[漫画]最近読んだ最終巻の感想をいっきに
ブログ更新が滞っているあいだに、いくつか好きなシリーズの最終巻が出ました。
ホントは全部個別記事を書いていきたいくらいなんですが、どうにも時間がなく…。
更新候補の最終巻が溜まってきたので、一斉に感想を書いてしまいます。
ということで謎の「6つの最終巻の感想の寄せ集め」更新です。
通常更新より短めにはなってしまいますが、どれもいい漫画でした。
総合タワーリシチ
つぼみ、なんで死んでしまったんだ…。「総合タワーリシチ」もつぼみの休刊と合わせて、これで最終巻となりました。
百合漫画として、しっかりと「ラブコメ」をやっていてくれていた作品です。語弊はあるかもしれないけれど、個人的にはつぼみ版「ゆるゆり」的ポジションとして認識をしておりました。長く続いてくれたら嬉しかったんだけどなぁ…。
生徒会のメンバーも本格参入し、一層ワイワイと騒がしくなってきました。
3巻で最終巻であり、それに合わせてストーリー的なまとまりもあります。しかしこのカオスな状況でよくぞここまで本筋を整頓できたなと思ってしまうw
最後までこの喧騒の中でゴチャゴチャっとしながら時々しっとりとした時間が流れる、その緩急が楽しかったので、最後までこの作品らしかった!それでいて、頑張って「踏み込んでいく」ラストでした。
友達か、それ以上か。アンバランスさが眩しいね!メインキャラクターそれぞれにとっておきにチャーミングな部分があって、みんなおバカでもあって、みんな時々真剣になって。楽しい時間が流れている作品だ。
魅力はテンポの良さと、賑やかさ。
勢い任せにサクサク読めてしまう快適さは、この作品の持ち味でした。表情のデフォルメもやたらかわいらしかった。この作家さんの次回作が楽しみです。芳文社以外で新作も準備中とのことで。
作者のブログにタワーリシチのイラストも載っていてニヤニヤできますね…!
となりの怪物くん
終わってしまった…。素晴らしい、完璧なハッピーエンドでした。
ほろ苦さも甘酸っぱさもたっぷり贅沢に詰め込んだ傑作ですよこれは…!
少女漫画をたくさん読んでいる人間ではありませんが、個人的に忘れられない少女漫画のタイトルになりそうです。それくらい、全てがキラキラ輝いていた作品。
表紙からして感慨深いものがあります。ハルの首輪が外れました。これまでの表紙ではつねに付けられていたハルの首輪。きっと最終巻で外れるんだろうと予想してはいましたが実際それを目の当たりにすると分かっていても感動する…!
首輪は、放すとどこに飛んでいってしまいそうな奔放なハルと、それをつなぎとめている保護者としての雫の関係性が示されていたように思います。
付き合いだしても外されなかったハルの首輪はついに外れた。これで本当に、2人は心通じ合わせた恋人になれたのだろうと、そう確信できます。
まぁ首輪とったら本当に遠くに飛んでいっちゃうわけですが…それでも、それに動ずることもないガッシリとした信頼感が築けている。
最終巻は足早に過ぎ去っていく高校3年の日々。季節は流れながれ、卒業に至る。
雫とハルに関してはもう安心しきりだったので、気になるのがサブキャラクターたちの行末でした。魅力的な友人たちがたくさんいて、もはや群像劇と呼びたいほど愛着が湧いています。
みんな大人になったときの姿を見せてくれるのは、最後ならではの最高のサービスですよね…!エピローグで成長した姿を拝めるのがほんと大好き。
イモい私服ばかりだった雫が、エピローグでは…ねえ!!ああ、成長しやがってなぁ、寂しいじゃねえかと、嬉しさと切なさがごちゃまぜになりました。
眩しい未来へかけていく、愛しいみんなをいつまでも見つめていたい。
個人的に最強のクライマックスだったのが卒業式での某女子が放った「知ってます?わたしの学校、意外と近いんですよ?」。ニヤニヤするなってのがムリだっつーの!!うわぁぁぁん!!!みんな可愛すぎて破裂しそう!!!!これからサブキャラを主人公にした番外編が続いていくらしいので期待大です!!!
7時間の音符(ノート)
おそるべき殺傷能力を誇るベタ甘センチメタル恋愛漫画「7時間目の音符」。これも完結。
かわいすぎて悶すぎてアタマいたくなることを、もう無いのか…!悶すぎてベッドの上で叫びながらクロール泳ぎしていました。目頭が熱くなってくるな、自分のバカっぷりに。
あらかじめ予定していた尺で完結できたようで良かったです。
構成的にもベストタイミングでした。欲張りなもので、読者としてはもっともっとデロ甘なイチャコラを見せつけてくれー!と願ってしまうものではありますが、終わりたい所で完結した作品は限りなく幸福だよなぁきっと。
いろんなタイプのペアがいる漫画で、サブキャラたちの恋愛も見逃せなかった本作。
しかしやはり注視したいのは主人公ペア。
最終巻。いよいよ2人のガマンがいよいよ効かなくなってきたので、リビドーまみれ(と言ってしまうとだいぶゲスい内容に思われるけどそれはそれは清々しく微笑ましいものであります…)な展開となっているような、なっていないような、いや間違いなくリビドーまみれだよクッソ!!クッソ!!!
恐るおそる相手の体にふれる、ふれたがる、ふれられる。その緊張と恐怖と興奮の一瞬。衝動的な「接触」の生々しい臨場感。…本当に読んでてドキドキしますよ…!!
ネクタイ女子が好きな俺としては、この作品のネクタイの使い方は見事だったよなって。
あずみさんは基本いつもネクタイだし、他のヒロインに関しても、ここぞというところに忍ばせる萌えポイントとしてのヒロインのネクタイ装着に心が色めきだったのだ。
この作品は分かりやすさとさりげなさの両立は見事なもので、基本的に直球にドキュウウウンと胸貫かれるんだけど、細やかにドラマを紡ぎ上げる丁寧な進行も素晴らしい!!
主人公ふたりの結論の持っていきかたとか、演出でも全体的にスマートな盛り上がりを楽しめました。
あとエピローグ。さりげなーく、鶴ちゃんの左手薬指に。定演のチラシに司会者として記されてる美鶴ちゃんの苗字みせてけろけろー!(壊)
エピローグの何もかも幸福に包まれている感覚は、ほんと、涙が出てくるくらい幸せだったね…。読みだしたらもうジタバタしながら全力で悶え楽しむしかない。これぞ、イチャラブ漫画…!
志摩さんはフォワードで新連載「ぼっちな僕らの恋愛事情」を始めたらしく、こちらも期待。
ふたりの恋愛書架
「7時間の音符」と合わせて発売された同じくフォワードの恋愛漫画。
どちらかと言うとしっとりとした、大人びた雰囲気です。砂糖とミルクたっぷりなコーヒーで一息つけるような、リラックスできる漫画。
しかし落ち着きのある2人はそうであろうとも、読んでる俺もそう落ち着き払って読んでるわけはなく。
それはもう、情けないくらいの悲鳴を上げながら体をグニョらせ楽しんだわけです。
年上おねえさんのかわいい所が全部ここにある!!と思う!!
高校生男子と年上おねえさんの結婚前提な同棲生活を、こんな自然に軽やかに、日常の中の高揚感も忘れず、優しく描かれたらもう。…ここが理想郷だ…。
そうすることが当たり前かのように、楽しくじゃれあう2人を眺めているのは実に心地よかったです。イチャラブの興奮と、家族という安らぎが混ざり合って、独特の雰囲気を醸し出していました。「家族」は重要なキーワードでしたね。
本について、この作品は魅力的な言葉をくれました。
本や物語、それらを形作る「言葉」への、力強くも穏やかな愛が感じられる。
イチャラブ漫画としてもありますが、もしかしたらそれ以上に、こういった「本」そのものの愛おしさを語らう作品の姿に、心奪われたのです。
「終わってほしくない本」という言葉で、愛おしい人を表現した人がいました。
それは自分にとってこの作品がそうなのかもしれない。
書架の間。それが2人のすみか。見方を変えればこの本は俺の本棚の住人でもあり、これだけ本を愛する2人なら、窮屈だけどずっと俺の本棚に住まわせてやりたいなぁとおかしな感想を抱いてしまった。クサッ!
ひばりの朝
気分が悪くなる漫画。というのが正直なところではある。
それはむしろ作者も作品もそういう意図をもって仕掛けてきているわけだから、ならばとこちらも全力でそのとおりに剛球を受け止めようとするんだけど、これがなかなかエグいわけです。
黒い、深い、さまざまな感情が渦を巻く作品だけど、あまりにもその様子が生々しい。生臭い。
男も、女も。それぞれの「いやらしい」所を曝け出される。
傷つけて遊んでやりたい。頼られてあわよくばヤりたい。どうしようもなく「性」に縛り付けられ、翻弄される人間を見せつけられる。不快さの煮詰まったよどんだ空気。
意識なく致命的な過ちを犯す、傍観者もどきたちの悲劇の連鎖。悲劇というよりかは自己責任による面が強すぎて、かわいそうと言えるだけのものではないが、そこに物語としてのカタルシスは無くて、やっぱり滅入る。
無神経で軽薄で残酷。安全圏から眺めているだけの、醜い人々。
でもどうにもそれを直視して叩くことが出来ないのは。じゃあ自分なら?と問いかけたとき、正しい何かを見つけ掴むことなんて出来そうにないから。きっとこれが当たり前だ、普通なんだって顔して、ただ見てるだけなのだ、きっと。
「いかなければ、さもなくば、しんでしまう」
そしてひばりが迎えたあの朝を、読者はなにも知ることは出来ません。
「息を止めていたので平気でした」「息をとめていたので平気でした」「息を止めていたので…」
そう繰り返してたったひとりの日々を消化していくひばりにただ胸が痛むとともに、こんなふうに読者として平穏な立ち位置で「かわいそう」と思っているだけの自分の足元がガラガラと崩れ落ちるような、強烈な没入感と罪悪感。
しっかり傷跡を残してくれる。ひりひり傷んでなかなか治らない。自分へのフィードバックが強烈過ぎる。
ありふれた悪意、無意識の距離感。自分の中にも大きな影が落とし込まれて「読めて良かった」と言いたいけど、そこまで達観できないモヤモヤした感覚の方が自分の中に大きい。
ともかく印象深い作品ではあることは間違いないですね。
みんな自分のエゴで、自分のために冷酷になって、苦しそうに楽しそうに生きている。
今まさに傷つけられた人間の言葉だったり、傷つけてやろうとする鋭い言葉だったり、ただ傍観を決め込んだ者の乾ききった言葉だったり。言葉の暴力性を感じた作品でもあります。
放浪息子
今回、最終巻でずらっと感想書いてきましたけど、「最終巻なんて読みたくない」度だったらこの「放浪息子」がNo.1でした。
自分はアニメを見てから原作を読みだしたあきらかな新参ではありますが、「放浪息子」の世界がこれで終わりなんて、ツラすぎる…!!
いつまでも続いていくような気がしていたよ…!
いやしかし、やっぱり安那ちゃんは最高にかわいくってな………!!!!
安那ちゃんに関しては14巻でクライマックスを迎えていたわけで、15巻はエピローグに近いものを感じました。
「そしたら女装おじさんとデートする へんなおばさんでいいよ もう」
「ね その場合ってさ あたしレズビアンってことになるの?」
と聖女のような包容力を見せてくれる。素晴らしいね…。
最終巻、二鳥くんが客観的に自分をみつめることで未来を考えていくくだりは、そのくだり自体に大人になった余裕のようなものを感じて、ははぁと深く息をついた。よく考えこむだけの、ある種のたくましさを感じます。
それでいて、男の体を持っていることを受け止める。たくましくなる体を認めた。声変わりもした。自慰もする。…いや今回の二鳥君、すごくお猿さんモード入っていましたが、こういうのを見ると嬉しくなってしまうのです。オナニーを描いているのにまったく爽やかさが薄れないのは凄いよな。
物語の終着とは、歩みを止めることではなく、エンディングのあとにも生き続けるだけの強さを手に入れてから物語から旅立っていく、その後姿を見つめることに最終階の醍醐味はある。
男の子らしさ/女の子らしさをを見つめ続けて、結局女の子になりたかった男の子と、男の子になりたかった女の子はそれぞれ自分の気持ちを見つけ出す物語でした。
いろんな感情の中をふわふわと漂って、さまよってきた「放浪息子」は、ふん―――わりと、ゆったりと、静かに、やわらかく着地しました。
普通に次の巻が出てもおかしくないような感触でもある。でも確かに答えが見えたのです。なるほど、ここで終わらなきゃいつだ、ってタイミングかもしれない。
この穏やかなクライマックスだからこそ、未来へ歩み出すだけの力を蓄えた、弱虫な少年少女の強さを感じるのです。
たった今目の前にある現実を相手にジタバタしてるんだけど
軽やかに流れに身を任せているような、柔軟なポジティブさが底にあっていい。
そして本当にさりげない言葉のひとつひとつが、心に響く。
「昔の自分の言葉ってさ そんなに絶対?」という言葉はやはりグサッとくる。
昔の自分に今の自分が縛り付けられる必要はないはずなのに、そうなってしまう事は結構ある。「変わる」ことって、そう悪いことなのだろうかと。
千葉さん好きとしては、ああいう形で物語を締めくくってくれたことも嬉しかったり。
「放浪息子」は終わってしまったけれど、スピンオフみたいな形でサブキャラ達の物語が語られていったら、最高だなぁ…。
さまざまな「性」に敏感な、澄んだ空気の住人たち。どうかみんな幸せであるといいな。志村貴子先生ありがとうございました。大好きな作品です。
最終話のサブタイトルがアニメのED「For you」なのも嬉しい。名曲。
ホントは全部個別記事を書いていきたいくらいなんですが、どうにも時間がなく…。
更新候補の最終巻が溜まってきたので、一斉に感想を書いてしまいます。
ということで謎の「6つの最終巻の感想の寄せ集め」更新です。
通常更新より短めにはなってしまいますが、どれもいい漫画でした。
総合タワーリシチ
総合タワーリシチ (3) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ) (2013/07/27) あらた 伊里 商品詳細を見る |
つぼみ、なんで死んでしまったんだ…。「総合タワーリシチ」もつぼみの休刊と合わせて、これで最終巻となりました。
百合漫画として、しっかりと「ラブコメ」をやっていてくれていた作品です。語弊はあるかもしれないけれど、個人的にはつぼみ版「ゆるゆり」的ポジションとして認識をしておりました。長く続いてくれたら嬉しかったんだけどなぁ…。
生徒会のメンバーも本格参入し、一層ワイワイと騒がしくなってきました。
3巻で最終巻であり、それに合わせてストーリー的なまとまりもあります。しかしこのカオスな状況でよくぞここまで本筋を整頓できたなと思ってしまうw
最後までこの喧騒の中でゴチャゴチャっとしながら時々しっとりとした時間が流れる、その緩急が楽しかったので、最後までこの作品らしかった!それでいて、頑張って「踏み込んでいく」ラストでした。
友達か、それ以上か。アンバランスさが眩しいね!メインキャラクターそれぞれにとっておきにチャーミングな部分があって、みんなおバカでもあって、みんな時々真剣になって。楽しい時間が流れている作品だ。
魅力はテンポの良さと、賑やかさ。
勢い任せにサクサク読めてしまう快適さは、この作品の持ち味でした。表情のデフォルメもやたらかわいらしかった。この作家さんの次回作が楽しみです。芳文社以外で新作も準備中とのことで。
作者のブログにタワーリシチのイラストも載っていてニヤニヤできますね…!
となりの怪物くん
となりの怪物くん(12) (デザートコミックス) (2013/08/12) ろびこ 商品詳細を見る |
終わってしまった…。素晴らしい、完璧なハッピーエンドでした。
ほろ苦さも甘酸っぱさもたっぷり贅沢に詰め込んだ傑作ですよこれは…!
少女漫画をたくさん読んでいる人間ではありませんが、個人的に忘れられない少女漫画のタイトルになりそうです。それくらい、全てがキラキラ輝いていた作品。
表紙からして感慨深いものがあります。ハルの首輪が外れました。これまでの表紙ではつねに付けられていたハルの首輪。きっと最終巻で外れるんだろうと予想してはいましたが実際それを目の当たりにすると分かっていても感動する…!
首輪は、放すとどこに飛んでいってしまいそうな奔放なハルと、それをつなぎとめている保護者としての雫の関係性が示されていたように思います。
付き合いだしても外されなかったハルの首輪はついに外れた。これで本当に、2人は心通じ合わせた恋人になれたのだろうと、そう確信できます。
まぁ首輪とったら本当に遠くに飛んでいっちゃうわけですが…それでも、それに動ずることもないガッシリとした信頼感が築けている。
最終巻は足早に過ぎ去っていく高校3年の日々。季節は流れながれ、卒業に至る。
雫とハルに関してはもう安心しきりだったので、気になるのがサブキャラクターたちの行末でした。魅力的な友人たちがたくさんいて、もはや群像劇と呼びたいほど愛着が湧いています。
みんな大人になったときの姿を見せてくれるのは、最後ならではの最高のサービスですよね…!エピローグで成長した姿を拝めるのがほんと大好き。
イモい私服ばかりだった雫が、エピローグでは…ねえ!!ああ、成長しやがってなぁ、寂しいじゃねえかと、嬉しさと切なさがごちゃまぜになりました。
眩しい未来へかけていく、愛しいみんなをいつまでも見つめていたい。
個人的に最強のクライマックスだったのが卒業式での某女子が放った「知ってます?わたしの学校、意外と近いんですよ?」。ニヤニヤするなってのがムリだっつーの!!うわぁぁぁん!!!みんな可愛すぎて破裂しそう!!!!これからサブキャラを主人公にした番外編が続いていくらしいので期待大です!!!
7時間の音符(ノート)
7時間目の音符(ノート) (4) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) (2013/08/10) 志摩 時緒 商品詳細を見る |
おそるべき殺傷能力を誇るベタ甘センチメタル恋愛漫画「7時間目の音符」。これも完結。
かわいすぎて悶すぎてアタマいたくなることを、もう無いのか…!悶すぎてベッドの上で叫びながらクロール泳ぎしていました。目頭が熱くなってくるな、自分のバカっぷりに。
あらかじめ予定していた尺で完結できたようで良かったです。
構成的にもベストタイミングでした。欲張りなもので、読者としてはもっともっとデロ甘なイチャコラを見せつけてくれー!と願ってしまうものではありますが、終わりたい所で完結した作品は限りなく幸福だよなぁきっと。
いろんなタイプのペアがいる漫画で、サブキャラたちの恋愛も見逃せなかった本作。
しかしやはり注視したいのは主人公ペア。
最終巻。いよいよ2人のガマンがいよいよ効かなくなってきたので、リビドーまみれ(と言ってしまうとだいぶゲスい内容に思われるけどそれはそれは清々しく微笑ましいものであります…)な展開となっているような、なっていないような、いや間違いなくリビドーまみれだよクッソ!!クッソ!!!
恐るおそる相手の体にふれる、ふれたがる、ふれられる。その緊張と恐怖と興奮の一瞬。衝動的な「接触」の生々しい臨場感。…本当に読んでてドキドキしますよ…!!
ネクタイ女子が好きな俺としては、この作品のネクタイの使い方は見事だったよなって。
あずみさんは基本いつもネクタイだし、他のヒロインに関しても、ここぞというところに忍ばせる萌えポイントとしてのヒロインのネクタイ装着に心が色めきだったのだ。
この作品は分かりやすさとさりげなさの両立は見事なもので、基本的に直球にドキュウウウンと胸貫かれるんだけど、細やかにドラマを紡ぎ上げる丁寧な進行も素晴らしい!!
主人公ふたりの結論の持っていきかたとか、演出でも全体的にスマートな盛り上がりを楽しめました。
あとエピローグ。さりげなーく、鶴ちゃんの左手薬指に。定演のチラシに司会者として記されてる美鶴ちゃんの苗字みせてけろけろー!(壊)
エピローグの何もかも幸福に包まれている感覚は、ほんと、涙が出てくるくらい幸せだったね…。読みだしたらもうジタバタしながら全力で悶え楽しむしかない。これぞ、イチャラブ漫画…!
志摩さんはフォワードで新連載「ぼっちな僕らの恋愛事情」を始めたらしく、こちらも期待。
ふたりの恋愛書架
ふたりの恋愛書架 (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) (2013/08/10) ヤマザキ コレ 商品詳細を見る |
「7時間の音符」と合わせて発売された同じくフォワードの恋愛漫画。
どちらかと言うとしっとりとした、大人びた雰囲気です。砂糖とミルクたっぷりなコーヒーで一息つけるような、リラックスできる漫画。
しかし落ち着きのある2人はそうであろうとも、読んでる俺もそう落ち着き払って読んでるわけはなく。
それはもう、情けないくらいの悲鳴を上げながら体をグニョらせ楽しんだわけです。
年上おねえさんのかわいい所が全部ここにある!!と思う!!
高校生男子と年上おねえさんの結婚前提な同棲生活を、こんな自然に軽やかに、日常の中の高揚感も忘れず、優しく描かれたらもう。…ここが理想郷だ…。
そうすることが当たり前かのように、楽しくじゃれあう2人を眺めているのは実に心地よかったです。イチャラブの興奮と、家族という安らぎが混ざり合って、独特の雰囲気を醸し出していました。「家族」は重要なキーワードでしたね。
本について、この作品は魅力的な言葉をくれました。
本や物語、それらを形作る「言葉」への、力強くも穏やかな愛が感じられる。
イチャラブ漫画としてもありますが、もしかしたらそれ以上に、こういった「本」そのものの愛おしさを語らう作品の姿に、心奪われたのです。
「終わってほしくない本」という言葉で、愛おしい人を表現した人がいました。
それは自分にとってこの作品がそうなのかもしれない。
書架の間。それが2人のすみか。見方を変えればこの本は俺の本棚の住人でもあり、これだけ本を愛する2人なら、窮屈だけどずっと俺の本棚に住まわせてやりたいなぁとおかしな感想を抱いてしまった。クサッ!
ひばりの朝
ひばりの朝 2 (Feelコミックス) (2013/07/08) ヤマシタ トモコ 商品詳細を見る |
気分が悪くなる漫画。というのが正直なところではある。
それはむしろ作者も作品もそういう意図をもって仕掛けてきているわけだから、ならばとこちらも全力でそのとおりに剛球を受け止めようとするんだけど、これがなかなかエグいわけです。
黒い、深い、さまざまな感情が渦を巻く作品だけど、あまりにもその様子が生々しい。生臭い。
男も、女も。それぞれの「いやらしい」所を曝け出される。
傷つけて遊んでやりたい。頼られてあわよくばヤりたい。どうしようもなく「性」に縛り付けられ、翻弄される人間を見せつけられる。不快さの煮詰まったよどんだ空気。
意識なく致命的な過ちを犯す、傍観者もどきたちの悲劇の連鎖。悲劇というよりかは自己責任による面が強すぎて、かわいそうと言えるだけのものではないが、そこに物語としてのカタルシスは無くて、やっぱり滅入る。
無神経で軽薄で残酷。安全圏から眺めているだけの、醜い人々。
でもどうにもそれを直視して叩くことが出来ないのは。じゃあ自分なら?と問いかけたとき、正しい何かを見つけ掴むことなんて出来そうにないから。きっとこれが当たり前だ、普通なんだって顔して、ただ見てるだけなのだ、きっと。
「いかなければ、さもなくば、しんでしまう」
そしてひばりが迎えたあの朝を、読者はなにも知ることは出来ません。
「息を止めていたので平気でした」「息をとめていたので平気でした」「息を止めていたので…」
そう繰り返してたったひとりの日々を消化していくひばりにただ胸が痛むとともに、こんなふうに読者として平穏な立ち位置で「かわいそう」と思っているだけの自分の足元がガラガラと崩れ落ちるような、強烈な没入感と罪悪感。
しっかり傷跡を残してくれる。ひりひり傷んでなかなか治らない。自分へのフィードバックが強烈過ぎる。
ありふれた悪意、無意識の距離感。自分の中にも大きな影が落とし込まれて「読めて良かった」と言いたいけど、そこまで達観できないモヤモヤした感覚の方が自分の中に大きい。
ともかく印象深い作品ではあることは間違いないですね。
みんな自分のエゴで、自分のために冷酷になって、苦しそうに楽しそうに生きている。
今まさに傷つけられた人間の言葉だったり、傷つけてやろうとする鋭い言葉だったり、ただ傍観を決め込んだ者の乾ききった言葉だったり。言葉の暴力性を感じた作品でもあります。
放浪息子
放浪息子 15 (BEAM COMIX) (2013/08/28) 志村貴子 商品詳細を見る |
今回、最終巻でずらっと感想書いてきましたけど、「最終巻なんて読みたくない」度だったらこの「放浪息子」がNo.1でした。
自分はアニメを見てから原作を読みだしたあきらかな新参ではありますが、「放浪息子」の世界がこれで終わりなんて、ツラすぎる…!!
いつまでも続いていくような気がしていたよ…!
いやしかし、やっぱり安那ちゃんは最高にかわいくってな………!!!!
安那ちゃんに関しては14巻でクライマックスを迎えていたわけで、15巻はエピローグに近いものを感じました。
「そしたら女装おじさんとデートする へんなおばさんでいいよ もう」
「ね その場合ってさ あたしレズビアンってことになるの?」
と聖女のような包容力を見せてくれる。素晴らしいね…。
最終巻、二鳥くんが客観的に自分をみつめることで未来を考えていくくだりは、そのくだり自体に大人になった余裕のようなものを感じて、ははぁと深く息をついた。よく考えこむだけの、ある種のたくましさを感じます。
それでいて、男の体を持っていることを受け止める。たくましくなる体を認めた。声変わりもした。自慰もする。…いや今回の二鳥君、すごくお猿さんモード入っていましたが、こういうのを見ると嬉しくなってしまうのです。オナニーを描いているのにまったく爽やかさが薄れないのは凄いよな。
物語の終着とは、歩みを止めることではなく、エンディングのあとにも生き続けるだけの強さを手に入れてから物語から旅立っていく、その後姿を見つめることに最終階の醍醐味はある。
男の子らしさ/女の子らしさをを見つめ続けて、結局女の子になりたかった男の子と、男の子になりたかった女の子はそれぞれ自分の気持ちを見つけ出す物語でした。
いろんな感情の中をふわふわと漂って、さまよってきた「放浪息子」は、ふん―――わりと、ゆったりと、静かに、やわらかく着地しました。
普通に次の巻が出てもおかしくないような感触でもある。でも確かに答えが見えたのです。なるほど、ここで終わらなきゃいつだ、ってタイミングかもしれない。
この穏やかなクライマックスだからこそ、未来へ歩み出すだけの力を蓄えた、弱虫な少年少女の強さを感じるのです。
たった今目の前にある現実を相手にジタバタしてるんだけど
軽やかに流れに身を任せているような、柔軟なポジティブさが底にあっていい。
そして本当にさりげない言葉のひとつひとつが、心に響く。
「昔の自分の言葉ってさ そんなに絶対?」という言葉はやはりグサッとくる。
昔の自分に今の自分が縛り付けられる必要はないはずなのに、そうなってしまう事は結構ある。「変わる」ことって、そう悪いことなのだろうかと。
千葉さん好きとしては、ああいう形で物語を締めくくってくれたことも嬉しかったり。
「放浪息子」は終わってしまったけれど、スピンオフみたいな形でサブキャラ達の物語が語られていったら、最高だなぁ…。
さまざまな「性」に敏感な、澄んだ空気の住人たち。どうかみんな幸せであるといいな。志村貴子先生ありがとうございました。大好きな作品です。
最終話のサブタイトルがアニメのED「For you」なのも嬉しい。名曲。
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