[漫画]星に届きそうな時代の、ささやかな恋たち『ほしのうえでめぐる』1巻
アオハルsweetの水あさと先生の漫画、見開きをよく見ようとしたら背表紙バキッといった。
今頃そーゆーこと言うんだ
倉橋ユウス先生の新作「ほしのうえでめぐる」の1巻が発売されました。
全10話とあらかじめ決まった作品で、次の2巻で完結するようです。
舞台は未来。今よりもっと宇宙が近くなった時代での、甘酸っぱい恋模様が描かれます。
倉橋ユウス先生は以前に『恋愛遊星』という単行本を出していますが、これと雰囲気は非常に似ていますね。直接的な繋がりはないかと思いますが、『恋愛遊星』が気に入った人なら高確率で今回の作品も好きになるんじゃないのかなと。
ただ「恋愛遊星」はすでに宇宙人と地球人が密につながりあい、交流を経てからの物語。
対して今回の「ほしのうえでめぐる」は、地球人がまだ宇宙を目指している段階です。
似た設定ではありますが、メインとなる男女の境遇や物語のスケール感など違う点も結構あったりします。
他にも「恋愛遊星」が星や人種の違いといった部分に焦点をあてていましたが、今回は「夢を追う人々」が主人公となっています。恋愛以外の面でも心揺さぶられる物語になっていますね!
●宇宙へと高く伸びる『宇宙エレベーター』。
人類と宇宙の距離をぎゅっと縮めることが期待されるも、まだ建設中です。
この宇宙エレベーターを中心に、宇宙へのロマンに突き動かされる人々を描く作品。
でもただただ憧れを胸に頑張り続けるはできない。でも火を消さずに戦っていく。
夢にかける情熱を描いた第1話第5話は、かなり印象的で好きなお話でした。
さんざん子供の心を煽っておいて、でも大人になっても現実的には出来ないままで。
描いた夢を現実に叶えることはまだ出来ないことが、心をどんどん弱らせる。
「宇宙」に至るという大きな夢は、そう安々と実現することはできない。
しかしエレベーターの企画が生まれた第5話での回想を読むと、さらに作品全体への思いも高ぶるってもんです!厚く夢を語る姿はかっこいい。
1巻の時点では、エレベーター建設に登場人物たちはまだ大きな達成感を得てはいません。2巻に期待といったところ。
●各エピソードも面白いのですが、本作の最大の魅力は各エピソードの絡まり。
1巻は前半5つのエピソードを収録。
だいたい1話ごとにメインキャラクターを入れ替えていくオムニバス形式なのですが、各エピソードを飛び越えてキャラ同時がつながっていくのです。
そのため読み進めれば前に出てきたキャラの謎が意外な形で理解できたり、そんな連作だからこその仕掛けが施されているのです。
この1巻の中でも、1度読み終えてから再度読みなおすと新たな発見がありました。
ただしまだ解決されていない謎も数多く、2巻でどのように収束するのかとても楽しみ。
もちろん独立したエピソードも面白い。個人的に第3話には特に胸打たれました。
グロテスクな外形の介護ロボットと、目が見えない女の子の物語。
ひたむきな優しさとどうしようもない現実がぶつかりあい、非常に切ないお話です。ラストの寂寥感には思わずほろりと・・・。進んだ科学は人の心を豊かにするかも知れませんが、どんなに便利になった世でもお別れの寂しさからは逃れることは出来ないのかもしれません。
●そんな風に一筋縄ではないいかない、リアルな未来を描く作品なのですが、人々はこんな時代にも、やっぱりを恋に落ち続けている。甘酸っぱい恋愛描写も魅力的な作品なのです!
オビにある「星に手が届く時代に、君の心にたどり着けない。」とはじつにロマンチックでキュンとくるフレーズですね・・・!
主役となるのは10代20代の男女。ついニヤニヤしてしまうエピソードが盛りだくさんです。
SF漫画ですが恋愛漫画としての側面も強く、読みやすさがあると思います。
第1話はビターな要素も色濃いものでしたが、甘い恋がキャラクターにとっても読者にとってもの一時の救いとして描かれていたり、第2話なんかはストレートなラブコメやってたり。
ラブコメ好きとしては当然そちらの盛り上がりにも期待してしまいますね!
そういえば第1話のラストのやり取りは面白い。
ミサンガが丈夫であることを伝えて、「今頃そーゆーこと言うんだ」と微笑むヒロイン。彼女が何をミサンガに願ったかですよねえ。エレベーターの完成なのか。それとも2人の未来か。
まとめ的なことを書きますか。
連作形式・SF・ラブコメ、それぞれの面白さもありながらも、1つ1つが組み合わさってさらに面白くなっていると感じる作品でした。特に連作形式であるということがこの作品の最大の特徴。
1つ1つのエピソードが、核心にむけてだんだんと練り上げられていく感じ。パズルのピースが少しずつハマっていく。でもピース1つ1つだってとてもキラキラしている。ただ、やはりこの作品にちゃんとした評価を下せるのは、パズルのピースが全部ハマってどんなものが完成するかによるかなぁと。
全2巻構成を前提として組み立てられた作品ですしね。
もちろん1巻の時点で面白みがないなんてことは無いですが、待てる人は2巻が出てから2冊を一気読みするのもアリな選択肢でしょう。
細かな部分に伏線らしきものが張られた、計算された漫画だと思うので、きっと一気に読んだらさらに気持ちいいだろうなあ。まだ結末を読めてないので予想ですけどw
いろいろ書きましたがともかく、宇宙を目指すSFなスケール感と、今も昔も変わらぬ甘酸っぱい恋を堪能できる、いい作品だと思います。
現実感のないくらい未来の話でもなく、日常風景は現代と変わってない部分も多い。かと言って説得力を欠いたSF設定でもない。うまくできた世界観が広がっていると思います。
「恋愛遊星」といい、倉橋先生はよっぽどこのモチーフが好きなんでしょうね。
2巻が待ち遠しいですね。どんな結末を迎えるのが、今から楽しみです。
星の上で巡る、きっとこれからも変わらず紡がれていく、夢と恋のお話。
『ほしのうえでめぐる』1巻 ・・・・・・・・・・★★★☆
連作ならでは面白さが際立つ作品。ロマンを感じますねえ。
<追記>
●「2050年宇宙の旅」はエレベーターでY-OMIURI ONLINE(読売新聞)
わお。ホントに夢のある。
ほしのうえでめぐる 1 (BLADE COMICS) (2012/02/10) 倉橋 ユウス 商品詳細を見る |
今頃そーゆーこと言うんだ
倉橋ユウス先生の新作「ほしのうえでめぐる」の1巻が発売されました。
全10話とあらかじめ決まった作品で、次の2巻で完結するようです。
舞台は未来。今よりもっと宇宙が近くなった時代での、甘酸っぱい恋模様が描かれます。
倉橋ユウス先生は以前に『恋愛遊星』という単行本を出していますが、これと雰囲気は非常に似ていますね。直接的な繋がりはないかと思いますが、『恋愛遊星』が気に入った人なら高確率で今回の作品も好きになるんじゃないのかなと。
恋愛遊星 (MFコミックス アライブシリーズ) (2009/12/22) 倉橋 ユウス 商品詳細を見る |
ただ「恋愛遊星」はすでに宇宙人と地球人が密につながりあい、交流を経てからの物語。
対して今回の「ほしのうえでめぐる」は、地球人がまだ宇宙を目指している段階です。
似た設定ではありますが、メインとなる男女の境遇や物語のスケール感など違う点も結構あったりします。
他にも「恋愛遊星」が星や人種の違いといった部分に焦点をあてていましたが、今回は「夢を追う人々」が主人公となっています。恋愛以外の面でも心揺さぶられる物語になっていますね!
●宇宙へと高く伸びる『宇宙エレベーター』。
人類と宇宙の距離をぎゅっと縮めることが期待されるも、まだ建設中です。
この宇宙エレベーターを中心に、宇宙へのロマンに突き動かされる人々を描く作品。
でもただただ憧れを胸に頑張り続けるはできない。でも火を消さずに戦っていく。
夢にかける情熱を描いた第1話第5話は、かなり印象的で好きなお話でした。
さんざん子供の心を煽っておいて、でも大人になっても現実的には出来ないままで。
描いた夢を現実に叶えることはまだ出来ないことが、心をどんどん弱らせる。
「宇宙」に至るという大きな夢は、そう安々と実現することはできない。
しかしエレベーターの企画が生まれた第5話での回想を読むと、さらに作品全体への思いも高ぶるってもんです!厚く夢を語る姿はかっこいい。
1巻の時点では、エレベーター建設に登場人物たちはまだ大きな達成感を得てはいません。2巻に期待といったところ。
●各エピソードも面白いのですが、本作の最大の魅力は各エピソードの絡まり。
1巻は前半5つのエピソードを収録。
だいたい1話ごとにメインキャラクターを入れ替えていくオムニバス形式なのですが、各エピソードを飛び越えてキャラ同時がつながっていくのです。
そのため読み進めれば前に出てきたキャラの謎が意外な形で理解できたり、そんな連作だからこその仕掛けが施されているのです。
この1巻の中でも、1度読み終えてから再度読みなおすと新たな発見がありました。
ただしまだ解決されていない謎も数多く、2巻でどのように収束するのかとても楽しみ。
もちろん独立したエピソードも面白い。個人的に第3話には特に胸打たれました。
グロテスクな外形の介護ロボットと、目が見えない女の子の物語。
ひたむきな優しさとどうしようもない現実がぶつかりあい、非常に切ないお話です。ラストの寂寥感には思わずほろりと・・・。進んだ科学は人の心を豊かにするかも知れませんが、どんなに便利になった世でもお別れの寂しさからは逃れることは出来ないのかもしれません。
●そんな風に一筋縄ではないいかない、リアルな未来を描く作品なのですが、人々はこんな時代にも、やっぱりを恋に落ち続けている。甘酸っぱい恋愛描写も魅力的な作品なのです!
オビにある「星に手が届く時代に、君の心にたどり着けない。」とはじつにロマンチックでキュンとくるフレーズですね・・・!
主役となるのは10代20代の男女。ついニヤニヤしてしまうエピソードが盛りだくさんです。
SF漫画ですが恋愛漫画としての側面も強く、読みやすさがあると思います。
第1話はビターな要素も色濃いものでしたが、甘い恋がキャラクターにとっても読者にとってもの一時の救いとして描かれていたり、第2話なんかはストレートなラブコメやってたり。
ラブコメ好きとしては当然そちらの盛り上がりにも期待してしまいますね!
そういえば第1話のラストのやり取りは面白い。
ミサンガが丈夫であることを伝えて、「今頃そーゆーこと言うんだ」と微笑むヒロイン。彼女が何をミサンガに願ったかですよねえ。エレベーターの完成なのか。それとも2人の未来か。
まとめ的なことを書きますか。
連作形式・SF・ラブコメ、それぞれの面白さもありながらも、1つ1つが組み合わさってさらに面白くなっていると感じる作品でした。特に連作形式であるということがこの作品の最大の特徴。
1つ1つのエピソードが、核心にむけてだんだんと練り上げられていく感じ。パズルのピースが少しずつハマっていく。でもピース1つ1つだってとてもキラキラしている。ただ、やはりこの作品にちゃんとした評価を下せるのは、パズルのピースが全部ハマってどんなものが完成するかによるかなぁと。
全2巻構成を前提として組み立てられた作品ですしね。
もちろん1巻の時点で面白みがないなんてことは無いですが、待てる人は2巻が出てから2冊を一気読みするのもアリな選択肢でしょう。
細かな部分に伏線らしきものが張られた、計算された漫画だと思うので、きっと一気に読んだらさらに気持ちいいだろうなあ。まだ結末を読めてないので予想ですけどw
いろいろ書きましたがともかく、宇宙を目指すSFなスケール感と、今も昔も変わらぬ甘酸っぱい恋を堪能できる、いい作品だと思います。
現実感のないくらい未来の話でもなく、日常風景は現代と変わってない部分も多い。かと言って説得力を欠いたSF設定でもない。うまくできた世界観が広がっていると思います。
「恋愛遊星」といい、倉橋先生はよっぽどこのモチーフが好きなんでしょうね。
2巻が待ち遠しいですね。どんな結末を迎えるのが、今から楽しみです。
星の上で巡る、きっとこれからも変わらず紡がれていく、夢と恋のお話。
『ほしのうえでめぐる』1巻 ・・・・・・・・・・★★★☆
連作ならでは面白さが際立つ作品。ロマンを感じますねえ。
<追記>
●「2050年宇宙の旅」はエレベーターでY-OMIURI ONLINE(読売新聞)
わお。ホントに夢のある。
[漫画]もっとくっつきたいんだ。『たいようのいえ』5巻
針栖川の番外編的に今週のジャンプは保存するしかない。
そういうの抜きにして 私のこと 見て欲しいから
「たいようのいえ」5巻が出ています。ドラマCD付き限定版も同時発売。
限定版なんか出ましたし、アニメ化なんかしたら嬉しいんですけどもね。
さて、家族をテーマとしつつ、展開する淡い恋模様が魅力的な本作。
4巻は非常に気になるヒキで終わっており、5巻を楽しみにしていたわけですが
今回もたっぷりニヤニヤできたり切なくなれる内容となっています。
この作品いつもカバーを外したところも必見なのですが、今回はまた特に可愛い・・・。
前巻→“家族”って暖かくて、ちょっと切ないね。『たいようのいえ』4巻
「もしかして私のこと 好き?」なんて随分大胆なことを尋ねた真魚ちゃん。
「まお」ちゃんなのにいつも脳内ではまぎょって呼んでしまいます。うん、どうでもいい。
5巻ではオープニングから、その質問に対する基の答えが聞けるか・・・?というタイミングで、いきなりドキドキしてしまいました。
家族と恋。両立の難しい2つの要素の上でふわふわしている真魚。
それに思い悩む姿はある意味「擬似家族」という設定を、美味しく活用してるシチュエーションでしょうか。曖昧で絶妙なバランス感覚の上で成り立っている関係。
しかし「じゃあ現実的にこの恋を叶えるには?」といった部分で、より現実的な重みも含みつつ真魚ちゃんの頑張りが描かれてきているのがこの5巻なのかなと思いました。
基に大切にしてもらっていることは感じている・・・けれど、それが恋愛としての「好き」ではないってこともわかっている。
家族としていつもすぐそばにいられるのは幸せ。でもこのままじゃずっと関係は変わらないかもしれない。うう、もどかしい。今の妹みたいなポジションから抜け出したい真魚ちゃん。
そこで目下彼女が頑張っているのは、一人暮らしの準備。
基に想ってもらっているのは、自分の境遇から同情されている分が大きいと考える真魚は、ずっと前からそのことを気にしていました。今は養ってもらっている身。でも自立すれば。基と同じ位置に立てる。真魚は一人暮らしをしようと頑張るのです。
5巻も「そういうこと(同情)抜きにして 私のこと見てほしいから。私だって基を幸せにしたいから!」とホロリとくるセリフを言い放ったりしています。
恋する女の子としての切実さとか一生懸命さとか、素晴らしいですね・・・!
今回は不動産屋に行って実際に部屋を見に行きもしました。この先やって来るかも知れない一人暮らしスタートな展開に、さらに現実味が帯びてきましたねぇ。さてどうなるか。
それにしても、「かわいそうな子って思われたくない。迷惑だってかけたくない。」ってぽろぽろ泣いちゃうシーンもときめきハンパなかった・・・。ほんといい子だよ・・・。
しかし真魚と基のラブコメっぷりには今回も大満足ですよ!
特にこの巻の18話19話はニヤニヤせずにはいられなかった・・・!
なんだこのナチュラルなイチャイチャ!新婚か!
これって家族としての距離感かなぁ。17話では膝枕もしてましたよ!
基は狙ってないみたいですけども、真魚としちゃドキドキして仕方ないでしょうに。
でもそんな基も「理性・・・理性・・・」と自己暗示かけたりするシーンも結構見受けられましたね。もう明らかに真魚を女の子として意識しまくってて笑っちまいますよ!でへでへ!
そして5巻は真魚ちゃんのいろんな表情を楽しめてしまいますねえ。
友達との話の中で、いつか基とするかも知れないちゅーやらえっちやらを想像してしまってか、こんなに顔を真っ赤にしちゃう真魚ちゃんに悶絶・・・!
なぜか逆切れしてついつい鼻息荒く基に接してしまうのもたまらんです。
普段がけっこう無愛想で、抱えている気持ちのせいで切ない表情も多く見せる真魚。
でもこういう歳相応にくだけた雰囲気というか、子供っぽさで全面に出したシーンはたいがいめちゃくちゃ可愛いです。もちろん上みたいに真剣な時にも可愛いんですけど。
しかし真魚と基だけでなく、サブキャラ勢の動きも活発でしたね。
まずラジカルさんこと杉本さんが、再度アクションをかけてきたことが印象的。
14話に結構インパクトある出来事がおきて、それで諦めがついたとは想いませんが一区切りはついたのかなぁと見ていましたが、まだまだ動きがありそうで楽しみですね!
でもせっかく誘ったのにあっさり断られちゃったシーンは見てられなかった・・・切ないないなぁ・・・でもやっぱ個人的には真魚と基の組み合わせは固定なので、杉本さんは・・・。
あとちーちゃんと織田くんも一気に進展。仕方ない勘違いだったけれど、今回は織田くんの言動に笑わざるを得ませんでしたw
でもちーちゃんの気持ちをめぐる心理描写も素晴らしく、キュンとさせられます。
織田くんと真魚の間でかなり苦しい心境だったはずで「解いたげて、ね?」のコマの時の表情なんか見てて苦しいですよ。笑おうとしてるのに目がうるんじゃってて。
ちーちゃん幸せになってほしいなぁ。真魚との友情も見てて気持ちがいい。
「こんな話してたら乙女になった気分・・・恥ずかしい・・・」「そうだね、でも放出しないと死んじゃう」ってやりとりがなにげにとても好き。なるほどなーってなるというか。女の子らしくすることに女の子自身照れちゃってるあたりとか。でもそういうのが自然なものなのかな。
そして1番に気になるのが基の弟・大樹がどう動くかですよ!
読んでみてのお楽しみですが、5巻ラストではまさかの発覚!
ここからどう展開していくか、まだ読めませんが、しかし意外な方向に進みましたね。
かわいい・・・か・・・?
他、今回も真魚と大樹は謎のコンビネーションを見せつけ、実にシュールで面白かったです。
この2人根本的な部分で息があってる気がする・・・。
このよくわからないゲテモノケーキを前にかっこ良く「悪くない」。相変わらず謎センス。
そんな「たいようのいえ」5巻でした。
超ラブコメっぽいやりとりが連続していて実にニヤニヤできる内容でした・・・!
しかしこの作品のメインテーマがどんどん際立ってきてもいて、暖かくも切ない雰囲気は相変わらず。今回は個人的に特に今後が気になるイベントが多かったと思います。
気づけばもう5巻目ですが、これからも追っていきたい作品ですね。
しかし感じたのが、誰がどんな情報を持っているのか、混乱してきたなーと。
このキャラはどこまで知っているのか、何を勘違いしているのか、なにげに情報量が多い。
全体的に描写があっさりとしており読みやすい作品なのですが、キャラクターが増えてきた今ではけっこう相関図が混乱してきます。もう一度読みなおして整理しておきたいですね。
『たいようのいえ』5巻 ・・・・・・・・★★★☆
メイン2人はイチャラブ、サブキャラ勢はなかなか激動。先が気になりますね。
たいようのいえ(5) (KC デザート) (2012/02/13) タアモ 商品詳細を見る |
そういうの抜きにして 私のこと 見て欲しいから
「たいようのいえ」5巻が出ています。ドラマCD付き限定版も同時発売。
限定版なんか出ましたし、アニメ化なんかしたら嬉しいんですけどもね。
さて、家族をテーマとしつつ、展開する淡い恋模様が魅力的な本作。
4巻は非常に気になるヒキで終わっており、5巻を楽しみにしていたわけですが
今回もたっぷりニヤニヤできたり切なくなれる内容となっています。
この作品いつもカバーを外したところも必見なのですが、今回はまた特に可愛い・・・。
前巻→“家族”って暖かくて、ちょっと切ないね。『たいようのいえ』4巻
「もしかして私のこと 好き?」なんて随分大胆なことを尋ねた真魚ちゃん。
「まお」ちゃんなのにいつも脳内ではまぎょって呼んでしまいます。うん、どうでもいい。
5巻ではオープニングから、その質問に対する基の答えが聞けるか・・・?というタイミングで、いきなりドキドキしてしまいました。
家族と恋。両立の難しい2つの要素の上でふわふわしている真魚。
それに思い悩む姿はある意味「擬似家族」という設定を、美味しく活用してるシチュエーションでしょうか。曖昧で絶妙なバランス感覚の上で成り立っている関係。
しかし「じゃあ現実的にこの恋を叶えるには?」といった部分で、より現実的な重みも含みつつ真魚ちゃんの頑張りが描かれてきているのがこの5巻なのかなと思いました。
基に大切にしてもらっていることは感じている・・・けれど、それが恋愛としての「好き」ではないってこともわかっている。
家族としていつもすぐそばにいられるのは幸せ。でもこのままじゃずっと関係は変わらないかもしれない。うう、もどかしい。今の妹みたいなポジションから抜け出したい真魚ちゃん。
そこで目下彼女が頑張っているのは、一人暮らしの準備。
基に想ってもらっているのは、自分の境遇から同情されている分が大きいと考える真魚は、ずっと前からそのことを気にしていました。今は養ってもらっている身。でも自立すれば。基と同じ位置に立てる。真魚は一人暮らしをしようと頑張るのです。
5巻も「そういうこと(同情)抜きにして 私のこと見てほしいから。私だって基を幸せにしたいから!」とホロリとくるセリフを言い放ったりしています。
恋する女の子としての切実さとか一生懸命さとか、素晴らしいですね・・・!
今回は不動産屋に行って実際に部屋を見に行きもしました。この先やって来るかも知れない一人暮らしスタートな展開に、さらに現実味が帯びてきましたねぇ。さてどうなるか。
それにしても、「かわいそうな子って思われたくない。迷惑だってかけたくない。」ってぽろぽろ泣いちゃうシーンもときめきハンパなかった・・・。ほんといい子だよ・・・。
しかし真魚と基のラブコメっぷりには今回も大満足ですよ!
特にこの巻の18話19話はニヤニヤせずにはいられなかった・・・!
なんだこのナチュラルなイチャイチャ!新婚か!
これって家族としての距離感かなぁ。17話では膝枕もしてましたよ!
基は狙ってないみたいですけども、真魚としちゃドキドキして仕方ないでしょうに。
でもそんな基も「理性・・・理性・・・」と自己暗示かけたりするシーンも結構見受けられましたね。もう明らかに真魚を女の子として意識しまくってて笑っちまいますよ!でへでへ!
そして5巻は真魚ちゃんのいろんな表情を楽しめてしまいますねえ。
友達との話の中で、いつか基とするかも知れないちゅーやらえっちやらを想像してしまってか、こんなに顔を真っ赤にしちゃう真魚ちゃんに悶絶・・・!
なぜか逆切れしてついつい鼻息荒く基に接してしまうのもたまらんです。
普段がけっこう無愛想で、抱えている気持ちのせいで切ない表情も多く見せる真魚。
でもこういう歳相応にくだけた雰囲気というか、子供っぽさで全面に出したシーンはたいがいめちゃくちゃ可愛いです。もちろん上みたいに真剣な時にも可愛いんですけど。
しかし真魚と基だけでなく、サブキャラ勢の動きも活発でしたね。
まずラジカルさんこと杉本さんが、再度アクションをかけてきたことが印象的。
14話に結構インパクトある出来事がおきて、それで諦めがついたとは想いませんが一区切りはついたのかなぁと見ていましたが、まだまだ動きがありそうで楽しみですね!
でもせっかく誘ったのにあっさり断られちゃったシーンは見てられなかった・・・切ないないなぁ・・・でもやっぱ個人的には真魚と基の組み合わせは固定なので、杉本さんは・・・。
あとちーちゃんと織田くんも一気に進展。仕方ない勘違いだったけれど、今回は織田くんの言動に笑わざるを得ませんでしたw
でもちーちゃんの気持ちをめぐる心理描写も素晴らしく、キュンとさせられます。
織田くんと真魚の間でかなり苦しい心境だったはずで「解いたげて、ね?」のコマの時の表情なんか見てて苦しいですよ。笑おうとしてるのに目がうるんじゃってて。
ちーちゃん幸せになってほしいなぁ。真魚との友情も見てて気持ちがいい。
「こんな話してたら乙女になった気分・・・恥ずかしい・・・」「そうだね、でも放出しないと死んじゃう」ってやりとりがなにげにとても好き。なるほどなーってなるというか。女の子らしくすることに女の子自身照れちゃってるあたりとか。でもそういうのが自然なものなのかな。
そして1番に気になるのが基の弟・大樹がどう動くかですよ!
読んでみてのお楽しみですが、5巻ラストではまさかの発覚!
ここからどう展開していくか、まだ読めませんが、しかし意外な方向に進みましたね。
かわいい・・・か・・・?
他、今回も真魚と大樹は謎のコンビネーションを見せつけ、実にシュールで面白かったです。
この2人根本的な部分で息があってる気がする・・・。
このよくわからないゲテモノケーキを前にかっこ良く「悪くない」。相変わらず謎センス。
そんな「たいようのいえ」5巻でした。
超ラブコメっぽいやりとりが連続していて実にニヤニヤできる内容でした・・・!
しかしこの作品のメインテーマがどんどん際立ってきてもいて、暖かくも切ない雰囲気は相変わらず。今回は個人的に特に今後が気になるイベントが多かったと思います。
気づけばもう5巻目ですが、これからも追っていきたい作品ですね。
しかし感じたのが、誰がどんな情報を持っているのか、混乱してきたなーと。
このキャラはどこまで知っているのか、何を勘違いしているのか、なにげに情報量が多い。
全体的に描写があっさりとしており読みやすい作品なのですが、キャラクターが増えてきた今ではけっこう相関図が混乱してきます。もう一度読みなおして整理しておきたいですね。
『たいようのいえ』5巻 ・・・・・・・・★★★☆
メイン2人はイチャラブ、サブキャラ勢はなかなか激動。先が気になりますね。
[漫画]この先生で大丈夫?保健室ではじまる医療ドラマ『放課後カルテ』1巻
放課後カルテ(1) (BE LOVE KC) (2012/02/13) 日生 マユ 商品詳細を見る |
私を初めて見つけてくれた先生だよ
日生マユ先生の「放課後カルテ」の1巻が発売しました。
コミティアに行ってから「Eleanor-R」というサークルさんを大好きになったのですが、日生マユ先生はそのサークルの中の人。ついに商業から出たこの単行本もすぐ買いに行きましたとも。
さて内容は、学校医としてやってきたとても無愛想な男を中心に巡っていく、小学校を舞台とした医療マンガ。家庭の医学チックに、身近だけど恐ろしい病気に触れつつ、児童や大人たちを描いていく作品です。
保健室の先生が産休になり、新しくやってきたのは牧野という医者。
学校に本物のお医者さんが来たということで安心を覚える人もいますが、しかしこの牧野という人物には小学校で働くにはワリと深刻な欠点が・・・
愛想わるっ・・・!
生徒相手に無愛想。言葉遣いも眼つきもひどい・・・。これが学校医で大丈夫でしょうか。
ところが読んでいると、どんどんと牧野が好きになってくる。
最初は戸惑うばかりの生徒たちと他の先生たちも、じきに彼の本当の人柄がわかってくる。
彼を誤解していた人々が彼を見なおしていくことも爽快なのです!
作品は1話完結で展開してゆき、誰かが体調を崩し、それが病気だと判明していく形。
舞台が小学校なことからも推測できましたが、生徒たちが病気にかかることが多い。
単行本のオビには「子供たちを救えるのは病院ではなく、学校だ。」という印象的なフレーズがありましたが、内容をぴったり表したコピーだと思います。
医療マンガということで、心配な人物を診断し、回復へと導いていくのが主な流れなのですが、それだけでなく病気によってこじれた人間関係も修復させていってくれる。
人間関係って本当にささいな行き違いでバランスを失ってしまう。子供たちの世界でもそれはおんなじで、病気なんていうイレギュラーによって引き離される友情や愛情もあったりする。
なにより病気によって傷つくのは、その人の体だけでなく心もそうなのだ。
「病気」という現実と、その言葉の重みで心が挫けそうになるのは子供たち。
牧野は実にあざやかにそのフォローを行なっていく。学校で生きる子供たちだからこそ、学校の中で癒すことが重要なのかも知れませんね。
彼は医者として一流・・・かどうかはまだ作中描かれてはいませんが、教師としてもなかなか優れた人物なのではないでしょうか。まぁ、無愛想すぎますけれどもw でも無愛想ななかにまちがいなく優しさがにじみ出ていることが伺えて、好感度が高いのです。
そして本作で描かれるのは、子供たちの世界だけではありません。
第4話、第5話は子供も描かれているのですが、むしろメインなのは大人たちです。
児童を通じて学校は家庭ともつながっている。牧野先生は親御さんも診断しますし、トラブルによって離れてしまいつつある親子の絆も気にかけ行動を起こす。
印象的だったのは第5話。悲しい形に歪んだしまった母と子のお話です。
人間と向き合うことが大事な医療。だからこそか、この作品は丁寧に人間のドラマを描いているんですよね。そういうところが自分が本作を好きになった理由の1つでです。
そしてそのドラマを魅力的にしてくれるのが牧野という男のキャラクター。
たしかにぶっきらぼうだけれどしっかりとその人を観察してて、実は結構優しくて。
どうやらかつては普通に病院勤めだったようですが・・・過去になにかありそうな感じ。
彼に関しては2巻以降に描かれていく部分も大きいでしょう。楽しみです。
そんな風に、切なくもさわやかな感動を味わわせてくれる作品でした。性別も年代も問わず楽しめる一冊なのではないでしょうか。題材的にもドラマ化なんて似合いそうですねー。
医療マンガと聴いてイメージされるような堅苦しい雰囲気はなく、小学校を舞台としたストーリー重視の学園ドラマとしてみてもいいかもです。
病気は不思議なものではなく日常にあって、誰の隣にでも潜んでいる。でもそんな中でどう日々を生きていくか。まだ不器用な子供たちに手を差し伸べる先生・牧野の活躍に期待です。
『放課後カルテ』1巻 ・・・・・・・・・・★★★☆
読みやすい小学校医療マンガ。子供にも大人にも焦点が当たっているのが良い。
で、せっかく日生マユ先生の作品の感想を書いたので、セットで同人誌の感想でも。
たしか去年のGWのコミティアで買った本です。
同人誌はいくつか持っているのですが、中でも1番お気に入りなのがこの本。
「DIASTASE」という本で、2つの短編が載ってるのですが、中でも表題作の「DIASTASE」という作品が素晴らしくツボなのです。
別々の高校に進むことが決まった、2人の中学生の女の子を描いた作品。
たったの6ページ。しかし胸に迫る切なさの、この甘酸っぱいこと・・・!
まさに刹那的な感情に突き動かされる少女の未成熟さと、その抑えが聞かない気持ちに心が苦しくなってきます。「甘い媚薬のように」飲み込む。支配される。蝕まれる。
夕暮れ時の電車の中、ノスタルジックな風景の中で一瞬交差する、残酷さと愛おしさ。
ショートだからこそ、ストーリーを描くというよりも詩のように読む人の中で思いをふくらませるためのような構成を取っており、読むたびに自分の中で何かが膨らみ成長していく。
加えて思春期の危うさと百合カップルの仄暗い関係性が絶妙にマッチしています。
はぁー・・・これ書くにあたってまた読みなおしたんですが、たまらんです。
こういう風に作家さん発掘できるのでコミティアは楽しい。・・・あまり行けてないけど。
[漫画]そこは明治の港町。優しさと季節の風を感じる癒し漫画『ちろり』1巻
ちろり 1 (少年サンデーコミックス〔スペシャル〕) (2012/02/10) 小山 愛子 商品詳細を見る |
たしかにあの子は「ちろり」だよ。
小山愛子先生の「ちろり」1巻が出ました。少年誌掲載にしては珍しいA5版。
でもこのサイズは正解だったと思います。大きな絵でじっくりと読みたい作品です。
明治時代、西洋の文化が入ってきた位のレトロな時代の中描かれる、港町の小さな喫茶店のお話。のんびりといい雰囲気に浸れる作品だと思います。心を穏やかにできるというか。
ちろりという少女とマダムの2人でやりくりしている喫茶店「カモメ亭」。
住み込みで働くちろりちゃんの日常を、季節感たっぷりに描いていく作品。
ちょうど1話が掲載されたとき雑誌の感想で触れたので、ヒマでしたらそちらも。
→静寂可憐な新連載「ちろり」が面白い!・・・他『ゲッサン』7月号
この作品の感想として言いたいことはだいたいこの記事で書いちゃってるんですけども・・・・、やはりこの1話はとても印象的でした。
明け方目を覚ましたちろりが、身だしなみを整え、自分で着物を着付けて、開店準備をする。それだけを20ページほどをかけてじっくりと描写し、その間無音状態のサイレント漫画。
愛おしそうに店内を眺める所も好きですが、やはり彼女の着付けシーンに魅了される!
少女としての幼さを残しつつ、凛々しくもあり、パリッとした緊張感すらあって。
サイレントだからこそ、実に丁寧に描かれた絵の細部を意識できる。むしろ意識するからこそこの作品を真髄を味わえるというか。
彩りある季節のめぐり。人々のざわめき。町に吹きこむ潮風。湯気とともに匂い立つコーヒーの香り・・・。しっとりと水気を含んだような雰囲気の良さに、惚れ惚れしてしまうんですなあ。
それぞれの季節の風をふんわり感じつつ、ちろりちゃんの可憐さに舌鼓。
ああ、いい笑顔だ・・・。
カモメ亭の看板娘とも言えるちろり。彼女の些細な心配りや頑張りやなところが、カモメ亭にやってくるお客さんたちの胸を打つんですね。
「ちろり」という名前は彼女にピッタリ。
けっして体は大きくないし、強い存在感があるでもない。けれどちょっとだけ、人の心を幸せにしてくれる。それはカモメ亭にやってくる人々のみならず、読者も。
マダムとちろりちゃんの仲の良さも読んでいて微笑ましいですねえ。
ちろりちゃんがマダムに向ける憧れの眼差し・・・、マダムの一挙一動にちろりも一喜一憂したり。彼女が差し向ける優しさを受け取っては顔を赤らめて。
ほんのり百合っぽい?雰囲気を漂わせつつ、それまでの雰囲気を壊すことのなく、人と人の交流や優しさを上品に感じさせてくれます。
・・・いや、この2人の関係には色っぽさがある気がするんですよ。百合と言い切るのには抵抗ありますけれど・・・なんでもかんでも恋愛感情だと解釈してしまうのは自分の悪い癖です。
さて、この作品は季節感を重視しています。
夏には夏の、冬には冬の空気をめいっぱいに感じさせてくれる。
季節が際立つ中で、キャラクターの息づかいも感じ取れるのが素晴らしいです。
個人的に好きなのが夏のエピソード。
夏だと暑いでしょってことで、薄手の着物を着ることになるちろりですが。あまりのスケスケっぷりに緊張してしまっています。そのドキドキした様子がかわいいくてかわいくて!
あと花火のエピソードもたまらない。
花火を見るために喫茶店に押し寄せてきたたくさんのお客さん。その対応するために暑い中働き詰め。花火お見ることもできず仕事に追われるちろりちゃん。
そして落ち着いてから差し出された1杯の水を、ゴクゴクと実に美味しそうに飲み干す。
汗だくになって頑張ったあとだからこその1杯。日常の中できらめく些細な幸せです。そこに静かにスポットライトを落とした、お気に入りのエピソードでした。
もともとはゲッサンの2011年1月号に読み切りとして登場した作品ですが
7月号から正式に連載となりスタートしました。単行本には第7話まで収録。
そういえば読み切りは収録されていなくて惜しいなぁと思いましたが
これを改めて読んでみたら、連載版とはちょっと雰囲気が違うんですよね。
季節感を重視し、しみじみと雰囲気に浸らせる感覚は現在と同様でしたが、若干ドタバタ要素があったりしました。でもこの読み切りも好きなのでいずれ収録して欲しいなー。
作画に関して好感度たかし。情緒豊かな作品の魅力を引き出しているのは、サイレント演出にも耐えうる丁寧な仕事ぶりでしょう。
基本的に店内ばかりで展開していくのですが、そこからその季節に応じた町全体の雰囲気がつかめてしまうのがいいですねえ。和洋の空気が入り交じる明治という舞台設定も絶妙。
キャラクターはかわいくかけていますが、ちょいと首が長いのが気になるか。でもキャラクターがしなやかなラインで描かれて、自分としてはかなり好きな感じ。ちろりちゃんの表情もいちいち可愛くてたまりません!
ストーリー色はほとんどなく、まったりとした感じを味わう作品。いわゆるヒーリングコミックと言えるかも。セリフ量がとても少なく、するすると読めてしまうのですが、できればゆったりと1コマ1コマを噛み締めながら味わっていきたい漫画ですねえ。
キャラや展開など、一種の「奥ゆかしさ」がツボになる癒し漫画です。
それは物腰の柔らかさというか、包み込まれるような居心地のよさというか。
季節の風と、やさしさと、ちょっとした幸せと・・・、様々なものにしみじみ感じ入ります。
あと単純に、着物を来てちまちまと頑張る女の子の仕事ぶりがかわゆい。
『ちろり』1巻 ・・・・・・・・・・・★★★★
静寂が活きている漫画。心を落ち着けて味わいたい、上品な明治ロマン。
[漫画]1人の強さ、仲間とともにある強さ 『ハンザスカイ』10巻
ハンザスカイ 10 (少年チャンピオン・コミックス) (2012/02/08) 佐渡川 準 商品詳細を見る |
すまない。俺が弱かった。
ついに2ケタになったよーハンザスカイ。第10巻が出ています。
チャンンピオンといえば「弱虫ペダル」とか現在最高潮すぎる「バチバチ」などスポーツ漫画が個人的にもアツい雑誌なわけですが、この「ハンザスカイ」も大好きで。
高校の空手道部を描く本作。現在はインタハイ予選でボルテージも上昇中!
それと今回からちょっと表紙のデザインが変わったみたい。いい感じじゃないですか。
主人公ら御門高校たちをメイン描いている作品ですが、しかし他の学校のメンバーやその校風なども魅力たっぷりであるのがこの作品の特徴。
敵ながら応援したくなってしまうキャラが大勢いるんですよね・・・!
この10巻も、御門のライバル校・蓮城高校の準決勝戦から始まり、実に熱い。
準決勝戦の大将戦。これで決勝進出が決まる大一番。
対決するのは蓮城の伊奈と、要陵の徳良。蓮城は作中で最初に御門と対戦した高校であり、以降も強力なライバル校として描かれてきました。今回もこの対戦はじっくりと綴られてきましたが・・・結果を言うと、会場の多くが予想していなかった、蓮城の敗退。
しかし蓮城・伊奈選手の敗北後の様子にも、自分はしびれまくってしまいました。
負けてしまった理由・・・
『先週の稽古でくじいた足が完治していなかった』『相手のデータが不足していた』『前までの試合時間が短くてピークにもっていけなかった』『実は緊張して眠れてない』『予想外のリーチに手を焼いた、対応したつもりだったが――』『青柳を意識しすぎた』『朝食がカツ丼だったおかげで胃がもたれた』 いろんなものが彼の脳裏に浮かぶ。
朝飯にカツ丼食べて胃がもたれていたのか・・・なら仕方ないな・・・・ んなわけない。
青柳を意識しすぎたり、あんなどっしり構えておきながら実は緊張で夜眠れていなかったり、ここに来て予想外の萌え要素を披露した伊奈選手ですが、しかしここから震える!
負けてしまった。悔しい。申し訳ない。でも言い訳は、いくらでも―――
「すまない。俺が弱かった。」
その一言のみをメンバーに告げる伊奈。言い訳をぐっと飲み込んで、ただじっと自分の力不足を、敗北を、噛み締める。悔しくないわけがない。けれど結果から逃げない。
ああなんて、もう、ムッチャクチャ格好いいですね・・・!!
負けてすら読者を魅了してくれる。たまらんです。
そして「・・・しょうがねえ 伊奈が勝てねぇんじゃ しょうがねぇ・・・」と、蓮城はトーナメントから姿を消していきました。なんて寂しい背中。でも素晴らしいものを見せてもらいました。
そして彼に勝利した徳良選手だって抱えるもの・背負うものがあります。
要陵は次で御門と当たりますし、そこでさらに深く描かれていくことになるでしょう。
色々な思いが集中していきながら、舞台はいよいよ決勝戦へと移っていくのです。
10巻のポイントは蓮城の試合のクライマックスと、決勝戦のイントロ。
特に主人公・半座が挑むのは最強の謳われる選手である吹越であり試合前からしっかりと試合を盛り上げるべく展開していましたね。
まず半座VS吹越はかなり明確な対比がされます。
吹越は圧倒的な実力を誇り、そのぶん部活内でも浮いた存在。
強すぎるために他のメンバーから遠慮されたり、本人も「1人の方が強くなれる」と、あえて孤立の道を進んでいる様子。ストイックというか貪欲というか。
対する半座は、かつて周囲から孤立していた少年です。事実それで強かった。
昔は「1人の方が強くなれる」と信じていた。けれどそれは打ち砕かれて、空手を始めた。今は仲間に囲まれて、どんどん強くなってきていると実感できている。
今の半座には彼を迎え入れてくれる居場所と、共に笑ってくれる仲間たちがいる。
半座にとっては、今の自分が歩んでいる道の正しさを証明するのにも繋がる、重要なメッセージを持った一戦になっているのですね。
そんな内面の対比だけでなく、片や去年の個人戦覇者、片や空手始めたばかりの白帯。
実力差はありすぎる程。この試合がどんな結末となるのか要注目。
それだけでなく半座たちが入る前の御門高校空手道部の様子も描かれ、現在との対比がされています。賑やかになった今の空手道部。部長の青柳も思わず笑がこぼれてしまう。
様々な部分で、決勝戦に向けて順調に盛り上がっていく1冊となっているのです。
個性豊かなキャラクターたちが織り成す、熱く切実に胸に突き刺さるドラマの数々。
連載も2年を超えて、結構長い連載に成長してきましたが、「ハンザスカイ」という作品はここまで中だるみなしで楽しませてくれています。展開的にも次が決勝戦と、目が離せない!
今回は特に伊奈選手の敗北からの流れが最高でしたねえ・・・震えた震えた。
続く11巻に発売も楽しみにしています。
そうそう、空手で戦うのは男ばかりでもないんだぜってことで
初見恋ちゃんめっさかわいいな!ってことで感想〆。
巻末描きおろしは恋ちゃんが主役で俺歓喜。珍しくまともにかわいい女性キャラが出たな(ひどい)!もなかちゃんもかわいいけどね!
『ハンザスカイ』10巻 ・・・・・・・・・・★★★★
決勝に向けてむくむくとテンションを高める内容。次は結構久しぶりの半座の試合!