[漫画]恋のような魔法があるなら『あの子に優しい世界がいい』
あの子に優しい世界がいい (IDコミックス) あおのなち 一迅社 2015-10-23 売り上げランキング : 3874 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
そんなもの 早く壊れてしまえばいい
あおのなち先生の作品集「あの子にやさしい世界がいい」の感想です。
商業誌に掲載されたものや同人誌で発表されたもの、計4作を収録。
先月に「あなたの世界で終わりたい」という作品集も発売されておりこちらも次回に更新するつもり。どちらもいい本です。いまイチオシ作家。
百合、BLなども含む魅惑的な人間関係を一冊。
アンドロイドと主人のイビツな主従、はたまたキラキラした魔法使いの世界。
かわいらしくいじらしく、時折こころ切り裂く切なさが込められた作品たちが広がります。
前作「あなたの世界で終わりたい」が吸血鬼や天使といったファンタジックなモチーフが目立ったことを考えると、あちらのダーク寄りな空気よりもさっぱりとした淡い光が感じられる内容。
それは表紙イラストの雰囲気にも現れているみたいに感じますね。
作品集ということで個別にざっくりと感想を書いていきます。
●「アンの庭」
アンドロイドだって夢を見る。
家族を失って機械仕掛の体となっている主人と、彼に拾われた欠落品と呼ばれるアンドロイドの女の子の物語。舞台はアンドロイドたちが普通に人間とおなじように心を持った世界。(少なくとも作中ではそう感じられる)
抜け殻となった孤独な主人に、暖かにお世話をするアンドロイド・アン。
けれど塞ぎこんだままの主人は、アンにたいして冷たく接し続けます。
この舞台においては、アンドロイドに対して「人間の真似事」「人間にとって都合がいい存在であり続けろ」といったような、あくまでも人間主体の主従関係であることは示されます。
主人が死んだらその後を追うアンドロイドだって居る。
アンドロイドというモチーフがそもそも好きなのですが、そこから浮かび上がる複雑な人間側の恐怖心だとか欲望だとか、心をもったアンドロイドが何を選択するかとか、この作品にもそれらのロマンはきっちり感じられます。
ストーリーが進むに従い、単なる主従ではなくオンリーワンな関係性に、それこそ『家族』としての温かみが得られていく家庭は熱くさせられます。
主人にしたって、おそらくだけど、廃棄処分寸前であったアンをわざわざ選んだのには
恩を売って、より必要とされる存在として自分を保ちたい欲求があったのか
もしくは孤独となった己の境遇が、廃棄処分とされるアンに重なったのか
いろいろと考えてみると楽しいですね。世界はまだ冷たい。けれど巡り巡っては彼はアンに救われた。
恋愛というより、家族モノ的要素も感じます。あとアンドロイドロマン。素敵。
アンドロイドだって夢を見る。あなたと一緒に泣いて笑って暮らす夢。
●「二人で明けて」
ボーイズラブ・・・とは言えかなりあっさり。まあね、これ単行本の編集百合姫ッスよ。
願わくばもっとディープに主人公らの気持ちを爆発させた様子も見てみたかった。
主人公の理想と現実が交じり合う構成も、より味わい深さを引き出す短編。
2編に分けて描写することで読者的にはグッと読みやすくなってます。
東京から越してきたクールな少年と、教室の隅でイラストをかく引っ込み思案な少年。
それぞれは作品内でお互いを慮った発言、モノローグを連発してくれるので、エンジンがあったまってきたところで発射される強烈な刹那的・セツナ的クライマックスの破壊力もマシマシである。
理想の世界を押し付けて、けれど臆病に手を離して、なのに今だって君を想う。
そうそう。後編を読んでから、彼のその「理想の世界」の体現である前編を読むと
さらにさらに感情が昂るので二度読み絶対だ。
世界は優しくないけれど、彼と彼をつなぐような神様を悪戯を予感させて、物語は幕を閉じるわけだ。
●「彼女の破片」
個人的には突き刺さるセンチメンタル度ナンバーワンの作品。傑作だ・・・!
『気持ち悪い』
それは誰の言葉だったか。開始3ページ目にして手向けられた、少女への嫌悪をめぐる物語。
構成もキャラクターの言動、演出、えぐるモノローグどれも完璧と言える完成度なので
なんかもうぐだぐだ感想を書くのもアホらしいなって思ってしまう。みんな読もう。
ふたりの女の子とひとりの男の子が複雑に絡みあった、奇妙かつ切なすぎる関係性にメロメロです。
さらりと読ませるタッチなのに内容はドロッドロに人間ドラマ。けれど青春。
どんな気持ちのうえでだって、どんな覚悟のうえでだって、必要として必要とされて寄り添えるならばそれでいいのではないだろうか。けれどこのエンディングは、彼女たちにも読者にも未来への覚悟を要求する。甘酸っぱいの一言では済まされない、傷つける覚悟は、傷つけられる覚悟はあるかと問うている。
ラスト3ページ、振りかざした手でその薄いガラスを砕くことはできたのだろうか。
あまりにも不格好、あまりにも拙い。だからとてもとても切実。
ヒリヒリとした痛ましさが胸に食い込んできて、窒息しそうになる。
大好きです。この短編。
コミックス最初のカラー口絵もこの作品のイラストなのですが、
微笑み寄り添う女の子ふたりを、優しく守るように包む男の掌。カッコよすぎる。
ガラスを砕かずとも、もしかしたら、その隔たりがふたりを安心させることもあるのかもしれない。
●「雨」「Aftrer the Fuchsia」
ラストを飾るのはポップなラブコメディー。
WEBで公開されたものと、単行本書き下ろしの2作で構成。
素直になりきれない魔法使いの女の子の、不器用なばかりの魔法使いの男の子の、
揃いも揃って歩み寄るのがヘタクソなくせに輝き眩しい恋模様。
すなおな気持ちで「カァ~~~っ!」と戸っ子テンションでニヤニヤしてしまった。
ヘヴィな「彼女の破片」の空気をいい意味で断ち切って、コミックスとしての雰囲気を支配している感じがある。
そして本編よりも未来を描いたかのようなこのカバーイラストの
つなぎあわせた手からあふれる花々が、卑怯なくらいに笑顔にさせてくれるのだ。
魔法のような恋があるなら、恋のような魔法があってもいい。それこそ掌から溢れるほどの幸せが。
作品で花が出てきたらとりあえず花言葉をしらべるマンなので「Fuchsia(フクシア」で調べてみた。http://hanakotoba-labo.com/28hu-hukusia.htm ウム。予感がする。
そんな短編集。かなりレベルの高い単行本です。絵もとにかくかわいいのに、ふと冷めたような表情をしたときのキャラクターたちの纏う空気も魅力的。
俺のコミティアヂカラがもりもりと膨れ上がったわけですよ。
嬉しいことに今年にもう一冊出るかもと作者さんも言ってる。今後も勢力的に描いてほしいなぁ・・!
『あの子に優しい世界がいい』・・・・・・・・・★★★★
あおのなち先生の単行本は今後出たら迷わず買えそう、ってくらいお気に入り。
いびつで微弱な心の振動が、ページから伝わってくるような表現力が凄い。特に「彼女の破片」。
[漫画]2015年11月単行本の購入予定
コードオブジョーカーってアケゲやってます。ただいまJ3とJ4ルーパー。
11/04 集英社 ジャンプコミックス 僕のヒーローアカデミア 6 蠢く 堀越 耕平
11/04 集英社 ジャンプコミックス 背すじをピン!と ~鹿高競技ダンス部へようこそ~ 1 競技ダンス部へようこそ 横田 卓馬
11/05 白泉社 花とゆめコミックス 「あの商店街の、本屋の、小さな奥さんのお話。」初恋本屋。 高橋 しん
11/06 秋田書店 少年チャンピオン・コミックス みつどもえ 16 桜井 のりお
11/06 講談社 アフタヌーンKC ウィッチクラフトワークス 9 水薙 竜
11/06 講談社 KCxITAN フラウ・ファウスト 2 ヤマザキ コレ
11/09 講談社 講談社コミックス 恋と嘘 3 ムサヲ
11/10 マッグガーデン ブレイドコミックス ARIA 完全版 ARIA The MASTERPIECE 1 天野 こずえ
11/12 小学館 ゲッサン少年サンデーコミックス ハレルヤオーバードライブ! 15 高田 康太郎
11/12 小学館 ビッグ コミックス 最果てにサーカス 1 月子
11/12 アース・スター エンターテイメント発行/泰文堂発売 アース・スター コミックス センチメンタルーミー 1 ノッツ
11/12 フレックスコミックス発行/ほるぷ出版発売 メテオCOMICS ゆーあい 1 とこみち
11/14 KADOKAWA BEAM COMIX 狼の口 ヴォルフスムント 7 久慈 光久
11/16 秋田書店 書籍扱いコミックス 花のズボラ飯 3 水沢 悦子/久住 昌之
11/16 少年画報社 YKコミックス 猫瞽女 ―ネコゴゼ― 2 宇河 弘樹
11/17 講談社 講談社コミックス 週刊少年ガール 3 中村 ゆうひ
11/19 小学館 サンデーGXコミックス やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic 6 伊緒 直道/渡 航/ぽんかん8
11/27 KADOKAWA DC よつばと! 13 あずま きよひこ
11/27 KADOKAWA 電撃コミックスNEXT 森山大輔短編集 魔法医猫といばら姫(仮) 森山 大輔
11/27 KADOKAWA 電撃コミックスNEXT メランコリック(仮) 吉乃 そら/Junky/ちほ
11/30 白泉社 書籍扱いコミックス 溺れるようにできている。 完全版 シギサワ カヤ
11月の買いたいナァのリスト。
アニメ化決定のヒロアカ。連載から早くしてここまで盛り上がるとは。でも納得の面白さ。
「背すじをピン!と」も期待の新作。競技ダンスの週刊少年漫画って題材がまずいい。
「小さな奥さんのお話。」、シリーズ2冊めのコミックス。というか続いたのかという印象。好き。
ARIA完全版がリリース開始。映画を見てARIA熱が出たので買いたくなっている。
「ハレルヤオーバードライブ!」最終巻。雑誌でも読んでますが、最高のラストだった・・・。
「花のズボラ飯」ひっさしぶりの新刊だー!3年半ぶりか。
「週刊少年ガール」第3巻。漫画技法の可能性を見せてくれる青春オムニバス。
「よつばと!」13巻ッ!!ついに出るぞ!これも久しぶりなコミックスだ。
「溺れるようにできている。」の完全版が出る。旧コミックスはもう古くなったし実家だしで買いたい。
エロ漫画的には駄菓子先生の新刊がアツいのでは・・・!!!
11/04 集英社 ジャンプコミックス 僕のヒーローアカデミア 6 蠢く 堀越 耕平
11/04 集英社 ジャンプコミックス 背すじをピン!と ~鹿高競技ダンス部へようこそ~ 1 競技ダンス部へようこそ 横田 卓馬
11/05 白泉社 花とゆめコミックス 「あの商店街の、本屋の、小さな奥さんのお話。」初恋本屋。 高橋 しん
11/06 秋田書店 少年チャンピオン・コミックス みつどもえ 16 桜井 のりお
11/06 講談社 アフタヌーンKC ウィッチクラフトワークス 9 水薙 竜
11/06 講談社 KCxITAN フラウ・ファウスト 2 ヤマザキ コレ
11/09 講談社 講談社コミックス 恋と嘘 3 ムサヲ
11/10 マッグガーデン ブレイドコミックス ARIA 完全版 ARIA The MASTERPIECE 1 天野 こずえ
11/12 小学館 ゲッサン少年サンデーコミックス ハレルヤオーバードライブ! 15 高田 康太郎
11/12 小学館 ビッグ コミックス 最果てにサーカス 1 月子
11/12 アース・スター エンターテイメント発行/泰文堂発売 アース・スター コミックス センチメンタルーミー 1 ノッツ
11/12 フレックスコミックス発行/ほるぷ出版発売 メテオCOMICS ゆーあい 1 とこみち
11/14 KADOKAWA BEAM COMIX 狼の口 ヴォルフスムント 7 久慈 光久
11/16 秋田書店 書籍扱いコミックス 花のズボラ飯 3 水沢 悦子/久住 昌之
11/16 少年画報社 YKコミックス 猫瞽女 ―ネコゴゼ― 2 宇河 弘樹
11/17 講談社 講談社コミックス 週刊少年ガール 3 中村 ゆうひ
11/19 小学館 サンデーGXコミックス やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic 6 伊緒 直道/渡 航/ぽんかん8
11/27 KADOKAWA DC よつばと! 13 あずま きよひこ
11/27 KADOKAWA 電撃コミックスNEXT 森山大輔短編集 魔法医猫といばら姫(仮) 森山 大輔
11/27 KADOKAWA 電撃コミックスNEXT メランコリック(仮) 吉乃 そら/Junky/ちほ
11/30 白泉社 書籍扱いコミックス 溺れるようにできている。 完全版 シギサワ カヤ
11月の買いたいナァのリスト。
アニメ化決定のヒロアカ。連載から早くしてここまで盛り上がるとは。でも納得の面白さ。
「背すじをピン!と」も期待の新作。競技ダンスの週刊少年漫画って題材がまずいい。
「小さな奥さんのお話。」、シリーズ2冊めのコミックス。というか続いたのかという印象。好き。
ARIA完全版がリリース開始。映画を見てARIA熱が出たので買いたくなっている。
「ハレルヤオーバードライブ!」最終巻。雑誌でも読んでますが、最高のラストだった・・・。
「花のズボラ飯」ひっさしぶりの新刊だー!3年半ぶりか。
「週刊少年ガール」第3巻。漫画技法の可能性を見せてくれる青春オムニバス。
「よつばと!」13巻ッ!!ついに出るぞ!これも久しぶりなコミックスだ。
「溺れるようにできている。」の完全版が出る。旧コミックスはもう古くなったし実家だしで買いたい。
エロ漫画的には駄菓子先生の新刊がアツいのでは・・・!!!
[漫画]取り戻せるかな、あの頃夢みたこと『はれたら明日!』
はれたら明日! (ウィングス・コミックス) 高嶋 ひろみ 新書館 2015-09-25 売り上げランキング : 35429 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ああ でも カッコわるいほうがいろいろできるな
高嶋ひろみ先生の1巻完結青春漫画「はれたら明日!」の感想です。めちゃ爽やかだぞ!
「加瀬さん」シリーズの第3巻と同じタイミングで出た一冊。
リアルのことをお話しますとこの秋転職しまして、来月から新しい職場になるってタイミングなのですが、退職願をほぼ勢いだけで前の会社に突き出してしまってから次の会社が決まらないめちゃくちゃ不安な時期に読んで、自分にちょっと勇気をくれた本が「はれたら明日!」です。
大人になってから、1度は諦めた夢を再び追うために人生をやり直す!系のストーリーで
普段読んでても好きなテーマではあったのですが
前略のような状況で読んだらもうなんかかなり揺さぶられてしまったので、久しぶりにレビュー書きたいな、と。
自分自身そんな夢をもう一度どーだとか大層な転職をしたわけでは無いですが、新しいことをやったろうというエネルギーはもらいました。きちんと前向きな青春物語であり、ポジティブな光に満ちた漫画です。
岡山の田舎から上京し、東京で順風満帆に社会人生活を送るイケメン青年原田。
同僚上司からの信頼も厚い彼でしたが、昇進の話を持ちかけられた彼は
それを保留にしてその脚で故郷・岡山にふらりと帰ってきます。
懐かしの地で偶然出会った女の子は、原田がかつて教育実習で短期間だけ小学校に行ったときの教え子。
その少女・梅村ひなの前向きさに支えられながら、教師という夢を再び目指しだす原田。
かつての友、幼馴染、そして家族。自分が去ったあとに確実に変わった故郷の中で、
あがきながらたまに息抜きしながら再スタートを頑張る、大人の青春漫画。
う~~~んなんだこの清々しいストーリーは!
1巻完結ということでテンポよく物語も転がり、ラストは爽快な気持ちにさせてくれる。
主人公の原田とひなちゃんのコンビも見ているだけで微笑ましい・・・!
高嶋先生らしいかわいらしくてPOPな世界の中にはとてもとても癒やされますね。
しかしそれだけではない。
変わりゆく風景、住まう人々。見ないフリをしていたかつての夢。
一度捨てたはずのものに、真正面からもう一度向き合っていく。
そこに伴う切なさや戸惑いや、再会の歓び、うまくいかない現実への苛立ち・・・
マイナスな気持ちも、たしかな温度と重みを持って描かれる。ここが良い。
描かれている主人公たちの年齢(20代)が近いこともあってか、親近感の湧く作品。
生徒であるひなちゃんとの関係性も良い。
主人公からすると恋愛的な色っぽい感情が介されず、自分を現実に向きあわせてくれる、大人になって臆病になった脚を無理にでも歩かせてくれるような、眩しくてほっとけない存在。
ひなちゃんとしては、結構ロコツに主人公に対する好意を押し出してるんだけれどもw
現実に思いが届くかどうかは置いといて、そういう距離感のまま最後まで進む。
この作品においてはそのことが心地よい。
なにより梅村ひなちゃんがかわいいんだ。本当に。
あの生命力のカタマリのような天然色のキラキラはまぶしすぎるよ・・
原田との恋愛については、幼馴染であり今は教師となった山口さんが魅力的な立ち位置だ。
同じ夢を追ったこと、学生時代の思い出、原田から一方的に距離をとられてからも、彼女は彼女なりの教師人生を歩んでいた。そして今再び、ふたりの人生が交差する。
ネタバレになってしまうので伏せますが、彼女との「憧れ」の関係性がとても好き。
第5話のふたりのエピソードは本作の1番の盛り上がりどころ。甘酸っぺェ・・・甘酢っぺえよ!
最終話での原田と父親のやりとりは静かに泣ける。
かっこわるいほうが身軽でいろいろできると気づくってのはこの作品で言われると響くなァ。
もともとこの作家さんのファンだったために何気なしにレジに持って行った1冊でしたが、いい作品だったなぁ。
仕事にまつわる大人の青春物語。
田舎の寂れた空気とか、田舎特有のやたら結婚が早いような雰囲気とか
そういう部分でも「わかるわかる」なところ盛りだくさんでした。
ありがちっぽいタイトルだけど、ラストにああやってこのタイトルを盛り込まれてしまうと爽やかで好き。
『はれたら明日!』 ・・・・・・・・・★★★★
自分にとってはタイムリーすぎた。それ差し引いても綺麗にまとまった読後感のいい物語。
[漫画]2015年10月単行本の購入予定
PS3の「rain」というゲームを始めたんですが、音楽映像コンセプトぜんぶドンピシャ。
10/03 集英社 ジャンプコミックス PLUS KISS×DEATH 2 侵入者 叶 恭弘
10/06 講談社 ヤンマガKC 雪にツバサ・春 8(完) 高橋 しん
10/07 講談社 アフタヌーンKC 鉄風 8 太田 モアレ
10/07 小学館 ビッグ コミックス アフターアワーズ 1 西尾 雄太
10/08 講談社 星海社COMICS トモちゃんは女の子 1 柳田 史太
10/09 小学館 ゲッサン少年サンデーコミックス LES MISERABLES 6 新井 隆広/ヴィクトル・ユーゴー/豊島 与志雄
10/09 小学館 ビッグ コミックス スペシャル お酒は夫婦になってから 1 クリスタルな洋介
0/10 マッグガーデン ブレイドコミックス バガタウェイ 12(完) 古日向 いろは
10/15 フレックスコミックス発行/ほるぷ出版発売 ポラリスCOMICS オデット ODETTE 2 日当 貼
10/16 講談社 KC月刊マガジン ボールルームへようこそ 8 竹内 友
10/16 講談社 KC月刊マガジン サマー・ソルト・ターン 3 保志 レンジ/井龍 一
10/19 集英社 ヤングジャンプコミックス ガールズノート 2 KUJIRA
10/23 一迅社 IDコミックス あの子に優しい世界がいい あおの なち
10/23 KADOKAWA MFコミックス アライブシリーズ 僕は友達が少ない 13 いたち/平坂 読/ブリキ
10/23 講談社 アフタヌーンKC 月に吠えらんねえ 4 清家 雪子
10/23 講談社 アフタヌーンKC フラジャイル 4 恵 三朗/草水 敏
10/24 幻冬舎コミックス発行/幻冬舎発売 バーズコミックス 輪るピングドラム 3 柴田 五十鈴/イクニチャウダー/星野 リリィ
10/24 スクウェア・エニックス ビッグガンガンコミックススーパー 君死ニタマフ事ナカレ 1 森山 大輔/ヨコオ タロウ
10/27 KADOKAWA 電撃コミックスNEXT ib ―インスタントバレット― 5 赤坂 アカ
10/27 KADOKAWA 電撃コミックスNEXT この美術部には問題がある! 5 いみぎむる
10/27 芳文社 まんがタイムKRコミックス 桜Trick 6 タチ
10/30 新書館 ディアプラス・コミックス 青い鳥より 雨隠 ギド
10月購入予定。
まず「雪にツバサ」最終巻。うーん・・・作家買い作品ではあったし面白かったけれど、うーむ・・・舞台の閉塞感にはじまり、あまりに鬱々としていたお話だったよなぁと思う。「これだから田舎は」案件というやつ。
「鉄風」!!最終巻!!!読み終えないとなんとも言えないい。でも大好きだった。
「アフターアワーズ」、オシャレな百合なクラブな音楽漫画・・・みたいな。
「トモちゃん」はWEBでちょくちょく読んでたけどようやく単行本に。楽しみ。
「お酒は夫婦になってから」、最近女の子がお酒を飲むよ!ってコンセプトの漫画増えてると思うけど、なかでもとっつきやすい上に可愛らしさ溢れてる期待作。かわいいよ・・・。
「バガタウェイ」完結。ラクロスという新鮮な題材で、チームプレイの面白さを遺憾なく発揮したスポーツ漫画。アニメ化とか、して欲しかったなぁ。
「オデット」、ぬくぬく心あたたまるカップル漫画。ただし彼氏はネコ。ネコとオデート、それは至福。
「ボールルーム」「サマーソルト」月マガ、面白い作品揃ってるよなぁ。スポーツもの2種。
先月出た単行本も強烈によかったあおのなちさんの「あの子に優しい世界がいい」。まずタイトルからいいよなぁ・・・コミティアぢからを感じろ。
「はがない」、原作は追わなくなっちゃったんだけどコミカライズは追い続けてる。
「月に吠えらんねえ」、混沌とした世界を読み解くのにも疲れたのでおいらもう流れに任せる。
「フラジャイル」高位安定、バッチリ面白い医療ドラマ。実写ドラマとかどうですか。エグすぎるか?
「ピングドラム」コミック版3巻。アニメを再構築した丁寧なコミカライズ。物語も加速度を増す。
「インスタントバレット」無念最終巻。見届けます。
10/03 集英社 ジャンプコミックス PLUS KISS×DEATH 2 侵入者 叶 恭弘
10/06 講談社 ヤンマガKC 雪にツバサ・春 8(完) 高橋 しん
10/07 講談社 アフタヌーンKC 鉄風 8 太田 モアレ
10/07 小学館 ビッグ コミックス アフターアワーズ 1 西尾 雄太
10/08 講談社 星海社COMICS トモちゃんは女の子 1 柳田 史太
10/09 小学館 ゲッサン少年サンデーコミックス LES MISERABLES 6 新井 隆広/ヴィクトル・ユーゴー/豊島 与志雄
10/09 小学館 ビッグ コミックス スペシャル お酒は夫婦になってから 1 クリスタルな洋介
0/10 マッグガーデン ブレイドコミックス バガタウェイ 12(完) 古日向 いろは
10/15 フレックスコミックス発行/ほるぷ出版発売 ポラリスCOMICS オデット ODETTE 2 日当 貼
10/16 講談社 KC月刊マガジン ボールルームへようこそ 8 竹内 友
10/16 講談社 KC月刊マガジン サマー・ソルト・ターン 3 保志 レンジ/井龍 一
10/19 集英社 ヤングジャンプコミックス ガールズノート 2 KUJIRA
10/23 一迅社 IDコミックス あの子に優しい世界がいい あおの なち
10/23 KADOKAWA MFコミックス アライブシリーズ 僕は友達が少ない 13 いたち/平坂 読/ブリキ
10/23 講談社 アフタヌーンKC 月に吠えらんねえ 4 清家 雪子
10/23 講談社 アフタヌーンKC フラジャイル 4 恵 三朗/草水 敏
10/24 幻冬舎コミックス発行/幻冬舎発売 バーズコミックス 輪るピングドラム 3 柴田 五十鈴/イクニチャウダー/星野 リリィ
10/24 スクウェア・エニックス ビッグガンガンコミックススーパー 君死ニタマフ事ナカレ 1 森山 大輔/ヨコオ タロウ
10/27 KADOKAWA 電撃コミックスNEXT ib ―インスタントバレット― 5 赤坂 アカ
10/27 KADOKAWA 電撃コミックスNEXT この美術部には問題がある! 5 いみぎむる
10/27 芳文社 まんがタイムKRコミックス 桜Trick 6 タチ
10/30 新書館 ディアプラス・コミックス 青い鳥より 雨隠 ギド
10月購入予定。
まず「雪にツバサ」最終巻。うーん・・・作家買い作品ではあったし面白かったけれど、うーむ・・・舞台の閉塞感にはじまり、あまりに鬱々としていたお話だったよなぁと思う。「これだから田舎は」案件というやつ。
「鉄風」!!最終巻!!!読み終えないとなんとも言えないい。でも大好きだった。
「アフターアワーズ」、オシャレな百合なクラブな音楽漫画・・・みたいな。
「トモちゃん」はWEBでちょくちょく読んでたけどようやく単行本に。楽しみ。
「お酒は夫婦になってから」、最近女の子がお酒を飲むよ!ってコンセプトの漫画増えてると思うけど、なかでもとっつきやすい上に可愛らしさ溢れてる期待作。かわいいよ・・・。
「バガタウェイ」完結。ラクロスという新鮮な題材で、チームプレイの面白さを遺憾なく発揮したスポーツ漫画。アニメ化とか、して欲しかったなぁ。
「オデット」、ぬくぬく心あたたまるカップル漫画。ただし彼氏はネコ。ネコとオデート、それは至福。
「ボールルーム」「サマーソルト」月マガ、面白い作品揃ってるよなぁ。スポーツもの2種。
先月出た単行本も強烈によかったあおのなちさんの「あの子に優しい世界がいい」。まずタイトルからいいよなぁ・・・コミティアぢからを感じろ。
「はがない」、原作は追わなくなっちゃったんだけどコミカライズは追い続けてる。
「月に吠えらんねえ」、混沌とした世界を読み解くのにも疲れたのでおいらもう流れに任せる。
「フラジャイル」高位安定、バッチリ面白い医療ドラマ。実写ドラマとかどうですか。エグすぎるか?
「ピングドラム」コミック版3巻。アニメを再構築した丁寧なコミカライズ。物語も加速度を増す。
「インスタントバレット」無念最終巻。見届けます。
[漫画]君がいるならたとえ世界が終わる日も。『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』3巻
「あした地球がこなごなになっても」、見事という他ない。
・・・私たち、・・・ちゃんとした大人になれるかな?
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション、略してデデデデ、さらに縮めてデ略のコミックス第3巻です。
終末はたまたとは滅亡とは慣れ親しんだ隣人である現代に生きる女子高生たちの
くそ平和な日常を綴った、浅野いにお先生のほんのりセカイ系の匂いを放つ最新連載作。
個人的にいま連載している漫画作品の中ではトップクラスに面白いです。
定期的に俺は浅野いにお先生のことを半分ネタにするように楽しみますけど、本気で好きなことはやはり変わりなく。
過去作で時に炸裂させていた自己嫌悪や破滅的思考、暴走する悪意といった殺伐した空気は
ほどよく女子高生たちのとぼけた世界観と交じり合い、不思議な味わいを楽しませてくれます。
素直に女の子カワイイ!世界がヤバい!みんなカワイイ!って楽しんでるんですが
現実と照らしあわせようものならめんどくさい話題になるのでそういうのはしません。
この3巻、感触としては「プロローグはここでお終い」である。
過去最大の事件(彼女らにとっての)と、そしていずれ訪れるアレ。
栗原キホ。
おんたんと門出とよく遊んでいた、仲良しグループの中のひとり。この3巻の表紙の娘。
グループの中ではおそらくいちばん『今風の女子高生』で、ちょっと太めの眉とあえてそれをアピールするように短めにカットされたボブヘアがかわいくて、告白されて舞い上がちゃって、出来た彼氏と一晩中SNSですきなアーティストの歌詞について議論をして寝不足で登校してくる。あれっ、こんなの普通に恋しちゃうぞ!
で、失恋してみんなと弾けるように遊んで慰めてもらって、泣いてしまう。
ちょっと浮かれやすくて素直で、まさに等身大の遊びたいざかりの女の子って感じだ。
おんたんと門出の親友と呼べる女の子だった。そして彼女たちの日常から欠けたピースのひとつになった。
叫んで泣いて、残された4人は確かめるように手を繋いだ。帰り道。
突き刺すようなおんたんの絶叫の見開きに、やられてしまった人、多いんじゃないかな。
こういうのを見るとおんたんはある程度意識的にピエロを演じる部分は間違いなくあるんだ。
栗原キホの死というのは、これまで主人公たちのすぐそばで起こっていた宇宙人との戦争という暴力的な世界は、けしてまやかしなんかじゃないと、そう読者に叩きつけてくる。
きっといつかはあるんじゃないかって、正直なところ身構えていた展開だ。
なのにぽっと、まるで他人事みたいにテレビニュースで読み上げられた犠牲者の中に栗原キホの名前ある・・・という演出が絶妙だ。最初、一瞬、事態がつかめなかった。
その死は軽いのか重いのかも分からない。
世の中にとってはなんてことない死だ。学校のほかのやつらだってケロッとして、スマホでゲームやりながら気楽に同級生の死を話題にする。描かれていない外側でいくらでも人間は犠牲になっていて、けれどそれでもくそみたいな日常に彼女たちはいたはずだった。
・・・本当に上手い。こんなにも不意を付かれてしまうなんて、とショックすると同時にワクワクしてくる。
第23話、卒業式で出席番号23番は読みあげられない。そしてそこにある空席。
喪失というものに対するだれかの悲しみの深さ大きさを描きながらも
死というのはもうそこら中にあって、みんな慣れてしまって、それすらも「くそ平和」の中に収まってしまっているのが静かな狂気を感じさせる。
そしておんたんと門出は第一志望の大学に落ちた。
げぇーっへっへっへっへ!!
・・・おう。
この作品に出てくる「大人」って、いろんな人種がいる。まぁそんなの当たり前なんだけれど。
今の子供達は、リアルタイムで世界が大きく変貌していくそのさなかに、思春期を迎えた。
迷い惑い戦う姿も逃げる姿も、それぞれの大人たちが信じる正義思想戦争を、間近で見つめた世代だ。
その中で、この3巻で俺が1番好きなシーンが一層、胸に響く。
ちゃんとした大人ってなんだろう。
そして胸の奥底にある少しだけの不安。
大人になるまで生きていけるだろうかと。
門出は卒業式を終えたあと担任教師に訪ねます。
「本当の本当は、この世界はどのくらいやばいんですか?」
「ただの偶然があいつらの気まぐれ」
そして当たり前だけど、このくそ平和な日々がそのまま続くことを根拠もなくすこし思っていて
18歳らしい、将来への不安やモラトリアム的な疑問も湧き上がる。
大人に、なれるのだろうか。
甘酸っぱくもあり、この作品の優しい顔した終末感を象徴するかのような、高校生活の最後を飾る名シーンですわ。
「だって僕たちは、僕たちなんだから」というおんたんのセリフも格好いい。
わけもなく不安で、わけもなく自信家で、悲しみはあれど日々はそれなりに満たされて、けれどどうしようもなく欠け落ちたものもあって。
この作品の破滅的な設定って、「青年期の感覚」をさらに色鮮やかに浮かび上がらせる装置としても働いてくれているなと感じます。そういうのが大好き。
ほか、3巻ラストのモノローグも意味深で、今後を読み解くカギになりそう。
ほか、宇宙人に関する事実もいろいろと見えてきました。
実は宇宙人自体はかなり弱いんですね。民間の被害者が出るのだって、撃墜された宇宙船の落下によるものも多い。
現代の自衛武装で、宇宙人との戦闘は圧倒しています。
でも戦争や武器供給、宇宙人討伐をビジネスにする人たちにとって
宇宙人には”脅威”であり続けてもらわないといけない。
だから「殺しすぎないよう注意しろ」「適当数を処理」といった言葉が出てくる。
SF映画みたいな危機的な状況なのに、人々は死を隣に据えながら実に呑気にたくましい。
そして宇宙人。
彼らにも知能はあって、片割れを射殺されれば崩れ落ち、呆然となにか言葉を発する。
この場面は物悲しくてたまらなかった。
宇宙人の扱う言語はまったく意味はわからないんだけど、なんか法則性があって実は解読できたりしないかな・・・
全体的に「世界の危機」と呼ばれるものが薄っぺらくて信じがたくて呑気なもので
でも「いや絶対この先なんかヤバいこと起きるでしょ・・・」って感じるわけで
そしてその予感が現実のものとなるのが、この第3巻ラスト。
プロローグはお終いだ。
おんたんのニートお兄ちゃん(顔だけイケメン)が人助けをするほっこりエピソードも収録。
お兄ちゃん大好き人間としては感謝の一話である。めっちゃ面白かった。
『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』3巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
あまりに死に慣れすぎた結果、麻痺をし続けている世界。癒えること無い闇が巣食う。
俺はもっと女の子かわいいおんたん最高って呻きながらこの作品を楽しみたいのに。
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 3 (ビッグコミックススペシャル) 浅野 いにお 小学館 2015-08-28 売り上げランキング : 622 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
・・・私たち、・・・ちゃんとした大人になれるかな?
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション、略してデデデデ、さらに縮めてデ略のコミックス第3巻です。
終末はたまたとは滅亡とは慣れ親しんだ隣人である現代に生きる女子高生たちの
くそ平和な日常を綴った、浅野いにお先生のほんのりセカイ系の匂いを放つ最新連載作。
個人的にいま連載している漫画作品の中ではトップクラスに面白いです。
定期的に俺は浅野いにお先生のことを半分ネタにするように楽しみますけど、本気で好きなことはやはり変わりなく。
過去作で時に炸裂させていた自己嫌悪や破滅的思考、暴走する悪意といった殺伐した空気は
ほどよく女子高生たちのとぼけた世界観と交じり合い、不思議な味わいを楽しませてくれます。
素直に女の子カワイイ!世界がヤバい!みんなカワイイ!って楽しんでるんですが
現実と照らしあわせようものならめんどくさい話題になるのでそういうのはしません。
この3巻、感触としては「プロローグはここでお終い」である。
過去最大の事件(彼女らにとっての)と、そしていずれ訪れるアレ。
栗原キホ。
おんたんと門出とよく遊んでいた、仲良しグループの中のひとり。この3巻の表紙の娘。
グループの中ではおそらくいちばん『今風の女子高生』で、ちょっと太めの眉とあえてそれをアピールするように短めにカットされたボブヘアがかわいくて、告白されて舞い上がちゃって、出来た彼氏と一晩中SNSですきなアーティストの歌詞について議論をして寝不足で登校してくる。あれっ、こんなの普通に恋しちゃうぞ!
で、失恋してみんなと弾けるように遊んで慰めてもらって、泣いてしまう。
ちょっと浮かれやすくて素直で、まさに等身大の遊びたいざかりの女の子って感じだ。
おんたんと門出の親友と呼べる女の子だった。そして彼女たちの日常から欠けたピースのひとつになった。
叫んで泣いて、残された4人は確かめるように手を繋いだ。帰り道。
突き刺すようなおんたんの絶叫の見開きに、やられてしまった人、多いんじゃないかな。
こういうのを見るとおんたんはある程度意識的にピエロを演じる部分は間違いなくあるんだ。
栗原キホの死というのは、これまで主人公たちのすぐそばで起こっていた宇宙人との戦争という暴力的な世界は、けしてまやかしなんかじゃないと、そう読者に叩きつけてくる。
きっといつかはあるんじゃないかって、正直なところ身構えていた展開だ。
なのにぽっと、まるで他人事みたいにテレビニュースで読み上げられた犠牲者の中に栗原キホの名前ある・・・という演出が絶妙だ。最初、一瞬、事態がつかめなかった。
その死は軽いのか重いのかも分からない。
世の中にとってはなんてことない死だ。学校のほかのやつらだってケロッとして、スマホでゲームやりながら気楽に同級生の死を話題にする。描かれていない外側でいくらでも人間は犠牲になっていて、けれどそれでもくそみたいな日常に彼女たちはいたはずだった。
・・・本当に上手い。こんなにも不意を付かれてしまうなんて、とショックすると同時にワクワクしてくる。
第23話、卒業式で出席番号23番は読みあげられない。そしてそこにある空席。
喪失というものに対するだれかの悲しみの深さ大きさを描きながらも
死というのはもうそこら中にあって、みんな慣れてしまって、それすらも「くそ平和」の中に収まってしまっているのが静かな狂気を感じさせる。
そしておんたんと門出は第一志望の大学に落ちた。
げぇーっへっへっへっへ!!
・・・おう。
この作品に出てくる「大人」って、いろんな人種がいる。まぁそんなの当たり前なんだけれど。
今の子供達は、リアルタイムで世界が大きく変貌していくそのさなかに、思春期を迎えた。
迷い惑い戦う姿も逃げる姿も、それぞれの大人たちが信じる正義思想戦争を、間近で見つめた世代だ。
その中で、この3巻で俺が1番好きなシーンが一層、胸に響く。
ちゃんとした大人ってなんだろう。
そして胸の奥底にある少しだけの不安。
大人になるまで生きていけるだろうかと。
門出は卒業式を終えたあと担任教師に訪ねます。
「本当の本当は、この世界はどのくらいやばいんですか?」
「ただの偶然があいつらの気まぐれ」
そして当たり前だけど、このくそ平和な日々がそのまま続くことを根拠もなくすこし思っていて
18歳らしい、将来への不安やモラトリアム的な疑問も湧き上がる。
大人に、なれるのだろうか。
甘酸っぱくもあり、この作品の優しい顔した終末感を象徴するかのような、高校生活の最後を飾る名シーンですわ。
「だって僕たちは、僕たちなんだから」というおんたんのセリフも格好いい。
わけもなく不安で、わけもなく自信家で、悲しみはあれど日々はそれなりに満たされて、けれどどうしようもなく欠け落ちたものもあって。
この作品の破滅的な設定って、「青年期の感覚」をさらに色鮮やかに浮かび上がらせる装置としても働いてくれているなと感じます。そういうのが大好き。
ほか、3巻ラストのモノローグも意味深で、今後を読み解くカギになりそう。
ほか、宇宙人に関する事実もいろいろと見えてきました。
実は宇宙人自体はかなり弱いんですね。民間の被害者が出るのだって、撃墜された宇宙船の落下によるものも多い。
現代の自衛武装で、宇宙人との戦闘は圧倒しています。
でも戦争や武器供給、宇宙人討伐をビジネスにする人たちにとって
宇宙人には”脅威”であり続けてもらわないといけない。
だから「殺しすぎないよう注意しろ」「適当数を処理」といった言葉が出てくる。
SF映画みたいな危機的な状況なのに、人々は死を隣に据えながら実に呑気にたくましい。
そして宇宙人。
彼らにも知能はあって、片割れを射殺されれば崩れ落ち、呆然となにか言葉を発する。
この場面は物悲しくてたまらなかった。
宇宙人の扱う言語はまったく意味はわからないんだけど、なんか法則性があって実は解読できたりしないかな・・・
全体的に「世界の危機」と呼ばれるものが薄っぺらくて信じがたくて呑気なもので
でも「いや絶対この先なんかヤバいこと起きるでしょ・・・」って感じるわけで
そしてその予感が現実のものとなるのが、この第3巻ラスト。
プロローグはお終いだ。
おんたんのニートお兄ちゃん(顔だけイケメン)が人助けをするほっこりエピソードも収録。
お兄ちゃん大好き人間としては感謝の一話である。めっちゃ面白かった。
『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』3巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
あまりに死に慣れすぎた結果、麻痺をし続けている世界。癒えること無い闇が巣食う。
俺はもっと女の子かわいいおんたん最高って呻きながらこの作品を楽しみたいのに。