[漫画]並んで密かに花咲く。『二輪乃花』
二輪乃花 (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ) (2012/09/12) 宇河 弘樹 商品詳細を見る |
私の子供にはエリちゃんが欲しいわ。ねぇ、それじゃ駄目?
宇河弘樹先生の百合漫画単行本が発売されました。「二輪乃花」。
今まで単行本としてリリースされたものに百合漫画はないので、初の百合コミックス。
つぼみで掲載された2つの作品をまるっと収録しています。短編もひとつ。
宇河弘樹先生らしい、乾きながらも儚げでどこか瑞々しい空気が満ちています。
今や寡作な宇河先生ですが、それだけにたっぷりと情熱のこもった1冊じゃないかなと。
●コブリアワセ
戦後すぐの田舎の町を舞台にした作品。
タイトルの「こぶりあわせ」とは、死亡した夫や妻のかわりに、その弟や妹が婿入り・嫁入りをすることだそうです。「朝霧の巫女」でも見られる民俗学的要素もこの作品にはあります。
戦争で母をなくした女の子エリ。
コブリアワセで母のかわりに家にやってきたのは、主人公と同い年の女の子、ミヤコ。
同い年の母。同い年の娘。不思議な関係になった2人を描いたお話です。
はず最初に思うのは、やはり宇河先生の絵は素晴らしいなということ。
ジメッとした日本特有の空気がにじみ出ている。古風な日本風景がとても美しい。
その中で人間たちの息遣いが感じられるような、心地いい静かさがあります。
表情描写も見事で、揺らぐ心情が見事に表現されている。ハッとさせられるシーンもある。
短い話なので、2人がいかに心通わせていくか、ということに終始する内容。ストーリーの動きは少ないですが、大切な前進をじっくりと描いていく、心に染みゆく物語となっています。
ミヤコちゃんの度量が・・・何もかも受け止め受け入れるところとか凄いんですが
この包容力がなんだか痛々しくも感じました。
大切な人を、姉を無くしたのは彼女も同じですが、それについて特に動揺してる様子はありません。こぶりあわせで急に嫁入りすることになったことへの戸惑いもありません。
ふさぎこんでしまっているエリの方がよっぽど普通です。
けれど最後まで、ミヤコちゃんはエリを受け止める「母」としての立ち位置にいる。
母と子。同い年の全然違う女の子。
けどミヤコがかわいそうだとも思わない。だって楽しそうだし。
太陽の光を浴びることができないという体質は、きっと彼女を縛ってきたものだろう。
でもミヤコはただ諦めるところからすでに抜け出している。現実の中で自分がどう生きていくべきか、居場所を作れている。それくらいの強さをすでに得られている。
娘になった女の子をかわいがる、新しい楽しみも手にできて嬉しそうです。
エリちゃんを見守るときの彼女は、幸福を噛み締めているような奥深い表情をしています。
「普通のお母さんじゃ教えてあげられないことだって 私 教えてあげられるのよ。」
ニヤニヤするわあああああああああ
運命に逆らわない。けれど優しくない運命の中で、楽しく生きる術を知っている。
少女2人で肩寄せ合って生きていく。未来の幸せな予感をたっぷりもたせながら幕を閉じて読後感がいい。シンプルですが味わい深い様々な要素が楽しめる、いい作品でした。
しっかし背景の書き込みが凄すぎてミチミチに詰まってる感すごい。
空が黒いのもちょっと不思議な雰囲気がでていました。
●ニリンソウ
クールビューティ眼鏡とアグレッシヴ痴女のコメディ色MAXな短編。
前後に静かでシリアスな作品が添えられているため、いい息抜きになっています。
とにかく元気がいい。表紙裏やアンケートハガキもこの作品のキャラが出張していて、いい意味でこの単行本全体の雰囲気を変えていますw
あとアレ。最後の方の、もねちんがネクタイを結んであげてるシーンがキュンとする。
●Walk wit me
こちらは日本ではなく海外。すすにまみれた暗い炭鉱の町が舞台。
心が結びついてからの女の子たちがどう進んでいくかが描かれていきます。
しっかり肉体関係もあったりするので、この単行本では1番百合度は高めでしょうか。
お互いがお互いに女の子として愛し合っている様子が微笑ましいのですが
それぞれに家庭に問題を抱えており、その闇にじわじわと居心地悪くさせられます。
この作品にある窮屈感は意図したもので、だからこそこの町から脱出しようという2人に納得します。無機質に立ちならぶ炭鉱施設はこの作品の象徴みたい。
その象徴を背景にしたキスシーンには胸打たれました。うまく言葉にできないけれど。
結構ブラックな展開も待ち構えており、ドキドキしながら読めた作品です。
気持ちよくすべてを割り切ることはできないけど、許しあって生きていく。
ウェンディとその母親の関係がとくに心に残りました。
心にやましさを抱えて、時々罪悪感に潰れそうになって。誠実でありたいけれど罪は消えない。
母親とウェンディはとても似ているな。とても大切な人だからこそ、うまい愛し方がわからない。不器用な親子関係だ。
でもウェンディとマルリイ、手を取りあって進んでいく姿は、ちょっとの不安はどってことない。クライマックスに見れる2人の固く握りあった手が頼もしいです。
中編の「コブリアワセ」「Walk wit me」、短編「ニリンソウ」を収めた作品集でした。
値段は1000円近くと、結構高めです。とは言え損はさせない内容。
内容もいいのですが、気合の入ったこの作画の満足度はやはり凄い!
何度も読み返してしみじみと世界に浸ってみたくなる出来栄え。
百合漫画ですが、全体的に見ればそこまでガッツリ百合百合しているわけではないので、割合読みやすいかなと思います。
巻末オマケには宇河先生のアイデアノートとして、いくつかのプロットやラフカットなどが紹介されています。まさに原石といった具合で、断片的にしか見えませんが、読んでみたくなる作品が多々ありました。「ニセモノオウジと人魚姫」「美少女自動人形の罠」あたりは作品として読んでみたいなぁ、面白そうだ。
オマケといえば「コブリアワセ」「Walk wit me」それぞれの後日談も書き下ろされています。そのどちらも本編のシリアスムードから解き放たれて甘く楽しいです。
『二輪乃花』・・・・・・・・・★★★★
風景が美しく、その中で息づく人間たちの姿もまた美しい一冊。うっとり眺めていたい作品。
[漫画]ここは不思議と心落ちつくんだ。『僕らはみんな河合荘』3巻
僕らはみんな河合荘 3 (ヤングキングコミックス) (2012/08/30) 宮原 るり 商品詳細を見る |
宇佐くんはおひとよしすぎると思うっ
「僕らはみんな河合荘」3巻が出ています。順調順調。
甘いと見せかけてだいぶ残念で下品な、でもちゃんと甘い同居型ラブコメ漫画。変人変態ばかり集まってとても賑やかで、楽しいです。
最初始まったときはもっとページ数も少なかったのですが、最近は安定して20Pくらいになってますね。1話1話読み応えあります。
この3巻はちょっとヘヴィーな話もあり、ストーリー性が増して来てるかも?
それにしてもこの表紙!吸い込まれそうな瞳とか、麗しい髪とか・・・素晴らしい・・・!!宮原先生のカラーイラストは毎回とても綺麗ですよね。
毎度おなじみのオマケ漫画も楽しい第3巻。感想を。
1話完結を基本スタイルに進行していく作品。3巻は全部で8話が収録されています。
河合荘のメンバーが毎回ワイワイとバカ騒ぎしています。
この作品は、不思議と心のひだをくすぐる瞬間がありますね。残念なコメディを全力で繰り広げながらも、ふいに現実のシビアさや人間の心のナイーヴな部分を晒してくる。
それが心に刺さるったら刺さる。3巻最初の話の麻弓さんの1人がたりなんて印象的。
17Pの「無神経とかいったけど、私だって同じことしてたんだ」の流れですね。
あの麻弓さんがマトモに落ち込んでる・・・!という意外性がおもしろいギャグでもあるんですけど、ギャグと流してしまうには惜しい深さがある言葉だよなぁって感じます。
表紙詐欺という言葉を、「かわいい女の子とのラブコメをやると見せかけて下品なギャグをやらかしてます」という意味合いで自虐的に持ち出されたりしていますね。宮原先生自身がw
でも、そんなちょっとだけ心にチクッとした痛みを与える、甘いラブコメにだけ浸らせてはくれない部分も、ある意味では表紙詐欺なのかなともふち思ったりしました。
恋愛とはまた違った部分で、シリアスな空気がときどき顔をのぞかせます。
そういう重い要素がメインではありませんが描き込まれていて、少々の意外性がある。
繊細に人間関係に悩んだりする律ちゃんがメインヒロインだからこそ、そういう要素も込められているのかなー。ちょっとしたシリアスも浮いたりしていません。だから好き。
今回、律ちゃんにクラスメイトの新しい友達ができた・・・というエピソードがあります。
しかしこの話の着地の仕方がなんともリアルというか。ちょっぴり引っかかりを残して終わります。
気持ちのいい解決がされない。でもそれは、現実的にはよくある事かな。
いろんな人に接して、いろんな事を知る。その人その人の深いところを見る。
それを繰り返してなにか学んでいくんだろう。律ちゃんはあんまりそういう経験がなく、そして今回の件が性急だったために戸惑って、失敗し、涙も流しました。
でもそれも成長か。苦々しいけど。失敗したって言っても、合わないんだから仕方ない。人間関係は時にしっかりと見極めをしていく必要がある。残酷かもしれないけど、それが結局互いのため。
出会ったすべての人といい関係を気づけたら最善だけど、そう上手くいくものか。
このコマ、結構面白い描き方してますね。内容もそうですが見た目も印象に残ります。
どうしようもないズレをお互いに理解した1シーンかな。
こういう殺伐としたシーン、読むのはすこし胸が苦しみますが、いい話だったと思います。
この後に河合荘のメンバーで交わした「いい人間関係を作るコツ」の話も染みます。
「何もかもピッタリ合う奴なんていねーよ 『合わない』のが問題なんじゃなくて
その『合わない』が、許容できるか…近づきたいかと思うかだよ」
麻弓さんはたまにちゃんといい言葉をくれるよな・・・。ダメ大人だけど!
で、ちょっと暗い話はここらへんにしといて。
3巻にはほかにもビビッとくるエピソードがいろいろあります。
第5話では彩花の昔なじみが現れ、彩花の黒歴史や弱点をいろいろと暴いていくw
性悪というのがフィーチャーされてきた彼女の意外な一面が明かされていく・・・!
というかこれで開き直って、3巻表紙裏とかでも趣味の本隠してないw
5話のラストで素顔も見られたしな!宇佐へのイジリはよりキツくなりそう・・・
彩花さんはだいぶクセが強い人けど、女友達の前では表情をみせていましたね。
「だからそーゆーの、こいつでもーうんざり」と語るときに、彩花の穏やかで優しい表情ったらなぁ。いつもの計算したものじゃなく、自然に溢れでた天然の彼女の微笑みで。
とても好きなシーンです。
で、こんなに心許せる親友がいる彩花さんを見て、律ちゃんも結構心揺らぐものがあった。
ほかにもこの3巻では、いろんな感情が律ちゃんの胸の中で渦巻くのですが、あの性格なので、それを口に出したりしない。読者には見えるように描いてくれているけど、あんまり態度にも出さないから他のキャラたちは知らないままだったりする。
けど3巻のラストエピソードは、律ちゃんがよっぱらってしまうというもので。
この話の中で、彼女が最近感じたことを全部ぶちまけるんですよね。
単行本の最後としてとても収まりがいいのです。ニッコリできますよ。
「じゃあ私に友達はできない」とキッパリ潔く諦めちゃう律ちゃんに笑った。
ラブコメとしての盛り上がりも相まって、ちょっと気持ちよすぎるラストでした。
はああああぁぁぁぁいい顔してくれるなぁ律ちゃん!
この3巻、ほかの要素が目立っていていますが、もちろん律ちゃんと宇佐くんのラブコメも相変わらずニヤニヤできます。
麻弓さんを中心とした大人組にラブコメを邪魔され続けた結果、幸せ慣れしていないためにいざという時どうしたらいいのかわからなくなる宇佐くん不憫だなぁw
そんな3巻でした。
この作品で描いていく内容をより広げた内容になっていたと思います。
2巻の時から変ショリうんぬんで人間関係の思い悩んだりなんだりって姿は描かれてきていますが、正統進化を遂げてより深めてきた感じ。好きです。
『家』としての河合荘の楽しさ・居心地のよさというのも、そうと言わずともしみじみ感じさせる内容だったとも思います。
くだらない下品なギャグとかを繰り返していく中で、しっかり暖かさが育っている。
こんなにうるさくて、変な人ばかりいて。
でもなんだか楽しい。うるさいことがジャマにならない。
この作品の持つ空気はさらに気持ちいいものになってきています。次巻も期待。
『僕らはみんな河合荘』3巻 ・・・・・・・・・★★★★
律ちゃんがんばる編、彩花さん色々バレる編などアツい内容。にしても表紙の律ちゃんは長時間眺め続けても飽きない魔力が秘められています。ごちそうさまです。
[漫画]息苦しい…けれど離れられない私たち。『魚の見る夢』1巻
魚の見る夢 (1) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ) (2012/09/12) 小川 麻衣子 商品詳細を見る |
でもまだ大丈夫 私たちはまだ普通でいられる…
発売されました!小川麻衣子先生の「魚の見る夢」1巻!
ゲッサンで「ひとりぼっちの地球侵略」も連載している小川先生。こちらは、ボーイミーツガールのきらめきが特徴的な「地球侵略」とは違った雰囲気を持つ作品になっています。
つぼみの漫画なので百合漫画というのは間違いないですが、主人公たちは姉妹関係です。
Yes姉妹百合!設定からしてちょっとインモラルな香りがするじゃないですか・・・!
ということで今日はこの漫画の感想を。
息苦しい・・・けれど離れられない・・・姉妹の「好き」はどこへ向かうのだろう。そんな作品。
姉妹2人ぐらいをしている巴と御影。
母とは死別。父とはあまり会わない。2人きりで日々を生きる。
姉妹や家族というだけ関係を飛びこえて、複雑な感情に心をゆらす2人。彼女たちだけじゃなくいろんな女の子も登場し、ストーリーを彩ります。
というか今後もっとストーリーに絡んでいって面白くなりそうな気配です。
1巻はキャラクターの顔見せや関係の提示を重点的にやっていっていたような感じ。
大きな事件はおきませんが、ゆるやかな時間の中で心の機微が丁寧にえがかれていきます。
まだ見えてこない重要要素もあり(父親のキャラクター像など)、この1巻はやはりキャラクター紹介的内容かなと思います。状況が本格的に動き出すまでをじっくりやっているかのような。
巴と御影。姉妹のすこし歪んだ姉妹関係が本作の注目どころ。
第一話は姉である巴が、寝ているあいだに御影に首輪をはめられるところからスタート。
所有欲を隠そうともしない妹・御影の言動にとまどう戸惑うお姉ちゃんです。
よく知らない人が「巴の親友だ」と言えば激昂。
普段はちょっとクールなような、まだ子供っぽいような・・・結構ふわふわとした性格をしてますが。
最初は巴との2人きりの空間だったからあのサディスティックさが印象的でしたが、学校ではそうでもないらしい。やはり御影にとって巴は特別すぎる存在なんだろう。
姉妹。今は2人だけの家族。唯一無二に強い絆で結ばれている・・・と、信じたい。
だからそのあいだに他者が入り込むのはガマンならないんだろうな。
巴はひそかに家を出ようと考えて受験勉強もがんばっているのですが
御影はそれをそれとなく悟って、勉強がはかどらないような意地悪をしました(第一話)。
なんて迷惑な独占欲・・・!かわいらしいとは、自分はまだちょっと言えないな。
「はっきり言えばいいのに 私のことが邪魔だって」(第5話)
など、自分の行いの悪さには自覚的です。それでも巴を縛ろうとする。そこに心からの切実な想いがあるのは間違いないです。離れていきそうなのがわかるから焦っている。
強くつながりたい妹。そこに家族として以上の情熱を感じて、少しだけ怯える姉。
でも最後には反発しつつも妹を受けとめるのだ。
危なっかしい妹だということは重々分かっているから、心配で心配で仕方なくなる。
縛りつけられるのはいやだけど、近くで見守っていようとする。
姉妹2人、それぞれが望む「最善の姉妹のカタチ」は微妙に異なっています。だからこじれてしまう。
あと現状をどうしたいかで2人は意見が分かれている。
姉の巴は少しずつでも今の歪んだ家族の形を変えていかなければと、あの父親から離れなければと頑張っている。
でも妹の御影はそうではなく、変わることを怖がっている。父親のことは気がかりだけど、今のまま2人きりの日々がずっと続けばと考えている。
そこは第5話でフィーチャーされていますが、5話の結論を読むと、2人がこの先どういう未来に向かっていくのかがわからないなぁ。あんまり明るい未来じゃない気がする。でも薄暗い中で2人身体を寄せ合うのも、またオツかもしれない(ゲスい読者目線で)
こんな風な2人に追い込んだ張本人とも言えるのが、彼女たちの父親。
でもまだ父親がどんな人物かわかりません。ちょこっと登場しますし、彼が姉妹の心を傷つけたことはわかりますが、詳細はまだ見えてこない。
どうも娘の御影に、死んだ妻の面影を見ている?病んでいそうですがさて。
とまぁズブッズブな様相を呈してきちゃった主人公たちですが
彼女たちの友人たちがぞれぞれいい味だしてて好きなのです。
いつもイチャついててほんわかできる先輩カップル、とてもかわいいです。
窮屈そうに愛し合う御影と巴とは違って、奔放におだやかに恋しあっている暖かな感じ!
あと高柳さんはいいキャラクターだなぁ。御影に迫っていく!ガンガン行く!
巴姉ちゃんは押し倒すけど、クラスメイトには押し倒されちゃう御影の図。
巴とのシーンではいつも押せ押せの優位ポジションにいる御影だからこのシーンが好きw
でもこのシーンの御影いいですね。特に口元にある携帯電話。唇をガードしてるかのような。
意図的なのかそうでないのかはともかく、巴以外には真には心を開いていなさそうに見える御影らしい。あと単純にドキドキするよね!この距離感の少女2人ってのは!
でも御影は巴以外にあんまり興味がないので、高柳さんは完全に片思いですよ。
高柳さんは巴に嫉妬心を燃やしていました。彼女がなんかやらかしてくれそうで、楽しみだなぁ。
では全体のまとめなど。
姉妹百合として魅せられる作品になっています。
設定としてのインモラルさはありますが、1巻の段階ではまだギョッとさせられるようなシーンはありません。でもこれから色々とこじれていきそうな予兆は感じられる・・・。
次の2巻で終わるような感じでもないかな。3巻くらいになるかもしれないですね。
これから大きく動いていくであろうストーリーの中で、2人の闇が深まっていくと面白そう。
でも暗くなりすぎるのもアレなので、先輩カップルだとかヤキモチやいちゃう高柳さんとか、いい活躍をしてくれると嬉しいです。
キレイな感情に彩られた作品ではありません。じわじわ蝕まれるようなムードで、静かにゆったりと読んでいたくなる作品です。浸っていたい。
全体的にしっとりと水気を孕んだ、涼やかな雰囲気が漂っています。
水中にたゆたっているような・・・という感覚は、魚というモチーフがあるからこそかな。
でもそれは、見たいものがまだ見えてこないもどかしさや不安定さがあることも込みで。
2巻までまた結構かかりそうですが、じっくりと描かれていってほしい作品です。
余談ですが、つぼみ掲載時とい見比べるとだいぶ作画に修正がされています。
単行本のはじめの方なんて、ほとんど描き直ししてるじゃないですか!すごいこだわりです。
表情の微妙な描きなおしがされていることを確認すると、もっと深くこの作品を味わってみたくなりますね。
『魚の見る夢』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
待望(超個人的)の小川先生の百合漫画だぁーウオォ!いい作品になっていきそうです。
[漫画]気が抜けないけど抜けるゾンビ・ラブコメディ、完結!『りびんぐでっど!』4巻
りびんぐでっど! 4 (少年チャンピオン・コミックス) (2012/09/07) さと 商品詳細を見る |
いただきます♥
「りびんぐでっど!」4巻が出ました。最終巻です。
これでラストというのは寂しい。しかし連載スタートから1年と少しの全59話。ダレないまま走りきったという事で、悪くはないタイミングだったかなと思います。
ラブ2割コメ8割、良質な1話完結シリーズでした。最後まで面白かったな!
気が抜けないはずなのに気が抜けてしまう、この絶妙の空気・・・!
今回の表紙は完結巻ということもあってか、ヒロイン全員集合ってな感じ。
表紙の右側にいる新キャラ・あいすちゃんなんかは全然ラブコメに絡みませんけど・・・まぁいっか、表紙は3人寄れば華やかだよ!
それでは最終巻の感想を。
前巻→ゾンビ(に巻き込まれ)ライフはいつも賑やか。『りびんぐでっど!』3巻
なんなのだろうな、この面白さは、不思議な魅力は。
珍しいことをやっていた漫画ではないです。でもとても好きだった。
もなこの無茶苦茶でかつ濃いキャラクターだとか、彼女が暴走してどう日常がかき乱されるかだとか、コメディとして楽しかった。ささいなセリフの1つ1つにも妙なセンスがみなぎっていたり。時々やってくるラブコメモードな彼らもとても可愛らしかった。
いろんな要素が絡み合って、ぬるく気楽に楽しめるいい漫画になっていました。
最後となる4巻。
いつもどーりのお気楽のうてんきなコメディ回が安定の面白さす。
安定というか、思えばこの漫画は明確につまらなかったハズレ回ってのは無かったなぁ。ネタがどうとかより根本的にこの空気にハマっていたんだろうか。
あいすちゃんが本格参戦してから、もなこをめぐる環境に新しい風が吹き込みました。
あいすちゃんは登場したのが遅かったので、じっくりとは描かれていなかったことが残念ですが、いいキャラでした。ゾンビ愛があふれすぎた突拍子もない動きは笑いました。
連載が続いていれば、あいすちゃんも主人公をめぐるラブコメ前線に参加したんじゃないかなーと、46話のラストを見てほんのり想像したりします。
47話が個人的にギャグとしてのベスト。
青山くんがポエマーとしてのその類まれな才能を発揮する!
うわぁ・・・。
この物語のはじまりだって青山くんが書いたアイターなラブレターがあったからでしたね。
ちょっと忘れかけていましたが、所々で青山くんは普通じゃないからな。
巻き込まれ型主人公なのにたまに自分から周囲巻き込んでいく迷惑アクティブさも・・・。
そしてこの作品のクライマックス。ラブコメとして決着させてみせました。
むだにシリアス度の高い展開になったりせず好感触。ちょっと真面目な中でも肩の力をぬかせてくれる。こんな軽やかさが好きだったのです。
アンリちゃんもがんばったんだけどなー。いい盛り上がりを見せたラストでした。
というか終盤にむけてのアンリちゃんのヒロイン力上昇は目を見張るものがあった!でもそれはもなことの恋愛バトルをさらに盛り上げるためであり、つまり当て馬であり・・・・・・だとしてもアンリちゃんは可愛かった。精一杯に恋する女の子はかわいいのである。
とはいえこの作品の看板娘でありメインヒロインはもなこちゃん。
もなこの魅力が十二分に引き出されたクライマックスはたっぷりと甘い・・・!
はー。普段のおとぼけっぷりもかわいいけど、好きな相手を意識してのギクシャクした乙女っぷりも垂涎モノ。
ラスト近辺では青山くんともなこの未来を示唆されていて、幸せなエンディングでした。
コメディとしても面白かったのに、意外なくらいしっかりラブコメ展開がハマってきれいに着地。連載終了は惜しいけど、いい最終話が見れて嬉しいです。
そんな最終巻でした。いい漫画だったなと、最終巻を読み終えて思い返しました。
週刊少年チャンピオンで連載が一時的に再開した「みつどもえ」(今は新しく別冊少年チャンピオンに行きました)と、キレーに入れ替わる形で終了したんですよね。
「みつどもえ」の復活はとても嬉しかったですが、でももっと「りびんぐでっど!」を読んでいたかったなぁという気持ちもあります、当然。
でも最初にも書いたとおり、こういうギャグ漫画でダレずに完結したということで、自分は「りびんぐでっど!」を素晴らしい作品として記憶したいなと。
楽しい漫画でした。全4巻でまとまった良作として、気軽に読まれていってほしいです。
『りびんぐでっど!』4巻 ・・・・・・・・・★★★☆
最終巻。うーん残念・・・でも内容はやっぱり面白く、綺麗に落ち着きました。またたまに読み返してニヤニヤしたいな。どこかズレたキャラクターたちが大好き。
[漫画]そのドレスちょっと待った。『八潮と三雲』5巻
八潮と三雲 5 (花とゆめCOMICS) (2012/09/05) 草川為 商品詳細を見る |
私の心臓が 前よりはねあがるのは なぜでしょうか?
「八潮と三雲」5巻が出ました。いい調子で連載続いてます。
今回の見所は結婚式。表紙も八潮&しー君がめかしこんでます。
誰と誰の結婚式・・・?ってのはお楽しみで。今回も甘甘で素晴らしかったです!
しかしこの表紙なぁ・・・しー君とかこの巻ほぼいいとこなのに、なにスカしてタキシード着てるんだろうかとwいやいいけど!
八潮のバラの持ち方はいいですね。ぶっきらぼうな持ち方だけど大きな花束。少し彼らしい。
それでは5巻の感想を。
前巻→キスの3秒ルール、見せてあげます。『八潮と三雲』4巻
さて4巻ではキスに3秒ルールを適用するというわけのわからない手口で八潮さんに猛アタックした三雲ですが・・・あまりのかわいさに俺もトロトロになってたわけで。頭が。
まぁそもそも3秒ルールとか持ち出して関係がこわれるのを避けたのは八潮だったか。
と思ったら5巻では「あれは事故だったの!3秒以内だったし!」と言い訳始めました。
いや最後は三雲ちゃんからノリノリでキスしにいってたじゃん!
彼女にとってはあれは自分のわがままで起こした事故であり、勝手な思い出作りの一環。
キスできてうれしいと舞い上がる一方で、やはりちょっと苦い想いも含んだ記憶でもあるのか。
謙虚なんだか強引なんだか。三雲ちゃんは面白いな。
でも彼女の行動は彼女なりに一貫性があって、けっしてどう動くか想像がつかないキャラクターではない。誠実で、かわいくて、カッコいい女の子なのです。
5巻の番外編の夏祭りエピソードの一幕。
射撃の腕前が実はすごかった三雲。「じゃあなんでさっき射的ゲームで俺にものをねだったんだ、自分でとれただろう」という八潮に、「とってもらうってのがいいんです」と三雲がいいます。
すごいなぁ。八雲ちゃんは女の子を楽しんでるよな。八潮へどうじゃれつけばいいのか分かっているし。好きな人に祭りでプレゼントをもらうって、ある意味醍醐味じゃないですかと。わかってるなあ。
でもいたずらに女の子を振りまくだけじゃなく、きちんと「出来る女の子」です。
ちゃんと八雲を支えるパートナーなっている。ラブコメとしてのかわいらしさだけじゃなく、この2人の関係はとても好きです。
猫らしいちょっとした気まぐれが、彼女をよりかわいくさせるアクセントになっているかな。
猫っぽいと言えば八潮もだ。いや実際に猫なんだけれど。
懐いているようないないような、真面目なような気まぐれなような。
八潮さんは今回、だいぶ迷走します。どこに行けばいいのか迷っている。自分の気持ちがわからなくなる。
今回の目玉である結婚式のエピソードでは八潮がやらかし、と思ったら三雲もやらかして、非常にラブコメ的に動きがあったのに表面上なんの発展もしていないという残念な状況です。
この話では八潮が明確な独占欲(と言えるかな)を見せます。
「こんなドレスは破れてもかまわねえが、破っていいのは俺だけだ」とか!何いってんのお前!
結婚式というシチュエーションが多かれ少なかれ八潮の心を乱したのか
このエピソード中の彼はずっとテンションがおかしかったw
そのおかげであの誤爆をやらかすわけで・・・「あの時は冷静じゃなかった、どうかしてた」と後々反省しています。
やはりその場にやや流された形だったのは間違いない。
しかし三雲が遠くに行ってしまわないように溢れ出た言葉です。
これをきっかけに、八潮本人がつよく三雲を意識しだしていることも確実だよなあ。
これからの2人が楽しみですよ!
擬似ウェディングな2人はなんだか微笑ましかったなー。いつか本当になる。なれ。
相変わらずむすっと不機嫌そうな表情を崩さない八潮さんだけど、なんとなく彼が寂しがってるときの表情がわかってきた気がします!
あと今回は印象的なモノローグが多かったと思います。
「私の心臓が 前よりはねあがるのは なぜでしょうか?」
「八潮さんのために使ってもいい時間は まだちゃんとある」
あたりはたまりませんし、15話ラストの八潮のモノローグもニヤニヤとまらないw
2人の気持ちのたかぶりがみずみずしく感じ取れます。
やはりいいモノローグを紡ぐ漫画は好きだな。心に残る。
それにしても三雲ちゃんは相変わらず、どころかかわいさ上昇中でどうしようか。
冗談めかして「私のこと好きなんじゃないですか?」と期待まじりにきいてみたり
でもきっとこの想いは報われないんだろうなぁ、なんて漠然とした不安も抱えている。
報われないどころか、自分からせっかくのチャンスをムダにしたんですよ三雲さん!あの結婚式の最後にあった最高の一言を情緒なくふっとばしたのあなたですよ!
でも大満足の幸福は、もしかしたらもうすぐそこかもしれない。
17話でいったん距離があいてしまったけれど、心の距離はその限りじゃないだろう。
あー。やっぱりこの2人の事好きだな。
子供っぽいような大人っぽいような・・・そんな恋のやり取りはドキドキしますね。
『八潮と三雲』5巻 ・・・・・・・・・★★★☆
八潮さんのデレきたか・・・!?相変わらず面白いシリーズ。6巻は来年夏。待ち遠しい。