まぁ正しくしっとり過激なこともやっているのですが!
でもやはりそれぞれの登場キャラクターが密かに抱えるものがどんどんとふくらみ発展し、主人公をめぐる環境が複雑になってきたよなぁと。それも大分切ないカタチで。
エロ漫画ではあるのですが、物語の本筋でここまで読ませられるとは。ページをめくる手が止まりませんし、単行本読了後のはやく次を読みたいという欲求もすごいです。
最後の不穏なモノローグと次巻予告の新キャラに、期待と不安が煽られる煽られる・・・!
1巻から通して思うのですが、「覗き穴」とそれをめぐる約束事だけで、よくぞここまで面白くできるものだと。定期的にエロシーンを挿入し、また新キャラを次々投入していくエロ漫画らしい作りとなっているのですが、とにかく話が面白い。
似たような展開の繰り返しに陥らず、常に読者をハラハラさせてくれる作品です。
肉感的な絵もお気に入りですし、ヒロインたちもみんな可愛らしい。エロいですしね。
ノゾキアナで紡がれる刺激的な人間模様。目が離せない作品です!
『ノ・ゾ・キ・ア・ナ』7巻 ・・・・・・・・・★★★★
メイン女性キャラみんなかわいくて困った困った。早く続きを!ください!

宣戦布告だ・・・!
ちょいと前に週間サンデーに「ノゾミとキミオ」という全3話の作品が掲載されまして、即座に心射抜かれた自分はすぐさま本名ワコウ先生をググり、この「ノゾキアナ」をチェックしていなかったことを悔やみつつ買いに走ったものです。
むちゃくちゃに愛らしい表情をするヒロインもすばらしかったのですが、思春期独特の変態っぽさをムンムン漂わせるフェチな舞台設定は感涙モノです。
ちなみに今なら「ノゾミとキミオ」第一話が無料公開されてます→クラサンHP(4月25日まで)
しかし今回は「ノゾキアナ」の更新。
そんなわけで取り上げるのは当然今回が初めてですが、いやぁ面白いのですよ!
ケータイ漫画ということでそういう需要が大きいのでしょうが、所謂エロ漫画です。
しかしエロ漫画によくある一話完結ものではなく、しっかりとしたストーリーがある長編シリーズであり、ストーリーも文句なしに面白いのです。目が離せない展開の連続!
まぁ目が離せないのはエロいからでもありますが。
では感想へー。
6巻で新たに登場した女の子・亘まどかと急接近をする主人公・城戸龍彦。
新しい恋に浮き足立つ城戸ですが、変わらずすぐ近くで存在感を放ち続ける本作の看板娘(?)生野えみるには、やはり心乱されてしまう彼なのでした。
「死んでも覗き合いを続ける」と堂々宣言するなど、強い執着を見せるえみる。
まどかとの恋はどうなるのか・・・と同時に、えみるの動向も非常に気になる展開です。
んでこの7巻ですが、まどかちゃんがかわいすぎるんじゃい!ですよ!

まどかちゃんは主人公から3つ年上の女性。
しかし学年的には後輩にあたる人物であり、またその性格からいまだに性経験がなく、処女であることにコンプレックスを抱いているようです。
さぁそんなまどかちゃんが主人公との初のセックスに挑むのが今回です!
お姉さんキャラのはずが経験がないため、主人公にリードをお願いしているまどかちゃん。頼りなく初々しい年上女性との夜とか・・・・・・これが、心か―――と浄化されかねない素晴らしさ!恥らいつつも覚悟を決めた彼女の表情に興奮も最高潮です。
そしてもちろんエロい。18禁ではないにしろ、エロさは十分です。

スペシャルサンクス:マンガのおかげでしたのけやきさん (無許可です)(ニコッ)
本当にいい表情をしてくれる・・・!本名ワコウ先生が描く表情が大好きです。
もっとじっくり2人の時間を描いて欲しかった・・・とも思いましたが、しっかりと物語を進めてくれるのは嬉しいところでしょう。主人公の心理描写も丁寧にされています。
この巻は彼女の純粋さが輝きまくる内容になっていたなと感じました。メインキャラであるえみるが底知れぬものを秘めているようなキャラクターなので、余計に彼女の存在は作品においても癒しになっていたようにも。かわいいなぁ。
しかしこの巻、えみるの動きにも注目したいところですね。
6巻で改めてその潜めた恐ろしさを主人公に、そして読者に見せ付けた彼女ですが、7巻での彼女はこれまでとは明らかに様子がおかしいのです。
目立った最初の変化は、城戸がまどかと結ばれた夜を約束どおりに覗いていた時。
自身の動揺に気づいているように見える彼女は、改めて城戸に自分との距離を、近くのにどうしようもなく遠く距離を、「あたしが城戸さんのそばにいられるのは、「覗き穴」の向こうまで・・・どうがんばっても、そこまでなんですから」と表現しました。城戸に・あるいは自分自身に言い聞かせるように。
どうがんばっても、という言い回しは実に引っかかりがあるもので
これには彼女の諦観が込められているようにも感じて、切なさが際立ちます。

愛していると告げようと、えみるは恐らく自分が報われるとは思っていない。
「覗き合い」に執着する彼女の真意はいまだ測れません。しかし彼女が城戸に並々ならぬ感情を抱いていることは間違いなく、またそれがあふれ出した今回の展開はすごかったですね。
ミステリアスなえみるの真実が見えるのも、もしかしたら近いかも知れません。
確実に変わりつつある人間関係。流石えみる、一筋縄ではいかない女の子。
ではまとめへ。
これまでなんだかんだで激動の展開を数多く迎えてきた「ノゾキアナ」ですが
今回はややしっとりと、上に書いたように人間関係の成熟・変化を追っています。
しっとりといいつつ、まぁ正しくしっとり過激なこともやっているのですが!
でもやはりそれぞれの登場キャラクターが密かに抱えるものがどんどんとふくらみ発展し、主人公をめぐる環境が複雑になってきたよなぁと。それも大分切ないカタチで。
エロ漫画ではあるのですが、物語の本筋でここまで読ませられるとは。ページをめくる手が止まりませんし、単行本読了後のはやく次を読みたいという欲求もすごいです。
最後の不穏なモノローグと次巻予告の新キャラに、期待と不安が煽られる煽られる・・・!
1巻から通して思うのですが、「覗き穴」とそれをめぐる約束事だけで、よくぞここまで面白くできるものだと。定期的にエロシーンを挿入し、また新キャラを次々投入していくエロ漫画らしい作りとなっているのですが、とにかく話が面白い。
似たような展開の繰り返しに陥らず、常に読者をハラハラさせてくれる作品です。
肉感的な絵もお気に入りですし、ヒロインたちもみんな可愛らしい。エロいですしね。
ノゾキアナで紡がれる刺激的な人間模様。目が離せない作品です!
『ノ・ゾ・キ・ア・ナ』7巻 ・・・・・・・・・★★★★
メイン女性キャラみんなかわいくて困った困った。早く続きを!ください!
[ゲーム]エビコレ+アマガミッ!エビコレ+アマガミッ!!
![]() | エビコレ+ アマガミ Limited Edition (オムニバスストーリー集「アマガミ -Various Artist- 0」同梱) (2011/03/31) Sony PSP 商品詳細を見る |
「エビコレ+アマガミ」のLimited Editionを購入しましたー!!
現在非常にリアルが忙しいこともありますが、せっかくのお祭りなので(延期もありましたし尚更!)、今日はLimited Editionどんな感じなのか、一刻も早くPSPを起動させたいところをなぜかこうしてキーボード打っております。ノリで突っ切る所存。
すでに各所で言われていることではありますが、何しろ外箱がデカい!

パッケージの横に置いてあるのは普通の少年漫画単行本。タテがちょうど2冊半くらいですかね。測ったら44センチでした。こんなデカいゲームのパッケージ、自分初めて見ました・・・。
あ、置いてあるのは「ケルベロス」です。最近マジで面白いと思います。
んで開けるとこんな感じ。

まずゲーム本編と付属のアンソロジーコミック「VariousArtists0」
アンソロ本では毎回注目のカバー裏ですが、今回は原画家・高山箕犀さんが担当。
絢辻さんと星乃さん(キミキス)がまたしてもおかしなことに。いい仕事をなさる。

これがみゃーの300ピースジグソーパズルで

こちらがまだ未開封ですが、パズル用のパネルとなっています。
パズルの完成を急ぎたいと思います。

んでこれが『キミキス』未公開イラストクリアポスター6種。
TwitterIDの元ネタにもさせてもらっている、自分の中の特上ヒロイン/二見さんのお蔵だしイラストも今回ありまして、ときめきと感動が止まりません。いやもうマジで可愛いな、おいおい。
お粗末な更新になってしまいましたが、とりあえずこの辺でー。
我慢できません、アマガミやってきます。