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[漫画]ラジオはお好きですか?『満ちても欠けても』2巻

満ちても欠けても(2)<完> (KCデラックス)満ちても欠けても(2)<完> (KCデラックス)
(2014/05/13)
水谷 フーカ

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   あなたの耳に届いていますでしょうか?

「満ちても欠けても」2巻、最終巻の感想です。
前回「14歳の恋」4巻で更新しましたが、同作者の作品。
主にラジオ局に務める人間を描いたお仕事漫画です。その点かなり「14歳の恋」とは違ったものですが、水谷フーカ先生らしい優しさがあふれている!
人間のちょっとかわいらしい部分がクローズアップされているのが胸をくすぐります。
それでいて、いかに仕事と向き合うか、という熱いテーマも押し出されており、今回で完結しましたがこの作家さんの作品でもかなり好きな部類に入りますね…!
お仕事漫画といっても雰囲気はふんわりとしていて説教臭くない、優しく応援されているような心地がするのです。

ラジオという“不完全なメディア”に愛と情熱を燃やす人々。実はよく知らないそのお仕事の裏側を覗くことができます。シナリオ・ネームを現役アナウンサー(界隈的にはわりと有名な吉田尚記氏)が監修しています。



「満ちても欠けても」は一話完結のオムニバス形式。
どこからでも読めるし、「自分はこのエピソードが1番好きだ」という意見もかなりバラつきがあると思います。
全13話のなかで様々な主人公が登場し、しっかりとその一話の中でその章が完結している。そして読み進め、いろんな人の感情が積もり積もることで、「ラジオの良さ」が様々な角度から集約されていく。
思い思いに救われたり、夢中になったり、励まされたり、なにより聞いている時間が楽しい!
そんな、ラジオへの恋を描いた作品だと思います。

毎回、その回の主役が「ラジオはお好きですか?」という問にこたえ、幕が下りる。
その言葉も個性が出てきて面白いし、読後感のいい演出で好きでした。

作中ではラジオは音でしか伝えられない不完全なメディアと言いつつ、この作品はだからこそラジオの魅力を丁寧に拾い上げていく。
映像はない、音だけの世界。
だからこそ空間のなかに気楽に漂うことができ、ひと人の心を掴んでしまう瞬間がある。どうしようもなく悩む時、ふとラジオから流れるその声、音楽、言葉から、熱いものを感じることがある。
“だからこそ”の部分が魅力的に描かれているんですよね。
ラジオだからこそできるリスナーとのリアルタイムのゆるいつながりとか、急な企画を急につくれてしまうとか。
第10話を例に出しますが、突貫で新コーナーが発足し、急ピッチで企画名と詳細が詰められいく様子を「これこそラジオだ!」と主人公が感動する場面があります。製作者の手作り感が出るのも面白くて、それも醍醐味だよなー。

満ちても欠けても

この第10話。2巻の中でも特に好きです。
これは主人公の描く理想みたいなものに、とても惹かれるからかな。
主人公の葛藤とか目標とか、ストレートに胸に刺さって気持ちがいいです。
あと最後の、お姉さんの赤面。ね!!

第12話もよかったなぁ。
最終話はボーナストラック的な位置づけだと思うし、じっさい12話は過去最高の盛り上がりをみせた。臨場感のある描写でラジオの面白さを見せつけられる。
そしてあの2人の、適度な距離感が心地よかった!
恋愛的な進展を期待して読んだものの、仕事仲間としての絆の深まりを感じさせるこのエピソードは、この2人にとっての素晴らしいものでした。



音でしか伝えられないラジオというメディア。
それを、音を伝えることができない漫画というメディアで描く。

考えてみればかなり困難なことに挑戦しているよな、とビックリします。
この作品は面白い。ラジオというものの魅力も、こうして感じ取ることができる。
ということは、成功しているんだと思います。

じっくり読んでみると感じるのが、特にセリフのテンポの良さですよね。吹き出しの位置とか、枠外にはみ出した手書き文字とか、文字の大きさもこだわりを感じる。
水谷フーカ作品は常に読みやすさが追求されているように思っているのですが、この作品では特に「言葉の流れ」に意識が向く。
自然と頭の中で音声として流れ込んでくるかのような、スムーズで自然な言葉。
これが作品の臨場感にも繋がっているように感じます。

満ちても22

俺は基本アニラジとたまにSOLを聴くくらいなのですが、「ラジオ、いいじゃん!」と思わせてくれました。いい漫画です。
あと個人的に4月から会社員になって、仕事とかどうしようこのままで大丈夫かなーとか考えてしまっている時期なので、お仕事漫画として励まされました。
リアルの自分にこういう形でフィードバックされました、という表現をするのはあんまり恥ずかしくてしませんが、事実ちょっと救われたりして。

声は人の心に寄り添うのだ。満ちても欠けても見えなくても夜にはお月様がいてくれるように、この世にはいつだって人の声をのせた電波が飛び交う。そのひとつでも、たまに捕まえてみよう。もしかしたら人生を変えてしまうなにかに、そこで出会えるのかもしれない。
あなたを勇気づける言葉が、あなたのすぐに近くで、あなたに届くのを待っている。
かもしれない。

『満ちても欠けても』2巻 ・・・・・・・・・★★★★
最終巻。充実感がありました。水谷フーカ作品の良さが、情熱的なかたちで出てきていますね。

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