[漫画]あなたとしかしたくない。『キスメグルセカイ』2巻 ほか
今日は3作同時に。
また会える?
キスで並行世界を移動していく、SFチックラブコメディ。この2巻で完結です。
今回もオビの煽りがセンスいいですね。「あなたとしかしたくない。」!うひょう!
1巻はわりとえっちぃシーンもたくさんあったような印象ですが、2巻は完結巻なこともあってか、ストーリーを進めつつ話をまとめることに重点が置かれていたような気が。
とは言え女の子のかわいさは今回も素晴らしい!
あざとさは無くても、主人公のキャラクターがいいだけでニヤけてしまえます。
ジェームスほたて先生の絵が好きな自分としてはこれだけでも満足なのですが、この作品を読んで思うのは、エロをメインで活躍しているこの作家さんが、こんなかなりストレートに少女漫画チックな作品に挑んだということは面白いなということ。
しかもほんのりSF要素入りですよ!・・・まぁ、あとがきを読むに、作者本人はSFと意識せず描いていたようですけどもwそれでも、ジェームスほたて先生のイメージに幅ができたかも。
まぁエロでの作品を見てもラブコメが多いですし、設定に一捻りを加えた上で順当に一般向けになったジェームスほたて先生作品と言えるでしょう。
キスをテーマにした作品だけあって、今回もキスシーンが魅力的でした。
特に第8話のラストにはグッときましたね!
様々な平行世界の「環」は、同室人物ではありますがそれぞれに違った性格となっており、主人公がキスをしまくってるとは言え浮気してるようには見えないのはいい設定でした。
第6話でのショタモードも可愛かったですねえ・・・ふむぅ・・・。
未来を選択し進んでいくことへの勇気を幸福を感じさせてくれるラストも爽快で、ちょっと珍しい設定の作品でしたがうまーくまとまってくれたのではと思います。
アイさんもここまで重要なキャラとは思わず、彼女の活躍や秘密も楽しめました。
世界を移動するシーンがいつも綺麗で、同時にちょっと切ない気分になって好きでしたね。
『キスメグルセカイ』2巻 ・・・・・・・・・★★★☆
完結。恥ずかしがり屋な主人公ががんばってキスをする場面はニヤニヤしますなあ。
オレが来たからにはもう大丈夫だ。
ピリッと緊張感ある表紙の「はじめてのあく」11巻です。
今回は真世界(ネビロス)編ということで、みんなの特訓シーンから決戦へと進んでいく、これまでにないくらいにシリアスムード。
連載当時ははじあくが本格的にバトル編入ってきたー!と楽しんでいましたが、ここらへんは単行本で一気読みすると、これまでどおりの1話完結コメディとはまた違った読み応えがあり、やはり新鮮な一冊となっていると思います。
超パワーアップしてジローが帰ってくる所なんて、すごく少年漫画チック。
シリアスな中にもコメディやラブをこまめに入れてくるバランスも上手いですね。
しかし1番に悶えたのは記念すべき第100話「義理・・・チョコ?」ですよ!
確実に恋する女の子として成長してきているアキですが、今回はバレンタイン。
想い寄せる赤城はもうすぐ卒業ということで、なんとかアクションをかけたいアキ。
なんかもー、バレンタインだなんだってワイワイ盛り上がっちゃう女の子みんなまとめてかわいいとゆーか。はい。ニヤニヤがとまりません。がんばれアキ!
次の12巻は1月発売予定。ネビロス編完結となります。
『はじめてのあく』11巻 ・・・・・・・・・★★★☆
いつもよりシリアス、しかもバトル編。でもらしさは失われず!
体中がケイレンを起こすくらい快感なんです。
ノゾキアナを巡るメロドラマもいよいよ9巻目となりました。「ノ・ゾ・キ・ア・ナ」です。
正直よく9巻まで続けられるなぁと感じます。でも飽きないんですよね。それはちゃんとストーリーに工夫がされているのと、作中にもありますが、人間の本性が暴かれる瞬間というのは読んでいてゾクゾクするもので。
単純にエロい描写が多いのもありますが、練られたストーリーそのものの面白さが大きな魅力だと思います。
セリフ回しだったりじれったい展開だったり、若干クドく感じる部分もあるといえばありますが。
さて、周囲にドンドンと広がっていく「アナ」の秘密。
歯止めの利かない状況にこちらもヒヤヒヤしますが、ついに今回修羅場が!
ヤホーイ!
この9巻で人間関係もだいぶ収束され、残されたのは本題のみという感じでしょうか。
えみるとまどか、ついに決裂した2人ですが、それだけじゃ終わりそうにない。
進んでヒールになってみせたえみるを思うと、むしろ何かあって欲しい!
男同士の友情を確認するシーンなんか自分もお気に入りで熱かったですねえ。
エロいだけじゃない、ドラマの面白さを見せつけた巻だったと思います。
ヘヴィーですが、人間の罪深さと、力強く意思を持つことの大切さがあります。
10巻ではえみるの過去が明かされそう・・・?そろそろまとめに入ることでしょうか。
最後まで追っていきたいと思います。携帯漫画も面白いものです。
『ノ・ゾ・キ・ア・ナ』9巻 ・・・・・・・・・★★★☆
クライマックス感アリ。どんな終結を見せるのかが楽しみです。
キスメグルセカイ (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) (2011/11/11) ジェームスほたて 商品詳細を見る |
また会える?
キスで並行世界を移動していく、SFチックラブコメディ。この2巻で完結です。
今回もオビの煽りがセンスいいですね。「あなたとしかしたくない。」!うひょう!
1巻はわりとえっちぃシーンもたくさんあったような印象ですが、2巻は完結巻なこともあってか、ストーリーを進めつつ話をまとめることに重点が置かれていたような気が。
とは言え女の子のかわいさは今回も素晴らしい!
あざとさは無くても、主人公のキャラクターがいいだけでニヤけてしまえます。
ジェームスほたて先生の絵が好きな自分としてはこれだけでも満足なのですが、この作品を読んで思うのは、エロをメインで活躍しているこの作家さんが、こんなかなりストレートに少女漫画チックな作品に挑んだということは面白いなということ。
しかもほんのりSF要素入りですよ!・・・まぁ、あとがきを読むに、作者本人はSFと意識せず描いていたようですけどもwそれでも、ジェームスほたて先生のイメージに幅ができたかも。
まぁエロでの作品を見てもラブコメが多いですし、設定に一捻りを加えた上で順当に一般向けになったジェームスほたて先生作品と言えるでしょう。
キスをテーマにした作品だけあって、今回もキスシーンが魅力的でした。
特に第8話のラストにはグッときましたね!
様々な平行世界の「環」は、同室人物ではありますがそれぞれに違った性格となっており、主人公がキスをしまくってるとは言え浮気してるようには見えないのはいい設定でした。
第6話でのショタモードも可愛かったですねえ・・・ふむぅ・・・。
未来を選択し進んでいくことへの勇気を幸福を感じさせてくれるラストも爽快で、ちょっと珍しい設定の作品でしたがうまーくまとまってくれたのではと思います。
アイさんもここまで重要なキャラとは思わず、彼女の活躍や秘密も楽しめました。
世界を移動するシーンがいつも綺麗で、同時にちょっと切ない気分になって好きでしたね。
『キスメグルセカイ』2巻 ・・・・・・・・・★★★☆
完結。恥ずかしがり屋な主人公ががんばってキスをする場面はニヤニヤしますなあ。
はじめてのあく 11 (少年サンデーコミックス) (2011/11/18) 藤木 俊 商品詳細を見る |
オレが来たからにはもう大丈夫だ。
ピリッと緊張感ある表紙の「はじめてのあく」11巻です。
今回は真世界(ネビロス)編ということで、みんなの特訓シーンから決戦へと進んでいく、これまでにないくらいにシリアスムード。
連載当時ははじあくが本格的にバトル編入ってきたー!と楽しんでいましたが、ここらへんは単行本で一気読みすると、これまでどおりの1話完結コメディとはまた違った読み応えがあり、やはり新鮮な一冊となっていると思います。
超パワーアップしてジローが帰ってくる所なんて、すごく少年漫画チック。
シリアスな中にもコメディやラブをこまめに入れてくるバランスも上手いですね。
しかし1番に悶えたのは記念すべき第100話「義理・・・チョコ?」ですよ!
確実に恋する女の子として成長してきているアキですが、今回はバレンタイン。
想い寄せる赤城はもうすぐ卒業ということで、なんとかアクションをかけたいアキ。
なんかもー、バレンタインだなんだってワイワイ盛り上がっちゃう女の子みんなまとめてかわいいとゆーか。はい。ニヤニヤがとまりません。がんばれアキ!
次の12巻は1月発売予定。ネビロス編完結となります。
『はじめてのあく』11巻 ・・・・・・・・・★★★☆
いつもよりシリアス、しかもバトル編。でもらしさは失われず!
ノ・ゾ・キ・ア・ナ 9 (ビッグ コミックス) (2011/09/30) 本名 ワコウ 商品詳細を見る |
体中がケイレンを起こすくらい快感なんです。
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正直よく9巻まで続けられるなぁと感じます。でも飽きないんですよね。それはちゃんとストーリーに工夫がされているのと、作中にもありますが、人間の本性が暴かれる瞬間というのは読んでいてゾクゾクするもので。
単純にエロい描写が多いのもありますが、練られたストーリーそのものの面白さが大きな魅力だと思います。
セリフ回しだったりじれったい展開だったり、若干クドく感じる部分もあるといえばありますが。
さて、周囲にドンドンと広がっていく「アナ」の秘密。
歯止めの利かない状況にこちらもヒヤヒヤしますが、ついに今回修羅場が!
ヤホーイ!
この9巻で人間関係もだいぶ収束され、残されたのは本題のみという感じでしょうか。
えみるとまどか、ついに決裂した2人ですが、それだけじゃ終わりそうにない。
進んでヒールになってみせたえみるを思うと、むしろ何かあって欲しい!
男同士の友情を確認するシーンなんか自分もお気に入りで熱かったですねえ。
エロいだけじゃない、ドラマの面白さを見せつけた巻だったと思います。
ヘヴィーですが、人間の罪深さと、力強く意思を持つことの大切さがあります。
10巻ではえみるの過去が明かされそう・・・?そろそろまとめに入ることでしょうか。
最後まで追っていきたいと思います。携帯漫画も面白いものです。
『ノ・ゾ・キ・ア・ナ』9巻 ・・・・・・・・・★★★☆
クライマックス感アリ。どんな終結を見せるのかが楽しみです。
[漫画]過ぎ去りし青春、今ここにある青春。『君と僕。』10巻
君と僕。(10) (ガンガンコミックス) (2011/09/17) 堀田 きいち 商品詳細を見る |
高校最後の夏が始まる
「君と僕。」の最新10巻、先月出ました。いよいよ2ケタになりましたか。
表紙は祐希&千鶴のなかよしコンビ。今回彼らの関係がメインの回も。
アニメも放送中で、原作どおりのマッタリ感と、学生たちが日常をただ楽しむだけのノスタルジックな光景が際立つ仕上がりとなっています。まだ1話が放送されたばかりなのですが・・・。
ではせっかく久しぶりの新刊なので感想を。さらりとですが。
●10巻は引き続き修学旅行編からスタート。
春くんに春が来たぞ!最初からメリーに好かれていましたけども、彼自身がだれかと恋に落ちたということはこれがはじめてで、なかなかにニヤニヤするエピソードとなっていました。
2人の恋の行方は果たして・・・?
と気になりますが、この結論はこの作品らしいなぁと感じましたね。
この作品は何気ないエピソードでもあとから振り返ればかけがえのない時間だったと思えそうな、甘い青春を送っているのですが、今回のような目立ったシチュでの展開でも同じ。
このエピソードでは、春くんと祐希というほんのり珍しいような気がする?組み合わせがピックアップされたシーンがありました。個人的にはここの祐希がたまらないのです。
ぼんやりしてるようで人の心に敏感で、遠まわしにですがなんとか春くんに行動を起こさせようとしてる感じがいいですねえ。「俺は悠太ほど優しくはないからね」という言葉もいい。
もしかしたら傷つけるかもしれない、それでも春に後悔させないために、あえて口にする言葉。祐希の友人との距離感は非常に心地よいものだと思います。まぁ、そりゃメインみんなかな。
●それ以降は普段通りの学校生活に戻りました。
次の巻に続くおおきな変化をあったりなかったりといった感じです。
しかし第45話と48話、あきらが登場するエピソードは、大人と少年それぞれが見る・感じる青春の違いが込められているようで印象深いです。
45のエピソード2は、大人たちが飲み会ではしゃぐ(はしゃいでるのはあきらだけか)お話なのですが、青春を終えたものたちがそれを懐かしみ、あるいは青春の延長線の上にあり現在までに続く関係、いわば「青春の残り香」に思いを馳せる内容。
大人になってなくしてしまった感覚はたくさんあって、それを仕方ないものとして受け止めてしまえる強さも身につけた。でもあのころの楽しさは、輝きは、いつまでたっても忘れられない。今や自分はそれにあこがれるだけの存在になってしまったけれど。
そして第48話はあきらが現役高校生と青春しちゃうようなお話。
あきらは大人でありながらそのルックスや幼い内面から、制服さえ着ればまったく違和感なく学校をうろつけるような人物。しかし彼が、リアル高校生との間に感じるささいなギャップ。
優勝したら、先生がジュースおごってくれるってさ。がんばらなきゃな。
・・・労働の対価としてジュース一本のおごりじゃ、大人の世界じゃわりに合わない。でも少年たちは、そんなどうでもいい目標のためにがんばれる。まぶしいくらいの単純さ。
そしてこれにあきらも苦笑い。
間違いなく、彼もまた大人になってしまっているのです。かつての何かはもう薄れている。
寂しいけれどそれが現実で、この後に続くタイムカプセルもまたノスタルジックでした。
人がみなきっと憧れる「青春」の日々。きっとそれを通り過ぎた人にした、あのころの輝きをちゃんと見ることなんてできないのかな。
感傷的になる大人たちがみせる曖昧な表情が、この巻の大きな見所でしょう。
●もういっこ、悠太の内面をさらりと描いた第47話「独白」もクール。
12ページの短編エピソードなのですが、これも心にのこるものでした。
集団の中で、いつも「自分」を強くは出さない悠太。彼自身、自分に主体性がないことをちょっとだけ気に病んでるような様子が伺えます。
それでも終盤のモノローグで綴られる彼の心情がまた鮮やか。
「何になっても来週が楽しみだ」で閉じられるのですが、そう確信を持てるのは、今がとても楽しいからにほかなりません。彼のまわりには黙ってても面白い奴らが揃ってますからね。
ある意味では、悠太は自分の娯楽性を大幅に周囲に依存している、ということで。彼がどれだけ今の日常を気に入っているかが伺えるのです。
「あいつらと一緒にいれば、いつだって楽しいに違いない」なんて絶対口にはしないであろう確信に満ちたメッセージが透けて見えます。きゃーん。悠太は大人っぽい形で青春を楽しんでるのかもしれませんね。ニヤニヤ。
ってことでざらっと気になった点にふれていきました、「君と僕。」10巻。
「超面白い!たまらーん!」というふうではなく、「おっ、いいねえ、この空気」という感覚のまま、10巻にまでやってきました。今後ともこんな感じでいってもらいたいところ。
さて、コミックス11巻は3月27日発売。限定版もあるようです。
なぜか応援団なんて似合わない熱血集団に仲間入りしてしまった祐希!
いよいよ次の巻では彼が本気をみせ・・・・・・てくれるのでしょうか本当に。
3年生だし、そろそろ進路の話にも本格的にはいってくるかも?
いつもよりちょっと早めに出る11巻、楽しみにしたいと思います。
『君と僕。』10巻 ・・・・・・・・・★★★☆
ゆるゆるセンチメンタル。思わずキュンとくるシーンが盛りだくさん。
[漫画]見逃せない女の子がここにいます。『今日のあすかショー』2巻
今日のあすかショー 2 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕) (2011/09/30) モリ タイシ 商品詳細を見る |
パ、パンツが…パンツが見えちゃってます~~~~~!!!
1年ぶりの新刊!モリタイシ先生の「今日のあすかショー」2巻です。
昨年に出た第1巻はとてもお気に入りで、何度も読み返したりしてました。
→あすかちゃんの無自覚エロス記録集 『今日のあすかショー』1巻
月刊連載で1話1話が短めなので単行本にまとまるのはやや遅いのですが、単行本で読むとすごくテンポよく読める一冊になってるなぁと感じますね。
ではさらり感想をー。
今回もあすかちゃんはいろんな所に出没しています。
学校で、ラーメン屋で、銭湯で、電車内で、夏の砂浜で、あすかちゃんが行きます。
こんなふうに舞台がコロコロ変わるのも、この作品の特徴かなと思います。
そこでモブの男性キャラに、知らず知らずに魅力を振りまいていくあすかちゃん。
こんなにかわいい女の子に出会えた!という感動をみんなに与えていくのです。
でも親密になれるというわけではない。たった1度きりの出会いです。
そこらへんの「ただ偶然出会えただけ」の面白さとロマンチックさに関しては1巻の感想の時にも書きましたが、2巻でもそれは同じですね。
メインキャラとしてバツグンの存在感があるけれど、なんとなくモブキャラっぽく見せてる話が多いと言うか。彼女視点の話もありますが、どちらかと言うと彼女を見つめる群衆視点のものが多く、むしろこちらにこそこの作品の神髄と魅力があるのではと思っています。
だからあすかちゃんは主人公というよりは、この作品の看板娘、と言えるのかも。
まぁタイトルだって「今日のあすかショー」で、あすかちゃんが巻き起こす、日常のちょっぴり刺激的な「ショー」を描いているのです。あすかちゃんは彼女に惑わされるモブ男性キャラは、そのままこの漫画の読者である私たちです。一緒にドキドキします。
この作品の面白さは、ともに日常を生きているという身近な感覚と、でもきっと自分の手は届かないんだろうなという切なさとロマンを孕んだ絶妙の「遠さ」にあります。
ぼくらはこの作品の主役ではない。ヒーローにもなれない。
でも、かわいい女の子のパンツが見れたよ。それでいいんだ!うん!
ちなみに彼女との距離をはかり間違えたタックン(22話)は見事撃沈したと思う。
ではここから他の気になった点をまばらに。
2巻には珍しく新キャラが登場しましたね。この作品モブとばかりなので。
いきなりあすかちゃんに告白してきて、男かと思ったらボクっ娘だったという沢田麻央ちゃん。
あすかちゃんですらペースを崩されるくらいの強引さを見せる女の子です。
パンツをガン見してしまって彼女は、罪悪感から「お詫びに今後ボクのパンツも見せますね」とかなんとか。ううむ、これから彼女も面白い活躍を見せてくれそうで楽しみですね!
それと2巻を読んでいてなんとなく思ったのが、背中から見る構図が印象に残ったかも、ということ。そういうシーンが多かったというわけでもなかったと思うのですが、多分なにか感じたんでしょうね。
例えばこのシーンとか好きです。現実でも漫画でもたまにみかけますけども。
濡れてすけてしまうブラについつい集中してしまう、日常感のあるいいカット。
でもこういうの1つとっても、なんでかこの作品は味わい深い。
走っていく彼女を見送っているこのシーンには、最初に書いた内容とも被ってしまいますが「遠さ」を意識させられて、思わずキュンとしてしまうのです。
あくまでも他人。手の届かない。でも追いかけることもきっとしない。
過ぎ去っていく風景に溶け込む、ちょっとしたラッキー。この距離感が、いいなぁ。
ということで、なんだか小難しいことを考えてしまってますが、でもこの作品は気楽に楽しめる気楽さがステキな作品です。
1話1話が短いのでそれぞれはすぐ読めます。ちょっと読んで、ちょっと心が潤います。
あっさりとしていて飽きがこないのがこの作品。
でもちゃんと記憶にひっかかりを残していくインパクトあるシーンがあります。
現在ゲッサンでやってるもう1つの連載作「まねこい」と比べても、こちらはストーリー漫画色が薄くとっつきやすいかもしれません。まねこいも好きですけどね。
うーん、やっぱり面白いですね「今日のあすかショー」。
こんなかわいい子がいる世界は、それだけでキラキラしますとも。ちょっとエッチで、ちょっとセンチメンタル。目で追っちゃうよね。しかたない。
『今日のあすかショー』2巻 ・・・・・・・・・★★★★
ちょっとマニアックな視線のエロスがいっぱい。モリタイシ先生のむっつり感が出てます。
[漫画]自由に愛して自由に生きよう。 『かなしい人はどこにもいない』
たまにはBL。
思いのほか胸がいたくて 興奮した
前回がだっいっじけっん!(関係ない)な感じで百合更新だったので今日はほもほもします。
山田酉子先生の新刊「かなしい人はどこにもいない」です。
「女の子のすべて」でこの作家にハマり、BL単行本「クララはいつも傷だらけ」もよかったので、結構楽しみにしていた一冊。
山田酉子先生の作品らしさは本作にもいきていますね。肩の力をぬいてリラックスしてるような空気。でも鋭さと毒も持ち合わせているような。
でもBL作品はけっこう甘いものが多くて読みやすい気がします。
ではさらりと感想をば。
今回は大きく2つのシリーズに分かれて収録されています。
最初が「Almost Summer」、中盤「オールドファッション」とその続編・番外編。
それぞれに関して個別に感想を書いていきます。
●Almost Summer
血のつながりがない兄弟もの。
プーなお兄さんを養ってやってるということで心理的優位にたっていた弟。ですがお兄さんが家を出て、バイトして自立をしようとすることから話が動いていきます。
とはいっても物語自体は短いもので、水気と感情をたっぷりと含んで膨らんでいます。
さらりと読めますが、表情やしぐさ、言葉の1つ1つや噛みしめることに美味しさがある作品。
読んでて感じるのが、兄弟間の距離感がふわふわしているなということ。
それは家族として当然の安定感のようにも、家族としてではない愛情があふれて感覚がくるってるようにも感じるような。
家族の延長線上の愛とは違うけど、まぁきっといろいろごちゃ混ぜになった感情か。
家族という確実なつながりですでに結ばれているため、恋人として関係をこじらせるよりは、「家族」という名目に守られていたほうがよっぽど楽で。でも手に入れたいのは本当で。
まとめとしては、最初はあんなにしっかりしてたのに、終盤ではすっかり涙目になってたり弱い面を見せてくれる弟くんかわいいなって話。
使用後ティッシュをベッドに放置してるのはなかなか不衛生なのでやめるべきです弟くん。
●オールドファッション/かなしい人はどこにもいない/ワンルーム
いろいろありますが、どれも共通のキャラが登場するシリーズ。
開始3ページで「とりあえず犬とやった」とか高速展開。この作品も、微妙に感情を揺らぎ動かしながら進んでいく作品なのですが、キャラの性格もあってか常習的にSEXしてますね。
さて、「犬」くんがとにかくエロいのです。お前本当に男なのかという感じで。体つき、顔立ち、ながいまつ毛、言葉の選び方など、非常にフェミニンな男性キャラクター。
主人公と犬、2人を仲介するのがサナダさんというキャラクターなのですが、彼はそうそうに退場をして、その寂しさからさらにメイン2人の関係が深まっていくという感じ。
お互い、他に誰か想い人がいると知っている。でも愛し合う。その残酷さを2人をむしろ楽しんでいるようで、面白い生き方です。「他の男の名前を呼ばれるのは 思いのほか胸がいたくて 興奮した」のモノローグにはしびれましたねえ。
物語全体としては、そういうちょっとした矛盾や切なさを抱えて、新しい愛に向き合っていくというもの。糖分おおめ、ポジティブな作品となっています。
人間ってとても勝手で冷たくて、でも甘えたがりで。
やさしくスタイリッシュに、のびやかな雰囲気をたたえたシリーズだと思います。
巻末描き下ろし、「サナダさんのその日」もお気に入りです。雲みたいにとらえどころのないキャラクター、その思考。最後におかれて物語が引き締まった気がします。
結構スッキリまとめられたような。「かなしい人はどこにもいない」の感想でした。
いやあ、やっぱり山田酉子先生の作品は好きだなぁって感じです。
どの作品でも、根底の冷え冷えとした空気と、ゆるやで温かな感触があります。
いろんなキャラクターがわりと自分勝手なのもいいですよね。自由だ。
性描写もそれなりにはあるものの、やらしすぎず清涼感すらあるのも○。そこに重きを置いておらず、心の動きをメインに追うドラマティックなものになっているのも読みやすい。
個人的には「女の子のすべて」で容赦なく女の子たちをボロボロにしてみせる姿勢が好きだったので、もうちょっと悲しくさせちゃっていいんですよ!という感想も抱きます。ボロボロなのに平然としてて、なんとなくぬくもりを帯びて女の子が生きるあの感覚が好きだったので。
しかしBLでもあの空気の片りんを味わえるので、やはり今後も作品を追っていきたい作家さんだなと再認識をしました。いいなぁ、この自由さ。そして甘い窮屈感と束縛。
『かなしい人はどこにもいない』・・・・・・・・・★★★☆
実はこっそりとどこかに/だれかに縛られているキャラクターたちがかわいい一冊。
かなしい人はどこにもいない (ドラコミックス) (2011/09/03) 山田酉子 商品詳細を見る |
思いのほか胸がいたくて 興奮した
前回がだっいっじけっん!(関係ない)な感じで百合更新だったので今日はほもほもします。
山田酉子先生の新刊「かなしい人はどこにもいない」です。
「女の子のすべて」でこの作家にハマり、BL単行本「クララはいつも傷だらけ」もよかったので、結構楽しみにしていた一冊。
山田酉子先生の作品らしさは本作にもいきていますね。肩の力をぬいてリラックスしてるような空気。でも鋭さと毒も持ち合わせているような。
でもBL作品はけっこう甘いものが多くて読みやすい気がします。
ではさらりと感想をば。
今回は大きく2つのシリーズに分かれて収録されています。
最初が「Almost Summer」、中盤「オールドファッション」とその続編・番外編。
それぞれに関して個別に感想を書いていきます。
●Almost Summer
血のつながりがない兄弟もの。
プーなお兄さんを養ってやってるということで心理的優位にたっていた弟。ですがお兄さんが家を出て、バイトして自立をしようとすることから話が動いていきます。
とはいっても物語自体は短いもので、水気と感情をたっぷりと含んで膨らんでいます。
さらりと読めますが、表情やしぐさ、言葉の1つ1つや噛みしめることに美味しさがある作品。
読んでて感じるのが、兄弟間の距離感がふわふわしているなということ。
それは家族として当然の安定感のようにも、家族としてではない愛情があふれて感覚がくるってるようにも感じるような。
家族の延長線上の愛とは違うけど、まぁきっといろいろごちゃ混ぜになった感情か。
家族という確実なつながりですでに結ばれているため、恋人として関係をこじらせるよりは、「家族」という名目に守られていたほうがよっぽど楽で。でも手に入れたいのは本当で。
まとめとしては、最初はあんなにしっかりしてたのに、終盤ではすっかり涙目になってたり弱い面を見せてくれる弟くんかわいいなって話。
使用後ティッシュをベッドに放置してるのはなかなか不衛生なのでやめるべきです弟くん。
●オールドファッション/かなしい人はどこにもいない/ワンルーム
いろいろありますが、どれも共通のキャラが登場するシリーズ。
開始3ページで「とりあえず犬とやった」とか高速展開。この作品も、微妙に感情を揺らぎ動かしながら進んでいく作品なのですが、キャラの性格もあってか常習的にSEXしてますね。
さて、「犬」くんがとにかくエロいのです。お前本当に男なのかという感じで。体つき、顔立ち、ながいまつ毛、言葉の選び方など、非常にフェミニンな男性キャラクター。
主人公と犬、2人を仲介するのがサナダさんというキャラクターなのですが、彼はそうそうに退場をして、その寂しさからさらにメイン2人の関係が深まっていくという感じ。
お互い、他に誰か想い人がいると知っている。でも愛し合う。その残酷さを2人をむしろ楽しんでいるようで、面白い生き方です。「他の男の名前を呼ばれるのは 思いのほか胸がいたくて 興奮した」のモノローグにはしびれましたねえ。
物語全体としては、そういうちょっとした矛盾や切なさを抱えて、新しい愛に向き合っていくというもの。糖分おおめ、ポジティブな作品となっています。
人間ってとても勝手で冷たくて、でも甘えたがりで。
やさしくスタイリッシュに、のびやかな雰囲気をたたえたシリーズだと思います。
巻末描き下ろし、「サナダさんのその日」もお気に入りです。雲みたいにとらえどころのないキャラクター、その思考。最後におかれて物語が引き締まった気がします。
結構スッキリまとめられたような。「かなしい人はどこにもいない」の感想でした。
いやあ、やっぱり山田酉子先生の作品は好きだなぁって感じです。
どの作品でも、根底の冷え冷えとした空気と、ゆるやで温かな感触があります。
いろんなキャラクターがわりと自分勝手なのもいいですよね。自由だ。
性描写もそれなりにはあるものの、やらしすぎず清涼感すらあるのも○。そこに重きを置いておらず、心の動きをメインに追うドラマティックなものになっているのも読みやすい。
個人的には「女の子のすべて」で容赦なく女の子たちをボロボロにしてみせる姿勢が好きだったので、もうちょっと悲しくさせちゃっていいんですよ!という感想も抱きます。ボロボロなのに平然としてて、なんとなくぬくもりを帯びて女の子が生きるあの感覚が好きだったので。
しかしBLでもあの空気の片りんを味わえるので、やはり今後も作品を追っていきたい作家さんだなと再認識をしました。いいなぁ、この自由さ。そして甘い窮屈感と束縛。
『かなしい人はどこにもいない』・・・・・・・・・★★★☆
実はこっそりとどこかに/だれかに縛られているキャラクターたちがかわいい一冊。
[漫画]愛を歌い上げる情熱的ファンタジー 『黒髪のヘルガ』
本日は9月6日、黒髪ロングの日ということらしいですよ。ということで黒ロンマイスター「水星さん家」さん主催の黒髪ロング祭2011への参加記事です。
と言ってもいつも通りの更新にちょっと黒ロン更新っぽい話を加えただけなんですが・・・。
あなたが好き
今日は朔ユキ蔵先生の1巻完結作品「黒髪のヘルガ」で更新を。
タイトルからして「黒髪」とあるので、今日という日になんか合ってる気がします。
内容はと言えば、中世西洋のイメージが色濃いファンタジックなもの。
とは言っても朗らかだったり明かるい内容とはいいづらく、むしろ人の暗部に重きをおいて描かれた、ちょっとダークなメルヘンといった感じ。
読みやすい作品ですが、常にミステリアスな雰囲気をただよわせており、その内容と合わせてなかなか面白い読み心地を味わえました。大人向けの絵本というか、おとぎ話。
ではこの作品の感想をちまちまとー。
舞台は静かな狂気が渦をまく街。
「少女」と呼ばれる人物をひたすら崇めたてまつる住民たち。そんな彼らから「季節外れ」と呼ばれただ1人迫害を受けているヘルガという女の子が主人公です。
彼女の唯一の友だちのエッダ。ヘルガを迫害しない優しい市長アードルフ。そして市長の側近である男女二人の従者。彼らがメインとなって描かれるお話となっています。
ヘルガが肩身狭く生きている日常。しかしある日、鐘が鳴り響いてから世界は変わります。
呪いから解き放たれた人々が見せる真の姿とは。
そしてこの世界の主である「少女」という存在の秘密へと、物語が進みます・・・。
以下、書きたいことにネタバレになってしまう部分が多いです。ごめんなさい。
なんかわりと考察系。
●住民たちの心理
1人の少女を街ぐるみでいじめる、ひどい所だなあというのがはじめの印象。
人と人が愛し合うこと、過度に触れあうことをけっして認めない街です。
こんなふうに睨みつけられるヘルガ。でも、彼女は普段は知らんぷりです。
むしろ彼らを怒らせることを、いつもの仕返しだと言わんばかりに楽しんでいるみたい。
街中から圧倒的なくらいの悪意にさらされるヘルガは、「好きだ」という感情を隠さず表現します。そこもまた街中から非難をうける。それだけが迫害の原因ではないのですが。
彼らはそうして心を1つにする結束と、心が1つの感情で埋まる喜びが欲しい。
主たる「少女」は、自分が見たくないものをこの世界には存在させません。
そんな中でたった1人ヘルガが虐げられているのは、「少女」の幼いながらの残虐性が表れているのかなあとも思ってみたり。後半より強く見えてくる「少女」像がここからも読みとれそう。
けれどそんな街の住人たちも、物語中盤に大きく変化をします。
●性欲のない世界
ここは「少女」がうんだ世界。セックスは恐いから見たくない。だからそれを無くす。
第2話の扉絵はなんだろうなと最初は分からなかったんですが、これ、超ラフに描かれた結合部分なんでしょうね。そして彼女はこれを「汚い」と拒絶をします。
だからこの世界の人々は、人と人とが過度に触れあう行為を、とても嫌います。
ところが「鐘」が鳴り響くと街は一変。キスはするは脱ぐわでベッドインです。
これは「少女」が眠りについたから。
主が眠っている間だけ、住民たちは本来の自分を取り戻し、まるで抑圧から解放に酔ったみたいに、とにかくエロいことします。ぬるんぬるん。
けどこれ、「少女」からすれば悪い夢を見ているようなものなんでしょうねえ。自分が眠っている間だけ、自分が創りだした夢の世界が見たくもない行為を繰り返す。
でも眠りを知らせて人々を解放させる鐘の仕組みも、少女が作ったというならちょっと不思議な話です。「少女」の心にもややブレがありそうです。
そしてとある住民はこんなことを言うのでした。
面白いですねえ。「どうせ忘れる」ということは分かっている。どこか諦めている感じもありますが、それでも今幸せをかみしめたいという思いが伝わります。浅ましくも人間のサガですかね。
●人を愛するよろこび
鐘が鳴ったとたん、人々がとにかく愛を交わしまくります。すごく印象的。
それは主人公ヘルガの身の回りにも明らかな変化を与え、だれも彼女を疎まなくなるのです。そして市長の側近「我が手の君」が、ヘルガへの恋にもえるのでした。
というかもともと好きだったのに、呪いのせいでそれを忘れさせられていた感じか。
(指映ってしまった・・・)
この幸福感!前半が精神的に窮屈だったぶん、余計にゾクゾクさせられます。
彼らだけでなく、この街の人間みんながこんな風に抱きしめ合う。
愛し合うことを全力で謳歌するその姿が素晴らしい。
とかなんとか恥ずかしいこと言ってみましたが、「性」が解放されたからこそ、切なさに溺れてしまう人間たちもいます。愛を取り戻したことで、それを届けることができないあの悲しさも思いだしてしまった、あるいは知ってしまった。
そんな姿もまた、短い夢の時間に凝縮された、人間ドラマだと思います。
●「我が手の君」「我が罪の君」
ところで気になるのがあの2人。
「少女」が恐れたものからアードルフを守るために、それを背負ったものが彼の側近「我が手」「我が罪」。罪を恐れるのは分かります。恐いことはしたくない。怒られたくはない。
ではなぜ「手」を少女が恐れたのかは、ちょっと解釈が難しかったのですが、きっと誰かを愛するために、繋がるためのツールとして仕様されることが多いから、なのかもです。
物語の終盤、「手の君」は夢の外の時間でありながら、ヘルガを愛そうとします。
手を差し伸べて「お前に触れたい」といい、そしてこの苦しみをアードルフを返したいというのでした。こういうところから考えると、誰かを通じあうことを恐れた「少女」の意志が分かる気が。
またもういつの考えが、自慰によるものなんじゃないかなというもの。
性的なものを嫌う「少女」。だから自慰の際に手を使うことが許せなかった、とか。
性についての知識に初めて触れ、それを嫌がる年頃の女の子だったらありそうなセン?
とにかく「我が手」「我が罪」は、主が誰かに触れて愛することを怖がっていることを示しているのではないでしょうか、ということでした。
●「少女」の正体とは。
きっとこの作品の「少女」とは、どこかの世界の普通の女の子なんだろうなと。
性的なものを嫌う、自分の都合のいい世界をイメージして遊ぶ、空想趣味の。
彼女がイヤなものを排除した夢のような世界、それがこの作品です。
そしてエピローグなど全て読み終えると、どんどんと彼女への愛着がわきます。
「少女のことを思い出す者は もう誰もいない」という第6話最後の1文は、主との離別、物語としての独立ということでしょうか。
彼女が現実と向き合い、この夢をみる必要がなくなったということ。そして彼女にとって必要のないものであっても、一度形作られた幻想は生き続けるという、フィクションという構造そのものへのロマンも含まれている気がします。
忘れられたあとにも、物語は続いていくのです。エンディングの先があるんです。ねぇーハッピーエンドーのあーともー、おとーぎ話ーはーつーづーくー。
そして「はたして世界か少女か、どちらがフィクションだったのか?」というメタっぽい含みを持たせてエピローグも幕を閉じます。現実と幻想がどこかで入れ換わったのか、それとも。
しかしこのエピローグの切なさと言ったら強烈ですね。思わず涙も込み上げました。
●黒髪(ロング)は特別です!
さて本題です(えっ)。
なぜタイトルで「黒髪」と強調をさせているのか。決まっています。黒髪が特別であるからです。
この街にヘルガ以外に黒髪のキャラクターは誰もいません。終盤に「手の君」そうなるだけで、他の住人はみなブロンドです。ヘルガはそういう点でも明らかに異質な存在でした。
そんな彼女がみつあみをほどいたのは、「手の君」と愛を交わす時間でした。
愛する人には黒髪ロングというわけです。
また、もう1人の黒髪になる「手の君」さんも面白いキャラクター。
金髪ばかりのこの作品で唯一の黒髪がヘルガなら、唯一の中立性を見せているのが彼です。彼の紙は黒でもなく金でもない、くすんだ色をしているようです。作品の中でも中途半端な立ち位置にいる特別なキャラクターであると示している気がします。
そして彼は終盤、なぜか黒髪ロングになるのです。これは異端(黒髪)であるヘルガに寄り添うという意味の演出であり、メッセージが込められたものであるのでしょう。
つまり黒髪ロングで、愛することを証明しているのです。
珍しい立ち位置にある2里のキャラクターから、黒髪ロングの心理を見た気がしますね。
黒髪ロングとは愛だったのです!
「黒髪ロングとは愛の証!」ということでまとまりましたね、よかったよかった。
あ、これはこじつけでもなんでもなく、この作品は「黒髪」であることに明確な意味を持たせてあるいい物語だと思いますよ。
以上、ちょっと長く書いてしまいましたが、「黒髪のヘルガ」でした。
強烈なインパクトはなくとも、胸に染みいるメッセージ、痛み、喜びが込められた物語だと思います。良質な「おとぎ話」ですね。
人間賛歌だったり、少女という存在への神秘だったりが色濃いです。
内容が万人受けするとは思えませんが・・・、好きな人はどっぷりとはまりこめそうな1作ではないでしょうか。1巻完結とあって、手に取りやすいのも嬉しいですね。
全力で愛するよろこびに浸れる、「黒髪」が活きたファンタジー漫画です。
『黒髪のヘルガ』 ・・・・・・・・・★★★☆
テーマを力強く描いてある作品。ほんのりダーク&ミステリアス、そして情熱的。
と言ってもいつも通りの更新にちょっと黒ロン更新っぽい話を加えただけなんですが・・・。
黒髪のヘルガ (F×COMICS) (2011/08/18) 朔 ユキ蔵 商品詳細を見る |
あなたが好き
今日は朔ユキ蔵先生の1巻完結作品「黒髪のヘルガ」で更新を。
タイトルからして「黒髪」とあるので、今日という日になんか合ってる気がします。
内容はと言えば、中世西洋のイメージが色濃いファンタジックなもの。
とは言っても朗らかだったり明かるい内容とはいいづらく、むしろ人の暗部に重きをおいて描かれた、ちょっとダークなメルヘンといった感じ。
読みやすい作品ですが、常にミステリアスな雰囲気をただよわせており、その内容と合わせてなかなか面白い読み心地を味わえました。大人向けの絵本というか、おとぎ話。
ではこの作品の感想をちまちまとー。
舞台は静かな狂気が渦をまく街。
「少女」と呼ばれる人物をひたすら崇めたてまつる住民たち。そんな彼らから「季節外れ」と呼ばれただ1人迫害を受けているヘルガという女の子が主人公です。
彼女の唯一の友だちのエッダ。ヘルガを迫害しない優しい市長アードルフ。そして市長の側近である男女二人の従者。彼らがメインとなって描かれるお話となっています。
ヘルガが肩身狭く生きている日常。しかしある日、鐘が鳴り響いてから世界は変わります。
呪いから解き放たれた人々が見せる真の姿とは。
そしてこの世界の主である「少女」という存在の秘密へと、物語が進みます・・・。
以下、書きたいことにネタバレになってしまう部分が多いです。ごめんなさい。
なんかわりと考察系。
●住民たちの心理
1人の少女を街ぐるみでいじめる、ひどい所だなあというのがはじめの印象。
人と人が愛し合うこと、過度に触れあうことをけっして認めない街です。
こんなふうに睨みつけられるヘルガ。でも、彼女は普段は知らんぷりです。
むしろ彼らを怒らせることを、いつもの仕返しだと言わんばかりに楽しんでいるみたい。
街中から圧倒的なくらいの悪意にさらされるヘルガは、「好きだ」という感情を隠さず表現します。そこもまた街中から非難をうける。それだけが迫害の原因ではないのですが。
彼らはそうして心を1つにする結束と、心が1つの感情で埋まる喜びが欲しい。
主たる「少女」は、自分が見たくないものをこの世界には存在させません。
そんな中でたった1人ヘルガが虐げられているのは、「少女」の幼いながらの残虐性が表れているのかなあとも思ってみたり。後半より強く見えてくる「少女」像がここからも読みとれそう。
けれどそんな街の住人たちも、物語中盤に大きく変化をします。
●性欲のない世界
ここは「少女」がうんだ世界。セックスは恐いから見たくない。だからそれを無くす。
第2話の扉絵はなんだろうなと最初は分からなかったんですが、これ、超ラフに描かれた結合部分なんでしょうね。そして彼女はこれを「汚い」と拒絶をします。
だからこの世界の人々は、人と人とが過度に触れあう行為を、とても嫌います。
ところが「鐘」が鳴り響くと街は一変。キスはするは脱ぐわでベッドインです。
これは「少女」が眠りについたから。
主が眠っている間だけ、住民たちは本来の自分を取り戻し、まるで抑圧から解放に酔ったみたいに、とにかくエロいことします。ぬるんぬるん。
けどこれ、「少女」からすれば悪い夢を見ているようなものなんでしょうねえ。自分が眠っている間だけ、自分が創りだした夢の世界が見たくもない行為を繰り返す。
でも眠りを知らせて人々を解放させる鐘の仕組みも、少女が作ったというならちょっと不思議な話です。「少女」の心にもややブレがありそうです。
そしてとある住民はこんなことを言うのでした。
面白いですねえ。「どうせ忘れる」ということは分かっている。どこか諦めている感じもありますが、それでも今幸せをかみしめたいという思いが伝わります。浅ましくも人間のサガですかね。
●人を愛するよろこび
鐘が鳴ったとたん、人々がとにかく愛を交わしまくります。すごく印象的。
それは主人公ヘルガの身の回りにも明らかな変化を与え、だれも彼女を疎まなくなるのです。そして市長の側近「我が手の君」が、ヘルガへの恋にもえるのでした。
というかもともと好きだったのに、呪いのせいでそれを忘れさせられていた感じか。
(指映ってしまった・・・)
この幸福感!前半が精神的に窮屈だったぶん、余計にゾクゾクさせられます。
彼らだけでなく、この街の人間みんながこんな風に抱きしめ合う。
愛し合うことを全力で謳歌するその姿が素晴らしい。
とかなんとか恥ずかしいこと言ってみましたが、「性」が解放されたからこそ、切なさに溺れてしまう人間たちもいます。愛を取り戻したことで、それを届けることができないあの悲しさも思いだしてしまった、あるいは知ってしまった。
そんな姿もまた、短い夢の時間に凝縮された、人間ドラマだと思います。
●「我が手の君」「我が罪の君」
ところで気になるのがあの2人。
「少女」が恐れたものからアードルフを守るために、それを背負ったものが彼の側近「我が手」「我が罪」。罪を恐れるのは分かります。恐いことはしたくない。怒られたくはない。
ではなぜ「手」を少女が恐れたのかは、ちょっと解釈が難しかったのですが、きっと誰かを愛するために、繋がるためのツールとして仕様されることが多いから、なのかもです。
物語の終盤、「手の君」は夢の外の時間でありながら、ヘルガを愛そうとします。
手を差し伸べて「お前に触れたい」といい、そしてこの苦しみをアードルフを返したいというのでした。こういうところから考えると、誰かを通じあうことを恐れた「少女」の意志が分かる気が。
またもういつの考えが、自慰によるものなんじゃないかなというもの。
性的なものを嫌う「少女」。だから自慰の際に手を使うことが許せなかった、とか。
性についての知識に初めて触れ、それを嫌がる年頃の女の子だったらありそうなセン?
とにかく「我が手」「我が罪」は、主が誰かに触れて愛することを怖がっていることを示しているのではないでしょうか、ということでした。
●「少女」の正体とは。
きっとこの作品の「少女」とは、どこかの世界の普通の女の子なんだろうなと。
性的なものを嫌う、自分の都合のいい世界をイメージして遊ぶ、空想趣味の。
彼女がイヤなものを排除した夢のような世界、それがこの作品です。
そしてエピローグなど全て読み終えると、どんどんと彼女への愛着がわきます。
「少女のことを思い出す者は もう誰もいない」という第6話最後の1文は、主との離別、物語としての独立ということでしょうか。
彼女が現実と向き合い、この夢をみる必要がなくなったということ。そして彼女にとって必要のないものであっても、一度形作られた幻想は生き続けるという、フィクションという構造そのものへのロマンも含まれている気がします。
忘れられたあとにも、物語は続いていくのです。エンディングの先があるんです。ねぇーハッピーエンドーのあーともー、おとーぎ話ーはーつーづーくー。
そして「はたして世界か少女か、どちらがフィクションだったのか?」というメタっぽい含みを持たせてエピローグも幕を閉じます。現実と幻想がどこかで入れ換わったのか、それとも。
しかしこのエピローグの切なさと言ったら強烈ですね。思わず涙も込み上げました。
●黒髪(ロング)は特別です!
さて本題です(えっ)。
なぜタイトルで「黒髪」と強調をさせているのか。決まっています。黒髪が特別であるからです。
この街にヘルガ以外に黒髪のキャラクターは誰もいません。終盤に「手の君」そうなるだけで、他の住人はみなブロンドです。ヘルガはそういう点でも明らかに異質な存在でした。
そんな彼女がみつあみをほどいたのは、「手の君」と愛を交わす時間でした。
愛する人には黒髪ロングというわけです。
また、もう1人の黒髪になる「手の君」さんも面白いキャラクター。
金髪ばかりのこの作品で唯一の黒髪がヘルガなら、唯一の中立性を見せているのが彼です。彼の紙は黒でもなく金でもない、くすんだ色をしているようです。作品の中でも中途半端な立ち位置にいる特別なキャラクターであると示している気がします。
そして彼は終盤、なぜか黒髪ロングになるのです。これは異端(黒髪)であるヘルガに寄り添うという意味の演出であり、メッセージが込められたものであるのでしょう。
つまり黒髪ロングで、愛することを証明しているのです。
珍しい立ち位置にある2里のキャラクターから、黒髪ロングの心理を見た気がしますね。
黒髪ロングとは愛だったのです!
「黒髪ロングとは愛の証!」ということでまとまりましたね、よかったよかった。
あ、これはこじつけでもなんでもなく、この作品は「黒髪」であることに明確な意味を持たせてあるいい物語だと思いますよ。
以上、ちょっと長く書いてしまいましたが、「黒髪のヘルガ」でした。
強烈なインパクトはなくとも、胸に染みいるメッセージ、痛み、喜びが込められた物語だと思います。良質な「おとぎ話」ですね。
人間賛歌だったり、少女という存在への神秘だったりが色濃いです。
内容が万人受けするとは思えませんが・・・、好きな人はどっぷりとはまりこめそうな1作ではないでしょうか。1巻完結とあって、手に取りやすいのも嬉しいですね。
全力で愛するよろこびに浸れる、「黒髪」が活きたファンタジー漫画です。
『黒髪のヘルガ』 ・・・・・・・・・★★★☆
テーマを力強く描いてある作品。ほんのりダーク&ミステリアス、そして情熱的。