[漫画]欲望にまみれて生きよう少年少女 『妄想少年観測少女』2巻
妄想少年観測少女 2 (電撃コミックス) (2011/11/26) 大月 悠祐子 商品詳細を見る |
…なんかまるでそれって 愛の告白みたいだ
大月悠祐子先生の「妄想少年観測少女」2巻が出ました。
第1巻はジャストミートし何度も読み返したもので、2巻が楽しみでした。
→フェチ心あふれる、少年少女の恋愛模様 『妄想少年観測少女』1巻
背後から忍び寄るような、それでいて暴力的なような、独特の色気に魅了される作品です。
思春期のドロドロした欲望が詰まっています。あとマニアック。
●山田愛音
1巻でまさかのタイミングで終わってしまったエピソードの続き。
本作は基本的に男女2人を主役に、視点キャラを入れ替えての2話構成をとります。
2巻冒頭は後半にあたるお話で、これまたしょっぱなからニヤニヤしてしまうのですよ!
また、特定のキーワードを主軸に各エピソード展開されるのがお決まりの本作。
このお話では「眼鏡」。眼鏡を嫌う少年と、眼鏡を愛する少女。
主人公が女の子で、彼女のモノローグからは本当に男の子のことをよく観察しているのだなぁということがわかります。顔や身体のパーツ1つ1つに深い興味と愛情を向けている。
最初はその少年が好きというよりは、彼の持つ顔のパーツが好き、という感じで。
しかしそれが変化するきっかけとなっているのがこのシーンでしょうか。
下品な発言をたくさんしてしまう男の子。でもそんな自分を客観的に理解していて、自分は汚いやつだからと好きな娘に近づくことができない。天使や女神様のように崇めているだけで充分なのだと。
メイン2人してどこか弱気なところがあるのがいいですよね。
興味の入り口はちょっとおかしくても、確実にその人そのものを好きになっていく過程。
ちょっとした歩み寄りと、ちょっとした勇気。やーニヤニヤしてしまう!
この作品にしては、まだ正統派なラブコメと呼べる・・・かも知れない?w
●木村のの×藤堂うずら
「ニオイ」がキーワードということでこれまでよりもさらに一段上のマニアックさを見せつけ、しかも女の子同士の接触を描く百合作品。
ストレートな描写が多いですが、「ニオイを溜め込む」というゾクゾクくる表現が飛び出したり、女の子の邪な欲望が性的にまっすぐと突き刺さってくるかなりいやらしい作品だと思います。
ののをむさぼるように愛するうずらの姿は印象的で、高圧的なキャラに見えますね。まるで男性のように、ののを抱いたりする。ちょっと暴力的なくらいに求めている。
マニアックで衝動的で、生々しい百合カップルの様子はかなり見ごたえアリ。
「女」である自分を、どうしたいのか。どうありたいのか。それに悩む少女たち。
そこにサブの男の子が抱える「汚してやりたい」なんてサディスティックな想いも入り混じったりして。
わざと女の子の髪に牛乳をかけてしまうシーンなんて最低の一言ですけども、思わずちょっとばかし興奮してしまうような。この気持ち悪さもまたクセになってしまう。
かなり毒が強いというか、素晴らしく匂い立つエロス。たまらない・・・!
ラスト「大変美味しくいただきました」はまったくこちらこそと言った具合です。
●清水良介×木乃内リサ
「美しさ」をめぐる女の子と男の子のお話。
良介はいじめられっ子ですが、そんな彼が密かに備える美しさに目をつけたのがリサ。
良介は彼女に弱みを握られ、女装をすることを強要。
かくしてリサの言われる通りの着せ替人形になってしまった良介ですが・・・。
たしかに少年の中にある女性らしさというのは、それはそれで色っぽいものなわけですが、
良介がちゃんと「男の子」らしいのが面白い。綺麗ではなく、等身大の男子なのだ。
外見はまるで女の子なんですが、思春期の少年らしい、汚れた欲望をしっかりいだいてもいる。それも非常に男性的などす黒い性欲を。無理やり黙らせてキスしてやりたいとか、組み伏せ脱がしてやりたいとか。そんなギャップがまた面白い。
で、乱暴に彼女を自分のものにしてまう想像をしては自己嫌悪。そんな所が可愛い。
このエピソードでは良介の成長を切なく描いてもいる。
少年の体から、男の体へ。それは学生時代だからしかたのないこと。しかしそれは少年だったからこその美しさを少しずつ手放していくということでもある。期限付きの美しさです。
でもその変化がネガティブではなく、むしろよりニヤける自体になってしまうのだから、してやられたという感じですよ。彼女を自分のものにする勇気がなかったころとは違うんですよと!
強烈な所有欲を結実させるラストシーンはまさに至高。これただの変態だよ!でも2人にとっちゃ最高のハッピーエンド。
ちゃんとお姫様になれたし、させてあげることができた。こっ恥ずかしいー!
・・・それにしてもリサは立派な痴女ですね・・・しかし、情熱がゆえの行動力の高さです!自分をエサにしてでも、という確固たる意思。
まぁそんなヒロイン・コンプレックスの女の子も、最後には。ダメだニヤける。
ざっと紹介してきましたが、以上「妄想少年観測少女」2巻でした。
1巻でも2巻でも目立っていましたけど、この作品に登場する男の子たちはけっこうな自己嫌悪を抱いているのがいいですね。
思春期だからドロドロした欲望を持つのも自然なんだけど、彼らはそんな自分を憎んでもいるみたいで、でも本能に抗うことにはないわけで。そんな要素をしっかり存在させてくれるのがこの作品の好きな所でもあります。
そして自己嫌悪だけじゃなく、思春期の少年少女のエネルギーが込められている。
言葉に出来ないあれこれを直接叩きつけるみたいに、つい力づくになってしまったり。
自分をコントロールすることが全然出来ない。若さをこじらせてます。
ある意味、すごく生き生きしてるんですよね、この漫画のキャラクターたちって。
人と人がリアルにぶつかったり関係している感じが素晴らしい。
相変わらずマニアックな内容ですし、思わずゾクッするシーンも盛りだくさん。
ラブコメではありますが、単純な男性向けとは一線を画していると思います。
エロいというよりは、しみじみ、生々しい色気がある。
キャラクターが見せる表情や、添えられるモノローグや投げかけるセリフや・・・とにかく作品全体から匂いが漂ってくる。
3巻にはどんな恋模様を見せてくれるのか、今からワクワクしてしまいますよ!
『妄想少年観測少女』2巻 ・・・・・・・・・★★★★
本能を刺激するエロティック青春劇マニアクス(?)。いろんな欲望でぐるぐるしてます。
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