[漫画]待ちきれないんだ、体が熱くなりたがっている!『ボールルームへようこそ』3巻
ボールルームへようこそ(3) (講談社コミックス月刊マガジン) (2012/11/16) 竹内 友 商品詳細を見る |
私を花にしてください
「ボールルームへようこそ」3巻!先月出ました。
いやぁアツいアツい!めっさ熱いですね3巻!!ゾクゾクしっぱなし!
いつも熱気たっぷりな表紙イラストも、今回はライバルとのバトルのような構図になっています。内容とあっている上にこの緊迫感スゴい。ピリピリくるな!
平凡な中学生がダンスに出会い目覚め、大会に出るまでになった本作。
3巻はまるっと「天平杯」での激闘が描かれており、テンション高いまま!
まさに今勢いがある漫画だと思うのですよ。そんな漫画の感想。
主人公・富士田はあたらしいパートナー・真子と組んで天平杯に出場。
この大会にはいろんな人間の、いろんな感情が入り乱れていて
一言では語り尽くせない味わい深さがあります。
この大会の中で、主人公・多々良はリアルタイムでどんどんと成長していく。
多々良の覚悟や意識がどんどん研ぎ澄まされて、1人の男になっていく様子は問答無用で心を高ぶらせますよ!
体が熱くなりたがってる!名言ですよね。
なんて良い表情しているんだ。怖いくらい。でもこの闘志むき出しっぷりが素敵。
初心者も初心者、ほとんどの人がその名を知らない多々良。
最初は注目をあびない彼とは逆に、強大なライバルは存分に実力を振るう。
体力。テクニック。その他たくさんの、ダンスを踊るために大切なこと。
それらが周囲と劣っていることが、まざまざと見せ付けられる。
わかりきっていたことだけど、この晴れ舞台でそれを強く意識させられてしまうと、そりゃ泣きたくもなるよな。
このシーンがすごく好きで。
「なんで僕―――もっと早くダンスに会えなかったんだろう」
不甲斐ない。情けない。自分に想いを託してくれたライバルに、自分の手をにぎってくれるパートナーに。いろんな無念さがグルグルと頭をめぐるんだ。
「もっと早くダンスと会いたかった」なんてその競技を愛していなければ出せない言葉だ。でも愛してるだとかそんな理由より、もっと凶暴な感情が胸を暴れる。
もっとうまくなりたい。もっと戦えるようになりたい。
そんな言葉が体の底から叫ばれているんだなぁ。
ライバル、賀寿は審査員からも注目されている選手。
これがまたいけ好かないヤロウで、いい感じにヒールなんですよね!
あーコイツ見返してやりたいなぁ、って思いは読んでいるこちらでも膨らむ。
けれどコイツと1人で戦う実力は、多々良にはまだ無い。
ならばどうする?ってところで発想が切り替わる。そこからの展開が、この3巻の最大の見どころでもあるんじゃないかな、と。
こっから更にテンションは上がるのみ!コミックスを持つ手にも思わず力がこもる!
いやしかし、この巻のヒロインは真子ちゃんですねえ。
ヒーローの対義としての、主役という意味で。
3巻の終盤の活躍の華やかさは当然のこと、それまであった「相手の邪魔にならないように踊る」という考えを捨て挑む多々良とのダンスは、ドラマとしての見ごたえ十分。
「私を花にしてください」なんて、この娘が言ってくれるのかと!
「私をみろ!」と踊りで語るような強さを手に入れた。美しくなろうとする意識を持った。
「私を花にしてください」
「応えるよ、応えさせて!」
の流れにはゾクゾクゥッ。多々良は胸のうちでそう返して、そして行動で示す。
「花と額縁」女は花、男は額縁。花を華麗に飾り見せてやるのが、男。
多々良が見せつける、彼なりの「花と額縁」の姿。要注目ですよ。
で、相変わらず観客のリアクションも上手いこと描かれていて。
衝撃と賞賛が少しずつ広がっていく様にも大興奮。観客がうまく描かれていると、競技漫画はさらに魅力的になるんだなぁ。
そんな「ボールルームへようこそ」3巻でした。
あー面白いなー!テンションが上がる。ダンスってこんなに熱く激しいんだ。
作品のキャラクターと同じく、こちらまで血がたぎってくる!
なんだろう。引きずり込まれるみたいに作品の空気に自分が染められてしまう、そんな漫画。悔しいときには全力で悔しがるし、楽しむときは全力で楽しむ。
いつだって全力で、持てるもの全部をしぼりつくして燃え上がる。これだけ全力でやったら結果はどうあれ後悔ないだろう、と読んでるこっちは思っても、それでも悔しがって、そしてやりぬいていく強い人たち。心にアツいものを持っている人たちが全力を出し切って戦う姿が、この作品の大きな魅力。
3巻はストーリー的にも大きな盛り上がりがありました。
多々良たちの覚醒に、自分でもびっくりするくらい嬉しがったりしてw
あんなビクビクしていた多々良たちが、フロアを煽るようなダンスまでしたりして!お前ら生き生きしすぎィ!読んでてニヤニヤしてしまう!
無力感を覚えまくったからこそ、余計に「頑張らなくちゃ」とトバしすぎたり、そんな失敗もありました。でもそれを踏まえて、花開いた。
ダンスという題材からイメージされる優雅さは、この作品においては皆無、とは言わないけど薄い。なにより前に立つのは、決意を持つ人たちの力強さ。
男も女も関係なく、バチバチと闘志がはじける。
燃え上がりむき出しになった対抗心。見た目優美なダンスの中に、人間たちの凄まじい激情がほとばしる!はぁ、4巻が待ち遠しい!!
『ボールルームへようこそ』3巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
真子ちゃんかわいいなブヒョーとかも思いつつ読みましたが
そういうぬるい楽しみは吹き飛ばされそうな迫力!熱気!テンション!
余談ですが、「ボールルームへようこそ」3巻のオビでこんなのが。
わぁい、紹介してもらえました。
ということでITmedia eBook USERさんで自分が執筆した記事でも本作に触れてます。
→漫画ブロガーが本気で教えたい “今年出たすごい1巻”
まだ読んでない方はよろしくでっす。ボールルーム含む5作品を紹介しています。
本当に余談でした・・・。
ボールルームはどんっどん面白くなっていますね。本当に今勢いがあります。
[小説]とてもとても、きみを産めて幸せなの。『ノニアレ』
久しぶりにラノベの感想でも。
きみを産んだんだよ。わたしお母さんになったの。
ヒロインは母親!
キーアイテムは母乳!
搾乳プレイもあるよ!
とまぁ変態的ポイントがズラリ並ぶファミ通文庫の新刊「ノニアレ」。
投稿作を修正し文庫化したデビュー作ですが、投稿時のタイトルは「マザープレイ」とのことでなんというかお察しください。
ヒロインが母親といっても、表紙にいる髪の長い娘です。外見は学生。
何はおいといても、主人公に母乳を与えるヒロインという時点でパワフル。なんかいろいろパワフルなのです。でもオバカさ爆発ってわけでもなく、結構シリアスだったりもする。
さくっとどんな作品かを紹介したいなと。
幸福を感じると死ぬ奇病にかかる主人公、ヒビキ。
幸せにならないように制限だらけの生活を送り、感情の起伏にも乏しいヒビキくんは、ある日学校で有名な美少女、月嶋ルナに、ぱっくり食べられてしまう。
ルナはヒビキを孕み、そして出産。ヒビキくんは晴れてルナの息子として生まれ変わったのであった!な、なんだってー!?
・・・序盤の展開からして置いてきぼりです。そういう作品なのです。
「だって子供が欲しかったんだもの」という理由でヒビキを自分の息子にしてしまったルナ。食べてからヒビキを分解してルナ自身の遺伝子を組み込み再構成。完璧に自分の子供にしています。
最初は困惑するも、遺伝子レベルに結ばれたルナに愛情を持つヒビキくん。
しかし問題が浮上!
定期的にルナの母乳を飲まないと体の調子が悪くなる!!
そりゃあ大変だ(棒)
ということでルナ母さんのおっぱいを飲まなくりゃいけません。
しかし直接吸い付くのはあまりに恥ずかしいとゴネるヒビキくん。
ルナはしかたなーく自前の搾乳器で母乳をしぼる。なぜ自前の搾乳器がすっと出てくるかは謎。
しかし母乳が勝手に出ちゃってブラジャーが濡れてしまうヒロインというのは・・・たまげたなぁ。一応外見は未発育な女子学生なわけで。
ルナは搾乳器を使うことに不満たらたらで、直接口ですってよ~って迫ってくるしな。なんというか一言でいえば、頭ワルぅ!!
そういう母子のコミュニケーションをおかしく暴走させたシチュエーションがまず目立つ作品。
しかしストーリーはいわゆる王道のバトルラノベの範疇にある。
バトル以外の部分でも思いのほかグロい部分はありますし、バトルそのものも結構ドロくさい。
バトルに目新しさはなかったけれど、残念な出来ではなかったです。
地の文がやや硬めなのはいいとしても、いまいちテンポがよくないシーンがちらほらあったのは残念かな。バトル中とかはスピード感がうまく出ない箇所も。
とは言え雰囲気の盛り上がりはいいんだ。中二病らしく、恥ずかしい口上をしなきゃバトルできないぜ!な舌戦はステキに心熱くさせてくれる。
母乳ラノベとかイロモノだろ・・・と思いつつ読んだわけですが、意外と土台はしっかりできている印象。しかし土台が堅実すぎてそこが魅力とはまだなっていないかな。やはり奇抜な設定がストーリーのテンションを引っ張っていく。
しかしスケールがデカすぎていまいち把握ができていない部分もあるw
個人的にはルナちゃんとコロンちゃんが好きかな。コロンの終盤の活躍とかなかなか。
ルナに関しては、母親として息子に向ける慈愛がいいよね。
それは恋愛のそれとは違うものだと思うけれど、
今後彼女の想いもかわって、ヒビキへの愛情も微妙に質が変わったりするならそれはそれで楽しそう。でも個人的にはこのイビツな親子愛を貫いていってほしいかな。
ルナは普通のヒロインとはだいぶかけ離れたポジションのキャラクターだけれど、親子関係だなんてこんな強い相関関係もないじゃないかと。
しかし普通のヒロインではないので、うまく入り込めない人も当然いそう。
そのため、ほかのサブヒロインのバランスもうまくできている。
しかしなんだろうな。ちゃんと深さがあるキャラクターって少なかった。
十分に頭おかしい内容なんだけど、それを押し出そうとせず無駄に真面目にに中二病ラノベやろうとする姿勢がいい。
でももっともっと、ルナと主人公の親子関係の奇妙さを押し出した場面も見たくなった。
日常シーンのなにげないタイミングにふと『母乳、飲みたくなってきたな』とかモノローグが差し込まれるシュールさといったら。普段のクール主人公っぷりがさらなる面白さを生み出す・・・。
ちょっとおかしな設定のライトノベルが読みたいって人におすすめかな。
設定に度肝を抜かれますが、思いのほか真面目なのです。だからバカなのか!
ノニアレ
人ノ子ニ幸アレ。
生まれ変わり、絶望から救われ、幸せを望む人の子。
続刊があるなら、読んでみたいかも。もっとだ!もっとルナの母乳を!
ノニアレ (ファミ通文庫) (2012/11/30) 初心音コマ 商品詳細を見る |
きみを産んだんだよ。わたしお母さんになったの。
ヒロインは母親!
キーアイテムは母乳!
搾乳プレイもあるよ!
とまぁ変態的ポイントがズラリ並ぶファミ通文庫の新刊「ノニアレ」。
投稿作を修正し文庫化したデビュー作ですが、投稿時のタイトルは「マザープレイ」とのことでなんというかお察しください。
ヒロインが母親といっても、表紙にいる髪の長い娘です。外見は学生。
何はおいといても、主人公に母乳を与えるヒロインという時点でパワフル。なんかいろいろパワフルなのです。でもオバカさ爆発ってわけでもなく、結構シリアスだったりもする。
さくっとどんな作品かを紹介したいなと。
幸福を感じると死ぬ奇病にかかる主人公、ヒビキ。
幸せにならないように制限だらけの生活を送り、感情の起伏にも乏しいヒビキくんは、ある日学校で有名な美少女、月嶋ルナに、ぱっくり食べられてしまう。
ルナはヒビキを孕み、そして出産。ヒビキくんは晴れてルナの息子として生まれ変わったのであった!な、なんだってー!?
・・・序盤の展開からして置いてきぼりです。そういう作品なのです。
「だって子供が欲しかったんだもの」という理由でヒビキを自分の息子にしてしまったルナ。食べてからヒビキを分解してルナ自身の遺伝子を組み込み再構成。完璧に自分の子供にしています。
最初は困惑するも、遺伝子レベルに結ばれたルナに愛情を持つヒビキくん。
しかし問題が浮上!
定期的にルナの母乳を飲まないと体の調子が悪くなる!!
そりゃあ大変だ(棒)
ということでルナ母さんのおっぱいを飲まなくりゃいけません。
しかし直接吸い付くのはあまりに恥ずかしいとゴネるヒビキくん。
ルナはしかたなーく自前の搾乳器で母乳をしぼる。なぜ自前の搾乳器がすっと出てくるかは謎。
しかし母乳が勝手に出ちゃってブラジャーが濡れてしまうヒロインというのは・・・たまげたなぁ。一応外見は未発育な女子学生なわけで。
ルナは搾乳器を使うことに不満たらたらで、直接口ですってよ~って迫ってくるしな。なんというか一言でいえば、頭ワルぅ!!
そういう母子のコミュニケーションをおかしく暴走させたシチュエーションがまず目立つ作品。
しかしストーリーはいわゆる王道のバトルラノベの範疇にある。
バトル以外の部分でも思いのほかグロい部分はありますし、バトルそのものも結構ドロくさい。
バトルに目新しさはなかったけれど、残念な出来ではなかったです。
地の文がやや硬めなのはいいとしても、いまいちテンポがよくないシーンがちらほらあったのは残念かな。バトル中とかはスピード感がうまく出ない箇所も。
とは言え雰囲気の盛り上がりはいいんだ。中二病らしく、恥ずかしい口上をしなきゃバトルできないぜ!な舌戦はステキに心熱くさせてくれる。
母乳ラノベとかイロモノだろ・・・と思いつつ読んだわけですが、意外と土台はしっかりできている印象。しかし土台が堅実すぎてそこが魅力とはまだなっていないかな。やはり奇抜な設定がストーリーのテンションを引っ張っていく。
しかしスケールがデカすぎていまいち把握ができていない部分もあるw
個人的にはルナちゃんとコロンちゃんが好きかな。コロンの終盤の活躍とかなかなか。
ルナに関しては、母親として息子に向ける慈愛がいいよね。
それは恋愛のそれとは違うものだと思うけれど、
今後彼女の想いもかわって、ヒビキへの愛情も微妙に質が変わったりするならそれはそれで楽しそう。でも個人的にはこのイビツな親子愛を貫いていってほしいかな。
ルナは普通のヒロインとはだいぶかけ離れたポジションのキャラクターだけれど、親子関係だなんてこんな強い相関関係もないじゃないかと。
しかし普通のヒロインではないので、うまく入り込めない人も当然いそう。
そのため、ほかのサブヒロインのバランスもうまくできている。
しかしなんだろうな。ちゃんと深さがあるキャラクターって少なかった。
十分に頭おかしい内容なんだけど、それを押し出そうとせず無駄に真面目にに中二病ラノベやろうとする姿勢がいい。
でももっともっと、ルナと主人公の親子関係の奇妙さを押し出した場面も見たくなった。
日常シーンのなにげないタイミングにふと『母乳、飲みたくなってきたな』とかモノローグが差し込まれるシュールさといったら。普段のクール主人公っぷりがさらなる面白さを生み出す・・・。
ちょっとおかしな設定のライトノベルが読みたいって人におすすめかな。
設定に度肝を抜かれますが、思いのほか真面目なのです。だからバカなのか!
ノニアレ
人ノ子ニ幸アレ。
生まれ変わり、絶望から救われ、幸せを望む人の子。
続刊があるなら、読んでみたいかも。もっとだ!もっとルナの母乳を!
[漫画]同居8年目のあったか優しい日常。『喰う寝るふたり 住むふたり』1巻
喰う寝るふたり 住むふたり 1(ゼノンコミックス) (2012/11/20) 日暮 キノコ 商品詳細を見る |
・・・てゆかまだされてないし・・・プロポーズ
「喰う寝るふたり 住むふたり」1巻の感想です。
ゼノンで連載されている日暮キノコさんの単行本。雑誌がノーチェックなので表紙とあらすじ文で惹かれて購入。
穏やかじっくり心が温まる漫画でした。もう寒くなりましたし、この漫画でポカポカ温まるのもいいのではないでしょうか、とか適当言ってみる。
学生時代から付き合って10年、同棲8年。でも結婚はまだ。
そんな三十路直前カップルを描いた作品。
まったり同棲してる男女の生活をのぞくような内容です。
特徴的なのは1つのイベントを男女両方の視点から描く、ザッピングストーリーであること。前半が男視点、後半が女視点みたいな風に。
前半では見えてこなかった裏側や、あのシーンでこのキャラはどんなことを考えていたのか!など、答え合わせをするような面白さがある。
シンプルというか素朴な同居カップルの日常にも十分に癒されます。
→コミックゼノンのHPで試し読みができるので、ぜひ。
「いっちょお互い実家帰ってみるか」「合コンに誘われたんだけどどうしよう?」とか他愛もないようなお話から
さらっとプロポーズしたのにさらっとしすぎて伝わってなかった、など、結構マジメなお話まで。
大事件は起きません。だからまったり、日々の生活の中の2人の姿が見られる。
で、結構すれ違ったりしてムッとするときがあるんですよ、お互いが。
意思疎通はできてない。まぁそりゃそうだ、他人だもの。100%思ってることが伝わるわけがないんだ。10年連れ添っていたって、それは当然。
その10年の積み重ねを偉大に感じるのは、分かり合えてるかどうかってことより、ちょっとムッとしちゃってからどうやって仲直りするかってところです。
もちろん相手がどういう人間かは分かっているだろうけど、ムリに一方が歩み寄るってこともしていない。2人はすごく自然なカタチの関係なのだ。
それは例えば珍しく作ってみた朝ごはんのおにぎりだったりする。いやそういうスペシャルな事なんてなくても、メールだったり、挨拶だったり。
第1話「恋人以上、夫婦未満」はそういう何気ない日常の暖かさがすごく染みた。
男女別視点のおもしろさもすごく生きていて、一発で心掴まれる出来。
でもちょっとしたすれ違いの原因作ってるのは、結構彼氏さん側な気がするなぁ・・・w
彼氏の余裕を見せようとなぜかノリノリで彼女を合コンに送り出したり、プロポーズ伝わってなかった・・・ってしょんぼりして態度ヘンにしちゃったり。やーね男子って!バカだから!
ああ、でも彼女さんも結構ハナシ聞いてないときあるし、お互い様で。
第2話で印象的だったのが彼氏さん・のんちゃんのモノローグ。
「彼女がいないと俺は本当にすることがないのです」「この8年で俺はリツコなしじゃ俺でいることできなくなっちゃったのか…」と、1人のときに寂しさが吹き出す瞬間。と同時に自分への情けなさも少々感じている様子。
で、帰ってきた彼女の寝顔を見てホッとしてコレ。
「とことんリツコの相方になりつつあるってことなんだな」
「リツコなしじゃ俺でいることできなくなった」ことの捉え方が逆転している!
1人の生きることに戻れない。それをネガティブにうけとるかポジティブに受け取るか。
彼女といっしょにいることが普通になった。2人セットが当たり前になった。
ひたすら1人で生きていくようなたくましさは無いけど、それは別になくってもいい強さでもある。相手がいるならそれでいい。自分の変化をいいものに捉えられたなら、それは成長とも言えるんじゃないかな。
日常のささやかなイベントを通じて、いかに自分は相手のことを大切に思っているのか、どれだけ大好きなのか、ってのを再確認していく流れがほんっとにニヤニヤする。
テンションあがるニヤニヤではなく、ゆったり穏やかに「いいねぇ・・・」と和むタイプ。
一緒に暮らしているから、寂しい「ばいばい」もいらない。
今や当たり前になったそのありがたさとぬくもりを見つめ直す。
交際10年、同居8年。お互い三十路直前。
初々しさはいまさら無い。めちゃくちゃに燃え上がるような恋でもない。
でも体に染み付いてしまうくらいに年季はいった「好き」は、高い破壊力を持ってます。
疲れないように熱すぎず、でも心も体も温まる。お風呂みたいな恋愛。(その例えでいいのか
同棲8年・・・いや、さっさと結婚しろよ!!
ってのは主人公の周囲はみんな思うことの様子。そりゃそうだ。二人の両親も結婚マダー?(チンチン)状態。
しかし彼女のリツコさんの親父さんがいいキャラで。親父さんとリツコのエピソードは思わず目頭が熱くなる・・・!そして思わず笑ってしまうw
不器用だけど、娘を心配に思う親心がにじみ出ていて、グッとくる!
「それなら安心した」のさわやかな、しかし味わい深い表情もいい。
三十路近く、そろそろ結婚してもいいんじゃない?な時期の男女の微妙な心理も描かれていて、こちらの心を刺激します。
しかし・・・高校生だったころのリツコを見ると、大人になって丸くなったねぇと微笑ましくなること必死w
社会に出るとこうなるか。それとも彼氏ののんちゃんのおかげなのかな!
そんな感じの「喰う寝るふたり 住むふたり」1巻でした。
とても居心地がいい、リラックスして読める漫画。
熱くなりすぎないけど、年季が入って頑丈な安心感を備えた愛情がにじみます。
たまにすれ違うけれど、今さら「あいつキライ!」なんてカッカしちゃうような中学生男女マインドはもう卒業してる。仲直りの仕方も自然でしかしやさしさに溢れていてほんわかー。
でもこの2人は色々と上手に付き合えているよなぁ。10年愛を貫く難しさについて描くエピソードもあるけど、のんちゃんとリツコは不思議なバランスのよさがある。
そういえば下世話な話だけど、1巻のうちでは彼らの性事情は描かれなかったですね。まぁシモの話題やると一気に生々しさが増すし、加減がむずかしいかな。
シモの話題がないぶん、さわやかで読みやすいことは確か。
今後ちらっとだけでも描かれれば、俺がこっそり喜ぶだけです。うむ!
同居カップルものですが、結婚を意識させる小話も結構あります。
今後のお話の流れとしては、やはり結婚に向かうのかなぁ。
いや、しばらくはカップルのままだら~っと暮らしていく彼らがみたいな!
最終話に結婚式当日の男女別視点やってくれれば完璧、感涙。
作者もオマケ漫画で自虐ってましたが、たしかにこのザッピング形式、どこまで続けられるかが難しそうなシステムではある・・・!ネタは続くのか・・・!
でもここがこの作品の特徴だし、なによりとても面白いポイント。頑張って欲しいなぁ。2巻以降も楽しみです。これはいい同棲漫画ですわー。
『喰う寝るふたり 住むむたり』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
自然体で安定感のある同棲カップルの日常。じんわり暖まれる内容。
[漫画]失われていく、妖怪と語らう世界。『向ヒ兎堂日記』1巻
向ヒ兎堂日記 1 (バンチコミックス) (2012/11/09) 鷹野 久 商品詳細を見る |
昔はね 皆信じていたんだ 妖怪が本当にいるって
「向ヒ兎堂日記」1巻です。
鷹野久さんの絵が前から好きなので(いつだったかの月刊ヤンキンとかで読んだ)、この作家さんの単行本は待っていました。で、コミック@バンチ連載作がこのたび単行本化。
絵買いではありましたが、しみじみとした余韻が味わえて内容もよかった。
明治時代。それは文明開化にやっきになり、これまで人と共存していた妖怪たちを「非現実的なものだ」と信じず、切り離そうとする人間たちが増えた時代でもあります。
そんな中、妖怪関係の本をあつめるものずきな貸本屋があり、その店主が主人公。
その貸本屋の名前は「向ヒ兎堂」。今日も妖怪といっしょに、ちょっと不思議な日常へ。
その回のメインとなるゲスト妖怪が悩みをかかえて向ヒ兎堂にやってきて
主人公の青年・伊織とその同居人(人というか妖怪だけど)たちが、それを解決する、という一話完結スタイル。読みやすいですし、いろんな妖怪が出てきて楽しいです。
猫又、化狸、座敷わらしといったメジャーどころから、聞いたことがないものも。
看板猫の銀くん(猫又)のモフモフした感じが実に癒し。
個人的に好きなのは第3話で出てきた座敷わらしの女の子。
表情コロコロかわって、本当に子供の女の子みたいな愛らしさですよ。
主であるおじいちゃんに懐きまくり。すぐに不安になっちゃうし、そのたび泣きそうな顔する。
というか人と妖怪でありながら、本当の家族のような感じの2人です。
主人公もそうだけど、こうやって妖怪とともに生きられる人もいるんだよねえ、ちゃんと。いい妖怪ばかりではないのかもしれないけれど、こういう場面をみせられて、改めて作中で失われつつある人と妖怪の風景を惜しく感じる。
人と妖怪の今後について、ちょいと示唆的だなと感じたのが第二話「浮かぶ金魚」のエピソードでした。
ずばり人と妖怪の未来を示したものではないんですが、「こういう風に続いていくものなんだろうな」という感慨深さがあるのです。
ある日突然、空中に浮いてしまって水に戻れなくなった金魚。
主であるおさない女の子にみられてはビックリしさせてしまう。でも水槽にいないと心配させてしまう。どうしたものか・・・と向ヒ兎堂にやってくる金魚です。
主人公たちも頭をひねり、そして出された結論は、こういうもの。
「見えない水に入っているんだよ」と言い張る。
そんなムチャな!と思いつつもなんとかなってしまうものだw
見えないもの、「不思議」を信じる心。
それは人と妖怪の関係のも重なる姿だと感じるのです。消してはいけないもの。
よく分からないけど、見えない何かが世界にはある。そのことを受け止める思考。
そして、それを子供に伝えるということ。それも直接妖怪が伝えているのです。
こういう部分からも、妖怪側から「私たちの忘れないでね」と言っているかのような裏を感じる。これからも人といたいという思いが、きっと透けている。
人から疎まれるくらい、存在が認められないくらい苦しい現実がいま妖怪の前にあるけど
こういういじらしくも可愛らしいメッセージを放ってくるもんだから、もどかしい。
目新しさはない漫画ですが、心をもぞもぞさせるちょっとしたアクセントが憎い!
今後のストーリーに関わってきそうな陰陽師やら、警察やら・・・
カギとなるキャラクターもすこしずつ顔見せされており、動き出しています。
2巻から主人公の秘密も絡んで、ストーリー色が強まっていきそうかも。
で、まぁ鷹野久さんの絵は素敵だなぁと。
しゅっとスマートなんだけど温かみがあって。カッコよくて可愛いね。
漫画だし、絵に惹かれて買うことはなにも悪いことではない。そこからプラスアルファの魅力を見つければいいし、そうして内容の良さも光るのがこの作品なのですよ。
消えていく、忘れられていく時代・妖怪たちを憂うノスタルジー。
華やかな明治ロマンの裏側に、ひっそり花咲くかわいらしい妖怪たちの世界があります。
『向ヒ兎堂日記』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
地味だけどいい世界観が広がっています。妖怪たちみんなかわいいなー。
[漫画]戦う勇気は分け合える。『鉄楽レトラ』3巻
鉄楽レトラ 3 (ゲッサン少年サンデーコミックス) (2012/11/12) 佐原 ミズ 商品詳細を見る |
殴られたって、構わないんだ。
「鉄楽レトラ」第3巻の感想。
一ノ瀬鉄宇という男の子を中心に、感動的なエピソードが次から次へと投入される大好きな青春漫画。今回もいいお話が揃っています。
3巻の大きなテーマは「友情」なのかなとぼんやり思いました。
それは核となるエピソードの内容が、主人公ら男の子3人組の絆を再確認するものだったから。ケンカみたいなことも起きてしまって、3人の心の繋がりが試されます。
踊りの練習も進んできていて、ストーリーの展開も気になるところですが、まだ3巻では、じっくりとその準備を整えていく。
痛みを超えて、もう1度立ち上がれ。『鉄楽レトラ』1巻
今はまだ遠い君の所に。『鉄楽レトラ』2巻
1巻2巻と主人公、鉄宇のことはたくさん触れられていました。
3巻は彼とともに踊りを習う、友達2人にスポットライトがあてられます。
スペイン舞踊に必要なのはダンスだけじゃない。演奏と、そして歌がなくては。
かつて声楽をやっていたという菊池くんに歌唱を頼むも・・・なんだか拒絶されてしまった。というところから始まります。
菊池くんはその美声で評判となり、聖歌隊でも活躍していた少年。
しかし声変わりでその美声が出せなくなり、周囲からは落胆され―――
そのことが原因で歌うことを拒むようになってしまっています。
それどころか過度な注目を浴びることですぐに心が乱されてしまったり。
強いトラウマから複数の問題を抱えた少年が菊池くん。
もう1人の少年、市川くんはぽっちゃりとした体型と大人しい性格で、そのことをコンプレックスにも思っている様子。
3巻を読んでいてまず思ったのは、「市川くんいい子だわ~・・・!」ということでしたよ。でもやっぱり弱くて。こういう子は応援したいよな。
女の子を助けても逆に「デブ!」とか罵られてるしな・・・。
菊池くん、市川くん。2人の奥深いところがしっかり見えてきます。
何かを持っていたがそれを失った少年。望んでもなにも持てなかった少年。
己の無力感に悩まされる・・・ってのは思春期にゃあるあるかもしれない。
それはなかなかにヘヴィーで落ち込まされるもの。些細なことであっても少年らの心は傷つくわけで。
そんな彼らのナイーヴな心を揺さぶる悪意が、世界には散らばっていて。
世の中にはいい人もいれば、そうでない人もいる。
納得のいかない事も多いけれど、その中でなんとか戦ってやっていくんだろう。
「たった一言の礼にすがって生きる情けない奴なんだ」
「自分に自信の持てない人間は、どう生きたらいいのか分からなんだよ…」
市川くんのこのセリフが心に刺さる・・・。
でも何もないってことはないんだよ、彼が気づいていないだけで。
この3人の中で、誰が1番の人のためにとっさに動ける行動力があるかって。
結局それは自分が必要とされたいがためのものだけど、やらない善よりやる偽善とも言う。
「デブ!」と彼を罵ってきた女の子も、ちゃんと最後にはお礼をしてくれた。
なんであれ、ちゃんと行動できる市川くんはカッコいいんだよ。
あと菊池くんと鉄宇の場面。
塞ぎ込んだ菊池くんにドアをはさんで語りかける鉄宇は名シーンですなぁ。
「僕らが君の事、飽きると思う?馬鹿にするなよ。」
殴られたって構わないとまでいう鉄宇。それはつまり近くにいるってことだから。
もう声も届かないくらい遠くに行かれてしまう方がよっぽど辛い。
彼も1度はどん底まで落ち込んだ人間だった。彼なりに他者の痛みをはかり、その上で傍にいさせてと言う。胸が熱くなるシーン・・・!
3人の絆はさらにぎゅっとかたく。
この巻は3人それぞれが言葉を交わしていく中で、勇気を授け合っていく、補い合っていく展開が見事でした。そう簡単に勇ましくなんてなれないけど、「友達がいるから」ってのは少年たちには十分な理由のはずだ。そうやってプラスに成り合いながら進むのは気持ちがいいものです。
12話の最後のセリフも、いいですよね。「最後、惜しかったね・・・でもなんか、いつか楽しくなるといいよな・・・」って。いやいや、今のきみたち、結構楽しそうだよ!
それでもまだまだ成長して、もっと楽しみたいって貪欲さを見せるその姿勢がいい。
そんなこんなの「鉄楽レトラ」3巻。
今回はメインの男の子3人組についてがメインでした。そのほかにも描かれていることは当然ありましたが、心震えたのはやっぱりこの3人についてだった。
3人揃えばそれぞれが響き合って、のびのび楽しんでいる雰囲気がとても好き。
今回も結構ヘヴィーな出来事がありますが、そこからの再起が気持ちがいいのです。
心が痛くて暖かくて、ほろり泣けてしまうような盛り上がりが味わえる。
挫折と再生をあざやかに描き出していく作品。
ストレートに心を熱くしてくれる、誠実な青春漫画だと思います。
『鉄楽レトラ』3巻 ・・・・・・・・・★★★★
良質な人間ドラマです。「再び立ち上がる」その瞬間を、力強くまぶしく描く。