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マンガ感想を主に書くブログ。移転につき凍結中。

[小説]かつて「彼ら」だったぼくらが出来ること 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』4巻

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。4 イラスト集付き限定特装版 (ガガガ文庫)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。4 イラスト集付き限定特装版 (ガガガ文庫)
(2012/03/16)
渡 航

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   比企谷君とは仲よくできなかっただろうな

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」略してはまち通称俺ガイル、4巻発売!
いやー待ってました。今集めているライトノベルではトップクラスに楽しみにしているシリーズ。3巻の限定版にはドラマCDが付きましたが、今回はイラスト集がついています。
各キャラ解説や描きおろしイラスト、ゲストイラストもあり豪華ですよー。
そういやイラスト、なんだかカラーが前よりラフな感じになりましたが、これも好き。

青春とは嘘であり、悪である。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』
優しい女の子は嫌いだ。 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』2巻
甘い青春には慣れない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』3巻

既刊の感想はこちら。では新刊の4巻の感想をば。ややネタバレありなので注意。



キレッキレじゃないですか、わたりーん!!
書いていませんでしたがこの作品で1番好きなお話は1巻のもので、2巻3巻ももちろん好きでしたが、1巻ほどの興奮を味わうまでには至っていなかった・・・といったところでこの4巻が颯爽登場。俺のハートをガッチリ鷲掴み、完全にこの作品のとりこにさせられてしまいましたよんほおおお面白いよおおおオオオ!!

4巻は奉仕部・ミーツ・リア充グループ・ミーツ・小学生軍団の巻。
夏休みにキャンプに来ることになったいつもの面々(※ただし材木座は除く)です。しかも今回は葉山、三浦、海老名といったリア充たちと一緒に行動。
夏休みのキャンプには水着に花火に肝試しとイベント目白押し。さてさてどうなるか。
ストーリーに関してより、今回はいろいろ語りたいことが多すぎるので順番に。

●雪ノ下の過去、現在

今回のメインエピソードは、周囲から距離を置かれてしまっている、とある小学生の女の子をめぐって展開していきました。
これに対して雪ノ下の過去や、現在の心境に触れられた場面も多く、これは意図的でしょう。
雪ノ下も本人もそうしている素振りがありましたが、かつての雪ノ下は、現在の鶴見ちゃん(小学生)と重なる部分がかなりある。
鶴見ちゃんを通じて見えてくるのは、雪ノ下の過去を明かすヒントなのです。

今回わかったことは、雪ノ下が昔に留学をしたこと。そして小学生の時には、現在の鶴見ちゃんと似た思いを抱えていたことなど。
今回、鶴見ちゃんが迎えたのはハッピーエンドではなかった。しかし完全なバッドエンドでもない。これから先にどうなっていくのか、あの子が決めていけることなんだから。少なくとも、まだ自分の意志で「選べる」ところに彼女はとどまっていられるんだろう。誰かのために手を差し伸べたのは、あの子自身なのだから。
八幡に「あなた、本当は誰のために解決したかったの?」と尋ねる雪ノ下はとても印象的で、がっつり鶴見に感情移入していたことが伺えますね。
「彼女が助けを求めたなら全力で応じる。けれど彼女がなにも求めないなら、何もしない」というスタンスは、鶴見がどんなアクションをするのか見守るのと同時に、なにか、彼女自身手を貸すのを少しだけ恐れているのでは?なんて邪推もしてしまう。普段の雪ノ下らしいポジショニングなんだけど、今回の件にはなんだか妄想たくましくしてしまうなぁ。
だって「あなた、本当は誰のために解決したかったの?」と尋ねた雪ノ下は、八幡がどんな答えをすると思っていたのかって、想像するだけで白飯三杯だぞお(新作ラノベの設定を完成させた材木座風) まぁ八幡がカッコいい答えをするなんて期待してなかったと思うので、念のためのの確認みたいなものか。それでも、雪ノ下は八幡の姿に間違いなくなにかを感じていたのだ。

2巻までほぼ鉄壁を誇った雪ノ下さんですが、ちゃくちゃくと八幡との絆を強めてきている感じがする。それは恋愛的なものよりもっと根源的な、人間同士のものというか。ネットでもちょくちょく見かける意見だけど、なにげに八幡にかなり依存しているんだよなぁ雪ノ下。3巻ほどでは無いにしろ、4巻でもチラチラとデレというか、ちゃんと心の柔らかい部分で接してくれている感じが見えています。
といっても、やはりメインヒロインとしては圧倒的にデレが足りない。まぁ、必要以上に求めるべきものでもないな、この作品で、この雪ノ下というキャラクターにおいては。


●葉山の過去、現在

雪ノ下の過去と対応する形で判明したのが、葉山の過去。というか雪ノ下との繋がり。
これまでモブキャラ的に登場していた葉山が、本格的にメインキャラとしてのし上がってきたのがこの4巻です。実は雪ノ下と親同士の繋がりがあり、小学校が同じだったと判明。
つまり幼馴染キャラだったんですねー。でも一筋縄ではいかない想いを抱いている様子。

小学生たちの歪んだ、しかしありふれていて正しい人間関係。おかしなスクールカーストの成立は、今回のエピソードのキーワードとなっていた部分。
さて鶴見ちゃん周辺を解決させるか、これに主人公たちは挑みました。
結果を言えば方法は最低だったとは言え、実際に事態を動かしたのは八幡の案だった。
葉山の出したアイデアも悪くはない。でもきっと彼のものだったらこんな結果を出すことは出来なかった。彼は優しすぎて、優等生すぎて、そして人望もあるから。「持っていない人」のことなんて、所詮はきっとわからないんだろう。

明確には描かれていませんが、きっと雪ノ下も鶴見と同じく小学校で孤立していた、と予想。
留学という形で学校を離れた雪ノ下。あの性格だし、雪ノ下を気にかけている様子だし、小学生だった葉山もなんとか雪ノ下を助けようとしたはず。でもそれが叶わなかったんだろうな。
今回の鶴見ちゃんの件でも、彼は具体的に彼女を助ける案を出せなかった。その事実はきっと再び彼を苦しめる。そして今回鶴見ちゃん周辺の人間関係を一旦フラットにすることができた八幡には、一言では片付けられない感情を抱いていることだろう。もちろん賞賛、だけなわけがないんだ。
そこでやってくるのが本作のクライマックスでやってくるあの名台詞ってわけです。
「なぁ、もし、ヒキタニくんが俺と同じ小学校だったらどうなってたかな」
と投げかけ、そして自らが出した、この一言。

比企谷君とは仲よくできなかっただろうな」

誰にでも人がいい葉山が垣間見せた、苦手意識。あるいはライバル意識か。
この一言にドキンとさせられた人は多いはず。インパクトの強いセリフでした。
そしてここで注目すべきは、「比企谷君」と八幡を呼んだこと。普段はヒキタニくんと呼んでおり、勘違いしたまま覚えているのだと思っていましたが…
葉山はわざと間違えていたんだ。そのことが意味する感情を想像しても、面白い。

●Yの正体とは。

さてここで、「仲良くできない」の意味とは、っていうところを。
葉山が思い寄せる人物のイニシャルはYと判明。はたしてYとは一体誰のことなのか。
・・・なんて言っても、雪ノ下雪乃、でダブルYを誇るゆきのんさんだとは多分みんな思うだろうさと。あれだけ過去の因縁?をフィーチャーしてますしね。
だから今回かつての彼女と同じ境遇である鶴見を救った八幡に、葉山としては特別な感情を持ったことは想像に難くない。

とはいえちょっと待って欲しい。この作品、頭文字Yはたくさんいるぞ!
本命→ノ下
もしかして→比ヶ浜
まじかよ→三浦美子
実は意外と→ノ下陽乃
海老名さん歓喜→材木座

このYだらけの状況は・・・この展開を見越してキャラメイキングを・・・すごいぜわたりん!
モテまくりな葉山がひっそり恋焦がれる人物が誰かも、気になるところ。



ほか気になったところ。
やっぱりラストシーンですよ。こんな形で八幡、雪乃、結衣がつながるなんて!
昔、八幡にケガをさせたのが雪ノ下家のものならば、昔から八幡のことも知っていたのかな。
だとしたら今まで何気なく読んできた彼女のセリフにも、実は深い意味が隠されていたのかもしれない。ううむ、読みなおしておくべきか!

でも思ったのは、小学生たちの好意を今回主人公たちは裏切ってしまったことは辛い・・・。
鶴見ちゃんは八幡をちょっと信頼していましたが、あの致命的なイベントを起こしてからの鶴見ちゃんと接触がなく、彼女が今回の事件をどう感じたのかが気になりました。
でもまぁ、こうして距離をとることが、現実的か。
「悪い大人たちだった」って記憶されることも、悔しいが悪いことではない。悪者になったって、誰かにいい影響を与えられるなら、という意味で、なんかダークヒーローというか自分の評価を犠牲にした英雄性があったりしてこれはこれで好き。

他にもガハマさんはかわいいなぁとか、戸塚は本当にいいお嫁さんになるなぁとか、海老名さん急にキャラ濃くなってむっさかわいいじゃないのとか。
葉山がレギュラーメンバー入りして、恋愛的な面もリア充に苛立つ非リア奉仕部の苦悩的な面でも、これからがますます楽しみになってきましたよ!
しかし材木座さんリアルに出番なくてワロタ。まぁ、彼はこういうタイプのシリアスには向かなさそうだしねえ。でも要らない子扱いはやめたげてよお!

それと、やっぱりキャラクター同士の距離感の妙なリアルさも素敵だ。例えば普段仲良くやっているヤツが、街中で自分のしらない友人と楽しそうにしてるところ見て、なんとなく声をかけられなかったり。目があっても知らんぷりをしてしまったり。
自分にも経験があるなぜだか分からない思考・行動プロセスが繰り広げられ、なんかこう、ぞわぞわする・・・。この感覚もこの作品の面白さ。そのよそよそしい距離感が、いたい。



んで、ストーリーに関して簡単に言うと、素晴らしい。
テーマはスクールカースト。きっと多くの人がが体験したことがある差別感情を描いているだけあって、内容もヘビー。心のすごく深い部分をえぐってくる。でも納得させられる。
相変わらず主人公・八幡のキャラクターの面白さはピカイチで、彼がこの作品を強烈に魅力的に仕上げている張本人。ヒロインたちもかわいいが、この作品の見所は間違いなく、コイツだ。今回の話が面白かったのは、八幡がキレまくりだったからですよ。
醜悪で欺瞞だらけで、こんな理不尽な社会に対しての憤りが、彼なりに爆発している。
目を背けたくなるような真実と真っ向対峙し、舌戦を繰り広げるのが八幡という男。
今回もたっぷりと味わわせてくれた、彼お得意の「ぼっちの哲学」。その切れ味のよさと言ったら、もう。これが気持ちいいから本作を読んでるといっても過言じゃない。
捻くれている、けれどきっと誠実で切実な「ぼっちの哲学」がずらずらと並び、なんつーかもう他人ごとじゃない。
こういうのに共感するのはどれだけの人間だろうか。少なくとも、自分にはジャストミート。

毎回思うが、彼はひねくれているが、本当に尊いものを知っている。人の素晴らしさを知っている。敏いからこそ理想が高く、理想に届かない腐った現実に嫌気がさしているんだな。



さぁ今回も感想がクッソ長くなってしまった。読んでくれた人いるんかな。いなさそう。でも、これだけの長文を書きたくなるだけの魅力ある作品なんですよ。
ズクリザクリと言葉が、空気が、自意識が突き刺さって出来る、青春の甘い傷痕。
きっと誰もが逃れられない1つの理不尽に立ち向かう、珠玉の青春作品と言えます。
テンポよく読みやすい作品ですが、この爽やかに毒をきかせる感じ、クセになります。
もうほんっと大好きになってきました。八幡さん最高っす。今から5巻が待ちきれない!

なにやら色々ウワサされていますが、今後の展開にも期待大!イロイロと!

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