[小説]王道RPG的、剣と魔法とハーレム(願望)の物語。『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』1.2巻
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか (GA文庫) (2013/01/16) 大森藤ノ 商品詳細を見る |
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 2 (GA文庫) (2013/02/16) 大森 藤ノ 商品詳細を見る |
大丈夫、なんていったって、僕は君の神様なんだぜ?
「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」略してダンまち。
GA文庫大賞、初の『大賞』を受賞した本作の1,2巻の感想です。
ネット小説→文庫化という今ハヤリのルートでやってきた本作ですが、自分はネット小説は完全に手付かずなので、前知識もほとんどなく読み出しました。しかしこれは中々面白い。
素直でスカッと気持ちがいい、ストレートなファンタジーノベルです。
世界樹の迷宮とか、オーソドックスな探検RPGの世界観ですね。
現実とファンタジーの融合(別世界に行くor別世界から来る)系ではなく、純粋にファンタジーの世界での冒険であり、超がつく王道系でありながら一周回って新鮮にも感じられたり。
そして目くるめく魅力的なヒロインたち。これも素敵なところですよね!(ニコッ
雰囲気も明るくて気楽に読める雰囲気もグッド。でも盛り上がるとこは盛り上がるよ。
努力して成長する主人公!かわいい女の子!ワクワクする世界観!何より読みやすい!
大事なポイントは抑えられており、なるほどこれは大賞も頷ける。
すでに特設サイトが作られており、力が入っているなぁと。
さくっと感想書いていきたいと思います。
1巻2巻が連続刊行されたのでセットで感想を。
神が降りて人と暮らすようになった世界が舞台であり、そこではダンジョン攻略とそこからの資金調達がされている。冒険がビジネスとなる。完璧にRPGのような世界観ですね。敵を倒して経験値を貯めて、パラメータやスキルアップを目指し、レベル概念もあります。魔法や特殊スキルで戦闘を有利に進められたり。複数人でパーティを組んでダンジョンに潜って探検したり、オンラインゲームみたいなところはあるかも。ワクワクするッ!
主人公はダンジョン攻略にハーレムへの夢を抱く14歳の少年、ベル。
貧乏なロリ巨乳の神様ヘスティアと一緒に暮らす、駆け出しの冒険者です。
そんな彼を気にかけるギルドの受付嬢や、酒屋のウェイトレスや、セクシーな神様や……色んなヒロインたちからなんやかんやと一目置かれる、置かれていくお話。
「地下へ潜っていく度に敵のレベルが上がっていく」「敵を倒すことで経験値やお金を得る」といった言わばお約束な要素を、しっかり理由付きで物語に取り込んでいます。オーソドックスな世界観ゆえにとっつきやすい。それでいてお約束の上であぐらをかかず、しっかり設定を練りこんだ上で改めて『お約束のシステム』が構築されているのが好印象。
気に入ったのはそういった世界観にも現れていますが、特に主人公がまっすぐな少年であること。
とにかく女の子は守らなくちゃいけない、という非常に男の子らしいヒロイック思考回路。
「男だろ!?」と自分を鼓舞したり、「女の子だから(助けた)」と言い放ちヒロインを身悶えさせたり、そんなヤツ。「男は女の子を守らなくちゃ!」という素直さがこの主人公の良さでしょうか。
個人的には「男は女の子は守らなきゃ!」というタイプの発言はロマンではありますが希に性を意識しすぎなのではのマッチョイズム問題でたまに?になる(この作品とは違うもので)。でもベルくんはハナから「ダンジョンで女をガッポガッポや!ハーレムハレームぅ!!(誇張)」という目標があるので、これくらいクサくてカッコつけてもまぁいいかというw
でも本人は「こう言えば惚れられるかも?」な打算はせずナチュラルに口説いてますからね。カーッ、こいつは本物のハーレムを築ける器だ!
主人公補正がかかった固有スキルを持っていますが、あくまでもベル君の努力次第というものであるため、卑怯やんコレ!感はないですね。それでいて凄まじい成長速度で周囲を驚かせたり、前まで敵わなかった敵に逆転する、というシーンなどでカタルシスは味わえる。
主人公はぜんっぜん弱い段階から始まり、そこから成長速度はアレでも堅実にドンドン強くなっていく、というのがいいですねえ。なにより主人公の「成長」が大切に描かれているのが感じられます。
強さを見せつけるのではなく、成長し過去の自分を乗り越えていくことでのアツい興奮!
それでいて根っこのいいヤツっぷりも合わさり、結構好感度の高い主人公です。
強さへの憧れを詰め込んで、男の子は大きくなっていくんだな。
ヒロイン勢には今のところ年上のお姉ちゃんキャラが大勢ですねえ。
個人的にはヘスティアちゃんにはもっとベタベタに甘えまくって欲しいし
フレイヤさんはもっとあの絶品ボディでダイクトにせめて欲しいし。
恐らくメインヒロインのアイズさんもクールな中に淡く光る恋の炎をゆらがせてもいて、見逃せない展開じゃねーの。しかし今のところ、報われないなぁw
サポーター・リリちゃんもお気に入り。ちっちゃくて懐きにくい感じがまさに小動物!
2巻終盤の展開は燃えますわなー!1,2巻だとこのシーンが一番好きだ。
あと面白いのが神様の存在。
明らかに言動や知識が、読み手である我々読者に誓いものがある彼らは、まるで作中に現れた現代人のようなメタっぽさを振りまいて物語に彩りを加えます。
全体的に明るい雰囲気の作品ですが、「神様」の存在もまた楽しいものです。
1巻2巻は連続刊行され、3巻の発売もすでに決定済み。
しかもどうやらこの3巻がだいぶ評判いいみたいですね。これは気になる。
現時点でも主人公の成長やら密かに進行するハーレムっぷりやら、こうしたまっすぐなファンタジーモノが好きなら結構ピンと来るんじゃないかなと。
いわゆる俺TUEEEではありませんが、だからこそ主人公がいいヤツ。
テキストも非常に読みやすく、雰囲気も賑やかで明るい。サクサク読むことができました。専門用語は出てきても理解は簡単ですし、本当スラスラ進められる。
現在のステータスがちゃんと数値で表現されていたり、ゲーム的要素がいい感じにワクワクさせてくれますわ。とりあえず3巻も買おう。限定版も出るらしいです。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか3 書き下ろし短編小説&ゲストイラスト集付き限定版 (GA文庫) (2013/05/16) 大森藤ノ 商品詳細を見る |
[小説]とてもとても、きみを産めて幸せなの。『ノニアレ』
久しぶりにラノベの感想でも。
きみを産んだんだよ。わたしお母さんになったの。
ヒロインは母親!
キーアイテムは母乳!
搾乳プレイもあるよ!
とまぁ変態的ポイントがズラリ並ぶファミ通文庫の新刊「ノニアレ」。
投稿作を修正し文庫化したデビュー作ですが、投稿時のタイトルは「マザープレイ」とのことでなんというかお察しください。
ヒロインが母親といっても、表紙にいる髪の長い娘です。外見は学生。
何はおいといても、主人公に母乳を与えるヒロインという時点でパワフル。なんかいろいろパワフルなのです。でもオバカさ爆発ってわけでもなく、結構シリアスだったりもする。
さくっとどんな作品かを紹介したいなと。
幸福を感じると死ぬ奇病にかかる主人公、ヒビキ。
幸せにならないように制限だらけの生活を送り、感情の起伏にも乏しいヒビキくんは、ある日学校で有名な美少女、月嶋ルナに、ぱっくり食べられてしまう。
ルナはヒビキを孕み、そして出産。ヒビキくんは晴れてルナの息子として生まれ変わったのであった!な、なんだってー!?
・・・序盤の展開からして置いてきぼりです。そういう作品なのです。
「だって子供が欲しかったんだもの」という理由でヒビキを自分の息子にしてしまったルナ。食べてからヒビキを分解してルナ自身の遺伝子を組み込み再構成。完璧に自分の子供にしています。
最初は困惑するも、遺伝子レベルに結ばれたルナに愛情を持つヒビキくん。
しかし問題が浮上!
定期的にルナの母乳を飲まないと体の調子が悪くなる!!
そりゃあ大変だ(棒)
ということでルナ母さんのおっぱいを飲まなくりゃいけません。
しかし直接吸い付くのはあまりに恥ずかしいとゴネるヒビキくん。
ルナはしかたなーく自前の搾乳器で母乳をしぼる。なぜ自前の搾乳器がすっと出てくるかは謎。
しかし母乳が勝手に出ちゃってブラジャーが濡れてしまうヒロインというのは・・・たまげたなぁ。一応外見は未発育な女子学生なわけで。
ルナは搾乳器を使うことに不満たらたらで、直接口ですってよ~って迫ってくるしな。なんというか一言でいえば、頭ワルぅ!!
そういう母子のコミュニケーションをおかしく暴走させたシチュエーションがまず目立つ作品。
しかしストーリーはいわゆる王道のバトルラノベの範疇にある。
バトル以外の部分でも思いのほかグロい部分はありますし、バトルそのものも結構ドロくさい。
バトルに目新しさはなかったけれど、残念な出来ではなかったです。
地の文がやや硬めなのはいいとしても、いまいちテンポがよくないシーンがちらほらあったのは残念かな。バトル中とかはスピード感がうまく出ない箇所も。
とは言え雰囲気の盛り上がりはいいんだ。中二病らしく、恥ずかしい口上をしなきゃバトルできないぜ!な舌戦はステキに心熱くさせてくれる。
母乳ラノベとかイロモノだろ・・・と思いつつ読んだわけですが、意外と土台はしっかりできている印象。しかし土台が堅実すぎてそこが魅力とはまだなっていないかな。やはり奇抜な設定がストーリーのテンションを引っ張っていく。
しかしスケールがデカすぎていまいち把握ができていない部分もあるw
個人的にはルナちゃんとコロンちゃんが好きかな。コロンの終盤の活躍とかなかなか。
ルナに関しては、母親として息子に向ける慈愛がいいよね。
それは恋愛のそれとは違うものだと思うけれど、
今後彼女の想いもかわって、ヒビキへの愛情も微妙に質が変わったりするならそれはそれで楽しそう。でも個人的にはこのイビツな親子愛を貫いていってほしいかな。
ルナは普通のヒロインとはだいぶかけ離れたポジションのキャラクターだけれど、親子関係だなんてこんな強い相関関係もないじゃないかと。
しかし普通のヒロインではないので、うまく入り込めない人も当然いそう。
そのため、ほかのサブヒロインのバランスもうまくできている。
しかしなんだろうな。ちゃんと深さがあるキャラクターって少なかった。
十分に頭おかしい内容なんだけど、それを押し出そうとせず無駄に真面目にに中二病ラノベやろうとする姿勢がいい。
でももっともっと、ルナと主人公の親子関係の奇妙さを押し出した場面も見たくなった。
日常シーンのなにげないタイミングにふと『母乳、飲みたくなってきたな』とかモノローグが差し込まれるシュールさといったら。普段のクール主人公っぷりがさらなる面白さを生み出す・・・。
ちょっとおかしな設定のライトノベルが読みたいって人におすすめかな。
設定に度肝を抜かれますが、思いのほか真面目なのです。だからバカなのか!
ノニアレ
人ノ子ニ幸アレ。
生まれ変わり、絶望から救われ、幸せを望む人の子。
続刊があるなら、読んでみたいかも。もっとだ!もっとルナの母乳を!
ノニアレ (ファミ通文庫) (2012/11/30) 初心音コマ 商品詳細を見る |
きみを産んだんだよ。わたしお母さんになったの。
ヒロインは母親!
キーアイテムは母乳!
搾乳プレイもあるよ!
とまぁ変態的ポイントがズラリ並ぶファミ通文庫の新刊「ノニアレ」。
投稿作を修正し文庫化したデビュー作ですが、投稿時のタイトルは「マザープレイ」とのことでなんというかお察しください。
ヒロインが母親といっても、表紙にいる髪の長い娘です。外見は学生。
何はおいといても、主人公に母乳を与えるヒロインという時点でパワフル。なんかいろいろパワフルなのです。でもオバカさ爆発ってわけでもなく、結構シリアスだったりもする。
さくっとどんな作品かを紹介したいなと。
幸福を感じると死ぬ奇病にかかる主人公、ヒビキ。
幸せにならないように制限だらけの生活を送り、感情の起伏にも乏しいヒビキくんは、ある日学校で有名な美少女、月嶋ルナに、ぱっくり食べられてしまう。
ルナはヒビキを孕み、そして出産。ヒビキくんは晴れてルナの息子として生まれ変わったのであった!な、なんだってー!?
・・・序盤の展開からして置いてきぼりです。そういう作品なのです。
「だって子供が欲しかったんだもの」という理由でヒビキを自分の息子にしてしまったルナ。食べてからヒビキを分解してルナ自身の遺伝子を組み込み再構成。完璧に自分の子供にしています。
最初は困惑するも、遺伝子レベルに結ばれたルナに愛情を持つヒビキくん。
しかし問題が浮上!
定期的にルナの母乳を飲まないと体の調子が悪くなる!!
そりゃあ大変だ(棒)
ということでルナ母さんのおっぱいを飲まなくりゃいけません。
しかし直接吸い付くのはあまりに恥ずかしいとゴネるヒビキくん。
ルナはしかたなーく自前の搾乳器で母乳をしぼる。なぜ自前の搾乳器がすっと出てくるかは謎。
しかし母乳が勝手に出ちゃってブラジャーが濡れてしまうヒロインというのは・・・たまげたなぁ。一応外見は未発育な女子学生なわけで。
ルナは搾乳器を使うことに不満たらたらで、直接口ですってよ~って迫ってくるしな。なんというか一言でいえば、頭ワルぅ!!
そういう母子のコミュニケーションをおかしく暴走させたシチュエーションがまず目立つ作品。
しかしストーリーはいわゆる王道のバトルラノベの範疇にある。
バトル以外の部分でも思いのほかグロい部分はありますし、バトルそのものも結構ドロくさい。
バトルに目新しさはなかったけれど、残念な出来ではなかったです。
地の文がやや硬めなのはいいとしても、いまいちテンポがよくないシーンがちらほらあったのは残念かな。バトル中とかはスピード感がうまく出ない箇所も。
とは言え雰囲気の盛り上がりはいいんだ。中二病らしく、恥ずかしい口上をしなきゃバトルできないぜ!な舌戦はステキに心熱くさせてくれる。
母乳ラノベとかイロモノだろ・・・と思いつつ読んだわけですが、意外と土台はしっかりできている印象。しかし土台が堅実すぎてそこが魅力とはまだなっていないかな。やはり奇抜な設定がストーリーのテンションを引っ張っていく。
しかしスケールがデカすぎていまいち把握ができていない部分もあるw
個人的にはルナちゃんとコロンちゃんが好きかな。コロンの終盤の活躍とかなかなか。
ルナに関しては、母親として息子に向ける慈愛がいいよね。
それは恋愛のそれとは違うものだと思うけれど、
今後彼女の想いもかわって、ヒビキへの愛情も微妙に質が変わったりするならそれはそれで楽しそう。でも個人的にはこのイビツな親子愛を貫いていってほしいかな。
ルナは普通のヒロインとはだいぶかけ離れたポジションのキャラクターだけれど、親子関係だなんてこんな強い相関関係もないじゃないかと。
しかし普通のヒロインではないので、うまく入り込めない人も当然いそう。
そのため、ほかのサブヒロインのバランスもうまくできている。
しかしなんだろうな。ちゃんと深さがあるキャラクターって少なかった。
十分に頭おかしい内容なんだけど、それを押し出そうとせず無駄に真面目にに中二病ラノベやろうとする姿勢がいい。
でももっともっと、ルナと主人公の親子関係の奇妙さを押し出した場面も見たくなった。
日常シーンのなにげないタイミングにふと『母乳、飲みたくなってきたな』とかモノローグが差し込まれるシュールさといったら。普段のクール主人公っぷりがさらなる面白さを生み出す・・・。
ちょっとおかしな設定のライトノベルが読みたいって人におすすめかな。
設定に度肝を抜かれますが、思いのほか真面目なのです。だからバカなのか!
ノニアレ
人ノ子ニ幸アレ。
生まれ変わり、絶望から救われ、幸せを望む人の子。
続刊があるなら、読んでみたいかも。もっとだ!もっとルナの母乳を!
[小説]ツインテ幼女になって変態集団を撃破せよ!『俺、ツインテールになります。』
俺、ツインテールになります。 (ガガガ文庫) (2012/06/19) 水沢 夢 商品詳細を見る |
俺にあるのは、ツインテールを愛する心だけ。
ガガガ文庫6月の新刊でした「俺、ツインテールになります」の感想。
水沢夢さんは本作で審査員特別賞を受賞したようです。
畑健二郎先生のコメントも帯によせられて気になっていましたがようやく読了。
いい意味で頭がおかしい、テンションふっ切れた楽しい一作!
主人公はツインテールを愛する男子高校生。
このツインテール愛こそが本作を象徴する個性です。ツインテール押しが強烈。冗談ぬきで1ページにつき1度は「ツインテール」という単語がどこかしらに存在している。例外はあったかもしれないですが、それくらいの勢いでツインテールというワードが飛び交う。もう何度ツインテールという文字列を読んだかわかりません・・・。
けれど作品としては戦隊モノっぽくもある、真っ当(?)なヒーローものなのです。
そしてこれまた意外なんですが、バカらしさを十分に保ち楽しませてくれる一方で、ストレートに心を熱くさせてくれる場面もある。とくにラストバトルの意味不明な熱量は・・・w
この作品はそんな馬鹿馬鹿しさがとても気持ちよくて、コメディとして好き。
こってこての漫才会話劇古風だったり、文章として読むと少々浮いて見える、ギャグマンガチックな表現(壁に突き刺さる、空から落ちて地面に人型の穴があく、など)も散りばめられる。
これがイヤだという人もいるかもしれないけど、変態・オタクネタをいじり倒す作風と相性が良い。わかりやすいくらいのオーバーリアクションコメディが作品に合っている。
で、本当にこの作品がバカらしいのは、主人公も敵もみんな真剣に狂っているということ。
別世界からやってきた敵組織は、いろんなフェチを持った変態集団。
ブルマ、ナース、ウサミミ・・・そんなフェチエネルギーを持って地球侵略を企てる極悪集団!うん、これっぽちも緊迫感はない!でもこんな設定でちゃんと危機になっているのだ。
そしてテキストもノリノリ。明らかなツッコミ役不足のまま進み、リアルにニヤニヤが止まらない。
お、おう・・・。カッコいいバトルの決着シーンだが、なんかよくわからないぞ。地上に堕ちた太陽にいささかの見劣りもなく、燦々と輝きそよぐツインテール。
「―――――美しい・・・・・・まさに神の神・・・神、型・・・・・・」
それは、多くの世界を渡った歴戦の戦士の双眸に、その生涯を天秤の片皿に置いても釣り合うほどの光景――髪型だっただろうか。
狂っているといえばヒロインのトゥアールもすごい。
本作には2人ヒロインがいるけど、トゥアールは主人公の童貞を食う気マンマンのタフネス系痴女。ものすごい勢いで自分から汚れ役を買っちゃう。ついでにロリコン。
もう1人のヒロインに愛香からこっ酷くどつかれること何十回か・・・それでもめげずアクティブに主人公にセクハラをしかけにいく。大丈夫かよこのヒロイン。でも、すっごくかわいいです。
いい意味でその場を乱していくので、読んでいてとても面白いのです。
もしかして恋する女の子としての苦労もあるのか・・・?と終盤にほのめかされますが、本人は一貫して変態。「じつはいい娘なんだよ・・・」なんて差し伸べられたフォローも受け取らない、素晴らしい立ち位置!
愛香もかわいいですが、目立っているのは圧倒的にトゥアール。彼女の暴走がもっとみたいw
この作品、男子高校生が変身してツインテールの幼女になってしまう、というTS要素も持ち合わせた作品です。
しかし「ツインテールは大好きだが、自分がツインテールになるのは・・・」と照れてしまい、ノリノリで自分の身体をまさぐるようなことはせず。
というかこの主人公、あらゆる欲望がツインテールに向いているのです。そのため少女の身体をどうこうするといったありふれた欲望(と断定しておくよ!)が一切ない。
この作品らしくもありますが、TSとしちゃやや物足りないかも。
変態ではあるが下品さはない主人公像は、この作品には合っていますよね。
年頃の少年が悶々と蓄積させるはずドロドロしたやましい感情は、すべてがツインテール愛への昇華されている!
それにそういうストレートな性欲を発露させるキャラクターはヒロインで間に合っているのだ。
ということで、「俺、ツインテールになります。」の感想でした。
だいぶ頭悪い内容で、一気に読んで笑って楽しめる一冊でしたね。
これ、続編とか出ないかなー。1巻のおもしろさをキープできるか難しそうでもあるけど、続きを見たくなるくらいの面白さがありました。特にトゥアールの暴走痴女っぷり。
イラストも気合入っていましたね。とくに巻頭のカラー口絵は躍動感あふれるダイナミックなアクションシーンで、これだけ見て内容を勘違いして買いかねないレベルのカッコよさ!
見た目だけなら、ツインテール幼女が化物とバトルしていく作品なので、間違ってもきっと問題はないんですが・・・ここまでふざけてる作品だとは思わないだろうよ!
あとコミケでサイン本入手したんですけど、作者のサインもシュールで面白い。
作者もすごいツインテール愛。
[小説]君とともに空を駆ける。『アリソン』
いやあっふううううう試験終わったので更新していきます。前回ラノベだったので続けて。
久しぶり、ヴィル。元気だった?
3の上下巻を貼りましたが「アリソン」1~3巻のさくっとした感想を。
なんで今更、というタイトルではありますが6月下旬から夢中で読んでたシリーズ。
きっかけはなんとなく店頭で「メグとセロン」の最終巻を手に取り、口絵ページの雰囲気がむっさ好みだったからという・・・・。メグセロ読みたいからシリーズの最初から読んでいくことに。
有名な時雨沢先生なのでこの作品もなんとなくは知っていましたが、「キノの旅」を何冊か読んだことがあるくらいでこのシリーズは読んだことはなかったんですね。
しかしこれが面白い面白い!子供のころも今も王道RPG的世界観は大好きで、この作品にもすっかりハマりました。まさにアドベンチャーといった雰囲気は、気持ちを大いに盛り上げてくれます。
記憶と狙撃に優れてはいるけど普段はぼんやりマイペースな少年・ヴィルと
活発で身体能力抜群の飛行機乗りの女の子・アリソン。
孤児院で幼い頃からともに時間を過ごしてきた2人を軸に展開する冒険モノ。
飛行機だとか銃だとか、自分はあんまり詳しくないですがそういうのが好きな人もワクワクしそう。あとがきで作者も書いていましたがわりとそういう描写は多め。
しかし純粋にエネルギーが満ちみちていて、前へ前へとつっぱしって事態がめまぐるしく動いていく、この忙しい感じがたまりません。
あと少年少女による冒険物語ってやっぱり大好き。グランディアとか大好きでしたね・・・。
1~3巻全体の感想で言うと、1番好きなのは1巻かな。
目指すものがあっての冒険という構図が明確で、結末もグッときました。1番ドキドキしたのは3巻だけど。あの上巻のプロローグ読んだ当時の人たちはどんな思いだったんだろうかw
2巻も雪国の描写がすごく丁寧で、いい雰囲気を終始味わえましたね。
キャラクターもそれぞれに魅力的で、みんなクセがあるんだけどイヤミがなくていいですね。ベネディクトなんかは憎まれキャラっぽいんだけど、やっぱりいい男だ。フィーとのコンビもいい。アリソンペアがアリソンの賑やかさが前面にたつ一方、こちらはしっとりと大人なムードで愛しあう。うむ(笑顔)。
テキストも軽快ですごく気持ちのいいテンポで読める。読みやすくムダがない。しかししっかりと伏線を仕込んでいる。さくっと読めて情景を読者に想像させる技があると思いました。
二転三転する忙しいストーリー展開をみせるも、全て収まるべく収まってくれる気持ちよさ!
良質な少年小説ですねえ。小中学生の男の子とか読むといい。リアルタイムで読めていたら俺も中学生とかだったはずなので、惜しいことをした。でも今読んでも十分に心をときめかせることができる。
切るとこは切る、とシーンの切り替えのタイミングも実に鮮やかで、巻ごとの終わり方がいつもとても爽快な気持ちになりました。だらだらとやらないのもこのシリーズのよかったところ。
あと少ないけど気になったところ。
2巻のフィーについて。やや描写が足りないように思ったんだけどなあ、俺が読み流した部分があるのか。終盤、機内でベネディクトのキスに応じるシーンが一番引っかかった。ここに至るまでにそこまで彼女の中で恋心が育っていたような気がしなかったのだが。機内でお互いの秘密を話すほどに距離は縮まったとは言えど。しかし村から逃げる最中とかのベネディクトらの行動を見ると、特別な描写はなくてもそりゃ惚れるわなということで納得はする。
それと事態が大きく動き出す前の展開のくどさ。1巻はアドベンチャーの導入的ワクワクはありましたが、2巻3巻の最初のうちはやや退屈だったかもしれない。まぁ、平和は一番ですけどもw
それだけ。一応気になるポイントも書いてみたけど、本当に面白かった。まだ今月の電撃の新刊読めてないのにそっちのけでアリソンシリーズ読んでましたよ!
もう続編の「リリアとトレイズ」シリーズも買ってあるのでがしがし読んでいく予定。
ページをめくる手が止まらないという感覚を味あわせてくれる冒険ファンタジー。
だいぶ前に発売されてる作品で、人気もありますが、確かにとても面白かったです。
アリソン〈3 上〉ルトニを車窓から (電撃文庫) (2004/03) 時雨沢 恵一 商品詳細を見る |
アリソン〈3 下〉陰謀という名の列車 (電撃文庫) (2004/05) 時雨沢 恵一 商品詳細を見る |
久しぶり、ヴィル。元気だった?
3の上下巻を貼りましたが「アリソン」1~3巻のさくっとした感想を。
なんで今更、というタイトルではありますが6月下旬から夢中で読んでたシリーズ。
きっかけはなんとなく店頭で「メグとセロン」の最終巻を手に取り、口絵ページの雰囲気がむっさ好みだったからという・・・・。メグセロ読みたいからシリーズの最初から読んでいくことに。
有名な時雨沢先生なのでこの作品もなんとなくは知っていましたが、「キノの旅」を何冊か読んだことがあるくらいでこのシリーズは読んだことはなかったんですね。
しかしこれが面白い面白い!子供のころも今も王道RPG的世界観は大好きで、この作品にもすっかりハマりました。まさにアドベンチャーといった雰囲気は、気持ちを大いに盛り上げてくれます。
記憶と狙撃に優れてはいるけど普段はぼんやりマイペースな少年・ヴィルと
活発で身体能力抜群の飛行機乗りの女の子・アリソン。
孤児院で幼い頃からともに時間を過ごしてきた2人を軸に展開する冒険モノ。
飛行機だとか銃だとか、自分はあんまり詳しくないですがそういうのが好きな人もワクワクしそう。あとがきで作者も書いていましたがわりとそういう描写は多め。
しかし純粋にエネルギーが満ちみちていて、前へ前へとつっぱしって事態がめまぐるしく動いていく、この忙しい感じがたまりません。
あと少年少女による冒険物語ってやっぱり大好き。グランディアとか大好きでしたね・・・。
1~3巻全体の感想で言うと、1番好きなのは1巻かな。
目指すものがあっての冒険という構図が明確で、結末もグッときました。1番ドキドキしたのは3巻だけど。あの上巻のプロローグ読んだ当時の人たちはどんな思いだったんだろうかw
2巻も雪国の描写がすごく丁寧で、いい雰囲気を終始味わえましたね。
キャラクターもそれぞれに魅力的で、みんなクセがあるんだけどイヤミがなくていいですね。ベネディクトなんかは憎まれキャラっぽいんだけど、やっぱりいい男だ。フィーとのコンビもいい。アリソンペアがアリソンの賑やかさが前面にたつ一方、こちらはしっとりと大人なムードで愛しあう。うむ(笑顔)。
テキストも軽快ですごく気持ちのいいテンポで読める。読みやすくムダがない。しかししっかりと伏線を仕込んでいる。さくっと読めて情景を読者に想像させる技があると思いました。
二転三転する忙しいストーリー展開をみせるも、全て収まるべく収まってくれる気持ちよさ!
良質な少年小説ですねえ。小中学生の男の子とか読むといい。リアルタイムで読めていたら俺も中学生とかだったはずなので、惜しいことをした。でも今読んでも十分に心をときめかせることができる。
切るとこは切る、とシーンの切り替えのタイミングも実に鮮やかで、巻ごとの終わり方がいつもとても爽快な気持ちになりました。だらだらとやらないのもこのシリーズのよかったところ。
あと少ないけど気になったところ。
2巻のフィーについて。やや描写が足りないように思ったんだけどなあ、俺が読み流した部分があるのか。終盤、機内でベネディクトのキスに応じるシーンが一番引っかかった。ここに至るまでにそこまで彼女の中で恋心が育っていたような気がしなかったのだが。機内でお互いの秘密を話すほどに距離は縮まったとは言えど。しかし村から逃げる最中とかのベネディクトらの行動を見ると、特別な描写はなくてもそりゃ惚れるわなということで納得はする。
それと事態が大きく動き出す前の展開のくどさ。1巻はアドベンチャーの導入的ワクワクはありましたが、2巻3巻の最初のうちはやや退屈だったかもしれない。まぁ、平和は一番ですけどもw
それだけ。一応気になるポイントも書いてみたけど、本当に面白かった。まだ今月の電撃の新刊読めてないのにそっちのけでアリソンシリーズ読んでましたよ!
もう続編の「リリアとトレイズ」シリーズも買ってあるのでがしがし読んでいく予定。
ページをめくる手が止まらないという感覚を味あわせてくれる冒険ファンタジー。
だいぶ前に発売されてる作品で、人気もありますが、確かにとても面白かったです。
[小説]思わず舌を巻く、良質な読書体験 『タイム・リープ あしたはきのう』
タイム・リープ―あしたはきのう (上) (電撃文庫 (0146)) (1999/05) 高畑 京一郎 商品詳細を見る |
タイム・リープ―あしたはきのう (下) (電撃文庫 (0147)) (1999/05) 高畑 京一郎 商品詳細を見る |
いつから来た?
高畑京一郎先生の「タイムリープ」です。今更かよ!って感じですね。
今更説明なんていらないくらいの、ライトノベル界の傑作、なのですが自分は今まで未読でした・・・。知り合いからすすめられてこの度読了。
普段は新刊ばかりで感想書いていますが、どんな媒体にしろ、やはり名作と呼ばれる作品と呼ばれる作品に触れるのは大事だなというか、いい読書体験になりますな。
ラノベにしてはかなり昔の作品になりますが、面白いですわこれ・・・!
今更ストーリーの説明とかいらないんじゃないのかなとは思いつつさらっと。
ある時から主人公・翔香は、「明日」が「明日」じゃなくなっていた。
彼女だけが、というより彼女の意識だけが狂った時間軸に突如放り込まれてしまいます。
月曜日だと思って目覚めたのが火曜日だったり、階段から落ちたらもう別の曜日だったり。
とまどうばかりの彼女は「未来の自分」かはたまた「過去の自分」から届けられた手紙を頼りに、クラスメートの若松和彦に助けを求めますが・・・その若松はクールでとっつきづらくて、女性に対しては特に距離をとってくる気難しいヤツで。
翔香はこの不思議なタイム・リープから脱することはできるのか、というお話。
相棒?の若松との交流を深めていく様子もかなりフィーチャーされているので、SF(少し不思議的な)要素は強いですがライトノベルらしい青春っぽさもかなり色濃く、シンプルかつテンポいいテキストと相まって実に読みやすかったですね。
この作品の最大の面白さは、物語の構造。
「タイム・リープ」というタイトルが示すどおり、主人公はなにもわからぬままに時間を飛び越えていく。それは何も情報が与えられていない読者も同じくドキドキさせてくれる魅力的な設定。
バラバラに散らばったパズルのピースが、読み進めるにつれ細かく細かくハマっていく感覚はなんとも気持ちいいものでした。「あれはそういうことだったのか!」と何度思ったか。
未来と過去が入れ替わったりごちゃ混ぜになってしまって時間軸が混乱しますが、普通じゃ有り得ないような形で情報が行き来する感じ、クセになる面白さ!
むしろ故意にタイム・リープを利用しだした後半なんかはそれだけでテンションも上がる。
しかし後半で惹きつけられるのは、実は随分と物騒な真相が隠されていたと判明してからの展開。明確な敵などが登場して、グッと明快さを増しました。むしろそこから目標に向けての主要キャラたちの連携が上手いこと取られれていくのがよかったなぁ。
まずコンセプトが十分な面白さを発揮した作品ですが、同時に物語自体もよくできていたなと。
1度読んだ後にまたさらりとですが2回目を読んでみたんですが、これまた面白い!
何も知らないまま読み進めるのと、すべて知ってから改めて読みなおすのとでは、だいぶ感触の違ったお話になっているなぁという印象。まぁ時間軸シャッフルやってる作品ですし、当然といえば当然でしょうが。
しかしオープニングとエンディングでつながる鮮やかな演出の妙技も味わわせてもらいました。
これがまた悶えるくらいに気持ちよくラブいシチュでなー、もがががが。(でも改めて上巻冒頭を読むとおもいっきり張り飛ばされた若松くん可哀想でわろた)
やっぱりこの作品は「物語を読んでいく」という読書における根源的な部分で快感を覚える仕組みがたくさんあって、そして入り組んだ設定もわかりやすく描かれている。そこが上手いポイントだなぁと!
しかしあとがきは・・・ニヤリとしますが、毛色変わりすぐて戸惑ったw
キュラクターの配置も必要最低限で、しかしちゃんと学生の生活感を感じさせてくれるいい塩梅。主人公の友達もなんだかんだでちゃんと役割が与えられていましたし。
翔香のキャラクターはなんというか歳相応の女の子という感じで、幼さを感じてやや苛立った部分もありますが、リアリティはありましたし最後にはなんだかすごく可愛く感じてました。
しかし若松くんなー、かっこ良すぎだろう!これは本当に頼りになりますな。頭キレまくりで作中最強キャラと言える。冷たいようでなんだかんだで世話焼きですしね。ツンデレか。
あとなにげに主人公の母親が好き。
異常事態だからこそ、翔香が日常にある母親の偉大さに気づくシーンもあったり。母親としてすごくいい立ち位置から主人公を見守っている感じが染みます。
・・・とゆことでそんな感じの小説。
今更感想かいてもどうなの、という感じではあるでしょうけど、面白かったので書いておかないとなと。ちゃんと薦めてくれた人に感謝しておこう。名前だけ知ってる状態でしたけど、読めてよかった。
青春小説としてもかなりいい出来でしたし、「タイム・リープ」という設定の活かし方が絶妙。
とにかく、ワクワクしながら一気に楽しめる。
今読んでもそこまで古くは感じないのも意外でしたが、ありがたかった。
欠点は、読む前に口絵(本の頭にあるカラーページ)に目を通すと、なんとなく仕組みを察してしまうことくらいか。自分も言われて注意しましたけど、今から読む人はここあまり見ないようにすべきかも・・・。
名作・傑作だと呼ばれるだけのことはある、いい読書体験させてもらいました。