[本]これもまたひとつの奇跡。『ひぐらしの哭く頃に雀 燕返し編』上下巻
ひぐらしの哭く頃に 雀 燕返し編 (上) (近代麻雀コミックス) (2010/07/27) 竜騎士07 山田J太 商品詳細を見る |
ひぐらしの哭く頃に 雀 燕返し編 下 (近代麻雀コミックス) (2011/02/26) 山田J太 商品詳細を見る |
いい麻雀してるじゃないか
今日は「ひぐらしの哭く頃に雀 燕返し編」の上下巻をまとめて。
前に自分がちらっとやったラジオでも微妙に触れた作品ですね。
ひぐらし漫画は数あれど、中でもかなり異色なものの1つなのではと思います。
公式の方で出た麻雀ゲームのコミカライズ、という形式ではあるのですが自分はそのゲームをやっておらず、この漫画で雀シリーズに触れましたので、原作との比較はできません。
それでまぁネタ的なものを少々期待をしつつ(麻雀ということで脱衣をなんとなく予想してました)、またJ太先生の美麗イラストひぐらしキャラクターを堪能するべく購入したのですが、もうとんでもないとんでもない。土下座。
物語として、ひぐらし的カケラのひとつとして、ガチで面白い作品に仕上がっています。
物語の構造としてひぐらし本編をなぞったものとなっており、今回ももれなく時報トミーはお亡くなりになるわけですが、読んでいて非常ににぎやかな印象です。
というのも本作は部活の一環として麻雀をしまくるというものなので、ひぐらしを彩るヒロインたちの出番も多くそれぞれに魅力的な決めシーンがあり、また赤坂なども登場する(雀ゴロという設定)お祭りのような展開。ひぐらしキャラ勢ほぼぞろいと言えるのではないでしょうか。
もともとある部活という何でもありな設定を活用し本編とは大きく異なった「麻雀を軸に回るストーリー」も、それほど違和感の無いものになっています。
また麻雀を疑心暗鬼を呼ぶ過酷なゲームであるとしているため、ひぐらしらしさもバッチリ感じさせてくれます。不思議なくらい無理のないストーリー展開になってたなと。
そしてそのストーリーというのがまた熱くてですね・・・!
ひぐらし本編では各編に散らばっている様々な要素を少しずつつまんだ総合的な内容でありながら、その上で部活メンバーとの絆を前面に押し出した、まったく新しい物語が紡がれています。
圭一が疑心暗鬼に取り込まれるということで、「鬼隠し編」の色が強いかなと思いますが
ストーリーは竜騎士07さん監修。麻雀漫画と侮る無かれ、間違いなく「ひぐらし」です。
多くの点でコミカライズ作品としての上手さを感じさせられる作品ですね。
もう何度か言ってますが、自分は本当にこの話に完全にやられてしまいまして。
特に下巻の展開の熱さはすさまじく、泣いてしまいましたよ冗談抜きで!こんな面白くいひぐらしに新しく触れられたことにもまた感動です。あぁー。
疑心暗鬼にとらわれた圭一。すべてが疑わしく思えてきて、正体不明の疎外感・苛立ちからのストレスで首をかきむしる。なんとか勝つために麻雀に嵌まり込んでいき、それを繰り返すたびに圭一の中の混沌は大きく膨らんでいく・・・。
じりじりと追い詰められるような緊迫感がよく描かれていましたね。
心苦しい展開が続き、不吉な予感に心が折れてしまいそうになりますが・・・
けれどこのお話では、梨花も驚く奇跡が起きる。いや、起こすのだ。彼らが。
途中明らかに「鬼隠し編」をなぞった展開を読者に予期させる展開に入りましたが、見事にそれを裏切ってくれました。圭一に何かが届いた、ifの世界の「鬼隠し」を思わせます。
ひぐらし本編を知った上で読むと、そういう意味でも目頭が熱くなりました。
イカサマを仲間に仕掛ける、ということの意味がやさしく変わっていくシーンは個人的にも大のお気に入りですし、この燕返し編の目玉でもあるでしょう。何せ「燕返し」です。
ちなみに物語を動かす役割の大部分を担うのがレナでもあり、レナ党の私は歓喜です。
このコマのレナのかわいさと物語におけるカタルシスに俺の顔面は大変なことに!
ラストへの流れや着地点も絶品で、こういう世界もいいじゃないかと!
ファンとしてはこういう物語を読めてよかったなぁと強く感じました。
ではまとめ。
麻雀をメインにした異色のひぐらし漫画。しかしその出来映えもまた異色。
原作にない漫画オリジナルストーリーでこの完成度・・・!びっくりですよ!(雀のゲームで同様のシナリオがあったら違うので申し訳ないですが・・・)
まだ読んでいないひぐらしファンはぜひぜひチェックしてみて欲しいところ。
しかし正直な話、自分は麻雀をしたことがなくルールもあまり知らないという人間でして。
自分が麻雀を詳しく知っていれば、麻雀漫画としてまた別の視点からもこの作品を楽しめたのかなと思うと、ちょっと悔しいですね。麻雀勉強したいなぁ。
しかしながらそんな自分でも大変楽しめましたし、感動しました。ルールが分からないからと言ってそこに不安を感じる必要はありません。もちろん麻雀を知っていればより楽しめるのでしょうが。あとがきで竜騎士07先生も書いていましたが、ひぐらしファンへ向けた麻雀入門作品という役割もあるようです。
そしてJ太先生作画に期待していた自分ですが、バッチリです。どのキャラクターもかっこよく、恐ろしく、そしてなによりかわいらしい。レベル高いですなぁ。
シナリオ、イラスト両方において素晴らしいひぐらしコミックなのでは!
麻雀を抜きにしても間違いなくお勧めできる作品です。というか知らない自分が読んで熱にやられて麻雀やりたくなったので、そういう意味でも嬉しい作品。
『ひぐらしの哭く頃に雀 燕返し編』上下巻 ・・・・・・・・・★★★★
異色なコラボで奇跡のような出来映え。文句なしに熱く面白いコミカライズ!
Comment
最後の3人同時ロンは三家和で流局のはずなんだけどねwww
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