[漫画]小悪魔なオトコの娘と恋に落ちた 『さざなみチェリー』
さざなみチェリー (IDコミックス わぁい!コミックス) (2011/10/20) 神吉 商品詳細を見る |
なにも恐れずに 永遠を信じることができるんだから
とんでもないタイトルの漫画が出てしまいました。非常にどうでもいい私的な理由でですが!自分のHNにチェリーがついちゃってなんかいろいろほのめかされてる感・・・の思い込み。
さて、「さざなみチェリー」です。1巻完結作品。
一迅社が出しているオトコの娘オンリーマガジン「わぁい!」(コンセプトからして登場した当時は日本やっぱりどうかしてると思った)からの単行本化です。
手にとった理由はといえばまぁタイトルに興味を持ったからなんですが、思っていた以上にいい出来でした。ヒロインの漣(れん)ちゃんのかわいさに終始ニヤニヤしてしまうも、それだけではない作品に仕上がっていると思います。
恋をしてはいつも玉砕する高校生・一弘(かずひろ)。
今度こそ!と一目惚れした中学生らしい女の子を呼びとめ告白をします。
ところがその女の子は実は・・・・・・
いちおう実は・・・と隠しましたが、「わぁい!」掲載作であることがすでにネタバレでしたね。
しかし突然の告白にOKをもらい、主人公はかわいいコと付き合えるぞと意気揚々。
突然はじまったお付き合いは果たしてどうなっていくのか。
漣ちゃんがかわいいという事実はひとまずおいておいても、主人公も面白いです。
実はオトコだと知らされても告白を撤回せず、彼女(あえて彼ではなく)と付き合い始める。
性別に縛られることない、柔軟な恋愛観を持っているキャラクターなんですね。
単純に飢えていたから「かわいいしまぁいっか」と思った可能性がまったくないというわけではないですが、2人の時間を重ねていくにつれ、彼女へのまっすぐな親愛を深めていきます。
主人公の脳内ではちゃんと漣ちゃんとの夜の妄想もできています。
自分の彼女がオトコである事実をカンペキに受け入れ、恋人として今後の付き合いのビジョンも持てる・・・なかなかやるぞコイツ!本当にノンケか!
そんな主人公ですが、あとがきで神吉先生も「ヒーローにした」と描いていたように、ちゃんとやるときゃやる男の子として描かれています。
この作品で展開される「性」をめぐる悩みにおいては、すべてを受け入れようとする彼の包容力が、ほかの登場人物らの背中をおしていきます。ナチュナルに人の良さがにじみ出てる男の子だなぁ。
さて野郎の話はおいといてヒロインの話をしましょう。と思ったらヒロインも野郎だった。
でもたとえオトコであっても、漣ちゃんのヒロインとしてのきらめきは尋常じゃない!
漣ちゃんはもちろんルックスからして最強にかわいいです。たまんないです正直。
んはーかわいい!かわいいなぁ!!
主人公の心をかき乱すような行動をあえてとっているかのような小悪魔ぶりも見せます。
かわいさを武器に男の子を惑わせるというのは、漣ちゃんにとってはきっと最大級の目標なんだろうなぁ。かわいくありたい。自分のかわいさを認められたい。
しかし確実に心惹かれていっている乙女チックな心理描写もあります。手玉にとりつつ自分も彼から離れられなくなっていってるような感じがまたかわいいじゃないですか!
この作品は漣ちゃんのかわいさをフィーチャーしたものであり、彼女がかわいいのはある意味当然と言えるかもしれませんが、彼女が「かわいい」だけのキャラに落ち着いていないのもよかった。
男の娘らが背負う切なさや業にまで踏み込んだ内容となっており、読ませます。
男でありながら、女の子としてのかわいらしさを求める漣。
それは彼女の姉との過去に根ざしたこだわりであり信条でした。
かわいらしくあることに価値を見出した。自分がかわいければ、よろこぶ人がいる。
逆を言えば、自分がかわいいのであれば、それを正当に評価して欲しい。認められたい。
強引に自分の「女の子」を押し付けようとさえする彼女は、傲慢といえるかも。
しかしそこで改めて知るのが、一弘という男の子の懐の深さです。
女の子として、もしくはそれ以上に人間として自分を愛してくれる。
自分の汚さすらも受け止めてくれるんだから、まさしく主人公はヒーローだなぁ。
マイノリティーな生き方を支えるのは、複雑な同情などではなく、シンプルな愛情。
「女の子って、いいよね」というようなロマンを、あえて少年に宿らせることでより神秘性を増強させていた作品のように思います。
神吉先生のあとがきにありましたが「男の娘は、少年が男になる前に一瞬だけ実現可能なファンタジーであり、そこで生じる不安やときめきの揺らぎの中の輝きを表現したい」は名言であり、この作品はこれを成し遂げることに成功した作品になっていると思います。この作品の真髄がこれ。
永遠じゃない、期限付きのかわいらしさ。
いつかこの身体は男のそれへと変わる。もう女の子ではいられない日がやってくる。
けどそんな自分を愛おしいと、女の子としても1人に人間としても思ってもらえれば。
でも願うなら永遠に贅沢にかわいらしい女の子でありたい。
愛したい、愛されたい。イロモノジャンルとおもいきや、切実なメッセージが込められた作品。
なるほどなぁ、男の娘っておもったよりロマンチックな存在なんだな。
独特の価値観があるけれど詰まるとこ、なにより楽しく生きたい、自分らしくありたいという、なんてことない欲求がすべてなんでしょう。
そんな発見と、漣ちゃんの文句なしのかわいさをゴロゴロ楽しみました。
小難しいことを考えつつも、「漣きゅんかわいいよお!」で楽しめてしまうのもいい。
もっとシリアスに話を深めていってもらっても全然かまいませんでしたし、ほんのちょっと手が届かないもどかしさは感じましたが、まぁあんまりやりすぎてもこのヒロインかわいいよおおキュンキュンっな雰囲気が崩れてしまった恐れもありますし、いいバランスだったのでは。真顔でちょっと気持ち悪いまとめをしてみました。
『さざなみチェリー』 ・・・・・・・・・★★★☆
男の娘ロマンを感じさせる一作。おっこの子かわいいな、と思ったら買いでしょう。
[漫画]すりガラスごしのスケスケラブコメにニヤニヤする 『せなかぐらし』1巻
せなかぐらし (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) (2011/09/12) カザマ アヤミ 商品詳細を見る |
おやすみなさい
初々しさ爆発ラブコメをよく発表してくれているカザマアヤミ先生の新シリーズ。
いやはや、今回もさんざんニヤけてしまいました・・・。
表紙のむちむち感もいいですねえ。やや成熟した肉感があり素晴らしい。
・・・とおもいきやのカバー裏ですが!でもふとももも眩しいですね!というかパットいれてる女の子ってそれだけで十分かわいいですねふふふ。
ということで今日はこの作品の感想をば。
この作品のキモとなるのはすりガラス。
「せなかぐらし」というのはこの作品の特徴的なシチュエーションからのタイトルです。
念願の一人暮らしを始めた主人公。しかしやってきたその部屋のリビングの壁はなぜかすりガラスになっており、隣の部屋の様子がまるわかりになってしまうという不思議構造!
そしてその隣に住んでいたのは、なんだかとってもかわいい女の子。
すりガラスごしの異性にドキドキする、不思議な距離感がクセになるラブコメディ。
ガラスで隣部屋がまるみえってそんな無茶苦茶なー!でもニヤニヤできればまいっか!
普通じゃありえないシチュエーションにとつぜん直面してしまい、主人公・巡とヒロイン・菓奈はあわてふためきます。当然にリアクションですが、この様子がまたかわいいのです。
そしてそこからイベントを重ねて、だんだんと距離を縮めていく。
良き隣人として、友人として、そして・・・・・・?
最初はおたがいに遠慮しあいの反発しあいので気まずい空気がありましたが、しだいにこの奇妙なすりガラス生活に慣れ、楽しむようにすらなっていくのです。
この作品で連続して描かれていることに、人との距離感の変化がありそうです。
仲良くしなきゃとがんばってもぎこちなくなってしまったり、不器用さが災いとなっていっきに心の距離が相手しまったり、ふとしたきっかけでぐっと縮まったり、仲良くなったからこそちがったドキドキが生じてギクシャクしてしまったり。
この作品は特に「すりガラスで互いが見えてしまう部屋」というイレギュラーを通して「距離感の変化」を新鮮な形で見せてくれているなぁと感じます。
どちらかが安易にこの状況を受け入れたりなんてのはなく、最初は衝突したりしますしね。
そりゃあ他人がに自分の世界に踏み込んでくるなんて、そんなもんですよ。
でも物語が進めば、こんな言葉を投げかける仲に。
「おやすみなさい」
日常にあふれるささいな言葉。でもそれが、こんなにキラキラする瞬間。
バイバイは、行き先が隣部屋同士だし近すぎる。けどさよならは、なにかが遠い。
そこで自然な流れで「おやすみなさい」なんて投げかけあえるようになっているのにニヤニヤしてしまうなぁ。主人公も言ってましたが、これはまるで家族の距離感です。
そんな風に仲良くなっていくのは、繰り広げられるラブコメイベントあればこそ。
やっぱりカザマアヤミ先生なのでそこらへんの展開は抜群にうまく、まんまと悶えさせられてしまうのです!もう菓奈ちゃんかわいいなあ!なあ!
近すぎる距離感で予期せず知り合った2人ですが、もっと強烈に接近し相手の体にふれてしまい、思わずドキドキしてしまうのです。
そう、隣にいるのは良き隣人なだけはない、男の子。ちょっと頼り甲斐のある男の子。
ここらから意識のさらなるステップアップですよ!うひょう!
序盤はドタバタコメディ色が強かったのですが、ストーリー後半から恋愛的にもドンドン進展していきます。2巻からは恋愛色がさらに高まっていくようでワクワクしちゃうじゃないですかー。
そんな感じの「せなかぐらし」1巻でした。
むちゃくちゃな設定ではありますが、ラブコメとして上手いなと思わせられますw
部屋と部屋がまるわかりなのは、心まで見えてしまうのかもしれません。
素の部分を出すプライベート空間を、ある意味共有しているからこそ、2人はお互いの深い部分を知ることができ、それをきっかけにして仲を深めていきます。
主人公も無個性ではなく、かなり面白い思考回路をしていて見ていて楽しいです。そんな彼が女の子とのあれやこれやで慌てたりする様子もまたかわいくて。
主人公の妹たちも、ストーリーに大きく関与はしていませんが、大好きな2人です。
そしてヒロインも赤面顔がまたしてもバッチリかわいくてどうしよう。
目立つお色気描写がないのも、いろんな人に薦めやすいかも。ヒロインの肉感だったり表情だったり、表立ってはいなくてもささやかなワンポイントのようなエロスもステキ。
まったく、カザマアヤミ先生の描くラブコメは最高だぜ!ということで。
『せなかぐらし』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
人間関係がいい形にとけていく様子がなんとも微笑ましいラブコメシリーズ。スケスケ。
[漫画]巨大蟲とほんのりラブ?な夏来たる 『常住戦陣!!ムシブギョー』3巻
常住戦陣!!ムシブギョー 3 (少年サンデーコミックス) (2011/09/16) 福田 宏 商品詳細を見る |
―――季節は夏。生命が最も盛りを増す頃―――
少年サンデーで連載中の「常住戦陣!!ムシブギョー」の3巻が発売されました。
まっすぐな少年漫画を貫く本作ですが、その良さは今回も健在。
今回も賑やかな1冊となっているのではないでしょうかー。
2巻から続く、長富丸ことのちの9代目将軍・徳川家重のエピソードで3巻スタート。
人や外の社会とのコミュニケーションを嫌う長富丸。
どんなに知識を持っていても、予測しえないハプニングに出会って恐怖に脚がすくんでしまう彼は、本の知識だけで蟲に立ち向かうことができないことを知ります。
そんな彼には、知識が無くても気合い1つで得体の知れない蟲に飛び込んでいく仁兵衛の姿は、とても眩しく見えたのでしょう。
また、蟲奉行所の先輩にあたる人物・恋川春菊のエピソードも今回収録。
彼もまた仁兵衛のまっすぐさに胸打たれて、同僚としてより絆を深めました。
陣兵衛の見せる生き方って本当に不器用なんですけれど、力技でもなんとかやりたいことを貫いて見せる様子がとても魅力的。マイペースでいて自分の正義を貫く主人公を、ストレス無く魅せてくれる。これは何気に凄いことなんじゃないかなあとも思ったり。
まぁ自分が仁兵衛が好きなだけってだけなんですけどもw
さてこの2巻で1番の目玉と言えばそう、仁兵衛周辺のハーレム化です。
そのがんばりで人望を得つつあつ陣兵衛。
エネルギッシュな彼を囲んでのにぎわいも増えてきまして、それはラブコメ的方向にも飛び火?というか長富丸が超連載版にいないわりに結構馴染んできて、構図が面白いことになってきましたね。
そして安定のお春ちゃんのヒロインっぷりである!
お春ちゃんは基本としては日常をつかさどるヒロインのポジションであるので、こういう所では存在感を出してきますね。バトルでは火鉢ちゃんがヒロインとして働きますしね。
ただこの巻お春ちゃんのえっちぃシーンが少なかったのが残念ですな!フンスフンス(鼻息荒く
しかしバトルでのヒロインであるはずの火鉢ちゃんにも、なにやら・・・。
お、お、お。
幼く芽吹いた・・・かもしれない?彼女の新しいきもち。
まぁこれは仁兵衛への意識がどうというより、年頃の女の子として恋愛チックなイベントにドキドキしてるだけという感じでしょうか。しかし誤解が招いたものであってもニヤニヤできるかどうかが重要なので、どうか成長していってもんですが、どうなるか・・・!
とは言え、彼女に関しては正直なところ本格的に陣兵衛と恋仲になる方向に行かれるよりも、気になる存在ではあるけどなにより仲間としての信頼感で繋がってる、といった風に進んでいってくれた方が嬉しいかなぁ。上手いバランスを保っていてほしいなとこっそり願ってもいたり。
まぁ雑誌掲載分を読んでると、4巻はだいぶイチャついた内容になってるんじゃないかなとw
夏はバトルと恋の季節ですかね?
さて、ほかにもストーリーのシリアス部分でも気になる部分がいくつか。
長富丸エピソード中で登場した日本地図が興味深いです。
西日本を埋めつくすバツ印・・・。西日本は今どうなっているのか。
蟲の勢力との闘いが描かれていくであろう今後の展開で、重要な要素になるのかも。
そして無涯がかつて所属していた「蟲狩」があまりにも怪しい活動をしていて気になるところ。しばらくは彼らが物語に絡んできそうな感じですね。
それにしても無涯になついてるらしい女の子・蜜月がエロい恰好してるのでムラムラします。
そして終盤の目玉、夏最大の蟲・兜虫の登場。
これがもう意味わからないくらいバカデカいスケールで呆然。
デカすぎる・・・。
こいつの足元に広がる街と比べると、どれだけ途方もない大きさか分かるでしょうか。
こんなのにどう対処するのか蟲奉行所。気になる内容は4巻へ続く!
以上、「常住戦陣!!ムシブギョー」3巻でした。
一度しきりなおして始まった本作ですが、どんどんと新連載版でのオリジナルストーリーが色濃くなってきて、過去作の読者も先が読めない展開になってきました。
とくに蟲狩関連は気になるところですね。
そして何やら1人江戸への憧れに胸熱くしている仁兵衛の父。もしや彼も江戸へやってくるのでしょうか・・・?いろんなキャラクターが動き出し、長期連載に向けあったまってきた感じ!
現在福田先生はケガのためにサンデーでの連載がストップしてしまっています。、早くの回復を願うのと同時に、はやく続きを読みたくなる1作です。
『常住戦陣!!ムシブギョー』3巻 ・・・・・・・・・★★★☆
人間関係の構築。じわじわと世界の中で仁兵衛の存在感が増してきたのでは!
[漫画]輝きだした、かけがえのない春。 『四月は君の嘘』1巻
四月は君の嘘(1) (月刊マガジンコミックス) (2011/09/16) 新川 直司 商品詳細を見る |
君は 春の中にいる かけがえのない 春の中にいる
「四月は君の嘘」の1巻が発売されました。さっそく購入。
もともと前作「さよならフットボール」がとても評判がいいようで、そのうち読んでみたいなぁと思っていたら新作が出ましたので先にこちらを、と。そしてこれがなかなかに面白かった!
タイトルからどんなジャンルかが予測しづらいかも知れませんが、本作は音楽漫画です。
今日はこの作品の感想をー。
小学校のころはその才能を開花させ、多くの賞を受賞。神童と呼ばれた天才ピアニスト・有馬公生は、いまはもうステージに上がることはなく、穏やかに高校生活を送っています。
11歳の秋から、彼はピアノがひけなくなってしまったのでした。
そんな彼がひょんなことからであった女の子・宮園かをりはヴァイオリニスト。
そして流れで彼女のコンクール出場の様子を見ることになるのですが、そこでの彼女の姿に公生は衝撃を受けたのでした。
コンクールの本心なんか完全に無視。なによりも楽しそうに、自由に。
やりたいことをやりたいように誇らしげにやり遂げてみせるかをり。
コンクールとして認められないくらいに個性を強く打ちだした演奏をした彼女は、当然コンクールの審査員たちからは良い顔をされませんでしたが、会場の盛り上がりは確かなもので。
そんな常識外れな演奏を見て、彼の中で少しずつ変化が起きていくのでした。
主人公の公生くんは、精神的なストレスから、演奏中に音が聞こえなくなってしまいました。それが原因でピアノ演奏から距離を置くようになってしまっています。
でもアルバイトでピアノに触れる仕事をやっているのを見るに、椿ちゃんが言ったように「しがみついてる」というような感じは受けますね。重圧から逃れたいけれど、自分にはピアノしかない。
とは言っても第3話、子どもたちに公生がピアノを弾いてあげるシーンを見ると、演奏を止めてしまう直前のシーンでその穏やかな表情に、楽しさを感じているように見える気も。自信はなし。でもきっと、彼は本質的にはピアノが好きでいてくれているんじゃないかなと思ってます。当然。
本作のメインヒロインと思われる女の子・宮園かをりちゃんですが、彼女はかなりお気に入りのキャラクターです。物語を動かすキーキャラクターでもあり。
とにかく表情が豊か!演奏と同じく、生命力の強さを感じます。
笑顔で音楽を楽しんで、パンツみられたら顔赤くして、初対面の男にも殴りかかって。
そして音楽には真摯に向き合ってみせる。なにがなんでも音楽を奏でなきゃいけないと。
「悲しくてもボロボロでもどん底にいても 弾かなきゃダメなの」
「そうやって私達は生きていく人種なの」
いいですねえこのセリフ!
単純に自信家なのではなく、音楽家としての意識の強さが、彼女の音楽の源なのか。
そしてこの表情です。キリッと明日を見ているのがカッコいい。
そしてなによりこのシーン。公生にコンクールでの伴奏を頼みこむ彼女ですが・・・
予想外の涙に、ページをめくった瞬間にドキッとしました。
あんなに自らへの肯定の言葉を口にしていたのに、なぜ泣いてしまうのか。
でもそりゃそうか、まだ子供なんだもの。味方は欲しいんだ。その瞬間にはこの世界の誰よりも自分を近くから見て支えてくれる、強い味方が。
願わくば、それは同じステージの上に。そしてそれはピアノ伴奏で、公生であって欲しい。
ふいに零れおちてしまった彼女の弱さが、とても印象に残りました。
それでいて公生も公生ですよ!
結局、「女の子ために立ち上がる」という男の子らしい素直で単純な決断!
でもそれくらい衝動的でなきゃ、トラウマ引き摺ってもう一度ステージになんか立てないか。
男の子らしい立ち上がり方じゃないですか。大好きです。
と、わりとストーリーについてばかりお話してしまった「四月は君の嘘」1巻感想でした。
ボーイ・ミーツ・ガールの青春ムードにときめいたり、いちど道を絶たれた状態からの再生に胸熱くさせられたり。やや長いオープニングかと思いますが、それでもじっくりと読ませられます。
メインとなるキャラクターの立ち位置が固まり、そして主人公の再生が始まりました。
本当に最初の大盛り上がりがやってくるのは次の2巻なのでしょう。
それでさらに躍動感ある作品になっていってくれそうですね。
再びステージに上がるのであろう公生は、無事伴奏を成しとげることはできるのか!
今からどんな展開になっていくのか楽しみです。
詩的なタイトルによく合った、全体的に懐かしさや切なさを漂わせる、魅力的な物語となっていると思います。しかし「嘘」なんてちょっと不穏な単語、気になりますね。
さて、いよいよ物語が走り出しました。青春と音楽は、4月にどんな光景を見せてくれるのか。
『四月は君の嘘』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
切なくも熱い青春エネルギーを強く感じる新シリーズ。音楽漫画としても面白くなりそう!
講談社さん、作中登場する挿入歌を実際に聞ける動画を用意しているようです。
→『四月は君の嘘』をもっと楽しむために
→『四月は君の嘘』をもっと楽しむために その2
こちらもチェックしてみては。
これが作中でかをりちゃんが弾いてた「クロイツェル」ですね。
他の作品でも、Youtube等でみれる紹介動画を公式が作ってくれるケースがたまにありますが、紹介記事に使いやすくてなかなかありがたいですね。個人的にもこういうの好きです。
[漫画]人間になる旅のはじまり。第二部開幕! 『戦国妖狐』7巻
August is Dead.
俺は人間になる
水上悟志先生の「戦国妖狐」の7巻が発売されています。
「第一部完」なんて打ち切り漫画あるあるな終わり方をした前6巻ですが、ちゃんと7巻が出ましたよ!今回から「第二部 千夜編」が開幕です。
第一部のときからふしぎな存在感のある少年でしたが、主人公にまで昇格するとは!
今回も王道でありながら捻りの加えられた、水上先生らしい仕上がりだと思います。
第一部の旅のメンバーがバラバラに散ってしまった後、千夜はなぜか新介と共にいました。
千夜は自分の名前も正体も役割も、記憶をすべて失ってしまっていました。
記憶喪失になった千夜に真介は「ここまで良し!!」と言い放ち、生まれたばかりのまっさらな子供として、人生をやり直す方向に。
とりあえず友達作りを頑張る千夜くんですが・・・はたしてどうなるなるやら、という始まり。
内に千ものおそろしい数の闇を抱えている彼なので、どうしたって普通の子どもらしい生活を送ることは難しいんですが・・・。彼を狙っておそってくる敵も続々登場してきますし。
そんな中で、彼がどんな生き方を探していくのか。
それがこの第二部の大きなテーマになっていきそうですね。
さて、いきなり話がズレますが、新キャラの月湖ちゃんがかわいいのです!
普段の物静かな様子から、ちょっと甘えた感じの笑顔を見せた時なんてテンションあがります。
千夜との馴れ初めから、少しずつ心が近づいていく流れには思い切りニヤニヤする・・・!
初々しい恋愛模様にゴロゴロー!
また、ある都合から真介に弟子入りを願うシーンがありましたが、そこも印象的。
その後、千夜に襲いかかる相手に、千夜を守るために自ら闘いに突入する個所も。
外見が年相応に女の子らしいというか、弱弱しい感じなのですが、
自分の意志と目標を貫きとおす、非常に勇敢な少女であると分かります。
とても凛々しい、個人的に大好きな1カット。
しかし、月湖ちゃんはどうやら相手の目を見ることで、相手の行動を先読みすることができる能力がある?模様。単純に天然の才能なのか、それともそれにも秘密があるのか。
ともあれ、ヒロインとして千夜とのラブコメにも期待したいですし、この意外なまでのカッコよさをまた見せて欲しい、お気に入りのキャラクターです。
主人公になった千夜君ですが、第二部になってから大きく印象が変わりましたね。
第一部でも彼の中になにか揺らぎがある様子は少し分かっていましたが
この7巻は、少年らしい多彩な表情を見せてくれています。まだまだ硬いですが、記憶を失うことで、彼の根が表れたのでしょう。
上に張った画像の、月湖ちゃんとのやり取りの中で赤面してしまってるのも微笑ましいw
また、そんな楽しそうな表情だけではなく、心に追った傷を表情に表すようにもなりました。
無茶苦茶になった村を見て、口をあんぐり開け呆然としているシーンや
おにぎりを食べながら、涙をぼろぼろと零してしまうシーンなんかは特に。
おにぎりのシーンは、彼の起こした騒動の影響をおもっての罪悪感や、自分の意識の無さ・無力感が大きいのだと思います。人間らしい悩み、人間らしい過ち、人間らしい表情です。
美味しい。生きているんだ。でも、この罪悪感に押しつぶされそうで。
「俺は人間になる」と千夜は繰り返します。
彼が目指す「人間」の姿とはなんだろう。人に生まれ、人でなくなった少年が、再び目指す人間とは。今の彼だって、相当に人間くさいと思いますけどね。答えに期待したいです。
そして面白かったのがもいっこ。へっぽこ侍・真介に関して。
第一部の時には、迅火たちの後に勝手についてきて、修行をしていた彼ですが
第二部になって、彼は子供たちの先頭を進む、先導者として描かれ出します。
千夜には人生の先に進む先輩として。そして「人間」として。
月湖には剣術の師として。まぁ上手くできるか分かりませんがw
ともかくこうして人が巡っていく様子をさらりと、けれどきちんと描くのが、水上先生の上手いところですね。
そういえば今回、第3巻収録の13話に出てきた闇が再登場したのにもニヤリ。
こいつと対峙する時には、真介が新しい自分(能力・立場・役割など)を見つける気がします。
前回は、繰り返してきた練習の成果を発揮する、「武士」としての覚醒。
今回で言うなら、子どもを守る「大人」としての自分を意識している感じしょうか。
真介もまた、いい感じに成熟したキャラクターになってきていると思います。
まぁ、ヘッポコですけど。そこがいい。
・・・という具合の第7巻、第二部開幕の一冊でした。
目新しい部分も多いですが、この作品らしさもばっちりと活きています。
ストーリーも当然気になりますが、キャラクターにどんどんと愛着がわいてきました。まだしばらくは続きそうなので、この先の展開を楽しみにしたいと思います。
想像を裏切って期待は裏切らない水上先生のこと、第二部もまた更に面白くなりそう!
人間を目指す旅が、はじまりました。
『戦国妖狐』7巻 ・・・・・・・・・★★★☆
王道少年漫画からひとひねり。それが気持ちいい作品。千夜の成長が気になります。
・・・ところでこの戦国妖狐7巻、サイン本でゲットしたのですよ。WEBサイン会という。
ありがたや!
戦国妖狐(7) (ブレイドコミックス) (2011/08/10) 水上悟志 商品詳細を見る |
俺は人間になる
水上悟志先生の「戦国妖狐」の7巻が発売されています。
「第一部完」なんて打ち切り漫画あるあるな終わり方をした前6巻ですが、ちゃんと7巻が出ましたよ!今回から「第二部 千夜編」が開幕です。
第一部のときからふしぎな存在感のある少年でしたが、主人公にまで昇格するとは!
今回も王道でありながら捻りの加えられた、水上先生らしい仕上がりだと思います。
第一部の旅のメンバーがバラバラに散ってしまった後、千夜はなぜか新介と共にいました。
千夜は自分の名前も正体も役割も、記憶をすべて失ってしまっていました。
記憶喪失になった千夜に真介は「ここまで良し!!」と言い放ち、生まれたばかりのまっさらな子供として、人生をやり直す方向に。
とりあえず友達作りを頑張る千夜くんですが・・・はたしてどうなるなるやら、という始まり。
内に千ものおそろしい数の闇を抱えている彼なので、どうしたって普通の子どもらしい生活を送ることは難しいんですが・・・。彼を狙っておそってくる敵も続々登場してきますし。
そんな中で、彼がどんな生き方を探していくのか。
それがこの第二部の大きなテーマになっていきそうですね。
さて、いきなり話がズレますが、新キャラの月湖ちゃんがかわいいのです!
普段の物静かな様子から、ちょっと甘えた感じの笑顔を見せた時なんてテンションあがります。
千夜との馴れ初めから、少しずつ心が近づいていく流れには思い切りニヤニヤする・・・!
初々しい恋愛模様にゴロゴロー!
また、ある都合から真介に弟子入りを願うシーンがありましたが、そこも印象的。
その後、千夜に襲いかかる相手に、千夜を守るために自ら闘いに突入する個所も。
外見が年相応に女の子らしいというか、弱弱しい感じなのですが、
自分の意志と目標を貫きとおす、非常に勇敢な少女であると分かります。
とても凛々しい、個人的に大好きな1カット。
しかし、月湖ちゃんはどうやら相手の目を見ることで、相手の行動を先読みすることができる能力がある?模様。単純に天然の才能なのか、それともそれにも秘密があるのか。
ともあれ、ヒロインとして千夜とのラブコメにも期待したいですし、この意外なまでのカッコよさをまた見せて欲しい、お気に入りのキャラクターです。
主人公になった千夜君ですが、第二部になってから大きく印象が変わりましたね。
第一部でも彼の中になにか揺らぎがある様子は少し分かっていましたが
この7巻は、少年らしい多彩な表情を見せてくれています。まだまだ硬いですが、記憶を失うことで、彼の根が表れたのでしょう。
上に張った画像の、月湖ちゃんとのやり取りの中で赤面してしまってるのも微笑ましいw
また、そんな楽しそうな表情だけではなく、心に追った傷を表情に表すようにもなりました。
無茶苦茶になった村を見て、口をあんぐり開け呆然としているシーンや
おにぎりを食べながら、涙をぼろぼろと零してしまうシーンなんかは特に。
おにぎりのシーンは、彼の起こした騒動の影響をおもっての罪悪感や、自分の意識の無さ・無力感が大きいのだと思います。人間らしい悩み、人間らしい過ち、人間らしい表情です。
美味しい。生きているんだ。でも、この罪悪感に押しつぶされそうで。
「俺は人間になる」と千夜は繰り返します。
彼が目指す「人間」の姿とはなんだろう。人に生まれ、人でなくなった少年が、再び目指す人間とは。今の彼だって、相当に人間くさいと思いますけどね。答えに期待したいです。
そして面白かったのがもいっこ。へっぽこ侍・真介に関して。
第一部の時には、迅火たちの後に勝手についてきて、修行をしていた彼ですが
第二部になって、彼は子供たちの先頭を進む、先導者として描かれ出します。
千夜には人生の先に進む先輩として。そして「人間」として。
月湖には剣術の師として。まぁ上手くできるか分かりませんがw
ともかくこうして人が巡っていく様子をさらりと、けれどきちんと描くのが、水上先生の上手いところですね。
そういえば今回、第3巻収録の13話に出てきた闇が再登場したのにもニヤリ。
こいつと対峙する時には、真介が新しい自分(能力・立場・役割など)を見つける気がします。
前回は、繰り返してきた練習の成果を発揮する、「武士」としての覚醒。
今回で言うなら、子どもを守る「大人」としての自分を意識している感じしょうか。
真介もまた、いい感じに成熟したキャラクターになってきていると思います。
まぁ、ヘッポコですけど。そこがいい。
・・・という具合の第7巻、第二部開幕の一冊でした。
目新しい部分も多いですが、この作品らしさもばっちりと活きています。
ストーリーも当然気になりますが、キャラクターにどんどんと愛着がわいてきました。まだしばらくは続きそうなので、この先の展開を楽しみにしたいと思います。
想像を裏切って期待は裏切らない水上先生のこと、第二部もまた更に面白くなりそう!
人間を目指す旅が、はじまりました。
『戦国妖狐』7巻 ・・・・・・・・・★★★☆
王道少年漫画からひとひねり。それが気持ちいい作品。千夜の成長が気になります。
・・・ところでこの戦国妖狐7巻、サイン本でゲットしたのですよ。WEBサイン会という。
ありがたや!