[漫画]嘘と罪に恋に縛られた姫。『屋上姫』3巻
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ずっと嘘をついていて ごめんなさい
いたい・・・「屋上姫」3巻は胸が痛くなりますよ。いよいよ修羅場が来た・・・!
いずれ来るだろうと思いっていた展開がここで。かなりじっくりと心理描写を積み重ねる作品のため、展開もかなり丁寧で遅めなのですが、ここに来て溜め込んでいたものが一気に炸裂するかのような刺激的な内容!
オビ曰く「傷つかない恋なんて、無い」。いいコピーだけど、つらいす。
カギを握るのは今回で表紙初登場の結子。事態が動きまくりの第3巻です。
嘘吐き少女の苦悩。揺らぐ三角関係は? 『屋上姫』1巻
罪悪感と、淡い恋。 『屋上姫』2巻
これまで静かに、ひたひたと忍び寄っていた、影のように必ず付き添う罪悪感。
主人公は黛という男の子ですがコイツがずいぶんと鈍感な野郎で、彼に思い寄せる結子の描写もじっくりとされていることから、自分はこの三角関係(四角?)を俯瞰的に見ていました。
主人公も等身大に悩んで、頭抱えているわけですが・・・まあコイツよかシビアな状況にある女の子が2人もいるのでそっちに目が行っちゃいますよね・・・。いや黛だっていいヤツではあるんだ・・・。
突然始まった恋に振り回されてばかりの3人。
中でも今回一番の注目所をは結子でしょうとも。切なすぎるよこの娘・・・。
黛が先輩と付き合いだしたことを知らないまま彼へ片思いを続けています。その空回りっぷりは素晴らし同時に虚しく、しかし無茶苦茶かわいくてやりきれなさがハンパではありませんでした、・・・これまでは。
そんな結子が、黛と澄花の秘密の関係をついに知ってしまったのが2巻のラスト。
ついにキチャッターと思っていたら、そのままドンドンしんどい方向に落ちていく。
今回、結子がいつもみたいな明るい笑顔をみせてくれることはありません。
いつまでも涙ぐんで、苦しそうな表情のまま。
自分がただのピエロだったとわかって「私 バカみたいだなぁ」とつぶやくシーンなんか、もう・・・もう・・・!
こんな結子見たくない、と思っても目が離せないのも事実でして。
澄花先輩へ憧れを持っていたために、結子は先輩を純粋に憎むこともできない。
だって、行動を起こさないまま見ていただけなのは、自分なのだから。
後悔や、自己嫌悪や、ほんのちょっと外部へ攻撃的な感情にもみくちゃになっていくのです。そしてこんなイヤなことを考えている自分をさらに嫌いになっていくスパイラル。
「私の方がマユくんを好きなのに・・・」だから、なんだというのか。わかっていても思わざるを得ないふざけた自問自答。そして、爆発する。
羨望の対象だった澄花と、決定的な決別。
内に負のエネルギーを貯めこんでいく結子ですが、これからどうなっていくのか。
もとからいろんな物事において余裕のなさそうな女の子だなぁという印象ですが、3巻で限界に近づいてきているなぁと感じました。
どうか結子に晴れやかな結末を・・・。きっともう、ムリかもしれないけれど。
一方で澄花さんですよ。最初こそ完璧な人だとおもいきやどんどんと秘密が明かされていき、非常に人間臭いキャラクターが見えてきています。
彼女の行いは、褒められるものでは決してない。納得はできない、でも理解はできる。
果たされぬ恋の腹いせに、よく知りもしない少年と交際を始めた。
しかし罪の意識をしっかりと持っているのが、彼女を糾弾しずらい理由でもある。
黛と結子の絆を認識し、自らを邪魔者とわかっているんですよね、この人。
あえてそっけない態度にして、黛をあまり自分に入れ込まないように仕向けたりしていて、それが2人の微妙に気まずい雰囲気を作っていました。
しかしですよ。一方で今回、澄花から黛と夏祭りに出かけることを楽しみにしていたり、デートに使えそうなファッションを知るために本を買ってみたり・・・。
黛との恋人としての時間に、少しでも楽しみを感じだしているような様子でもありました。
彼女自身どこか変わっていっている。心が動き出している。
きっと偽物じゃない、もしからしたら本当に美しいものが芽生えだしている。
でも始まりから嘘なのだから。その果てにあるものだって嘘以外にありえない。と、澄花は考えている。
むしろ自分からヒールを演じようとしている風にも見受けられるんですよねえ。
彼女は罰を受けたいんだろうか。
そういう意味で、この3巻のクライマックスで飛んだ結子の張り手は、大きな意味を持つのかもしれません。決別と罰。
でも絶対にくすぶってますよねえ、先輩。まだ火が消えてない。なにからしらの心残りというか、名残惜しさを感じている様子。こんな形で終わったままだなんて、ありえない。
というか!こんだけ周囲の女の子が頭抱えてるというのに主人公の黛は状況に翻弄されてるだけじゃないですか!てめぇ!楽しみにしてますよ、こっからのなにかしらを!
ついでに今後は信忠の動きも重要になってきそう。みせてくれよ、男の子。
そんな「屋上姫」3巻でした。
1巻からズルズルと続いていた不安定な雰囲気が、ついに決壊。ここからですよ、この作品は。
それにしても、ジクジクと心をいじめられているような読み心地。
とは言え、「やめろーやめてくれー胃がー・・・」とか漏らしつつ、修羅場シーンって結構好きなんですな、自分。胸が痛い、以外の面白さにゾクゾクしてたのを否定しません!
表紙はこんなに爽やかなのにねえ。いやでも、青臭さだったら満点です。
一気に事態が動きましたし、4巻でどんなストーリーになるのか楽しみですなー。
皮肉なくらい綺麗な青空の下。恋と罪の物語はどこへ行く。
『屋上姫』3巻 ・・・・・・・・・★★★☆
結子を見ていて湧き上がるこれは・・・なるほど、不憫萌えってヤツか!ドロドロ青春劇。