[漫画]こんなにも賑やかな、女の子同士の日々。『総合タワーリシチ』1巻
総合タワーリシチ (1) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ) (2012/04/12) あらた 伊里 商品詳細を見る |
わからなくてイライラして でもどうしても気になって
あらた伊里先生の「総合タワーリシチ」1巻が出ました。「つぼみ」掲載時から単行本化を楽しみにしていましたが、出ましたね。やっほい。
あらたさんは小川麻衣子先生とのコンビ?で知った作家さんですが、これが初単行本。
メインに登場する女の子は6人。それぞれが個性的な彼女たちによる慌ただしい日常を描くコメディです。あっさり百合風味をプラス。
男は初老の先生1人しか出て来ません。保護よくをそそるおじちゃんです。
つぼみWEBで番外編が掲載されているので、どんな感じかは実際に読んでみては。
「総合タワーリシチ」ってけっこう不思議なタイトル。
タワーリシチってお酒の種類らしいのですが、ロシア語で「仲間」という意味もあるようです。
女子高に入学し、なりゆきで一緒に行動することが多くなった6人。それがもう、わいのわいの賑やかしいったら。シンプルでかわいらしい絵柄も、場面に応じてかなり崩されたギャグ絵になったり、テンポよく一気に楽しめる作品だと思います。
そのギャグ絵というのも魅力的で、特に主人公がすること多いんですが、いろんな表情をみせてくれるのがたのしくてしょうがないw
主人公の神奈は真面目系キャラなんですが、クルクルと周囲に翻弄されててかわいい。
神奈の周りも相当賑やかですけど、影響されて彼女自身も相当あわただしくなっています。
これはギャグ絵とは違いますけども、主人公がバタバタしてる様子ににんまり。
見ず知らずの状態から知り合い、そしてどう友達になっていけばいいのか、どう相手を知って行って、近づいていけばいいのか・・・
負けず嫌いな神奈が、すこしずつ他の女の子たちと馴染んでいく様子が描かれます。
ストーリーはあまりなく、友情の進展に集中した物語となっていますね。
最初は高校でも1番を撮りまくってやるぞと意気込んでた彼女でしたが、他の子たちの一分野に特化した才能をまのあたりにしてあえなく撃沈。
各分野に秀でた女の子たちが、本作の他のメインキャラ5人。
1巻の段階ではまだ深く掘り下げられていないキャラもいますが、しかしみんな揃ってわいわい盛り上がっている時の居心地のよさ・雰囲気の楽しさがいいですねー。
個人的にお気に入りなのが時任都さん。スポーツは大好きな女の子です。
破天荒な娘が多いこのメンバー内でも主人公と肩を並べるしっかり者といえるでしょう。テストの点よかったのに居残り組と一緒に勉強していたりしていました。
彼女はきっと何より友達のことが大好きで、一緒にいたいだけなんだなぁ。友達思い。
「相手を全部理解するってのは難しい気がするし」
「でもだから、分かりたくて知りたくて、恋焦がれるんじゃないかな」
これは主人公に語りかけたセリフですが、この言葉にこめられた真摯な思いは素敵ですね。都の心からのものなんだろうなと思います。友達のそばにいたい彼女だからこその。
そして友達づき合いの話なのに「恋焦がれる」なんていつのまにか恋愛話にすり替えているのも注目所なのか? 実はガチ百合っ娘の可能性もあるで。
普段はほんわかしてるのに、スポーツやってる時だけ妙にイキイキしてるのもいいw
もう1人、日下部ちはやもかなりのお気に入り!
絵を描くのが得意な女の子で、いつも明るくトラブルメーカー的ポジション。
クリッと大きな黒目だったり、天真爛漫な雰囲気だったり、素直にかわいい女の子。
追い詰められると(?)とたんに口が悪くなるのもツボですよw
彼女をメインとしたショート番外編も巻末に収録されており面白かったです。問題ありな娘ですが、それでも彼女がまわりから愛されてるのが分かりますね。
そしてこの2人が、作中でもわりとペアで描かれることが多くてニヤニヤしてしまう!
6人いますが、結構3組のペアでくくられている構成になっているような気もします。
そんな「総合タワーリシチ」1巻です。
百合要素は欠かしていませんが、しかしあっさりとしていて、今のところは友情モノという感じ。ギャグ漫画のようにテンポよく楽しめてるので、百合漫画にあまり触れていない人にも読みやすいのでは。
しかしギ繰り広げられる賑やかしい日々に、女の子同士の絆のつよさが垣間見えたり、抱きあうように一緒に寝る様子だったり、結構ドキドキさせる場面もあるんですよね。
切なくて胸が苦しい・・・という雰囲気はありません。でもだからこそか、日常に溶け込んだ女の子同士の自然なふれあいというものもオツなものです。
特別なことでもなんでもなく、この距離感を取る女の子たちですよ。ときめく。
6人もいろんなタイプの女の子が登場するので、お気に入りのキャラも見つかるかと。
主人公・神奈は等身大な悩みを抱く女の子で、彼女がどう変わっていくのかも気になるポイントです。当然、悠との関係も込み。
じっくりと続いていけば、いろんなエピソードを通じて作品そのものへの愛着もまして行きそうです。長いシリーズになってくれれば嬉しいですねえ、「ゆるゆり」みたいな。
読みやすいソフト百合漫画でした。2巻は冬発売予定とのこと。
『総合タワーリシチ』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
ほんのり百合が香るハイテンション女子高ライフ。ニヤニヤできるし読みやすい作品です。
[漫画]1,2,3メインキャラ勢揃いでTRPG!『放課後プレイR』
ホワルバ2はあと雪菜とかずさルート。これからが本当の地獄だ・・・?
テーブルトークアールピージーがしたいわぁ
放課後プレイR、出てます。1→2→3→Rと来ました。
ゲームで遊ぶ男女をメインにいちゃいちゃチュッチュとやる漫画なのですが、今回のテーマは「TRPG」。ゲーム機なんていりません、人と人は会話して楽しむゲーム。
表紙のとおり1,2,3のメインキャラが勢揃いして、一冊まるまる使ってTRPGで遊びます。
大好きなシリーズなんですが、今回はこれまでとだいぶ毛色が違うかもしれません。これまでのような恋愛描写、ディープな内面描写はかなり少ないです。
一方でゲームに興じるキャラクターたちはこれまでになくたっぷりと描かれているので、この作品のそういう部分が好きな人は嬉しい感じでしょうか。キャラはたくさん出るのでこれまでの読者も楽しめるかと。
テーブルトークRPG・・・自分もやったことは全然ないんですが、漫画でこの題材を選ぶのもなかなか珍しいことのような気がします。1つのネタではなく、それで一冊まるまるやってしまうってのが。
作者の黒咲先生はもちろんゲーム好きだとわかっていましたが、相当TRPGもお好きな様子。
今回の「R」は相当に熱の入った内容になっていると思います。
パラメータ設定や戦局・展開などやたら凝ったことをしていますw
ということで、読者である自分も物語に合わせてTRPGを楽しんでるような感覚になります。
一緒にTRPGを楽しむ、という点でいろいろ面白い工夫もされてるんですよね。
キャラたちはデフォで特殊コスチューム着ていますし、遭遇したモンスターとは銃やナイフを携えて立ち向かいますし、戦闘には血が飛びますし死んだら本当に死んでる。
まさに「RPG」ですよね。本当にそんなふうにゲームやっているわけではないんですけど、けれどそう描かれている。RPGなんだから、なりきらなきゃってことです。
メタっぽい仕組みですけど、漫画ならではな見せ方かもしれませんね。新鮮です。
そしてそんな風に描かれてるもんだから、ゲームとわかっていても結構ドキドキ。これまで制服姿ばかりだったキャラクターが一転ミリタリーっぽい服装になっているので、コスプレしてるみたいで面白いです。
普段ゲームをやっている彼らが、今度はゲーム世界にいるかのようなファンタジックな感覚が楽しめたり、個人的にこの「R」はなかなか好きですね。
この流れにはツッコミが入りませんでしたけど、まぁあえて言わなくてもいいですよね。
巻頭のカラーページは今回も自重していませんし、TRPG内でなかなかエグいモンスターがでてきたりするので、この作品の魅力の1つであるマニアックさは失われていません。
TRPG漫画として面白いのはさっきから書いてきましたが、
個人的に放課後プレイシリーズには・・・というか黒咲先生作品には、どうしてもあの粘着質に情熱的に想いを交わす色っぽいシーンを期待していまう!
そういう意味では、今回はちょっとだけ満足行かなかったかもしれない・・・!
とは言えですよ。恋人同士の吐息が聞こえてくるようなやりとりは相変わらず素晴らしい!
大好きな「1」の2人のイチャコラがまた見れたのは最高でしたよ!
2の2人も、3のあいつらもみんなが再登場して気分も盛り上がります。でも、もっと見たい!
まぁ今回は1,2,3のメインキャラが揃って、各ペアを少しずつ楽しむことができる番外編的な内容なので、そういうものだと割り切ったほうがいいですかねー。
こうして大勢のキャラが一緒に盛り上がっている様子を楽しめるのは贅沢ですし。「R」は「R」で他とは違った面白さを発揮してくれていますし、文句はないです。
でもオマケシナリオはここで終わるんかいって感じでしたけどw
そんな放課後プレイRでした。
さっきにも書きましたが、今回は番外編的な内容。
物語性はあまりありません、かなりガッツリとゲームに集中してます。
これまでどおりな内容を期待するとやや意外に思われる内容かもしれませんが、ゲームを扱う漫画としてちゃんと楽しめる一冊になっていますね。
TRPGを全然知らなくても問題なし。知ってたらもっと楽しめるんでしょうかね。自分はTRPGの知識はほとんどないので初心者状態でしたが、どういうゲームか大体つかめたかな。
1,2,3のどれかにでも好きなキャラがいる人にもオススメ。みんな再登場してます。自分はそれだけでもニヤニヤ楽しめました。ゲーム中に垣間見えるカップル同士のやりとりに微妙にそわそわしたり、オマケ的に描かれた甘いシーンに悶えたりしていました。
この作品、次はどんなことをするんでしょうかねー。楽しみです。
『放課後プレイR』 ・・・・・・・・・★★★☆
TRPG編。これまでとはかなり違った味わいですが、キャラは勢揃いしていて豪華。
放課後プレイR (電撃コミックス EX 電撃4コマコレクション 127-4) (2012/03/27) 黒咲 練導 商品詳細を見る |
テーブルトークアールピージーがしたいわぁ
放課後プレイR、出てます。1→2→3→Rと来ました。
ゲームで遊ぶ男女をメインにいちゃいちゃチュッチュとやる漫画なのですが、今回のテーマは「TRPG」。ゲーム機なんていりません、人と人は会話して楽しむゲーム。
表紙のとおり1,2,3のメインキャラが勢揃いして、一冊まるまる使ってTRPGで遊びます。
大好きなシリーズなんですが、今回はこれまでとだいぶ毛色が違うかもしれません。これまでのような恋愛描写、ディープな内面描写はかなり少ないです。
一方でゲームに興じるキャラクターたちはこれまでになくたっぷりと描かれているので、この作品のそういう部分が好きな人は嬉しい感じでしょうか。キャラはたくさん出るのでこれまでの読者も楽しめるかと。
テーブルトークRPG・・・自分もやったことは全然ないんですが、漫画でこの題材を選ぶのもなかなか珍しいことのような気がします。1つのネタではなく、それで一冊まるまるやってしまうってのが。
作者の黒咲先生はもちろんゲーム好きだとわかっていましたが、相当TRPGもお好きな様子。
今回の「R」は相当に熱の入った内容になっていると思います。
パラメータ設定や戦局・展開などやたら凝ったことをしていますw
ということで、読者である自分も物語に合わせてTRPGを楽しんでるような感覚になります。
一緒にTRPGを楽しむ、という点でいろいろ面白い工夫もされてるんですよね。
キャラたちはデフォで特殊コスチューム着ていますし、遭遇したモンスターとは銃やナイフを携えて立ち向かいますし、戦闘には血が飛びますし死んだら本当に死んでる。
まさに「RPG」ですよね。本当にそんなふうにゲームやっているわけではないんですけど、けれどそう描かれている。RPGなんだから、なりきらなきゃってことです。
メタっぽい仕組みですけど、漫画ならではな見せ方かもしれませんね。新鮮です。
そしてそんな風に描かれてるもんだから、ゲームとわかっていても結構ドキドキ。これまで制服姿ばかりだったキャラクターが一転ミリタリーっぽい服装になっているので、コスプレしてるみたいで面白いです。
普段ゲームをやっている彼らが、今度はゲーム世界にいるかのようなファンタジックな感覚が楽しめたり、個人的にこの「R」はなかなか好きですね。
この流れにはツッコミが入りませんでしたけど、まぁあえて言わなくてもいいですよね。
巻頭のカラーページは今回も自重していませんし、TRPG内でなかなかエグいモンスターがでてきたりするので、この作品の魅力の1つであるマニアックさは失われていません。
TRPG漫画として面白いのはさっきから書いてきましたが、
個人的に放課後プレイシリーズには・・・というか黒咲先生作品には、どうしてもあの粘着質に情熱的に想いを交わす色っぽいシーンを期待していまう!
そういう意味では、今回はちょっとだけ満足行かなかったかもしれない・・・!
とは言えですよ。恋人同士の吐息が聞こえてくるようなやりとりは相変わらず素晴らしい!
大好きな「1」の2人のイチャコラがまた見れたのは最高でしたよ!
2の2人も、3のあいつらもみんなが再登場して気分も盛り上がります。でも、もっと見たい!
まぁ今回は1,2,3のメインキャラが揃って、各ペアを少しずつ楽しむことができる番外編的な内容なので、そういうものだと割り切ったほうがいいですかねー。
こうして大勢のキャラが一緒に盛り上がっている様子を楽しめるのは贅沢ですし。「R」は「R」で他とは違った面白さを発揮してくれていますし、文句はないです。
でもオマケシナリオはここで終わるんかいって感じでしたけどw
そんな放課後プレイRでした。
さっきにも書きましたが、今回は番外編的な内容。
物語性はあまりありません、かなりガッツリとゲームに集中してます。
これまでどおりな内容を期待するとやや意外に思われる内容かもしれませんが、ゲームを扱う漫画としてちゃんと楽しめる一冊になっていますね。
TRPGを全然知らなくても問題なし。知ってたらもっと楽しめるんでしょうかね。自分はTRPGの知識はほとんどないので初心者状態でしたが、どういうゲームか大体つかめたかな。
1,2,3のどれかにでも好きなキャラがいる人にもオススメ。みんな再登場してます。自分はそれだけでもニヤニヤ楽しめました。ゲーム中に垣間見えるカップル同士のやりとりに微妙にそわそわしたり、オマケ的に描かれた甘いシーンに悶えたりしていました。
この作品、次はどんなことをするんでしょうかねー。楽しみです。
『放課後プレイR』 ・・・・・・・・・★★★☆
TRPG編。これまでとはかなり違った味わいですが、キャラは勢揃いしていて豪華。
[漫画]君が好きだと叫びたい。『ねじまきカギュー』4巻
記事タイトルはなんとなく。
本当はお前みたいに生きたかったんだ
「ねじまきカギュー」4巻が出ています。
もう次で「トラウマイスタ」を追いついちゃうじゃないですか。早いものです。
強くまっすぐ、貴方を護るために。 『ねじまきカギュー』1巻
いがみあい認めあう女の子たちの闘い。 『ねじまきカギュー』2巻
愛するからには自分も幸せにならなきゃ!『ねじまきカギュー』3巻
3つもリンク張るとしつこい感じになってしまうな・・・、ともかく。
これまでかかさず感想を書いてきていますし、4巻ともなると作品の方向性も定まってきて改まって書くことも減ってきていますなー。とはいえ作品の面白さは相変わらず!
十分な盛り上がりを見せていますが、安定感があるんですよね。意表をつかれることを織り込み済みな上での安定感なのがちょっと不思議なんですがw
それじゃ4巻の内容に触れていきたいなと思います。
異性交友を「不純」だと切って捨てる風紀委員。愛することに不純も何も無いとするカギュー。
対立する意志、すなわち個性。個性を重んじるこの学園では、勝利した個性はすべてを認められる。いままさにカギューちゃんと、風紀委員長・紫乃の一騎打ちです。
この紫乃とのバトルが今回の目玉でしょう。アツすぎて一気に読んでしまいましたよ!
最初はカギューを圧倒する紫乃ちゃんも、じりじりと追い詰められていく。
2人してボロボロになりながらも、人の温もりが染みる展開でした・・・!
やはりこの作品が叫ぶ絶対的な「愛の尊さ」はものすごいエネルギーだ。
自分の本心を閉ざしてしまった紫乃。恋心を隠さず、逃げもしないカギュー。
かなり違ったタイプの女の子たちですが、今回で改めてカギューという女の子の強さを見せつけられた気分。包容力がすさまじい。紫乃ちゃんをも包み込んでしまう。
変人怪人変態さまざまなキャラクターが出てくる作品ですが、メインヒロインという主人公のカギューちゃんが正のエネルギーを全力でガンガンぶつけてくるものだから、みんなやられてしまうんだ。勝負の勝ち負けではなく、彼女の魅力に取り込まれる。
だってカギューが望むのは、自分の訴えを認めさせることではなく、紫乃にカモ先生のことが好きだという本当の気持ちを言わせるため。
カギューはカモ先生を独り占めしたいわけではない。みんなが「好き」で幸せになって欲しいだけ。こんな器のでかい愛情を持てる子、そうはいない。
話を戻して紫乃戦。
顔の表面にヒビが入って、そこから涙がボタボタと溢れていく様子が印象的。
決して表情を変えず鉄のお面をつけたような紫乃。ヒビから漏れ出る涙。どれだけの感情を殺し、子供らしおいわがままを耐え、好きという気持ちを抑えこんできたんだろう・・・。
そしてついに決壊する。
!?
急に成長した紫乃ちゃん!今まで見せなかった甘い表情の紫乃ちゃん!かわゆ!
というかこれまでの無表情&コワモテのバトルの後に、待ってましたのこの赤面である。まんまとギャップにやられる!素の紫乃ちゃんのかわいらしさハンパないな!
今はまだ目の前に立って、その眼をみつめて、聞こえるような声で「好き」だっていうことはできない。けれどもう心配はいらないかな。自分をもう殺さなくていい彼女なら。
でもせっかくの告白を「え?今なんて?」で流されちゃってかわいそうだったなぁw そこはカモ先生クオリティかよ!チッ!紫乃ちゃん幸せになってくださいよ!再登場もしてください!
全力でぶつかりあうカギューと紫乃の死闘にも震えるってもんですが
その中でもこのシーンです。織筆のこの独白、この表情にもググッと心掴まれました。
慰めあってはいけなかった。そうして自分のそばにおいておくことは、正しくなかった。
本当に紫乃の幸せを望むなら、ともに理不尽な世界と戦わねばならなかったのに。
あんなに涙を溜め込んだ彼女を助けられたのは、ずっと前からそばにいた自分だったかもしれない。そのチャンスはたくさんあったのに、所詮は自分の都合のいいように流されていただけ。そんな織筆の無念と後悔にはドキッとさせられましたね。
何より、この表情・・・。紫乃を深く思うが故の強烈な後悔が滲んでいる。いい表情だなぁ、切ないけれど。
紫乃編が落ち着いたら、今回の表紙でもある新キャラクター・窈が登場。
こいつだけじゃなくズラズラーっと新キャラが現れ、また一波乱ありそう。
というか、こいつらが次のボスかと思ったら完全に噛ませ犬な展開でしたねwこういう見せ方をしてくるのは中山先生らしいですな。
しかし窈にしろ新キャラのカギューの○にしろ、ディープな部分が不明なキャラがここからストーリーがどう動くのか予測不能です。森先生もあからさまに怪しいし。楽しみ・・・!
キャラも増えてきて、バトルのたびに仲間が増えて、どんどん居心地がよくなる。
破天荒なバトルと一緒にたいせつな想い出もそれぞれの記憶に刻み付ける、眩しい青春が繰り広げられている作品でもありますよなーと。
このシーン、明るい夜の表現が個人的にすごく好き。くっきり浮かんだ雲、散らばる星、影になって見えないけど楽しそうなキャラクターたち。大好きな絵。
そんな「ねじまきカギュー」4巻でした。
紫乃編完結と、次のエピソードへの橋渡し的一冊になっています。
特に紫乃とのバトルの決着にも熱くさせてもらいました!
この作品、絵にも言葉にも物語にも、すごく力がこもっている感じがたまりませんね。
全力を振り絞って愛を叫ぶ。こんなの気持よすぎるだろう。
力強さをMAXに表現しきる絵の迫力もすばらしい。デフォルメ絵は可愛く、バトルは激しく、混沌とした狂気と深い愛情が共同しています。
相変わらずあつっくるしい漫画ですが、それが魅力。これからも期待しています。
『ねじまきカギュー』4巻 ・・・・・・・・・★★★★
情熱的すぎるラブ&バトル。オマケ漫画にも笑わせてもらいましたw
ねじまきカギュー 4 (ヤングジャンプコミックス) (2012/03/19) 中山 敦支 商品詳細を見る |
本当はお前みたいに生きたかったんだ
「ねじまきカギュー」4巻が出ています。
もう次で「トラウマイスタ」を追いついちゃうじゃないですか。早いものです。
強くまっすぐ、貴方を護るために。 『ねじまきカギュー』1巻
いがみあい認めあう女の子たちの闘い。 『ねじまきカギュー』2巻
愛するからには自分も幸せにならなきゃ!『ねじまきカギュー』3巻
3つもリンク張るとしつこい感じになってしまうな・・・、ともかく。
これまでかかさず感想を書いてきていますし、4巻ともなると作品の方向性も定まってきて改まって書くことも減ってきていますなー。とはいえ作品の面白さは相変わらず!
十分な盛り上がりを見せていますが、安定感があるんですよね。意表をつかれることを織り込み済みな上での安定感なのがちょっと不思議なんですがw
それじゃ4巻の内容に触れていきたいなと思います。
異性交友を「不純」だと切って捨てる風紀委員。愛することに不純も何も無いとするカギュー。
対立する意志、すなわち個性。個性を重んじるこの学園では、勝利した個性はすべてを認められる。いままさにカギューちゃんと、風紀委員長・紫乃の一騎打ちです。
この紫乃とのバトルが今回の目玉でしょう。アツすぎて一気に読んでしまいましたよ!
最初はカギューを圧倒する紫乃ちゃんも、じりじりと追い詰められていく。
2人してボロボロになりながらも、人の温もりが染みる展開でした・・・!
やはりこの作品が叫ぶ絶対的な「愛の尊さ」はものすごいエネルギーだ。
自分の本心を閉ざしてしまった紫乃。恋心を隠さず、逃げもしないカギュー。
かなり違ったタイプの女の子たちですが、今回で改めてカギューという女の子の強さを見せつけられた気分。包容力がすさまじい。紫乃ちゃんをも包み込んでしまう。
変人怪人変態さまざまなキャラクターが出てくる作品ですが、メインヒロインという主人公のカギューちゃんが正のエネルギーを全力でガンガンぶつけてくるものだから、みんなやられてしまうんだ。勝負の勝ち負けではなく、彼女の魅力に取り込まれる。
だってカギューが望むのは、自分の訴えを認めさせることではなく、紫乃にカモ先生のことが好きだという本当の気持ちを言わせるため。
カギューはカモ先生を独り占めしたいわけではない。みんなが「好き」で幸せになって欲しいだけ。こんな器のでかい愛情を持てる子、そうはいない。
話を戻して紫乃戦。
顔の表面にヒビが入って、そこから涙がボタボタと溢れていく様子が印象的。
決して表情を変えず鉄のお面をつけたような紫乃。ヒビから漏れ出る涙。どれだけの感情を殺し、子供らしおいわがままを耐え、好きという気持ちを抑えこんできたんだろう・・・。
そしてついに決壊する。
!?
急に成長した紫乃ちゃん!今まで見せなかった甘い表情の紫乃ちゃん!かわゆ!
というかこれまでの無表情&コワモテのバトルの後に、待ってましたのこの赤面である。まんまとギャップにやられる!素の紫乃ちゃんのかわいらしさハンパないな!
今はまだ目の前に立って、その眼をみつめて、聞こえるような声で「好き」だっていうことはできない。けれどもう心配はいらないかな。自分をもう殺さなくていい彼女なら。
でもせっかくの告白を「え?今なんて?」で流されちゃってかわいそうだったなぁw そこはカモ先生クオリティかよ!チッ!紫乃ちゃん幸せになってくださいよ!再登場もしてください!
全力でぶつかりあうカギューと紫乃の死闘にも震えるってもんですが
その中でもこのシーンです。織筆のこの独白、この表情にもググッと心掴まれました。
慰めあってはいけなかった。そうして自分のそばにおいておくことは、正しくなかった。
本当に紫乃の幸せを望むなら、ともに理不尽な世界と戦わねばならなかったのに。
あんなに涙を溜め込んだ彼女を助けられたのは、ずっと前からそばにいた自分だったかもしれない。そのチャンスはたくさんあったのに、所詮は自分の都合のいいように流されていただけ。そんな織筆の無念と後悔にはドキッとさせられましたね。
何より、この表情・・・。紫乃を深く思うが故の強烈な後悔が滲んでいる。いい表情だなぁ、切ないけれど。
紫乃編が落ち着いたら、今回の表紙でもある新キャラクター・窈が登場。
こいつだけじゃなくズラズラーっと新キャラが現れ、また一波乱ありそう。
というか、こいつらが次のボスかと思ったら完全に噛ませ犬な展開でしたねwこういう見せ方をしてくるのは中山先生らしいですな。
しかし窈にしろ新キャラのカギューの○にしろ、ディープな部分が不明なキャラがここからストーリーがどう動くのか予測不能です。森先生もあからさまに怪しいし。楽しみ・・・!
キャラも増えてきて、バトルのたびに仲間が増えて、どんどん居心地がよくなる。
破天荒なバトルと一緒にたいせつな想い出もそれぞれの記憶に刻み付ける、眩しい青春が繰り広げられている作品でもありますよなーと。
このシーン、明るい夜の表現が個人的にすごく好き。くっきり浮かんだ雲、散らばる星、影になって見えないけど楽しそうなキャラクターたち。大好きな絵。
そんな「ねじまきカギュー」4巻でした。
紫乃編完結と、次のエピソードへの橋渡し的一冊になっています。
特に紫乃とのバトルの決着にも熱くさせてもらいました!
この作品、絵にも言葉にも物語にも、すごく力がこもっている感じがたまりませんね。
全力を振り絞って愛を叫ぶ。こんなの気持よすぎるだろう。
力強さをMAXに表現しきる絵の迫力もすばらしい。デフォルメ絵は可愛く、バトルは激しく、混沌とした狂気と深い愛情が共同しています。
相変わらずあつっくるしい漫画ですが、それが魅力。これからも期待しています。
『ねじまきカギュー』4巻 ・・・・・・・・・★★★★
情熱的すぎるラブ&バトル。オマケ漫画にも笑わせてもらいましたw
[漫画]歪み絡まる19歳たちの性。『ヒメゴト~十九歳の制服~』3巻
ヒメゴト~十九歳の制服~ 3 (ビッグ コミックス) (2012/03/30) 小学館 商品詳細を見る |
ずっと、永遠に、秘密だけど。
あーやばい。まじでやばいな。やばいとしか言ってないな頭悪くなりそうだ、もとからよくないけど・・・。こんなに続きが楽しみな作品になってくるとは思いませんでしたよ!
そんな「ヒメゴト~十九歳の制服~」3巻。ゾクゾクしっぱなしで読了。
今回の表紙は予想通りで佳人くん。女性っぽい顔立ちのイケメン、しかし実際は女性に憧れ女装して街をねり歩く不思議な人。そして今は、由樹の『女』友達。
17話で鏡写しの自分として女の子を見ていると話していた彼ですが、それを踏まえてこの表紙を見ると、なるほどなという感じ。散らばった女性のアイテムもミステリアスな雰囲気があり。
ヒミツを抱えあう19歳の三角関係。『ヒメゴト~十九歳の制服~』1,2巻
さてさて、今回もいろいろと話しが動いてます。
状況がどんどんと複雑になってきていて、次に何が起こるのか楽しみで仕方ない!
中でも動向が気になるのが、自分の大のお気に入りでもある未果子さんですよ。
ということで2巻の時も大半未果子のこと書いてましたが、今回もそうだよ悪いか。
未だ果実の子・・・そんなちょっと禁忌的な名前をした黒髪ロングの清楚な女の子ですが・・・裏では15歳だと偽ったうえで援交している不良娘。オッサンを踏みつけたり舐めさせたりして興奮しているドSでもあり、そんな裏表の激しい様子もステキ。
けれど彼女が面白いのはそれだけじゃない。
由樹(ユキ)を汚すような、変えてしまいそうな要因は、全力をもって排除する。
由樹を「女」に目覚めさせようとする奴に、自分の身体を差し出して篭絡し、由樹を守ろうとしたこともありました。
由樹のためならいくらでも自分の身体を汚せる。守るためなら自分を武器にしてしまうその意志の力強さと行動力!
クセのつよいキャラクターですが、女の子キャラクターとして個人的にかなり魅力的ですよ。
由樹の前だけ、普通の女の子みたいに心がふわふわして、落ち着きがなくなって、ドキドキが抑えきれなくなる――――そんな純情な乙女のようになってしまうのも、むちゃくちゃ好き。
どの口が言うんだよww ・・・なんて思っても、やはり美しい。
身も心もきっと汚れているよ。それは本人だって分かっている。
けれど好きな人の前では堂々と綺麗なフリをする、このしたたかさがたまりませんな!すごいねえ、女の身体も、友人という立場もまるごと利用してくっついて離れないんだ。
清純な思いをつらぬくために身体を利用するという矛盾、2巻のレビューにも触れましたが、未果子のこの生き様はすごく好き。エロいとかかわいいとかそういうのとは別次元の、女性としての強さとか輝きがある気がする。
恋に命かけてるなぁ。卑怯だとは言いませんよ、必死に必死に恋してるんだ。
しかし3巻に入り、由樹と未果子の関係も深く、そしてイビツになってきた感が。
なにせ2人はその関係そのものにも、どうしようもないすれ違いを抱えている。
由樹は女らしくできない臆病な自分を変えたい。だから女友達と女の子らしいお話や遊びをすることに憧れて、未果子とも(未果子からの執拗なアプローチをすこし不安がりながらも)友達づき合いをはじめる。
一方で未果子は、由樹が変わることを望まない。望まないどころか全力で阻止。本当なら女の子はもちろん、男だってもうなくしてしまった「少年性」を由樹の中に見つけたことで、彼女を手に入れようと画策しだしているのです。
男じゃイヤだ。でも女でもない。19歳の由樹にのこる「少年」に心たぎらせる未果子さん。心の中では由樹を「ヨシキ」と男っぽい名前で呼んでいたりしてますし。
未果子は成人男性に向けて憎しみを持っている。その事はこれまでの随所から伺えてきますが、彼女は自分の罪を客観的に把握しているからこそ、純粋無垢な人間に心惹かれるのでしょうか。
そして未果子は、由樹が「女」になることも拒絶する。
「花が開くと、誰かが摘みに来るなら」
「私はこの蕾を、開かせない」
由樹にこだわり彼女を我が物にしようとする彼女の執着心の強さ、そしてその歪みぶりにゾクゾクさせられた部分。ハァー、未果子ちゃんんまじで怖い。そのくせ物語の展開上、どうにも彼女がかわいそうな方向に行っているのが余計にかわいい。不憫萌え。こんなに頑張ってるのによー!ちゃんと幸せになっておくれよ!
3巻は真面目な部分だけじゃなくとも、由樹からの告白(未果子の勘違いなんだけれども)を待ちわびてソソワソワしちゃってたり、由樹とラブホテルに行ってウキウキしまくっていたり、相も変わらず激烈かわいい乙女未果子の魅力が炸裂するシーンも盛りだくさん。
由樹の前での表情だけを見るなら、本当にかわいらしい女の子なんですよねえ。
しかし一方で、かなり恐ろしい一面をも秘めている。このギャップにやられる・・・!!
かわいいで片付けられない。なんて言えばいいんだろう。とりあえず、面白い女性だ。
ブラックな未果子ちゃんについてで一番心震えたのは31話のラストですねー!
憧れの由樹と裸で抱き合って、心の底からの幸せにたっぷり浸って。
・・・けれど濡れない。自分でもなんでかは分からないけれど。
そしていつものように15歳と偽って男たちの相手をした彼女は、いつものようにまた高揚して昂ぶって、身体も反応する。濡れる。
「汚れないと濡れない。」淡々と事実確認をするようつぶやく彼女の表情は無。
すれ違う心と身体。
心が求める憧れと身体が求める興奮は一致しない。本当に欲しいものは、なんだろう。
未果子のことしか書いてない。ちゃんと佳人のことも書きましょう。
超展開はないにしろ、着々とお話は動いている。未果子のことばかり書いてましたが、3巻のメインはむしろ佳人。
>彼と由樹の関係性についてのエピソードは、今回で一つのピークを迎えます。
2巻で起きたハプニング。つい、というしかない、唐突なキスを交わした由樹と佳人。
由樹は女友達として、女装する佳人に心を許していきますが、それと同じくして佳人を男性として意識しだしている。
佳人はそれを敏感に察知に、あくまでも「女友達」であろうと由樹の意識を変えさせようとするのがこの3巻の主な動き。
これがもう、どこにどう着地するのか予想がつかないこの作品だけあって、実にドキドキさせられる駆け引きが繰り広げられるんですよね!
19歳という大人になりかけの不安定な年齢。その危なっかしさが上手く作用する。性別の違いや、心でどう思っているのか、それぞれが抱えるコンプレックス、葛藤・・・いろんなものが混ざり合う。
『・・・あたし達、セックスしたあとも女友達でいられるのかな?』
こんなセリフが出てきたりね。読み返しても緊張してしますわ!
そしてこの件で、皮肉にも由樹は女に近づいていく。
佳人のことが好きだ。けれど、これは絶対に明かさない。ずっと、永遠に、秘密だ。
だって私達は「女友達」なのだから。きっとこのままが正解なのだから。
そうした心境の変化と合わせるかのように、作中でも由樹はイメチェンを果たします。
あらかわいい!すっかり女の子っぽくなっちゃいましたよ、やったじゃないか!
・・・でもこれを見た未果子のリアクションがこえええええ楽しみ!!!(どっちだ)
それにしても、由樹と佳人のナチュラルな会話は心地いい。
それぞれが遠慮なく、自分の素の部分で接しあっている。
不器用だったり、はたまた逆に器用すぎる彼らですが、この関係は見てて微笑ましい。
・・・だからこそ、いつでもこの雰囲気が揺らいで壊れてしまいそうなこの作品には、たまらなくドキドキさせられる。この3人、複雑に絡まりすぎだ。
いま自分がかなり熱中してる「ヒメゴト~十九歳の制服~」3巻でした。
書きたいことが多すぎるのに文章まとめる能力がなくてグダグダなことになってしまいましたが、なんか自分の熱意かなにか伝わってもらえればと思います。
決して有名だとは言えないと思われる作品ですし、応援していきたい。
大事件は起きません。ただ丁寧な心理描写を繰り返し、ちょっとした誤解や暴走で転がってどこへ行くのか予想がつかないお話。3人のキャラが立っていてかつ魅力的。
仄暗いムードが色濃いですが、コメディシーンも挿入され読みやすいんですよね。
エロ描写も多いかもしれませんが、直接的で男性的なエロというより、官能的。
2巻まででもかなり面白かったのですが、ここまでくるともう先が気になって震える!
でもこれモバMANっていう携帯漫画なんですよねえ。雑誌じゃないのかよ!なかなかそっちに手を出せるものではないので、自分は単行本派のまま次を待つしかない・・・。
罪深くもかわいらしい、美しい背徳ににおいを感じさせる、いい漫画です。
祥がもう再登場しそうにないあたりがマジで容赦ない漫画だと思いました(笑顔)。そのうち出てくるんですかねえ・・・それはそれで面白い状況になりそうで楽しみなんですがw
『ヒメゴト~十九歳の制服~』3巻 ・・・・・・・・・・★★★★☆
応援したいシリーズ。。綿密に、テンポよく紡がれる複雑な人間模様。性と年齢にまつわるコンプレックスと欲望が怪しく燃え上がっております。メイン3人が本当に面白い!
以降の巻。
友達でも恋人でも足りない気持ち。色めく19歳の夜。『ヒメゴト~十九歳の制服~』4巻
[漫画]嘘と罪に恋に縛られた姫。『屋上姫』3巻
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ずっと嘘をついていて ごめんなさい
いたい・・・「屋上姫」3巻は胸が痛くなりますよ。いよいよ修羅場が来た・・・!
いずれ来るだろうと思いっていた展開がここで。かなりじっくりと心理描写を積み重ねる作品のため、展開もかなり丁寧で遅めなのですが、ここに来て溜め込んでいたものが一気に炸裂するかのような刺激的な内容!
オビ曰く「傷つかない恋なんて、無い」。いいコピーだけど、つらいす。
カギを握るのは今回で表紙初登場の結子。事態が動きまくりの第3巻です。
嘘吐き少女の苦悩。揺らぐ三角関係は? 『屋上姫』1巻
罪悪感と、淡い恋。 『屋上姫』2巻
これまで静かに、ひたひたと忍び寄っていた、影のように必ず付き添う罪悪感。
主人公は黛という男の子ですがコイツがずいぶんと鈍感な野郎で、彼に思い寄せる結子の描写もじっくりとされていることから、自分はこの三角関係(四角?)を俯瞰的に見ていました。
主人公も等身大に悩んで、頭抱えているわけですが・・・まあコイツよかシビアな状況にある女の子が2人もいるのでそっちに目が行っちゃいますよね・・・。いや黛だっていいヤツではあるんだ・・・。
突然始まった恋に振り回されてばかりの3人。
中でも今回一番の注目所をは結子でしょうとも。切なすぎるよこの娘・・・。
黛が先輩と付き合いだしたことを知らないまま彼へ片思いを続けています。その空回りっぷりは素晴らし同時に虚しく、しかし無茶苦茶かわいくてやりきれなさがハンパではありませんでした、・・・これまでは。
そんな結子が、黛と澄花の秘密の関係をついに知ってしまったのが2巻のラスト。
ついにキチャッターと思っていたら、そのままドンドンしんどい方向に落ちていく。
今回、結子がいつもみたいな明るい笑顔をみせてくれることはありません。
いつまでも涙ぐんで、苦しそうな表情のまま。
自分がただのピエロだったとわかって「私 バカみたいだなぁ」とつぶやくシーンなんか、もう・・・もう・・・!
こんな結子見たくない、と思っても目が離せないのも事実でして。
澄花先輩へ憧れを持っていたために、結子は先輩を純粋に憎むこともできない。
だって、行動を起こさないまま見ていただけなのは、自分なのだから。
後悔や、自己嫌悪や、ほんのちょっと外部へ攻撃的な感情にもみくちゃになっていくのです。そしてこんなイヤなことを考えている自分をさらに嫌いになっていくスパイラル。
「私の方がマユくんを好きなのに・・・」だから、なんだというのか。わかっていても思わざるを得ないふざけた自問自答。そして、爆発する。
羨望の対象だった澄花と、決定的な決別。
内に負のエネルギーを貯めこんでいく結子ですが、これからどうなっていくのか。
もとからいろんな物事において余裕のなさそうな女の子だなぁという印象ですが、3巻で限界に近づいてきているなぁと感じました。
どうか結子に晴れやかな結末を・・・。きっともう、ムリかもしれないけれど。
一方で澄花さんですよ。最初こそ完璧な人だとおもいきやどんどんと秘密が明かされていき、非常に人間臭いキャラクターが見えてきています。
彼女の行いは、褒められるものでは決してない。納得はできない、でも理解はできる。
果たされぬ恋の腹いせに、よく知りもしない少年と交際を始めた。
しかし罪の意識をしっかりと持っているのが、彼女を糾弾しずらい理由でもある。
黛と結子の絆を認識し、自らを邪魔者とわかっているんですよね、この人。
あえてそっけない態度にして、黛をあまり自分に入れ込まないように仕向けたりしていて、それが2人の微妙に気まずい雰囲気を作っていました。
しかしですよ。一方で今回、澄花から黛と夏祭りに出かけることを楽しみにしていたり、デートに使えそうなファッションを知るために本を買ってみたり・・・。
黛との恋人としての時間に、少しでも楽しみを感じだしているような様子でもありました。
彼女自身どこか変わっていっている。心が動き出している。
きっと偽物じゃない、もしからしたら本当に美しいものが芽生えだしている。
でも始まりから嘘なのだから。その果てにあるものだって嘘以外にありえない。と、澄花は考えている。
むしろ自分からヒールを演じようとしている風にも見受けられるんですよねえ。
彼女は罰を受けたいんだろうか。
そういう意味で、この3巻のクライマックスで飛んだ結子の張り手は、大きな意味を持つのかもしれません。決別と罰。
でも絶対にくすぶってますよねえ、先輩。まだ火が消えてない。なにからしらの心残りというか、名残惜しさを感じている様子。こんな形で終わったままだなんて、ありえない。
というか!こんだけ周囲の女の子が頭抱えてるというのに主人公の黛は状況に翻弄されてるだけじゃないですか!てめぇ!楽しみにしてますよ、こっからのなにかしらを!
ついでに今後は信忠の動きも重要になってきそう。みせてくれよ、男の子。
そんな「屋上姫」3巻でした。
1巻からズルズルと続いていた不安定な雰囲気が、ついに決壊。ここからですよ、この作品は。
それにしても、ジクジクと心をいじめられているような読み心地。
とは言え、「やめろーやめてくれー胃がー・・・」とか漏らしつつ、修羅場シーンって結構好きなんですな、自分。胸が痛い、以外の面白さにゾクゾクしてたのを否定しません!
表紙はこんなに爽やかなのにねえ。いやでも、青臭さだったら満点です。
一気に事態が動きましたし、4巻でどんなストーリーになるのか楽しみですなー。
皮肉なくらい綺麗な青空の下。恋と罪の物語はどこへ行く。
『屋上姫』3巻 ・・・・・・・・・★★★☆
結子を見ていて湧き上がるこれは・・・なるほど、不憫萌えってヤツか!ドロドロ青春劇。