[漫画]黒髪ロングの日らしいので永尾未果子さん(ヒメゴト)についてまとめる
タイトルのとおりです。
今日は9月6日。黒髪ロングの日らしいです。今年も黒ロン祭に参加です。
→【募集】黒ロン祭2013 開催のお知らせ
黒ロン記事を書こうと思い立った段階で、いま一番自分が夢中になっている黒ロン娘はだれだろうなと考え、この娘にしました。
永尾未果子さんが好きだ!!!
漫画「ヒメゴト ~十九歳の制服~」のキャラクター、永尾未果子さんです。
去年の「黒ロン祭2012」もヒメゴトでエントリーしたので、どれだけ熱を上げているかおわかりいただけただろうか…。
とりあえずしばらく俺は黒髪ロング=永尾未果子で推していくつもりです。
去年と代わり映えしませんか?いやいや、愛の証ってやつですよ!
いちばん彼女らしいイラストがカッコいい単行本2巻を張っておく。
「ヒメゴト」には3人の主人公がいるのですが、未果子ちゃんに焦点をあてて、現状のまとめのようなことをしつつ、どこらへんが魅力的な黒ロンちゃんなのかをPRしようと。
なにせ…たぶん知名度とか………超おもしろい作品ですよ!
過去の更新
ヒミツを抱えあう19歳の三角関係。『ヒメゴト~十九歳の制服~』1,2巻歪み絡まる19歳たちの性。『ヒメゴト~十九歳の制服~』3巻
友達でも恋人でも足りない気持ち。色めく19歳の夜。『ヒメゴト~十九歳の制服~』4巻
過去の更新でも未果子について語ってきていますが、今回はそのまとめのような形にできればと。発売中のコミックス5巻までの範囲で。
簡単に作品紹介。
「ヒメゴト ~十九歳の制服~」は大学1年生の男女が主人公。
3人が3人とも、「19歳」をこじらせていて最高にめんどくさいのだ、コレが。みんな深いコンプレックスを抱き、悩み、ときに共鳴する。
もう男の子じゃなくなった。もう女の子じゃなくなった。
行き場を失った「自分」を暗闇の中で探す。聞こえをよくするならばまさにモラトリアムまっしぐらな内容です。
でも実質、暗く湿った性欲を主軸にストーリーは進むので、ドロドロした青春模様が繰り広げられます。
魅力的な主人公たちの感情が複雑に絡み合い、倒錯的なヒミツの関係におぼれていく。
続きが気になりすぎてお腹がいたくなってくるよ…!
本当によくキャラクターが練られていて、ドラマの進展が面白すぎる!
そんな主人公たちの中でも、ひときわ黒く輝いてくれているのが未果子。
自分自身、まだ彼女の魅力を噛み砕けていないので、現状の整理も兼ねての更新です。
簡単に言うなら、かわいくて怖い、捻くれこじらせダメ女、です。(ひどい簡略)
変に純粋で暴走しやすい乙女であり、目的のために周囲を利用することを躊躇しない悪党でもあります。そういうギャップが…恋にしたたかな感じが、たまらなく惹かれる!
●「少女」へのこだわりと、年齢へのコンプレックス
「ヒメゴト」は大学生となったことで揺らぐ性意識がテーマなのだと思います。
未果子のこだわりは、うつくしい少女であることを保つこと。
彼女のコンプレックスは大きなものに「年齢」があります。19歳。大学生は、もう大人とも呼ばれるに十分な年齢。彼女は葛藤しているのです。
彼女の最大級の地雷ポイントが、これはもう1巻の序盤で明らかになるのですが
大学生なのに15歳のフリをして、売春を行っています。
相手の男をだますことで、「私はまだ15歳の女の子として通用するのだ」と愉悦に浸る。また大人になることへの恐怖心のようなものも手伝い、とにかく「15歳」のままを生きようと必死です。
本当に15歳だったときに彼女にとってのターニングポイントがあったのかな。
そういう、男を手玉に取り自尊心を満たす、ぶっちゃけとんだクソ女なわけですが
悲痛なほどの彼女の心の痛みは物語の中で少しずつ語られていき、すっかり愛着が湧いてしまいました。
必死にもだきコンプレックスと戦う彼女は、その手段がいかに真っ黒で賛同を得難いものであろうとも、応援したくなってしまう。
自分の価値にすごく敏感なキャラクターなのです。
というか男を相手にしてるときのデビル未果子さんと、好きな相手を目の前にしたときのエンジェル未果子さんのギャップがね。かわいすぎるんです。
●「男」と「男の子」
例えば第8話によく表れていますが、未果子の言う「男」と「男の子」は明らかにニュアンスに違いがあります。「男」には明らかな侮蔑を、「男の子」には甘い憧れを込めて、彼女は使い分けています。
生き方が不器用だとか、性的な接触をしてこないとか、いじらしさとか健気さとか。
彼女がもとめる「男の子」は、清らかでかわいらしい存在のことを指していそうです。
未果子は「ヒメゴト」の女性主人公、由樹のなかの少年性に惚れ込みます。
それはどうにも「由樹は男ではないのだから自分に実害が及ぶ心配のない」という安心感があってのものだろうなと思い、ここの恋慕の情は彼女のよわさの現れなのだろうなとも思えてしまう。彼女のやらしさを感じる部分とも言える。
構図としては百合。ただ未果子は由樹に男の子であってほしいと思っている。女としての由樹はほぼ必要としてない。
その上、由樹は自分の密かな恋のために、未果子を半ば利用している形もとっていました。
騙し合い(双方、相手も自分自身も騙している)の百合、ということでだいぶ入り組んでいますが、こういうめんどくさい人間関係こそ大変美味でございます!!
しかし売春なんてやっておきながら、彼女の心が求めている恋愛とは、非常に幼い。それこそ小学生同士のような甘酸っぱいものだと見えてきます。
性欲の世界にドップリと浸かりながら、しかしというかだからこそというか、真に清らかな世界を求めてしまう。
少年と少女の、性欲のない、美しい世界に手を伸ばす。
男性に嫌悪を抱くに至ったきっかけが過去にあるようですが、まだハッキリとは語られず。
47話冒頭等にチラッと見えるものから予想するのは、レイプ被害によるトラウマでしょうか。
トラウマ描写を踏まえた妄想ですが、未果子の求める恋愛像は、砕け散った青春時代のやりなおしを求めての結果なのかなとも考えられます。
男性を嫌悪し、純真無垢な少年の魂を求める。社会の闇に身を投げても、未果子は心の奥底ではファンタジーを生きている。
大人と子供の境目である「19歳」「大学生」らしい揺らぎだよなぁ。
彼女はまだ大人になりきれていないし、事実それを忌避もしています。しかしどうにも彼女の現状と理想はアンバランスで、もはや崩壊寸前。
そういう悲痛でギリギリな生き様こそ、彼女の大きな魅力だと思いますね…!
●心と体の矛盾
彼女のアンバランスさは、心と体の関係に強く強く表れています。
心が本当に求めていた、「男の子」との清らかな接触。
自己満足のために利用するだけの、「男」との泥まみれの接触。
心が満たされるのは「男の子」。でも体が、満足のために求めてしまうのは、愚かで汚れた、
「男」との遊びの時間。
由樹とじゃ濡れなかった。でも男といると濡れた。
心の充足と体の充足が一致しない…。その事実に、彼女自身がおおきく戸惑う。心と体のバランスが狂ってきていることが分かっています。
清らかなものを求める彼女の心は本当です。でも体が許さない。
かなりの悪女であり人間関係を翻弄するキャラクターではありますが、強い女性として描かれているわけではないのがポイントですね。
複雑な想いを抱えながらも、やはり彼女は恋のために生命を燃やしている乙女である。ビッチであることと乙女であることは矛盾しない。
矛盾といえばもうひとつ。
彼女は15歳だと自分を偽っていますが、2巻で語っていたように、ありのままの自分を受け止めてもらうことが本当の望みです。
けれどその自信がないからこそ臆病になってしまう。自分の快楽のために、自分の理想から遠く離れた世界にいついてしまった。
これもまた彼女の愛おしさを加速させる要因ですよ…!生きづらそうな人だよなぁ。
●やっぱり黒髪ロング
あれだけ少女である自分を保つ、試すことに執着する彼女のこと、
ただなんとなく黒髪ロングにしているわけがないのです。
第30話では、おそらく肉親とみられる人物にむりやり髪を来られ、少年のような風貌の小学生未果子がすこし描かれています。
おそらくこの出来事の反動で、彼女は黒いままの髪を伸ばすのでしょう。
現在の彼女の容姿や行動を形づくる多くの要素は、過去のトラウマが影響している。
彼女の美しさは、彼女の抱えるトラウマやコンプレックスの裏付けでもあるのです。
悲しみをまとっているからこそ美しい。
物語の主人公のひとり、佳人は未果子にあこがれています。
佳人は女装が趣味なのですが、未果子のファッションを真似てなりきってしまうほどの入れ込みぶり。
彼が未果子をみつめる場面で、彼女の美しさが客観的に語られています。
その長い黒髪に漂うのは、無垢であどけない、
とは真逆の、計算しつくされた美―――
「自分の価値を怖いほど分かっているからこそ、彼女は完璧な少女なのだ」と評しています。
これは彼女の美しい顔立ちやガーリーなファッションを指すのではなく、徹底して美しさを貫く、彼女の黒髪をみつめた時の感嘆が現れた言葉です。
彼女の美しさを完璧にしているのは、その黒髪である。
事実、彼女の黒髪は漫画をよみながら読者に鮮烈な印象を与えるアイテム。
人を欺く。秘密を覆い隠す、本音を遮断する。
そういった演出に彼女の黒髪ロングが用いられるこの場面が最高にクール。
カーテンのように2人をしきる、黒髪による断絶。
男の首元に垂れかかる黒髪。それはまるで男を脅かす悪意そのもの。
髪でくびり殺される直前のような恐怖と緊張がある、めちゃくちゃ好きなシーン。
また、少女のままでありたい少女の夢を包み込んだ、ひとつの理想の少女像としての黒髪ロング…その意味合いの奥深さに、黒髪ロングへのロマンが燃えさかる。
彼女の黒髪ロングは、そのまま彼女のすべてを表しているようにも思えます。
まっくろな制服を身にまとい、夜のなかに黒髪ロングを舞わせる彼女の姿は、もうあれだよね、黒の妖精と呼びたい。
自分が彼女を好きな理由に、黒髪ロングへのこだわりとロマンを感じることは大きいです。
哀情、憧憬、情念…それらを宿した黒髪ロングは、一層美しいのだ!
ということで永尾未果子ちゃんについての記事でした!!
たった1人のキャラクターでこれだけ複雑なドラマを抱えているのに
「ヒメゴト」はほかに2人の主人公がいて、ほかサブキャラも結構いて
それぞれの想いや勇気やコンプレックスが響きあい絡み合う。
そりゃもう面白いのです。物語のうねりが半端無く、吸い取られるような心地なのです。
このブログではけっこう頻繁に名前を出していますが、「ヒメゴト」はいまトップクラスにアツい作品のひとつなので、いろんな人に読んでみてほしいなぁと。
クセはつよいですが、とても魅力的な黒ロンちゃんがいるということで
この記事を読む人は黒ロン好きの諸兄方にもおすすめしたい!
読もう!「ヒメゴト ~十九歳の制服~」! (雑な締め方)
あまりに推しすぎてやらしかったですかね。いやもうホント大好きなんです。
作中でも触れられていますが、名前もいいですよね。未果子。
まるで禁断の果実のような、うつくしくも淫らな響き。素敵です。
今日は9月6日。黒髪ロングの日らしいです。今年も黒ロン祭に参加です。
→【募集】黒ロン祭2013 開催のお知らせ
黒ロン記事を書こうと思い立った段階で、いま一番自分が夢中になっている黒ロン娘はだれだろうなと考え、この娘にしました。
永尾未果子さんが好きだ!!!
漫画「ヒメゴト ~十九歳の制服~」のキャラクター、永尾未果子さんです。
去年の「黒ロン祭2012」もヒメゴトでエントリーしたので、どれだけ熱を上げているかおわかりいただけただろうか…。
とりあえずしばらく俺は黒髪ロング=永尾未果子で推していくつもりです。
去年と代わり映えしませんか?いやいや、愛の証ってやつですよ!
いちばん彼女らしいイラストがカッコいい単行本2巻を張っておく。
ヒメゴト~十九歳の制服~ 2 (ビッグコミックス) (2011/08/30) 峰浪 りょう 商品詳細を見る |
「ヒメゴト」には3人の主人公がいるのですが、未果子ちゃんに焦点をあてて、現状のまとめのようなことをしつつ、どこらへんが魅力的な黒ロンちゃんなのかをPRしようと。
なにせ…たぶん知名度とか………超おもしろい作品ですよ!
過去の更新
ヒミツを抱えあう19歳の三角関係。『ヒメゴト~十九歳の制服~』1,2巻歪み絡まる19歳たちの性。『ヒメゴト~十九歳の制服~』3巻
友達でも恋人でも足りない気持ち。色めく19歳の夜。『ヒメゴト~十九歳の制服~』4巻
過去の更新でも未果子について語ってきていますが、今回はそのまとめのような形にできればと。発売中のコミックス5巻までの範囲で。
簡単に作品紹介。
「ヒメゴト ~十九歳の制服~」は大学1年生の男女が主人公。
3人が3人とも、「19歳」をこじらせていて最高にめんどくさいのだ、コレが。みんな深いコンプレックスを抱き、悩み、ときに共鳴する。
もう男の子じゃなくなった。もう女の子じゃなくなった。
行き場を失った「自分」を暗闇の中で探す。聞こえをよくするならばまさにモラトリアムまっしぐらな内容です。
でも実質、暗く湿った性欲を主軸にストーリーは進むので、ドロドロした青春模様が繰り広げられます。
魅力的な主人公たちの感情が複雑に絡み合い、倒錯的なヒミツの関係におぼれていく。
続きが気になりすぎてお腹がいたくなってくるよ…!
本当によくキャラクターが練られていて、ドラマの進展が面白すぎる!
そんな主人公たちの中でも、ひときわ黒く輝いてくれているのが未果子。
自分自身、まだ彼女の魅力を噛み砕けていないので、現状の整理も兼ねての更新です。
簡単に言うなら、かわいくて怖い、捻くれこじらせダメ女、です。(ひどい簡略)
変に純粋で暴走しやすい乙女であり、目的のために周囲を利用することを躊躇しない悪党でもあります。そういうギャップが…恋にしたたかな感じが、たまらなく惹かれる!
●「少女」へのこだわりと、年齢へのコンプレックス
「ヒメゴト」は大学生となったことで揺らぐ性意識がテーマなのだと思います。
未果子のこだわりは、うつくしい少女であることを保つこと。
彼女のコンプレックスは大きなものに「年齢」があります。19歳。大学生は、もう大人とも呼ばれるに十分な年齢。彼女は葛藤しているのです。
彼女の最大級の地雷ポイントが、これはもう1巻の序盤で明らかになるのですが
大学生なのに15歳のフリをして、売春を行っています。
相手の男をだますことで、「私はまだ15歳の女の子として通用するのだ」と愉悦に浸る。また大人になることへの恐怖心のようなものも手伝い、とにかく「15歳」のままを生きようと必死です。
本当に15歳だったときに彼女にとってのターニングポイントがあったのかな。
そういう、男を手玉に取り自尊心を満たす、ぶっちゃけとんだクソ女なわけですが
悲痛なほどの彼女の心の痛みは物語の中で少しずつ語られていき、すっかり愛着が湧いてしまいました。
必死にもだきコンプレックスと戦う彼女は、その手段がいかに真っ黒で賛同を得難いものであろうとも、応援したくなってしまう。
自分の価値にすごく敏感なキャラクターなのです。
というか男を相手にしてるときのデビル未果子さんと、好きな相手を目の前にしたときのエンジェル未果子さんのギャップがね。かわいすぎるんです。
●「男」と「男の子」
例えば第8話によく表れていますが、未果子の言う「男」と「男の子」は明らかにニュアンスに違いがあります。「男」には明らかな侮蔑を、「男の子」には甘い憧れを込めて、彼女は使い分けています。
生き方が不器用だとか、性的な接触をしてこないとか、いじらしさとか健気さとか。
彼女がもとめる「男の子」は、清らかでかわいらしい存在のことを指していそうです。
未果子は「ヒメゴト」の女性主人公、由樹のなかの少年性に惚れ込みます。
それはどうにも「由樹は男ではないのだから自分に実害が及ぶ心配のない」という安心感があってのものだろうなと思い、ここの恋慕の情は彼女のよわさの現れなのだろうなとも思えてしまう。彼女のやらしさを感じる部分とも言える。
構図としては百合。ただ未果子は由樹に男の子であってほしいと思っている。女としての由樹はほぼ必要としてない。
その上、由樹は自分の密かな恋のために、未果子を半ば利用している形もとっていました。
騙し合い(双方、相手も自分自身も騙している)の百合、ということでだいぶ入り組んでいますが、こういうめんどくさい人間関係こそ大変美味でございます!!
しかし売春なんてやっておきながら、彼女の心が求めている恋愛とは、非常に幼い。それこそ小学生同士のような甘酸っぱいものだと見えてきます。
性欲の世界にドップリと浸かりながら、しかしというかだからこそというか、真に清らかな世界を求めてしまう。
少年と少女の、性欲のない、美しい世界に手を伸ばす。
男性に嫌悪を抱くに至ったきっかけが過去にあるようですが、まだハッキリとは語られず。
47話冒頭等にチラッと見えるものから予想するのは、レイプ被害によるトラウマでしょうか。
トラウマ描写を踏まえた妄想ですが、未果子の求める恋愛像は、砕け散った青春時代のやりなおしを求めての結果なのかなとも考えられます。
男性を嫌悪し、純真無垢な少年の魂を求める。社会の闇に身を投げても、未果子は心の奥底ではファンタジーを生きている。
大人と子供の境目である「19歳」「大学生」らしい揺らぎだよなぁ。
彼女はまだ大人になりきれていないし、事実それを忌避もしています。しかしどうにも彼女の現状と理想はアンバランスで、もはや崩壊寸前。
そういう悲痛でギリギリな生き様こそ、彼女の大きな魅力だと思いますね…!
●心と体の矛盾
彼女のアンバランスさは、心と体の関係に強く強く表れています。
心が本当に求めていた、「男の子」との清らかな接触。
自己満足のために利用するだけの、「男」との泥まみれの接触。
心が満たされるのは「男の子」。でも体が、満足のために求めてしまうのは、愚かで汚れた、
「男」との遊びの時間。
由樹とじゃ濡れなかった。でも男といると濡れた。
心の充足と体の充足が一致しない…。その事実に、彼女自身がおおきく戸惑う。心と体のバランスが狂ってきていることが分かっています。
清らかなものを求める彼女の心は本当です。でも体が許さない。
かなりの悪女であり人間関係を翻弄するキャラクターではありますが、強い女性として描かれているわけではないのがポイントですね。
複雑な想いを抱えながらも、やはり彼女は恋のために生命を燃やしている乙女である。ビッチであることと乙女であることは矛盾しない。
矛盾といえばもうひとつ。
彼女は15歳だと自分を偽っていますが、2巻で語っていたように、ありのままの自分を受け止めてもらうことが本当の望みです。
けれどその自信がないからこそ臆病になってしまう。自分の快楽のために、自分の理想から遠く離れた世界にいついてしまった。
これもまた彼女の愛おしさを加速させる要因ですよ…!生きづらそうな人だよなぁ。
●やっぱり黒髪ロング
あれだけ少女である自分を保つ、試すことに執着する彼女のこと、
ただなんとなく黒髪ロングにしているわけがないのです。
第30話では、おそらく肉親とみられる人物にむりやり髪を来られ、少年のような風貌の小学生未果子がすこし描かれています。
おそらくこの出来事の反動で、彼女は黒いままの髪を伸ばすのでしょう。
現在の彼女の容姿や行動を形づくる多くの要素は、過去のトラウマが影響している。
彼女の美しさは、彼女の抱えるトラウマやコンプレックスの裏付けでもあるのです。
悲しみをまとっているからこそ美しい。
物語の主人公のひとり、佳人は未果子にあこがれています。
佳人は女装が趣味なのですが、未果子のファッションを真似てなりきってしまうほどの入れ込みぶり。
彼が未果子をみつめる場面で、彼女の美しさが客観的に語られています。
その長い黒髪に漂うのは、無垢であどけない、
とは真逆の、計算しつくされた美―――
「自分の価値を怖いほど分かっているからこそ、彼女は完璧な少女なのだ」と評しています。
これは彼女の美しい顔立ちやガーリーなファッションを指すのではなく、徹底して美しさを貫く、彼女の黒髪をみつめた時の感嘆が現れた言葉です。
彼女の美しさを完璧にしているのは、その黒髪である。
事実、彼女の黒髪は漫画をよみながら読者に鮮烈な印象を与えるアイテム。
人を欺く。秘密を覆い隠す、本音を遮断する。
そういった演出に彼女の黒髪ロングが用いられるこの場面が最高にクール。
カーテンのように2人をしきる、黒髪による断絶。
男の首元に垂れかかる黒髪。それはまるで男を脅かす悪意そのもの。
髪でくびり殺される直前のような恐怖と緊張がある、めちゃくちゃ好きなシーン。
また、少女のままでありたい少女の夢を包み込んだ、ひとつの理想の少女像としての黒髪ロング…その意味合いの奥深さに、黒髪ロングへのロマンが燃えさかる。
彼女の黒髪ロングは、そのまま彼女のすべてを表しているようにも思えます。
まっくろな制服を身にまとい、夜のなかに黒髪ロングを舞わせる彼女の姿は、もうあれだよね、黒の妖精と呼びたい。
自分が彼女を好きな理由に、黒髪ロングへのこだわりとロマンを感じることは大きいです。
哀情、憧憬、情念…それらを宿した黒髪ロングは、一層美しいのだ!
ということで永尾未果子ちゃんについての記事でした!!
たった1人のキャラクターでこれだけ複雑なドラマを抱えているのに
「ヒメゴト」はほかに2人の主人公がいて、ほかサブキャラも結構いて
それぞれの想いや勇気やコンプレックスが響きあい絡み合う。
そりゃもう面白いのです。物語のうねりが半端無く、吸い取られるような心地なのです。
このブログではけっこう頻繁に名前を出していますが、「ヒメゴト」はいまトップクラスにアツい作品のひとつなので、いろんな人に読んでみてほしいなぁと。
クセはつよいですが、とても魅力的な黒ロンちゃんがいるということで
この記事を読む人は黒ロン好きの諸兄方にもおすすめしたい!
読もう!「ヒメゴト ~十九歳の制服~」! (雑な締め方)
あまりに推しすぎてやらしかったですかね。いやもうホント大好きなんです。
作中でも触れられていますが、名前もいいですよね。未果子。
まるで禁断の果実のような、うつくしくも淫らな響き。素敵です。
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