[漫画]むすんでひらいて君との物語。『むすんでひらいて』7巻
むすんでひらいて 7 (BLADE COMICS EDEN) (2013/02/14) 水瀬 マユ 商品詳細を見る |
女の子はどうして 自分から傷付きにいくんだろう
発売から結構経ってしまいましたが「むすんでひらいて」本編の最終第7巻の感想を書きたいと思います。
いやしかし7巻か。気づけば結構長い連載になっていましたね。
さらさらと読みやすい漫画なので、そこまで長く感じないというのが正直なところ。でも振り返ればここまでいろんなカップルがいて、みんないろんな気持ちと向き合ってきていたよな。
複数の男女をめぐるオムニバス青春恋愛漫画「むすんでひらいて」。
今回はその本編の最終巻ということで、結末に向けて走っていきます。
過去にやった更新。やったりやらなかったりでしたね……。
青春は走れ!オムニバス青春学園ストーリー。『むすんでひらいて』1巻
不器用全開!甘酸っぱい青春オムニバス 『むすんでひらいて』3巻
初恋は近くて遠く、甘くてにがい。『むすんでひらいて』4巻
甘く切なく、ドキドキが鳴り止まない 『むすんでひらいて』5巻
ここまでじっくりと描かれてきた明智、夏、理央の三角関係。
というかむしろ明智―理央でカップルは出来上がっている。そこに明智のことをずっと好きだった幼馴染の夏がいて、そのことを知る理央がうまく明智との関係を踏み出せないという……あーじれったい!でも切ない!
モジモジしながらも今回はそこに完全決着。夏ちゃん理央ちゃん、がんばった!
明智のことはもう諦めている夏。でも彼女の積年の想いを知ってしまっては、これ以上明智を好きになれないと、理央は自分の恋を押しとどめる。
そんな理央の背中を押す夏!そんな夏に遠慮しまくる理央!という堂々巡りの女の子の恋愛事情でしたが、いざそこから一歩踏み出してみれば、これがまた素晴らしい。
恋と友情のはざまで揺らぎ続けた理央が出したこの結論には誰かの失恋の上に成り立つ恋なんて、嫌だと思った
そんなの全然キレイじゃないと
自分の気持ちなんてなかった事にしてしまう方がいいと思ってた
でも、たとえ後ろめたくても、手に入れたいものがあるなら
私は、間違ってもいいと
なっちゃんの勇気を、私の背中を押してくれた気持ちを、受け取らなくちゃ
これまで読んできていてよかった!と唸るしかなかった。
夏ちゃんの真剣な応援を受け取る。そして、自分の気持ちに正直になる。
明智もまた、自分を想ってくれる夏を知っています。
2人は夏という少女の片思いを知りながら、その上に結ばれるのです。
その覚悟の強さたるや。残酷なことなようで、しかしこれまで積み重ねてきた3人それぞれの思い出たちが、この結論を優しく祝福する。
はぁーよかった……。
明智と理央は結ばれるまでかなり長くかかりましたが、それに相応しい感動をくれました。
そして夏ちゃんサイド。かわいそうな少女でもありますが、それは彼女自身が選んだ道。そんな夏ちゃんを見守り、そして胸焦がれるナイスイケメンの西野くん。彼の頑張りもまた、今回の見どころと言えます。
夏ちゃんも西野くんも遠慮しいだから。優しすぎて自分を優先できなかったから。同じ目の高さから誰かを見ていた2人が、いよいよお互いを見つめ合う。
夏ちゃんを抱きしめる西野くんに悶・絶!
失恋してすぐに他の男と!と残念がる必要はなく、ここの萌えポイントは、失恋した夏ちゃんを慰める西野くんのほんのちょっとの下心が垣間見えるってところなのですよ。
いい人のような顔してさ、いや本当にいい人だってのはこれまでたくさん描かれてきましたが、この一世一代の大勝負の舞台で、「俺を意識してよ!」と言わんばかりの熱いアプローチ!!
西野くんの等身大の悩める男の子っぷり、めちゃくちゃ可愛いんですよね!
いい娘すぎる夏ちゃん。いい人だけど、ちょっとズルい西野くん。でもここで夏ちゃんをほうっておいたらクズ野郎だ。だったらよっぽど、優しく抱きしめた方がいい。抱きしめちゃったら、そりゃ、ほら。男の子だからさ。
そういう下心をたぶんちょっと意識した上で、西野くんの優しさを受け入れる夏ちゃんにもグッとくるんだよ!
「エラかったね」って頭ポンポンされたらそりゃー泣けるわー!!この包容力がイケメンたる所以だよー!!
ちなみに「エラい」は俺の地方だと「苦しい」みたいな意味の方言にもなりまして、褒めるのと同時に彼女の努力を労ってもいて、めちゃくちゃ好きなシーンでした。でも方言からセリフの意味を拡大するのは無茶かなw
恋は幸せを呼ぶとは限らないけれど、夏が体験したこの日々は、きっと色褪せることなく彼女の心に刻まれるに違いない。
夏ちゃんの失恋と、そこから新たな未来の可能性を見せてくれました。
この2人に関しては、最終話での様子も余韻あって素晴らしいのです。
「そろそろ 夏って呼んでもいい?」
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…………
そして第一話をかざった日摩裏先輩と広呂くんの年の差カップル。
男性恐怖症な先輩の心をやさしく開いていった広呂くんは、そういえば告白の返事をずっと待っていたんだったよな。今までずっと好きだと伝え続けた男の子。
第1話の決着が最終話で行われる。すごく綺麗なラストだったと思います。
最終話はタイトル「むすんでひらいて」の意味みたいなのも見えてくる独白もあって、味わい深かったです。
最終巻、驚きは少なかったです。あるべきところに収まっていった感じ。
でもそれは期待通りだったわけで、なんの不満もなく、心地よく気持ちよく晴れやかに、それぞれのカップルの幸せな未来を願える。末永く、お幸せに……!
でも個人的のはありすちゃんの出番もっと増やして欲しかったなーッ!
ストーリーを語る上だとどうしても夏ちゃんについて書きたくなりますが、ありすちゃんもすごくお気に入りだった。
そんなこんなの「むすんでひらいて」本編最終巻でした。
爽やかであり、甘く切ない。それでいてサービスも忘れない。
これぞ青春漫画!と言える、よくまとまった良作だったと思います。
男の子も女の子も同じくらい頑張ってて輝いていて、全力の青春ムード。
こういうのが好きな人は多いと思うので、本編が完結したいま、一気に集めて読むというのもアリだと思うのですよ。きっちり終わりましたから。
あと「本編の最終巻」ってことはつまり、本編じゃない続きはあるってことですよ!
ということで「むすんでひらいて」の番外編、サブキャラたちのラブストーリーが綴られる第8巻を持って、完全完結となるようですね。
今から8巻の発売が楽しみです。本編完結の余韻に浸りつつ。
『むすんでひらいて』7巻 ・・・・・・・・・★★★☆
爽やか青春ラブストーリー本編完結!まっすぐな気持ちが胸を熱くする!
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