[漫画]覚えていますか、はじめてエロ本を読んだときのこと。『PiNKS』
PiNKS (リュウコミックス) (2013/10/12) 倉金篤史 商品詳細を見る |
僕はけものなのでしょうか?
小学生とえっち本。そんな漫画です。
エロ本の漫画なので最初にへんな話を始めてしまうと、自分がはじめてエロ本を見つけてしまったのは小学生のとき、通学路途中のさびれた公園のすみでした。やっぱり通学路というのはお決まりなのかな。家族のを見つけたパターンもあるものなのかもしれません。
通学路は田んぼと用水路が延々続いているその横を歩くもので、道中たまに薄暗い林も残されており、その中のいつもなんか湿った場所に公園はありました。
エロ本もベチャっとしてたなぁ。破れないよう慎重に、興味本位でどぎつい表紙をめくってみたら、中身も当時の自分にとってはそりゃどぎつかった。
あの不気味なくらいの興奮と、それにまさる嫌悪感にひたすらドキドキしたのを覚えています。
以降ふと見つけるたびに、なんとか読むことは出来ないものかと、ほかの子に見つからないように落ちてるエロ本のもとへ行くのに苦心しました。どぎつい写真とともに書かれたテキストをなぜか暗記したりもしました。最高にお気に入りだったものは今でもなんとなく思い出せます。コリコリに固くなった乳首がイカす!!というものでした。イカすんですね。
家のPCは家族のものでエロサイトを見る勇気はなく、性知識なんてほとんどなかった当時、道端におちてるエロ本はそれはそれは魅惑的なものでした。
持てる知識を上回る過激な内容にクラクラしたな…!
いけないものを見てる背徳感でつらくなったりしたな…!
おもったよりグロそうで吐き気がしたな…!
倉金篤史さんの「PiNKS」はあの頃のしめっぽい通学路の空気と、濡れたエロ本のページを緊張しながらめくるドキドキを思い出す、自分にとって至高のノスタルジック小学生漫画なのです。そしてこの感覚が好きな人はけっこう居ると思うんだ!
性のめばえ、そこに渦巻く愛と葛藤の物語。
人間の体につまった秘密を、少しずつ知っていく男の子と女の子。
もどかしい性愛を扱う作品はもともと大好物なのですが、この作品はなにもかもストライクでした…これはいい…とても良い…!!
表紙もちょっと珍しいデザイン(あらすじの配置場所とか)で格好いいです。
小学5年生。純粋無垢な無知じゃない。なにがエッチか、なにが恥ずかしいのかをなんとなく知っている。でも詳しくはない。
スケベな夢をみてしまって落ち着かない主人公・弥彦はその日、クラスでもちょっと浮いてる不思議な女の子・赤城と不思議な関係を結んでしまう。
そして始まる、ふたりの「エロ本探し」。
ぼくらは見たいのだ。「黄金より淫靡で、国家機密より密かで、七不思議より謎めいている」、そんな見たことないものを見たいのだ。
エロ本をめぐる冒険!
なんてバカらしい、けれど少年心をうずかせるものだろうか。それも気難しいけど可愛い女の子と一緒に。
エロと冒険と女の子!ワクワクが二乗にも三乗にもいくらにでもなってしまうよ!
とは言え楽しいだけのものではありません。赤城さんはけっこう凶暴で、理不尽なことを行ってきたり暴力を振るってきたり。
それだけでなく「エッチなもの」への感じ方もまるで違うふたり。
しだいにグラグラと不安定に、そして落下するようにバランスを失っていく…。
テーマ、キャラクターも素晴らしいのですが、後半のうねりの強い展開もいい。あふれだしそうな熱量と焦燥感を持ったままクライマックスに雪崩れ込む!
子供たち特有の“前のめり感”が気持よく作用してくれていると感じます。
この作品で一番に突き刺さったのが、ヒロインの赤城さん。
まず自分は開始早々の登場シーンで胸打たれました。このイタズラな視線が…たまらない!いかにもなにか始まりそうな予感がする眼!
けれども彼女は潔癖です。
セックスを尊いものであると、美しいものだと言って授業中にさえ性交の絵を描いてしまう女の子です。本心から信じきっているのですよ。
赤城がセックスを美しいものだと信じたのは、彼女の家庭環境がつよく影響していますように見えます。
父と母の不仲に胸を痛め、自分は愛されてるのかを疑問に思っている。だから父と母は美しく愛し合っていて、その結晶として自分は生まれたのだと信じているのでしょう。
セックスは気高く美しいものだと、それは自己防衛のためにも信じていた。自身が受けた愛がウソだったなんて思いたくないから。
けれどそれは騙し騙しな部分があったのかもしれないなぁ…。
例えば途中、彼女はコンドームを知っているような素振りを見せます。弥彦にたずねられてもとぼけますが、それは照れよりも彼女が信ずるセックス像がブレてしまうため認めたくない部分もあるのかなぁと思いました。
年上のお姉さんからエロ本の購入を計画したことを咎められ「いやらしい」と言われた時には、顔を赤くして逃げました。
「え… えっち本は愛の行為を写した本なんでしょ!?だったらそれを恥ずかしがることはないんじゃない!」
そう言うのですが、自分にそう言い聞かせているかのような必死さがある。
やはり本能的な部分で、セックスや性的なことを「いやらしいことだ」「恥ずかしいことだ」と感じる瞬間が彼女にもあったんだろう。でもそれは彼女の防衛本能が許さなかった。セックスは美しい愛の行為だと信じないと、自分の心を守れなかったから。
そこに彼女の揺らぎ、不安定さが垣間見えてかわいいんだよなぁ。
彼女が赤ちゃんへの愛情を示すシーンも印象的です。
愛の結晶である赤ちゃんを身近に関して、その赤ちゃんに自分を重ねているのかな。愛を証明する美しい行為の、その結晶であると。
そして純粋できっと当然の未知への興味。その興味は本当に純粋なまま、セックスという行為への興味でもあります。
「本当に心のそこから美しく愛しあったから赤ちゃんができるんだよね?」
そんな疑問を投げかけているようにも感じます。彼女の不安が映されている。
なにも自己防衛だとか愛の証明だとか不安だから、そういうちゃんとした理由がなくたっていい。知らないものは知りたい。興味があるから見てみたい。
シンプルな好奇心が彼女を突き動かしてもいるように見えますね。
とはいえその好奇心がスケベ心100%の男の子と違うのは、やっぱり女の子だからなのかなぁと思ったり。弥彦より断然ロマンチックで綺麗なものを夢に描いている。そうあってほしいと願っている。
物語後半、彼女は自身の価値基準でいうと、汚れてしまうのですが
「セックス以前の未熟なラブストーリー」としてお話は結実してくれる。モノローグのなかで「いつか」の話もされるんですけど、そこがいい余韻になってるんだよなぁ…!
性的な成長もまじえてセックスをめぐる冒険をする男の子と女の子の物語。
…でも小学生の段階で彼女の「セックス像」が修正されてよかったかもしれない。
何事もなくこのまま中学生になってしまっていたら……中学ともなればクラスや友人の会話の中のところどころにセックスへの下品な興味が溢れ始めて、赤城さんはとてもつらくなっていたのではないかなl.
その時、中学生の赤城さんがどうなっていくかを想像するのは結構楽しいんですが(きっとこじらせまくってると思う、いろいろ)そう思うと、この作品は小学生という時代にだからこそ許される純粋な輝きがあったように思います。
小学生だからこそのもどかしさ、純粋さがキラキラ輝いてるんだなぁ。
赤城さんのことばかり書いてきたけど主人公の弥彦くんもイイのですよ!!
赤城さんがセックスに美しい夢を抱いている横で、「ぼくはなんていやらしいんだ…」と悩んでいたりする。かわいらしい男の子じゃないですか!
エッチなことを考える自分が汚れてしまったように感じて、自己嫌悪に陥ってしまう。
でもそれは当然なことであるわけで。むしろ赤城さんの方が現実離れしているよなぁ。
大人びてるでもなく子供っぽすぎない、等身大の男の子ですね。
こじれた赤城さんを引き戻すのは弥彦くんの正直な言葉です。
そんな子供な主人公2人をとりまく大人たちの世界もしっかり描かれている。
赤城さんの家庭問題はありふれた、けれど心が冷えきってしまうような現実を突きつけてくる。主人公たちはナメてかかっていた本屋のおばあちゃんも、しっかり2人の行動を見抜いていた。大人は子供たちにとって完璧に都合のいい存在ではない。
担任の先生と本屋の代理のおねえさんの会話なんかはシビれたなぁ…!
「なんで子供はエロ本を読んじゃいけないんだろう?」
その疑問にちゃんとした答えを大人は用意できている。
それでも「多分あの子たち間違ったことしてないよ」
それでも「怒らなきゃ…大人なんですから」
いくつかの矛盾を抱えつつも、「大人なんだから子供を叱らなくちゃ」と決意するのが頼もしさを感じました。子供をまもるために子供を叱らなくちゃいけない。
大人の世界にカッコよさや説得力があることが、子供たちの世界をさらに面白くしてくれる!
「PiNKS」の感想でした。
途中にも書きましたが、「セックス以前の未熟なラブストーリー」という感触の物語で、なんともムズがゆく微笑ましい、素敵な物語でした。なんて繊細な性の冒険!!
エロをめぐる小学生の男の子と女の子、それぞれちがった葛藤と痛み……。
やはりテーマがいいし、トーンを一切使わない画風もノスタルジックな気分が掻き立ててくるし、赤城さんはかわいいし…なんとも贅沢な感動を味わえました。あのころのエロへのがむしゃらな熱量をなんとなく思い出した…!
「小学生がエロ本を読もうと頑張るお話」から始まるものの、そこから現実にブチあたって苦しんだり悩んだり迷ったり。
一生モノな記憶を刻みつけるような濃密な物語後半は鮮烈です。
あとゲッスいことを言ってしまうと、あのシーンの赤城さんを見たら、心奪われるしかないですよ、読者も弥彦も!時に暴力的に性を押し流されてしまう脆さ、か弱さ…!!キュンとくる!
この作品の中に描かれている純粋な衝動は、どんな年代に幼少時代を過ごした人でも馴染みあるものではないかなぁ。町並みやエロ本販売機を見るに、リアルタイム2010年代が舞台ではないと思います。今だったらPCや携帯で簡単に見れてしまうわけで、この感覚を共有できないのは結構寂しいですけど、それはそれで過ぎ去りし時代を振り返るいい郷愁感でもあるか。
ドロはついててページは湿ってて、あんまり触りたくないような道端のエロ本にドキドキしていたあの若かりし魂を思い出す、いい漫画です。
そんな美化するような物でもないくだらない記憶ですけど、なぜだか大事にしたくなる体験だよな…w
著者の初単行本であり、初々しさや青臭さも見どころ。追っかけてみたい作家さんです。
『PiNKS』 ・・・・・・・・・★★★★☆
みずみずしくノスタルジックな空気がたまらない、性と小学生の漫画。
もどかしくて痛々しくてかわいらしい、おもいっきりツボな作品でした…。
[漫画]最近読んだ漫画の感想メモ(10/16)
すっかりひどい更新ペースが板についてきた10月中旬!
ラブライブの6thシングルのMVがいいですね、プリンセスですね。
感想かきたい漫画は溜まりっぱなしなんですけど、とりあえず今回は6作。
新刊が発売されるたびに、読む前に緊張してしまう作品はそうはないな。作品のすべてから力強い覚悟のパワーが放たれてて。すごい作品だ、3月のライオン。
前回、8巻は「男の勝負!」といえる熱いあつい内容でした。
→炎に焼かれ、嵐の中で戦い続ける者たち。『3月のライオン』8巻
一転、新刊は華やかなヒナちゃんの表紙。今までで今までガーリーなイラストな気がするw
今回は登場人物たちの日常がクローズアップされていたような印象。
例えばヒナちゃんは高校生になりました。高校受験を目前にいろいろ考え事をするのですが、そのモノローグが包み込んだ人生の痛みとか幸福とか侘しさだとか、沁み入るものがありました。
「忘れては いけないんだ」の力強さよ…!この作品がくれる言葉はいつも染みおる。新しい髪型もかわいいじゃない!!
着実に零くんへの気持ちが大きくなっているように見えて、恋愛面でも胸ほっこりですよ。
またヒナちゃんと対立した女学生、高城の空虚さが描かれたのもよかった。
彼女への批判というより、その問題に向き合った教師がふかく悩みこんだのがいい。いい先生だよ。そしてヒナちゃんをよくぞあそこまで傷つけやがったなクソがという怒りが、こんな形でスッとと溶けたのでびっくり。
教室でとりのこされたように、1人で目を丸くしている高城の絵は忘れられない。
無邪気な大人たち。土橋九段と宗谷名人のエピソードは、そんなことを思わせてくれます。
勝負の世界にのめりこんで、見ておるこちらが心配になるようでも、当人たちは童心のまま、ただただ将棋漬け。
それを支える家族の苦労を描いたエピソードですが、浮かび上がるのはやはり将棋の世界に生きる人たちの不思議な生き様か。残酷なくらい自分を削って、なにも残らないくらいの覚悟で切り詰めて、それでも将棋は楽しくって。
宗谷名人にこんな友人(ライバルか)がいたのは、とても嬉しいかも。
今回も読み応えバッチリでよかった。流れていく時の寂しさと楽しさ。
表紙からアピールしていますが、、王道(?)の男女入れ替わりものです。
しかしこの作品が目を引くのは、主人公たちが心と身体が入れ替わったまま、成長していくということ。1巻の収録分時点で、小学生から中学生に進学。3年以上の月日が流れました。
本来の性とはちがう身体となった男の子と女の子。ましてや大きな変化をとげる思春期のまっただなか。男のはずなのに女の子として、女のはずなのに男の子として成長していく。アンバランスな関係、心と身体。
揺れに揺れる2人の不思議な日々は甘酸っぱく、そして結構ほろ苦い…っ!
異性についての発見をとまどいながら繰り返していく性転換ものの醍醐味もあり、そして相手の深いところを理解していくドラマも面白い。
知らなかったこと、知ろうとしなかったこと、または自分が隠していたこと。心の交流の様子が面白いのですね。
個人的にはやはり生理が訪れたエピソードはグッときました。やさしい絵柄で結構突き刺さることを書いてくれますね。
WEB版もまだ読めます。http://banbi.omiki.com/ (「ちぇんじ」というタイトル)
微妙にイベントの時系列が違っていたり、あのシーンがあったりなかったり。微妙な違いを楽しめるのでは。ちなみにまだ単行本では未到着の「高校生編」は色恋沙汰のこじれっぷりに激しく悶えるオッシャオッシャな出来栄えなので今から商業版で読めるのが楽しみっですよ!!
あと買ったら特典ペーパーがついてきまして…入れ替わり後にはじめてののおふろに臨むお話でした。なぜ!!これを!!!本編でやらないんだ!!!!ほんとに行間が気になるよ!!「ヤベぇ ヤバかった…女のからだってやばい……」ってナニがあったんだよ!
ひとくちサイズの青春劇。女子校につとめる男性教師がいちおうの主人公です。
女の子たちのきっと「あるある」な日常を、こまかくこまかく切り取っていくオムニバス作品。
なんとほとんど4ページ以内で1話が終了します。サクサク次のエピソードへ移る。すごいのが、そんな短いのに一作一作ちゃんとオチがあってまとまりがあること。
まるで美味しいところだけを味わっているような、なんとも贅沢な感慨がわくのですw じっさい新人さんでこのアイデアの豊富さは頼もしい。
ノスタルジックで、甘くて酸っぱくて苦々しくて、傷ついたり傷つけられたりバカなことしたりして。
暖かな賑やかさと冷え冷えとした後悔が入り混じって、これだ!これだよ青春ってのは!と大興奮しながら読みました。
青春の中にただよう喜怒哀楽さまざまな感情を、いろんな角度から拾い上げている。
物語の面白さと、ショートショートの異常なテンポの良さが余計に好感度をあげています。トゲがったり、すごく包容力があったりと、作品そのものの懐がとても深い感じ。
絵柄も老若男女したしみやすいフラットなものだと思いますし、いろんな人に読んでもらいたいなと思うのです。
しかしまぁ、ショートショートという構造上、それほど爆発力はない。「これ長めの頁数でじっくりと読みたかったなー!」というエピソードはたくさんあります。
いろんな物語をひとくちサイズに楽しめる贅沢さも嬉しいですが、どことない勿体なさも感じることは確かでした。それにポンポンと美味しいシチュ・美味しいセリフを展開させていくので、ネタ切れは大丈夫かしらといらん心配をしてしまったり。
コンセプト的に難しいかもしれませんが、たまには中編的に15P~20Pくらいでじっくり取り組んだ一話があってもいいのかもしれない。というかそれを俺が読んでみたい!!これだけ短いペーシ数で余韻たっぷりなお話を紡げるのだし、いろんな構成を見てみたくなる。
四季賞ポータブルに収録されていた投稿作バージョンが単行本には載っていなかったのが残念ですが、とても気に入ってる作品であり作者さんです。2巻以降でも胸しめつけられたい。
モアイで試し読みできるんですね。気になったらこちらで。
裏表紙の作品紹介を読んで惹かれたので購入。試し読みはこっち。
見た目は人相のわるいただのトド。憎たらしいのに憎めない。そんなトド山さんとお付き合いしているのは普通の地味OL、優子さん。
どこにでも動物がいて、歩くし話すし働いている、そんな世界。この現代ではとくに珍しくともなんともない2人の日常は、いや読者から見たらおかしな光景の連発ですよって。
普通の恋人のやりとりがなんとも言えぬ面白さを生みだす、同棲カップル日常4コマ漫画。
癒されます。
やってることは、きっと普通に人間同士のカップルと一緒なんですよ。
でもところどころに「俺、ヒトじゃなくてトドだしさー」と言いたげにトド山さんが予想外なところにオチを持って行ってくれて、それが楽しい。トドなのに人間みたいなこと言ったりやったりする、それだけでも見てて面白いからズルい!
地味系OLの優子さんは一途で思慮深く、本当に地味なんだけどなんだか読んでて愛おしくなってくる存在。地味だけどオシャレするとかわいい。地味だけど。
それで困ったことに、ヘラヘラと気楽に読んでいた所、不覚にもほろり泣いてしまいましたよ…。家族愛のようなものを、きっと感じたのだと思う。それはトド山さんのおとっつぁんに関してもそうだし、トド山さんと優子さんの関係にしてもそう。
出オチのような設定なんだけど、ちゃんと奥深い人間臭さが出ている。予想外にハマらせてもらいました。同棲カップル漫画だけど片方トドなもんで、変なナマナマしさを感じずサラッと楽しめるのもツボです。
とは言えふだんから性生活があることが伺えるネタもありますが………様子を想像するにシュールすぎると思う。
あとはモリタイシ作品をふたつ。
終わったーーー。全4巻。「いでじゅう!」からモリタイシ作品を追っていますが、新境地に至った作品だったと思います。面白かった。
美少女観察漫画のような、中学生のあすかちゃんと出会った周囲の人たちのお話。
やっぱりあすかちゃんは可愛くてそれだけで癒される。今回もいろんな表情を見せてくれました。
人情話もあればマニアックなエロスの世界に旅立つドキドキなものもあります。
知らず知らずのうちのその純粋さ、可憐さから、まわりを少し幸せにしたり笑顔にしたり、はたまた混乱させたり。かわいい女の子がそこにいるだけで救われることもある…!
1巻のころはたまに目がこわくなっちゃってる時もありましたが、4巻ともなると絵の安定感も完璧ですね。それでもあの特徴的な瞳は変わらず。好奇心旺盛なネコのような、光のつよくするどい目。これがいいのだ。今回の裏表紙とか、ベストショットですね。
物語は終わったけれど、きっといつまでも、こんな女の子がいたらって、ふと思い出してはフワフワな気分になれるんだろうな。フォーエバーあすかちゃん。
そういえば連載期間で言うならモリタイシ最長作品になったんですねぇ。
やっぱり最後はパンツで〆。おつかれさまでした。
同時発売された「くちびるに歌を」の単行本1巻。
こちらは中田永一さんの同名小説を原作とした、モリタイシさん初めてのコミカライズですね。中田永一といえば「百瀬、こっちを向いて」は大好きなのですが、この作品は未読。
で、「原作のファンですが、このコミック化はアリです!」とか乙一がオビで書いているのがなんともかんとも。扱いにこまるよw
アンジェラ・アキの「手紙~拝啓 十五の君へ」がストーリーの柱となっています。これは2008年のNHK合唱コンクール中学校の部の課題曲になっていたもので、この作品でも合唱を通じて深まっていく青春模様が描かれています。
1巻の段階では話は大きな動きを見せていませんが、じわりじわりと広がってくる青春らしい空気がとても好きな感じ。迷い、怒り、照れ。男子と女子が相手を意識しすぎてギクシャクしちゃってるあの思春期の感触。
やたら女体を強調するモリタイシエッセンスも隠れずバッチリ存在していますが、原作の淡い水色の世界が生き生きとしてますね。
雑誌では見られなかった、登場キャラクターそれぞれが書いた「15年後の自分への手紙」が単行本で収録されていたのがグッときました。
クセモノっぽい長谷川コトミさんがいまのところ一番気になる。主人公の今後の成長にも期待が持てる。
ラブライブの6thシングルのMVがいいですね、プリンセスですね。
感想かきたい漫画は溜まりっぱなしなんですけど、とりあえず今回は6作。
3月のライオン 9 (ジェッツコミックス) (2013/09/27) 羽海野チカ 商品詳細を見る |
新刊が発売されるたびに、読む前に緊張してしまう作品はそうはないな。作品のすべてから力強い覚悟のパワーが放たれてて。すごい作品だ、3月のライオン。
前回、8巻は「男の勝負!」といえる熱いあつい内容でした。
→炎に焼かれ、嵐の中で戦い続ける者たち。『3月のライオン』8巻
一転、新刊は華やかなヒナちゃんの表紙。今までで今までガーリーなイラストな気がするw
今回は登場人物たちの日常がクローズアップされていたような印象。
例えばヒナちゃんは高校生になりました。高校受験を目前にいろいろ考え事をするのですが、そのモノローグが包み込んだ人生の痛みとか幸福とか侘しさだとか、沁み入るものがありました。
「忘れては いけないんだ」の力強さよ…!この作品がくれる言葉はいつも染みおる。新しい髪型もかわいいじゃない!!
着実に零くんへの気持ちが大きくなっているように見えて、恋愛面でも胸ほっこりですよ。
またヒナちゃんと対立した女学生、高城の空虚さが描かれたのもよかった。
彼女への批判というより、その問題に向き合った教師がふかく悩みこんだのがいい。いい先生だよ。そしてヒナちゃんをよくぞあそこまで傷つけやがったなクソがという怒りが、こんな形でスッとと溶けたのでびっくり。
教室でとりのこされたように、1人で目を丸くしている高城の絵は忘れられない。
無邪気な大人たち。土橋九段と宗谷名人のエピソードは、そんなことを思わせてくれます。
勝負の世界にのめりこんで、見ておるこちらが心配になるようでも、当人たちは童心のまま、ただただ将棋漬け。
それを支える家族の苦労を描いたエピソードですが、浮かび上がるのはやはり将棋の世界に生きる人たちの不思議な生き様か。残酷なくらい自分を削って、なにも残らないくらいの覚悟で切り詰めて、それでも将棋は楽しくって。
宗谷名人にこんな友人(ライバルか)がいたのは、とても嬉しいかも。
今回も読み応えバッチリでよかった。流れていく時の寂しさと楽しさ。
思春期ビターチェンジ(1) (ポラリスCOMICS) (2013/10/15) 将良 商品詳細を見る |
表紙からアピールしていますが、、王道(?)の男女入れ替わりものです。
しかしこの作品が目を引くのは、主人公たちが心と身体が入れ替わったまま、成長していくということ。1巻の収録分時点で、小学生から中学生に進学。3年以上の月日が流れました。
本来の性とはちがう身体となった男の子と女の子。ましてや大きな変化をとげる思春期のまっただなか。男のはずなのに女の子として、女のはずなのに男の子として成長していく。アンバランスな関係、心と身体。
揺れに揺れる2人の不思議な日々は甘酸っぱく、そして結構ほろ苦い…っ!
異性についての発見をとまどいながら繰り返していく性転換ものの醍醐味もあり、そして相手の深いところを理解していくドラマも面白い。
知らなかったこと、知ろうとしなかったこと、または自分が隠していたこと。心の交流の様子が面白いのですね。
個人的にはやはり生理が訪れたエピソードはグッときました。やさしい絵柄で結構突き刺さることを書いてくれますね。
WEB版もまだ読めます。http://banbi.omiki.com/ (「ちぇんじ」というタイトル)
微妙にイベントの時系列が違っていたり、あのシーンがあったりなかったり。微妙な違いを楽しめるのでは。ちなみにまだ単行本では未到着の「高校生編」は色恋沙汰のこじれっぷりに激しく悶えるオッシャオッシャな出来栄えなので今から商業版で読めるのが楽しみっですよ!!
あと買ったら特典ペーパーがついてきまして…入れ替わり後にはじめてののおふろに臨むお話でした。なぜ!!これを!!!本編でやらないんだ!!!!ほんとに行間が気になるよ!!「ヤベぇ ヤバかった…女のからだってやばい……」ってナニがあったんだよ!
思春期シンドローム(1) (アフタヌーンKC) (2013/09/20) 赤星 トモ 商品詳細を見る |
ひとくちサイズの青春劇。女子校につとめる男性教師がいちおうの主人公です。
女の子たちのきっと「あるある」な日常を、こまかくこまかく切り取っていくオムニバス作品。
なんとほとんど4ページ以内で1話が終了します。サクサク次のエピソードへ移る。すごいのが、そんな短いのに一作一作ちゃんとオチがあってまとまりがあること。
まるで美味しいところだけを味わっているような、なんとも贅沢な感慨がわくのですw じっさい新人さんでこのアイデアの豊富さは頼もしい。
ノスタルジックで、甘くて酸っぱくて苦々しくて、傷ついたり傷つけられたりバカなことしたりして。
暖かな賑やかさと冷え冷えとした後悔が入り混じって、これだ!これだよ青春ってのは!と大興奮しながら読みました。
青春の中にただよう喜怒哀楽さまざまな感情を、いろんな角度から拾い上げている。
物語の面白さと、ショートショートの異常なテンポの良さが余計に好感度をあげています。トゲがったり、すごく包容力があったりと、作品そのものの懐がとても深い感じ。
絵柄も老若男女したしみやすいフラットなものだと思いますし、いろんな人に読んでもらいたいなと思うのです。
しかしまぁ、ショートショートという構造上、それほど爆発力はない。「これ長めの頁数でじっくりと読みたかったなー!」というエピソードはたくさんあります。
いろんな物語をひとくちサイズに楽しめる贅沢さも嬉しいですが、どことない勿体なさも感じることは確かでした。それにポンポンと美味しいシチュ・美味しいセリフを展開させていくので、ネタ切れは大丈夫かしらといらん心配をしてしまったり。
コンセプト的に難しいかもしれませんが、たまには中編的に15P~20Pくらいでじっくり取り組んだ一話があってもいいのかもしれない。というかそれを俺が読んでみたい!!これだけ短いペーシ数で余韻たっぷりなお話を紡げるのだし、いろんな構成を見てみたくなる。
四季賞ポータブルに収録されていた投稿作バージョンが単行本には載っていなかったのが残念ですが、とても気に入ってる作品であり作者さんです。2巻以降でも胸しめつけられたい。
モアイで試し読みできるんですね。気になったらこちらで。
トド彼 1 (ビッグコミックス) (2013/09/30) 高嶋 あがさ 商品詳細を見る |
裏表紙の作品紹介を読んで惹かれたので購入。試し読みはこっち。
見た目は人相のわるいただのトド。憎たらしいのに憎めない。そんなトド山さんとお付き合いしているのは普通の地味OL、優子さん。
どこにでも動物がいて、歩くし話すし働いている、そんな世界。この現代ではとくに珍しくともなんともない2人の日常は、いや読者から見たらおかしな光景の連発ですよって。
普通の恋人のやりとりがなんとも言えぬ面白さを生みだす、同棲カップル日常4コマ漫画。
癒されます。
やってることは、きっと普通に人間同士のカップルと一緒なんですよ。
でもところどころに「俺、ヒトじゃなくてトドだしさー」と言いたげにトド山さんが予想外なところにオチを持って行ってくれて、それが楽しい。トドなのに人間みたいなこと言ったりやったりする、それだけでも見てて面白いからズルい!
地味系OLの優子さんは一途で思慮深く、本当に地味なんだけどなんだか読んでて愛おしくなってくる存在。地味だけどオシャレするとかわいい。地味だけど。
それで困ったことに、ヘラヘラと気楽に読んでいた所、不覚にもほろり泣いてしまいましたよ…。家族愛のようなものを、きっと感じたのだと思う。それはトド山さんのおとっつぁんに関してもそうだし、トド山さんと優子さんの関係にしてもそう。
出オチのような設定なんだけど、ちゃんと奥深い人間臭さが出ている。予想外にハマらせてもらいました。同棲カップル漫画だけど片方トドなもんで、変なナマナマしさを感じずサラッと楽しめるのもツボです。
とは言えふだんから性生活があることが伺えるネタもありますが………様子を想像するにシュールすぎると思う。
あとはモリタイシ作品をふたつ。
今日のあすかショー 4 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL) (2013/09/30) モリ タイシ 商品詳細を見る |
終わったーーー。全4巻。「いでじゅう!」からモリタイシ作品を追っていますが、新境地に至った作品だったと思います。面白かった。
美少女観察漫画のような、中学生のあすかちゃんと出会った周囲の人たちのお話。
やっぱりあすかちゃんは可愛くてそれだけで癒される。今回もいろんな表情を見せてくれました。
人情話もあればマニアックなエロスの世界に旅立つドキドキなものもあります。
知らず知らずのうちのその純粋さ、可憐さから、まわりを少し幸せにしたり笑顔にしたり、はたまた混乱させたり。かわいい女の子がそこにいるだけで救われることもある…!
1巻のころはたまに目がこわくなっちゃってる時もありましたが、4巻ともなると絵の安定感も完璧ですね。それでもあの特徴的な瞳は変わらず。好奇心旺盛なネコのような、光のつよくするどい目。これがいいのだ。今回の裏表紙とか、ベストショットですね。
物語は終わったけれど、きっといつまでも、こんな女の子がいたらって、ふと思い出してはフワフワな気分になれるんだろうな。フォーエバーあすかちゃん。
そういえば連載期間で言うならモリタイシ最長作品になったんですねぇ。
やっぱり最後はパンツで〆。おつかれさまでした。
くちびるに歌を 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル) (2013/09/30) 中田 永一、モリ タイシ 他 商品詳細を見る |
同時発売された「くちびるに歌を」の単行本1巻。
こちらは中田永一さんの同名小説を原作とした、モリタイシさん初めてのコミカライズですね。中田永一といえば「百瀬、こっちを向いて」は大好きなのですが、この作品は未読。
で、「原作のファンですが、このコミック化はアリです!」とか乙一がオビで書いているのがなんともかんとも。扱いにこまるよw
アンジェラ・アキの「手紙~拝啓 十五の君へ」がストーリーの柱となっています。これは2008年のNHK合唱コンクール中学校の部の課題曲になっていたもので、この作品でも合唱を通じて深まっていく青春模様が描かれています。
1巻の段階では話は大きな動きを見せていませんが、じわりじわりと広がってくる青春らしい空気がとても好きな感じ。迷い、怒り、照れ。男子と女子が相手を意識しすぎてギクシャクしちゃってるあの思春期の感触。
やたら女体を強調するモリタイシエッセンスも隠れずバッチリ存在していますが、原作の淡い水色の世界が生き生きとしてますね。
雑誌では見られなかった、登場キャラクターそれぞれが書いた「15年後の自分への手紙」が単行本で収録されていたのがグッときました。
クセモノっぽい長谷川コトミさんがいまのところ一番気になる。主人公の今後の成長にも期待が持てる。
[漫画]2013年10月単行本の購入予定
はぁ~~~ラブライブの4thライブチケット当たりますように!!(関係なし)
10/07 講談社 マテリアルポルカ 1 古林 奈留
10/07 講談社 はねバド! 1 濱田 浩輔
10/08 秋田書店 あまねあたためる 3 佐渡川 準
10/11 講談社 放課後カルテ 5 日生 マユ
10/11 小学館 ひとりぼっちの地球侵略 4 小川 麻衣子
10/11 小学館 ハレルヤオーバードライブ! 10 高田 康太郎
10/12 フレックスコミックス発行/ほるぷ出版発売 ブレイクブレイド 7 吉永 裕ノ介
10/12 フレックスコミックス発行/ほるぷ出版発売 ブレイクブレイド 8 吉永 裕ノ介
10/15 エンターブレイン発行/KADOKAWA発売 ジゼル・アラン 4 笠井 スイ
10/15 フレックスコミックス発行/ほるぷ出版発売 思春期ビターチェンジ 1 将良
10/17 講談社 アゲイン!! 10 久保 ミツロウ
10/18 集英社 源君物語 4 稲葉 みのり
10/18 小学館 銀の匙 Silver Spoon 9
10/18 小学館 ノゾ×キミ 2 本名 ワコウ
10/22 スクウェア・エニックス 妖狐×僕SS 10 藤原 ここあ
10/22 スクウェア・エニックス 俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる 愛 睦茸/裕時 悠示
10/23 メディアファクトリー ひまわりさん 4 菅野 マナミ
10/25 エンターブレイン発行/KADOKAWA発売 GOD FINGER 迅 リボルバー
10/25 スクウェア・エニックス サカサマのパテマ another side toi8/吉浦 康裕
10/25 スクウェア・エニックス クズの本懐 2 横槍 メンゴ
10/26 芳文社 桜Trick 3 タチ
10/30 小学館 ヒメゴト~十九歳の制服~ 6 峰浪 りょう
10/30 少年画報社 蒼き鋼のアルペジオ 8 Ark Performance
10/31 白泉社 楽園 Le Paradis 13 アンソロジー
10/31 コアマガジン (成)山吹ざらめ作品集(仮) 山吹 ざらめ
最終痴漢電車3ファンとしては「GOD FINGER 迅」に全力を出し切りたい。
そして8ヶ月ぶりの「ヒメゴト~十九歳の制服~」新刊をめちゃくちゃ楽しみにしつつ
ふだんこのリストには成年向けは入れてないけど山吹ざらめさんは推したいので入れたり。
でもいつもより購入数すくない月ですね。
10/07 講談社 マテリアルポルカ 1 古林 奈留
10/07 講談社 はねバド! 1 濱田 浩輔
10/08 秋田書店 あまねあたためる 3 佐渡川 準
10/11 講談社 放課後カルテ 5 日生 マユ
10/11 小学館 ひとりぼっちの地球侵略 4 小川 麻衣子
10/11 小学館 ハレルヤオーバードライブ! 10 高田 康太郎
10/12 フレックスコミックス発行/ほるぷ出版発売 ブレイクブレイド 7 吉永 裕ノ介
10/12 フレックスコミックス発行/ほるぷ出版発売 ブレイクブレイド 8 吉永 裕ノ介
10/15 エンターブレイン発行/KADOKAWA発売 ジゼル・アラン 4 笠井 スイ
10/15 フレックスコミックス発行/ほるぷ出版発売 思春期ビターチェンジ 1 将良
10/17 講談社 アゲイン!! 10 久保 ミツロウ
10/18 集英社 源君物語 4 稲葉 みのり
10/18 小学館 銀の匙 Silver Spoon 9
10/18 小学館 ノゾ×キミ 2 本名 ワコウ
10/22 スクウェア・エニックス 妖狐×僕SS 10 藤原 ここあ
10/22 スクウェア・エニックス 俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる 愛 睦茸/裕時 悠示
10/23 メディアファクトリー ひまわりさん 4 菅野 マナミ
10/25 エンターブレイン発行/KADOKAWA発売 GOD FINGER 迅 リボルバー
10/25 スクウェア・エニックス サカサマのパテマ another side toi8/吉浦 康裕
10/25 スクウェア・エニックス クズの本懐 2 横槍 メンゴ
10/26 芳文社 桜Trick 3 タチ
10/30 小学館 ヒメゴト~十九歳の制服~ 6 峰浪 りょう
10/30 少年画報社 蒼き鋼のアルペジオ 8 Ark Performance
10/31 白泉社 楽園 Le Paradis 13 アンソロジー
10/31 コアマガジン (成)山吹ざらめ作品集(仮) 山吹 ざらめ
最終痴漢電車3ファンとしては「GOD FINGER 迅」に全力を出し切りたい。
そして8ヶ月ぶりの「ヒメゴト~十九歳の制服~」新刊をめちゃくちゃ楽しみにしつつ
ふだんこのリストには成年向けは入れてないけど山吹ざらめさんは推したいので入れたり。
でもいつもより購入数すくない月ですね。