[本]立ち止まる少女。怖れと希望は線路の先に 『きみのカケラ』8巻
最近この1行目に一言日記みたいなこと書いてますが、正直どうでもいいですよね。
もー出発か? イコロ
7巻から続きまして8巻の感想も行きましょう。
過酷な環境の中、必死に生きる子供達を描くこの作品。
7巻で作品的に大きな転機を向かえ、残すは8,9巻の最終章のみといった感じに!
最後まできっちり読み進めていきたいです。
外の世界から帰ってきたイコロとシロは、鉄道の街ルトムに滞在中。
「太陽」を探す旅への資金集めのためにせっせと働きますが、一向にお金は溜まらず・・・。
滅び行く国で、イコロとシロは互いの冷たい体を温め合いながら生きていた。
そんな導入な8巻。
まず資金集めをするイコロですが、心のどこかに諦めに似た感情があります。
旅への強い情熱が薄れてきているようなところも見受けられました。
それにはやはり、7巻ラストの展開が効いているんだろうなと。
これまで目指していた、一つの結末としてみていた「壁の外」。
その期待が裏切られたのには、気丈なイコロも少なからずダメージを受けているはず。
「太陽って・・・ホントに・・・あるんだべか・・・」
希望の存在すらも疑い始めてしまっているイコロ。
疑念を抱いたまま、彼女は少しずつ変わり、壊れていく・・・?
さらに加えて、イコロが変わった明確な理由もありますが、それは後述。
続けて「太陽」のお話。
「太陽」とは、子供達が目指し欲している希望を表した存在です。
過酷な現実に生きているからこそ、子供達にとって「太陽」とは、まるで全能の神。
それさえあれば、全てが変わる。幸せになれる。そういう希望を詰め込んでいます。
あまりにも都合がいい。
けれどそう信じることで救われている子供達。
未来を信じるために、不確定不透明なそれに頼るしかないのですね。宗教みたいなものか。
しかし、これまではその全貌が見えない、象徴のようなものとして描かれていましたが
具体的な「太陽」の情報が出てくるのは、この8巻が初めてなような。
「太陽」は現実に空に見える太陽ではなく、別のものなんじゃないかと思ってましたが
実際に空に浮かんでいる「太陽」のことか、あるいは別の光り輝く物体であるらしい。
本当に旅で向かう先にそれはあるのか・・・・・・9巻がとても楽しみ。
そして8巻で顕著だったのは、イコロの二面性の強調。
これまでもそのような描写はありましたが、こんなに露骨なのは何か意図があるよなぁ。
大好きなシロに対しても、場合によってはこの対応。
そしてこの直後、イコロは泣き崩れてしまいます。
こんな自分は、自分じゃない。
ふとした瞬間に現れる王族としての人間性。拒絶したい、本能。本性。
希望だけではなく、自分自身すら信じられない・・・イコロはどうなってしまうのか。
しかし同時に、彼女に王としての資格があることに間違いはない。
それが物語にどう影響していくかも注目していきたいですね。
それと気になるのは、壁の住人が明かした、世界の秘密。
壁の内で滅び行くこの国は、実は「守られていた」ということが発覚。
希望なんて無いのだと、「太陽」は美しい救いでもなんでもないと、明かされる。
それでも諦めないイコロは、住人により国の歴史を脳にインプットされます。
この内容によりイコロの中に「王の人格」が誕生したのだと思います。
残酷で、そして未来を諦めがちなイコロになってしまった。
けれど彼女の隣にはシロがいる。無邪気な、子供のような、暖かな彼が。
1人じゃないから、大切な人がいるから、生きる。生きてやる。
この時間を、この言葉を、このぬくもりを、忘れてやるものか。
悩みながら、苦しみながら、イコロは生きることを諦めません。
この漫画の子供達は、生死の問題にどこか達観している感もある。
それは子供ゆえにソレを上手く理解できていないこともあるだろうけれど
それだけじゃなくて、もっと遠くを見つめているような部分も見受けられる。
肉体の死ではなく、魂の死・記憶の死までを見据えてる。
それは常に終末を意識しているからこそ、なのかなぁ。
考えてみると、この作品は本当に重たいテーマを掲げている。
んでもってそれを子供達に託してしまっている。
見方を変えてみれば凄く残酷な漫画だなぁとも感じるけれど
同時に、子供達ならなんとかしてくれるんだっていう妙な期待もある。
大人たちみんなが未来を諦めている中で、彼らは今、国で一番の光になっている。
がむしゃらに生きる。
子供達は等しくそうする権利を持っているんだ。
まとめるとこの8巻、(まだ読んでませんが)最終9巻のラストスパート前の小休止。
まるまる一冊タメに使った感じもしますね。
可愛らしい絵柄で描かれる子供達の世界は、心を穏やかにしてくれますし
しかしひどく陰鬱な気分をもたらしてくる瞬間があります。
そこもまた魅力的だったりするのですが・・・。
なんにせよ、あと1巻。どういう結末になるか楽しみです。読むぞー。
さぁ、最後の冒険だ。
「太陽」を探しに、未来を探しに、みんなで一緒に。
『きみのカケラ』8巻 ・・・・・・・・・★★★☆
「タメ」の巻。子供達に待つのはどのような結末なのか。Cagayake!Boys&Girls(唐突
きみのカケラ 8 (少年サンデーコミックス) (2010/01/18) 高橋 しん 商品詳細を見る |
もー出発か? イコロ
7巻から続きまして8巻の感想も行きましょう。
過酷な環境の中、必死に生きる子供達を描くこの作品。
7巻で作品的に大きな転機を向かえ、残すは8,9巻の最終章のみといった感じに!
最後まできっちり読み進めていきたいです。
外の世界から帰ってきたイコロとシロは、鉄道の街ルトムに滞在中。
「太陽」を探す旅への資金集めのためにせっせと働きますが、一向にお金は溜まらず・・・。
滅び行く国で、イコロとシロは互いの冷たい体を温め合いながら生きていた。
そんな導入な8巻。
まず資金集めをするイコロですが、心のどこかに諦めに似た感情があります。
旅への強い情熱が薄れてきているようなところも見受けられました。
それにはやはり、7巻ラストの展開が効いているんだろうなと。
これまで目指していた、一つの結末としてみていた「壁の外」。
その期待が裏切られたのには、気丈なイコロも少なからずダメージを受けているはず。
「太陽って・・・ホントに・・・あるんだべか・・・」
希望の存在すらも疑い始めてしまっているイコロ。
疑念を抱いたまま、彼女は少しずつ変わり、壊れていく・・・?
さらに加えて、イコロが変わった明確な理由もありますが、それは後述。
続けて「太陽」のお話。
「太陽」とは、子供達が目指し欲している希望を表した存在です。
過酷な現実に生きているからこそ、子供達にとって「太陽」とは、まるで全能の神。
それさえあれば、全てが変わる。幸せになれる。そういう希望を詰め込んでいます。
あまりにも都合がいい。
けれどそう信じることで救われている子供達。
未来を信じるために、不確定不透明なそれに頼るしかないのですね。宗教みたいなものか。
しかし、これまではその全貌が見えない、象徴のようなものとして描かれていましたが
具体的な「太陽」の情報が出てくるのは、この8巻が初めてなような。
「太陽」は現実に空に見える太陽ではなく、別のものなんじゃないかと思ってましたが
実際に空に浮かんでいる「太陽」のことか、あるいは別の光り輝く物体であるらしい。
本当に旅で向かう先にそれはあるのか・・・・・・9巻がとても楽しみ。
そして8巻で顕著だったのは、イコロの二面性の強調。
これまでもそのような描写はありましたが、こんなに露骨なのは何か意図があるよなぁ。
大好きなシロに対しても、場合によってはこの対応。
そしてこの直後、イコロは泣き崩れてしまいます。
こんな自分は、自分じゃない。
ふとした瞬間に現れる王族としての人間性。拒絶したい、本能。本性。
希望だけではなく、自分自身すら信じられない・・・イコロはどうなってしまうのか。
しかし同時に、彼女に王としての資格があることに間違いはない。
それが物語にどう影響していくかも注目していきたいですね。
それと気になるのは、壁の住人が明かした、世界の秘密。
壁の内で滅び行くこの国は、実は「守られていた」ということが発覚。
希望なんて無いのだと、「太陽」は美しい救いでもなんでもないと、明かされる。
それでも諦めないイコロは、住人により国の歴史を脳にインプットされます。
この内容によりイコロの中に「王の人格」が誕生したのだと思います。
残酷で、そして未来を諦めがちなイコロになってしまった。
けれど彼女の隣にはシロがいる。無邪気な、子供のような、暖かな彼が。
1人じゃないから、大切な人がいるから、生きる。生きてやる。
この時間を、この言葉を、このぬくもりを、忘れてやるものか。
悩みながら、苦しみながら、イコロは生きることを諦めません。
この漫画の子供達は、生死の問題にどこか達観している感もある。
それは子供ゆえにソレを上手く理解できていないこともあるだろうけれど
それだけじゃなくて、もっと遠くを見つめているような部分も見受けられる。
肉体の死ではなく、魂の死・記憶の死までを見据えてる。
それは常に終末を意識しているからこそ、なのかなぁ。
考えてみると、この作品は本当に重たいテーマを掲げている。
んでもってそれを子供達に託してしまっている。
見方を変えてみれば凄く残酷な漫画だなぁとも感じるけれど
同時に、子供達ならなんとかしてくれるんだっていう妙な期待もある。
大人たちみんなが未来を諦めている中で、彼らは今、国で一番の光になっている。
がむしゃらに生きる。
子供達は等しくそうする権利を持っているんだ。
まとめるとこの8巻、(まだ読んでませんが)最終9巻のラストスパート前の小休止。
まるまる一冊タメに使った感じもしますね。
可愛らしい絵柄で描かれる子供達の世界は、心を穏やかにしてくれますし
しかしひどく陰鬱な気分をもたらしてくる瞬間があります。
そこもまた魅力的だったりするのですが・・・。
なんにせよ、あと1巻。どういう結末になるか楽しみです。読むぞー。
さぁ、最後の冒険だ。
「太陽」を探しに、未来を探しに、みんなで一緒に。
『きみのカケラ』8巻 ・・・・・・・・・★★★☆
「タメ」の巻。子供達に待つのはどのような結末なのか。Cagayake!Boys&Girls(唐突
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