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[漫画]2015年上半期面白かった漫画BEST10

ツイッターには毎日顔出してるのにブログはこのざまです。お久しぶりです。
7月になったということで、せっかくだから上半期の面白かった漫画をまとめました。
すっかりアウトプットの時間は減りましたが、やはり漫画は大好きなので
こうして半年間を振り返る作業は楽しかったです。

では10位から。





10.わがままちえちゃん/志村貴子

わがままちえちゃん (ビームコミックス)わがままちえちゃん (ビームコミックス)
志村 貴子

KADOKAWA/エンターブレイン 2015-03-25
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2015年上半期は怒涛のごとく志村貴子作品が発売されていました。ありがたさしか無ぇ。
どれも甲乙つけがたし。ですがあえて1番すきだったのはこの「わがままちえちゃん」。好きというか、1番心に引っかかりが残って後を引いたのはこれ。

「ちえ」「さほ」は姉妹。そして、幼いころに死に別れてしまいました。
日々を生きる中で、その喪失を噛みしめる女の子を描いた作品です。
この漫画は複雑というか、トリックがおおい構成をしているため、読みにくさがあります。例えば導入部ではさほが主人公でちえが死んだ幽霊となって登場します。が、それはちえの妄想。現実はちえが生きて、さほが死んだ。
結局終盤まで、ちえの妄想がいろんな所にあらわれて、その過去が本当なのか、今見えてる光景は現実なのか、わかりづらいまま進んでいく。きっとそれは混沌としたちえの精神世界そのものなんだろう。

構成上、もう一度読みなおすとある程度把握できますが、やはりストーリーに本筋は見えづらい。ストーリーを楽しむというより、千切れたようにバラバラに散らばった少女の心をそっと集めていくためのお話のように思う。
晴れることのない後悔、悲しみ、嫌悪、喪失感。「聞こえるような気がするだけ 自分の聞きたいように聞こえるだけ」と涙するちえちゃんの姿には、こっちまで泣きそうになった。

「ちえ」という少女を読み解く面白さもありますが、喪失とどう向きあえばいいのかというテーマは非常の好みでした。
思春期の女の子のナカミはわかりづらいってのを、体現した作品でもあるのかな。なんにせよ、はち切れんばかりに濃密に、少女の心の声を浴びせられる漫画でした。
まるで少女の痛みの声が、薄く永遠に響いているような。



9.ステラとミルフイユ/渡辺カナ

ステラとミルフイユ 3 (マーガレットコミックス)ステラとミルフイユ 3 (マーガレットコミックス)
渡辺 カナ

集英社 2015-03-25
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連載が終わったのは去年ですが単行本発売が3月だったため入れる。
渡辺カナ先生は「星屑クライベイビー」(記事 ほんとは寂しがりやのあなたに届くように。『星屑クライベイビー』)を読んで1発でファンになったんですが、今作が2作目の連載作。前連載作「花と落雷」と違い少年が主人公の青春漫画。
年上ヒロインの椿さんがかわいくてなァ・・・!見た目、ちょっとやんちゃな(明るい髪色で八重歯が目立つとなぜかヤンキーっぽく見える)彼女ですが、ワタワタと慌ただしく照れたりする様子がたまらない。そして抱えた過去や、そこにあった仄かな初恋!
再び、ちゃんと言葉にしてさよならを告げる椿さんは非常に切ない。
確かに好きだった。けれど一緒に歩んでは行けない。

コミュニケーション不全かつ父親との不仲もある主人公もいい。
恋によって変わる、というわけではなく、変わるために彼自身の努力が見えるのが好感度高いのです。閉じた部屋が開かれそこから光が差し込むように、どんどんと彼をめぐる世界は輝きだす。
恋愛だけではなく、人生を考えた時になにが大切なものなのか、深いテーマに潜っていく最終巻。
特に椿さんの下した決断それぞれはどれも女性としてのカッコよさを感じるし、同時にある種の男らしさもあって、3巻は特にしびれまくった。
刹那的に誰かの手をとるよりよほど誠実に、2人は寄り添う。甘酸っぱさあふれるクライマックス。
表紙デザインもカンペキ。本編の清涼感にぴったりの綺麗さだ。手元においておきたくなる、このデザイン性もお気に入りになっている理由のひとつ。



8.ダンジョン飯/九井諒子

ダンジョン飯 1巻 (ビームコミックス)ダンジョン飯 1巻 (ビームコミックス)
九井 諒子

KADOKAWA/エンターブレイン 2015-01-15
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2015年初頭、発売日から3日遅れで書店をめぐるも・・・・・・まさかの「ダンジョン飯難民」になったことのインパクトが強い。買えたのは2週間くらい後でしたね・・・コミティアのジュンク堂出張販売コーナーで・・・。さっすがコミティアだぜ!
さて2015年を象徴するタイトルのひとつになったようにも思う本作。売れに売れ、脅威の売れ行きになっているとか。「坂本ですが?」といいなにがポーンと売れるのかわかんないな。

しかし売れるのも納得のおもしろさ。最近グルメ漫画は目立ってきてるように思いますが、この作品はファンタジー。
自給自足でダンジョン内の食材を料理する、異色の作品となっています。
バジリスクをローストターキーみたいにしたり、人喰い植物をタルトにしたり、なんと“動く鎧”まで調理!そして毎回、丁寧なレシピ付きだ!
ゲームの世界の食文化を、まるでそれが実在しているかのように丁寧に描いていく。読めば読むほどどんどんと異世界に自分が入ってしまうような、不思議なリアリティと没入感。
個人的に九井諒子作品だと叙情的な作品(「進学天使」とかたまんないです)が好きだったんですが、「ダンジョン飯」は娯楽要素たっぷりでハッピーな作品。ほんといろんな漫画を描ける、すごい作家さんです。この作品だけじゃなくとりあえず単行本全部面白いから、ビビる。
リアクション芸人みたいになってきてるエルフのマルシルさんの不思議なかわいさにも舌鼓を打ち、そろそろ妹を救いに行くという目的も忘れていそうな彼らの旅は続く。



7.ピコピコ少年SUPER/押切蓮介

ピコピコ少年SUPERピコピコ少年SUPER
押切 蓮介

太田出版 2015-02-05
売り上げランキング : 4760

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押切蓮介先生の体験談をもとにしたゲームエッセイコミック「ピコピコ少年」シリーズの第3弾。過去の2冊も面白かったが、それを踏まえてもやたら本作は面白かった。
エピソードがどれも脂の乗った旨さというか、これは本当に実体験なのかというくらいの意味不明な面白さ。読む者の心をやわらかく、そしてセンチメンタルに染め上げるノスタルジックな世界。
バカバカしかったり、甘酸っぱかったり、または胸が苦しくなる切なさや、静かに心に降り積もる怒りや悲しみ・・・・・・とにもかくにも、この一冊でリアルな青春時代の悲喜こもごもがたっぷり詰まっていて、エッセイという枠を超えてストーリーの面白さに夢中になる。
お気に入りはオフ会の話だ・・・もう、読んでて切なさのあまりそっとページを閉じてしまった・・・。
でもどんな悲しみもきらきら輝く大切な思い出に感じてしまうのは、僕らがちょっと大人になってしまったからだろうか。

押切先生と同年代であればさらに楽しめるわけで、そこは悔しさを感じてしまうポイントではありますが、たとえ時代を共有していなくともこの波瀾万丈感はとても楽しい。
漫画ファンを騒がせた「ハイスコアガール」の騒動のことにも触れられており、これはファンとしても必読。
絶えず好きなものを愛し続ける、楽しみ続ける、ガキの頃の愚かしさを貫く。ゲームと一緒に大きくなった。今度はゲームが救ってくれた。
泣いて笑えてしかも胸をアツくする、素晴らしい一冊。ピコピコ少年の火は消えない!



6.やさしいセカイのつくりかた/竹葉久美子

やさしいセカイのつくりかた (6) (電撃コミックス)やさしいセカイのつくりかた (6) (電撃コミックス)
竹葉久美子

KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-02-27
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最終巻。どうなるかと思ったら、予想を上回るすばらしい結末を見せてくれた作品です。
恋に友情に将来に・・・なやめる女子高生たちと、その教師を務める19歳の天才学者の物語。
ラブコメディーとして読んでいた序盤から一転、中盤からは努力と才能の話、家族との向き合い方、過去の恋と今の恋、報われない想い・・・「おいおいドンドン重くなってるじゃねーか!」「でもすっげー面白いぞ!」と深みを増していった作品。

特に物語後半は顕著だったけれど、女の子のずるいところや愚かな所までかなりディープに描いていて、掲載誌の電撃大王チックな萌え漫画とちょっと感触が違っている。男の女のエグい距離感も描かれる。
でもどれも、キラキラとロマンチックな関係性に決着して、最終巻は文句なしの大団円。

天才でありながらそれをひた隠していた少女、葵。彼女と主人公の朝永の関係性というのが個人的には最高の、これ以上あるかってくらい納得の結着で・・・。
「やさしい女の子」として朝永に立ち向かう少女がいて。同じ舞台で、志を同じくするライバルとして勝ち上がってきた少女がいて。
最後まで主人公である朝長は「根本的には他人を信用できないタイプの人間である」という主人公にあるまじき性質のままだと感じましたが、彼はそれでいいのだな。全能である必要もない。ただ、将来に悩む少女たちにとって道を指ししめすことができる人間ではあった。そういうところで朝永はいいキャラクターだ。
「学び舎」という舞台をもっと好きになれた作品でもありました。この作品は学校がもつ機能をちゃんと正しく描こうとしてくれた印象があり、それは最終巻で自由に羽ばたいた少女たちの姿をみて確信した。セカイの愛し方を、ようやく彼ら彼女らは知ったのだと思う。教室から笑顔で飛び出していくこの最終巻の表紙は感慨深い。
・・・若干世の理から外れた結着した女の子と教師もいたけどな!最終話で見せてくれたバッチリ幸せな夫婦っぷりにホッと一安心です。

それにしても、改めて。朝永と葵の関係、カッコよすぎるでしょ。最高。
タイトルにある「つくりかた」もこの作品らしくていいな。見つけるではなく、作るのだ。この力強さと理屈ありきな感じ、学者漫画でもある本作に合っている。最終巻で指し示されたこのタイトルに意味も、味わい深い。



5.帰ってきたサチコさん/朔ユキ蔵

帰ってきたサチコさん (flowers コミックス)帰ってきたサチコさん (flowers コミックス)
朔ユキ蔵

小学館 2015-06-10
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朔ユキ蔵先生がフラワーズで掲載した作品を収めた短篇集。幅広い雑誌で活躍している作家さんですが、女性向け雑誌から出た単行本って初めてだったよな。
さてこの本に収録されている5つの短編ですが、びっくりする。
5本、全部めちゃくちゃおもしろい。
舞台やジャンルは違えど、どれも激しく胸を揺さぶる、熱い作品たち。朔ユキ蔵作品をすべて読んできているわけではないけれど、これ傑作じゃないでしょうか!!

圧巻なのが表題作。突然70年前に飛ばされ、そこで家族をなし、そして10年がたち、また現代に戻ってきた主人公の女性。40ページほどの作品ですが、それと感じさせないくらいのストーリーの厚みとクライマックスのカタルシス!飛ばされた過去と現実がつながるラストはタイムスリップものの醍醐味ですが、魅せ方もお見事。70年前の旦那さんの強い想いが果たされる感動。なんて切なくきらめくラストシーンだろう・・・グッときたラブストーリー。
「走れみつる」は女優にあこがれてアイドルになった主人公のお話。女性が女性に憧れるときの感情って面白い。ラストのふてぶてしさと力強さに満ちたセリフもかっこいい。
「かりそめ」はお伽話のように美しい、ドリーミーな作品。夜空を飛んで心も舞い踊る。一緒に夜空を飛び、女性の手を取れるくらい。まるで一遍の詩のようなあじわい。
「心ここにあらざれば」はファンタジーが舞台。政略結婚した国王と后が、心を封印した国政の末路は、悲劇だがふたりの確かな愛情が感じられる。最後の胸に刺さる。
最後を飾る「劇的」はこれも素晴らしい。死んだ弟との思い出を回想つつ荷物を片付けるお話なのですが、切ないお話なのに前向きになれる。激しい慟哭と、再生の物語。
しばらく本棚のメイン所に配置したい。ハイレベルな一冊。短篇集好きな人には特にオススメ。



4.四月は君の嘘/新川直司

四月は君の嘘(11)<完> (講談社コミックス月刊マガジン)四月は君の嘘(11)<完> (講談社コミックス月刊マガジン)
新川 直司

講談社 2015-05-15
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これは単独で記事を上げているので、そちらを。
素晴らしい少年漫画でした。疾走感と喪失感が最高潮となる最終巻。クラクラしそうに美しく切ないラスト。
消えない春に君はいる。『四月は君の嘘』11巻



3.水色の部屋/ゴトウユキコ

水色の部屋<下>水色の部屋<下>
ゴトウ ユキコ

太田出版 2015-04-15
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陰鬱だ・・・しかしどうしようもなく惹かれる世界。「水色の部屋」は上下巻で発売されたゴトウユキコ先生の、まるで映画のように美しくまとまった作品。
ゴトウユキコ先生といえば思春期男子のリビドーを軸に、セクシーだったりバカバカしかったりするお話を描いてきた作家さん。
しかし今回はとても重い。とてつもなく、重い!
主人公はもんもんと、母親に対する劣情を抱く少年。近親相姦というテーマの時点の重いのに、田舎町の窮屈な空気、人間の悪意、消えない過去の傷、歪んだ欲望、エトセトラ・・・様々な「直視したくないもの」をぶつけてくる。窒息しそうだ。
描かれるのは強烈なバイオレンスと生々しい腐臭の漂うセックス。
地獄じみた世界にようこそ。でもここは現実。思春期という牢獄だ。

主人公の母親が「性の対象」となるというのが恐ろしくもあり、見どころのひとつである本作。ちゃんとかわいいんです。童顔で、エロい体型してて、母性本能強くて。
そしてこの作品、表情がいい。興奮に染まったエロい表情もいいし、情念の滲む恐ろしい表情も、虚無を体現した無表情も、試すような挑発の視線も。
息苦しい世界観とそこに生きる人間のナマっぽい空気感。これにより、この作品の暴力性はさらに威力を増す。描かれたエロスは一層、魅惑的だ。
もっとも、幸福なセックスなんてない。この作品は圧制や征服、あるいは堕落の象徴としてのセックスが多く登場する。この大人びた感触は読んでて胸のあたりがヒリヒリと痛み出す。
主人公がかかえる鬱屈とした感情は、特別なものではあるけれど、この行き場のないモヤモヤはきっと共感できるものだと思う。思春期の頃の・・・あの、学校だけが世界のすべてかのような閉塞感・・・馴染めなければそれだけで生きる資格がないような錯覚・・・辛い!思い出したくない!やめてくれ!

ストーリーの流れも素晴らしかったです。人の気持ちを大切にした、歪んだ愛の物語だったと思います。
上半期の「もっとも良かった1コマ」を選ぶとしたら、本作下巻のラストコマの、慈愛をたたえた微笑みを挙る。
母と子のオンリーワンな関係を描いた作品としても、本作は読み応えありました。血のつながりを持った母親は、どんな人間であれどんな人生を歩むのであれ、たったひとりしか存在しないんだ。

水色の部屋

ラスト。穏やかな水色の部屋、心細い背中をそっと押す、甘い声。
最後の最後まで、エロいなぁ。エロいぞこれは。



2.あそびあい/新田章

あそびあい(3)あそびあい(3)
新田章

講談社 2015-04-23
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完結したってことで一気読みした作品。あまりの面白さに1時間半くらいで三冊読破してしまった・・・俺としては脅威のハイスピード。

『不憫な恋愛漫画』。本作一言で表すならそうなる。
“僕が好きになった女の子は、誰とでも寝るんだ”って、そうオビに書かれる作品。フリーセックス主義な小谷さんと、彼女に恋した山下くんの青春ストーリー。
主人公に感情移入しながら読むと、ことごとく思いを裏切ってくれる小谷さんに腹が立つ。なのにそれでも彼女を思い続けて、好きで居続けて、勝手に傷つくまでココロの動きがシンクロしてとてもキツい。彼女と他の誰かとのセックスをこれでもかと見せつけられて、だんだんと小谷さんの無神経さが羨ましくなってくる異常な感覚にまで陥ってくる。

あそびあい

しかしドラマが動いていくと単なる「彼女に裏切られるオレってかわいそう」なお話から、趣が変わる。ここからが更に面白いのだ。
彼女に誠実なお付き合いを求めていた純情な主人公。なのにいざ別の女の子と付き合うことになったら、小谷さんのことを忘れられずひどいお付き合いをしてしまう。
恋愛において何らかを「選ぶ」ことを難しさと残酷さ。悲しいくらい届かない、本当の気持ち。
自己嫌悪と闘いながら、思い通りにいかない想い人に傷つけられながら、汚い人間になりながら、それでも下す決断の価値。その重みをしっかりと感じさせてくれるストーリーの完成度。
中盤から襲いかかる主人公の苦難は、ページをめくる手をひたすらに早めてくれた。

ラストも個人的には素晴らしかった。こういう距離感の男女関係に着地するか、と。
主人公が望む関係ではないけれど、でもほかの一体だれが、スーパー特売まで一緒に来て欲しいと彼女に言ってもらえるだろうか。
「体の関係」をフィーチャーした本作。その結末はとても穏やかに心のつながりを確かめるもので、彼らの不透明な「いつか」を夢見ながら泣いてしまった。ラスト5話はぜひ読んでみて欲しい、傑作だと思います。
女の子ってこわいな。そしてかわいいな。でもって、わけがわからない。
あっっでもこの作品って主人公がセックス上手くないと成り立たないからやっぱムカつくわ!!!!!!!



1. ハレルヤオーバードライブ!/高田康太郎

ハレルヤオーバードライブ! 14 (ゲッサン少年サンデーコミックス)ハレルヤオーバードライブ! 14 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
高田 康太郎

小学館 2015-06-12
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あ゛゛~~~~~~最高だ~~~~~~~~~~!

まさにクライマックスのさなかである。ここに至るための物語だった。大きなステージで、まばゆいスポットライトを浴びて、ティアドライブは疾走する!
青春バンドグラフィティ、「ハレルヤオーバードライブ」。15巻で完結すると明言されたので、今回の第14巻は物語全体における最高潮!!
1巻から読み進めているとみるみる画力があがっていき、ライブの描写力が上がっていったのも本作の特徴であり見どころ。光がちらばり、魅惑のメロディが空間をうめつくす。僕らの歌声が、未来に祝福を奏でる。

ハレルヤ151

とても贅沢な一冊になっていると思う。なにせページの大半が演奏シーンなのです。エモーショナルな会場の空気をバッチリ捉えた描写は最高級の臨場感をもたらす。
上の画像のような各話タイトルコールの演出も電撃的でカッコいい。こういう、「ズバーンッ!!!!」てキメるタイトル演出大好きなんだよ・・・映画みたいでさ・・・!!
ひと目見ただけで読む者の心を掴んで離さない、閃光のような華やかな作画はこの作品の大きな武器。その武器が、過去最高にいかされているのが巻なんですよ!

ここにきて浅緋にまつわる種明かしがされる。正直いえば「いや、とは言え盗作した罪は消えませんよね??」という思いは拭えなかった。倒れた彼を見て、必死だったんだなとは思えど、同情は出来なかった。
そんな微妙なモヤモヤは、主人公の小雨が晴らしてくれる。ロックスターに面と向かって、「オレは勝手にやりたいようにやるんで…貴方も自分で勝手に助かってください」と言ってのける。
助けを差し伸べるではなく、音楽を愛する者として、信頼を寄せた発言。小雨だってとっておきの曲を浅緋に奪われたのに・・・こんなセリフを言われてしまっては、こちらも何も言えなくなる。
長くに渡りこの作品のラスボスとして君臨した浅緋。その結末も含め、14巻の完成度は素晴らしい。素晴らしいという以外ないよこんなの!
「ハレルヤオーバードライブ」のタイトルもついに本編に登場。ライブシーンでこの作品がやりたかったことは果たされた印象も受ける。
破裂しそうな興奮と湧き上がる寂しさとが混ざり合って、なにも言えなくなる・・・。
上半期の1位を決めるにあたって結構迷っていたんですが、やっぱり自分を一番興奮させてくれたこの作品にしたいなと思って。三角関係にしろ、演奏シーンの華やかさにしろ、終わりゆく青春の1ページを刻む物語にしろ・・・すべてがツボです。
いよいよ、次が最終巻。ハレルヤ!みんな幸せになってくれ!!麗あ!





ということでBEST10でした。また下半期も同じようにやれたらいいな。では。
読んでいただきありがとうございました。

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「さざなみ」と読みます。
漫画と邦ロックとゲーム。
好きなのは思春期とかラブコメとか終末。

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