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正直どうでもいい(移転しました)

マンガ感想を主に書くブログ。移転につき凍結中。

[漫画]食べられてもいいんだよ。兄妹に愛に震える。『pupa』1巻

刺激の強い画像があるので注意。
pupa(1) (アース・スターコミックス)pupa(1) (アース・スターコミックス)
(2011/11/11)
茂木清香

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   人に喰われる感覚を知っているか

茂木清香先生の「pupa」1巻が発売されました。表紙から凄いインパクト。
コミックアーススター創刊号を買った時、1番に衝撃的だったのがこの作品でした。
きっぱり言えることは、万人受けはできるはずもない作品だということ。
特に食前食後はオススメできない感じ・・・それでもページをめくる手が止まらない!
常に緊張感が持続する、ホラーでスリル満点な作品。それでも人の愛を確かに感じさせてくれる作品でもあります。取り扱い注意。切れ味がすごいです。



●両親と離れ2人で生活している兄妹・現(うつつ)と夢。
2人きりで生きていかなければならない辛い現実にあっても互いに支えあっている2人。しかしある日、赤い蝶を見かけたことがきっかけで、妹の夢に恐ろしい変化が起きてしまいます。
コミックスのオビに「これが究極の兄妹愛!!」とあり、確かに兄妹愛を描いてありますが
表紙のまがまがしい雰囲気からも察せられるように、普通の人情物ではありません。
グロテスクで暴力表現も山盛りのダークファンタジーとなっています。
儚げな美少女の夢ちゃんが突然変貌したのは、人を襲うバケモノでした。

ぷぱ

おいおい。怪物になるって言っても、もうちょっとなんとかならなかったのか。ヒロインがこんなガチグロデザインになるなんて。人も動物もバリバリ食べまくるし。
夢ちゃんがこんな姿になってしまった第1話のラストには「おいおいおいおい!どうするんだよヤバいだろこれ!!」とめちゃくちゃドキドキしてしまいました。
こんなことになってしまったのは未知のウィルスとされる「pupa」の作用。
やがて人間本来の姿と理性を奪い、本物のバケモノにしてしまうものです。
妹だけではなく兄の現もこれに感染し、兄妹は様々な人間に追われることになります。
怪物となり果てた妹を前にしても、彼女を変わらず愛せるのか。また怪物にさせないために自分がしなければないないことは。極限の状況下において、兄妹の絆が描かれるストーリー。

●序盤から非常にシリアスなムードのまま展開していきます。
オープニングではくまの人形を使って非常にハードな兄妹の背景が綴られます。
虐待や、家族がバラバラになっていく様子や、孤独や。くまの人形でそれをするギャップと、淡々とした様子からも恐怖が煽られます。ズタズタにされて横たわる人形は気味が悪い・・・。
最初かっらそんな調子なので、読んでる間ずっと、もう息も止まりそうな緊迫感。

しかしながら学校での日常は、作中数少ない癒しのひととき。
夢ちゃんが友人たちとはしゃいでるシーンだけ見ると、別の作品みたい。
だからこそちゃんと「守るべき大切な日常」として印象に残ったのでした。
そしてそんな日常が、侵食され失われていきそうな恐ろしさ。
周囲にバレないように・・・というシチュエーション自体はベタですが、この作品においてはその重要性が高いため緊張も凄まじい。
「どうなっちゃうんだよこれ!?」と読者を不安にさせる演出も上手いです。



●そんな過酷な中だからこそか、兄妹の愛の強さをしみじみと感じさせます。
どこまでグロテスクでも、言ってしまえばこの作品は兄妹のためだけのお話。
pupaのウィルスに感染した兄妹。妹の夢はタイムリミットを迎えると再び怪物になってしまいますが、その進行を止める薬も存在しています。しかし、そのためにはとある儀式が必要。

pupa4.jpg

妹を守るために、兄は自分の体を妹に食べさせるのでした。
同じく感染している兄もまた特殊な身体を手に入れていたために可能なこの儀式。
しかしなんて恐ろしい。「お兄ちゃんを食べちゃう」って文字通りすぎる・・・。でも恐ろしくもありますが、同時にすごくエロティックでもある。上のコマでいうと夢ちゃんの腰付きなど(キリッ
そして近親相姦とカニバリズム、2つの禁忌を連想することもできます。
シチュエーション的にも絵的にも非常にインパクトのある、刺激的なシーンですね。すごくいけない場面をみているみたいでドキドキします。
しかし、誰かに自分を体を食べられてるときの感覚をモノローグでじっくりと描かれて、正直かなりキツいシーンもありました・・・。

ぷぱ2

こうやってデフォルメされて描かれてる分にはかわいいんですけどねw
いやまぁこれはこれで完全に狂ってますけども。
もぐもぐ食べられてますよお兄ちゃん。それでこの笑顔。なんだこいつら。

思わず目を背けたくなるような方法で互いを守り、癒しあう兄妹。
2人の生き様はドラマティックで、強く応援したくなるものです。
他のどれだけの人間が「バケモノ」と言おうと、自分だけは人間の女の子として、妹として愛してやりたいと願う兄の行動には特に胸打たれました。
しかし兄の現は、何度も何度も苦痛を強いられます。でも妹のためにと歯を食いしばる。
その姿は眩しいくらい尊く、痛ましくて痛ましくて・・・。なんとか幸せになることはできるんでしょうか。バッドエンド以外ありえないようなストーリーなのですが、希望を持っていいのでしょうか。

pupa3.jpg

妹を守るために体を張るお兄ちゃん。それだけでも、熱いというものです。



それではまとめ的なことを。
強烈な設定がとにかく目を引く作品。サディスティックでマゾヒスティック。
ストーリーについてはあまり触れませんでしたが、めまぐるしい展開と次回への強いヒキがあり、心底はやく次の話が読みたいと思わされる作品となっています。
兄妹の愛の深さを強烈に見せつけられ、クラクラしてしまう。
かなりダイレクトなグロテスク表現が連続していることもあり、記事冒頭にも書きましたが万人にすすめることは難しい作品だと思います。
しかしこの作品が持つエネルギーは、とても力強く暖かで美しい。
この毒の強さというかエッジに利き方は、いろんな人になにかを感じさせるのではないでしょうか。良い印象か悪い印象かは、人によるでしょうけども。
2巻は春に発売予定とのことで、楽しみしています。
だいぶ危ない人物らしい兄妹の父親も本格的に登場するような気配。
グロくて暴力的で、救いのない物語。でもなぜかぬくもりがある、ような。
どうしようもないアングラ感もまたこの作品の魅力と言えるかも。内容の過激さからしてトラウマになりかねないんですけども。

『pupa』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
心を切り裂かれるような読み心地。それが楽しい。兄と妹の愛を巡るホラー&ファンタジー。

[小説]過ぎ去った日々を別視点から。『さくら荘のペットな彼女』5.5巻

さくら荘のペットな彼女 5.5 (電撃文庫 か 14-14)さくら荘のペットな彼女 5.5 (電撃文庫 か 14-14)
(2011/09/10)
鴨志田 一

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   泣いて、笑って、騒いで、遊んで・・・・・・。

5,5巻、ちょっと時期を逃してましたけど感想書こうかなと。9月に出ました。
5巻は衝撃的なラストではやく続くを読ませてくれー!というところですが、今回は番外編・短篇集となっています。電撃文庫MAGAZINEで掲載されたのが中心。加筆修正や描きおろしあり。
ではさくっと感想書いていきたいと思います。

●神田空太の普通な1日。
日常茶飯事のようにましろが起こるトラブルに巻き込まれる空太。非常事態が日常です。
ぱんつすら自分で履けないましろですが、なんとぱんつを履かないまま学校に来てしまいました。無注意無警戒なましろなので、いつ誰に大切な部分を見られるともわかりません。
なんとかましろのスカートの中を死守ししょうと頑張る空太でした。
この作品としてはかなり基本的なドタバタ劇という内容でしたが、テンポよく進んでくれて読みやすいですねえ。短篇集のしょっぱなとしてテンションも高くスピード感あり。

●三鷹仁の大人への階段
仁とその恋人との甘くエロティックな様子が垣間見える短編。
これまでほとんど見えて来なかった部分なので、こういう視点の話が読めるのもこの短篇集の面白い点でしょうか。あとがきを読むと、このVer.は直接表現Verなんだとか。
大人になりたいのに、なろうとしているのに、ままならない不甲斐なさ。結局まだ「子供」であることを盾に、守ってもらうことしかできない。「子供」の特権を利用するしか。
けれど、この悔しさをかみしめてこそ、彼は前を向いて歩いて行くことができるんでしょう。
留美さん出来過ぎなくらいいい女ですね。なんてカッコいいんだ。幸せになってくれ。

●青山七海の乙女なクリスマス
恋報われないオーラがマッハな七海さんのお話。切ないけど、恋のために四苦八苦したりがんばったりする女の子のお話は大好物。
「今日はさっきまで最悪な気分だったのに、たったの一言で最高の一日に変わってしまうのだから」というクライマックスの言葉が全てと言うか。恋は女の子を輝かせますね。

●もうひとつのクリスマス
クリスマスの夜。仁と美咲はどんな夜を過ごしたのか。多くの読者が気になっていたところがついに読めたエピソード。5巻を読んだ今では、これすらニヤニヤ読めてしまうのですが!
また仁たちだけでなく、ほかのさくら荘メンバーがどんなクリスマスを過ごしていたのか。場面はクルクルと変わり、いろんなシーンが描き出されていきます。
リタちゃんとメイドちゃんのやりとりが個人的にお気に入り。あと先生コンビw

●住めば都のさくら荘?
空太がはじめてさくら荘に来た日の話。美咲や仁との出会いが描かれます。
初々しさが感じられる空太の様子にはニヤニヤしてしまいますね。
個人的には生まれたてのメイドちゃんと空太のファーストコンタクトに笑ったw メイドちゃんそんなところまで再現してたのかよw
そんな笑いもありつつ、全体的に時の流れを意識させられる、ちょっとノスタルジックなエピソードだったと思います。本編ではまさに今、3年生の卒業が間近に迫ってるタイミングですからね。
なんでもないような日々の1ページにすらこんな甘酸っぱい気持にさせられる。青春とはいいものですな。さくら荘の連中はちゃんとみんなで集合写真とろう。



という具合の短篇集第5,5巻。ここまで読み進めてきた読者にとっては、「見れて嬉しい」シーンの連続じゃないかなと思います。見たかった部分をすくいあげていく、いい一冊。
本編はいよいよクライマックスに突入中ですが、さてさてどうなるやら。
漫画版の1巻も発売されてますし、今度どんな動きがおこるのかも気になるところ。
青春ムード満点でたまらないシリーズです。ましろちゃんかわいいし!

[漫画]こんな怒涛のイチャラブに悶絶しないわけがない『7時間目の音符』1巻

7時間目の音符(ノート) (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)7時間目の音符(ノート) (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
(2011/11/11)
志摩 時緒

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   ちゅーしても良いですか

志摩時緒先生の初単行本「7時間目の音符」1巻が発売されました。
「ああ~もう、この二人のイチャイチャっぷりは・・・!!!」というのはこのコミックスのオビにあった文章ですが、本当にこれに尽きる!こんなイチャラブ見せられたら僕はもう・・・!!
夏コミの時くらいに葵さんちに行ったとき、彼が「これ凄いんですよ」とオススメしてきたので読んだら、案の定その場で悶え転がったという。
それから単行本化を楽しみにしていたのですが、一気読みするとさらにヤバイ!
ラブコメファン必見と言える内容になっているのではないでしょうか・・・。



吹奏楽部の1年生、葉平。入学から数ヶ月で彼には恋人ができました。同じ吹奏楽部の2年生、あずみです。ふたりがイチャイチャする漫画です。説明終わりっ!

ふたりそろって恥ずかしがり屋で不器用。そしてはじめてのお付き合いです。
ほらーもうこれだけでニヤニヤしちゃうのに、期待を裏切らない展開の連続なんですよ!
1巻には第5話までと、プロトタイプの読み切り版第0話が収録されていますが、1話ごとに何度もニヤけ、1冊読み終わるまでにトータルで何度ニヤニヤしたかわかりません。
むしろ読んでる間ずっとニヤニヤしてたんだと思います。なんだよこれ・・・。

音符1

ハッと気づく、恋人が振り絞った勇気と、自分のちょっとしたミス。
申し訳ないことをしてしまったことを反省しつつ、彼のがんばりに照れ、「明日ちゃんとしよう・・・」と意気込む姿!しかし次のキスでもトラブルが・・・。
いやはや、第3、4話の一連の流れは最強でした。「やりなおし!」とかもうね。凶悪とも言えるくらいの破壊力ですよ!ゴロゴロゴロ

この作品、2人ともが恥ずかしがり屋なおかげで、時折もどかしさを感じます。
でもそれは悪い意味ではなく、むしろ絶対に来ると予想できている盛り上がりのための助走として作用します。それに加えその上手いことしたいことをできない不器用さ、それ単体でも最高に幸せなんですよもう!難しいことはどうだっていいんだ!かわいすぎるんだ!
そんな彼らの不器用さが強く現れていたのが第2話のデートのお話。
全然スマートにデートができない、なんとかしなきゃって互い焦り頑張る2人。
心が離れてしまいそうな一瞬を乗り越えてのラストシーンは極上に甘かったです。

また、舞台の学校の風習がまた面白いんですよね。
女の子は彼氏のネクタイを巻くというものです。この表紙でもあずみちゃんしてますね。
「せっかく恋人になったのだから・・・」という思いは当然あっても、素直にそうすることができない彼女にまたニヤけますな・・・。
みんながネクタイしてのろけてるもんだから、「私はあんな風にはならないぞ!」と意地になってる感あり。本当に恥ずかしがりなんですねえ。
でも、いつだって好きな人を身近に感じていたい。
第一話はネクタイをメインに進行するエピソードで、しょっぱなからイチャイャエンジン全開。そしてそのまま最後まで爆走していく恐ろしいテンションです。
あと、男の子が女の子にネクタイを結んであげるというほんのり逆転シチュにも萌え。



2人きりで過ごす甘い甘いひとときは当然素晴らしいのですが、
第三者に対してのろけてみせるシーンもまたたまらないというもの。

音符2

これ、自慢してやろうっていう意図は一切なしの、ナチュラルのろけなんですよね。
ただぼんやり会話している中にも、あの男の子が好きなんだってにじみ出てる。
そしてうっかり口に出してから、自分で自分に恥ずかしくなっちゃう。
もうどんだけ好きなんだよー!勘弁してくれ!
女の子同士で彼氏についておしゃべりするシーンとかなぜか自分大好きなので、そういう意味でも上のシーンは大好き。裏話が聞けてるような感じが。

そしてこの作品、あずみの友人の頼子や葉平の先輩の米くんなど、サブキャラも魅力的。
頼子のこざっぱりした性格も気持ちいいですし、米くん先輩は誰とでもくっついては離れてを繰り返してて軽薄そうなイメージが最初はありましたが、彼の真意が見えてくるとその印象も薄れました。米くんがこの先どうなっていくのかも気になるポイント。
そして5話の最後に、新一年生の女の子があらたに登場。
おでこがかわいらしい彼女、果たしてどんな動きをみせてくれるのか!

書きたいことがとっ散らかってしまいましたが、そろそろまとめを。
恋人と触れ合うあまい時間をたっぷり描かれていて、幸福感たっぷりな本作。
主人公もヒロインも赤面しまくりの赤面三昧です。悶絶しすぎて心臓がいたい。
また、恋愛だけじゃなく部活シーンも描かれていて、それもまた2人の心を盛り上げるイベントになっているんですね。イチャイチャにしたって、やってることはかなり王道だと思いますが、欲しい展開を次々投げかけてくれる。願ったとおりに心に突き刺さる。快感です。

音符3

はあああ!もうこれだけでいいですううういいんですぼかぁああああああ。
だいぶ冷静じゃない感じで感想かいてしまいました。ラブコメって素晴らしいですね。
これまで隔月連載だったのが毎月連載になったようで、今から2巻が待ち遠しい。

『7時間目の音符(ノート) 』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
押し寄せる怒涛のイチャラブ。悶絶しまくりでした。単行本カバーをめくると面白いオマケも。

[漫画]死が繋ぐドラマが激熱。ついに上がった反撃の狼煙!『狼の口 ヴォルフスムント』3巻

狼の口 ヴォルフスムント 3巻 (ビームコミックス)狼の口 ヴォルフスムント 3巻 (ビームコミックス)
(2011/11/15)
久慈光久

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   ”狼の口"攻略作戦を  これより開始する

2巻の発売から1年と少し。ようやく3巻が発売されました。
Fellows!にて連載中の「狼の口 ヴォルフスムント」は中世ヨーロッパを舞台にした作品。目を背けたくなるような残酷でショッキングなシーンが多いのも特徴だと思います。
しかしエンターティメント性に富んでいてとても読みやすい。歴史漫画だからといって身構え必要もありません。緊迫感みなぎるストーリーが素晴らしいのです。
そしてこの3巻では、ついに、ついにという展開がやってきてさらにアツイ!



この作品、1巻から酷い展開が続いていました。
出てくるキャラクターは、次々とヴォルフスムントという関所で命を落としていくのです。それは読者の希望すらも摘みとるように、徹底して残虐に、みんな殺されていく・・・。
2巻のラストなんて読んだ全員が驚いたんじゃないかってくらいの展開でしたね・・・。
住民に圧政を強いるハプスブルク家と、それに立ち向かう人々の戦いを描いたこのドラマは、森林三邦の人々の無念をひたすらに積み重ねてきたものでもあります。勝ち負けってレベルじゃない。立ち向かうための牙すら守ることが難しい過酷な状況。
ところが、今回は、本当にゾクゾクを熱くさせられる展開が待っていました。
いくつもいくつも失った同志達の命・・・。数多の犠牲を乗り越え、ついに上がる反撃の狼煙!
1巻2巻と気持ちいい展開が抑圧されていた分、読んでいて自分もとても興奮しました。

第3話でヴォルフスムントの関所を突破した少年・ヴァルター。ヴィルヘルム・テルの息子です。ヴォルフスムントが犯した唯一と言っていいほどのこの失敗が、現在へと繋がります。
領内と令外、関所を挟むようにして反乱分子が存在している今、求められるのは互いに連携を取ること。訓練を積んだヴァルターは再び領内へ戻り、作戦を知らせる任をおいます。
しかしこの作戦にはオトリが必要になります。そのオトリに自ら名乗りでたのは・・・。
読んでて息苦しくなるような緊張感。それでも勝利を目指し突き進む人々の情熱と決意のかたさに胸打たれます・・・プレッシャーのあるドラマになっていますねえ。



今回、特にキャラクターの死がヘヴィーに感じました。
というのも、3巻では人との繋がりがしっかりと出来上がった人物が犠牲になっていることが多かったのではと思うからです。これまではヴォルフスムントと何らかの関わりを持った、あるいは野望を持った個々が死亡することが多かった。しかし集団の1ピースが犠牲になった時、その死は絶対に誰かに強い影響を及ぼします。
3巻はヴァルターが主人公として頭角を表してきたこともあり、彼にまつわる人物が登場しました。アルベルトとバルバラの兄妹は3巻の序盤に登場し、散っていきました。

狼の口2

「後を頼む」。最後に信頼してくれた喜びと、それに答えなきゃならないプレッシャーがある。
犠牲なしてでは自分は何もなせないのか・・・と落ち込むヴァルター。しかし彼らの願いを背負って、自分の役目をちゃんと果たすことしかできません。ただ、勝利を目指すためだけに。
死んだ者たちの無念を背負い、ともに目指した希望へすすむのみ。
人の死をいくつも受け止められるほど1人の人間はきっと強くないはずなのに、強靭な精神でそれをむりやりに受け止めて生きる人々。
降り積もるように死が描かれるこの作品だからこそ、「死」で託されつながっていく決意が強く美しい。3巻は特に、死に様がカッコいいキャラクターばかりです。

というかバルバラちゃんが可愛くてですね・・・絶対に生き残ってくれー!と願っていましたが、案の定というかなんというか・・・。だからこの漫画を読むには勇気がいるだってば!
ヴァルターとバルバラのほんのりラブなムードは癒されましたし、同時に強烈に切なくさせられました。叶えられて欲しかった恋は、戦いの中に消えて行くのです。
11話から登場したヒルダさんのその従者2人の男もたまりません。

狼の口1

悲劇というのは当然切ないものなのですが、ドラマティックで心揺さぶられもする。
戦乱のなか消えていく愛、淡い恋…やがてそれは復讐の炎となって燃え上がる。
「待ってて。私もそのうちいくからさ。またみんなで楽しくやろうね」と別れの言葉を手向けるヒルダさん、むちゃくちゃカッコいいですね。感傷に浸るより、自分の仕事を果たすのだ。きっとその先には等しく死が待っているだろうけれど、それを恐れてはいない。
ところで第11話の扉絵は・・・・・・2本挿しだとぉ・・・?



狼の口3

何度も繰り返していますが、3巻の見所はスイス側の反逆です。
非道の代官・ヴォルフラムもこれは重く見ます。いつもどおり冷ややかな表情を変えませんが、ふしぶしで焦りを感じていることが伺えます。不敵な彼がいつもとは少し違う思考を巡らせる様子は、今回の襲撃が大きい意味を持つことの証明でもあります。
そして1巻からずっとこの重たい重たい物語を追ってきた身としては、まさに念願の展開。
人々が涙を溢れさせ、興奮して腕を突き上げて喜ぶ様子には胸があつくなるな!
しかし策士ヴォルフラムのことなので、このまますんなりヴォルフスムントを陥落させるようなマネはしないでしょう。彼がどんなアクションを見せるのか!続きが気になる・・・!

この作品はストレートに残酷な描写を描きますが、なんだか「こんなことされちゃってるよ?黙ったままでいいの?」と作者から煽りを受けてるような感じですね。まぁそんな軽薄なノリではありませんが、読者としてもすっかり物語にのめり込んで、戦う人々を応援したくなるのです。
古今東西、人間は復讐劇が大好きなんでしょう。それは心をひどく傷つけられますが、同時に強烈なカタルシスで心を高ぶらせてくれる。バチあたりですけども、でも気持ちいいのだから仕方ない。一度読んだら終わりが見えるまで読まざるを得ない!
問答無用に熱中させてくれる魅力がこの作品にはあるのです。
ついに揺らいだヴォルフラムの牙城。烈火のごとくゆけ!今こそ解放と復讐の時!!
今回の表紙は名もない兵士たち。そう、1人1人がこの戦いの主人公。

そういえばFellows15号に載った、本来の「第9話」が収録されていませんでしたね。
たしかに番外編的な内容でしたが、次の巻には収録されるでしょうか。

『狼の口 ヴォルフスムント』3巻 ・・・・・・・・・★★★★
1巻2巻とおあずけだった展開が、ついに!テンションあがりまくる中世浪漫第3巻!

[漫画]友達は意外と多かった。『僕は友達が少ない 公式アンソロジーコミック』

僕は友達が少ない 公式アンソロジーコミック  (MFコミックス アライブシリーズ)僕は友達が少ない 公式アンソロジーコミック  (MFコミックス アライブシリーズ)
(2011/10/22)
溝口ケージ、okiura 他

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   かしわざきせなっ しょうがくいしねんちぇいっ!

アニメも放送されています「はがない」ですが、色々メディア展開してます。
これははがないのアンソロジーコミック。多数の作家さんが参加しています。友達(参加作家)がいっぱいです!はがないのくせに友達が多いなんて生意気だぞ!
それなのに原作者コメントが切なくてどうしようかと・・・。
「まるで友達が少なくないかのようです」って・・・いや、皆はがない好きのお友達ですよ。
友達が増えたよ!やったね読(よみ)ちゃん!

参加している作家さんはアライブの公式でも見れますが、こっちにもかいておきましょう。

【ピンナップ】karory、okiura、緋賀ゆかり、よう太
【執筆陣】いたち、田口囁一×春川三咲、文倉十、山田孝太郎×三浦勇雄、しらび×風華チルヲ、春野友矢、nini、蛍たかな+ピロ式、あっと、pun2、菅野マナミ、戸流ケイ、タカムラマサヤ、うおぬまゆう、柴嶺タカシ、緑青黒羽、白波すい、タケイオーキ、meet neet.(敬称略)

アライブで活躍している作家さんを中心に、かなり大勢います。
表紙は同人でもはがない本描いている溝口ケージさん。公式にまで来ちゃったよ。
それじゃ特に気になった作品でいくつか感想書いていきたいと思います。



●あたしとドレイとブルーデイ/いたち
本家漫画版の作画担当いたち先生。あの漫画版が大好きなので、このアンソロ買った1番の理由はいたち先生かも知れません。結果的にいろんな作家さんに楽しませてもらいましたけどね。
ページ数としては少ないかもですが、星奈の残念なカリスマ性を再確認・・・。
すぐ涙目になっちゃう肉かわいいな、うん。
あといたち先生、巻末コメント欄でも相変わらずのキャラでした。ゆるぎねえ!

●とある飛空士の追憶/春野友矢
レーベルちがーう。思いましたが、春野先生の漫画はなにを題材にしても「春野先生の漫画」にしかならないのがすごい。スタイルが出来上がっていて、ハイレベルに安定しています。
今回もギャグを次から次へと放り込んでくる、密度の濃い作品になっています。
「飛天実チュルリ流」とか「牙突ペロ式」には笑いましたwじーさんw

●やらかすね!隣人部!/しらび×風華チルヲ
小鷹に振りかかる当然のロリコン疑惑!私もなでなでされたいんだぞ、と肉と夜空!

haganai2.jpg

お、おう。どっちにしろ方向性を誤りすぎです。夜空もいろいろ見失ってる・・・。
小鷹にナデナデされておおはしゃぎのマリアもかわいかったです。

●理科室へ帰らせていただきます!/蛍たかな+ピロ式
実は買う前は肉無双になってるんじゃないかなと思ってたんですが、このアンソロ、メインとなるキャラはかなり散らばっています。この作品は理科が主役。
変態キャラを利用して本当の気持ちを隠してしまう彼女。胸のうちに(かすかに?)残る女の子らしいセンチメンタルな部分が色濃くでてるお話でした。

haganai4.jpg

たまにはこういう理科もかわいいですね!まるで理科がヒロインみたいだぞ!(ひどい

●暗黒ぽてちの悲劇/タカムラマサヤ
うおおおーーー小鳩ちゃーーーん!!
全キャラ、デフォルメが効いた形で登場するお話。
特にメインとなる小鳩ちゃんのかわいさはいかんともしがたい。震えるね。

hagani3.jpg

小鳩の小生意気な感じもたっぷり現れてて満足。
しかし肉がとばっちり食らいまくりでかなりひどいメに合ってますね・・・。

●三国志はぼっちの嗜み/柴嶺タカシ
「げえー夜空!?」(ジャーンジャーン)ってやりたかっただけじゃないのかとw
内容としてはマリア推しな感じでしょうか。ゲームに興じる部活メンバーです。

●小鳩16歳/菅野マナミ
小鳩ちゃんエピソード。タイトル通り、16歳になった小鳩ちゃんが描かれます。
すっかり大人っぽくなって、お兄ちゃんっこなのは変わりないけど、なんだか寂しい小鷹。
こんな小鳩も新鮮ですが、まだまだ世話のやける今の彼女の魅力を再確認。
お兄ちゃんになでられて笑顔でとろけてる小鳩ちゃんまじかわいい!

●美容院へ行こう/山田孝太郎×三浦勇雄
巻末コメントに「好きなので、ブリキさんに似せて描いてみた」とあったように、原作イラスト雰囲気に近いタッチになっています。結構ビックリするくらい。
山田孝太郎先生、もともととても絵が上手い方なんですが、やはり器用なんですねえ。

haganai1.jpg

断髪エピソードです。馴れ馴れしい美容師さんとの会話に四苦八苦しながら挑む夜空。
裏側を覗き見れた感じでとても面白かったです。そして夜空は凛々しい表情が似合う。



そんな感じのアンソロジー。
上でも書きましたが、メインとなるヒロインが固まることなく、かなりバランスよく散らばっていたのは好印象。小鳩、雪村、理科、マリアにもしっかりメインが与えられていました。
幸村がちゃんとイケメンファッションに身を包む戸流ケイ先生の短編にはニヤリ。
巻末コメントでジャンプSQ19でやってる「+」のコンビが責任のなすりつけあいをやっていたのにも笑いましたw まぁ内容がまるっきりあの魔法少女もののパロでしたしね。夜空が星奈を頭からパックリいっちゃいますし・・・。あとさやかのキャスティングに泣いた。流石、残念だった。
・・・などなど、話が尽きないくらいには楽しませてもらいました。
いろんな作家さんが参加していますが、いろんな面で結構バランスのとれた一冊。
友達が少ない連中をみんなで描いた豪華アンソロジーコミックです。

『僕は友達が少ない 公式アンソロジーコミック』 ・・・・・・・・・★★★☆
豪華作家陣で送るはがない公式アンソロジー。カラーページもなかなか豪華。肉の肉!



ラノベ作家が多数参加する小説アンソロジー「ゆにばーす」の方も好きな作家さんが結構参加されるのでチェックしたいなと思います。表紙はカントクさんですかー!

僕は友達が少ない ゆにばーす僕は友達が少ない ゆにばーす
(2011/11/25)
平坂読、裕時悠示 他

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ブログを引っ越しました。 当ブログは更新を停止し、新ブログにて更新をしています。 https://sazanami233.hatenablog.com/

楽園に花束を

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Author:漣
「さざなみ」と読みます。
漫画と邦ロックとゲーム。
好きなのは思春期とかラブコメとか終末。

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