[漫画]むすんでひらいて君との物語。『むすんでひらいて』7巻
むすんでひらいて 7 (BLADE COMICS EDEN) (2013/02/14) 水瀬 マユ 商品詳細を見る |
女の子はどうして 自分から傷付きにいくんだろう
発売から結構経ってしまいましたが「むすんでひらいて」本編の最終第7巻の感想を書きたいと思います。
いやしかし7巻か。気づけば結構長い連載になっていましたね。
さらさらと読みやすい漫画なので、そこまで長く感じないというのが正直なところ。でも振り返ればここまでいろんなカップルがいて、みんないろんな気持ちと向き合ってきていたよな。
複数の男女をめぐるオムニバス青春恋愛漫画「むすんでひらいて」。
今回はその本編の最終巻ということで、結末に向けて走っていきます。
過去にやった更新。やったりやらなかったりでしたね……。
青春は走れ!オムニバス青春学園ストーリー。『むすんでひらいて』1巻
不器用全開!甘酸っぱい青春オムニバス 『むすんでひらいて』3巻
初恋は近くて遠く、甘くてにがい。『むすんでひらいて』4巻
甘く切なく、ドキドキが鳴り止まない 『むすんでひらいて』5巻
ここまでじっくりと描かれてきた明智、夏、理央の三角関係。
というかむしろ明智―理央でカップルは出来上がっている。そこに明智のことをずっと好きだった幼馴染の夏がいて、そのことを知る理央がうまく明智との関係を踏み出せないという……あーじれったい!でも切ない!
モジモジしながらも今回はそこに完全決着。夏ちゃん理央ちゃん、がんばった!
明智のことはもう諦めている夏。でも彼女の積年の想いを知ってしまっては、これ以上明智を好きになれないと、理央は自分の恋を押しとどめる。
そんな理央の背中を押す夏!そんな夏に遠慮しまくる理央!という堂々巡りの女の子の恋愛事情でしたが、いざそこから一歩踏み出してみれば、これがまた素晴らしい。
恋と友情のはざまで揺らぎ続けた理央が出したこの結論には誰かの失恋の上に成り立つ恋なんて、嫌だと思った
そんなの全然キレイじゃないと
自分の気持ちなんてなかった事にしてしまう方がいいと思ってた
でも、たとえ後ろめたくても、手に入れたいものがあるなら
私は、間違ってもいいと
なっちゃんの勇気を、私の背中を押してくれた気持ちを、受け取らなくちゃ
これまで読んできていてよかった!と唸るしかなかった。
夏ちゃんの真剣な応援を受け取る。そして、自分の気持ちに正直になる。
明智もまた、自分を想ってくれる夏を知っています。
2人は夏という少女の片思いを知りながら、その上に結ばれるのです。
その覚悟の強さたるや。残酷なことなようで、しかしこれまで積み重ねてきた3人それぞれの思い出たちが、この結論を優しく祝福する。
はぁーよかった……。
明智と理央は結ばれるまでかなり長くかかりましたが、それに相応しい感動をくれました。
そして夏ちゃんサイド。かわいそうな少女でもありますが、それは彼女自身が選んだ道。そんな夏ちゃんを見守り、そして胸焦がれるナイスイケメンの西野くん。彼の頑張りもまた、今回の見どころと言えます。
夏ちゃんも西野くんも遠慮しいだから。優しすぎて自分を優先できなかったから。同じ目の高さから誰かを見ていた2人が、いよいよお互いを見つめ合う。
夏ちゃんを抱きしめる西野くんに悶・絶!
失恋してすぐに他の男と!と残念がる必要はなく、ここの萌えポイントは、失恋した夏ちゃんを慰める西野くんのほんのちょっとの下心が垣間見えるってところなのですよ。
いい人のような顔してさ、いや本当にいい人だってのはこれまでたくさん描かれてきましたが、この一世一代の大勝負の舞台で、「俺を意識してよ!」と言わんばかりの熱いアプローチ!!
西野くんの等身大の悩める男の子っぷり、めちゃくちゃ可愛いんですよね!
いい娘すぎる夏ちゃん。いい人だけど、ちょっとズルい西野くん。でもここで夏ちゃんをほうっておいたらクズ野郎だ。だったらよっぽど、優しく抱きしめた方がいい。抱きしめちゃったら、そりゃ、ほら。男の子だからさ。
そういう下心をたぶんちょっと意識した上で、西野くんの優しさを受け入れる夏ちゃんにもグッとくるんだよ!
「エラかったね」って頭ポンポンされたらそりゃー泣けるわー!!この包容力がイケメンたる所以だよー!!
ちなみに「エラい」は俺の地方だと「苦しい」みたいな意味の方言にもなりまして、褒めるのと同時に彼女の努力を労ってもいて、めちゃくちゃ好きなシーンでした。でも方言からセリフの意味を拡大するのは無茶かなw
恋は幸せを呼ぶとは限らないけれど、夏が体験したこの日々は、きっと色褪せることなく彼女の心に刻まれるに違いない。
夏ちゃんの失恋と、そこから新たな未来の可能性を見せてくれました。
この2人に関しては、最終話での様子も余韻あって素晴らしいのです。
「そろそろ 夏って呼んでもいい?」
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…………
そして第一話をかざった日摩裏先輩と広呂くんの年の差カップル。
男性恐怖症な先輩の心をやさしく開いていった広呂くんは、そういえば告白の返事をずっと待っていたんだったよな。今までずっと好きだと伝え続けた男の子。
第1話の決着が最終話で行われる。すごく綺麗なラストだったと思います。
最終話はタイトル「むすんでひらいて」の意味みたいなのも見えてくる独白もあって、味わい深かったです。
最終巻、驚きは少なかったです。あるべきところに収まっていった感じ。
でもそれは期待通りだったわけで、なんの不満もなく、心地よく気持ちよく晴れやかに、それぞれのカップルの幸せな未来を願える。末永く、お幸せに……!
でも個人的のはありすちゃんの出番もっと増やして欲しかったなーッ!
ストーリーを語る上だとどうしても夏ちゃんについて書きたくなりますが、ありすちゃんもすごくお気に入りだった。
そんなこんなの「むすんでひらいて」本編最終巻でした。
爽やかであり、甘く切ない。それでいてサービスも忘れない。
これぞ青春漫画!と言える、よくまとまった良作だったと思います。
男の子も女の子も同じくらい頑張ってて輝いていて、全力の青春ムード。
こういうのが好きな人は多いと思うので、本編が完結したいま、一気に集めて読むというのもアリだと思うのですよ。きっちり終わりましたから。
あと「本編の最終巻」ってことはつまり、本編じゃない続きはあるってことですよ!
ということで「むすんでひらいて」の番外編、サブキャラたちのラブストーリーが綴られる第8巻を持って、完全完結となるようですね。
今から8巻の発売が楽しみです。本編完結の余韻に浸りつつ。
『むすんでひらいて』7巻 ・・・・・・・・・★★★☆
爽やか青春ラブストーリー本編完結!まっすぐな気持ちが胸を熱くする!
[漫画]八幡の腐った目もゆきのんの照れ顔もナイスなコミカライズ!『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。-妄言録-』1巻
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。-妄言録-(1) (ビッグガンガンコミックス) (2013/03/19) 渡 航、佳月 玲茅 他 商品詳細を見る |
やはり青春は、擬態で欺瞞で虚偽妄言だ
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」のコミカライズ第1巻が発売されました。感想を書こうと思います。
発売された原作小説最新第7もすでに読み終えていますが……感想記事を書き上げるのはもうちょいかかりそう。なので同時発売されたこちらの漫画版から。
ビッグガンガンで連載されている本作「妄言録-モノローグ-」は、どうやらアニメ版ストーリーのコミック化であるようです。
といっても今のところ原作第1巻の流れをしっかりと押さえており、原作読者が心配するようなストーリーの改変はありません。これから変更点がわかりやすくなってくるのかも知れませんが。
原作小説感想↓
青春とは嘘であり、悪である。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』
優しい女の子は嫌いだ。 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』2巻
甘い青春には慣れない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』3巻
かつて「彼ら」だったぼくらが出来ること 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』4巻
憧れだった君を許せない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』5巻
独りの英雄は、ステージの輝きを浴びれない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』6巻
今回は原作既読者からの視点でこの作品について書こうかなと思います。
この漫画になって嬉しいことは、表情豊かなキャラクターたちを味わえることです。
作画を担当するのは佳月玲茅さん。とっても絵がかわいいですわ……。
というかこの作家さんはキミキスだったりひぐらしだったり、俺の好きな作品のコミカライズを手がけてきてました。それで今回も好きなラノベのコミカライズを手がけられて、勝手に縁を感じているという謎。
キミキスのコミカライズのときから、ほわほわっと優しいタッチがお気に入りでした。
しかし本作はあの俺ガイル。「はまち」という略称はすっかり衰退してきた俺ガイルです。ヒネクレ者だらけのビターテイスト青春劇場。どのように描くか楽しみにしてましたが、
ちゃんと八幡さんが腐ってていいカンジですよ!!
それを言っちゃあおしめえよ!
時折こういうメタっぽい発言もあって面白い。
また下はカッコいいシーンなのに目つきが怪しすぎて笑ったw
原作ではこの時の八幡の目つきまでは言及していなかったように思うので、こういう場面でどんな表情をしていたのかなーというのが見れるのも新しい発見になって楽しい!
原作1巻をちゃんと再現しており、イラスト付きとはいえ文章で描かれてきたものを漫画として改めて読み直すと、また味わいが違っていていいですね。
最初にも書きましたが、特に今回のコミカライズで印象的だったのは、キャラクターの表情が豊かなことです。
可愛らしい表情を描いてくれる作家さんだけに、特に女の子たち(ただし戸塚込み)はめちゃくちゃかわいいんだよなー。
「悪意ある表情」もたくさん登場する作品だからこそ、まっすぐにキラめいたり、胸ときめいた瞬間が気持ちよく心に残るような気がします。
大ゴマできめる場面もいいし、小さなコマの中でデフォルメ強めに描かれるのも素晴らしい!このコマ可愛かったなー。
ここで自分の立ち位置をはっきりしておくと八幡とのラブコメが見たいという意味でのヒロインでは俺はガハマさん派なので、こうも可愛いとテンション上がってきますな!
ガハマさんは中途半端エロピュアビッチかわいいからな!漫画になるとまー肉感的なナチュラルエロボディで大変です。ガハマさんのには幸せになってほしいんや……想い実らせて欲しいんや……相手は難攻不落の捻くれぼっちですけど。
しかし、しかしですよ。このコミカライズで最も破壊力が高かったのはゆきのんである!
あとがきでぽんかん⑧神も描いてましたが、レアな表情が見れて幸せです。
冷徹ゆきのん、挑発ゆきのん、見下しゆきのんにテレゆきのん!
ここぞという大事なシーンでの彼女も素晴らしいですが、普段からゆきのんって意外とちゃんと表情豊かなんだねーと再確認。
ゆきのんが1番可愛いのはガハマさんの百合ってる時なんじゃ疑惑。
いやしかし、原作7巻読了後に一気にこちらの漫画版も読み終えましたが、存外新鮮に楽しむことができましたね!小説/漫画で表現方法が違う以上、その作品の違った部分が新しく見えてくるのがメディアミックスのいい事ですね。
原作ファンですが、これはいいコミカライズ!
絵柄の可愛らしさ・好感度だけでも素直に好きですが、原作を踏まえてのコミカライズということを考えてもこれはなかなかにいい出来。
願わくばもっと八幡の腐ったモノローグたっぷりで展開してほしいかもとも思いましたが、やりすぎるとテンポ悪くなるか。1話2話で八幡というキャラクターをばしっと提示してある分、描写不足という印象はありませんでした。
材木座の描写にずいぶん愛がこもってんなと思ったら、本当の作者のお気に入りだったw リアルピザ体型と全力の喜怒哀楽が賑やかですな材木座。
原作第1巻の途中までが収録。次の2巻でテニス対決は片付くでしょう。
個人的には佳月さんの作画で原作3巻までは少なくともみたいなーと願っております。アニメも漫画も原作6巻の大盛り上りまで行ってくれたら本当に嬉しいですが、まぁ贅沢は言うまい。
「俺ガイル」のコミカライズはほかにも始動しており
サンデーGXには伊緒直道さんによる『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic』が
まんが4コマぱれっとでは4コマ漫画の俺ガイルが展開されていくようです。
こちらの単行本化も楽しみにしてます。好きな作品がぞくぞくメディア展開していってる時の興奮はいいね!原作の内容の盛り上がりも素晴らしいのですが、こうして世界が広がっていくのも素晴らしい。
むしろひたすら八幡が1人語りしてるだけでも面白そうなので、それでもいい。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。-妄言録-』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
いい出来のコミカライズ。絵は可愛いし、漫画ならではの新鮮な表情たち。
さて、小説7巻の感想どうするか……オゥフ……。
[漫画]ショートショートの面白さを堪能できる、これぞアイデアの泉。『ひきだしにテラリウム』
ひきだしにテラリウム (2013/03/16) 九井諒子 商品詳細を見る |
私はただ呆然と立ち尽くすのでした
九井諒子さんの新作単行本「ひきだしにテラリウム」の感想です。
デビュー作「竜の学校は山の上」がまさにストライクな作風で、それ以降追いかけている作家さんです。これが本当に素晴らしかったんだ・・・!
→奥様は馬で、同級生は天使で。 『竜の学校は山の上』
去年には「竜のかわいい七つの子」という作品集も出しましたね。
今勢いにのっている作家さんの一人だと思います。
そして今回の新作「ひきだしにテラリウム」は、実に33つものショートショートを収めた豪華な作品集。アイデアで魅せる九井漫画の面白さをギュッと詰め込んだ一冊と言えるのでは。
ストーリーにそれぞれおもしろい仕掛けがあり、1つ読むたび「すごい世界観だなぁ」とか「おお、なるほど!」とか。そういうのが33つもあるのですからもうめまぐるしい。贅沢な読書体験でしたよ。
33つものショートショートが収められている本作の面白さは、とにかくいろんな話が読めるお得感も大きいです。そして各話のアイデアとその魅せ方。
これぞショートショートの面白さを堪能できる1冊と言える!
お気に入りの作品ばかりですが、中でもこれは!と思ったものをいくつか個別に感想を書いていきたいと思います。選ぶのが大変でしたが……!
●恋人カタログ
未来の自分の恋人候補を見ることができる、夢のカタログ。未来に出会うことができる恋人候補を見ながら、どの女性を選ぶかを決めることができる。そんな道具を手に入れてしまったら……。
いい意味で期待を裏切られる気持ちよさと、たっぷりスウィートなクライマックスにがっしり心掴まれてしまいました。ファンタジーもいいけれど、九井さんの描く現代・現実の女性もすっごく魅力的だ。
●かわいそうな動物園
命を潰していく飼育委員。その惨状にオイオイ大丈夫かこの話は、と思ったら。最後にきっちりと希望が見えました。
最後にオリーヴが運ばれてきたことで、この作品は有名な「ノアの方舟」を描いているんだなとわかる仕掛け。まるで現代が舞台かのようなので最初えっとしますが、ラストシーンの鮮やかさな希望がとても印象的でした。
●未来面接
人類を救う大きなロボット。そのパイロットは、面接で決まる!
「なーんか……思ってたよりつまんねーな、未来……」
のぼやきが全てを物語る。そうだよね、選ばれし力とか、禁じられた契約とか、そういうのが欲しかったんだ。でも現実は空想に追いついて、かつての空想のロマンを塗りつぶす。ちょっと寂しい雰囲気がまたグッとくる。
●春陽
ペットとして小人を買っている人間たち。6ページという短いページの中で女の一生を駆け抜ける。幼女から老人になるまでを優しく見つめるお話。
とくに反抗期を迎えた頃の小人の様子がとても可愛らしい。
小人と共生はなんだか見ていて楽しそうですね。羨ましくなってくる。
●秋月
……という一個前の「春陽」と対をなすエピソード。恐らくこちらが、小人から見える世界を描いた作品。こちらでは「春陽」で登場していた飼い主の人間たちが、無機質な機械として描かれます。
ついさっきまで見えていた景色がクルリと反転。これはすごい。
種族が違えば、それぞれ見えている世界も違うんだよな。
それでもこれら違った視点で読んでみると、それぞれの存在への感じ方は異なっていても、愛着を持って接している。愛はきちんと伝わるんだよな。与える愛情はその全てを正しく理解してもらえるとは限らない。残酷なすれ違いを描いているように思いますが、しかし大きな救いがあるお話。
●ショートショートの主人公
非常に面白いメタ構造を持った作品。熱血漫画主人公の父。おてんばおっちょこちょいの少女漫画主人公の母。アナウンサーとして活躍するOL漫画主人公の姉。千年に一度の役割を担う超能力バトル漫画主人公の兄。そして末っ子の私は……
なにもない平凡な、ショートショートの主人公。
いろんなオチが用意されているショートショートだからこそ、生き残るための努力を惜しまない。
しかし用意されたオチは結構救いがないものでしたね。面白いけど、こういう拍子抜けで残酷なものがやってくるとは。
劇画タッチの熱血漫画主人公な親父がサイコになっていくのに笑ったw
なんにも縛られない、「物語の主人公」ではなくなった彼女。そしてただ真っ白い未来を前に立ち尽くす。それはすなわちこの話を読む読者と同じ世界にたったということだろうな。メタ構造を上手く使ったようで、実際はフィクションという幻想を消滅させる破壊的な作品。
●こんな山奥に
お天気雨を「狐の嫁入り」と言いますが、それを可愛らしく描いた短編。きつねたちが人間になりきってやりとりを交わしているのは面白いし、きつねといえば!なヒントを散りばめているのが面白いですね。そしてラストシーンがめちゃくちゃ可愛いんだ!
●スペース お尺度
生きることに無気力になってしまった男性が、宇宙の広大さに魅入られてトリップするお話。人間関係に悩むことなんてバカバカしい。煩わしいことは全部忘れて宇宙を夢見よう。
と思ったって僕らが生きていられるのはバカでかい宇宙じゃなくちっちゃくくだらないこの現実なわけで。主人公もなんだかんだで頑張るのです。
気持ちがまっすぐになっていく過程がさりげなくて、でもそれが気持いい。この世界のなにもかも、宇宙に比べれば些細なことだ。それをどう捉えるかで、生き方は買えられるな。非常にロマンチックな読後感に満足度も非常に高い一作品でしたね。
というのがズラーッと33篇収められた短編集です。
各話のアイデアも面白いですし、漫画としての読みやすさも流石。
なめらかでありながら心にあとを残していく。ショートショートというだけあってページ数は少ないのに、終わったあとの余韻のよさで満足度が跳ね上がる。
絵柄も自由自在に変えて作品を生み出していくのも面白いですね!
線が多くてキッラキラしたいかにもな少女漫画タッチだったり、伊藤潤二作品みたいなホラータッチ。ファミリー向けにありそうな海外旅行レポ漫画のほんわか丸っこいタッチまで。一瞬松本零士絵っぽくもなったか。
絵柄の使いわけすら駆使して、いろんなお話を紡いでいく作家さんです。
九井諒子。これからも要注目の作家さんでしょう!次の単行本も楽しみ。
そういえば「テラリウム」って言葉がすごくピッタリでしたね、こういうセンスも好き。
『ひきだしにテラリウム』 ・・・・・・・・・★★★★
良質な作品集。とにかくいろんな話が読めて、頭にいい栄養が回る感じ!
[漫画]ここが百合ちゅっちゅパラダイスか……!! 『桜Trick』 2巻
桜Trick (2) (まんがタイムKRコミックス) (2013/02/27) タチ 商品詳細を見る |
春香にキスした音です!
女の子と女の子がちゅっちゅしまくる「桜Trick」2巻が出ています。
読んでいるときの多幸感がハンパなく、脳がシロップに浸されているかのような感覚を味わえるデロ甘ガチ百合4コマ漫画!!
これを読んでいるときの自分はおよそ誰にもお見せできない醜態です。
1巻ではちゅっちゅしまくりでしたが、2巻でも相変わらずちゅっちゅしまくり。少女たちの心がドキドキで揺さぶられ、しっとりと口づけを交わす。ああもう、これだよ。これが見たいんだよ俺は!
今回の表紙の上2人、優と春香の甘ったるい表情も素晴らしいですな……。
1巻→イチャイチャ百合ちゅっちゅ!『桜Trick』 1巻
では感想を。
ノリは本当に1巻と変わりなく、安心できる仕上がり。
文化祭準備から当日、プールにイルミネーションデートに大晦日に結婚式!!結婚式!!
季節感の強いエピソードからスペシャル感たっぷりなシチュエーションまで各種取り揃え、その全てにおいてとにもかくにもひたすらに甘い甘いイチャイチャが繰り広げられています。恐ろしい。どれだけ俺を幸せにしてくれるんだ。
優と春香の磐石ペアの突き抜けたバカップルぷりに最大限癒されつつ、2巻で注目したいのはしずくとコトネ。というか一番に心打たれたのはこのシーンで、このセリフが突き刺さったのです。
「軽はずみでキスなんかしないでよ」
キスしまくり「桜Trick」ではありますが、軽はずみでキスをする、と言われてしまってはね。しずくちゃんすぐ拗ねちゃうから……慰めてほしそうに振舞っちゃうから……かわいいよな……。
シリアスなこと言っておいてすぐコケちゃうしずくちゃんが可愛いからかわいそうやら、この作品のバランス感覚が心地いい。
そうそう。優と春香がわりと能天気な2人なので、こんな風に思い悩んで暴走してしまうような、シリアスなすれ違いエピソードはほぼありませんでした。
春香×優がぽわぽわっと優しい柔らかい雰囲気のペアだとしたら
コトネ×しずくは結構鋭い感情をあらわにする、とがりのあるペアなのかも。
コトしずは結構ケンカもしそうだけど、仲直りのたびにめちゃくちゃ甘酸っぱいイベントをしてくれそうだよなーと、今回のを見て感じましたよ。あー落ち込んだしずくちゃんをナデナデするコトネちゃんー……。心配性で寂しがり屋なしずくちゃんが拗ねたら、コトネちゃんがそれを優しく包み込んだりして。あぁぁーかわいい。かわいい……。もっと知りたいなコトしずのこと。
しずくちゃんの中学時代の思い出話も、いいなぁ。
心通じ合える友人はきっといなかった。でも今は違う。
一緒に夜を過ごしたらすごく嬉しくて、切ないくらい胸高鳴って、キスをしたくなる大切な人がいる。今のしずくとコトネの関係性の甘酸っぱさをさらに噛み締めることができた小話でした。
そしてさてメインである優と春香ですよ。今回もたっぷりどっぷりイチャ甘ざんまいのおふたりですが、2巻も絶品イベント盛りだくさんであり、ニヤニヤしすぎて俺の顔面崩壊も大変なことになる。
特に結婚式は正気を失いそうになるほど破壊力ある萌えシチュ……!
親戚の結婚式にお呼ばれするのですが、優は勘違いして、自分と春香の結婚式だと思い込んでしまう!一人で暴走して舞い上がったり恥ずかしがったり興奮したいとせわしない優ちゃんキャワワ!!キュートなアホっ娘の真髄であるよ。
勘違いだった結婚式。けれど2人は、2人にとっての結婚式に則り、誓いのキスを交わす……最高ですやん!!
「これも これも 全部 誓いのキス』
この2人は結婚さえ意識しているんだな……!なんかもう、幸せっ!
ほかにも本当に素晴らしいキスシーンがたくさんある2人なのですが
その多種多様なキスシーンにおいて、2巻は重要な進化があります。進化というか重症化というか。これは震えましたね……。
ちゅっちゅの限りを尽くす百合漫画として、新たなフェイズに突入するッ!!
おぎゃぎゃーーーテレフォンちゅっちゅ!!!!
大変なことですよこれは……。ドラマCD化とかしたら1トラックまるごと2人のテレフォンちゅっちゅ音声とかやってくんないかなとマジで思う。
会えばちゅっちゅ。離れてもちゅっちゅ。これが百合ちゅっちゅパラダイスか。
そんな「桜Trick」2巻でした。
はぁ~~~~~幸せたっぷりな百合漫画って、本当にイイですね……。
この作品には3人のメイン百合っぷる(百合カップル)がいて、それぞれに可愛らしいのですが、「桜Trick」唯一の恋愛感情ナシ仲良しコンビ、ゆずと楓ちゃんが個人的にはかなり気になる。いやこの作品のキャラクターはみんな気になりますが。
ほかのキャラがこれだけイチャイチャしているからこそ、色気のないカラッとしたゆずと楓の雰囲気がいい。
恋愛感情はないけれど、友達同士の増え合いの中で自然とにじみ出る百合スメルを嗅ぎ味わう。それもまた良き愉しみでありましょう。
描き下ろしの巻末漫画やカバー裏もすばらしい破壊力!特にカバー裏としずくちゃんとコトネちゃんは完全に同棲状態であり、よだれが止まらねえ……。
おねえちゃん可愛いけど報われませんねえ。振り回されキャラが板についてきて、さらにかわいくなってきましたが。幸せになってくれよ!
満足いく第二巻でした。女の子の秘密のキスは甘く切なく最高だっ!
『桜Trick』2巻 ・・・・・・・・・★★★★
イェー百合ちゅっちゅ最高ー!幸せ前回の百合4コマ第2巻!!
[漫画]元気になれるわちゃわちゃ賑やかラブコメ!『恋愛暴君』1巻
恋愛暴君 1 (メテオCOMICS) (2013/03/12) 三星めがね 商品詳細を見る |
そんな物が無くても 私は彼を愛してたから
三星めがねさんの初単行本「恋愛暴君」の1巻が出たので感想。
元気がいい漫画は読んでいて楽しいですね!
我の強いヒロインたちに振り回されてぐちゃぐちゃのラブコメ漫画となっます。
濃ゆいキャラがたくさんいて、それぞれが暴走してしっちゃかめっちゃか!
人を食ったような、つかみどころのない1巻表紙ヒロインのグリ。
一途な性格で身体付きも豊満、でも嫉妬して刺してくる超人ヤンデレの茜。
茜のことを想い続けてだいぶ犯罪的になってきてるアブない百合っ娘の柚。
彼女たちにひたすら振り回されまくる漫画です。とにかく賑やかでバカバカしくて笑いの絶えない世界。コメディとして王道の魅力を輝かせる楽しい漫画ですわ。
一見ハーレムなようで、実際にはコメディ最優先な構えで今はまだ恋愛要素は薄い気もする。「キス」をめぐるシチュエーションそのものは恋愛漫画っぽいんだけどw
どんちゃん賑やかなラブコメってそれだけでこちらも楽しくなってくるので好きです。
テンポもすごく良くて、ギャグ強めなラブコメ漫画が好きな人は気に入るんじゃないでしょうか!
主人公のもとに突然やってきた死神みたいな女の子・グリ。
曰く、某名前を書き込むとそいつが死んでしまう死のノートみたいなデザインの「キスノート」にあなたの名前をかいちゃったので、誰かとキスしなきゃ・・・死にはしないけど一生童貞だよ、と。
しかもこのグリという少女がわりとコンポツ。どんどんトラブルを起こす。
キスをめぐるロマンティックな話になるはずだったのに、どうも普通じゃない女の子ばかり主人公の周りに集まりだします。
ギャグ漫画って、ギャグの質が肌に合うかどうかというのは大切なポイントだと思うのですが、個人的にこの作品の雰囲気はピタッと気持ちよく感じました。
そしてヒロインたちもばっちり魅力的で。しかもダメ女ばかりである。
特に茜ちゃんはすげーイイなぁ。お気に入り。
どんなデンジャラスな行動でも、そこには恋心があってかわいい。だからこそ手に負えない厄介な娘でもありますが・・・!
とにかく主人公が好きすぎるヤンデレ。主人公に近寄る女の子にはめっさ敵意むき出しで立ち向かいますし、八つ当たりに主人公もザクザク刺してくる。いいのかそれで!
でもきっちり乙女な部分も見せてくてる。うーむ。ヤンデレヒロインは結構いますけれど、怖さとかわいらしさのバランスが、尖りすぎるマイルドになりすぎず良いバランス。それでいて話をグイグイ引っ張っていってくれるパワーがあって、茜ちゃんお気に入りだなぁ。
結婚ときいて結婚のことで頭いっぱいになっちゃう茜ちゃんかわいい!
1巻の段階では1番好きなのがこの娘。あー幸せそうな顔いっぱいみたいわー。
そして恐らくはメインヒロインのグリちゃんも気になる。
恋愛ごとに無関心な愛のキューピット。自分の恋愛感情を知らない
恥じらいもなく簡単にキスもできるし、その後のリアクションを楽しんだりすら。
余裕たっぷりで捉えどころのない性格。だからこそ、グリちゃんが余裕なくなっちゃうところが見てみたくなるのは自然の摂理なのである。
自分の好きなことをストレートに楽しむ娘で、そのことでトラブルをたくさん起こしてしまいますが、その素直さがまた可愛らしい。
主人公やほかのヒロインをおちょくるのも、このコメディの中でいい働きになっている感じがする。『恋愛暴君』というタイトルで、暴君みたいなキャラに茜ちゃんもいるとは思いますが、この作品中でイニシアチブをとっているのは彼女。まさに暴君。
彼女はいろんな表情をみせてくれます。でも1巻の中ではシリアスな要素が皆無w
恋愛感情がわからないってのは、これから分かっていく前フリでしょう!ってことで、今後のラブコメで彼女の世界がどう広がるかも楽しみの1つだったりします。
普段の明るい表情も!こ憎たらしいデフォルメ顔もかわいいけど!
グリちゃんの恥じらいがみたいよ!!
さくっとですが「恋愛暴君」1巻の感想でした。
強烈に目新しいものはないものの、コメディでしっかり楽しませてくれる、という点でなかなかレベルが高い。それぞれ可愛らしいヒロインたちがドタバタ繰り広げる。この感覚をなんとも言葉にしづらいけれど、ハイテンポな中にもちゃんとキメがあって、とても楽しいのです。
ホモネタ多すぎだろ!とは思いつつ、ギャグも好みでした。ぶっ飛びすぎず、でも全然落ち着いてなくて、結構誰かを好きになるってことをわりと面白おかしく描いている。
ギャグの面白さを感想で伝えるのって苦手なので、上手いこと言えないのが歯がゆいですが
とにかくの騒がしさは、ちょっと所じゃなく楽しくなってくるぞ、と!
これが初単行本の新人さんとのことですが、すでに作風が完成している風なのもすごいですね。この調子で連載を重ねて行って欲しいです。
2巻は来月発売という連続刊行。この出来なら続刊も追っていきたい。
『恋愛暴君』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
元気がよくて堅実におもしろい新作ラブコメ。キャラが濃くてみんな愛おしい!