[漫画]きっと許されない恋だけど。『Liqueur―リキュール―』Vol.2
ブラコンアンソロジー Liqueur―リキュール―2 (Flex Comix) (2012/08/11) 草野紅壱、kashmir 他 商品詳細を見る |
でもこれからは 一緒にいられないよ
うひょう!ブラコンアンソロジー「Liqueur(リキュール)」のVol.2がでました。
vol.1は去年の春に出たので、1年以上ぶりになりました。Vol.1もお気にいりだったので、待ってましたの一冊。
まずテーマがブラコンですよ。姉/妹オンリーの近親恋愛アンソロジーって時点で買います買います。
それに参加している作家さんもなかなかに豪華で見逃せない。
Vol.1とは結構違った作家さんの並びになっていますが、固定されるよりは良し良し。
作家一覧は公式HPとかでチェックできますのでそちらで。
この公式HPの「ブラコン・ネバー・ダイ」のコピー大好きw (ちょっと終了フラグを感じますがVol.3も待ってますよ!)
豪華執筆陣で送る姉/妹オンリー本 『Liqueur-リキュール-』
では気に入った作品を順番に触れていきたいなと。
●ある姉の不道徳/渡辺静
「この彼女はフィクションです。」の人。黒髪セミロングのおねえちゃんが主人公。
後半の変貌がインパクト大でした。最初のイメージをぶち壊す乱れっぷりがすごいw
やましさや罪悪感を内に秘めた感情描写もひかり、巻頭らしく勢い十分な一作。
●伝染/よしだもろへ
うーかわいいー。よしだもろへさんの女の子はかわいい。
兄姉の気兼ねない距離感に1人胸ときめかす妹、という構図が魅力的に描かれいます。
許されない恋をしているという苦しみがにじみ出ていて雰囲気も好み。
こういうふわふわした片思いは、切ないけどほっとします。お兄ちゃんが狙っていたら面白いんだけど、お兄ちゃん純朴そうだし、なさそうだなぁ・・・。
明らかに狙って子供っぽいデザインの妹ちゃんが見せる、キス直前の色っぽい表情がたまらないです。
●よるとまひる2/カザマアヤミ
Vol.1からの続投作。前回に一瞬見せた寂しさを拡大させたようなエピソード。
成長への、変わっていくことへの恐怖がまひるを捉えてはなさない。普段のあっけらかんとした明るく騒がしい振る舞いは、そういう現実から逃れたいという思いもあるんだろうな。
というか今回でグッとこの2人のドラマが深まったし続きとか気になります。普通に連載とかしてくんないですかね!ハフハフ
●おにいちゃんカメラ/雨隠ギド
きたー雨隠ギドさん!今回のVol.2で一番好きな作品でした。
切ない雰囲気を醸しつつ、けれど明るく進行していくのですが、なんといってもエンディングが好きすぎる。こういう、思いを引きずる女性の姿に弱いのかもしれないな、俺。
やっぱり肉親は近すぎて壁があって、それを乗り越える2人もいればそうじゃない人もいる。でも穏やかな表情で思い出をとりだすこのラスト、じんわり染みる。ブラコンネバーダイ。死なせはしないこの恋。自然に死んだりもしない。
●いもうと観察日記/kashmir
かまってちゃんな妹ちゃんが輝きまくる一作。むぅぅかわいい。
最後の複雑そうな表情も味わい深い・・・な・・・困ったものだ・・・ふぅ。6ページと短い作品ですが、これでもかと1人の女の子のかわいいポイントを押し込めたような構成で、満足度たかし。
●今年からは妹/狩野蒼穹
これも大好き。最後のページのぐぐっと引き込まれました。
狩野蒼穹さんといえば執拗なまでに姉×弟もののエロスな漫画を発表している作家さんですが、本作も多分に漏れず姉漫画!しかし姉は「あたし妹になるわ」と宣言。
詳しくは言わないけど1番トリッキーだったかな。面白かったです。ナイス姉漫画。
●たぬきねいり/キダニエル
キダニエルさんの作品は今回はじめて読みましたが、いい表情を描く作家さんですね
クールな甘えん坊という妹のキャラクターにやられました。
主導権をにぎりたいのかそうでないのか、あやふやな妹ちゃん。いや、これはただ兄といっしょにいたいだけだw コロコロといろんな表情を見せてくれるのも愛らしい。
可愛らしいだけでなく葛藤も描かれていて、軽いものにはなっていないのもいいですね。
●たくらんで妹/位置原光Z
いつもの位置原先生のマンガです、おわり。
・・・いや終わりませんけど、いつものあんなノリですよ!
女の子がダベってはじまりダベって終わる基本スタイル。でもちゃんとブラコン漫画。アホらしい盛り上がりの中でブラコン魂に火がつき、おのおの密かにたぎっていくのに笑ったw
●はさみ。/大朋めがね
大朋めがねさんの涼やかな絵柄はトリにピッタリじゃないでしょうか。ラストの作品。
これもラストシーンがすごく好き。切ない余韻が広がり、大満足で本を読み終えました。
笑顔のまま出て行って、最後のページ、子供がふしぎそうに彼女の顔を見上げて終わる。どんな表情をしていたのかはわからないけど、きっと・・・。
ハッピーでキュートなものも好きですが、ヒリヒリする甘酸っぱいものもいい。
そんなリキュールVol.2でした。
今回は姉にも妹にも目立った作品があって、バランスがよかったと思います。
ページ数も参加作家も増え、パワーアップが上手くいってる印象。
あとVol.1より、なんとなく切なげな作品が増えてる・・・かも?
このジャンルにならそういう要素を期待しがちな自分としては嬉しい傾向ですよ!
チクリと心に刺さる背徳感。家族だからこそ想いを届けることができない切なさ。近くて遠い・・・そして許されない恋。そんなこのジャンルならでは醍醐味がいいスパイスになっています。Vol.1でも感じましたが、さらに。
いろんな作家さんのブラコン少女の漫画を読めるということで、自分はこのシリーズ大応援ですよ。
あとは安定して供給してもらえれば嬉しいんですが・・・Vol.3は出るのかな。
安定して供給してほしいのはフレコミ全体に言えることですが。ゲフンゲフン
ともかく、今回も良質な一冊でした。いろんな作家さんに触れることができますし、作家の新規開拓という意味でも個人的にはおいしい。
[小説]ツインテ幼女になって変態集団を撃破せよ!『俺、ツインテールになります。』
俺、ツインテールになります。 (ガガガ文庫) (2012/06/19) 水沢 夢 商品詳細を見る |
俺にあるのは、ツインテールを愛する心だけ。
ガガガ文庫6月の新刊でした「俺、ツインテールになります」の感想。
水沢夢さんは本作で審査員特別賞を受賞したようです。
畑健二郎先生のコメントも帯によせられて気になっていましたがようやく読了。
いい意味で頭がおかしい、テンションふっ切れた楽しい一作!
主人公はツインテールを愛する男子高校生。
このツインテール愛こそが本作を象徴する個性です。ツインテール押しが強烈。冗談ぬきで1ページにつき1度は「ツインテール」という単語がどこかしらに存在している。例外はあったかもしれないですが、それくらいの勢いでツインテールというワードが飛び交う。もう何度ツインテールという文字列を読んだかわかりません・・・。
けれど作品としては戦隊モノっぽくもある、真っ当(?)なヒーローものなのです。
そしてこれまた意外なんですが、バカらしさを十分に保ち楽しませてくれる一方で、ストレートに心を熱くさせてくれる場面もある。とくにラストバトルの意味不明な熱量は・・・w
この作品はそんな馬鹿馬鹿しさがとても気持ちよくて、コメディとして好き。
こってこての漫才会話劇古風だったり、文章として読むと少々浮いて見える、ギャグマンガチックな表現(壁に突き刺さる、空から落ちて地面に人型の穴があく、など)も散りばめられる。
これがイヤだという人もいるかもしれないけど、変態・オタクネタをいじり倒す作風と相性が良い。わかりやすいくらいのオーバーリアクションコメディが作品に合っている。
で、本当にこの作品がバカらしいのは、主人公も敵もみんな真剣に狂っているということ。
別世界からやってきた敵組織は、いろんなフェチを持った変態集団。
ブルマ、ナース、ウサミミ・・・そんなフェチエネルギーを持って地球侵略を企てる極悪集団!うん、これっぽちも緊迫感はない!でもこんな設定でちゃんと危機になっているのだ。
そしてテキストもノリノリ。明らかなツッコミ役不足のまま進み、リアルにニヤニヤが止まらない。
お、おう・・・。カッコいいバトルの決着シーンだが、なんかよくわからないぞ。地上に堕ちた太陽にいささかの見劣りもなく、燦々と輝きそよぐツインテール。
「―――――美しい・・・・・・まさに神の神・・・神、型・・・・・・」
それは、多くの世界を渡った歴戦の戦士の双眸に、その生涯を天秤の片皿に置いても釣り合うほどの光景――髪型だっただろうか。
狂っているといえばヒロインのトゥアールもすごい。
本作には2人ヒロインがいるけど、トゥアールは主人公の童貞を食う気マンマンのタフネス系痴女。ものすごい勢いで自分から汚れ役を買っちゃう。ついでにロリコン。
もう1人のヒロインに愛香からこっ酷くどつかれること何十回か・・・それでもめげずアクティブに主人公にセクハラをしかけにいく。大丈夫かよこのヒロイン。でも、すっごくかわいいです。
いい意味でその場を乱していくので、読んでいてとても面白いのです。
もしかして恋する女の子としての苦労もあるのか・・・?と終盤にほのめかされますが、本人は一貫して変態。「じつはいい娘なんだよ・・・」なんて差し伸べられたフォローも受け取らない、素晴らしい立ち位置!
愛香もかわいいですが、目立っているのは圧倒的にトゥアール。彼女の暴走がもっとみたいw
この作品、男子高校生が変身してツインテールの幼女になってしまう、というTS要素も持ち合わせた作品です。
しかし「ツインテールは大好きだが、自分がツインテールになるのは・・・」と照れてしまい、ノリノリで自分の身体をまさぐるようなことはせず。
というかこの主人公、あらゆる欲望がツインテールに向いているのです。そのため少女の身体をどうこうするといったありふれた欲望(と断定しておくよ!)が一切ない。
この作品らしくもありますが、TSとしちゃやや物足りないかも。
変態ではあるが下品さはない主人公像は、この作品には合っていますよね。
年頃の少年が悶々と蓄積させるはずドロドロしたやましい感情は、すべてがツインテール愛への昇華されている!
それにそういうストレートな性欲を発露させるキャラクターはヒロインで間に合っているのだ。
ということで、「俺、ツインテールになります。」の感想でした。
だいぶ頭悪い内容で、一気に読んで笑って楽しめる一冊でしたね。
これ、続編とか出ないかなー。1巻のおもしろさをキープできるか難しそうでもあるけど、続きを見たくなるくらいの面白さがありました。特にトゥアールの暴走痴女っぷり。
イラストも気合入っていましたね。とくに巻頭のカラー口絵は躍動感あふれるダイナミックなアクションシーンで、これだけ見て内容を勘違いして買いかねないレベルのカッコよさ!
見た目だけなら、ツインテール幼女が化物とバトルしていく作品なので、間違ってもきっと問題はないんですが・・・ここまでふざけてる作品だとは思わないだろうよ!
あとコミケでサイン本入手したんですけど、作者のサインもシュールで面白い。
作者もすごいツインテール愛。
[漫画]ゆるやかに過ぎさる明治の1ページ。『ちろり』2巻
ちろり 2 (ゲッサン少年サンデーコミックス) (2012/08/10) 小山 愛子 商品詳細を見る |
ゆっくり変わってくんだ。
ゲッサンにて連載中の「ちろり」2巻が出ました。
文明開化を迎え、ゆっくりと変わっていく明治日本を描いた作品。
まったりと穏やかに、四季折々の風景の中で暮らす港町の人々。マダムといっしょに喫茶店で働く女の子、ちろりが主人公です。
1巻は何度も読み返しましたねえ。本当に雰囲気のいい作品で。さわやかで情感豊か。
そこは明治の港町。優しさと季節の風を感じる癒し漫画『ちろり』1巻
気に入ったエピソードを書いていく形で。とはいえ二巻収録話も、どれもこれも好きだな。
ストーリーと呼べる筋はほとんどなく、日常の断片的なワンシーンを描き出していく。
2巻は冬から初夏にかけて季節がめぐります。
日常にあるちょっとした楽しみ、驚き、物寂しさ・・・ささやかに感じさせてくれる。小さな小さな、けれど愛しいエピソードたち。「ちろり」という名前はイメージどおりのもの。
第8話「初景色」は元旦。
話してはいけない行事のなか、互いにしゃべりたいのを我慢して笑い合うマダムとちろり。
めずらしく店の外に出ている、オフの2人の様子が描かれていますね。
1年の始まりにしてこんなかわいらしい。楽しい一年になりそうじゃないですか。
ところで「景色」という言葉はじっくり見てみるとすごく綺麗な言葉だと思う。(唐突)
第9話「冬眠る」では万全の心遣いをみせるちろりちゃんの静かな奮闘が。
ここまでくればもう、俺としてはちろりとマダムの年の差百合的な脳が回りだすわけですが・・・。でもこの作品ではあんまりそういう恋愛的な妄想はこないんですよね。読んでるこちらも、心が落ち着いている。
この作品が持つ落ち着きの良さは次の第10話にも現れている。
雪積もる早朝に、ちろりが赤い実をみつけて見とれる、というシンプルな話。
でもちょっとした出来事で心が浮き立つ流れが、まさしくこの作品らしくて好き。
キラキラしたものだったり、ちょっとしんみりしたり、ねぼけていたり・・・いろんな表情が見られるのも楽しいですね。お店にいるときはにこやかを心がけている様子の彼女だけれども、1人きりの時には読者的には結構新鮮な様子を見せてくれる。
ストーリーらしいものはない、と言いましたが続きものエピソードはあるのです。ちろりを気にしている少年が再登場する第10話はこの作品では珍しい、ラブコメの香り漂うお話。
いっぱいいっぱいになっている男の子と、何も知らず涼やかな表情のままの女の子。
そんな微笑ましい一幕が印象的ですが、海の描写も心に残っています。
穏やかな凪の時間。
背景描写がとてつもなくうまい!というわけではないんですが(別に失礼な意味じゃない)
風景を映し出すタイミングのうまさが光る。ハッとさせられるんですよ。
この一瞬の風景が、とても大切なものに思わせてくれる。作品にうまく感情を投入できている感じがして、一体感がきもちよかったです。
この少年はまた登場してきそうですね。ちろりとの関係も楽しみ。
明治という時代を一番に映し出していたのは、第13話「時代」でした。
お使いにでたけれどまよってしまったちろりを描きつつ、明治の街のにぎやかさを見せてくれます。現代からは姿を消した風景がいくつも登場し、ノスタルジックな気分に。
旧来の日本文化を渡来した西洋文化が交じり合う明治の港町。
全てはゆっくりと変わっていくんだ、というメッセージは、作品の背景がいかされています。読者をしんみりさせますよね。昔すぎず、最近すぎず・・・なバランスが明治だとか大正だとかの時代を魅力的に感じさせている気がします。ロマンあるよね。
そういえば1巻のころと比べると、ちょっとずつ絵も変化してきていますね。
なんとなく、艶やかさよりどことない土っぽさを感じられるものに。
個人的には前のものが好きだったかな。でも今も美しいだけじゃない力強さのようなものが湛えられているようでいいものです。
2巻になってメインキャラたちの掘り下げも行われてきました。ちろりもマダムも、よりかわいらしくなってきたと思いますよ!とくにマダムは2巻の書き下ろしが見逃せない。
ムリはしちゃいけない・・・でも大人な女性がふと見せる子供っぽさって、ときめく!
ちろりの髪型をこっそり真似てみるっていうのも・・・うん、いいよね!
おだやかーにまったりと歩んでいく日常。
こういう癒し系なタイトルは雰囲気のよさが大切だと思いますが、自分はこの作品のはとても好み。ふわっとやすらぎますし、時々きゅっと切なくなることもあります。
明治という時代の空気をしっとり感じさせてくれる。そのうえ軽やかで読みやすい。
風景にしろ人物にしろ、その表情をうまく捉えている作品です。
前にも書いていましたが、1話1話、1コマ1コマを味わううまみがありますね。
今後もゆったりと続いて楽しませて欲しいシリーズです。
『ちろり』2巻 ・・・・・・・・・★★★★
やっぱり気持ちのいい漫画だ。香る潮風とか寒い雪の朝とか、想像しながら読んでます。
[漫画]愛しい人のためにできること。『恋愛ディストーション』6巻
恋愛ディストーション 6 (サンデーGXコミックス) (2012/07/19) 犬上 すくね 商品詳細を見る |
あなたに似た、真面目で優しい子になるといいな。
「恋愛ディストーション」6巻。6巻・・・6巻!続きが読める第6巻!
去年に小学館から出た新装版ではじめて触れた作品ですが、それでも「やっと読める」という感慨が沸く。旧版から待っていた人の喜びはどれほどのものか・・・!
複数の男女の恋模様を描き出していくシリーズ。5巻は江戸川くんとまほ先生の間柄を引き裂きかねない出来事が起きました。6巻でもたっぷりとそのエピソードが綴られており、波乱のシリーズがひと段落。つらつらと感想書いていきます。
6巻は開幕からシリアス全開。なほとまほ、双子の女性をめぐるお話。
まほからすれば、届いていたとも知らなかった手紙の行方にまずびっくりですし、それをなほが読んだことにも衝撃。そこから回想を交えて、この双子の心の深部を見つめていく流れ。
双子の女が、同じ男を好きになった。
そんなシチュだけでも泥沼修羅場な様相をイメージしてしまうわけですが、むしろまほとなほは、もっと前に修羅場になっているべきだったのかもしれない。気持ちの整理をつけられず逃げていたことが今につながっている。
過去の恋を明かす。それもまだ完全に終えていない、くすぶったままの想いを。
さらにそれは自身の醜さをさらけ出す行いでもある。
粛々と恋人である江戸川くんに昔話をするまほ先生のシーン、その静かでありながらも緊張が忍び寄ってくる感覚にゾクゾクしました。沈みきったようなまほ先生の表情もなぁ。
ありのままを言い訳せずに提示して・・・というか、あの1夜の真実を話さなかったまほ先生の心中を想像するに、やはりすごい葛藤を抱えた人だと思う。
大好きな今の恋人に愛想つかれるかもしれないという恐怖を承知している。その上では自分にとってはいいものであるはずの情報を隠す。まほ先生にとっては結果はどうあれ、あの夜に自分がしてしまった行動そのものにとてつもない罪悪感を抱いている。そしてあの夜の真実は、なほや江戸川くんを安心させるものではあったけれど、まほ先生の罪の意識を軽くさせるものではないんだな。
許してもらうのために都合のいい真実を伝えない。罪を受け止めるだけ。
打算的な考えをしない、被虐的とも言えそうな真摯さもすごい。でもそれって傷つくためのある種の暴走だとも感じられて痛々しい。
・・・もし政広があのまま間違えたままだったら・・・と想像をしてみたら、ヤバい。それはそれでゾクゾクするが目も当てられない惨状。いやほんと、よくやったよ政広さん。
あの夜の、あの恋のなにもかもが、重い鎖になってまほ先生を縛り付けている。
双子の女性の不和や、やましい感情や、後悔や懺悔や・・・
そんなヘヴィなものををじっくり描いていっての、やさしいクライマックスがたまらないのです。
スカッと爽快な解決なんてできないですよ。そう割り切れるものではない。
でも、みんながちょっとずつ傷ついてでも、ちゃんと歩き出せるように。
いやー江戸川くん、好感度がグンと上がりましたね!今までも好きだったけど、一段と。
この一連のエピソード、〆を飾ったのが彼の「こんなふうにして俺は二十歳から21歳になった。」というモノローグ。これがまたとても鮮やかなのだ。あっさりと、しかし人生の節目としての感慨深さをこめたモノローグ。とても気持ちがいいエンディング!
江戸川くんとまほ先生サイドが落ち着いたら、大前田くんの方へ。
こっちはねえ。もう、お前ら何度ささいなことでスレ違うんだ!
それというのも棗がかなりのネガティブ思考&すなおになれない暴走娘なことと、大前田がふだん犬っころなくせにご主人様がちゃんとかまってくれないっていじけるもんだから。
今回なんて携帯買ったけど、どう連絡しあえばいいのかわからない!という、お前ら微笑ましすぎだろうと思うしかないきっかけ。
まぁささいなことだというのは、こう客観的に漫画で読んでる身だからこそな言い分なわけで、彼らとすれば一大事なんですよね。
いつでもつながれるという安心は、逆に不安を掻き立てる場合だってある。
それは棗が携帯を手にしたことで、大前田との新しい距離感に戸惑っているだけで、じきになれていけばちゃんと掴んでいけるはず。
この2人の恋模様はいつまでたっても初々しさが感じられるんですね。
初々しいといえば山野辺くんサイドもとてもニヤつくのです!
長らく独り身のままさまよっていた山野辺くんにもついに春が来ている。始まったばかりのういういdaysを満喫中ですよ!
お相手の里中さんですが・・・・・・いや、ほんとかわいいな。
お姫様みたいな女の子ではなく、むしろ結構力強く生きてそうな感じなんですが、山野辺にちょっかい出して遊んで、でもあわよくばもっと近づきたいって空気にこっちもそわそわ。
恋ディスヒロイン、いろんな女の子がいますが、中でも特にお気に入りかもしれない。里中さんの軽やかな立ち住まいと、山野辺のムキになりがちな性格が、見ていて実に面白いw
この2人を結ぶのは身長というキーワードかな。
山野辺はいぜんに低身長フェチを開眼させており、身長ひくい女の子を彼女にしたいなぁウホホと練り歩いていた変態でした(捏造)が、里中はすらっとモデル体型、身長も同じくらい。
フェチと実際の好みは違うのか・・・「いや、俺、ちっちゃい女の子が好きだし」と自分に言い訳しながらうまいこと転がり落ちていく山野辺の明日はどっちだ。
徐々に詰まる距離。これから先はもう、悶絶するしかない。
里中さん回もっと来い!来い!山野辺との友人同士みたいな気兼ねないやり取りもっとみたい!といいつつラブコメ見たい!
たらたら書いてきましたが「恋愛ディストーション」6巻でした。
シリアスにラブコメに、いつもとはちがうようでいつもどおりのような内容。
まほ先生関連はかなり心苦しいエピソードでしたが、きちんとこの作品らしい、切なくも暖かなところに着地をしてくれてよかったです。
いろんなカップルの恋模様を見つめていくシリーズですが、恋愛だけにとどまらず人間関係の中で大切なものが描き出されているように思います。
この作品の好きなポイントに、ざっくりしていますが雰囲気のよさがありますね。一貫して肌触りいい感じの、なんだかうまく表現できませんが、深いところにまであったかいエネルギーを与えてくれるような。しなやかな作品だと思います。
サンデーGXで順調に連載がされているようなので、7巻も出ることでしょう。
新装版からでも読み出してよかったなぁ。続きを楽しみにしています。
『恋愛ディストーション』6巻 ・・・・・・・・・★★★★
まほ先生編はいい決着が見れてよかったなぁ・・・ほの暗く、光もある、バランスのいい一冊。
[CD]冬馬親子の絆 - WHITE ALBUM2 ドラマCD「一泊二日の凱旋」感想。
ICが終わったっきり更新していなかったホワルバ2関連ですが、すでにゴールデンウィークをぶっつぶしてクリアしています。で今はまったり2週目をやっている段階。
なんか、プレイした感想をどこからどこまで文章化すればいいのかはかりかねていて2週目をやりきって整理つけたら、ちまちま感想をまとめていきたいなと思っています。IC(第一章)の感想はこちら。
やり終えた上でキャラの話をちょっとすると、キャラとしてはかずさ派です。1週目やりきった時点では傷が深すぎてかずさが好きとは言いづらくなっていたけど、2週目を進めているとやっぱかずさという女の子は素敵だなぁと。でも雪菜も・・・まぁそこらへんはいずれ。
さてクリアしても熱が冷めやらず、入手していなかったドラマCDを買いあさりました。ホワルバ2のためにアクアプラス通販サイトの会員登録もしましたよ。はあーお金が飛ぶ飛ぶ。
でホワルバ2のドラマCD、全部で3枚あるんですが、本編を補完するかたちでどれも見逃せない内容。でもひとつひとつの内容はゲーム本編と比べれば当然コンパクトにまとまっているので、なんとなく感想が書き出しやすい!
ゲーム本編の感想をまだかけていませんが、ドラマCDの感想から書いていきます。
「一泊二泊の凱旋」というドラマCD。通販で1000円だったっけな。
もとはC81で販売されたものらしいんですがその時はホワルバ2買ってなかったのです。
ジャケットからわかりますが、完全にかずさ主人公のストーリー。尺は35分ほど。
以下ネタバレ込みの感想。
回想の中でIC時代に戻ることはありますが、時間軸はCC。
春希とかずさがニアミスしたあの緊張感MAXなシーンがありましたが、あの時、一時的に帰国していたかずさがどんな時間を過ごしたのか。
本編ゲームでは全然見えてこなかった部分がわかるドラマCDでした。
個人的に「おお!」と思ったのは、かずさ特集が組まれた雑誌・アンサンブルを見て、かずさがどんなリアクションをとったのか、という点。これを聞けたのがとても嬉しかったw
春希が気持ちに一区切りをつけた(つもりになっていた)、そして雪菜の心も密かに確かに蝕んだ、ある意味いわくつきの本なわけですが、当の本人であるかずさもこれを手にとっていたんですね・・・!
最初は自分の過去を遠慮なく暴露する記事に憤っていましたが、その文章に宿った思いを汲み取れたあとはもう・・・!忠犬かずさはここでも現れているなぁ。
クライマックスで流れる「届かない恋」の演出も素晴らしい。
ギターとピアノだけの演奏。文化祭前日の練習の一幕。2人きりだったその時。
しかしドラマの後ろで流れていた演奏が、急に途切れてしまう。まさに今の2人のように。
かずさだけでなく、母親の曜子や曜子オフィス社員の工藤さんにも注目したいところ。
工藤さんはちらほらと作中にも出てきましたが立ち絵もありませんでしたねえ。しかしこのドラマCDでは結構な出番が。彼女の「読んでくださいっ・・・」がグッときました。工藤さんのおかげでかずさは見落とさずにすんだんだよな、アンサンブルの記事にこめられたものを。
で、曜子さんも彼女らしい、いいキャラを炸裂させている。母親でありながら親友のような軽やかさで、あの気難しいかずさとコミュニケーションとってる様子は微笑ましいというかなんというか。
しかしこのドラマCD内のかずさと曜子のやりとりは、かなり興味深い。
「かずさの父親はだれか」という疑問はゲームをやってる中でありましたし、まぁ父親がだれかってそりゃストーリーとは関係ないんですが、でも冬馬曜子という女性を知るには重要な部分です。このドラマCDでは隠された曜子の半生がちょっとだけ垣間見える・・・ような気がする。
一世一代の大恋愛を、そして大失恋をかましたかずさに対しての曜子のリアクションは、ゲームをやっていても気になっていました。
「母親だから」というだけなのだろうか、この物分りの良さというか、同情をこめたような慈しみは。
もしかして曜子も、かずさのようなキツい失恋を経験したんじゃないかなぁという野暮な想像をしてしまうのですよ。恋多き女性という描かれ方でしたが、中でもとびきりの恋があったんだろうと。
曜子「彼の子供がほしいとか、本当に思わなかった?」
かずさ「・・・っ」
このやりとりとかねえ。かずさの心理を推測しつつ、もはや確認のような口調でいうのだ。
それで「ほーら、やっぱり私の子だ」なんて結論づける彼女なわけで。
ICでのかずさは別れ際に春希との強烈な思い出作りをしていったわけだけども、曜子さんもそんなことをしたんじゃないかなぁ。で、思い出作りが子作りになってかずさ誕生。(下衆妄想)
父親をかずさに教えないのは、今は絶対に会いにいけない相手だから、とか。
会いにいけない理由は・・・それは現在のホワルバ2のストーリーになぞらえてなんとなく妄想。
ゲーム本編、Codaでの曜子と春希のやりとりはすごい緊張を感じました。あの時曜子が放っていた気迫は、彼女がたどってきた歴史に基づいた感情があってこそのものだったのかなと思う。
春希をどう感じていたのか、ってことを踏まえて、改めてゲームプレイし直してみたいな。
ということで、冬馬曜子というキャラクターの描き方もかなりの注目どころとなる一枚。
なんだかんだで長くなってしまったドラマCD「一泊二日の凱旋」感想でした。
やっぱり書き出してみるといろいろ止まらなくなるな。面白い作品ですほんとうに。
ゲームをやったけどドラマCDまでは手をつけてないって人もいるんじゃないかと思いますが、より奥深くホワイトアルバム2を楽しむに素晴らしい出来のドラマCDだと思います。ぜひぜひ。
あと2枚のドラマCDも近々ふれたいです。
ホワイトアルバム2はなんかPS3への移植も発表されたようですねー。
もっと盛り上がれーホワルバ2ー。
なんか、プレイした感想をどこからどこまで文章化すればいいのかはかりかねていて2週目をやりきって整理つけたら、ちまちま感想をまとめていきたいなと思っています。IC(第一章)の感想はこちら。
やり終えた上でキャラの話をちょっとすると、キャラとしてはかずさ派です。1週目やりきった時点では傷が深すぎてかずさが好きとは言いづらくなっていたけど、2週目を進めているとやっぱかずさという女の子は素敵だなぁと。でも雪菜も・・・まぁそこらへんはいずれ。
さてクリアしても熱が冷めやらず、入手していなかったドラマCDを買いあさりました。ホワルバ2のためにアクアプラス通販サイトの会員登録もしましたよ。はあーお金が飛ぶ飛ぶ。
でホワルバ2のドラマCD、全部で3枚あるんですが、本編を補完するかたちでどれも見逃せない内容。でもひとつひとつの内容はゲーム本編と比べれば当然コンパクトにまとまっているので、なんとなく感想が書き出しやすい!
ゲーム本編の感想をまだかけていませんが、ドラマCDの感想から書いていきます。
「一泊二泊の凱旋」というドラマCD。通販で1000円だったっけな。
もとはC81で販売されたものらしいんですがその時はホワルバ2買ってなかったのです。
ジャケットからわかりますが、完全にかずさ主人公のストーリー。尺は35分ほど。
以下ネタバレ込みの感想。
回想の中でIC時代に戻ることはありますが、時間軸はCC。
春希とかずさがニアミスしたあの緊張感MAXなシーンがありましたが、あの時、一時的に帰国していたかずさがどんな時間を過ごしたのか。
本編ゲームでは全然見えてこなかった部分がわかるドラマCDでした。
個人的に「おお!」と思ったのは、かずさ特集が組まれた雑誌・アンサンブルを見て、かずさがどんなリアクションをとったのか、という点。これを聞けたのがとても嬉しかったw
春希が気持ちに一区切りをつけた(つもりになっていた)、そして雪菜の心も密かに確かに蝕んだ、ある意味いわくつきの本なわけですが、当の本人であるかずさもこれを手にとっていたんですね・・・!
最初は自分の過去を遠慮なく暴露する記事に憤っていましたが、その文章に宿った思いを汲み取れたあとはもう・・・!忠犬かずさはここでも現れているなぁ。
クライマックスで流れる「届かない恋」の演出も素晴らしい。
ギターとピアノだけの演奏。文化祭前日の練習の一幕。2人きりだったその時。
しかしドラマの後ろで流れていた演奏が、急に途切れてしまう。まさに今の2人のように。
かずさだけでなく、母親の曜子や曜子オフィス社員の工藤さんにも注目したいところ。
工藤さんはちらほらと作中にも出てきましたが立ち絵もありませんでしたねえ。しかしこのドラマCDでは結構な出番が。彼女の「読んでくださいっ・・・」がグッときました。工藤さんのおかげでかずさは見落とさずにすんだんだよな、アンサンブルの記事にこめられたものを。
で、曜子さんも彼女らしい、いいキャラを炸裂させている。母親でありながら親友のような軽やかさで、あの気難しいかずさとコミュニケーションとってる様子は微笑ましいというかなんというか。
しかしこのドラマCD内のかずさと曜子のやりとりは、かなり興味深い。
「かずさの父親はだれか」という疑問はゲームをやってる中でありましたし、まぁ父親がだれかってそりゃストーリーとは関係ないんですが、でも冬馬曜子という女性を知るには重要な部分です。このドラマCDでは隠された曜子の半生がちょっとだけ垣間見える・・・ような気がする。
一世一代の大恋愛を、そして大失恋をかましたかずさに対しての曜子のリアクションは、ゲームをやっていても気になっていました。
「母親だから」というだけなのだろうか、この物分りの良さというか、同情をこめたような慈しみは。
もしかして曜子も、かずさのようなキツい失恋を経験したんじゃないかなぁという野暮な想像をしてしまうのですよ。恋多き女性という描かれ方でしたが、中でもとびきりの恋があったんだろうと。
曜子「彼の子供がほしいとか、本当に思わなかった?」
かずさ「・・・っ」
このやりとりとかねえ。かずさの心理を推測しつつ、もはや確認のような口調でいうのだ。
それで「ほーら、やっぱり私の子だ」なんて結論づける彼女なわけで。
ICでのかずさは別れ際に春希との強烈な思い出作りをしていったわけだけども、曜子さんもそんなことをしたんじゃないかなぁ。で、思い出作りが子作りになってかずさ誕生。(下衆妄想)
父親をかずさに教えないのは、今は絶対に会いにいけない相手だから、とか。
会いにいけない理由は・・・それは現在のホワルバ2のストーリーになぞらえてなんとなく妄想。
ゲーム本編、Codaでの曜子と春希のやりとりはすごい緊張を感じました。あの時曜子が放っていた気迫は、彼女がたどってきた歴史に基づいた感情があってこそのものだったのかなと思う。
春希をどう感じていたのか、ってことを踏まえて、改めてゲームプレイし直してみたいな。
ということで、冬馬曜子というキャラクターの描き方もかなりの注目どころとなる一枚。
なんだかんだで長くなってしまったドラマCD「一泊二日の凱旋」感想でした。
やっぱり書き出してみるといろいろ止まらなくなるな。面白い作品ですほんとうに。
ゲームをやったけどドラマCDまでは手をつけてないって人もいるんじゃないかと思いますが、より奥深くホワイトアルバム2を楽しむに素晴らしい出来のドラマCDだと思います。ぜひぜひ。
あと2枚のドラマCDも近々ふれたいです。
ホワイトアルバム2はなんかPS3への移植も発表されたようですねー。
もっと盛り上がれーホワルバ2ー。