[漫画]食べられてもいいんだよ。兄妹に愛に震える。『pupa』1巻
刺激の強い画像があるので注意。
人に喰われる感覚を知っているか
茂木清香先生の「pupa」1巻が発売されました。表紙から凄いインパクト。
コミックアーススター創刊号を買った時、1番に衝撃的だったのがこの作品でした。
きっぱり言えることは、万人受けはできるはずもない作品だということ。
特に食前食後はオススメできない感じ・・・それでもページをめくる手が止まらない!
常に緊張感が持続する、ホラーでスリル満点な作品。それでも人の愛を確かに感じさせてくれる作品でもあります。取り扱い注意。切れ味がすごいです。
●両親と離れ2人で生活している兄妹・現(うつつ)と夢。
2人きりで生きていかなければならない辛い現実にあっても互いに支えあっている2人。しかしある日、赤い蝶を見かけたことがきっかけで、妹の夢に恐ろしい変化が起きてしまいます。
コミックスのオビに「これが究極の兄妹愛!!」とあり、確かに兄妹愛を描いてありますが
表紙のまがまがしい雰囲気からも察せられるように、普通の人情物ではありません。
グロテスクで暴力表現も山盛りのダークファンタジーとなっています。
儚げな美少女の夢ちゃんが突然変貌したのは、人を襲うバケモノでした。
おいおい。怪物になるって言っても、もうちょっとなんとかならなかったのか。ヒロインがこんなガチグロデザインになるなんて。人も動物もバリバリ食べまくるし。
夢ちゃんがこんな姿になってしまった第1話のラストには「おいおいおいおい!どうするんだよヤバいだろこれ!!」とめちゃくちゃドキドキしてしまいました。
こんなことになってしまったのは未知のウィルスとされる「pupa」の作用。
やがて人間本来の姿と理性を奪い、本物のバケモノにしてしまうものです。
妹だけではなく兄の現もこれに感染し、兄妹は様々な人間に追われることになります。
怪物となり果てた妹を前にしても、彼女を変わらず愛せるのか。また怪物にさせないために自分がしなければないないことは。極限の状況下において、兄妹の絆が描かれるストーリー。
●序盤から非常にシリアスなムードのまま展開していきます。
オープニングではくまの人形を使って非常にハードな兄妹の背景が綴られます。
虐待や、家族がバラバラになっていく様子や、孤独や。くまの人形でそれをするギャップと、淡々とした様子からも恐怖が煽られます。ズタズタにされて横たわる人形は気味が悪い・・・。
最初かっらそんな調子なので、読んでる間ずっと、もう息も止まりそうな緊迫感。
しかしながら学校での日常は、作中数少ない癒しのひととき。
夢ちゃんが友人たちとはしゃいでるシーンだけ見ると、別の作品みたい。
だからこそちゃんと「守るべき大切な日常」として印象に残ったのでした。
そしてそんな日常が、侵食され失われていきそうな恐ろしさ。
周囲にバレないように・・・というシチュエーション自体はベタですが、この作品においてはその重要性が高いため緊張も凄まじい。
「どうなっちゃうんだよこれ!?」と読者を不安にさせる演出も上手いです。
●そんな過酷な中だからこそか、兄妹の愛の強さをしみじみと感じさせます。
どこまでグロテスクでも、言ってしまえばこの作品は兄妹のためだけのお話。
pupaのウィルスに感染した兄妹。妹の夢はタイムリミットを迎えると再び怪物になってしまいますが、その進行を止める薬も存在しています。しかし、そのためにはとある儀式が必要。
妹を守るために、兄は自分の体を妹に食べさせるのでした。
同じく感染している兄もまた特殊な身体を手に入れていたために可能なこの儀式。
しかしなんて恐ろしい。「お兄ちゃんを食べちゃう」って文字通りすぎる・・・。でも恐ろしくもありますが、同時にすごくエロティックでもある。上のコマでいうと夢ちゃんの腰付きなど(キリッ
そして近親相姦とカニバリズム、2つの禁忌を連想することもできます。
シチュエーション的にも絵的にも非常にインパクトのある、刺激的なシーンですね。すごくいけない場面をみているみたいでドキドキします。
しかし、誰かに自分を体を食べられてるときの感覚をモノローグでじっくりと描かれて、正直かなりキツいシーンもありました・・・。
こうやってデフォルメされて描かれてる分にはかわいいんですけどねw
いやまぁこれはこれで完全に狂ってますけども。
もぐもぐ食べられてますよお兄ちゃん。それでこの笑顔。なんだこいつら。
思わず目を背けたくなるような方法で互いを守り、癒しあう兄妹。
2人の生き様はドラマティックで、強く応援したくなるものです。
他のどれだけの人間が「バケモノ」と言おうと、自分だけは人間の女の子として、妹として愛してやりたいと願う兄の行動には特に胸打たれました。
しかし兄の現は、何度も何度も苦痛を強いられます。でも妹のためにと歯を食いしばる。
その姿は眩しいくらい尊く、痛ましくて痛ましくて・・・。なんとか幸せになることはできるんでしょうか。バッドエンド以外ありえないようなストーリーなのですが、希望を持っていいのでしょうか。
妹を守るために体を張るお兄ちゃん。それだけでも、熱いというものです。
それではまとめ的なことを。
強烈な設定がとにかく目を引く作品。サディスティックでマゾヒスティック。
ストーリーについてはあまり触れませんでしたが、めまぐるしい展開と次回への強いヒキがあり、心底はやく次の話が読みたいと思わされる作品となっています。
兄妹の愛の深さを強烈に見せつけられ、クラクラしてしまう。
かなりダイレクトなグロテスク表現が連続していることもあり、記事冒頭にも書きましたが万人にすすめることは難しい作品だと思います。
しかしこの作品が持つエネルギーは、とても力強く暖かで美しい。
この毒の強さというかエッジに利き方は、いろんな人になにかを感じさせるのではないでしょうか。良い印象か悪い印象かは、人によるでしょうけども。
2巻は春に発売予定とのことで、楽しみしています。
だいぶ危ない人物らしい兄妹の父親も本格的に登場するような気配。
グロくて暴力的で、救いのない物語。でもなぜかぬくもりがある、ような。
どうしようもないアングラ感もまたこの作品の魅力と言えるかも。内容の過激さからしてトラウマになりかねないんですけども。
『pupa』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
心を切り裂かれるような読み心地。それが楽しい。兄と妹の愛を巡るホラー&ファンタジー。
pupa(1) (アース・スターコミックス) (2011/11/11) 茂木清香 商品詳細を見る |
人に喰われる感覚を知っているか
茂木清香先生の「pupa」1巻が発売されました。表紙から凄いインパクト。
コミックアーススター創刊号を買った時、1番に衝撃的だったのがこの作品でした。
きっぱり言えることは、万人受けはできるはずもない作品だということ。
特に食前食後はオススメできない感じ・・・それでもページをめくる手が止まらない!
常に緊張感が持続する、ホラーでスリル満点な作品。それでも人の愛を確かに感じさせてくれる作品でもあります。取り扱い注意。切れ味がすごいです。
●両親と離れ2人で生活している兄妹・現(うつつ)と夢。
2人きりで生きていかなければならない辛い現実にあっても互いに支えあっている2人。しかしある日、赤い蝶を見かけたことがきっかけで、妹の夢に恐ろしい変化が起きてしまいます。
コミックスのオビに「これが究極の兄妹愛!!」とあり、確かに兄妹愛を描いてありますが
表紙のまがまがしい雰囲気からも察せられるように、普通の人情物ではありません。
グロテスクで暴力表現も山盛りのダークファンタジーとなっています。
儚げな美少女の夢ちゃんが突然変貌したのは、人を襲うバケモノでした。
おいおい。怪物になるって言っても、もうちょっとなんとかならなかったのか。ヒロインがこんなガチグロデザインになるなんて。人も動物もバリバリ食べまくるし。
夢ちゃんがこんな姿になってしまった第1話のラストには「おいおいおいおい!どうするんだよヤバいだろこれ!!」とめちゃくちゃドキドキしてしまいました。
こんなことになってしまったのは未知のウィルスとされる「pupa」の作用。
やがて人間本来の姿と理性を奪い、本物のバケモノにしてしまうものです。
妹だけではなく兄の現もこれに感染し、兄妹は様々な人間に追われることになります。
怪物となり果てた妹を前にしても、彼女を変わらず愛せるのか。また怪物にさせないために自分がしなければないないことは。極限の状況下において、兄妹の絆が描かれるストーリー。
●序盤から非常にシリアスなムードのまま展開していきます。
オープニングではくまの人形を使って非常にハードな兄妹の背景が綴られます。
虐待や、家族がバラバラになっていく様子や、孤独や。くまの人形でそれをするギャップと、淡々とした様子からも恐怖が煽られます。ズタズタにされて横たわる人形は気味が悪い・・・。
最初かっらそんな調子なので、読んでる間ずっと、もう息も止まりそうな緊迫感。
しかしながら学校での日常は、作中数少ない癒しのひととき。
夢ちゃんが友人たちとはしゃいでるシーンだけ見ると、別の作品みたい。
だからこそちゃんと「守るべき大切な日常」として印象に残ったのでした。
そしてそんな日常が、侵食され失われていきそうな恐ろしさ。
周囲にバレないように・・・というシチュエーション自体はベタですが、この作品においてはその重要性が高いため緊張も凄まじい。
「どうなっちゃうんだよこれ!?」と読者を不安にさせる演出も上手いです。
●そんな過酷な中だからこそか、兄妹の愛の強さをしみじみと感じさせます。
どこまでグロテスクでも、言ってしまえばこの作品は兄妹のためだけのお話。
pupaのウィルスに感染した兄妹。妹の夢はタイムリミットを迎えると再び怪物になってしまいますが、その進行を止める薬も存在しています。しかし、そのためにはとある儀式が必要。
妹を守るために、兄は自分の体を妹に食べさせるのでした。
同じく感染している兄もまた特殊な身体を手に入れていたために可能なこの儀式。
しかしなんて恐ろしい。「お兄ちゃんを食べちゃう」って文字通りすぎる・・・。でも恐ろしくもありますが、同時にすごくエロティックでもある。上のコマでいうと夢ちゃんの腰付きなど(キリッ
そして近親相姦とカニバリズム、2つの禁忌を連想することもできます。
シチュエーション的にも絵的にも非常にインパクトのある、刺激的なシーンですね。すごくいけない場面をみているみたいでドキドキします。
しかし、誰かに自分を体を食べられてるときの感覚をモノローグでじっくりと描かれて、正直かなりキツいシーンもありました・・・。
こうやってデフォルメされて描かれてる分にはかわいいんですけどねw
いやまぁこれはこれで完全に狂ってますけども。
もぐもぐ食べられてますよお兄ちゃん。それでこの笑顔。なんだこいつら。
思わず目を背けたくなるような方法で互いを守り、癒しあう兄妹。
2人の生き様はドラマティックで、強く応援したくなるものです。
他のどれだけの人間が「バケモノ」と言おうと、自分だけは人間の女の子として、妹として愛してやりたいと願う兄の行動には特に胸打たれました。
しかし兄の現は、何度も何度も苦痛を強いられます。でも妹のためにと歯を食いしばる。
その姿は眩しいくらい尊く、痛ましくて痛ましくて・・・。なんとか幸せになることはできるんでしょうか。バッドエンド以外ありえないようなストーリーなのですが、希望を持っていいのでしょうか。
妹を守るために体を張るお兄ちゃん。それだけでも、熱いというものです。
それではまとめ的なことを。
強烈な設定がとにかく目を引く作品。サディスティックでマゾヒスティック。
ストーリーについてはあまり触れませんでしたが、めまぐるしい展開と次回への強いヒキがあり、心底はやく次の話が読みたいと思わされる作品となっています。
兄妹の愛の深さを強烈に見せつけられ、クラクラしてしまう。
かなりダイレクトなグロテスク表現が連続していることもあり、記事冒頭にも書きましたが万人にすすめることは難しい作品だと思います。
しかしこの作品が持つエネルギーは、とても力強く暖かで美しい。
この毒の強さというかエッジに利き方は、いろんな人になにかを感じさせるのではないでしょうか。良い印象か悪い印象かは、人によるでしょうけども。
2巻は春に発売予定とのことで、楽しみしています。
だいぶ危ない人物らしい兄妹の父親も本格的に登場するような気配。
グロくて暴力的で、救いのない物語。でもなぜかぬくもりがある、ような。
どうしようもないアングラ感もまたこの作品の魅力と言えるかも。内容の過激さからしてトラウマになりかねないんですけども。
『pupa』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
心を切り裂かれるような読み心地。それが楽しい。兄と妹の愛を巡るホラー&ファンタジー。
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