[漫画]自由に愛して自由に生きよう。 『かなしい人はどこにもいない』
たまにはBL。
思いのほか胸がいたくて 興奮した
前回がだっいっじけっん!(関係ない)な感じで百合更新だったので今日はほもほもします。
山田酉子先生の新刊「かなしい人はどこにもいない」です。
「女の子のすべて」でこの作家にハマり、BL単行本「クララはいつも傷だらけ」もよかったので、結構楽しみにしていた一冊。
山田酉子先生の作品らしさは本作にもいきていますね。肩の力をぬいてリラックスしてるような空気。でも鋭さと毒も持ち合わせているような。
でもBL作品はけっこう甘いものが多くて読みやすい気がします。
ではさらりと感想をば。
今回は大きく2つのシリーズに分かれて収録されています。
最初が「Almost Summer」、中盤「オールドファッション」とその続編・番外編。
それぞれに関して個別に感想を書いていきます。
●Almost Summer
血のつながりがない兄弟もの。
プーなお兄さんを養ってやってるということで心理的優位にたっていた弟。ですがお兄さんが家を出て、バイトして自立をしようとすることから話が動いていきます。
とはいっても物語自体は短いもので、水気と感情をたっぷりと含んで膨らんでいます。
さらりと読めますが、表情やしぐさ、言葉の1つ1つや噛みしめることに美味しさがある作品。

読んでて感じるのが、兄弟間の距離感がふわふわしているなということ。
それは家族として当然の安定感のようにも、家族としてではない愛情があふれて感覚がくるってるようにも感じるような。
家族の延長線上の愛とは違うけど、まぁきっといろいろごちゃ混ぜになった感情か。
家族という確実なつながりですでに結ばれているため、恋人として関係をこじらせるよりは、「家族」という名目に守られていたほうがよっぽど楽で。でも手に入れたいのは本当で。
まとめとしては、最初はあんなにしっかりしてたのに、終盤ではすっかり涙目になってたり弱い面を見せてくれる弟くんかわいいなって話。
使用後ティッシュをベッドに放置してるのはなかなか不衛生なのでやめるべきです弟くん。
●オールドファッション/かなしい人はどこにもいない/ワンルーム
いろいろありますが、どれも共通のキャラが登場するシリーズ。
開始3ページで「とりあえず犬とやった」とか高速展開。この作品も、微妙に感情を揺らぎ動かしながら進んでいく作品なのですが、キャラの性格もあってか常習的にSEXしてますね。

さて、「犬」くんがとにかくエロいのです。お前本当に男なのかという感じで。体つき、顔立ち、ながいまつ毛、言葉の選び方など、非常にフェミニンな男性キャラクター。
主人公と犬、2人を仲介するのがサナダさんというキャラクターなのですが、彼はそうそうに退場をして、その寂しさからさらにメイン2人の関係が深まっていくという感じ。
お互い、他に誰か想い人がいると知っている。でも愛し合う。その残酷さを2人をむしろ楽しんでいるようで、面白い生き方です。「他の男の名前を呼ばれるのは 思いのほか胸がいたくて 興奮した」のモノローグにはしびれましたねえ。

物語全体としては、そういうちょっとした矛盾や切なさを抱えて、新しい愛に向き合っていくというもの。糖分おおめ、ポジティブな作品となっています。
人間ってとても勝手で冷たくて、でも甘えたがりで。
やさしくスタイリッシュに、のびやかな雰囲気をたたえたシリーズだと思います。
巻末描き下ろし、「サナダさんのその日」もお気に入りです。雲みたいにとらえどころのないキャラクター、その思考。最後におかれて物語が引き締まった気がします。
結構スッキリまとめられたような。「かなしい人はどこにもいない」の感想でした。
いやあ、やっぱり山田酉子先生の作品は好きだなぁって感じです。
どの作品でも、根底の冷え冷えとした空気と、ゆるやで温かな感触があります。
いろんなキャラクターがわりと自分勝手なのもいいですよね。自由だ。
性描写もそれなりにはあるものの、やらしすぎず清涼感すらあるのも○。そこに重きを置いておらず、心の動きをメインに追うドラマティックなものになっているのも読みやすい。
個人的には「女の子のすべて」で容赦なく女の子たちをボロボロにしてみせる姿勢が好きだったので、もうちょっと悲しくさせちゃっていいんですよ!という感想も抱きます。ボロボロなのに平然としてて、なんとなくぬくもりを帯びて女の子が生きるあの感覚が好きだったので。
しかしBLでもあの空気の片りんを味わえるので、やはり今後も作品を追っていきたい作家さんだなと再認識をしました。いいなぁ、この自由さ。そして甘い窮屈感と束縛。
『かなしい人はどこにもいない』・・・・・・・・・★★★☆
実はこっそりとどこかに/だれかに縛られているキャラクターたちがかわいい一冊。
![]() | かなしい人はどこにもいない (ドラコミックス) (2011/09/03) 山田酉子 商品詳細を見る |
思いのほか胸がいたくて 興奮した
前回がだっいっじけっん!(関係ない)な感じで百合更新だったので今日はほもほもします。
山田酉子先生の新刊「かなしい人はどこにもいない」です。
「女の子のすべて」でこの作家にハマり、BL単行本「クララはいつも傷だらけ」もよかったので、結構楽しみにしていた一冊。
山田酉子先生の作品らしさは本作にもいきていますね。肩の力をぬいてリラックスしてるような空気。でも鋭さと毒も持ち合わせているような。
でもBL作品はけっこう甘いものが多くて読みやすい気がします。
ではさらりと感想をば。
今回は大きく2つのシリーズに分かれて収録されています。
最初が「Almost Summer」、中盤「オールドファッション」とその続編・番外編。
それぞれに関して個別に感想を書いていきます。
●Almost Summer
血のつながりがない兄弟もの。
プーなお兄さんを養ってやってるということで心理的優位にたっていた弟。ですがお兄さんが家を出て、バイトして自立をしようとすることから話が動いていきます。
とはいっても物語自体は短いもので、水気と感情をたっぷりと含んで膨らんでいます。
さらりと読めますが、表情やしぐさ、言葉の1つ1つや噛みしめることに美味しさがある作品。

読んでて感じるのが、兄弟間の距離感がふわふわしているなということ。
それは家族として当然の安定感のようにも、家族としてではない愛情があふれて感覚がくるってるようにも感じるような。
家族の延長線上の愛とは違うけど、まぁきっといろいろごちゃ混ぜになった感情か。
家族という確実なつながりですでに結ばれているため、恋人として関係をこじらせるよりは、「家族」という名目に守られていたほうがよっぽど楽で。でも手に入れたいのは本当で。
まとめとしては、最初はあんなにしっかりしてたのに、終盤ではすっかり涙目になってたり弱い面を見せてくれる弟くんかわいいなって話。
使用後ティッシュをベッドに放置してるのはなかなか不衛生なのでやめるべきです弟くん。
●オールドファッション/かなしい人はどこにもいない/ワンルーム
いろいろありますが、どれも共通のキャラが登場するシリーズ。
開始3ページで「とりあえず犬とやった」とか高速展開。この作品も、微妙に感情を揺らぎ動かしながら進んでいく作品なのですが、キャラの性格もあってか常習的にSEXしてますね。

さて、「犬」くんがとにかくエロいのです。お前本当に男なのかという感じで。体つき、顔立ち、ながいまつ毛、言葉の選び方など、非常にフェミニンな男性キャラクター。
主人公と犬、2人を仲介するのがサナダさんというキャラクターなのですが、彼はそうそうに退場をして、その寂しさからさらにメイン2人の関係が深まっていくという感じ。
お互い、他に誰か想い人がいると知っている。でも愛し合う。その残酷さを2人をむしろ楽しんでいるようで、面白い生き方です。「他の男の名前を呼ばれるのは 思いのほか胸がいたくて 興奮した」のモノローグにはしびれましたねえ。

物語全体としては、そういうちょっとした矛盾や切なさを抱えて、新しい愛に向き合っていくというもの。糖分おおめ、ポジティブな作品となっています。
人間ってとても勝手で冷たくて、でも甘えたがりで。
やさしくスタイリッシュに、のびやかな雰囲気をたたえたシリーズだと思います。
巻末描き下ろし、「サナダさんのその日」もお気に入りです。雲みたいにとらえどころのないキャラクター、その思考。最後におかれて物語が引き締まった気がします。
結構スッキリまとめられたような。「かなしい人はどこにもいない」の感想でした。
いやあ、やっぱり山田酉子先生の作品は好きだなぁって感じです。
どの作品でも、根底の冷え冷えとした空気と、ゆるやで温かな感触があります。
いろんなキャラクターがわりと自分勝手なのもいいですよね。自由だ。
性描写もそれなりにはあるものの、やらしすぎず清涼感すらあるのも○。そこに重きを置いておらず、心の動きをメインに追うドラマティックなものになっているのも読みやすい。
個人的には「女の子のすべて」で容赦なく女の子たちをボロボロにしてみせる姿勢が好きだったので、もうちょっと悲しくさせちゃっていいんですよ!という感想も抱きます。ボロボロなのに平然としてて、なんとなくぬくもりを帯びて女の子が生きるあの感覚が好きだったので。
しかしBLでもあの空気の片りんを味わえるので、やはり今後も作品を追っていきたい作家さんだなと再認識をしました。いいなぁ、この自由さ。そして甘い窮屈感と束縛。
『かなしい人はどこにもいない』・・・・・・・・・★★★☆
実はこっそりとどこかに/だれかに縛られているキャラクターたちがかわいい一冊。
[漫画]真夏の夜の夢。いじっぱりな秘密。 『ひらり、』vol.5
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どうぞ お幸せに
百合アンソロジー「ひらり、」も5号目になりました。
毎号質の高い作品が並ぶ本ですが、今回も堪能させていただきました。いやぁやはり良い!
注目は今回初参戦の2作家さんでしょうか。『本屋の森のあかり』の磯谷友紀先生・『まんがの作り方』平尾アウリ先生が読み切りを発表しています。
参加作家さん一覧や各作品のあらすじなどは、公式サイトでどうぞ。
ちなみに記事タイトルは表紙イラストから考えました。あー。
夏発売号ということで、制服が夏服だったり、夏らしいイベントがあるのにも注目ですね。
今回は特に気に入った作品について、個別に感想を。
●さようならむつきちゃん/磯谷友紀
歳の差カップル。年上のほうが、現実と折り合いをつけて男性と結婚をすることにします。挙式前日、2人きりですごす夜を描くセンチメンタルな短編となっています。
ああ、こういうシビアな面を見せてくる、ちょっと残酷な百合、大好きです。
あえて言葉にはしないふわふわした関係の心地よさに浸っていた。けれどその、悪い言い方をすれば煮え切らない様子が、2人の温度のズレにつながってしまったのかな。
信じあえてると信じていた。けれど・・・という、心をズキズキさせられる一作でした。
「うぶげが濃い」という表現がマニアックでゾクリとさせられましたし、それがわかるほど近くにいたということも切ない。

最後の「どうぞ お幸せせに」が、祝福のようにも突き放しているようにも取れて面白い。温もりがあってかつドライなのが本当にいい。胸に残ります。抜けないトゲがささってるみたいに。
●ふたりの卒業式/平尾アウリ
前半小学時代、後半に高校の卒業式直前の1日が描かれるお話。
女同士の関係の社会的な限界をちゃんと理解して、その距離感を内包してのハッピーエンド。
「私だってわかってるよ でも 一緒にいてね これからも」
この気持ちを乗せきった簡潔な言葉。素敵です。
●ラブソングと加瀬さん。/高嶋ひろみ
加瀬さんシリーズの最新話。今回もあわただしい女の子たちの、かわいい青春の1ページ。
間接キスを見せつけられて顔を赤くする山田さんと、勝負掛けてる感を漂わせる加瀬さんの目つきが最高なラストシーンでした。というか山田かわいすぎる・・・。

あと今回も扉絵にタイトルのローマ字表記が載っているんですが、これがまた。
「Lovesong to kase-san」となっていると、「to」にニヤリとさせられる・・・!
●ソプラノ・フォルテシモ/吉田丸悠
Vol.4で「ひらり、GLコミック大賞」グランプリ作品でデビューした吉田丸先生の新作。
前作には衝撃を受けましたが、2作目もまたかなり楽しめる1作になっていました。
子供のころから歌の練習をしており、それで夢を追っている主人公レイカ。
普段はあまり目立たないけれど、両親が有名アーティストで一目置かれている五百森。
一方的に五百森を敵視しているレイカと、なんとかレイカと仲良くなりたい五百森さん。レイカは自分の声質にコンプレックスがあり、そのためもあってかとにかく五百森にひどい言葉を投げかける。
突っ張ってしまうレイカと、彼女に傷つけられてしまう五百森のアンバランスな関係にやきもきしてしまうのですが、そのぶん終盤の盛り上がりにも胸も熱くなりました。

2人の間のコマ枠がとけていくようになっているのが、まるで2人の心の壁がなくなっていくことを表しているようです。いい演出。
途中、生々しい感情をおもいっきり叫んでみせる様子は吉田丸先生の十八番という感じか。
それが最高に気持ちいいんですよね。痛々しくもあり。
ただ今回はそれを最高潮とはせず、言葉で引き裂かれた2人の心が、歌の力でふたたび近づいていくシーンがクライマックス。最後の最後まで楽しめました。
この作家さんの描くお話ってけっこう苦みとかえぐ味があるんですが、そこがいい。
●一日白紙/未幡
やほー、「ひらり、」vol.4では欠席されていましたが未幡先生の新作来ました。
このアンソロジー全体の中でもかなり好きな作家さん。
「ひらり、」では切ない作品を結構発表していますが、今回はソフト目な百合です。
特に今回メインの登場人物の1人が、いつも笑顔を絶やさないような女の子なので、とくに雰囲気がこれまで以上にやさしげだったような気がします。かわいい漫画になってます。

舞台は女子高。日直日誌から友情が始まるところを描いた短編です。
仲良くなるファーストステップを描いているもので、それほど百合度(イチャイチャしてるかどうかを適当に測る個人的数値)は高くないのですが、さわやかな内容でとても読みやすい。
ちょっとこれは続編も読んでみたいくらいにお気に入りな2人ですよ。
●だってあのこ、ばかだもの/木原音瀬/古張乃莉
今回は巻末に配置された小説。なにげに小説を欠かしませんよね「ひらり、」。
しかもこれが今回なかなか面白い作品で、思わず一気読みしてしまいました。
「きれい」にこだわり過ぎてるところとか、同じ女の子で友達同士でも価値観がかみ合わないところとか、心の中ではチクチク悪態ついて表にはあらわさないところとか。
なんだかすごいリアルな女の子たちの心をのぞいてるようで、とても楽しめました。
友達だからこそイヤな面もたくさん知っていて、でも友達だから放ってはおけない。それはきっと相手も同じで、違う価値観から同じようなことを感じて、同じような距離を保ってる。
女の子同士の恋愛というよりまるきり友情を描いた作品ですが、刺々しかったり苦みもたっぷりときいているからこそ、ラストシーンのささやかな甘さがより染みます。
この距離感、男にはなかなか無いものだよなぁって思います。
この作家さん、BL作品で活躍してらっしゃる人なんですね。ふむ。
漫画家さんもどちらも描く方も結構いますし、BLとGLって親和性けっこうあるのかもですね。
こんな感じで。
5冊目になりましたが、どんどん改良が進んできている気がします。
箸休めのポジションにあるような、さらりと読めるコメディ色強めな4コマ作品も増えてきました。
これも個人的にはうれしい変化で、1冊の本としてバランスが整えられてきたような気がします。
前々から続いてるシリーズはもちろん、王嶋環先生の新連載もよかったです。
4コマの短編であっても、ちゃんと百合漫画していますね。
たっぷりと甘いものから、痛めつけられるように切ないもの、コメディ。漫画だけでなく小説も。さまざまなジャンルで百合をたっぷりと味わいつくせるアンソロジーになっています。
Vol.6は12月発売。カバーは釣巻和先生。初参戦に紺野キタ先生、四ツ原フリコ先生、佐藤沙緒理先生あたり。雨隠ギド先生、千石寛子先生もまた来てくれるようですよ。
いまから12月が楽しみになってきました。目指せ季刊化!ひとまずは!
[漫画]ヒミツを抱えあう19歳の三角関係。『ヒメゴト~十九歳の制服~』1,2巻
![]() | ヒメゴト~十九歳の制服~ 2 (ビッグ コミックス) (2011/08/30) 峰浪 りょう 商品詳細を見る |
十九歳の下半身は ひどく蒸し暑い――――――
「ヒメゴト~十九歳の制服~」です。2巻の表紙を新刊コーナーで見つけた瞬間ビビッと来て、1巻と同時に購入。なんですかこの表紙ー、Sっ気強そうな黒ロンちゃんが裸で制服を咥えてこの表情ですよ。何事かと思いました。これは釣られざるを得ないというか。
買ってから気付いたのですが「溺れる花火」の作者さんの新作だったのですね。
前作から表紙の塗りの雰囲気などがガラリと変わっていてビックリ。
内容は、19歳の大学生3人を中心に描かれる、不思議な3角関係もの…という感じです。
エロ要素も少なからずある作品ですが、つい引き込まれてしまうストーリー展開。
![]() | ヒメゴト~十九歳の制服~ 1 (ビッグ コミックス) (2011/04/28) 峰浪 りょう 商品詳細を見る |
1巻から一気に読んだので、1巻2巻合わせての更新となります。
簡単なあらすじはこんな感じ。
女子大生・由樹(ゆき)は、女の子らしくすることが苦手な女子大生。ボーイッシュな風貌や性格から、昔から「ヨシキ(漢字の読みを変えて)」のあだ名で呼ばれています。
それに安心と、かすかな違和感を抱えている彼女には、とある秘密が・・・・・・。
そしてそんな彼女と、偶然知りあい、心惹かれていく人物が2人。
雑誌の読者モデルもしている女性的な顔立ちが特徴的なイケメン・佳人(カイト)。
大学内ではおしとやかなお嬢様、けれど裏の顔は・・・?な2巻表紙・未果子(ミカコ)。
この3人それぞれの『秘密』が絡み合う人間ドラマとなっています。
この作品を手に取るきっかけになった未果子ちゃんですが、なんとも期待通りの活躍をしてくれる、実に自分好みなキャラクターで最高ですよもう!
ということで今回の更新、ほとんど彼女の内容です。黒ロン祭はまだ続いてるんだよ!
普段はぽやぽや天然系お嬢さまなキャラを大学で演じている彼女ですが
まっ黒な制服に身を包み、自分を15歳だと偽って援交をしているという秘密があります。
夜になると本来の性格をガンガン見せつけてきて、そのギャップにときめいてしまうのです。
サディストというか、とにかく男を存在として見下している。

このシーンがすごい印象的。実際の大勢としては作中の男性が言ってる通りなのですが、構図として明らかに未果子が彼を見下してるふうに描いています。
彼女の心理がとてもわかりやすいカット。男を利用し遊び、なめきってます。素敵だ。
「男に見下されるのは絶対にイヤ」というようなことも言っており、根が深そうです。
そんなとんでもない彼女ですが、主人公・由樹の前でだけでは様子が変わってしまうのがまたかわいすぎるのですよ・・・・・・!男と寝てるときには淀んでいる瞳がキラキラに。
体調を悪くした彼女に由樹が手を差し伸べると、彼女をぼんやり見つめ「トクン・・」と胸高鳴らせていました。「この女陥落たっ!!」という感じですがこの後のアクションも異様に素早い未果子ちゃんまじ恋する女の子。さっそくトイレの個室に由樹を連れ込んでちゅー。
「女の子同士のキスは回数には入らないらしいから…」と卑怯な必殺文句も囁きます。
また2巻からは、由樹に付きまとう男に対して攻撃をはじめたりも。
由樹への興味をそらすため、自分の身体で彼を誘い、好意を自分に向けさせようとするのです。清純な思いをつらぬくために身体を利用するという、不思議な矛盾。
でもその女の子らしい柔軟さとしたたかさこそ、未果子さんの最大の魅力と言える部分ではないでしょうか。恋のためならいくらでも卑怯になれてしまうんですね、このヒトは。
「由樹も自分のことを好きなんだ!」と勘違いしてニヤニヤ浮かれてる様子もいい・・・!
続けて彼女の言葉にはあまりされていない深層心理も考えてみたいです。
彼女が抱えるコンプレックスは、間違いなく『年齢』です。
なぜ普段から化粧もせず、15歳だと偽って援交を続けているのか。「本当は19歳なのに、15歳だと言って男を騙せた」ということで、自信を得たいのでしょう。
けどそれは結局のところ、見下した存在である男たちから逆説的に与えられる自信に過ぎず、心の底から彼女を満足させてくれるものではない。コンプレックスをより深めていく行為とも考えられます。

妄想の中では、未果子は19歳の自分そのままを愛してほしいと思っているはずなのです。
それを男性に求めないのは、2巻の第14話あたりにもほのめかされている彼女の過去が影響しているのだと思います。この件で成人男性へのトラウマと失望を持ったと想像。
そして由樹だけにはありのままの自分を好きになってほしい・・・そんな女の子らしいかわいらしい願望を持っているのが興味深いですね。
由樹がなぜ魅力的なのか、それは「男」じゃなく「男の子」だから、ということを言っています。いやユキは女の子なんですけども・・・。でも未果子は、由樹を男性役にして、自分のトラウマをえぐられないようなやさしく甘い恋愛関係を望んでいるとわかりますね。由樹を「ヨシキ」とよんでもいます。
まぁそれは、本当は女性らしくなりたいという潜在意識を持つ由樹からすれば、応えるのがやや億劫でもあるわけで。なかなかうまい落とし所を見つけられないのがもどかしくて面白い。
まぁともかくこれらから思ったのは、未果子はきっと、理想の自分や恋愛へのビジョンが、子供のころのまま止まってしまっているということです。
ショタっ子にいたずらしちゃうえっちぃお姉ちゃんなイメージですねえいやぁたまりません。大人の男性が気持ち悪いから、そうじゃないところに安らぎを探しているのです。
そんな彼女が、どんどんと複雑になっていくこの物語においてどんな変化を見せてくれるのか。そこ個人的には本作で最も気になるところです。
いンやーかわいいじゃないすか未果子!
未果子へのあれこれを書いたので、以下他に気になる部分を。
佳人(カイト)はとても気になるキャラクターです。話を動かしていくパワーは彼が1番ある。
彼には女装癖があり、理想の女の子像として未果子にあこがれを持っていて、こっそりと彼女の私服ファッションをまねて街を歩いて「女の子」を味わって楽しんでいます。
ひょんなことから彼が由樹と付き合っているという嘘をつく必要が出てしまい、ストーリーが転がりだすのですが、彼と由樹の関係も、この作品の大きなテーマです。
佳人としては、女装癖を唯一知る女の子である由樹と、気兼ねなく「女の子」として楽しむことが楽しくて仕方がない。佳人は女友達という単語をよく使います。由樹と女友達としての関係を望んでいるのです。
でも由樹は女装しているはずの佳人に「男」を感じてしまい、それに焦がれるようになってきています。由樹は、佳人と男女の関係になることを望んでいるみたい・・・?

そして物語を動かしたこのキスシーンも気になります。
あ、右側にいるのは未果子ではなく、未果子の格好をしてる佳人♂です。
キスは佳人からしたのですが、これは女としてしたのか、男としてしたのか。
佳人の中でも、由樹とどう付き合っていきたいかにブレがある感じです。
友情と恋愛。男と女。ちょっとおかしな面白い人間関係になってきました。
この2人だけでも面白そうなのに、未果子もばっちり介入してきますし、他の男もだんだんと物語に噛みはじめてどんどん面白さが加速していってくれそうな期待感がありますね!
主人公が女の子でありながらもそうなりきれない「少年性」を持ち続けていることで、ギリギリの均等が保てている関係。なので主人公がどんどんと変わり続けることは、この作品内の人間関係が常に動き続けていることになります。どう転がっていくのやら。
ということで「ヒメゴト~十九歳の制服~」でした。
今回は未果子さんにスポットライトをあてた更新になりましたが、本当は由樹も佳人もちゃんと文章に書いて考えをまとめてみたいですねえ。
それぞれのキャラクターがよく練られおり、つい語りたくなるんですよね。
各キャラのコンプレックスや、男の汚さ、女の汚さ、そしてたくましさが描かれた、恋愛だけじゃない人間ドラマには夢中にさせられてしまいます。
形としてはひどく歪んだものですが、純粋な想いでつながっているのです。
周囲で繰り広げられるややドロドロした展開の中でこそ、それがひときわ眩しい。
高校を卒業し「制服」を手放した19歳たち。自分たちの性別や年齢を公式に証明してくれるものをなくしてしまった彼らは、どのような自分らしさを見つけていくのか。
十九歳の制服って、どんなものだろう。

面白くなりそうな設定、キャラクターはまだ潜んでいそうで、これからどんどんと盛り上がっていってくれそうです。根元くんのダメ男っぷりにもワクワク。いやぁ3巻が待ち遠しい。
『ヒメゴト~十九歳の制服~』1,2巻 ・・・・・・・・・★★★★
後ろめたさやコンプレックスを描くのでやや重いですが、不思議な人間関係がおりなすドラマは「はやく次を読みたい!」とじれったくさせられる面白さ。色っぽい漫画です。
以降の巻
歪み絡まる19歳たちの性。『ヒメゴト~十九歳の制服~』3巻
友達でも恋人でも足りない気持ち。色めく19歳の夜。『ヒメゴト~十九歳の制服~』4巻
[漫画]愛を歌い上げる情熱的ファンタジー 『黒髪のヘルガ』
本日は9月6日、黒髪ロングの日ということらしいですよ。ということで黒ロンマイスター「水星さん家」さん主催の黒髪ロング祭2011への参加記事です。
と言ってもいつも通りの更新にちょっと黒ロン更新っぽい話を加えただけなんですが・・・。
あなたが好き
今日は朔ユキ蔵先生の1巻完結作品「黒髪のヘルガ」で更新を。
タイトルからして「黒髪」とあるので、今日という日になんか合ってる気がします。
内容はと言えば、中世西洋のイメージが色濃いファンタジックなもの。
とは言っても朗らかだったり明かるい内容とはいいづらく、むしろ人の暗部に重きをおいて描かれた、ちょっとダークなメルヘンといった感じ。
読みやすい作品ですが、常にミステリアスな雰囲気をただよわせており、その内容と合わせてなかなか面白い読み心地を味わえました。大人向けの絵本というか、おとぎ話。
ではこの作品の感想をちまちまとー。
舞台は静かな狂気が渦をまく街。
「少女」と呼ばれる人物をひたすら崇めたてまつる住民たち。そんな彼らから「季節外れ」と呼ばれただ1人迫害を受けているヘルガという女の子が主人公です。
彼女の唯一の友だちのエッダ。ヘルガを迫害しない優しい市長アードルフ。そして市長の側近である男女二人の従者。彼らがメインとなって描かれるお話となっています。
ヘルガが肩身狭く生きている日常。しかしある日、鐘が鳴り響いてから世界は変わります。
呪いから解き放たれた人々が見せる真の姿とは。
そしてこの世界の主である「少女」という存在の秘密へと、物語が進みます・・・。
以下、書きたいことにネタバレになってしまう部分が多いです。ごめんなさい。
なんかわりと考察系。
●住民たちの心理
1人の少女を街ぐるみでいじめる、ひどい所だなあというのがはじめの印象。
人と人が愛し合うこと、過度に触れあうことをけっして認めない街です。

こんなふうに睨みつけられるヘルガ。でも、彼女は普段は知らんぷりです。
むしろ彼らを怒らせることを、いつもの仕返しだと言わんばかりに楽しんでいるみたい。
街中から圧倒的なくらいの悪意にさらされるヘルガは、「好きだ」という感情を隠さず表現します。そこもまた街中から非難をうける。それだけが迫害の原因ではないのですが。
彼らはそうして心を1つにする結束と、心が1つの感情で埋まる喜びが欲しい。
主たる「少女」は、自分が見たくないものをこの世界には存在させません。
そんな中でたった1人ヘルガが虐げられているのは、「少女」の幼いながらの残虐性が表れているのかなあとも思ってみたり。後半より強く見えてくる「少女」像がここからも読みとれそう。
けれどそんな街の住人たちも、物語中盤に大きく変化をします。
●性欲のない世界
ここは「少女」がうんだ世界。セックスは恐いから見たくない。だからそれを無くす。
第2話の扉絵はなんだろうなと最初は分からなかったんですが、これ、超ラフに描かれた結合部分なんでしょうね。そして彼女はこれを「汚い」と拒絶をします。
だからこの世界の人々は、人と人とが過度に触れあう行為を、とても嫌います。
ところが「鐘」が鳴り響くと街は一変。キスはするは脱ぐわでベッドインです。
これは「少女」が眠りについたから。
主が眠っている間だけ、住民たちは本来の自分を取り戻し、まるで抑圧から解放に酔ったみたいに、とにかくエロいことします。ぬるんぬるん。
けどこれ、「少女」からすれば悪い夢を見ているようなものなんでしょうねえ。自分が眠っている間だけ、自分が創りだした夢の世界が見たくもない行為を繰り返す。
でも眠りを知らせて人々を解放させる鐘の仕組みも、少女が作ったというならちょっと不思議な話です。「少女」の心にもややブレがありそうです。
そしてとある住民はこんなことを言うのでした。

面白いですねえ。「どうせ忘れる」ということは分かっている。どこか諦めている感じもありますが、それでも今幸せをかみしめたいという思いが伝わります。浅ましくも人間のサガですかね。
●人を愛するよろこび
鐘が鳴ったとたん、人々がとにかく愛を交わしまくります。すごく印象的。
それは主人公ヘルガの身の回りにも明らかな変化を与え、だれも彼女を疎まなくなるのです。そして市長の側近「我が手の君」が、ヘルガへの恋にもえるのでした。
というかもともと好きだったのに、呪いのせいでそれを忘れさせられていた感じか。
(指映ってしまった・・・)
この幸福感!前半が精神的に窮屈だったぶん、余計にゾクゾクさせられます。
彼らだけでなく、この街の人間みんながこんな風に抱きしめ合う。
愛し合うことを全力で謳歌するその姿が素晴らしい。

とかなんとか恥ずかしいこと言ってみましたが、「性」が解放されたからこそ、切なさに溺れてしまう人間たちもいます。愛を取り戻したことで、それを届けることができないあの悲しさも思いだしてしまった、あるいは知ってしまった。
そんな姿もまた、短い夢の時間に凝縮された、人間ドラマだと思います。
●「我が手の君」「我が罪の君」
ところで気になるのがあの2人。
「少女」が恐れたものからアードルフを守るために、それを背負ったものが彼の側近「我が手」「我が罪」。罪を恐れるのは分かります。恐いことはしたくない。怒られたくはない。
ではなぜ「手」を少女が恐れたのかは、ちょっと解釈が難しかったのですが、きっと誰かを愛するために、繋がるためのツールとして仕様されることが多いから、なのかもです。
物語の終盤、「手の君」は夢の外の時間でありながら、ヘルガを愛そうとします。
手を差し伸べて「お前に触れたい」といい、そしてこの苦しみをアードルフを返したいというのでした。こういうところから考えると、誰かを通じあうことを恐れた「少女」の意志が分かる気が。
またもういつの考えが、自慰によるものなんじゃないかなというもの。
性的なものを嫌う「少女」。だから自慰の際に手を使うことが許せなかった、とか。
性についての知識に初めて触れ、それを嫌がる年頃の女の子だったらありそうなセン?
とにかく「我が手」「我が罪」は、主が誰かに触れて愛することを怖がっていることを示しているのではないでしょうか、ということでした。
●「少女」の正体とは。
きっとこの作品の「少女」とは、どこかの世界の普通の女の子なんだろうなと。
性的なものを嫌う、自分の都合のいい世界をイメージして遊ぶ、空想趣味の。
彼女がイヤなものを排除した夢のような世界、それがこの作品です。
そしてエピローグなど全て読み終えると、どんどんと彼女への愛着がわきます。
「少女のことを思い出す者は もう誰もいない」という第6話最後の1文は、主との離別、物語としての独立ということでしょうか。
彼女が現実と向き合い、この夢をみる必要がなくなったということ。そして彼女にとって必要のないものであっても、一度形作られた幻想は生き続けるという、フィクションという構造そのものへのロマンも含まれている気がします。
忘れられたあとにも、物語は続いていくのです。エンディングの先があるんです。ねぇーハッピーエンドーのあーともー、おとーぎ話ーはーつーづーくー。
そして「はたして世界か少女か、どちらがフィクションだったのか?」というメタっぽい含みを持たせてエピローグも幕を閉じます。現実と幻想がどこかで入れ換わったのか、それとも。
しかしこのエピローグの切なさと言ったら強烈ですね。思わず涙も込み上げました。
●黒髪(ロング)は特別です!
さて本題です(えっ)。
なぜタイトルで「黒髪」と強調をさせているのか。決まっています。黒髪が特別であるからです。
この街にヘルガ以外に黒髪のキャラクターは誰もいません。終盤に「手の君」そうなるだけで、他の住人はみなブロンドです。ヘルガはそういう点でも明らかに異質な存在でした。
そんな彼女がみつあみをほどいたのは、「手の君」と愛を交わす時間でした。
愛する人には黒髪ロングというわけです。
また、もう1人の黒髪になる「手の君」さんも面白いキャラクター。
金髪ばかりのこの作品で唯一の黒髪がヘルガなら、唯一の中立性を見せているのが彼です。彼の紙は黒でもなく金でもない、くすんだ色をしているようです。作品の中でも中途半端な立ち位置にいる特別なキャラクターであると示している気がします。
そして彼は終盤、なぜか黒髪ロングになるのです。これは異端(黒髪)であるヘルガに寄り添うという意味の演出であり、メッセージが込められたものであるのでしょう。
つまり黒髪ロングで、愛することを証明しているのです。
珍しい立ち位置にある2里のキャラクターから、黒髪ロングの心理を見た気がしますね。
黒髪ロングとは愛だったのです!
「黒髪ロングとは愛の証!」ということでまとまりましたね、よかったよかった。
あ、これはこじつけでもなんでもなく、この作品は「黒髪」であることに明確な意味を持たせてあるいい物語だと思いますよ。
以上、ちょっと長く書いてしまいましたが、「黒髪のヘルガ」でした。
強烈なインパクトはなくとも、胸に染みいるメッセージ、痛み、喜びが込められた物語だと思います。良質な「おとぎ話」ですね。
人間賛歌だったり、少女という存在への神秘だったりが色濃いです。
内容が万人受けするとは思えませんが・・・、好きな人はどっぷりとはまりこめそうな1作ではないでしょうか。1巻完結とあって、手に取りやすいのも嬉しいですね。
全力で愛するよろこびに浸れる、「黒髪」が活きたファンタジー漫画です。
『黒髪のヘルガ』 ・・・・・・・・・★★★☆
テーマを力強く描いてある作品。ほんのりダーク&ミステリアス、そして情熱的。
と言ってもいつも通りの更新にちょっと黒ロン更新っぽい話を加えただけなんですが・・・。
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あなたが好き
今日は朔ユキ蔵先生の1巻完結作品「黒髪のヘルガ」で更新を。
タイトルからして「黒髪」とあるので、今日という日になんか合ってる気がします。
内容はと言えば、中世西洋のイメージが色濃いファンタジックなもの。
とは言っても朗らかだったり明かるい内容とはいいづらく、むしろ人の暗部に重きをおいて描かれた、ちょっとダークなメルヘンといった感じ。
読みやすい作品ですが、常にミステリアスな雰囲気をただよわせており、その内容と合わせてなかなか面白い読み心地を味わえました。大人向けの絵本というか、おとぎ話。
ではこの作品の感想をちまちまとー。
舞台は静かな狂気が渦をまく街。
「少女」と呼ばれる人物をひたすら崇めたてまつる住民たち。そんな彼らから「季節外れ」と呼ばれただ1人迫害を受けているヘルガという女の子が主人公です。
彼女の唯一の友だちのエッダ。ヘルガを迫害しない優しい市長アードルフ。そして市長の側近である男女二人の従者。彼らがメインとなって描かれるお話となっています。
ヘルガが肩身狭く生きている日常。しかしある日、鐘が鳴り響いてから世界は変わります。
呪いから解き放たれた人々が見せる真の姿とは。
そしてこの世界の主である「少女」という存在の秘密へと、物語が進みます・・・。
以下、書きたいことにネタバレになってしまう部分が多いです。ごめんなさい。
なんかわりと考察系。
●住民たちの心理
1人の少女を街ぐるみでいじめる、ひどい所だなあというのがはじめの印象。
人と人が愛し合うこと、過度に触れあうことをけっして認めない街です。

こんなふうに睨みつけられるヘルガ。でも、彼女は普段は知らんぷりです。
むしろ彼らを怒らせることを、いつもの仕返しだと言わんばかりに楽しんでいるみたい。
街中から圧倒的なくらいの悪意にさらされるヘルガは、「好きだ」という感情を隠さず表現します。そこもまた街中から非難をうける。それだけが迫害の原因ではないのですが。
彼らはそうして心を1つにする結束と、心が1つの感情で埋まる喜びが欲しい。
主たる「少女」は、自分が見たくないものをこの世界には存在させません。
そんな中でたった1人ヘルガが虐げられているのは、「少女」の幼いながらの残虐性が表れているのかなあとも思ってみたり。後半より強く見えてくる「少女」像がここからも読みとれそう。
けれどそんな街の住人たちも、物語中盤に大きく変化をします。
●性欲のない世界
ここは「少女」がうんだ世界。セックスは恐いから見たくない。だからそれを無くす。
第2話の扉絵はなんだろうなと最初は分からなかったんですが、これ、超ラフに描かれた結合部分なんでしょうね。そして彼女はこれを「汚い」と拒絶をします。
だからこの世界の人々は、人と人とが過度に触れあう行為を、とても嫌います。
ところが「鐘」が鳴り響くと街は一変。キスはするは脱ぐわでベッドインです。
これは「少女」が眠りについたから。
主が眠っている間だけ、住民たちは本来の自分を取り戻し、まるで抑圧から解放に酔ったみたいに、とにかくエロいことします。ぬるんぬるん。
けどこれ、「少女」からすれば悪い夢を見ているようなものなんでしょうねえ。自分が眠っている間だけ、自分が創りだした夢の世界が見たくもない行為を繰り返す。
でも眠りを知らせて人々を解放させる鐘の仕組みも、少女が作ったというならちょっと不思議な話です。「少女」の心にもややブレがありそうです。
そしてとある住民はこんなことを言うのでした。

面白いですねえ。「どうせ忘れる」ということは分かっている。どこか諦めている感じもありますが、それでも今幸せをかみしめたいという思いが伝わります。浅ましくも人間のサガですかね。
●人を愛するよろこび
鐘が鳴ったとたん、人々がとにかく愛を交わしまくります。すごく印象的。
それは主人公ヘルガの身の回りにも明らかな変化を与え、だれも彼女を疎まなくなるのです。そして市長の側近「我が手の君」が、ヘルガへの恋にもえるのでした。
というかもともと好きだったのに、呪いのせいでそれを忘れさせられていた感じか。

この幸福感!前半が精神的に窮屈だったぶん、余計にゾクゾクさせられます。
彼らだけでなく、この街の人間みんながこんな風に抱きしめ合う。
愛し合うことを全力で謳歌するその姿が素晴らしい。

とかなんとか恥ずかしいこと言ってみましたが、「性」が解放されたからこそ、切なさに溺れてしまう人間たちもいます。愛を取り戻したことで、それを届けることができないあの悲しさも思いだしてしまった、あるいは知ってしまった。
そんな姿もまた、短い夢の時間に凝縮された、人間ドラマだと思います。
●「我が手の君」「我が罪の君」
ところで気になるのがあの2人。
「少女」が恐れたものからアードルフを守るために、それを背負ったものが彼の側近「我が手」「我が罪」。罪を恐れるのは分かります。恐いことはしたくない。怒られたくはない。
ではなぜ「手」を少女が恐れたのかは、ちょっと解釈が難しかったのですが、きっと誰かを愛するために、繋がるためのツールとして仕様されることが多いから、なのかもです。
物語の終盤、「手の君」は夢の外の時間でありながら、ヘルガを愛そうとします。
手を差し伸べて「お前に触れたい」といい、そしてこの苦しみをアードルフを返したいというのでした。こういうところから考えると、誰かを通じあうことを恐れた「少女」の意志が分かる気が。
またもういつの考えが、自慰によるものなんじゃないかなというもの。
性的なものを嫌う「少女」。だから自慰の際に手を使うことが許せなかった、とか。
性についての知識に初めて触れ、それを嫌がる年頃の女の子だったらありそうなセン?
とにかく「我が手」「我が罪」は、主が誰かに触れて愛することを怖がっていることを示しているのではないでしょうか、ということでした。
●「少女」の正体とは。
きっとこの作品の「少女」とは、どこかの世界の普通の女の子なんだろうなと。
性的なものを嫌う、自分の都合のいい世界をイメージして遊ぶ、空想趣味の。
彼女がイヤなものを排除した夢のような世界、それがこの作品です。
そしてエピローグなど全て読み終えると、どんどんと彼女への愛着がわきます。
「少女のことを思い出す者は もう誰もいない」という第6話最後の1文は、主との離別、物語としての独立ということでしょうか。
彼女が現実と向き合い、この夢をみる必要がなくなったということ。そして彼女にとって必要のないものであっても、一度形作られた幻想は生き続けるという、フィクションという構造そのものへのロマンも含まれている気がします。
忘れられたあとにも、物語は続いていくのです。エンディングの先があるんです。ねぇーハッピーエンドーのあーともー、おとーぎ話ーはーつーづーくー。
そして「はたして世界か少女か、どちらがフィクションだったのか?」というメタっぽい含みを持たせてエピローグも幕を閉じます。現実と幻想がどこかで入れ換わったのか、それとも。
しかしこのエピローグの切なさと言ったら強烈ですね。思わず涙も込み上げました。
●黒髪(ロング)は特別です!
さて本題です(えっ)。
なぜタイトルで「黒髪」と強調をさせているのか。決まっています。黒髪が特別であるからです。
この街にヘルガ以外に黒髪のキャラクターは誰もいません。終盤に「手の君」そうなるだけで、他の住人はみなブロンドです。ヘルガはそういう点でも明らかに異質な存在でした。
そんな彼女がみつあみをほどいたのは、「手の君」と愛を交わす時間でした。
愛する人には黒髪ロングというわけです。
また、もう1人の黒髪になる「手の君」さんも面白いキャラクター。
金髪ばかりのこの作品で唯一の黒髪がヘルガなら、唯一の中立性を見せているのが彼です。彼の紙は黒でもなく金でもない、くすんだ色をしているようです。作品の中でも中途半端な立ち位置にいる特別なキャラクターであると示している気がします。
そして彼は終盤、なぜか黒髪ロングになるのです。これは異端(黒髪)であるヘルガに寄り添うという意味の演出であり、メッセージが込められたものであるのでしょう。
つまり黒髪ロングで、愛することを証明しているのです。
珍しい立ち位置にある2里のキャラクターから、黒髪ロングの心理を見た気がしますね。
黒髪ロングとは愛だったのです!
「黒髪ロングとは愛の証!」ということでまとまりましたね、よかったよかった。
あ、これはこじつけでもなんでもなく、この作品は「黒髪」であることに明確な意味を持たせてあるいい物語だと思いますよ。
以上、ちょっと長く書いてしまいましたが、「黒髪のヘルガ」でした。
強烈なインパクトはなくとも、胸に染みいるメッセージ、痛み、喜びが込められた物語だと思います。良質な「おとぎ話」ですね。
人間賛歌だったり、少女という存在への神秘だったりが色濃いです。
内容が万人受けするとは思えませんが・・・、好きな人はどっぷりとはまりこめそうな1作ではないでしょうか。1巻完結とあって、手に取りやすいのも嬉しいですね。
全力で愛するよろこびに浸れる、「黒髪」が活きたファンタジー漫画です。
『黒髪のヘルガ』 ・・・・・・・・・★★★☆
テーマを力強く描いてある作品。ほんのりダーク&ミステリアス、そして情熱的。
[漫画]夏は遊ぼう!海へ行こう! 『琴浦さん』3巻
流行りの「ザ・インタビューズ」はじめてみましたが、遊び方が結構難しいですねこれ。
海にきてよかった・・・かな?
わーい、2巻からしばらく経ちまして、3巻も発売されました「琴浦さん」です。
心が読める能力を持つ女の子・琴浦さんをメインに繰り広げられるラブコメを描く作品。
海に行ったり、新キャラがひと夏の恋に燃えたり、この3巻は夏モードです。
今回のゲスト寄稿が801ちゃんの小島アジコ先生でちょっとびっくり。
では感想ー。
心が読めるから恋をした。さみしがり屋な女の子が取り戻した笑顔に乾杯 『琴浦さん』1巻
相変わらず琴浦さんと真鍋のラブコメちゅっちゅぷりにはニヤニヤしてしまう第3巻。
しかし2巻からこの3巻の前半に続いている第3部はかなり異色のシリーズとなっており、サスペンスチックな展開が繰り広げられています。
琴浦さんが偶然街中で、殺人事件の犯人の心を読んでしまったことから、恐ろしい事態に巻き込まれていくという始まり。この作品らしい間の抜けた雰囲気も残しつつ、緊迫感が漂う内容。
2巻に収録された分ではありますが、死人が出たりしました。ギャグでなくシリアスに。
日常ラブコメ4コマ漫画でありながら、こうまで重い空気をつくってくるのは珍しい気がします。
合間合間にはいるコメディパートで中和はされているものの、どういう展開になるかドキドキしながら読みました。けっこう恐いし・・・。
この作品、1巻の頃からキャラクターのひどい闇の部分をあえて描いており、そこが面白い部分なのですが、ここまで方向を振り切ってきたのには少々ビックリしましたね。

この第3部で最も印象的だったのがこのシーン。彼女の成長が表れている気がします。
琴浦さんが、自分からこの能力を使って捜査に協力するよう願い出たのでした。
これってなかなかすごいことだなぁと、書いてて改めて思いますね。
かつての彼女は、その能力のせいで人のイヤな心が見えすぎてしまったり、そのせいで付き合いが難しくなったことから、他人から恐がられたり、疎まれたり、いじめられたり・・・。
初期の彼女を見ると、自分の能力をポジティブに捉えることは出来てなかった感じです。せっかくの能力なのに、むしろそれを恨んでいるみたいに。
それが今回、彼女自ら、誰かのためにこの能力を提供しようとするのです。こんなの、自信がなきゃできません。新しい自信が、かつてのトラウマの拘束力を上回ったのですね。
これは成長と呼べる、とてもいい前進です。
そしてこの変化の理由は、きっと真鍋たちとの友情や信頼が大きいのだと思います。
ヘンに思われたって、自分はもう1人ぼっちじゃない。誰かが自分を味方をしてくれる・信じてくれている。そんな思いが、彼女を前に進めたようです。
そして上の画像。「実はわたし、人の心が読めるんです!」っていう琴浦さんまじかわゆし。鼻息あらげてそうにドヤ顔する女の子はかわいいのです!
そしてそうか、この能力をドヤ顔で明かすことができるくらい、彼女は強くなったんだ。
この第3部、ラストもほんのりと切ない形で終わり、テンションの浮き沈みが激しいこの作品の中でも、過去最高にシリアスなエピソードになったと思います。
個人的には琴浦さんたちひたすらラブコメしてて欲しいのですが、こういう話も織り交ぜてくるのもこの作品の面白さでしょうね。
シリアスを抜けて番外編、続く第4部は通常営業(?)日常編!
海に遊びにいくお話なんかは大変美味しくいただきました。
「どうせ私はおっぱい小さいし!」てむくれちゃってる琴浦さんがまたかわいいうえに、ラストにはちゃんと報われてくれて満足!
この作品、ヒロインの琴浦さんも相当ひどい目に合ってるので、彼女が幸せそうに笑ってくれてるシーンがより胸にしみるのですよ。ちゃんと手料理たべさせてあげられてよかったなぁ。
1巻53ページの、お弁当を渡せないまま帰宅して自分でそれを夕ご飯にするエピソードが切なすぎて忘れられなかったので、真鍋が琴浦さんの料理食べてるシーンはどれも大好き!

せっかくの夏、もっと遊ぶぞ!ということで琴浦さんが「食い倒れツアー」を企画。
すごくテンション上がってる琴浦さんもかわいい。寝付けなくてクマできちゃってる。

琴浦さん家についに「真鍋専用茶碗」も登場。これは明らかな同居フラグ!
賑やかに部活メンバーと遊ぶことが多いので、めったに2人きりになれない彼らですが
こういう微笑ましい恋人らしい生活も、もっと見たいものですねー。
さて第4部には真鍋のおにいさんが新登場し、なぜか(失礼すぎる)森谷を好きになり、ひと夏の恋が始まってしまいます。しかし森谷も、もう諦めかけてるとは言え、真鍋のことを想い続けてるわけで・・・。
彼らの恋の行方も見逃せないところです。これも、夏らしいのではないでしょうか。
森谷さんも、初期はともかく、ここ最近は報われない娘属性付きでなかなか可愛いですね。
巻末オマケ漫画もステキにラブコメしており、最後まで楽しめました。
本編の話はここまでにして、今回の限定版の話もしてみましょう。
今回は「琴浦さんの生徒手帳」がついてきていますね。

こんな感じ。「やたら本格的」とオビにもありましたが、本当にやたらと本格的!
なかみも一部ネタに走ってる(校歌とかw)部分もありますが、本物の生徒手帳そのままな仕上がり。本文のちょっとしたイラストも、作者のえのきづさんが手がけているようです。
「健康の記録」では、琴浦さんの身体の数値がちらほら載っていたり、カレンダーには作中まだ明かされいない、キャラクターの誕生日などがメモってあったり。
メモ欄には、琴浦さんが日々どんなことを考えてるかちょっとだけ覗けるような書きこみがされており、これにはかなりニヤリとさせられますね!面白いサービス。
本編とは直接関係ないアイテムではありますが、ファンなら楽しめると思います。
この公式の動画でも紹介されてるのでチェックしてみては↓
という感じの第3巻でした。今回も様々な面で楽しませてもらいました。
10月から連載が始まるとか。4巻もいずれ発売になるということで楽しみです。
そういえば琴浦ママの久美子さんの16のときのイラストがありましたが、超ツボ!
『琴浦さん』3巻 ・・・・・・・・・★★★☆
アンバランスさに味がある作品。シリアス展開もあるけど、やはりラブコメ。
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海にきてよかった・・・かな?
わーい、2巻からしばらく経ちまして、3巻も発売されました「琴浦さん」です。
心が読める能力を持つ女の子・琴浦さんをメインに繰り広げられるラブコメを描く作品。
海に行ったり、新キャラがひと夏の恋に燃えたり、この3巻は夏モードです。
今回のゲスト寄稿が801ちゃんの小島アジコ先生でちょっとびっくり。
では感想ー。
心が読めるから恋をした。さみしがり屋な女の子が取り戻した笑顔に乾杯 『琴浦さん』1巻
相変わらず琴浦さんと真鍋のラブコメちゅっちゅぷりにはニヤニヤしてしまう第3巻。
しかし2巻からこの3巻の前半に続いている第3部はかなり異色のシリーズとなっており、サスペンスチックな展開が繰り広げられています。
琴浦さんが偶然街中で、殺人事件の犯人の心を読んでしまったことから、恐ろしい事態に巻き込まれていくという始まり。この作品らしい間の抜けた雰囲気も残しつつ、緊迫感が漂う内容。
2巻に収録された分ではありますが、死人が出たりしました。ギャグでなくシリアスに。
日常ラブコメ4コマ漫画でありながら、こうまで重い空気をつくってくるのは珍しい気がします。
合間合間にはいるコメディパートで中和はされているものの、どういう展開になるかドキドキしながら読みました。けっこう恐いし・・・。
この作品、1巻の頃からキャラクターのひどい闇の部分をあえて描いており、そこが面白い部分なのですが、ここまで方向を振り切ってきたのには少々ビックリしましたね。

この第3部で最も印象的だったのがこのシーン。彼女の成長が表れている気がします。
琴浦さんが、自分からこの能力を使って捜査に協力するよう願い出たのでした。
これってなかなかすごいことだなぁと、書いてて改めて思いますね。
かつての彼女は、その能力のせいで人のイヤな心が見えすぎてしまったり、そのせいで付き合いが難しくなったことから、他人から恐がられたり、疎まれたり、いじめられたり・・・。
初期の彼女を見ると、自分の能力をポジティブに捉えることは出来てなかった感じです。せっかくの能力なのに、むしろそれを恨んでいるみたいに。
それが今回、彼女自ら、誰かのためにこの能力を提供しようとするのです。こんなの、自信がなきゃできません。新しい自信が、かつてのトラウマの拘束力を上回ったのですね。
これは成長と呼べる、とてもいい前進です。
そしてこの変化の理由は、きっと真鍋たちとの友情や信頼が大きいのだと思います。
ヘンに思われたって、自分はもう1人ぼっちじゃない。誰かが自分を味方をしてくれる・信じてくれている。そんな思いが、彼女を前に進めたようです。
そして上の画像。「実はわたし、人の心が読めるんです!」っていう琴浦さんまじかわゆし。鼻息あらげてそうにドヤ顔する女の子はかわいいのです!
そしてそうか、この能力をドヤ顔で明かすことができるくらい、彼女は強くなったんだ。
この第3部、ラストもほんのりと切ない形で終わり、テンションの浮き沈みが激しいこの作品の中でも、過去最高にシリアスなエピソードになったと思います。
個人的には琴浦さんたちひたすらラブコメしてて欲しいのですが、こういう話も織り交ぜてくるのもこの作品の面白さでしょうね。
シリアスを抜けて番外編、続く第4部は通常営業(?)日常編!
海に遊びにいくお話なんかは大変美味しくいただきました。
「どうせ私はおっぱい小さいし!」てむくれちゃってる琴浦さんがまたかわいいうえに、ラストにはちゃんと報われてくれて満足!
この作品、ヒロインの琴浦さんも相当ひどい目に合ってるので、彼女が幸せそうに笑ってくれてるシーンがより胸にしみるのですよ。ちゃんと手料理たべさせてあげられてよかったなぁ。
1巻53ページの、お弁当を渡せないまま帰宅して自分でそれを夕ご飯にするエピソードが切なすぎて忘れられなかったので、真鍋が琴浦さんの料理食べてるシーンはどれも大好き!

せっかくの夏、もっと遊ぶぞ!ということで琴浦さんが「食い倒れツアー」を企画。
すごくテンション上がってる琴浦さんもかわいい。寝付けなくてクマできちゃってる。

琴浦さん家についに「真鍋専用茶碗」も登場。これは明らかな同居フラグ!
賑やかに部活メンバーと遊ぶことが多いので、めったに2人きりになれない彼らですが
こういう微笑ましい恋人らしい生活も、もっと見たいものですねー。
さて第4部には真鍋のおにいさんが新登場し、なぜか(失礼すぎる)森谷を好きになり、ひと夏の恋が始まってしまいます。しかし森谷も、もう諦めかけてるとは言え、真鍋のことを想い続けてるわけで・・・。
彼らの恋の行方も見逃せないところです。これも、夏らしいのではないでしょうか。
森谷さんも、初期はともかく、ここ最近は報われない娘属性付きでなかなか可愛いですね。
巻末オマケ漫画もステキにラブコメしており、最後まで楽しめました。
本編の話はここまでにして、今回の限定版の話もしてみましょう。
今回は「琴浦さんの生徒手帳」がついてきていますね。

こんな感じ。「やたら本格的」とオビにもありましたが、本当にやたらと本格的!
なかみも一部ネタに走ってる(校歌とかw)部分もありますが、本物の生徒手帳そのままな仕上がり。本文のちょっとしたイラストも、作者のえのきづさんが手がけているようです。
「健康の記録」では、琴浦さんの身体の数値がちらほら載っていたり、カレンダーには作中まだ明かされいない、キャラクターの誕生日などがメモってあったり。
メモ欄には、琴浦さんが日々どんなことを考えてるかちょっとだけ覗けるような書きこみがされており、これにはかなりニヤリとさせられますね!面白いサービス。
本編とは直接関係ないアイテムではありますが、ファンなら楽しめると思います。
この公式の動画でも紹介されてるのでチェックしてみては↓
という感じの第3巻でした。今回も様々な面で楽しませてもらいました。
10月から連載が始まるとか。4巻もいずれ発売になるということで楽しみです。
そういえば琴浦ママの久美子さんの16のときのイラストがありましたが、超ツボ!
『琴浦さん』3巻 ・・・・・・・・・★★★☆
アンバランスさに味がある作品。シリアス展開もあるけど、やはりラブコメ。