[漫画]天然少女に和み癒され温まる。『あまねあたためる』1巻
あまねあたためる 1 (少年チャンピオン・コミックス) (2013/04/08) 佐渡川 準 商品詳細を見る |
あの子…明日もここ通るのかな
「あまねあたためる」第1巻の感想です。
「無敵看板娘」「ハンザスカイ」等を手がけた佐渡川先生の最新作。
ハイテンションな作風の印象が強い作家さんですが、今回の「あまねあたためる」はわりとまったり系かな。とりあえず1巻の段階では。
マイペースでちょっと天然なあまねちゃんが、知らず知らずのうちに周りの人を元気づけていく。そんなホッとする人情ドラマみたいなコメディみたいな、そんな感じです。まぁつまり、とてもなごむ漫画。
一話完結のかたちなので大盛り上りはしないタイプではありますが
繰り返し読んでは安らいでいたい作品ですね。
なにより主人公・あまねちゃんがとてもかわいくって、本当に彼女を見ているだけで時間を忘れられるような、そんな感覚です。
笑えてニヤニヤして、最後にはホッと少し元気になってる。いい癒し漫画だなぁ。
実は前作「ハンザスカイ」とのノリの落差が激しくて、最初おっ?となりました。
ハンザスカイに熱中していたし、佐渡川先生の物語重視な新作を読みたいなと思っていたので。
でもこういう路線もアリだな。別ベクトルにこれはこれで面白い。
なにはともあれ、あまねちゃんが可愛いんですよ!
むしろあまねちゃんの可愛さを堪能するための漫画ですよ。きっちりあまねちゃんという主人公で読み手を掴んでくれる。
クリッとしたまんまる大きな瞳。ちょっと太めな眉。そして天然。
特別スタイルが良いという描き方はされませんが、しかしなんかこう……女の子っぽいくにゃっとした肉体の柔らかさというか爽やかな色気というか、そういうのも感じます。
こういうのを純粋にやってのける娘だからなぁ。あざとい!だがそれがいい!
自覚なしに、誰かの記憶につよく残る一瞬を彩る女の子。
こういう女の子に出会えたら、一度でも話せたら、ぜったい思い出になるなぁ。男ってそういうもんかもな。単純でバカで、なんか女の子にからかわれたり怒られたり手のひらの上で踊らされたり、とりあえずちょっとでも接することができればそれで心晴れちゃいますから。ハイ。
よし、好きな話でも上げていこう。
第2話「あまね噺を聞く」は逆ギレ男の子がかわいいな。
うまく噛み合わない2人の微妙な空気もさることながら、キレられて目をしろくろさせて硬直するあまねちゃんかわゆい!
第3話「あまね猫を飼う」は必殺の決め台詞が登場である。
おっぱいあげれます!!
よし、頂こうかな。
つか人を猫に見立てて甘やかすあまねちゃんまじ聖母状態。頭のカタい生徒会長でしたが、あまねちゃんのリラックス効果ですっかりくだけた性格に。
あまねちゃんはいろんな人の「忘れられない日」を作るねえ。
そして第6話「あまねからまれる」のバカらしさ満点で一番すきw
ナースがいいかチャイナ服がいいかをファミレスで争う男2人。
そこに無防備に近づいてしまったあまねちゃんは、面倒な形でからまれてしまう。
コスチュームには各人いろんなこだわりがありますよ。でもさ、まぁ、きっと大勢の大人の男が等しくその視線に眩い憧れを込めてしまうアレの魔力にやられてしまうのは、どんな男も共通なものだ。
やはりナマ制服の女子高生は素晴らしいよねと!
ド天然なあまねちゃんの言動はナチュラルにドキッとする。
作中の男たちもあまねちゃんには驚かされて、そして元気になる。
あまねちゃんを観察しては、その魅力にメロメロにされちゃう。
そうやって思考を優しく柔らかくしてくれる、癒してくれる作品だと思います。
こういう漫画でしっかりバッチリ主人公がかわいいというのは武器。
ストーリーもほっこりするものが多くていいなぁ。
平坦じゃなく一冊読み通した中でも印象に残ってる噺だらけというのもすごいですわ。まったりしている中で、頭に残るシーンもたくさんある。程よい『手軽さ』が嬉しいのです。
一話完結ですがさらりと流れていく感じではない。目から頭から、インパクトのある場面は読者に焼き付く。
そのどれもが「どんなあまねちゃんだったか」ということな訳で、やっぱりこの作品はあまねちゃんが全てであり命であるのです。(断言)
めちゃくちゃあざといんだけど、そんなロマン的存在感がまたいいんだ。
なんか凄くいい匂いしそうだよねえ、あまねちゃん。
男だけじゃなく女の子だって元気にしてしまう。
むしろ人じゃなくたって元気にしちゃう。
まったりスウィートで、クスクス楽しい、心がぽかぽかしてくる漫画です。
確かにオビにあるとおり、ぬくぬくのお風呂みたいな女の子。
あとがきを読むと、この漫画の中でいろんなものを描いてみたいっていう意識が見えますね。
これから作品のノリもさらにバラエティー豊かな感じになるのかな。楽しみです。
『あまねあたためる』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
あまねちゃんエロかわいい。清純かわいい。天然かわいい。
[漫画]アツアツしっとり、イチャラブ連打にノックダウン。『あまあま2』
あまあま2 (2013/03/29) 志摩時緒 商品詳細を見る |
女の子も 男の子と同じこと 考えてるのかもしれない?
「あまあま」シリーズ2冊目が出たぞー!
悶死セレクション金賞を二年連続受賞した、あの「あまあま」だー!
・・・いや、なんでしょうねこのオビはw 楽園コミックスでは珍しいノリのコピーですよね。しかし全くもって正しい。まちがいなく壁殴り漫画だし、悶死も納得の恥ずかしすぎるイチャラブ恋愛漫画。
1巻のときも、ひどいテンションで感想を書いたものですが、いやはや2巻もたまらない…!今回も何度も身悶えしましたわ…途中へんな悲鳴みたいな声だしながらクネクネしてたしな…いかんいかん。
容赦無いイチャラブの連打にノックダウン。これが「あまあま」だ!
→たっぷり、じんわり、甘いひととき。『あまあま』
さて「あまあま2」です。
今回は楽園9号から11号の掲載分と、WEB楽園掲載分、描きおろしで構成。
進級して同じクラスになれた!と思ったら別れに危機になったり
教育実習のお姉さんがやってきて、静かに心揺らされたり
秘密のお付き合いをつづける祐司と美咲の2人の、そっと花開く淡くディープな青春の恋。
毎度、お約束のように事後から物語が始まりますからね。こりゃたまらん。すでにセックスなんて当たり前な関係になった高校生カップルの盤石の安心感!そしてそれでもまだ初々しかったりして。アツアツの二人を見てるだけで、とにかくもう幸せじゃ!
体重どう?って聞くためにムスッとしながら祐司に乗る美咲ちゃんめちゃくちゃカワイイよ!!
体重がちょっと増えたってさ。大切な人が気にならないなら、まぁいっか。それくらいの捉え方が楽ちんだ。まぁ100%は納得しきれてはいないだろうけれどさ!ああは言ってるけど美咲ちゃん絶対悔しがってるだろうけれど!
でも「まぁいっか」と、諦め混じりでもそう思える彼女の慰めになれるのは、彼氏の特権じゃないですか。些細な問題でも相手の心を支えられる関係。素敵ですね死ね。失敬間違えました。うっかり。愛しさ余って滲む殺意。
体が大きくなっただとか、どこか変わっただとか。
成長期のお付き合いで、互いの体の変化を知りながら確かながら日々を過ごす。これって、まさにこの時しか出来ない恋愛って感じで、青春の匂いがします。
2巻後半からは教育実習生、夏美さんの新登場で、ちょっとだけ波乱が?
いまだ恋を知らないウブな夏美先生。無意識だけど完全に祐司を好きになります。
そのことに気づいて、だんだんと息が詰まるような気持ちになっていく美咲。
彼氏がとられるかも、という不安。そして、好きな先生に、自分を応援してくれる先生に、自分と祐司の関係をちゃんと伝えられない葛藤。
優しい美咲だからこそ、自分はどうすべきかってところで少しずつ落ち込んでいく。
まぁしかし、自然なかたちで「秘密」を持つことの肯定をした夏美先生のファインプレーはすごいですね。大切な秘密は、あってもいいんだ。偶然かもだけど、生徒の不安吹き飛ばしたんだから、きっといい先生になれそうだ?
そして夏美先生の最後の独白。
「きっと 少し恋してたんだろうな あの二人に」
この一言。心に切なく溶け込んでいって、不思議な感触を残しました。
学生時代に恋できなかった夏美先生。彼女が祐司と美咲の両思いをまぶしくやさしく見つめ、感傷に浸る様は、なんとなくこの作品を読む読者(というか俺)の立場と重なるんです。
ああ、こんな青春、楽しいだろうな。ちょっと羨ましいな。でもそんな自分のことより祈りたいのは、この2人の未来にまで続く幸福だ。
ほんのりノスタルジックな味わいがいいなぁ。昔を懐かしみたくなる空気が学校にはある気がする。
あ、あと祐司美咲サイドで面白かったのは、美咲のこのセリフ。
「男子って、自分達もそーゆーえっちな目で見られてるってのに無防備よねぇ」
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだッ!的な。
思春期まっさかりだもの。女の子が気になるよな男の子。でも、女の子だって。
この時の美咲ちゃんの、爽やかなな中にちっとばかしの照れと、あといたずらな不敵さが隠れている表情がまた絶妙なのですよ!
揺るぎない愛情と、成熟した恋人関係がなせる「静」のムード。
それが祐司美咲の主人公ペアだとしたら。
もちろん「動」を司るのは神崎さんと高梨くんの初々カップルですよ!
「好きなひとができました」という番外編シリーズの主役の彼らは
祐司美咲ペアがすでに通り過ぎた、お付き合いにおける沢山の「はじめて」に向き合っていく2人。
深まった関係の中で静かに情熱的な祐司美咲ペア。
はじまったばかりの爆発力で突き進む神崎さん高梨くんペア。
タイプの違ったカップルたちの恋愛模様を交互に見せてくる構成が「あまあま」の憎いところですよ!どっちもかわいい!でも異なるお付き合いを見ていて、頭がポワポワしてきますよ。
告白して(されて)、とまどって。付き合い始めて、とまどって。手をつないで、とまどって。でもどれこれも、最高に幸せで。
微笑ましくいどころかニヤニヤしすぎて表情筋がおかしくなりそうな破壊力を備えた「好きな人ができました」シリーズですが!この2巻では初ちゅーだぁぁぁぁ!
順調じゃないですか…いいぞいいぞ…(満面の笑み)
「好きな女の子と初めてキスをした。彼女が自分を好いてくれてると実感できて、すごくうれしい」と、真っ直ぐでこっ恥ずかしすぎるモノローグで心射抜かれる!!
一回キスしたら、もっとしたくなっちゃう高梨くん。
あ~~~~~~~~………(めっちゃニヤニヤする)。
初キスのエピソードも素晴らしいですが、2度目のキスに至る相合傘エピソードが大好きです。走りだしたら止まらない!って感じで。
キスしたいな、でもがっついてるみたいで恥ずかしいな。嫌がられるかな。
とかそんな葛藤を抱えてるのが、男の子だけだと思っちゃいけません。ハイ。撃沈。
6話ラスト、「外から見えちゃって恥ずかしいかなと思って」と言ってカラッと笑顔で去る神崎さん。立ち尽くす高梨くん。
でもこれ、ぜってぇ神崎さんも顔真っ赤にしてるでしょう!すぐ帰ったの照れ隠しなんじゃないでしょうかあ!あぁぁぁ!!かわいいよおおこの2人いいい!
手をつないで、とまどって。キスをして、とまどって。
まだ、「高梨くん」「神崎さん」だもんな。苗字呼びですよ。
きっとこれから先もいろんな事にとまどって、でも心をもっと深くつなげていく2人をずっと見ていたい気持ちです。
そんな「あまあま2」でした。
1巻の怒涛のイチャラブ旋風はそのままに、むしろ「好きな人ができました」シリーズが進展してきたこともあり、破壊力は向上するばかり!
アツいイチャラブ漫画ですが、不思議と読んでて疲れないのもいいですなぁ。自分は結構ラブコメ読んでると、好きが麻痺してくるので途中で休憩するんですが、この漫画はするーりと読めてしまう。
4コマと通常コマ割りのハイブリット構成も、結構独特なテンポになっていて面白い。1話の中でクルクルとコマ割りが変わる。ちょっと珍しいと思いますが、不思議とこれが気持ちいいんですよね。ギャグっぽく見せる時としっとり物語を進める時とで、コマ割りにも緩急みたいなのがあって。
描きおろしも充実しております。
巻末の描きおろしでは、祐司と美咲の馴れ初めエピソード。1巻末の続きです。祐司が気になって仕方なくなった美咲の、この浮ついた感じがいいですなぁ…!
そしてお楽しみのカバー裏。カバー裏(本体表紙)の演出がまた上手いですよなぁ。隠された関係というか、ホントは見られない感じがよく出てて。裏表紙の神崎さん高梨くんカップルもカバーをめくると、ほっへへっへ!!(奇声)
きっと「あまあま3」はまた1年後でしょうが、うーん待ちきれない!
『あまあま2』 ・・・・・・・・・★★★★
2カップルの恥ずかしすぎる恋愛模様をニヤニヤ眺める最高の時間。
[漫画]青の時間は汚れあって消えていく。『うみべの女の子』2巻
うみべの女の子 2 (F×コミックス) (2013/02/21) 浅野いにお 商品詳細を見る |
…ずっと好きでいてくれるって 約束してくれる?
浅野いにおさんの「うみべの女の子」2巻の感想。完結巻となります。
体温が伝わるほど生々しい。息が詰まるほど愚か。切ないほど愛おしい。
思春期に苛まれる少年少女とか大ッ好物な自分に恐ろしいほどピッタシ寄り添ってくれた作品。
エロい描写もかなりありますが、それよりもこの濃厚な思春期スメルにビンビン。
思春期の繊細さのカタマリみたいなこの作品は、本当に自分に突き刺さる。
ついつい読みながら息を潜めたし耳をすませたし、心を開いていろんな傷と想いを受け取れるようにしながら、慎重に読みました。いや読書中に耳をすませたら集中できませんけど、それはほら、作品の世界ってものに耳をすませるんだよ・・・。
まぁそんな意識途中からすっ飛んで完全に作品の世界に溺れていましたが!意識して受け取ろうと思わずとも、この作品は脳みそにガツンとダイレクトに衝撃を与えるパワフルさがありました。
甘酸っぱくて苦々しくてたまんねーな!ハァーもう!うっかり泣いちゃったよ!
以下ネタバレしてる箇所もあるので注意。
前巻→苦しいほど愛おしい思春期 『うみべの女の子』1巻
海辺のなにもない町が舞台。
内向的な中学生男子・磯部と、何度も彼とセックスをしている同級生の小梅。
2人は付き合ってはいません。性への興味と、それとなんとなくの慰め合いで肌を重ねてきた。暖かいものに触れて、癒されたかったのかもしれない。
けれど「うみべの女の子」を写したデジカメデータからひと波乱。
何度も何度も、それこそ無理やりに身体をたぐりよせても、心は離れていくばかり。1巻はその離れていく心がじっくり描かれてクライマックスへと向かっていきました。バラバラに空中分解して落ちていくみたいに。
淡い恋心。傷つけられた者の闇。不器用なふれあいしてできない。まさに思春期のドロドロがここには渦巻いており、俺のテンションはダダ上がりである。
致命的に仲違いをした。でも、責められることを分かってもどちらかが踏み出せば、またなし崩し的にぬくもりを求める。いい加減なもんだ、子供って。難しいことを気にしても、自分の都合がいい方に流されがちで。冷たくなった心を温めようと2人して
セックスという大人の道具を、大人になりきれていない子供たちが使う。
その危うげなアンバランスさがとことんツボだ・・・!
「してもしても何か足りない気がするのは、なんでだと思う?」
その言葉を磯部はごまかしてまたヤりはじめるのですが。磯部は答えなんてわかってないんだろうな。その疑問をきっと彼も抱いていたと思う。
何が足りなかったのか。それはいろんな解釈があるはず。
日々を生きる余裕や、きちんとした恋人同士の証や、信じることができる心の強さや、今まで決して交わさなかったキスや、いろいろだ。
何か足りないんじゃない。こんな実りのない日々は、完成を求めちゃいけない。幸福を目指しちゃいけない。でも彼らは足掻きたかったのだろう。
細かく好きなシーンを挙げてもキリがないので、とびきり好きなシーンについて書こう。第19話。全20話で完結し、最終話はエピローグとなっているので、実際ここで全ての決着がする大切な話数。
ここにたどり着くための物語だったのだな、と確信できる。凄まじい切なさに心が暴れだしそうな自分と、静かに事実を受け止める冷静な自分を感じて、ほかにもいろんな感想が混ざりに混ざって、別世界にトリップしたみたいな感覚。
ここで小梅を拒絶したことが、磯部が初めて見せた」大人」だったと思う。
彼は大人と子供のはざまで揺らぎっぱなしだった彼らが、尊い結末を見出す。
大人になっていく。罪も償う。きっと好きな人に大切なキスをする。
いろんなことをした。けれどラストで、「何もしない」ことで成長が示されている。一歩が踏み出されたことがわかる。
そうして確かに『ちょっとだけ』大人になった姿を描いて、この作品は終わるのだ。
それを受け入れられず大号泣する小梅には心底胸が締め付けられる思いだ。だけれど最終話で彼女が見せる仕草のひとつひとつに、やはり彼女も大人になっているんだなと、と思ってじんわりと染み入るものがあった。
最初は磯部が言い迫っていたのにね。キスをせがんだのは磯部だったのにね。それを拒んだのは小梅だったのにね。
静かに心は流れ変わって、昔あった形をなくす。
こんなすれ違いの1つにすらどうしようもなく切なくなって、思春期のフラフラした曖昧な心模様を思い描いてやっぱり泣きたくなる。
クライマックスで何が起こったのかは、そのものズバリを書こうとは思いませんが、こういう書きぶりだと察してしまうだろうから隠す意味はあまり無いかもしれないな。でもまぁ一応セオリーとして伏せておこう。
タイトル「うみべの女の子」は、磯部が大切に持っていたデジカメに写真データに写っていた女の子を示していました。他の含みもあるだろうけど。
それで最終話で「おっ」と思ったのは、データを収めたCDカードをめぐるループ構造。
磯部が恋した「うみべの女の子」は、海辺でひろったSDカードに入っていた写真データでした。それは1巻の頭の法とか、あと1巻110Pにも言及がありますね。映っているのが誰なのか、落としたのは誰なのかわからないまま、磯辺は「うみべの女の子」に焦がれていきます。
そして2巻クライマックス。再び、一枚のSDカードが海辺でなくなる。
小梅もまた、ここでSDカードを落としてしまうのです。
誰かに拾われるかもしれない。それでまた別のなにかが、知らないどこかで起こるかもしれない。この海辺を通じて、小さなきっかけが散らばっていく。
小ネタのようなものですが、このループ構造が、思春期の世代交代リレーを象徴しているように感じる。とてもお気に入りなのですよこの演出!。繰り返すものだ。愚かな過ちも、はかない恋物語も、なんにもない日々も。
次拾うのが思春期の男女なのかは、神のみぞ知る。でもこの余韻が素晴らしい!
「うみべの女の子」2巻の感想でした。
個人的に浅野さんといえば個人的に「ソラニン」が大傑作と思っております。
まぁ読みやすいライトな作品でしたからね。この作家さんはディープになるほど、おもしろい!!!と断言できなくなっていくのが・・・いや基本好きなんですけどね。
しかし今回の「うみべの女の子」は、それに並ぶくらい好きかもしれない。
この淡く涼やかで、しかし尖りまくった青春!
あの頃のどうしようもないと脆さと閉塞感!
苦しみが押し詰められただけみたいな堕落と衝動!
あまりにも臨場感たっぷりに思春期のサマが描かれているのです。
浅野いにおさんといえば、とても写実的な風景を漫画に取り込む作家さんですが、
今回のような青春劇では、それが凄まじい効果を見せていたと思います。
なんでもないような風景が物憂げに語りかけてくるかのようで、作品に説得力が出ていたような感じ。モノクロなのにチカチカ眩しいくらい鮮やかな色彩が浮かぶ。美しいです。
そらーね、ハッピーエンドはあんまり期待しちゃいませんでしたよ。
でもハッピーエンドじゃないならバッドエンドだ、ってワケでは当然ない。
この甘酸っぱい余韻は、間違いなく読めてよかった満足感によるものだ!
すごい熱量で紡がれた、もろい物語でした。だからこそこんなに愛おしい。
あの頃僕らはきっと傷つくことに敏感だった。でも他の誰かを傷つけてばかりだった。
かもしれない。なんてことをぼんやり思ったりなど。
そうそう、作者による「うみべの女の子」語りが読めるインタビュー記事もありますよ。
結構前に公開されていたものなんですが自分は気づいてませんでした・・・
せっかく記事書いたので、貼っておこうかなと。
→『うみべの女の子』発売記念! 浅野いにお インタビュー
磯部が小梅を好きになって、それからどんどん心離れていく過程の話とか
モノローグを排除することへの挑戦とか、この作品が好きなら読んでおきたい内容。
こういう作品は、もう自分で自分が無茶苦茶大好きだってことはわかるので
「どういうところが好きか」「この作品で何を感じたか」
を、自分のために言葉にしていく作業でしたよこの記事。
噛み砕いて咀嚼して、この作品に込められた膨大な感情たちを何度も楽しみたい。
彼女はうみべの女の子。
今日はきっと笑っている。今日も笑っている。今日こそ、笑っている。
『うみべの女の子』2巻 ・・・・・・・・・・★★★★☆
いにおさんの漫画のこういうのは大好き。むず痒い。エロくて残酷で愚かしい、僕ら。
合わせて聞きたい名曲。「うみべの女の子」では重要な一曲でした。
[漫画]間違えても、精一杯の恋でした。『屋上姫』4巻
屋上姫 4 (フレックスコミックス) (2013/02/12) TOBI 商品詳細を見る |
許せない
TOBIさんの「屋上姫」完結巻の感想です。
4巻ですっきり終わりました。表紙の先輩の表情もグッときます。
そうそう。この漫画は、泣き顔が似合う。
ストーリーを追うだけならもっと短い巻数でまとめられたかもしれない。わりとシンプルなお話でした。しかしキャラクターの細かな表情や気持ちの変化を、すごく丁寧に描いてくれた作品です。
イメージとしては気持ちのいい青空が似合う作品なのに、キャラクターの気持ちはぜんぜん抜けが良くなくて、いろいろ引きずってモヤモヤして・・・。コマとして切り抜かれる一瞬一瞬に胸が締め付けられそうになります。
そうしてじっくりと雰囲気作りをしてきた「屋上姫」。4巻完結はこの作品として必然だったと言えます。進みが遅いなぁと途中やきもきしていましたが、完結した今ならそう言える!
ということで完結巻の感想。発売から結構立ちましたし、わりとネタバレ遠慮せずに。
嘘吐き少女の苦悩。揺らぐ三角関係は? 『屋上姫』1巻
罪悪感と、淡い恋。 『屋上姫』2巻
嘘と罪に恋に縛られた姫。『屋上姫』3巻
学校中から知られる孤高の美少女、屋上姫こと霞上澄花。彼女を交際をしていた主人公黛。していたと過去形なのは、一方的に別れを告げられてしまったから。
お付き合いが始まってから2巻3巻と、イベントを重ねてきました。
けれど順調にはいかない。澄花先輩は1人で思い悩んで、恋人の黛に相談はしない。ささいな違和感に2人には苦しみ出す。気持ちがゆがみ出す。関係がきしみ出す。そして一方的に告げられる別れである・・・!
別れを告げられたもののぜんっぜん納得できていない黛。
一方で彼のことを密かに想い続けているもう1人のヒロイン、結子が活躍。不憫キャラとして確固たる地位を築き上げている彼女が物語を動かし始める!
こっからは2人のヒロインごとに書きたいことをまとめて、「屋上姫」という作品を考えてみようかなと。
●伊集院結子
完結巻ということで、メインキャラそれぞれの気持ちの行き先が描かれて、スッキリとしました。クライマックスに向けてふつふつとテンションが上がっていく。結子関連のシーンはビリビリと心にきましたね。純朴そうな幼馴染ヒロインが、ドス黒い感情むき出しの修羅場です。
結子に関しては、3巻までとぜんぜん違う感想を抱きました。4巻すごい。
正直いえば結子関連をもうちょい突き詰めて見てみたかったかなと思いましたが、おもいっきり失恋しちゃった彼女の死体にムチ打つ感じになっちゃうか・・・。安易に信忠とくっついてEND、とかじゃなくてよかったなと思いました。別に結子は黛への想いを引きずり続けて欲しいとかでも、信忠が嫌いなわけでもなく。正直なところ『今はまだ』彼女は幸せになるべきじゃなかったと思うから。その理由は後で。
不憫なヒロインではあるけれども、かわいそうなだけの娘じゃ絶対なかった。
例えば「まだ先輩の事が好きなの?先輩はマユくんのこと、なんとも思ってないのに」と負け惜しみみたいな煽りをしちゃったし。うわぁー迷走しちゃってるよこの娘ーって思わず悶えたワンシーン。でもそう言いたくもなりますわな。じたばたしてる駄々っ子みたいなですが、すんなり現実を受け入れられることもできない彼女の必死の抵抗だ。そしてコレ。
「許せない」
「霞上先輩・・・あなたは何様なんですか。『屋上姫』なんて呼ばれているけど、最低ですね。」
4巻のハイライトの1つに、結子が気持ちをブチまけたこのシーンがあります。
もう大興奮ですよね。オイオイ、純朴少女がここまで言ってくれたよ!
このね、土壇場で精一杯にあがいている感じがたまらなく愛おしい!
でもこの後、黛から「俺の気持ちを盾にして、霞上先輩を責めるのは許さない」とか言われちゃって可哀想さ二倍マシである・・・。いかんかった・・・黛はとにかく霞上先輩だけを守ろうとしてて、傷ついた末の結子の迷走をやさしく正す余裕もなかった・・・コイツは致命傷だ・・・。
黛の言ってることは正論だけどさ。正論とは正反対のことで霞上先輩から苦しめられてきた彼がまだこういうことを言えるというのは一瞬イラッときた。
正しさをかなぐり捨てて本音をぶちまけた結子の覚悟を、彼は正しさを盾に払いのけたんだ。
正しさとはときに非情になる・・・。でもそんな彼だから霞上先輩も振り向いてくれたんだよなぁと複雑な心境でもあります。
黛はまっすぐすぎたな・・・。この作品の主人公なのは彼だけども、「屋上姫」という作品のエッセンスをより多く蓄えた人物はもしかしたら結子だった。歪んで、心を黒く染めていった。不憫というだけじゃなくて、そういう人間としての醜さや、感情あふれる切実な過ちが、非常にドロくさくてめちゃくちゃいいヒロインでした。
「行動をおこした者が勝つ!待ちは甘え!」
なんてクソマッチョな恋愛観を押し付ける漫画ではありませんが、少なくとも彼女の最初の失敗は、踏み込まなかったことに他ならない。臆病な娘だったからな・・・そこが可愛いんだけども・・・。
4巻のこのシーンとかめちゃくちゃ可愛かったじゃないですか。「見てくれる」それだけで舞い上がっちゃう。笑顔すら儚げである。
そして話がもどるけれど、たしかに黛への片思いの決着は残念だった。その先の余韻が好きなのだ。彼女は『まだ』幸せになるべきじゃなかった。だからこの報われないENDは、じつはとっても満足しているのです。
1人で立ち上がって歩き出して、また恋をするまで、さしのべられた誰かの手をとってはいけなかったんだと思う。結子みたいな娘は、傷を癒すための恋はしちゃあいけねえよ!強くあれよ!
だから信忠が失恋で弱ってる結子をものにしなくてよかったなと。最後まで紳士ないいヤツだったよ信忠。5年後くらいに付き合いだした大学生の信忠と結子を「ようやっとかよお前らw」みたいな苦笑混じりで見てみたい欲望はありますね!
・・・なんか3巻までの感想とけっこう違うことを書いていますが、なぜか最終巻を読んだらこんなことになりました。不思議。
あーラストの飄々とした様子に結子の心境を想像するだけでごはん食べられる。
●霞上澄花
澄花は、やっぱり根はいい娘だったんだよな、というなんともありきたりな結論。いやこれまでやっていたことは救いようのなく酷なことなんですけれど。
彼女の思い描いた男女の恋愛観は、現実離れしていたとも言えるくらい、ピュアだったんだなと思います。
大好きな人とは結ばれなきゃおかしい。だからこそ兄を想い続けた。
でも、大好きでもない人と恋人になってしまってから、彼女はおかしくなっていった。自分がやっている恋と自分のしたい恋との致命的なズレにとことんまで苦しめられていったのは、彼女の誠実さのせいだ。彼女が抱き続けた葛藤は、すなわち彼女の正しさの証なわけで。それはラストに至る切ない過程の中で、ある種の救いとして存在していたよなーと振り返りながら噛み締めた。
心底から腐っていたなら、黛を振り回してもなんの痛みもなかっただろうから。
澄花先輩の苦しみは、そのまま彼女の純粋の裏付けだった、と。
まぁ心でなんと思っていようと、彼女のしたことのひどさは揺るぎないんだけど。
しかし物語のラストは、全てから解き放たれるような爽快な展開。
まるでパラノイアみたいに兄のことばかり考えていた澄花。彼女の気持ちの解決方は、なんだかとってもシンプルで、だからこそこれまでのモヤモヤを一気に吹き飛ばして視界もスッキリした。気持ちがいい!
そういえばそうだったよな。黛は、「忘れちゃいけない」と言う少年として澄花の前に現れたんだった。兄からの花束を、一度は捨てた花束を、綺麗に束ねてもう一度手渡した。そして最後にもう一度、同じことを、今度は偶然じゃなく伝えたのだ。この展開はなるほどと素晴らしく納得。いい流れでしたね。
そして一番最後の見開きページは必殺の破壊力!
屋上にとらわれた姫。兄への偏執にとらわれた姫。窮屈な家庭事情や、歪んでいるような歪んでいないような曖昧で純粋すぎる恋愛観など。常に何かに縛られ続けた澄花先輩は、やはり「囚われのお姫様」だった。
ひらけた屋上でひとりきりにいる彼女、というこの作品の原点となるイメージには、ひとり苦しみを抱えているという意味合いが感じられます。
けれどこの最後の見開きには、2人で屋上にいて、街の遠くまで見渡せて、新しい恋に踏み出して、何もかもから解放された彼女のイマが描かれているように感じました。新しい世界は前までより広々として、きっと暖かだ。
きっと多くの人がそうだろうけれど、ようやく澄花先輩を心から「かわいい」と思えたよね・・・最後の最後で!!
しかしまぁ、澄花のお兄さん、スゴいですね。TOBI作品らしからぬダークさを感じ取りましたよ。キスまでしてたんかい・・・!!お前・・・お前・・・!!
と、結子と澄花先輩という2大ヒロインに集中して最終巻の感想を終えたいと思います。
「屋上姫」はTOBI先生の新境地でした。青春の苦々しさが打ち込められている。
清らかで在ろうとしても、みんな心をドロドロに汚していく。
人間の醜さを真正面から見つめるこの作品の一面が、屋上の上に広がる青空の清々しさとのギャップでこれまた楽しかったです。
迷って引きずって傷つけてそれで自分も傷ついて。醜い。愛おしい。
ガチでドロドロの修羅場漫画とは言えないかもしれない。別に修羅場ありきの漫画ではありませんしね。どこかズレてしまった青春模様も楽しみたいなら、オススメしたい作品です。こういう大好きですわー。
でも正直なところ、4巻もある中でフックは少なく、やや間延びしてしまった感あります。もっといろんなイベントを盛り込んでも良かったかも。
まとまりも良くてすごく丁寧に綴られた物語だと思うのですが、そこは事実。
TOBIさんの作画は美しくて絶好調でしたね。次回作も楽しみにしています。また「眼鏡なカノジョ」みたいな基本アマアマなヤツも読みたいなあ・・・。
『屋上姫』4巻 ・・・・・・・・・・・★★★★
満足いく最終巻。広がりは少なかったですがきっちりまとまった良作。
[漫画]この想いよ君に響け!『悪戯ちょうちょ』2巻
悪戯ちょうちょ(2) (アクションコミックス(コミックハイ!)) (2013/02/12) 綾瀬 マナ 商品詳細を見る |
耳で 心で ―――世界中で
音楽百合漫画、「悪戯ちょうちょ」2巻の感想です。
やー面白くなってきました!音楽漫画としても百合漫画としても盛り上がってきたじゃないかと。読んでいて作中の女の子とシンクロして、感情が高ぶっていく感覚が味わえました。もう、めっちゃくちゃ情熱的な漫画ですね「悪戯ちょうちょ」。
音楽の名門女子高にかよう少女たちを描いたお話。
主人公はピアノが大好きな女の子、さくら。そして彼女の親友である声楽科のなのは。
1年生にはまだ出場資格が与えられない学内コンクールに出ることを決意した2人。そして紆余曲折を経て、1年生ながらコンクール出場をもぎ取る。
そんなイレギュラーとなったさくらとなのはは、コンクールに向けて特訓を開始。そして2巻の内容へと入っていきます。
この漫画は、百合漫画としても音楽漫画としても気にっています。
どちらの方面でも、この漫画はすごくエネルギッシュで眩しい。というかその2つの要素は、この作品ではもはや一緒になって1つの「愛」になっている。それは大きくてキラキラしていて清らかで鬼気迫る。この迫力に呑み込まれてしまうのは、仕方のないことだと思う。
とにかく「好きだ!」という感情が思考を、身体を突き動かしていく。純粋すぎて繊細すぎて、時にやっぱり傷ついてしまうけれど。でもやっぱり「好き」は止められない。
がむしゃらに前に進んでいこうとする少女たち。アツいですよこれは。
さくらはなのはに想いを寄せています。なのはも彼女を好きですが、それは親友としての「好き」であり、さくらが欲しがる「好き」ではない。
親友としての「好き」を突きつけられるたび、さくらは胸を締め付けられます。
それでも彼女たちは強く強く結ばれている。2人だからこそ前に進んでいける。
そしてさくらは「好き」を、言葉より旋律に託す。
1巻にあった「この想いが音で伝わってしまえばいいのに―――」というのが、彼女のスタンスを表していますね。臆病なんだ。言葉にするのは怖いんだ。
だからか。口より雄弁にピアノは愛を語る。一音にすら想いをありったけ詰めて。なんという情熱的ラブレターだろうか!
2巻で一番カッコよくてお気に入りだったシーンも、そんなさくらの演奏シーン。
この想いを伝える。伝えたい、伝わらないなんて、言わせない!
この気持ちが届くように祈りながら。気持ちを演奏に織り込んで、いつしか気持ちと一緒に指が曲が暴れまわる!
この耳にはこの漫画で流れる音楽は聞こえていないはずなのに、何かが確かに聞こえるような感覚がする。自分の心が突き動かされる音がするのだ。
この漫画の演奏シーンは、熱いよ!そこに恋心が隠しきれないほど託されているから!
演奏シーンだけじゃない。曲の世界の解釈。これも魅力的です。
さくらが曲と向き合うとき、その曲の解釈がされます。
その音楽が持つ味わい、世界観、感触・・・それらを探っていく。
それが視覚的に描かれていくのですが、その1つ1つがとても美しい。
上でも述べたさくら自身の情熱と、その曲が持つ世界観がガッチリと組み合わさります。そしてさらにこちらの感情を揺さぶってくるのだ・・・!
曲世界の描写はそれぞれは瑞々しい感動に満ちていて、気持ちがいい。
その曲に込められた本来の意味そのとおりのものを掴めないことだってある。けれどその時その時の、演奏者が誰かに向けた特別なメッセージをのせて、焦がれるほどのラブレターは響く。
曲の真意を無視する曲解釈に怒る人もいる。だからさくらはそういうものとも戦っていくんだな。そういう人たちをどこまで圧倒させられるか。激情のピアニストの真価はこれから発揮されていくに違いない。
自分を見せつけて、不敵に笑ってみせる。カッコいいわ・・・!
いやー2巻面白かったです。
個人的に1巻はいきなり物語が大きく動いて、面白かったんですがホンの少しのおいてけぼり感がありました。主人公の心がうまく掴めないままどんどん先に進んでいってしまう感じで。
けれど2巻で、状況が落ち着きましたね。そして留まったそこからゆっくり世界が広がっていく。性急に走り出した1巻から始まり、2巻ではじっくりと作品の深みを出した内容になっていたと思います。ストーリーや感情に緩急が付いて、一気に面白さが増したなと。
この漫画を読むなら2巻までを一気読みするのがいいかも。
2巻から新キャラが登場しました。さくらを担当する男性教師の藤奏美。
百合漫画でありながらメインキャラにはモテ系男性教師である。まぁ主人公たちはいっさい揺るがないので心配いらないと思うけれど。
この先生、まだどういう人物か読めないです。悪い人ではないですが、はてどう関係していくのやら。
藤から課せられる課題に苦しめられつつも、前に進んでいくさくら。
その一方でパートナーとなるなのはは壁にぶつかります。
2巻終盤は、2人の関係を大きくうごかす一大イベントが!
そんなこんなの一冊でした。ゾクゾクさせてもらいましたよ!
恋愛感情モロ出しのエモーショナルな音楽描写。いいですねえ。
綾瀬マナさんの絵それ自体も、めちゃくちゃ綺麗です。光っている。
女の子同士の関係。うまく届かない想い。
思春期の繊細な感覚がキラキラまぶしいし、とってもかわいいですわ。
音楽への純粋すぎる愛。そこに大切な人への想いも叩きつける。「好きで好きでたまらない!」といったような真っ直ぐななパワーがはじける、眩しい風景。
3巻ではどのように話が動いていくのか!
カバーをとった所の描き下ろし漫画もニヤニヤできますわー。
一緒にいたら方言が移っちゃったとかなにそれ。どれだけ一緒にいんの・・・。
『悪戯ちょうちょ』2巻 ・・・・・・・・・★★★★
先走って生きる少女たちの気持ちを音楽にのせて。情熱的でリリカルな感触が素敵な漫画。