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マンガ感想を主に書くブログ。移転につき凍結中。

[小説]ツインテ幼女になって変態集団を撃破せよ!『俺、ツインテールになります。』

俺、ツインテールになります。 (ガガガ文庫)俺、ツインテールになります。 (ガガガ文庫)
(2012/06/19)
水沢 夢

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   俺にあるのは、ツインテールを愛する心だけ。

ガガガ文庫6月の新刊でした「俺、ツインテールになります」の感想。
水沢夢さんは本作で審査員特別賞を受賞したようです。
畑健二郎先生のコメントも帯によせられて気になっていましたがようやく読了。
いい意味で頭がおかしい、テンションふっ切れた楽しい一作!

主人公はツインテールを愛する男子高校生。
このツインテール愛こそが本作を象徴する個性です。ツインテール押しが強烈。冗談ぬきで1ページにつき1度は「ツインテール」という単語がどこかしらに存在している。例外はあったかもしれないですが、それくらいの勢いでツインテールというワードが飛び交う。もう何度ツインテールという文字列を読んだかわかりません・・・。
けれど作品としては戦隊モノっぽくもある、真っ当(?)なヒーローものなのです。
そしてこれまた意外なんですが、バカらしさを十分に保ち楽しませてくれる一方で、ストレートに心を熱くさせてくれる場面もある。とくにラストバトルの意味不明な熱量は・・・w

この作品はそんな馬鹿馬鹿しさがとても気持ちよくて、コメディとして好き。
こってこての漫才会話劇古風だったり、文章として読むと少々浮いて見える、ギャグマンガチックな表現(壁に突き刺さる、空から落ちて地面に人型の穴があく、など)も散りばめられる。
これがイヤだという人もいるかもしれないけど、変態・オタクネタをいじり倒す作風と相性が良い。わかりやすいくらいのオーバーリアクションコメディが作品に合っている。
で、本当にこの作品がバカらしいのは、主人公も敵もみんな真剣に狂っているということ。
別世界からやってきた敵組織は、いろんなフェチを持った変態集団。
ブルマ、ナース、ウサミミ・・・そんなフェチエネルギーを持って地球侵略を企てる極悪集団!うん、これっぽちも緊迫感はない!でもこんな設定でちゃんと危機になっているのだ。
そしてテキストもノリノリ。明らかなツッコミ役不足のまま進み、リアルにニヤニヤが止まらない。

地上に堕ちた太陽にいささかの見劣りもなく、燦々と輝きそよぐツインテール。
「―――――美しい・・・・・・まさに神の神・・・神、型・・・・・・」
それは、多くの世界を渡った歴戦の戦士の双眸に、その生涯を天秤の片皿に置いても釣り合うほどの光景――髪型だっただろうか。

お、おう・・・。カッコいいバトルの決着シーンだが、なんかよくわからないぞ。

狂っているといえばヒロインのトゥアールもすごい。
本作には2人ヒロインがいるけど、トゥアールは主人公の童貞を食う気マンマンのタフネス系痴女。ものすごい勢いで自分から汚れ役を買っちゃう。ついでにロリコン。
もう1人のヒロインに愛香からこっ酷くどつかれること何十回か・・・それでもめげずアクティブに主人公にセクハラをしかけにいく。大丈夫かよこのヒロイン。でも、すっごくかわいいです。
いい意味でその場を乱していくので、読んでいてとても面白いのです。
もしかして恋する女の子としての苦労もあるのか・・・?と終盤にほのめかされますが、本人は一貫して変態。「じつはいい娘なんだよ・・・」なんて差し伸べられたフォローも受け取らない、素晴らしい立ち位置!
愛香もかわいいですが、目立っているのは圧倒的にトゥアール。彼女の暴走がもっとみたいw

この作品、男子高校生が変身してツインテールの幼女になってしまう、というTS要素も持ち合わせた作品です。
しかし「ツインテールは大好きだが、自分がツインテールになるのは・・・」と照れてしまい、ノリノリで自分の身体をまさぐるようなことはせず。
というかこの主人公、あらゆる欲望がツインテールに向いているのです。そのため少女の身体をどうこうするといったありふれた欲望(と断定しておくよ!)が一切ない。
この作品らしくもありますが、TSとしちゃやや物足りないかも。
変態ではあるが下品さはない主人公像は、この作品には合っていますよね。
年頃の少年が悶々と蓄積させるはずドロドロしたやましい感情は、すべてがツインテール愛への昇華されている!
それにそういうストレートな性欲を発露させるキャラクターはヒロインで間に合っているのだ。



ということで、「俺、ツインテールになります。」の感想でした。
だいぶ頭悪い内容で、一気に読んで笑って楽しめる一冊でしたね。
これ、続編とか出ないかなー。1巻のおもしろさをキープできるか難しそうでもあるけど、続きを見たくなるくらいの面白さがありました。特にトゥアールの暴走痴女っぷり。
イラストも気合入っていましたね。とくに巻頭のカラー口絵は躍動感あふれるダイナミックなアクションシーンで、これだけ見て内容を勘違いして買いかねないレベルのカッコよさ!
見た目だけなら、ツインテール幼女が化物とバトルしていく作品なので、間違ってもきっと問題はないんですが・・・ここまでふざけてる作品だとは思わないだろうよ!

あとコミケでサイン本入手したんですけど、作者のサインもシュールで面白い。

ツインテ

作者もすごいツインテール愛。

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