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正直どうでもいい(移転しました)

マンガ感想を主に書くブログ。移転につき凍結中。

[本]胸に宿る音の温もり・・・人と音が編み出す物語たち。 『ききみみ図鑑』

これから今月末にかけて発売される単行本のラインナップがたまらない。
ききみみ図鑑 (ビームコミックス)ききみみ図鑑 (ビームコミックス)
(2010/11/15)
宮田 紘次

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   僕は、音楽が嫌いだ。

Fellows!にて「真昼に深夜子」連載中の宮田紘次さんの作品。
コミックビーム08年5~12月号に掲載された「ききみみ図鑑」がようやく単行本化。
個人的に凄いピッタリくる漫画を描く作家さんで、本が出てくれて嬉しいです。
ちなみにこの作品で初連載だったようです。
しかしこれまた表紙が好きな感じ・・・!綺麗な色合いですね。
ギター少女が目印のこと単行本、内容も広い意味では音楽漫画です。
様々な「音」をテーマとした、全8話のオムニバス漫画です。
今回はうち4作について。全部取り上げたいけど、それはやり過ぎか。



視える音

最初の作品。表紙はこの作品のキャラクター。『音』は音楽。
主人公は生まれつき「音が視える」特殊体質を持つ学生。
日々そこらじゅうに溢れている耳障りな雑音のせいで、彼はいつも世界がおかしな化け物だらけに見えています。うんざりする毎日のせいで、音楽を嫌ってしまう少年。
かつて1度、美しい音の風景を見たからこそ、彼はここまで捻くれてしまっているのかな。
しかしそんな彼にも転機が。
ある日ふと覗きこんだ教室には、ギターを演奏する女の子が。
その音色は、まるで竜のようだった。

20101121201427.jpg (クリック拡大)

彼女との出会いが、主人公を少しだけ変えることになります。

音がキャラクターっぽくビジュアル化されている作品で、画面が非常に賑やか。
同時に主人公の感じる、その音の凄み等も分かりやすいなぁと思います。
音がグルグルと舞っては厚く積み重なり、竜になり主人公を睨むライブシーンとか
そして24Pというみじかなページ数でしっかりとドラマが広がってからまとまり、先が気になるラストを迎えてくれます。単行本のトップバッターとして完成度の高い短編。

終盤に主人公がかつて心奪われた音の風景が描かれますが、その美しいことと言ったら。
けれど周りからは見えることがおかしいことだと言われ塞ぎこんでしまった。
音楽を嫌ってしまった彼。
けれど、彼は感動を取り戻します。音楽の竜に丸呑みにされてしまいます。
そうだった、音楽ってこんなに楽しいものだったのだ。
音楽への愛に満ちた短編です。エネルギッシュ!

天使の声

4つ目。『音』は声。
エレベーターに閉じ込められた男性と、その相手をする警備員の女性・・・らしき人。
他愛もない世間話から徐々に話題はおかしな方向へ行き
なにやら色っぽいな雰囲気に・・・これがあれですか、噂に聞くテレフォンなんちゃら。
ちょっとコミカルなシチュエーションの短編です。

この作品は男性と女性とで見えているものが違うのが良いですね。
男性は相手の声しか聞けないから、そこから想像によって女性に心魅かれてゆき
女性は全てが分かってはいるんだけど、男性からの接近にちょっと胸ときめいている。
この2人が再び出会う時、どうなるかを想像するのも面白いなぁ。
絶対合わない2人だけど、なんか勢いに任せて上手く行ってしまいそうでもある!
ラスト、ちょっと照れてるマヤ姉さんの横顔が可愛んだー!
ちょっと面白い、けれどちょっと切ないお話でした。

秘密の合言葉

5つ目。『音』は言葉。
主人公・律は上手く女子高の雰囲気に馴染めていない生徒。
彼女と生活指導の立花先生の、心の交流を描いた作品です。

「ごきげんよう(キリッ)」「ごきげんよう(キリッ」→友達同士で下品な爆笑 の冒頭の流れは
リアルな女子高の風景を思わせられて、幻想を抱き続ける俺としては泣けてくるでござる。
主人公である律はそんな周囲の様子に違和感を抱いており、体面だけ取り繕っておけば目は付けられないのにあえて反抗的な態度を取ったりします。
彼女自身、心の奥底では淑女への憧れがあるのかな。
だからこそ現実(リアルな女子高)に抵抗感があるように見えます。
そんな彼女をいつも注意する、生活指導の立花先生。
ある夜、律は立花先生と2人きりになるのですが・・・この時の会話がなぁ、なんとも切ない。
時代は移り変わる。取り残され、少女じゃなくなっていく自分。
大人になる喜びもあれば、寂しさもある。
けれど彼女の眼には一瞬、老いた立花先生がいたずらなまなざしをする少女に見えた。
心に沈んだ、少女の面影。
けれどそれは無くしたわけでは無いのかもしれない。
思い出の中に生き続ける、あの頃の自分がいる。

ノスタルジックな読み心地の短編でした。
立花先生が日々抱えている想いは普遍的なものだと思うし、自分にも経験がある。
なんだか年食っちゃったなと、思ってしまう時はあります。(まだ学生なのにね
だからこそ、130Pにはなんだか勇気が貰えたりするのです。
あと普通に若かりし立花さんがミステリアスかわいい。

そして何と言っても最後!

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よく見ると、閉じた瞼の向こうに涙が潜んでいるようにも見える。
立花先生があいさつにこだわるのは、母校の伝統を重んじているからというのもあるけど
裏で疎まれていようと、生徒たちと心通わせたいという想いもあるのかな。
なんともグッと来るラスト。この単行本では多分一番好きな作品です。

凪の音

8つ目。『音』は無。
トリを飾るシリアスな作品で、結構心が痛くなる内容。
物語のモチーフは明らかに「耳なし芳一」ですが、内容はほとんど違います。

生まれつき盲目で、ついに耳まで失ってしまった芳一。
彼を看病してくれた女性は、いつもはあっけらかんと明るくふるまっているが、彼女にもまた傷はある。母を失い、女であるためになることのできない医者を、必死に目指して勉強している。
今はまだ耳は聞こえる。けれどじきに、聞こえなくなるのは間違いない。
この世に生を受けてから一度も見たことないこの世の中を
彼は耳から得る音の情報で想像し、生きてきた。音が彼の世界そのものだった。
音は彼の全てであり、縋るべき唯一のもの。
それがもうすぐ、永遠に失われてしまう―――

『再生』を描く傷だらけの物語。
胸に突き刺さる痛みの数々は、どれもこれも生っぽくて嫌になる。
無駄な努力を続ける医者志望の女性のひたむきな様子は虚しいし
音を失った芳一の眼の前に広がる広大な闇は、本能的な恐怖を誘われる。
彼が何かに突き動かされるように命を絶とうとするシーンは震えてしまった。
むっちゃくちゃ痛い。熱いもやもやが読んでて腹から爆発しそうな感じ。
彼は本当に全てを失ってしまったように見えるから。
音を失い誇りを失い、もはや死に体の芳一。
しかし女性はそんな彼をしっかり抱きしめる。死にたがる彼を叱りつける。
見えなくても聞こえなくても、確かにここに温もりがあるだろうと。
この足で、この身体で、まだしっかり聞こえるはずなんだ。

20101121201437.jpg

ある日芳一は空を見上げる。そこには、竜。
光は見えないし音は聞こえない。けれど彼は確かに何かを感じ、空を見上げる。
かつての彼の誇り・・・音の姿を捉える能力は、もう失われたはず。
けれど見えているはずだよな、あの竜の姿。見えているはずなんだ。
まだ生きてるんだから。

前向きな気持ちになれます、が・・・色々凄いエネルギーが詰まった作品だなぁ。
ページの隅々から溢れてくる感情たち。絶望、あるいは希望。
最後にこの作品が置かれることで、単行本としてビシッと締まりがあります。
なんというか、読むのに体力が要る作品だなぁ。でも大好きだ。



ではまとめ。
色々な『音』にスポットライトを当てた作品集。
ジャンルも実に幅広く、楽しく読めるのでは無いでしょうか。
自分が特に好きなのは1、4,5,6,8話。しかしどの短編も味わい深いです。
それと紹介しそこねましたのでここに書きますが、宮田紘次先生と言えば女体描写!
ポップでわりとざっくりしたタッチなのですが、何なんでしょうねこの色気は!
体型ももちろんエロいんですけど、本当に「色気」があるんですよね、表情やしぐさに。
宮田紘次さんの活き活きした女の子、好きだなぁ。

20101121201409.jpg

たまらんすな!

あなたが好きな物語と女の子がきっと見つかる一冊です。

『ききみみ図鑑』 ・・・・・・・・・★★★☆
音をテーマにしたオムニバス作品集。色んな音と女の子、そして物語を楽しめます。

[本]キスしてめぐって次のあなたへ 『キスメグルセカイ』1巻

キスメグルセカイ (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)キスメグルセカイ (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
(2010/10/12)
ジェームスほたて

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   もし たった一言唱えるだけで世界が変わる言葉があったら どうする?

表紙が気になって手に取ってみたら、作者はまさかのジェームスほたて先生!
そんな感じで今回は先月発売された「キスメグルセカイ」1巻について、軽く。
ジェームスほたて先生と言えば、男性向けのえっちぃ業界で活躍をされているお方。
恥ずかしながらきらら系列で連載を持っていたとは初知り。ビックリでした。



いくつものパラレルワールドを舞台にしたファンタジーラブコメ、という内容。
14歳の主人公・めぐるは、彼氏いない歴=年齢の女子中学生。
告白は何度もしたものの、そのたびに何かしら起きて言葉は届かない。
そんなある日、妙な縁でクラスメートから不思議なお守り(?)を貰ってしまうめぐる。
「願いがかなうかもしれない」それを持ったまま、憧れの環先輩と2人きりの部室へ。
そこでアクシデントにより、先輩とまさかのキスをしてしまった・・・!
と思ったら次に目が覚めたらそこは見覚えのない風景。けれど目の前には環先輩。
めぐるはいつの間にかパラレルワールドにやってきてしまったのだ。

1話ごとに世界を移動していく構成で、毎回違ったシチュエーションを楽しめますね。
そして移動するたびに微妙に違った性格の環先輩が登場。
んでまぁお約束のように最後にはキスをしてめぐるちゃんが別世界に飛ぶわけですね。
というのも、次元移動のカギとなるのは粘膜接触・・・。
という実に素晴らしくあざとい設定のおかげで、何度もニヤニヤさせられてしまう。
まだまだキスにとどまっていますが、さてこの先どうなるんでしょうね?(笑顔
定番化したキスにちゃんと毎回ドキドキしてくれるめぐるちゃんがかーわいいんだー!!

しここで引っかかるのが、パラレルワールドという設定。
それぞれの世界には、シチュは違えど同じ人々が存在をしていて
毎話のように先輩をキスをしてもその先輩とも、その世界ともすぐにお別れ。
それが当たり前の設定で、うっかり流してしまいそうになるけれど
ふっとそれぞれの世界を思い出すと、なんとなく切なくなってしまう。
きっともう2度戻れない世界の数々。
加えてそれぞれの世界の環先輩は、きちんとそれぞれ違う未来を歩んでいくだろうに
めぐるちゃんは別世界の大勢の環先輩の心に、少なからず傷痕残していってるような。

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美しい次元移動シーンには、思わず胸も切なくなるというもの。
よく見るとこの単行本の表紙も、めぐるちゃん涙ぐんでるんだよなぁ。



んではまとめ。
繊細でありながら肉感的なタッチは流石ですね、ジェームスほたて先生!
ちょっとした照れ顔だけでなんでこんなにもエロいのか・・・。
女の子も男の子もぷにっぷにしてそうで思わずじゅるり。
特に色んな事にあわてふためくめぐるちゃんはホントに可愛いな・・・!
相手となる環先輩も、世界ごとにキャラが少しずつ違うので、そちらも楽しめたり。
個人的には、ところどころに切なさ覗くオタク環、ちょっと調子に乗ってるショタ環が・・・!
特にショタverの「俺の彼女にしてやるよ」が効くましたね・・・
こんなセリフ、子供じゃなかったら言わせられないでしょうw上手い!
しかし、全体的に説明が不足しているなぁとは少し感じました。
設定は魅力的ですが、上手くどっぷり浸かることができない、微妙なもどかしさが。
どんどん開けた展開になっていくと面白そう。今のままでも面白いですけどね。
伏線も丁寧に張っていっているようですし、気持ちいい完結を望みます。

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めぐるの旅は、どこまで続くのか。

『キスメグルセカイ』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
肉感たっぷりなファンタジックラブコメ。キスってえっちなものですよ。

[本]ほのぼの切ない、妹たちとの日常ラブコメディー。 『加納家の事情』

偶然プレイした「ほん呪! durbbing girls revival fest」が面白かった。
元気のいい貞子ちゃんとの同居物語。ノベルゲームだけど漫画的表現多いのも楽しい!
続き早く読みたいです。無料ゲームですよー。→作者ブログ。



加納家の事情 上 (マンサンコミックス)加納家の事情 上 (マンサンコミックス)
(2009/12/25)
小石川 ふに

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加納家の事情 下 (マンサンコミックス)加納家の事情 下 (マンサンコミックス)
(2009/12/25)
小石川 ふに

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   今日も相変わらずの加納家です。

今日は「加納家の事情」上下巻について。
comicキャンドールにて各話6Pずつの、3年もの連載をまとめた単行本です。
最近ようやく読んだのですが、実に素敵なもじもじ漫画でした・・・!
本編と合わせて「真昼の星は見えない」が上下巻に、「耐えがたくもアツイ季節」が下巻に収録・・・そして中田ゆみ先生描き下ろし特別寄稿漫画も収録!と充実の内容となっています。
表紙とオビの雰囲気も良く、思わず表紙買いしてしまったという方がいるのも納得。俺も俺も。



父が再婚して血のつながらない妹が出来た!
なんて設定はもう聞きたものですが、しかし大好物なのはまぎれもない事実・・・!
しかも妹は1人だけじゃありません。3人も出来てしまったのです。
さてその3人、それぞれとても魅力的な女の子たちで、お兄ちゃん困っちゃったな。(え
3人の妹たちと繰り広げられる日常や、ちょっと暴走しすぎたり、絡まった感情に四苦八苦したり、決意が固まっても上手く行動に移せない・移れない・・・・・・と、
ゆる~く、それでいて時折センチメンタルが炸裂する、ほのぼの日常ラブコメ作品。
では3人の妹の紹介をしながら、ちょっとずつストーリーにも触れてみます。

○三女、るかちゃん
なぜかトップバッターるかちゃん。出番が少なかったのが残念・・・。
しかし幼いからこその天然ムードメーカー的存在となっており
物語がややシリアスな時期にでも、彼女だけはいつものような笑顔を見せてくれました。
大きな活躍は無かったにしても、るかちゃんの存在は大きいです。

上巻ではハプニング担当(?)、下巻ではクッション役として動く彼女。
特に上巻でのるかちゃんはたまりませんでしたねー!
人見知りな性格で、最初は主人公にビクビクと怯えた表情を見せていましたが
ひとたび心通わせば、人懐っこい笑顔を見せてくれるようになるのです。

20101011031006.jpg (クリック拡大)

うわ――――ッ。

目覚めたら眼の前に幼女って!おい!「おはよーのチュー」って!!おぉい!!!(落ち着け
加えて「お兄ちゃんとお風呂はいるー」と全裸で突撃してくるお約束シーンも!
中田ゆみ先生によるオマケには、ブラを付けたがるゆかちゃんもあります。
ちょっと背伸びして大人のマネをしたがるのも、また良いんですよね・・・しみじみ。
いやはや、まさに「幼女の鑑」・・・Niceロリ!

○二女、ちかちゃん
中学2年でEカップとかいう反則スペック。性格もからっとしていていい感じ。
知らない男性は苦手ですが、それ以外には非常にフレンドリーで社交的。
けれど年頃の女の子らしく、恋愛面での悩みはそれなりにあるようで
時折みせる切ない表情には、思わず心動かされてしまうものです。

しかし下巻でのちかちゃんは、非常に心苦しいものがありました・・・。
冒頭カラーページでは「好きな人の好みのタイプだと、自分でもこの胸を好きになれる」
なんて、中学で出来た彼氏とのノロケモード入っていたのに、中盤であっさりフラれる。
しかもその理由というのが、彼氏からのHを拒み続けたからで。
「何のためにそのでかいおっぱい付いてんだ」とまで言われてしまった。
男性全般への猜疑心が強まり、唯一信頼できる男性として主人公にすがるようになる彼女。
失恋のショックからか、唐突に主人公への恋(と錯覚?)に目覚めてしまったり・・・。
なんだかなぁと思いながらも、頼りにされてる嫌な優越感はあるんだよな。
まぁそれは置いといて、このあたりからのちかちゃんの可愛さは脳天突き抜ける。

なんだか大きいおっぱいをつかって主人公・正を誘惑しはじめるちかちゃん。
正が部屋に戻ると、下着姿のちかちゃんがそこに!
戸惑う正が「こんなことをするちかちゃんは、嫌いだ・・・」なんて童貞臭いこと言ったら
いそいそ服を着始めて、このセリフ。

20101011031019.jpg

「嫌いにならないで」入りましたあー!!
いやちょっとコレ・・・・・・かわいすぎる・・・・・・わ・・・。

○長女、ゆかちゃん
本作のメインヒロインの眼鏡っ娘さん。
妹がEカップでなぜ姉がAカップ・・・いやいや、美乳だから問題なし。
眼鏡っ娘ですがお風呂上がりのノー眼鏡Verも可愛いのですよー!
さて、彼女はメインヒロインですので当然登場回数も段違いに多いです。
本作はゆかちゃんとのイベントを主軸に展開していきます。
膨らみ続ける感情と、じわりじわりと近づく2人にキュンキュンするのです!
・・・まぁじわりじわりと言っておきながら、序盤からかなりイチャオチャしていますが。
にしたってこのシーンはちょっと大変ですねぇ・・・、俺の頭沸騰しちゃいそう。

20101011031030.jpg

俺も妹にのっかられて頭ナデナデされたい。

正もゆかちゃんも、2人揃ってチャンスがあっても決定打を避けてしまう性格で
このおかげでこの作品がすばらしいもじもじ漫画となっています。
ゆかちゃんは、感情を吐き出せずため込んでしまうタイプですしね。
主人公は妄想ではいろいろやってたりするのに、実際行動には映してくれない!
二人とも、なんとなく相手が自分に好意を持ってくれていることは分かっているのです。
なのに動かない。動けない。
胸には溢れだすほどの「好き」があるのに、それを伝えることが恐い。
だからこそ、ついに動き出した時の盛り上がりはたまりません。

20101011225101.jpg (クリック拡大)

このシーンには思わず満面の笑みでガッツポーズ!
思い通じた二人はどこまで行くのか・・・!



毎話6Pずつというまったり進行の作品ですが
毎度最低1つは盛り上がりを作っている構成なので、ゆるやかながらとにかくテンポが良い。
それとヒロインたちと同居している作品なので
いい具合の生活感が作品の雰囲気の良さを支えてくれていますね。
そしてほんのり香る背徳感のスパイスも絶妙。
血のつながらない、けれど世間的にはまぎれもない「家族」への恋愛感情。
禁忌であるそれに向き合う彼らは、・・・意外とあっさりその壁を越えてしまうw
一応罪悪感はあるにしても、ラストで両親があっさり関係を受け入れてしまいます。
それでいいんかーいとも思いますが、彼らが幸せそうで自分は満足なのですよ。

ちょこちょことえっちぃシーンはありますが(乳首登場頻度高し)
それ目的に読むには弱いかなと思います。というかそういう人は他当たりましょうw
ほんのりのんびりラブラブちょっとエッチ。そういう作品です。
上下巻で集めやすく、ハッピーエンドで終わってくれるので読みやすい!
幸せな気分に浸りたい方にお勧めしたいです。



それと特別収録されていた「真昼の星は見えない」が何気にツボでしたw
なんでこんな地味女と・・・なんて悪態をつきまくっていた男が
だんだんと彼女の魅力にやられていく連作ショート。男性がかわいいw
最初は身体で交わることで感じていた正体不明のエネルギー「コスモ」が
ついに何でもない彼女の笑顔にまで感じてしまうようになってしまいます。

20101011225042.jpg

ちょっとおバカなノリなのですが、ほっこりできるいい短編漫画でした!

『加納家の事情』上下巻 ・・・・・・・・・★★★★
存分にジタバタできるもじもじキュンキュン漫画。
笑顔花咲く楽しい時間は、僕たち家族の日々は、今日も明日も、その先にも。

[本]夢見た世界で、永遠の太陽は輝く。 『きみのカケラ』9巻

きみのカケラ 完結記念!イラスト集同梱限定版!! 9 (小学館プラス・アンコミックスシリーズ)きみのカケラ 完結記念!イラスト集同梱限定版!! 9 (小学館プラス・アンコミックスシリーズ)
(2010/07/16)
高橋 しん

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   太陽は ずっとずっと ここにあったんだよって。

最終巻。
8年もの長きにわたり、特殊な形で続いてきた「きみのカケラ」もついに終了。
まずはこの作品を完結させてくれた高橋しん先生に、感謝です。
自分の中でもとても大切な物語になりました。
最終巻なので、まぁ色々語りたいところはあるんですけども
目いっぱい書きたいこと書いて、未読の方がこれから味わうであろうこの衝撃と感動を薄めてしまうのは駄目だと思うので、今回はさっくりと。
・・・すいません、時間がないことの言い訳でもあります。

さて、最後の冒険が始まりました。
線路の先にあったのは、失われた科学の灯が燈る、無人の街。
20100826234833.jpg
いったんはシロと別れて、子供達と街を探検するイコロちゃん。
その中で例のウサギっぽい生き物を発見、その後追っていく子供達は
いくつも積み重なった『バケモノ』たちの残骸と、太陽を発見します。
そしてその場に、死んだと思われていたあの人たちもやって来たり。
最終章というわけで、派手なバトルを繰り広げる華のある展開が続き
非常に満足のいく内容となっていました。おなかいっぱい。

20100827014204.jpg
戦うイコロちゃんは勇敢でカッコいいのです。(そしてもちろんかわいい)

印象的だったのは、イコロが「太陽なんていらない」と言ったこと。
争いや命と引き換えの希望など必要ないと、言い切ったことです。
ここの流れはこれまでの物語を考えると、まさに万感の思いが胸に沸き起こります。
本当の勇気が試される選択。
子供達は一緒に歩む世界を望み、それを叶えていくのです。

本当はもっともっとたくさんの素敵な場面を紹介したいのですが
この作品で言う「美味しいシーン」は、未読者にはなんのこっちゃ状態ですし
何より、なんというか簡単に見せてしまうのがもったいない。
やはりここは、ぜひとも自分の目で見てください、とだけ!
そして今回の表紙イラストもいい。
よく見ると、ここは壁の中だとわかります。
幸せにしてくれるものを探すのではなく、自分たちから幸せになろうとするその意思。
この作品らしいと言えば、らしいよなぁ。
しかし大佐の、妹に対するモノローグは・・・・・・思わずぶわっとこぼれました・・・。

いよいよラスト。
絶望だらけの世界の行く末は。
ヒトガタであるイコロとシロの未来は。
笑えるのか。
涙を流せるのか。
幸せになれるのか。

20100826234810.jpg

ありがとう、さようなら。
永遠に続く、子供達のおとぎ話。
決して手を離さない少年と少女の―――2つのカケラの物語。


ちなみに限定版に同梱されているイラスト集には、各巻表紙イラストや
単行本収録時にモノクロになったカラー原稿、単行本未収録イラストなどが収録。
単行本的ではない、イラストとして表紙を改めて見るのもなかなか面白いですよ。
高橋しん先生のカラーは本当に幻想的で美しいです。
そして実は最終兵器彼女の画集を未だに手に入れられてなかったり。再販して欲しい・・・・。



んでここからはちょっと話が変わりまして、考察のようなことを。
多分みんな思ってるんじゃないかと思いますが、この「きみのカケラ」は、同じく高橋しん先生の「最終兵器彼女」と繋がっている作品なんじゃないかなとか考えます。
イコロの本名は「カムイ・ポロ・チセ・イコロ」
この4つの単語は高橋先生の出身地である北海道に伝わる、アイヌ語です。
カムイ→神、ポロ→大きい、チセ→家、イコロ→宝。
この内「チセ」は最終兵器彼女のヒロインの名前でもあり、意味は作中でも言及されています。
それに合わせて少し話しが逸れますが、最終兵器彼女外伝集-世界の果てには君と二人で-収録の「スター★チャイルド」のラストには、こんなセリフが。

20100827014216.jpg

この「スター★チャイルド」は作者自身が「最終兵器彼女の後の世界をテーマにした」と述べるように、サイカノ本編との関連性の強い短編で、ここで「チセ」の名は、これから先の世界に受け継がれていく・・・みたいなことを示唆しています。
はじまりの人間の名・・・それが神話のように、受け継がれていくこともあるでしょう。
さて「きみのカケラ」を見てみると、ありますね「チセ」。
それも、世界から守られた特別な存在である王族に「チセ」の名がある。
これは「最終兵器彼女」→「スター★チャイルド」→の流れにこの作品もある、という仮定にちょっとだけ信憑性を与えてくれるやも知れません。
(サイカノファンとしてはやや複雑に思う点もありますが、しかし未来はあるべきか)

そしてこの仮定を頭の隅っこにおいて物語を読むと、
作中では明かされなかった様々な謎に対する答えも見つけられます。
毒まみれだった壁の外の世界は、「最終兵器彼女」での戦争で汚染されきった大気か、または戦争という大罪に対する罰か。
失われた科学はそのまんま。一度壊れた世界なので、モノは残っても科学力は無し。
「太陽」は、例えば戦争中に作られた何か特別な気象兵器とか・・・?
・・・まぁこんな感じで、若干こじつけっぽく脳内補完できる、は・・・ず?(弱気
やっぱり、そういう可能性もあるかも知れませんねーくらいでとどめておきますか。
読解力のなさが露呈してきましたね、はっは。



ではまとめのようなものを。
正直に言うと、読みにくい作品です。難解ですし、少しテンポ悪いと思った時期もあります。
しかしそれだけの理由でこの作品を最後まで読まずにいるのはもったいない。
ラストで得られる、このなんとも形容しがたい感動と興奮・・・!
自分は連載時サンデーを呼んでいなかったので、連載版がどのような結末だったかは残念ながら知らないのですが、単行本は一冊まるごとだったり半分だったりが書きおろしである単行本の状況を見るに、だいぶ印象が変わっているのではないかと思います。
改めて、この作品を完結させてくれた高橋しん先生に、感謝。
多くの人に届いて欲しい、少年と少女のファンタジー。
愉快で切なくて美しい、素敵な作品でした。

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『きみのカケラ』9巻 ・・・・・・・・・★★★★
最終巻。ここに至ってこその作品。彼らは太陽になりました。
先月くらいにサンデーに掲載された双子作品「スピカ」も、これまた良い漫画でした。

[本]立ち止まる少女。怖れと希望は線路の先に 『きみのカケラ』8巻

最近この1行目に一言日記みたいなこと書いてますが、正直どうでもいいですよね。
きみのカケラ 8 (少年サンデーコミックス)きみのカケラ 8 (少年サンデーコミックス)
(2010/01/18)
高橋 しん

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   もー出発か? イコロ

7巻から続きまして8巻の感想も行きましょう。
過酷な環境の中、必死に生きる子供達を描くこの作品。
7巻で作品的に大きな転機を向かえ、残すは8,9巻の最終章のみといった感じに!
最後まできっちり読み進めていきたいです。

外の世界から帰ってきたイコロとシロは、鉄道の街ルトムに滞在中。
「太陽」を探す旅への資金集めのためにせっせと働きますが、一向にお金は溜まらず・・・。
滅び行く国で、イコロとシロは互いの冷たい体を温め合いながら生きていた。

そんな導入な8巻。
まず資金集めをするイコロですが、心のどこかに諦めに似た感情があります。
旅への強い情熱が薄れてきているようなところも見受けられました。
それにはやはり、7巻ラストの展開が効いているんだろうなと。
これまで目指していた、一つの結末としてみていた「壁の外」。
その期待が裏切られたのには、気丈なイコロも少なからずダメージを受けているはず。
「太陽って・・・ホントに・・・あるんだべか・・・」
希望の存在すらも疑い始めてしまっているイコロ。
疑念を抱いたまま、彼女は少しずつ変わり、壊れていく・・・?
さらに加えて、イコロが変わった明確な理由もありますが、それは後述。


続けて「太陽」のお話。
「太陽」とは、子供達が目指し欲している希望を表した存在です。
過酷な現実に生きているからこそ、子供達にとって「太陽」とは、まるで全能の神。
20100822010736.jpg
それさえあれば、全てが変わる。幸せになれる。そういう希望を詰め込んでいます。
あまりにも都合がいい。
けれどそう信じることで救われている子供達。
未来を信じるために、不確定不透明なそれに頼るしかないのですね。宗教みたいなものか。
しかし、これまではその全貌が見えない、象徴のようなものとして描かれていましたが
具体的な「太陽」の情報が出てくるのは、この8巻が初めてなような。
「太陽」は現実に空に見える太陽ではなく、別のものなんじゃないかと思ってましたが
実際に空に浮かんでいる「太陽」のことか、あるいは別の光り輝く物体であるらしい。
本当に旅で向かう先にそれはあるのか・・・・・・9巻がとても楽しみ。


そして8巻で顕著だったのは、イコロの二面性の強調。
これまでもそのような描写はありましたが、こんなに露骨なのは何か意図があるよなぁ。
大好きなシロに対しても、場合によってはこの対応。
20100822010728.jpg
そしてこの直後、イコロは泣き崩れてしまいます。
こんな自分は、自分じゃない。
ふとした瞬間に現れる王族としての人間性。拒絶したい、本能。本性。
希望だけではなく、自分自身すら信じられない・・・イコロはどうなってしまうのか。
しかし同時に、彼女に王としての資格があることに間違いはない。
それが物語にどう影響していくかも注目していきたいですね。


それと気になるのは、壁の住人が明かした、世界の秘密。
壁の内で滅び行くこの国は、実は「守られていた」ということが発覚。
希望なんて無いのだと、「太陽」は美しい救いでもなんでもないと、明かされる。
それでも諦めないイコロは、住人により国の歴史を脳にインプットされます。
この内容によりイコロの中に「王の人格」が誕生したのだと思います。
残酷で、そして未来を諦めがちなイコロになってしまった。
けれど彼女の隣にはシロがいる。無邪気な、子供のような、暖かな彼が。
20100822010653.jpg
1人じゃないから、大切な人がいるから、生きる。生きてやる
この時間を、この言葉を、このぬくもりを、忘れてやるものか。
悩みながら、苦しみながら、イコロは生きることを諦めません。


この漫画の子供達は、生死の問題にどこか達観している感もある。
それは子供ゆえにソレを上手く理解できていないこともあるだろうけれど
それだけじゃなくて、もっと遠くを見つめているような部分も見受けられる。
肉体の死ではなく、魂の死・記憶の死までを見据えてる。
それは常に終末を意識しているからこそ、なのかなぁ。
考えてみると、この作品は本当に重たいテーマを掲げている。
んでもってそれを子供達に託してしまっている。
見方を変えてみれば凄く残酷な漫画だなぁとも感じるけれど
同時に、子供達ならなんとかしてくれるんだっていう妙な期待もある。
大人たちみんなが未来を諦めている中で、彼らは今、国で一番の光になっている。
がむしゃらに生きる。
子供達は等しくそうする権利を持っているんだ。


まとめるとこの8巻、(まだ読んでませんが)最終9巻のラストスパート前の小休止。
まるまる一冊タメに使った感じもしますね。
可愛らしい絵柄で描かれる子供達の世界は、心を穏やかにしてくれますし
しかしひどく陰鬱な気分をもたらしてくる瞬間があります。
そこもまた魅力的だったりするのですが・・・。
なんにせよ、あと1巻。どういう結末になるか楽しみです。読むぞー。

20100822010740.jpg

さぁ、最後の冒険だ。
「太陽」を探しに、未来を探しに、みんなで一緒に。

『きみのカケラ』8巻 ・・・・・・・・・★★★☆
「タメ」の巻。子供達に待つのはどのような結末なのか。Cagayake!Boys&Girls(唐突

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