[漫画]失敗しても、また跳べるよ。『銀の匙 Silver Spoon』7巻
銀の匙 Silver Spoon(7) (少年サンデーコミックス) (2013/04/18) 荒川 弘 商品詳細を見る |
八軒君の夢はここから際限無く広がってるんじゃないのかな。
7月からアニメも始まる「銀の匙」第7巻。
賑やかしいエゾノーのムードに包まれて、父親への緊張や、未だぼやけたままの将来や御影アキとのふわふわした関係やら…主人公・八軒の心の動きが印象的な巻になったと思います。満足度の高い一冊。
後半からは野球部の駒場のエピソードもありますが、これがまた…ね…!
激動の展開へと走りだす内容でもあるのかな。
6巻→本気で吠えて本気で悔しがる、これぞ青春!『銀の匙 Silver Spoon』6巻
そういえばアニメは制作A-1らしいですね。楽しみだな。
でもサンデーだとムシブギョーが夕方で始まったんだから、銀の匙も夕方にやってくれたらよかったのになーとは思うwノイタミナは合ってるんだけど、でも深夜にやるのは勿体無い…!
さて7巻の感想。
アゾノー祭当日の朝に過労でぶっ倒れた八軒。そして父親との対峙。
シリアスに幕を開ける7巻ですが、これまた染みる話ばかりなんだ…。
いまさらですが7巻を読んでから改めて6巻の時間予告ページを読むと、心がじんと来ますわ。
「誰よりも頑張った。それでも報われないこともある。」
「理不尽を受け入れなければいけないこともある」
「でも、きっと誰かが見てくれている。」
「この世の中、けっこう捨てたもんじゃない」
優しいばかりじゃない世界を描きつつ、でも「捨てたもんじゃない」という着地がこの作品らしいです。
時には失敗もするよ。上手くいってばかりじゃいられない。
でもまた跳べる。きっと跳べる。
馬と人をシンクロさせたこのワンシーン、いいなぁ。
病院で父親に厳しい言葉を浴びせられる八軒を見ていると本当にこちらも傷つくし、気が滅入る。でも八軒にとっては、自分を見つめなおすいい機会にはなるかも知れない。
「父さんのいうことは全然違う」と反抗する勇気も出ていなかったけれど、いずれそんな抵抗ができる場面が見たい。
回復して学校に戻ってきた八軒の様子も面白いんだけど、見ていてツライ。
迷惑をかけてしまった負い目を感じて「打ち上げに出る資格なんてない…」とか弱気モードだし、御影と再会したら戸惑っちゃうし。
印象的なのが、エゾノー初日が何事も終えられたと聞いて、ちょっと拍子抜けした表情をする八軒。
それは喜ばしいはずなのに、自分がいなくても成し遂げられたという事実は、心が弱ってる八軒にとっては自分の無力感を強調することにしかならない。ワガママなんだけど、それだけこの時の八軒は自分の存在意味を探していたんだよなぁ。
このシーンでは一緒に泣いてしまった。唐突に、一緒に涙が込みあげた。
考案し、実現に向けて頑張って、でもその結果を目の前で見ることは叶わなかった。
それでも、参加してくれたお客さんのメッセージを読んだら嬉しすぎて、嬉しすぎて。
倒れるまでスケジュールに忙殺された八軒だけど、ちゃんと手応えをつかめて本当に良かった…!
回復した八軒を出迎えた御影はかわいかったしカッコ良かったし、あーーーすげー好きなシーンですねこの一連の流れは。
初期とくらべてもちゃんと自分の意見をぶつけてくれるし、いろんな表情出してくれるし、彼女も変わってきた気がしますね。八軒と仲良くなってる証拠。
御影は6巻で言っていた「わかろうとする努力はやめたくない」という言葉は非常に印象的でしたね。たしかにそっと穏やかに誰かの世界に入っていける女の子だよなぁと、八軒とのこれまでを思い出しても思う。
彼女の変化を周囲も感じ取っているようで、いい傾向ですね。
御影いい娘やん!!って話をしたので続いて御影と八軒の恋愛模様の話。
6巻でエゾノー祭終わったらデートしよう!とダメそうなフラグを立てたら案の定そのすぐ翌日に倒れて気まずくなっちゃう八軒クン!!
でもそのわだかまりはちゃんと解けて、いよいよデートだイケる!
お、おお…なんだよ…この空気…!!!
全体的に恋愛要素はとてもアッサリと描いてる「銀の匙」。
でも今回のイベントは直球でときめき度高いんじゃないでしょうか!
相変わらず御影は色恋に弱いのでお馬さんに夢中ですが!それでもいいよ!たぶんこの日を思い出して冷静に客観的に見てみれば、ちゃんとデートできてたって分かるはずだから!たぶん!
八軒&御影のお出かけを無邪気に妨害しにかかる男を総出で撃退するクラスの女の子たちの協力っぷり面白かったなぁw
すげーラブコメっぽいイベントで良かったです。心地良い空気。
でもそんな楽しい日々は、悩みと共にある。
将来はなにをしよう。何が出来るんだろう。何を目指せばいいんだろう。
農業高校はすでに将来を見据えた生徒がたくさん。夢に向かって歩き出している。でも八軒はまだ明確な夢を持てていない。
でも何も描いていない白紙は、前向きに見つめることだってできるはず。
よくあるようなセリフなんだけど、この作品で放たれる言葉はどれもどっしりと大地に根付いているような説得力を持っていて、心に食い込むんだ。
ここから夢はどこまでだって広がっていける。
「それでも諦めきれない」と思えるほどの強い欲求。本当の夢というのは、そういうものだ
この見開きはセリフと合わせて、世界の広大さを見せつけるような開放感ある場面。抜けるような空とか続いていく道とか、印象的な絵です。
あー。将来について悩んで、友達と語り合って、ふといい言葉を受け取れたりするこの空気。苦悩の先のこの爽やかな感動が、実に青春くさくてたまりませんね!!
楽しさも甘さも苦さも青春は全部ひっくるめて漠然とある。
7巻は駒場のエピソードで幕を閉じ、気になるところで8巻へ続きます。
そんな「銀の匙」7巻でした。
農業漫画としての続麺が強い本作ですが、この7巻はいつもより更にすげー「青春漫画」の雰囲気が色濃くて、垂涎モノでございます。
もちろん今まで青春漫画として楽しめていましたが、今回はターニングポイントになりそうな場面が多かったかもしれない。
大きなイベント、失敗、親との確執、恋愛、友情、将来への不安と夢。
いろんな場面から、いろんな言葉から、確かに魂揺さぶられました…!
「生きるための逃げはアリ」。
だけど、逃げることでその問題はなくなりはしない。先延ばしにしたものは、いずれその精算を求められる。
いろんな体験を通じて、八軒の心も育ってきました。心だけじゃなく身体もどんどんたくましくなってますが!そろそろ
秋はやがて厳しく長い冬へ。北海道の冬は大変らしいぞ…!
『銀の匙 Silver Spoon』7巻 ・・・・・・・・・★★★★
大切な時間を刻んでいく味わい深い青春農業漫画。アニメも楽しみ!!
小ネタですけど、轟先生はどう見てもあの人だったw
それに一番最初の縦ロールたまこ、まじで違和感無くて最初分からなかった…!
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