絶対、好きにならない、だから。『やがて君になる』2巻
7年ぶりにPCを買い換えてwin10に変えたらスキャナーが使えなくなったよくある話。
心臓が選んでくれたらいいのに
大人気「やがて君になる」2巻です。
冷ややかな感情描写と熱を帯びていく物語の加速に惚れ惚れした本作。
1巻発売後から各所で話題となって、すでにかなりの知名度になっている感じ。
それもうなずける面白さ。発売から時間は立ってしまいましたが2巻の感想も行きます。
前回感想→わたしは貴女の特別なひと。『やがて君になる』1巻
2巻からは生徒会のほかの生徒たちも揃い、メインメンバーが揃った感じがある。
会長の七海、副会長の佐伯、主人公の小糸。
そこに加わった男子2人(!!)。チャラいノリのメガネ男子、堂島。ややおとなしい性格の慎。
メインキャラにがっつり男子キャラを増やしたあたり、この作品なりの挑戦とこだわりと感じますね。
個人的にも男子も出る百合漫画の方が好きだったりする。
性という言葉が持つ境界をさぐるのも百合漫画の醍醐味だとも思う。
という話はさておきこの新キャラのうち慎くん。
こちらがなかなかすごい形で小糸と七海との形に介入してくる。
秘密を握るという形でいきなり小糸の超至近距離までやってくる。
けれど悪意のある人物じゃなく、あくまでも傍観者として、演目を客席で眺めているスタンス。
当事者たる小糸としては、客席に誰かがいると知ってしまっては・・・小さな変化も訪れるだろうとは思うけれど・・・。
客席から見る彼は、これは相思相愛の恋物語に見えると言う。
壇上にいる彼女は、これはなんてことない普通の感情と言う。
他人と判断する状況と、当人の感じる気持ちのズレ。
自分の態度を、第三者に観察されて、くだされる判断。恋愛を知らない小糸にとってはかなりのプレッシャーでもあるのでは。
具体的にアクションは取らず、ただ傍観をするという意味で慎くんは読者に近いポジションのキャラクターですね。男子がこんなに存在感を出してきても、正直危機感はあまりなくて、いいスパイスになっている。
年頃の男子にしては達観しすぎているので、なにか裏や過去の傷があるのかと考えてしまったりもする。
ともかく、今後もストーリーの根幹にある程度噛んできそうなキャラクタ。
そしてストーリーはかつての伝統、「生徒会劇の復活」へと進んでいく。
七海の追うお姉さんの影も具体的に見えてきて、ぐんぐん話もディープになっていく。
つきつけられる拒絶。
より複雑に、より純度を増していく「好き」という呪縛。
上記のシーンが登場する第10話「言葉は閉じ込めて」は過去最高のスリルとポエムが味わえるまさに至極の32ページ。このこじらせ方が青春か。
そしてその番外編「言葉で閉じ込めて」で完全KOを喰らいリングに沈むのである。
姉の影を追う七海先輩にとって、浴びせられる好意は「姉のコピーをする私」に対するものとして捉えてしまう。だから「好き」は彼女にとっての枷だった。「こういうあなたが好き」というならば、そうじゃない私は好きではないのではないか。
けれど小糸は「好き」を持たない。だからこそ好き。
あたたかく包んでくれる、心はずむ言葉をくれる、けれど愛してくれない。
世界で1番優しい、私だけの特別なぬいぐるみ。
彼女はあえて「好きだよ」と言う。
こたえてもらえないことを知っている。それでも彼女は私の特別でいてくれる。
聡明な彼女は、すべてを知り尽くして自分を騙している。
彼女自身が愛されることを望んでいないのだから。
・・・それもまた、自身を騙しているだけなのかもしれないけれど。
性癖に見逃せないのが副会長の佐伯先輩ですよ!!
1巻よりずっとずっと嫉妬心をむき出しにして、スマートな振る舞いしているようで、傍からみるとなかなかにみっともない事になってますよ!!
無茶をする彼女をただ救うのではない。私がいる。私が助ける。私がそばにいる。
小糸に対して「年季が違うんだよォ!」とばかりに牽制する佐伯先輩~~ウオォ~~。
ハァハァ・・・クッ・・・だめだろ先輩・・・こんなかっこいい、かっこわるいことばっかりしてちゃ・・・・・・・・・・耐えらんねぇよ・・・・・・もっとくれ
ツイッター上で見かけた説ですが、主人公のフルネームが「小糸侑」で、これは「恋という」という言葉につながっているのでは、というネタ。
たしかに主人公は恋心を知らないという物語上キーとなる個性があるので、その由来は非常に納得できる。
しかして物語は次々と転がり、ある種の「特別」をつかめているように感じる。
甘く熱い感情だけではない。応えられない、理解のできない悲しみに、「心臓が選んでくれたらいいのに」とさえ願ってしまう切ない夜。
そこに小糸なりの本当の気持ちが隠されているかもしれないし、たとえ恋じゃなくたっていい。
こんなに一人の人だけをおもう瞬間があるのなら。
え、エッモ・・・!
ところでメロンブックスで買うとゲスト作家陣ふくめ超豪華な冊子がついてきまして。
http://daioh.dengeki.com/blog/comics/『やがて君になる』第2巻書店特典をまとめてみ/
書店特典だけにとどめて欲しくない超クオリティな特典だったので
どうでならこちらもゲットすることをおすすめしたい・・・が・・・これ書いてる時点で残ってるのかどうかは怪しかったので気にしないでください。
『やがて君になる』2巻 ・・・・・・・・・★★★★
盛り上がってきている百合漫画といえば、うむ、これだ(差し出す)
女の子たちの姿勢がとても綺麗な漫画だと思います。不安な気持ちも隠して凛と立つ。
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心臓が選んでくれたらいいのに
大人気「やがて君になる」2巻です。
冷ややかな感情描写と熱を帯びていく物語の加速に惚れ惚れした本作。
1巻発売後から各所で話題となって、すでにかなりの知名度になっている感じ。
それもうなずける面白さ。発売から時間は立ってしまいましたが2巻の感想も行きます。
前回感想→わたしは貴女の特別なひと。『やがて君になる』1巻
2巻からは生徒会のほかの生徒たちも揃い、メインメンバーが揃った感じがある。
会長の七海、副会長の佐伯、主人公の小糸。
そこに加わった男子2人(!!)。チャラいノリのメガネ男子、堂島。ややおとなしい性格の慎。
メインキャラにがっつり男子キャラを増やしたあたり、この作品なりの挑戦とこだわりと感じますね。
個人的にも男子も出る百合漫画の方が好きだったりする。
性という言葉が持つ境界をさぐるのも百合漫画の醍醐味だとも思う。
という話はさておきこの新キャラのうち慎くん。
こちらがなかなかすごい形で小糸と七海との形に介入してくる。
秘密を握るという形でいきなり小糸の超至近距離までやってくる。
けれど悪意のある人物じゃなく、あくまでも傍観者として、演目を客席で眺めているスタンス。
当事者たる小糸としては、客席に誰かがいると知ってしまっては・・・小さな変化も訪れるだろうとは思うけれど・・・。
客席から見る彼は、これは相思相愛の恋物語に見えると言う。
壇上にいる彼女は、これはなんてことない普通の感情と言う。
他人と判断する状況と、当人の感じる気持ちのズレ。
自分の態度を、第三者に観察されて、くだされる判断。恋愛を知らない小糸にとってはかなりのプレッシャーでもあるのでは。
具体的にアクションは取らず、ただ傍観をするという意味で慎くんは読者に近いポジションのキャラクターですね。男子がこんなに存在感を出してきても、正直危機感はあまりなくて、いいスパイスになっている。
年頃の男子にしては達観しすぎているので、なにか裏や過去の傷があるのかと考えてしまったりもする。
ともかく、今後もストーリーの根幹にある程度噛んできそうなキャラクタ。
そしてストーリーはかつての伝統、「生徒会劇の復活」へと進んでいく。
七海の追うお姉さんの影も具体的に見えてきて、ぐんぐん話もディープになっていく。
つきつけられる拒絶。
より複雑に、より純度を増していく「好き」という呪縛。
上記のシーンが登場する第10話「言葉は閉じ込めて」は過去最高のスリルとポエムが味わえるまさに至極の32ページ。このこじらせ方が青春か。
そしてその番外編「言葉で閉じ込めて」で完全KOを喰らいリングに沈むのである。
姉の影を追う七海先輩にとって、浴びせられる好意は「姉のコピーをする私」に対するものとして捉えてしまう。だから「好き」は彼女にとっての枷だった。「こういうあなたが好き」というならば、そうじゃない私は好きではないのではないか。
けれど小糸は「好き」を持たない。だからこそ好き。
あたたかく包んでくれる、心はずむ言葉をくれる、けれど愛してくれない。
世界で1番優しい、私だけの特別なぬいぐるみ。
彼女はあえて「好きだよ」と言う。
こたえてもらえないことを知っている。それでも彼女は私の特別でいてくれる。
聡明な彼女は、すべてを知り尽くして自分を騙している。
彼女自身が愛されることを望んでいないのだから。
・・・それもまた、自身を騙しているだけなのかもしれないけれど。
性癖に見逃せないのが副会長の佐伯先輩ですよ!!
1巻よりずっとずっと嫉妬心をむき出しにして、スマートな振る舞いしているようで、傍からみるとなかなかにみっともない事になってますよ!!
無茶をする彼女をただ救うのではない。私がいる。私が助ける。私がそばにいる。
小糸に対して「年季が違うんだよォ!」とばかりに牽制する佐伯先輩~~ウオォ~~。
ハァハァ・・・クッ・・・だめだろ先輩・・・こんなかっこいい、かっこわるいことばっかりしてちゃ・・・・・・・・・・耐えらんねぇよ・・・・・・もっとくれ
ツイッター上で見かけた説ですが、主人公のフルネームが「小糸侑」で、これは「恋という」という言葉につながっているのでは、というネタ。
たしかに主人公は恋心を知らないという物語上キーとなる個性があるので、その由来は非常に納得できる。
しかして物語は次々と転がり、ある種の「特別」をつかめているように感じる。
甘く熱い感情だけではない。応えられない、理解のできない悲しみに、「心臓が選んでくれたらいいのに」とさえ願ってしまう切ない夜。
そこに小糸なりの本当の気持ちが隠されているかもしれないし、たとえ恋じゃなくたっていい。
こんなに一人の人だけをおもう瞬間があるのなら。
え、エッモ・・・!
ところでメロンブックスで買うとゲスト作家陣ふくめ超豪華な冊子がついてきまして。
http://daioh.dengeki.com/blog/comics/『やがて君になる』第2巻書店特典をまとめてみ/
書店特典だけにとどめて欲しくない超クオリティな特典だったので
どうでならこちらもゲットすることをおすすめしたい・・・が・・・これ書いてる時点で残ってるのかどうかは怪しかったので気にしないでください。
『やがて君になる』2巻 ・・・・・・・・・★★★★
盛り上がってきている百合漫画といえば、うむ、これだ(差し出す)
女の子たちの姿勢がとても綺麗な漫画だと思います。不安な気持ちも隠して凛と立つ。
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