[漫画]罪悪感と、淡い恋。 『屋上姫』2巻
屋上姫(2) (フレックスコミックス) (2011/08/12) TOBI 商品詳細を見る |
俺たち・・・付き合ってるんですから
TOBI先生の「屋上姫」の2巻が発売されました。
「眼鏡なカノジョ」でTOBI先生の作品にハマったのですが、この「屋上姫」はこれまでのTOBI先生作品の雰囲気とは一味違ったストーリーとなっており、見逃せない仕上がりなのです。
甘酸っぱい・・・というかもう「苦い」と言えるような人間関係が繰り広げられる本作。
そういえば今回の表紙、なんだか屋上のフェンスが檻のようにも見えます。
(構図的には)フェンスの向こうの自由な空から隔てられてしまっているヒロイン・澄花。ちょっとこじつけっぽいですが、イメージとしては作品の内容に合ってるかもですね。
というわけで今日は「屋上姫」2巻の感想です。
1巻ラストで、澄花が本当に好きなのは主人公の黛ではないと明らかになり、2巻からは読んでる側としてはさらに心が痛い展開に入っていきます。
この作品は澄花、黛、結子の三角関係を中心に進行していくのですが、それぞれがそれぞれに抱いている純粋な想いと、それを裏切る秘密が上手く絡み合い、とても切ない関係になっています。
特に主人公・黛を慕う幼なじみの女の子、結子はブッチギリの報われないオーラを放っており、私の不幸っ娘センサーがビンビン働きます。あんまり働いてもらいたくないセンサーですが、まぁこれはこれで1つの属性として楽しめてしまったほうがきっと楽しいんだ・・・。
ああー、もう、かわいい。
こんな純粋で、一途に主人公を想っている結子ちゃんですが、主人公はそれに気付くことなく、加えて結子には秘密で学校のアイドル澄花と付き合っているのです。
主人公は知らずに結子ちゃんを裏切ってしまっていて、彼女もそれに気付かずに黛に淡い恋心を抱いている様子が・・・もう、イタタタ。
丸分かりなくらいに好きだって表情に出てしまってるのに気付かない黛は主人公ですね・・・。
なんとか結子に幸せになってもらいたい・・・けど、そんなビジョンあまり見えてこない。
さて、そういえば結子関連で気になるのは、結子と同じく黛の幼なじみ・ノブ。
今回は小学生時代の回想シーンが入り、当時のぽっちゃり体型は、現在のスラリとモテそうなルックスになったノブと比較すると、驚くと同時にニヤリとさせられます。
直接的な表現はされていませんが、ノブは結子をとても気にかけてるように感じられます。結子のことを好きなのかも、と考えるとより一層主人公の周辺は切ない人間関係に・・・!
しかし澄花さんにちょっとずつ変化が見えてきたことも、2巻では見逃せないポイント。
実の兄に恋をしているという澄花は、それを果たすことができない代わりに主人公と恋人関係になったという感じらしいのですが、フェイクではなく、本当に黛に心動かされてるように見受けられます。
かすかに、けれど確実に変化が起きているような。
結子が一緒に屋上で勉強をしてもいいかと尋ねたとき、にこりと「どうぞ」と言ったあと、1人になってからこっそりと「断ればよかった・・・」とつぶやくのも印象的。彼女自身、自分のそんな考えに戸惑っているような表情を見せていましたしね。予期せぬ心の動きに驚いているようです。
とは言っても澄花と黛の関係がフワついたままなのは相変わらずです。
結子が黛のことを好きであると見破っている澄花は、自分なんかといるより結子と一緒に行動して彼女を喜ばせるよう行動するように促します。
しかし黛からは、それが澄花が自分を遠ざけているように感じてしまうという。・・・もぉー!
付き合っているのに深くは踏み込めない・・・そんなもどかしい距離感に黛は戸惑っているようですが、これはムリはないかなと。完璧に思える女の子ですけれど、澄花って意志表示が上手くできていませんし、わりと中途半端なスタンスのままな気がします。そこが彼女の(ダメな)可愛らしさであり、この作品を面白くする1要素であるのは間違いないのですが。
この作品はもどかしい展開の連続で困ってしまいますよ!好きですけど!
超展開は無いものの、じわりじわり心を攻めてくるような空気の2巻目でした。
とは言っても、この2巻のラストには今後のハードな展開を期待せざるを得ませんが!結子おおおおお、うわあああああああ。結子には笑っていて欲しいけど、でもこういう展開、正直ゾクゾクする・・・!
ずっとローテンションが続いているというか、女々しく湿っぽい展開が多く、気持ちよく楽しめる作品ではないかも知れません。しかしこれはこれで、チクリと痛む、青春の負の感情のこじれっぷりを味わえて好きです。
今にも強風が吹きだしそうな、大雨が降りだしそうな曇り空みたい。
はやくスッキリして欲しいような、もっとじめじめもじもじして欲しいような・・・。
罪悪感やストレスを積もらせるキャラクターたち。今後の展開がとても気になります。
願わくば全ての登場人物がいい笑顔で終わってくれますように・・・!・・・無理かなぁ。
指先にじわり滲む痛み。晴れやかな恋には、遠い。
『屋上姫』2巻 ・・・・・・・・・★★★☆
急展開が少ない分、本当にじわりじわり胸が締め付けられます。いよいよ修羅場へ・・・!?
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