[漫画]世界を救うハードボイルド小学生漫画、復活ッ!『新装版 真・女神転生 デビルチルドレン』1巻
新装版 真・女神転生 デビルチルドレン(1) (真・女神転生 デビルチルドレン (1)) (2013/05/23) 藤異 秀明 商品詳細を見る |
俺を殺してみろ!!!
デビルチルドレン復活ッッ!!
悪魔と戦うはずが自分がいちばん悪魔みたいなツラしている小学生・刹那さんのイラストが眩しい新装版第一巻が出ましたよ―!コイツ小学生です!
というかマジでこの顔どうしたんだよ!ヤバすぎだろ!かっこいいなオイ!
発売がアナウンスされてからまだかまだかと待っていた一冊。
今はなきコミックボンボンの復刊シリーズのひとつとして発売です。
連載していたのは2001~2002年。そうかもう12年くらい前になるのか…。
自分にとってこの漫画は本当に思い入れ深く、語りたいことはたくさんあるのです。時期的に、今の20歳前後(いや20代前半かな)あたりがたぶん直撃世代。
いまだに単行本たまに読み返しては、「あ~~やっぱり格好いいわ~~」とかやってる。
児童誌界のベルセルクだとか、トラウマ製造機だとか、カルト的人気の異色作だとか。そんな仰々しい言葉で語られることも多い本作。
焼ける!切れる!もげる!砕ける!裂ける!食われる!
バトルは本気の命の取り合いからくる緊張感がみなぎり、ずっしりと重たいドラマも絶品。
スタイリッシュでハードボイルドで中二心たっぷり!
こんな漫画はそれまで読んだことがなく、当時小学校低学年だか中学年だかの自分はめちゃくちゃこの作品にハマり込みました。「カッコよすぎるだろこれ!!!」と。
中二病魂の種をまいてくれた作品とも言えるのかもしれない。
今読んでも、よくこれを児童誌でやっていたよな…と本気で思うw
そこはやはり、今も伝説的に語られるコミックボンボンの「らしさ」なのだろう。
バイオレンスな部分が注目されがちな作品ではありますが、それに加えてストーリーも好き。
じっくり腰を据えて読み解ける、厚みのある物語。これは今読むからこそちゃんと深い部分も見えた。世界がどうとか、クサいセリフを吐きながら必死に戦い生きる子どもたちのドラマ。文句なしにおもしれーな。
今回の新装版は全3巻構成。今回発売された1巻は、旧1,2巻が収録されてします。
巻末おまけ漫画では「昔からの読者からの人!ボンボンなんて読んでたからそんな歪んだ性癖になっちまったんだよ!うそ!ひさしぶりー!」と書かれており、余計なお世話だこの野郎と笑わざるをえない。
さて、感想を書こう。
と言ってもこれは今から12年くらい前に出た単行本の新装版なので、うちの通常営業な感想記事にはちょっとしづらい。
なのでチマチマと当時の思い出話もしつつ、お気に入りのシーンの紹介のような風でやっていこうかな。
●物語
ストーリーはざっくり言うと、特殊な力を受け継いだ小学生たち「デビルチルドレン」が魔界へ行き、悪魔との戦いに巻き込まれていくというもの。
メガテンの子供向けシリーズとして始まり、ゲーム・アニメ・カードゲームといったメディア展開のひとつとしてこの漫画もスタートしました。どれもやったなぁ懐かしい。
しかしこの漫画、独自路線を行きすぎてアニメやゲームを完全無視!!
アニメから入った自分は漫画を読んで「なにこれ…?」とポカーンしたものです。アニメではあんな明るいおちゃらけたオカマ狼が、漫画だとクールでガチムチ格好いいヤツになってんぞ…?とかね。似た経験してこの漫画にとりつかれた人結構いるんじゃないかな。
アニメはコメディ路線でしたしね。ゲームはシリアス色が強いものでしたが、正直この漫画版のインパクトが最強でした。
児童漫画らしからぬヘビーなテーマ。
濃密な死の香り。
世界をめぐる壮大なストーリー。
闘うということ。大切な人を想うということ。「背負う」ということ。
『人殺し』
主人公・刹那をとりまく環境や彼が辿るドラマは、本当にシリアスです。
大切な相手から「人殺し」と微笑まれる悪夢。無力感と罪悪感。
明るい作品しか楽しんで無かったような小学生の俺は、旧単行本1巻ラストのバッドエンド感に唖然としたことが今や懐かしい…。
先にも書きましたが、こういった物語を、ちゃんと楽しんだというのはこの漫画「真・女神転生デビルチルドレン」が初めてでした。だから何もかもが本当に刺激的だった。全身全霊でこの漫画を感じていた。
20代になりいろいろ漫画も読むようになった今では、ちょいと冷静になってこの作品を見れます。全体的に急ぎ足だよなとか、絵が急に変わりすぎだろカッコいいけどさ!とか。でもまぁそんなものは些細なこと。純粋にこの作品はパワーがあるし、本能を揺さぶる熱い物語だ。
直撃世代の人間にとっては、中二病への扉を開くような、そんなポジションにあった作品なのかもしれない。
児童向けとは言ってもメガテンシリーズである。子供心に「ちょっとこわいけど、大人っぽくて格好いいなぁ」と感じられるような要素が散りばめられ、これまた少年の憧れを強めたのであった!
●キャラクター
妄執にかられる主人公。ほかにもキャラクターはそれぞれ使命、復讐、革命といったキーワードを宿し、それぞれの戦いが大戦争へとつながっていくのです。
刹那は上でも書いたけれど、自分が無力だったばかりに大切な人を失ってしまった、傷つけてしまったという後悔の念を持っています。強さに憧れる少年だったからこそ、その圧倒的な無力感に打ちのめされ、一度は心おられてしまう。
しかし復活したかと思ったら立ちはだかる悪魔たちをバッサバッサと殺しまくる、ド迫力のマジキチ野郎に変貌を遂げていた。
「危ないマスター!!」と身を呈して自分を守り死んだ仲間に対して「チッ!!」となんの感慨もなさそうに舌打ちして戦闘を続行する刹那は、小学生ながら「さん」を付けるしか有り得ない格好良さ。刹那さんコワイ。「俺を殺してみろ!!!」は超名言である。
というか第6話の刹那さんのテンションはヤバすぎる。ニヤニヤ止まらん!
もう一人の主人公。そしてヒロインでもある少女、未来。
刹那を守るという使命を持ち、刹那と共に戦い、そして彼にトラウマを植えつけっちゃったりする作品のキーパーソン。
堂々とした戦いぶりや、「私のパートナーは世界一ィィイイイイイ!!!」とか叫んじゃうノリの良さ、当時からすごく好きだった。格好いい女の子だ。
しかし、彼女が弱さを見せる場面もとびきりに大好きなのだ。
未来がひとりになってついつい泣いてしまうシーン。
ここには今も昔も変わらず心揺さぶられる…!!
人間そうそう萌えのツボとかって変わらんのかもね。
さてもう1人のヒロイン、エレジーちゃん。
大魔王の娘として、親に復讐するために闘う少女である。未来が傍にいられなくなったあとに刹那と行動を共にするようになり、みるみるヒロインとして頭角を現していく!
むくれちゃうエレジーちゃんかわーいーい!!!
昔はそんな意識は無かったけれど、ツンデレっぽいかもな。
刹那と関わるようになってどんどんと人間としての、そして女の子としての意識を取り戻し、あるいは芽生えさせていく様子はなるほど胸キュン。
●絵の良さ
もう10年以上前の漫画ですが、古びれませんね。今読んでもかわいいし格好いいわ!
連載中もどんどん絵の感じが変わっていった本作ですが、この新装版1巻は本当にどんどんと作者が成長していく。それも凄いスピードで。こうして一気に読んでみるとそれが改めてわかります。
このデビチル、個人的なことだけれど本当にかっこいいコマが多い。
子供のころ読みながら、なんてオシャレな絵なんだろうかと惚れ惚れしてた。
構図とかキャラのポーズ。この作品はやはり中二力高いと思うよw
勢いのあるバトルシーンでも、しっとり魅せる愛情と憎しみのドラマパートにしても、頭に残る場面がとても多い。
例えばこのシーンなんかは、当時こんなの見たことなくて興奮したもんな。目元だけを描いて、その視線の交差の意味を力強く伝えている。なんてクールな演出!
このシーンも大好きだったなー!懐かしいー!
仲間が死んで飛んできた剣をそのままキャッチして即座に攻撃するシーン。
なんか知らないけどこのシーンに凄く憧れて、かっこ良く棒をキャッチする練習とかしてたああこれは思い出したくない痛い思い出だったそっとしておこう。
名場面といえば
「そこ、雨が降るから気をつけな!!!」→細切れの死体と血の雨が降り注ぐ
「また会えるよね!!!」「ああ・・」そして別れ、遠ざかってから「来世でな!!!」
あたりもファン的には王道の大好きなシーンです。
みるみるエロい肉体への変貌をとげていった性的すぎるネコマタさんも見逃せない。
どんどん等身が伸びて大人っぽくなっていったよね…。散るシーンすらエロい…。
「真・女神転生デビルチルドレン」新装版1巻の感想でした。
本当に新装版として発売されて嬉しいなぁ。同時に、子供のころ楽しんでいた作品がこうして新装版とか文庫化とかしだすと、歳をとったもんだなぁと実感したりもするw
子供の頃はそうたくさん漫画を持っているわけでもなく、ひとつの単行本を本当に何度も読み返したりしていた。あの頃だとポケスペとこのデビチルが思い出深いな。そんなこともあり、自分の幼少時代の思い出に色濃く染み付いているのです。
この新装版1巻収録分は全体的にテンション高めでやっぱ楽しすぎるよなー。
これ以降だとちょっとずつ落ち着いてきてさらに大人っぽい展開に入っていくけれど、作品初期のここらへんのノリがこの作品のパワフルさの象徴になっていると思う。
すげぇバトルが描きたい!!!のような、作者の若い衝動が詰まってる感じ。
それでいてテーマも深めていっているあたり、やはり児童漫画と言うには恐ろしい作品。
今回の1巻は巻末に当時のアシスタント・木下エースケ氏による描きおろしオマケ漫画あり。思い出話とかしてるので、当時読んでいたファンはニヤニヤできるのでは。
来月は2巻、再来月に3巻が発売される予定。もちろん買いますよ!
そしてラストの3巻には藤異先生描きおろしの漫画も載るんだとか!しかも30P!!
うおー!これは読むしか無いだろうが―!
デビチルの新装版も出たことだし、あとはほら、ククルとナギとかDチルとかも…さ…講談社さんチラッチラッ(アンケ書いて送ろう
何はともあれ新装版発売おめでとうございます!昔を懐かしみつつ、変わらぬ作品の魅力を再度噛み締めることができました。新装版2巻も楽しみ!
『真・女神転生デビルチルドレン』新装版1巻 ・・・・・・・・★★★★★
やっぱり最高だな!自分のルーツみたいなものかもしれない。思い出補正バリバリ効かせた上で、やっぱり大好きなので満点評価。
[漫画]めんまは、やっぱり笑った。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』漫画版3巻
あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 3 (ジャンプコミックス) (2013/05/02) 泉 光 商品詳細を見る |
あの花は きっとどこかに咲き続けてる
めちゃくちゃ出来が良かった「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」のコミック版最終巻の感想です。
テレビアニメが自分にドストライクで、今年の夏に公開される映画版も見に行こうかなと思っていますが、いやいやアニメだけじゃない、漫画版も素晴らしい!作画、演出などのレベルがすごく高いし、アニメを漫画にする上での少々の改変もバッチリうまく行っている。
アニメのファンも、アニメを知らなくても楽しめる、純粋に漫画として非常にすっきりとしています。全3巻というボリュームも収まりがいい。
アニメ版も踏まえてのネタバレありの記事になってます。
1巻2巻と感想を書いていませんでしたね。この作品に関してはどう終わるかが注目どころではあったので、完結してから評価をしておきたいなーと思っていたのですが、見事なラストでした。
アニメは毎回のように泣きながら見ていたものですが、漫画版でもボロボロになりましたよ…特に、やはりこの3巻は、強烈。本当どーうかーしてーるーみたい(泣きながら)
各キャラクターの掘り下げ、心理描写、それぞれのトラウマとその向き合い方。
大切な人が死んだあとにずっと続いていく、それぞれの物語。
足を止めていた、心を閉ざしていた、目を背けていた人々が、自分の気持ちを消化して未来にむけて歩み出す、その姿の眩しいことよ。
何もかもがとても鮮やかに紡がれている。本当に丁寧に原作を再現してくれているため、アニメのファンとしては本当に嬉しいコミカライズなのです。
感動でも緊張でも、心が揺さぶられる瞬間のハッとさせられる演出は、漫画という媒体になったことでアニメとは違った方面から俺の涙腺を攻め立てる。
そしてそこの漫画版オリジナルな魅せ方に、さらに心揺さぶられるのですよ!
アニメの脚本に対してほとんど不満はなかったスタンスなのですが、漫画版ならではのやり方でエピソードの細かなリメイクがされている。しかもこれがまた素晴らしい仕事なのです。
特に今回の3巻収録分のエピソード、つまりアニメの最終2話ほどに関して言えば、アニメにも並ぶかもしくはそれ以上のお気に入り。
本当に細かな違いなのです。映す絵が違うとか、ちょっと行動が違うとか。話のメインストーリーはそのままに、ちょっとずつ変更点がある。
めんまの母親のセリフなんかは、読めてよかったなぁ。これは救われた。
アニメでやったみんなの夜の大懺悔大会はまるっとカット。
あそこで一気に心の闇が吹き出すのは強烈なカタルシスを感じたものです。アニメでかなり好きなシーンではあったので、そこがなかったのは残念かな。
ただあれを最終話Aパートに持ってきた影響で詰め込みすぎ感があったのも事実。
そのかわりに各キャラが抱えた闇は少しずつストーリーの中で吐露されており、違和感のないスムーズな進行。これは上手い。大事なピースが欠けたわけではない。別の形でストーリーの中でピタッとはまってくれていた。
原作エピソードの取捨選択や改変はコミカライズの価値を決める大切な部分ですが、そこはやはりこのコミカライズ版の技が光る。
ただ様々な変更点があるおかげで、ラストシーンはアニメ版とは少し違ったものになっていますね。これはこれで。髪型も違うし。
アニメ版最終話は本当に感動的なんだけれど、30分に詰め込みすぎてた感はやはり否めなかった。泣きつかれてうまく最後らへんは感動の飽和状態になるという異常事態になっていた俺である。
感情の波のコントロールというか、メリハリという言い方は正しいかわからないけれど、泣ける展開のオラオララッシュに体力を持っていかれる部分があったのも事実。そういうのも込みで俺はアニメあの花を最終話までひっくるめて大好きなんですけど。
で、そのアニメの最終話とくらべても、漫画版はある種さらに完成度を高めているのではないか、と思ったりもする。
なによりも涙腺崩壊したのは、めんまとのお別れのシーン。
作品の要とも言える超重要シーンでは、少年時代に超平和バスターズが、いなくなっためんまを見つける、という確かアニメでは無かったイメージが描写されており、問答無用の破壊力を見せつけてくれました。
これはやられた……。面白いくらい泣けるわ…。
誰かも言っていた気がしますが、このセリフを少年時代のバスターズに言わせたことに拍手を送りたい。
内容は同じ。でも演出や描写するものを変えるだけで、その物語の見え方が少しだけ変わってくる。宿した意味の解釈が広がる。最終話を読んで、文句なしに「素晴らしいコミカライズだった」と結論を出すことができたのです。
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」と、この意味深なタイトルが出てくるタイミングにも心底震えた。
あとは他におっと思ったポイントを2つほど。
1つ目につるこのこと。
なにげに漫画版で一番改変?補完?があったのは「つるこ」こと鶴見だったように思います。
超平和バスターズの裏のリーダー的ポジションであったということが、この漫画版では明確に描かれていました。その事からつるこが背負った罪悪感もより鮮明。漫画独自のキャラ掘り下げが好印象。
掘り下げというかむしろ別キャラに進化した感すらある。ドラマも深まっています。
これで超平和バスターズをめぐる人間模様はさらにおもしろくなっていたと思いますし、大正解。漫画版で嬉しかったポイントのひとつ。
小説版の内容をうけてのものなのかな、これは。いかんせん小説を読んでいなからわからないんですよね…。小説版もそのうち読みたいなぁ、オリジナル要素あるらしいし。
そして最後の単行本ラストの描きおろしイラストを見て確信した。
ああ、これ、間違いなく泉光さんがつるこ大好きなんだわ…!
2つ目は、あの日みた花。
これは多分アニメ版でも描写はあったけれど俺が見逃していて、この漫画版でようやく気づいたってだけのオチだろうと思う。でもやっと気づけたという意味でぶわーっと気持ちが高ぶったのでどうせなら書いておこう。
最終話のラストシーン、青い花(勿忘草)が咲くわけですが、これってめんまが最後に消えていったあの場所なのかな。あの樹の下。みんなが忘れられない思い出の場所に花は咲いたんだろうか。めんまは、生まれ変わって彼らにまた会えたのだろうか。
なぜ今まで気づかなかったのか…阿呆め。本当どうかしてるみたい(2度目)
しかも読み返したら過去にもこの樹は出てきていて、2巻の第8話冒頭にはこんな風にひとり取り残されためんまが描かれていました。
「ここにいるのに誰も見つけてくれない」そんな寂しい少女の風景。
そしてこの場所で「めんま、みーつけたっ!」が来ると。それ踏まえて読むと、さらにグッと来ますね。
コミカライズにもその質はいろいろありますが、正直この「あの花」のコミカライズは完成度が高くてビビる!
カットされてしまって残念なシーンはあったけれどお話としては過不足無く、カットされたシーンも大事な要素を拾って他のシーンに挿入されている。アニメからエピソードの整理がされなおされています。オリジナル要素も、アニメを見た身としても「読めてよかった」と確信できる出来。
作画担当の泉光先生はオリジナルの読み切り漫画を読んだことがありますが、きちんと話を作れる期待の新人さんと思っていたので、最初コミカライズをやると知った時は「ちょっと勿体無いな」と感じたものです。でも今や華麗な掌返し。
そりゃあ、自分が大好きな原作が、素敵な漫画にもなったら嬉しいものだよ!
出来がいいだけじゃなくすごく愛を感じるんですよね。幸福なコミカライズでした。素晴らしい漫画をありがとうございました。
次は泉光さんのオリジナルの連載を読んでみたいなー。
「あの花」そのものがまず作家さんとの相性が良かったんだろうな、ともなんとなく思いましたね。こだわりと情熱がある。背景の書き込みも凄まじい!
しっとりとした情感が宿ったみずみずしい夏の風景は、それだけで何かノスタルジックな物語を感じさせてくれるかのようです。
さて、漫画も終わってしまったし、あとは8月末の映画。
めんま視点のストーリーになってるとかで、また違った角度からこの甘酸っぱいお話を堪能できそうで、楽しみです。
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』漫画版3巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
大成功のコミカライズ。ここまでのはなかなかお目にかかれないかも。
[漫画]微熱のまま触れあって歌いあって『17歳℃』
17歳℃ (ビーツコミックス) (マッグガーデンコミックス Beat’sシリーズ) (2013/05/14) 麦盛なぎ 商品詳細を見る |
俺も、壊れるかもしれない。
「17歳℃」のコミックスが発売されていました。
WEB雑誌で読んだ時から「これはいい!!」と鼻息あらく見守っていた作品。単行本としてまとまってくれてとても嬉しい…!
熱に浮かされたような少年少女の刹那的な生き様が眩しくもどかしくかわいらしい、胸がキュンとくる青春漫画なのです。
高熱というわけではないです。微熱。頭がボーッとして正常な思考をゆっくり手放してしまう。イカれてるでもない。でも我慢ができないから。
きっとそれが17歳の温度なんだろう。ナイス思春期漫画。そして川本真琴漫画。
一話の試し読みがこちらで読めます
舞台は1990年代初頭。
純情な17歳の主人公・樋野は高校の軽音部。ムカつく先輩になじられながら日々練習に励む。しかしそんな日常を壊す転入生の少女、黒川なつき。
楽器を壊されてしまったことをきっかけに黒川に想い募らせる樋野ですが
黒川には決められた将来の相手が既にいて……。
行き場を失っていく少年少女の衝動は、読む者をズキズキとそしてニヤニヤとさせてくれる!
「17歳℃」というタイトルは本当にピタッと内容にハマっている。
第一話を読んだ時にすぐに引きこまれてしまいましたよ。
だってねぇ、あのラストシーンを読んでたら「あれ…この構図…くるんじゃね…くるんじゃ…あっあっ…あーーーおおおおおおお」っていう。
何を考えているのかわからない。何を仕出かすかわからない。
ミステリアスでセクシー。感情がよめない表情で、歌う時は爽快に、そして突然にキスをする。
そりゃこんな娘が目の前に現れたら、男の子は大変ですよ。
「純情17歳な青少年を夜な夜な悩ませるのは、いつの時代もあの娘の事だけ」
オビに書かれてたフレーズですが、まさにそういうものです。
主人公が等身大でピュアな男の子。けれど暴走を止められないからかわいい。
普段は自分の本音をうまく伝えられない、地味でおとなしめな少年なのですが
思春期をこじらせた言動と、それへの羞恥があってたまらない!
「何やってんだろ俺…」
「殴ってください」
うっかり変態的なことをやってしまった樋野くんの懺悔シーンがこれである。笑えるシーンではないだろうけどこれは笑ってしまったwwお前はなにをやっているんだ言っているんだ!
それに彼は、好きな女の子を歌ったラブソングを作ってしまうという、音楽少年におけるとびきりなことまでしちゃうのだ。
このラブソングはクライマックスシーンでその真価を発揮する、この作品のカギとなるもの。ですがこう…ああ…恥ずかしすぎるな…こういうの大好きさ…!
自分のどうしようもない想いを「昇華」したいから。どうしても叫びたいから。
そんな切実な願いでギターを手にするヤツだって結構いたりするんだろう。
多分樋野はそういう少年。
ヒロインの黒川、主人公の樋野がメインですが
個人的には軽音部のいけ好かない先輩・阿部の扱いも印象的です。
黒川に選ばれなかった側の人ですが、これがまた結構救いなくて。
たしかにムカつくキャラクターのポジションではありますが、最終話での彼の最後の登場シーンが印象的ですねえ。描かれた範囲では残酷な決着になってしまった阿部先輩。最後まで彼は浮上できなかった。
クライマックスでは更にもう1人かわいそうな目にあう男がいました。
そうやって誰かを不幸にしてでも我を通す。
うまくなだめて交渉して、なんて器用なことができない。
17歳の向こう見ずなリビドーは、こんな刹那的な風景を駆けていく。
微熱っぽいはずなのにどこか冷ややかなんだ。誰かを突き放す時、自分を貫く時の容赦の無さ!それがまた格好良い!彼がそうまで出来るほどの昂ぶりなんだ。
そんな「17歳℃」です。一巻完結。
もうちょっと続きが見たかったなーとも思いますが、けれどよくまとまっています。ラストシーン格好いいわぁ。いい表情でラブソングを歌いやがる。
思春期の衝動あふれる空気がたまらなかったです。
90年台初頭が舞台ということでややノスタルジックな感触。
各話タイトルが「あいの、さいのう」とか「十分前」とか、全部歌手の川本真琴さんの曲をちょっと変えて使用されていますね。子供のころ聴いたアーティストなので、合わせて懐かしい…。
あとがきを読むに、ヒロインの黒川は「川本真琴さんみたいな娘」として描かれたらしいですし、もしかしたら川本真琴さんの若かりし頃はこんな風だったかな?という作者の妄想みたいなものが作品の源なのかも知れない。
調べてみたら川本さんは74年生まれ。つまり彼女が17歳だった時が、この作品の舞台である90年代初頭に重なるんですね。
遊び心ある可能性のひとつとして、そういう見方も出来るかもしれない!
というわけで至る所から川本真琴への愛を感じさせる作品。作中でも恥ずかしいラブソングが作られたけれど、むしろこの作品が川本真琴へのラブソング感あるw
絵柄は軽く爽やかめなんですが、エロいシーンのじめっとした質感もお見事。
直接的なものではありませんがややフェチっぽいエロス。
こういうの大好きですよ…うむ。
じわじわ、ムラムラと来ます。男の子も女の子もエロくて愚かでかわいい。
「あなたは 一緒に溺れてくれる人が欲しかったんだ」など、ゾクゾクくるセンスいいモノローグも心に焼き付く。思春期におぼれているのだ。
作者さんの初単行本とのことですが、これからの新作への期待は大きいですね。
大きな広がりがある作品ではなくコンパクトにまとまった作品。だからこそ一気に駆け抜けていく解放感がありました。思春期とは素晴らしいものだね…!
『17歳℃』 ・・・・・・・・・★★★★
期待の新人さんの初単行本。雰囲気がいいなぁ、こっ恥ずかしくてw
[漫画]祝福を鳴らすのさ。『ハレルヤオーバードライブ!』9巻
ハレルヤオーバードライブ! 9 (ゲッサン少年サンデーコミックス) (2013/05/10) 高田 康太郎 商品詳細を見る |
ハレルヤ!!君に祝福を!!
恋と音楽は青春を彩るというものです。
キラキラ青春バンドストーリー「ハレルヤオーバードライブ!」第9巻感想。
絵も演出もどんどん進化してきていますね!
心地良い疾走感。音楽に触れること・生み出すことの幸福感に満ちた青春漫画ですわ。この作品のライブ回は本当に毎回カッコいいのです。演出とかコマ割りをうっとり眩しく見つめるのが大好き。けど今回はライブじゃなくても魅せられた。
さて9巻は、小雨たちが突破口を見出すまでのお話です。
バンドにおける必殺技…キラーチューンを作ることが今回のメイン。
前巻のラヴェンダーとの勝負の結果。そしてそこからの再出発。グングンと物語にうねりが感じられるようになってますね。本当にこの作品は前に進んでいっていると思う。
前巻 高まる僕の鼓動と、高まる君の鼓動が、『ハレルヤオーバードライブ!』8巻
「希望」は手が届かなくなった。手応えを掴めても結果がつかめなきゃ意味はない勝負だった…。
というわけで当然ふさぎこんじゃうティアドライブのメンバー。
そう、「希望」の曲は取り戻せなかった。
けれどそれで1番にショックを受けているはずのハルさんが笑顔を絶やさないのは、無理をしているだけじゃない。
あのライブを見て、確かにハルさんに想いが届いた。
そして、新しい「希望」を彼女は見つけられたのだ。
それがティアドライブ。後輩が見せたステージの上の予測不能の化学反応。まばゆいエネルギー。その熱量を確かに受け取ったから、きっとハルさんはこんなに嬉しそうなんだ。
希望を失ったらなら、新しい希望を見つけよう。作ってしまおう。
道を切り開く希望の音楽を奏でよう。
誰かを救う音楽。救うというのは大げさかもしれないけれど、心を支える優しくて強いメッセージを曲にしたいっていう思いは、多分この場面から形になったんだと思う。
「祝福」は9巻のテーマでもあるのでは。
ってなわけで新曲作りに力を注いでいくティアドライブ。
今回の表紙になっている九森弟と若葉ちゃんは、デートっぽいイベントをこなして絆を深めつつ、新曲のアイデア出しを進める。
普通に買い物してるだけじゃうまく会話が続かなかった2人。けれどスタジオに入って楽器を手にしてからはスムーズにコミュニケーションがとれているのがいいですねえ。
おしゃべり好きというわけではないこの2人にとっては、音楽こそ代えがたい交流ツールなんだな。自然にゆっくりと距離を縮めている2人には胸がホッコリしますよ!
無理やりに振り絞った不器用な言葉を投げかけ合うより
曲を通じて音を重ねたり主張しあったり、思いがけない返しを楽しんだり
音楽という変幻自在のコミュニケーションで、2人は本当に楽しそうです。
ウニ子こと若葉ちゃんは、本当に謙虚というか後方支援キャラだなぁ。
でも第45話「Brother Sun Sister Moon」の彼女は頑張っていた。
「冬夜くんが何か決めて一歩進む時は…私が背中押したげるって……」
なんてさ。あなたが頑張るときは私が支えてあげるからって言ってるようなもんですよ。取りようによってはすごいいい告白じゃないですか。でもこの2人はまだラブコメ展開には行きそうになくて、それは今後のお楽しみだろうか。
いつもがあんなにオドオドしているのに、いざ演奏してみれば
ギターのプレイスタイルは結構ハデっていうのが面白いよな。
あと私服の若葉、クセ毛を隠すために大きめな帽子がとても可愛い…!
この娘はオシャレ帽子がなかなか様になる気がする。
若葉ちゃんもいい。ハル先輩もかわいい。だが俺は麗ちゃん派だッ!
相変わらず麗はかわいいなぁーあ。小雨との絆もさらに深まってきてると思う。何気ない日常のワンシーンだけど、こんなふうにいきなり乗っかってマッサージする娘だったんだねぇってとても微笑ましたかったです。
7,8巻がすばらしき麗巻だった反動で、今回はやや影薄かったですけどね…。
ハル先輩に尋ねられて、「好きな人は…います!!」と小雨がこたえた時、盛大に「かっはー!」て吹き出してる麗がかわいかったですよね。ね。
しかしもう、今回でハル先輩は自分の恋心をほとんど自覚してしまったし、小雨-ハルの両思いラインが完成したようなものです。麗ちゃん…(´・ω・`)
しかしラブコメ的な盛り上がりと裏腹に、寂しい現実がつきつけられたりする。
夏休みも終わった。季節は進む。夏は秋になる。
もうすぐ、3年生は引退する。
分かっていたけれどここまでハッキリ言われてしまうと…ああ…淋しい…!
引退を見据えて感慨深さとより一層の情熱を燃やす三年生たち。頼もしくもカッコいいです。やはりいい先輩たちだったんだなと、改めて感じます。
次世代を担う後輩たちの成長を優しく見守りつつ、でもまだまだ鍛えなくちゃならん、という姿勢はカッコいいものです。
引退するのヤだなー。もっとメタりかの演奏いっぱい見たいし。あーでも。3年生の引退時にさみしんぼなタンポポちゃんがきっと泣いちゃうのシーンは早く見たいな!(ひどい
ある種のタイムリミットのようなものが見えて、物語に緊張感がましたのは当然のこと。もうすぐ終わってしまうこの輝かしい一時を大切にしようという、学生の部活ならではの感慨が生まれてとても甘酸っぱいのです。
9巻のキモはその最後のエピソードですよ。
思ったようにメロディを紡げない。新しい希望を作れない。前進ができない現状にいらだちを隠さない小雨は、アドバイスで楽器を持たずインスピレーションに身を任せろ(意訳)作戦に打って出る。
そこからの勢いは本当に素晴らしく、シリーズ通しても傑作と言える回だと思います。
ネームの妙というか、本当にリズムが聞こえてくるような高揚感に包まれていて凄く好きな流れでした。
まるで押し流されるように、けれどそれを味わう余裕を残しつつ、音楽の魔法に浸れる。最後のページの演出まで最高にカッコいい!!
小雨は感性のメロディメイカーなんだろう。
楽器をいじりながらよりスラスラと望んだ旋律が、それこそ小雨自信が追い切れないくらいに次から次へと沸き上がってくる。
小雨が思ったままに歌っていくメロディラインを拾い集め記憶し繰り返し、即興で演奏やコーラスを付け足していく。
それぞれが必死に、けれど喜びと充実感を覚えながら曲をかたちにしていく。緩やかに勢いがどんどん増していくこの感覚は凄いな。読んでいてとても幸せでしたよ。
考えてみれば金属理化学研究部の全員がいっしょに1つの曲を奏でたシーンを初めて見た。周囲を巻き込んで傍聴していく。小雨の「音楽の魔法」はこういう所もあるよな。
新たな希望は、まさに祝福。大切な人のための祝福。
その人の幸せな場面に寄り添う、心の中で自然と流れる。
演奏を終えたあと、メンバーが自然と笑みを浮かべながら言ったこのセリフが、まさにこの曲がどういうものかを表したものでもあると思います。
音楽を愛するすべての人に『ハレルヤ』と。祝福を鳴らすのさ。
そんな「ハレルヤオーバードライブ!」9巻でした。
ストーリー的には一休みの巻かなとおもいきや、どんどん物語は動くし演出は冴えるし人間関係の深まりも楽しいし、テンションあがりまくる一冊でしたよ!
とくに上で書いたコミックス最終話。この一話はそのまま一曲として考えられるような、気持ち良いリズムを感じる素晴らしい出来。
リターンマッチは次の10巻で描かれるのでしょう。一冊に収まるかは謎ですが、ここが大きな盛り上がりどころになることは間違いなし!
色んな要素が次の文化祭ライブに集められて、流れが見えますね。部活としての区切りとか、負けられない勝負とか、バンドとしての成長とか晴れ舞台とか。本当にワクワクしてきたなー!
恋愛と音楽の青春バンドストーリー。落ち着かずにどんどん熱くなってます。
『ハレルヤオーバードライブ!』9巻 ・・・・・・・・・・・★★★★
音楽の魔法は、そして祝福は、きっと彼らの道を照らすのだ。
今回の口絵(44話見開き扉絵)もカッコいいな。正面と背中合わせのループ構造。
[漫画]炎の悲劇!燃やされても君のそばに。『春の包帯少女』1巻
春の包帯少女1 (メテオCOMICS) (2013/05/11) 佐藤ミト 商品詳細を見る |
だって憎しみや恨みを抱えて生きていくなんて 女の子には辛いじゃない
華やかで格好いい超能力への幻想というか憧れみたいなのは自分にもあって、だからこそこの作品では最初ざっくり心えぐられた。
「春の包帯少女」はそんな憧れや幻想の裏を行く、超能力によってもたらされる悲劇をクローズアップしたサスペンス×恋愛漫画。
じりじりとした焦燥感にドキドキさせられる、シリアスな作品となっています。
ほのぼのとした平和な日常が悲劇へと転落していくその空気が絶妙!
この力は、ただ悲劇と罪を生むばかり。ましてや大切な恋人まで傷つけて…
連載から追っていた作品ですが、表紙が素晴らしいですね!
この作品の印象的な場面にヒロインが燃える、というのがあります。
炎。包帯。そして儚げなヒロイン。
この作品を飾る看板的要素がカッコよく描かれていてお気に入りの表紙。
連載読んでなくても本屋でこれ見たら表紙買いしてただろうなーと。
WEB連載なので1話と新しい話は無料で読めます。試し読みしてみては。
→http://comic-meteor.jp/haruno/
第一話の扉絵、これもかっこいいですなぁ。
連続放火事件が町を騒がせる。
でもそんな物騒な事件とはまるで関係がないように学校の日常はありました。
高校生のハルとナツは仲良しカップルとしてクラスからいじられるような2人。
2人の絆の深さを見せつけるようにイチャコラしまくり!
本当にお互いを大切に思っているんだな。恋しあってるんだな。
と刷り込んだところでこの作品は本題へ向かいます。
ほのぼの青春はサスペンスへと転落。
誰もが羨むような恋人同士でありながら加害者・被害者という立場になり
もうあの頃には戻れない、緊迫した世界になります。
特に追い詰められていく主人公の描写は秀逸で、読んでいてもこちらも逃げ出したくなる。ふさぎ込みたくなる。
大切な人を傷つけてしまった。罪悪感に押しつぶされそうだ…。
その一方でヒロインのナツの器の大きさというか、人間としての底の深さに魅入る。
覚悟が決まってからは女の子は強いもんかもな。
作中、主人公のモノローグはちらほらあっても、ナツのものはありません。
彼女がどんなことを考えているのが、読み手は「信じる」ことしかできませんが
そういう部分も、一体この先どうなるんだろうと期待を煽られる作り。
ナツは本当にハルが好きなんだろう。
けれど、その愛は深すぎて、もしかしたら恐ろしいほどかも知れない。
第2話のクライマックスは、彼女の神々しさとどこか漂う退廃感、そしてあまりに深すぎる愛情がミステリアスに描きこまれたいいシーンだったと思います。
やさしくて一途な女の子。
けどそれだけじゃない何かを感じるのは気のせいだろうか…。
主人公は超能力者ですが、精神面は普通に高校生男子なんですよね。
けれどナツは非常に肝が座っている。それは読み手にとっても頼り甲斐あるものでもあるし、もしかしたら結構とんでもない女なんじゃ…みたいな想像をしてしまうな。
ナツは儚げなんだけれど、底の見えない強さを秘めた女の子でもあると思う。
その強さがどういったものなのか、今後描かれていくんだろうか。
単純に恋する乙女は最強なのさ理論でまったく構いませんがw
ここまで強烈に好き合っている彼女たちの、馴れ初めとかも知りたいなぁー。
そしてもう一人のメインキャラクター、アキ。
理不尽や暴力、ひっくるめて「悪」を徹底的に嫌う少女。
彼女がゆっくりとハル・ナツの秘密に迫っていくのがスリリング……!
彼女には憎しみを抱くに至った過去があるようなので、この少女がどのように物語を乱してくれるのか、楽しみですよ。
良き友人ポジションでありながら、主人公たちを追い詰める追っ手役でもある。
第一巻はメインキャラクターの顔見せと謎の提示が主な内容でストーリーにあまり進展はありませんでした。
こういう物語の力強さで引っ張るサスペンスものなんかは、サクサク話が進んでいってほしいものです。じっくり丁寧なのもいいんですが、もどかしいですわ!
これから更に盛り上がっていくでしょうね。続きが気になります。
現実を舞台にしながらも唐突に主人公が超能力者だと明かされて、こういうリアルなお話ならファンタジーは無い方が良かったのでは…?と少し思ったり。
なんだかファンタジー要素が浮いてしまっている気がして。いまはまだ超能力設定の必然性が薄いというか。
でも例えばこれから先に来るかも知れない、主人公が能力を開花させてしまったキッカケの回想。悲劇ばかり生み出す超能力を逆手にとって、炎でヒロインを幸せにしてみせる爽快な展開。とかがストーリーに食い込んだら、1巻の段階での違和感は払拭されそう。
現時点でも「自分の意志で発動する訳ではない」「コントロールが効かない」→ヒロインを傷つけてしまう、というやるせなさを生むものとして、超能力は存在してくれていますが。
個人的にはやはり、悲劇を生んだこの能力で最後はハッピーエンドを掴んでほしい、という思いが強いですね。最後にはやっぱり超能力には夢があって欲しいw
今んところマジで「あってよかった超能力!」なシーン無いですからね。
もしくは超能力を封印しようって方に行くのかなー。どうなんだろう。
あと能力者はハルだけではないような描写も第5話にあったりして、はてさてどうなるか!
罪を背負った少年少女の、秘密の戦い。
こういう白夜行シチュエーション、昔から好きなんだなぁ。
2人だけの不道徳的な秘密。迫る脅威。甘い毒に酔いしれるような雰囲気。
シリアスな要素が強いですが、合間合間にある優しいラブコメパートには心癒されます…!
圧倒的癒し!
主人公カップルの好感度は高いので応援したいですが
まだまだどんな方向に進んでいくのか予想ができません。
主人公たちを追い詰める脅威もあり一筋縄ではいかなさそう。
これが初単行本とのことですがすでに画力は高く、読みやすいです。
表紙イラストにグッときたら、そのまま買ってOKなんじゃないかな。
残酷で、儚くて、心が痛くて、ドキドキする。そんな漫画。
『春の包帯少女』1巻 ・・・・・・・・・・★★★☆
続きが気になりまくるストーリー。燃やした僕と燃やされた君の物語。