[漫画]フェチ心あふれる、少年少女の恋愛模様 『妄想少年観測少女』
![]() | 妄想少年観測少女 1 (電撃コミックス) (2011/08/27) 大月 悠祐子 商品詳細を見る |
彼女は 愛おしそうに オレの指をなめた
電撃大王GENESISに連載中の「妄想少年観測少女」の1巻が発売されました。
雑誌で毎号楽しみにしていて、念願の単行本化です。
高校生の男女の、「ちょっと歪んだ」恋愛模様が描かれる作品。
1ペアにつき2話構成になっており、前編と後編で主人公が入れかわる構成になっているのですが、それぞれのペアにテーマとなるフェチが決まっているのも特徴的ですね。
表紙は左から髪・手・眼鏡となっていますが、これが1巻の内容そのままです。
いろいろなものがむき出しになってる感じがたまらない青春漫画。
というか、エロいです・・・。
●1話目は「手」がテーマとなる相原裕/柏木真由ペア。
しょっぱなからエロス全開なエピソードになっていて、テンション上がっちゃうじゃないですか!

単行本1ページ目のカラー口絵ですが、この色っぽい雰囲気がまたたまりません!
ヒロイン・柏木さんの艶然とした笑みに、心をがっしり掴まれてしまいました。
女の子の良さは「肌」にアリ、なんて言う主人公・相原。口ぶりからしてちょっとひねくれ者な彼ですが。現実の女の子とはうまく離せない性格でもありました。
彼はもんもんと、柏木さんを脱がし、そのなめらかな肌に色をつけていく妄想をします。
女の子をキャンバスに絵をかきたい、とだいぶ危ない欲望をこっそり持っている少年でした。
そんな欲望が、本人である柏木さんに知られてしまう所から一気に物語が加速。
彼女は相原にひいてしまうどころか、「筆じゃなくて、相原くんのこの"指”で描いて欲しい」と言い放ったのでした・・・。
この作品、女性的なエロさがある作品だなと感じます。どういうのが女性的かって上手く言葉にはできない上にこっぱずかしいのですが、本当になんとなく、感覚的に。メインイメージである「自分の身体に絵を描かれることを笑顔で受け入れる女の子」というところからして凄いなぁ。

『好きな女の子の身体に絵を描きたい。筆を這わせたい。』
『大好きな"彼の手”が欲しい。あの手が欲しい。あの手に愛されたい。』
二人の欲望が偶然にも重なり、儀式のような時間が始まります。
面白いのが柏木さんが好きなのが、相原そのものではないということ。
彼女が本当に恋しいのは「彼の手」であり、ただその一点において彼が特別なのです。
手だけじゃないですよね?と詰め寄る主人公は、手の魅力だけでは、きっといつか愛想をつかされてしまう・・・なんて不安もあるんでしょう。彼女を繋ぎとめることに自信がない。
でも違う。柏木さんにとっては相原の手がなにより大事なのです。通常とはズレた思いであっても、彼女にとって彼がなにより誰より特別であることに、間違いはない。
1番の願いは「彼を手をつなぐこと」だという柏木さん。
そのことを相原は知らないわけですが、きっと彼にとって悲しいことにはなりません。したい事・して欲しい事を重ね合わせて、もっとイチャイチャすればいいと思いますこの2人。
思春期の内なる欲望、性的興奮、フェチズム、背徳感、独占欲。
それが絡み合う、強烈に心魅かれるエピソードだったと思います。こういうの大好きです・・・。
●第3、4話。2ペア目は新城和貴/金沢はるかの兄妹もの。血の繋がりはなし。
親の結婚により、それぞれの連れ子として出会い、家族になった2人は
親が離婚した後も、兄と妹の関係をこっそりと続けていました。
しかし兄(役)の和貴は、はるかには言っていない秘密を、引き出しに隠していました。
無遠慮で無警戒、でもちゃんと女の子。
和貴ははるかにペースを乱されっぱなしで、(まぁ本心はともかく)彼はストレスをため込んでいます。そのせいでついつい口が悪くなってしまいまいます。

『・・・・・・きもちわりー顔』
この状況にこのセリフかよ!と思いますが大好きなシーン&セリフ。
言いたい言葉をうまく探しきれなくて、もしくはわざと、ひどい言葉を言ったりする。
このシーンの2人の心情を思うとこれが、子どもっぽいけれど切実な、コミュニケーションのための言葉であるとわかります。にしたって他に言い方は・・・、でもそんな不器用さがいい!
普段酷い言葉を投げかけられても、心の奥ではちゃんと自分を想ってくれているとわかってるはるかは、あまりそれには動じません。不安定なようでがっちりと固まった信頼関係。でもそれははるかが一方的な思いこみであり、兄が悶々と抱えてる思いに気づいてからは、彼女の心はグラグラと揺れ動きだします。

このエピソードのテーマは「髪」であり、、これが最も強く表れるのが終盤のこのシーン。
子どもの頃から和貴の髪を触るのが好きらしいはるかは、今もそれは変わらない様子。
また、第4話にはるか視点になったとたん、登場する男性キャラの髪が「サラッ・・・」と流れる描写が見られるようになったりも。潜在的に髪が好きみたいですねこの娘。
そんな中でこのこの告白からの流れは、「兄妹」という関係性からの変化を、「髪にさわる」という行為と告白でもって、より鮮明に浮かび上がらせているなぁとか思ったり。
彼女にとって、壁を1つ乗り越えたものであるのかな。素直になれました。
なんか小難しいこと気がしますが、ようするに恋しちゃったら人間おかしくなるということで。
2人の親をめぐる人間関係が複雑でちょっと混乱してしまいましたが、まぁ特別内容には関係ないからいっか!(
●第5話は鈴木清信が主人公の、「眼鏡」をめぐるエピソード。
本好きな憧れの女の子に近づくため、彼女の借りた本を後追いで借りていく主人公。
そうしているうちに、彼の行動の理由を見抜いた、図書委員の女の子・山田さんと知り合い、行動を共にするようになります。
眼鏡をかけている人への苦手意識(なんか見下されてるような気がするらしい)があるらしい鈴木くんですが、どうもこの山田さんはちょっと違うみたいだぞと、彼の心情にもすこし変化が。
ここまでオーソドックスなボーイ・ミーツガールの流れですが、しかしこの作品らしい色っぽいシーンでこの1巻が終わり。続きを2巻のお楽しみね!ってえー!ここで切っちゃうのかよ!
まぁともかく、かなりいい所で終わってしまうので、これは2巻も読みたくなりますねえ。
ということで、「妄想少年観測少女」の1巻でした。
「ちょっとだけ普通じゃない」恋愛模様を描くオムニバス作品です。
からっした明るさは少なく、どこかほの暗いなにかを感じ取れるエピソードが多いです。
しかしそれこそがこの作品最大の魅力なのではないでしょうか。直接的なエロさというより、いい香水のにおいが漂っているような雰囲気で魅せる感覚的なエロス。いいですねいいですよ。
続く2巻はかなり早めに、11月26日発売予定。見逃せませんね。
掲載誌の電撃大王GENESIS、けっこういい作品揃ってると思います。季刊でスタートして隔月発売になりましたし、勢いあるんでしょうかね。好きな雑誌です。
妄想する少年、それをこっそり見守る少女。
まっすぐな気持ちは、ちょっとだけ歪んでて生臭く、かわいらしくて"きもちいい”。
『妄想少年観測少女』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
こじれた青春臭さに、みだらなムードが合わさる作品。しみじみ、エロい・・・。
[漫画]人間になる旅のはじまり。第二部開幕! 『戦国妖狐』7巻
August is Dead.
俺は人間になる
水上悟志先生の「戦国妖狐」の7巻が発売されています。
「第一部完」なんて打ち切り漫画あるあるな終わり方をした前6巻ですが、ちゃんと7巻が出ましたよ!今回から「第二部 千夜編」が開幕です。
第一部のときからふしぎな存在感のある少年でしたが、主人公にまで昇格するとは!
今回も王道でありながら捻りの加えられた、水上先生らしい仕上がりだと思います。
第一部の旅のメンバーがバラバラに散ってしまった後、千夜はなぜか新介と共にいました。
千夜は自分の名前も正体も役割も、記憶をすべて失ってしまっていました。
記憶喪失になった千夜に真介は「ここまで良し!!」と言い放ち、生まれたばかりのまっさらな子供として、人生をやり直す方向に。
とりあえず友達作りを頑張る千夜くんですが・・・はたしてどうなるなるやら、という始まり。
内に千ものおそろしい数の闇を抱えている彼なので、どうしたって普通の子どもらしい生活を送ることは難しいんですが・・・。彼を狙っておそってくる敵も続々登場してきますし。
そんな中で、彼がどんな生き方を探していくのか。
それがこの第二部の大きなテーマになっていきそうですね。
さて、いきなり話がズレますが、新キャラの月湖ちゃんがかわいいのです!
普段の物静かな様子から、ちょっと甘えた感じの笑顔を見せた時なんてテンションあがります。
千夜との馴れ初めから、少しずつ心が近づいていく流れには思い切りニヤニヤする・・・!

初々しい恋愛模様にゴロゴロー!
また、ある都合から真介に弟子入りを願うシーンがありましたが、そこも印象的。
その後、千夜に襲いかかる相手に、千夜を守るために自ら闘いに突入する個所も。
外見が年相応に女の子らしいというか、弱弱しい感じなのですが、
自分の意志と目標を貫きとおす、非常に勇敢な少女であると分かります。

とても凛々しい、個人的に大好きな1カット。
しかし、月湖ちゃんはどうやら相手の目を見ることで、相手の行動を先読みすることができる能力がある?模様。単純に天然の才能なのか、それともそれにも秘密があるのか。
ともあれ、ヒロインとして千夜とのラブコメにも期待したいですし、この意外なまでのカッコよさをまた見せて欲しい、お気に入りのキャラクターです。
主人公になった千夜君ですが、第二部になってから大きく印象が変わりましたね。
第一部でも彼の中になにか揺らぎがある様子は少し分かっていましたが
この7巻は、少年らしい多彩な表情を見せてくれています。まだまだ硬いですが、記憶を失うことで、彼の根が表れたのでしょう。
上に張った画像の、月湖ちゃんとのやり取りの中で赤面してしまってるのも微笑ましいw
また、そんな楽しそうな表情だけではなく、心に追った傷を表情に表すようにもなりました。
無茶苦茶になった村を見て、口をあんぐり開け呆然としているシーンや
おにぎりを食べながら、涙をぼろぼろと零してしまうシーンなんかは特に。
おにぎりのシーンは、彼の起こした騒動の影響をおもっての罪悪感や、自分の意識の無さ・無力感が大きいのだと思います。人間らしい悩み、人間らしい過ち、人間らしい表情です。
美味しい。生きているんだ。でも、この罪悪感に押しつぶされそうで。

「俺は人間になる」と千夜は繰り返します。
彼が目指す「人間」の姿とはなんだろう。人に生まれ、人でなくなった少年が、再び目指す人間とは。今の彼だって、相当に人間くさいと思いますけどね。答えに期待したいです。
そして面白かったのがもいっこ。へっぽこ侍・真介に関して。
第一部の時には、迅火たちの後に勝手についてきて、修行をしていた彼ですが
第二部になって、彼は子供たちの先頭を進む、先導者として描かれ出します。

千夜には人生の先に進む先輩として。そして「人間」として。
月湖には剣術の師として。まぁ上手くできるか分かりませんがw
ともかくこうして人が巡っていく様子をさらりと、けれどきちんと描くのが、水上先生の上手いところですね。
そういえば今回、第3巻収録の13話に出てきた闇が再登場したのにもニヤリ。
こいつと対峙する時には、真介が新しい自分(能力・立場・役割など)を見つける気がします。
前回は、繰り返してきた練習の成果を発揮する、「武士」としての覚醒。
今回で言うなら、子どもを守る「大人」としての自分を意識している感じしょうか。
真介もまた、いい感じに成熟したキャラクターになってきていると思います。
まぁ、ヘッポコですけど。そこがいい。
・・・という具合の第7巻、第二部開幕の一冊でした。
目新しい部分も多いですが、この作品らしさもばっちりと活きています。
ストーリーも当然気になりますが、キャラクターにどんどんと愛着がわいてきました。まだしばらくは続きそうなので、この先の展開を楽しみにしたいと思います。
想像を裏切って期待は裏切らない水上先生のこと、第二部もまた更に面白くなりそう!
人間を目指す旅が、はじまりました。
『戦国妖狐』7巻 ・・・・・・・・・★★★☆
王道少年漫画からひとひねり。それが気持ちいい作品。千夜の成長が気になります。
・・・ところでこの戦国妖狐7巻、サイン本でゲットしたのですよ。WEBサイン会という。

ありがたや!
![]() | 戦国妖狐(7) (ブレイドコミックス) (2011/08/10) 水上悟志 商品詳細を見る |
俺は人間になる
水上悟志先生の「戦国妖狐」の7巻が発売されています。
「第一部完」なんて打ち切り漫画あるあるな終わり方をした前6巻ですが、ちゃんと7巻が出ましたよ!今回から「第二部 千夜編」が開幕です。
第一部のときからふしぎな存在感のある少年でしたが、主人公にまで昇格するとは!
今回も王道でありながら捻りの加えられた、水上先生らしい仕上がりだと思います。
第一部の旅のメンバーがバラバラに散ってしまった後、千夜はなぜか新介と共にいました。
千夜は自分の名前も正体も役割も、記憶をすべて失ってしまっていました。
記憶喪失になった千夜に真介は「ここまで良し!!」と言い放ち、生まれたばかりのまっさらな子供として、人生をやり直す方向に。
とりあえず友達作りを頑張る千夜くんですが・・・はたしてどうなるなるやら、という始まり。
内に千ものおそろしい数の闇を抱えている彼なので、どうしたって普通の子どもらしい生活を送ることは難しいんですが・・・。彼を狙っておそってくる敵も続々登場してきますし。
そんな中で、彼がどんな生き方を探していくのか。
それがこの第二部の大きなテーマになっていきそうですね。
さて、いきなり話がズレますが、新キャラの月湖ちゃんがかわいいのです!
普段の物静かな様子から、ちょっと甘えた感じの笑顔を見せた時なんてテンションあがります。
千夜との馴れ初めから、少しずつ心が近づいていく流れには思い切りニヤニヤする・・・!

初々しい恋愛模様にゴロゴロー!
また、ある都合から真介に弟子入りを願うシーンがありましたが、そこも印象的。
その後、千夜に襲いかかる相手に、千夜を守るために自ら闘いに突入する個所も。
外見が年相応に女の子らしいというか、弱弱しい感じなのですが、
自分の意志と目標を貫きとおす、非常に勇敢な少女であると分かります。

とても凛々しい、個人的に大好きな1カット。
しかし、月湖ちゃんはどうやら相手の目を見ることで、相手の行動を先読みすることができる能力がある?模様。単純に天然の才能なのか、それともそれにも秘密があるのか。
ともあれ、ヒロインとして千夜とのラブコメにも期待したいですし、この意外なまでのカッコよさをまた見せて欲しい、お気に入りのキャラクターです。
主人公になった千夜君ですが、第二部になってから大きく印象が変わりましたね。
第一部でも彼の中になにか揺らぎがある様子は少し分かっていましたが
この7巻は、少年らしい多彩な表情を見せてくれています。まだまだ硬いですが、記憶を失うことで、彼の根が表れたのでしょう。
上に張った画像の、月湖ちゃんとのやり取りの中で赤面してしまってるのも微笑ましいw
また、そんな楽しそうな表情だけではなく、心に追った傷を表情に表すようにもなりました。
無茶苦茶になった村を見て、口をあんぐり開け呆然としているシーンや
おにぎりを食べながら、涙をぼろぼろと零してしまうシーンなんかは特に。
おにぎりのシーンは、彼の起こした騒動の影響をおもっての罪悪感や、自分の意識の無さ・無力感が大きいのだと思います。人間らしい悩み、人間らしい過ち、人間らしい表情です。
美味しい。生きているんだ。でも、この罪悪感に押しつぶされそうで。

「俺は人間になる」と千夜は繰り返します。
彼が目指す「人間」の姿とはなんだろう。人に生まれ、人でなくなった少年が、再び目指す人間とは。今の彼だって、相当に人間くさいと思いますけどね。答えに期待したいです。
そして面白かったのがもいっこ。へっぽこ侍・真介に関して。
第一部の時には、迅火たちの後に勝手についてきて、修行をしていた彼ですが
第二部になって、彼は子供たちの先頭を進む、先導者として描かれ出します。

千夜には人生の先に進む先輩として。そして「人間」として。
月湖には剣術の師として。まぁ上手くできるか分かりませんがw
ともかくこうして人が巡っていく様子をさらりと、けれどきちんと描くのが、水上先生の上手いところですね。
そういえば今回、第3巻収録の13話に出てきた闇が再登場したのにもニヤリ。
こいつと対峙する時には、真介が新しい自分(能力・立場・役割など)を見つける気がします。
前回は、繰り返してきた練習の成果を発揮する、「武士」としての覚醒。
今回で言うなら、子どもを守る「大人」としての自分を意識している感じしょうか。
真介もまた、いい感じに成熟したキャラクターになってきていると思います。
まぁ、ヘッポコですけど。そこがいい。
・・・という具合の第7巻、第二部開幕の一冊でした。
目新しい部分も多いですが、この作品らしさもばっちりと活きています。
ストーリーも当然気になりますが、キャラクターにどんどんと愛着がわいてきました。まだしばらくは続きそうなので、この先の展開を楽しみにしたいと思います。
想像を裏切って期待は裏切らない水上先生のこと、第二部もまた更に面白くなりそう!
人間を目指す旅が、はじまりました。
『戦国妖狐』7巻 ・・・・・・・・・★★★☆
王道少年漫画からひとひねり。それが気持ちいい作品。千夜の成長が気になります。
・・・ところでこの戦国妖狐7巻、サイン本でゲットしたのですよ。WEBサイン会という。

ありがたや!