[漫画]フラグとは無意識のうちに折れている物である。『共学高校のゲンジツ』1巻
共学高校のゲンジツ 1 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕) (2012/09/28) 伊丹 澄一 商品詳細を見る |
毎朝チコク気味に、パンくわえて走ってまーす。
「共学高校のゲンジツ」1巻が発売されました。
同人誌即売会などのイベントによく行く方はご存知だったりするかもしれない、サークル「ItamiWorks」さんのコミックスです。自分もコミケかコミティアかで知った作家さんでした。
商業デビュー作となったこの「共学高校のゲンジツ」ですが、まぁやってることは大体同人でのあんな感じです。それではさくっと感想を。
共学高校にはいった!でもカノジョなんてできねーぞ!
キラっキラした青春を夢みて共学の高校に入学するも、そうそうに「現実は非常である」と突きつけられて涙目な男子たち。
彼らを中心とし、ゲンジツってこんなもんさ、な残念感を漂わす作品です。
普通のラブコメならここから物語が始まるだろうシーンを、あざとらしいくらいあっさりとスルーしていく(矛盾していそうな表現だけど)。それがむず痒く、笑ってしまうのだ。
ギャルゲーやりながら現実の女の子とのフラグを華麗にへし折って、友達同士で「フラグたたねーかなーw・・・立たねーな・・・」とかやってるの見るともう・・・!男子ってやーね!
というかフラグうんぬんより、わりとこの3人組、全然気がきいていないあたりもツボ。
仕事はおしつけるわ、物落としても拾ってあげられないわ。
女の子たちもガックシ来てますよ。でもこの男子たちのどーしよーもない感じ、好きだw
フラグをおられて残念がってる娘もいれば、なんてことないコミュニケーションもさらっと流されてしまって落胆してる娘も。「フラグ立たないかなぁ。そいたら絶対見逃さないぜ」と男たちのムダに自信アリげな言葉が虚しく響く・・・。たった今その瞬間に、お前らが折ったんだよ・・・。
積極的に攻めてくる女子Aもいますが、ことごとくチャンスを潰されています。この不憫っぷり・・・この調子でかわいそうなまま突き進んで欲しいな・・・!
というのはコミックス前半までの話。後半は・・・なんか・・・普通にラブコメや・・・。
いやいいんです。ラブコメ好きなんです。大好き。でもよぉ・・・この漫画、「共学高校のゲンジツ」ってタイトルでされたら・・・許せない!ニヤニヤしながら楽しんでるけど、許せない!
一冊読み終えた中だと、第3話あたりのノリが1番好きです。この残念っぷり。
でもちゃんとまっすぐラブコメやりだしたら、それはそれでちゃんと面白かった。
おそらくはメインヒロインである保延さん。彼女はデフォでスカートの下にジャージ来ています。色気ないよ!これじゃパンチラも期待できない!
あーでもこの全然そーいううれしはずかしなイベントを期待できない、距離の近い友達づきあいやってるのを見るとクソが!!!思ってしまいますわがままですいません!
「あれ?もしかして今私のこと意識しちゃった?」みたいにおちょくってくる女友達!こんなのヒドいよ!ストライクだよ!!
表情を変えないものだから、冗談か本気か読めなくて。うまいこと手のひらで転がされてしまう…!というか何だよ。これでフラグ立ってなかったらなんなの。なんなのフラグって。
そんな感じでだら~っと共学高校の日常を描いていく作品です。
インターミッション的に話のあいだに収められた、番外編?もニヤリとします。
非日常を探し求め奔走する名前も顔も知れない女生徒・・・頑張ってくれ・・・。
あと謎の先生が鬼気迫る名言を放っており、お気に入りです。
な、なるほど・・・。
この作家(サークル?)さんらしさは存分に発揮されている一冊だと思いますが
やっぱりもうちょいナカミが欲しいかなと感じる一面もあり。
1話1話が短く、一発ネタというか ストーリーのうねりが少ないです。というかストーリー性もとめるのは間違いかな。
まぁ、ここから本格的な青春ものにシフトしていってしまっても、現実のうまくいかない残念っぷりを描いていく本作の土台が崩れてしまうので、このままでいいかw
ショートコメディですけど、ちゃんとキャラは立っています。回を重ねていくうちに深まっていく部分もあるだろうし、やっぱり残念なところがもっと見られるだろうし。続き楽しみです。
軽いかもしれないけど、ちゃんとこの作品ならではの味もあります。
アニメや漫画みたいなドラマティックな非日常を探し求め―――
今日もなんでもないように現実的な1日を過ごしましょう。
リアルだけど、残念だけど、いいこともたまにあるよ。見落としているだけで。
あと自分の匂いを気にしちゃう親友系不良ボーイッシュ女子(意外と頭がいい?)もとても可愛いで、さっさと保延さんとのトライアングルラブコメを突き詰めて行ってもらいたい。願望。
『共学高校のゲンジツ』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
これが現実だ、残念だ、といいつつさらっとラブコメやっちゃってる系のヤツだよ!しまった俺そういうの好きだった。もう一歩でなにか繋がりそうなのが見える分もどかしい漫画です。
[漫画]あまじょっぺー夏を噛み締めろ。『銀の匙 Silver Spoon』4巻
銀の匙 Silver Spoon 4 (少年サンデーコミックス) (2012/07/18) 荒川 弘 商品詳細を見る |
ぐあ―――っ!! 甘塩っぺ―――っ!!
銀の匙4巻の感想ー。もう発売して結構経ってますが関係ないない。
荒川弘先生の最新シリーズである農業漫画。一見すると地味ですが込められたメッセージは自分に寄り添ったもので、けっして縁遠いものではない。
高校生たちの賑やかな日常、切実な悩みを切り取った内容でもあり、実に青春です。
4巻は3巻からひきつづき夏の章。
そこから季節はうつり、次なる秋の章もスタートします。
前巻→食べろ、生きろ、学べ。生命の物語。『銀の匙 Silver Spoon』3巻
「生命」について考えるこの作品。
八軒が育てた豚丼(という名前のブタです)は、食用肉になって八軒のもとに帰ってきた。そんなシーンからはじまる4巻です。
大きな決断をできた八軒ですが、その結末は。夏の章の総括となるエピソードです。
どんなに悩みこんでいても、うまい飯を食べたら笑顔がこぼれてしまう。
友人たちと楽しそうに食事をする八軒を見ると、良かったと思ったものですが
でもやはり、八軒は晴れやかな表情は見せてくれてなかったように思います。
前に進んだけれど、考え続けようとする。悩み続けようとする。
それはとても苦しい道だろうけれど、八軒はそれを望んでいるんですよね。
知らん顔してのうのうと生きていくより、ちゃんと現実を見ていきたいんだろうな。
彼の真面目さは誠実さのあらわれです。クラスメートたちもちょっと疲れているようなそぶりも見せているんだけど、でも八軒はあえて自分から苦悩に向かって行く。
目をそらしても怒られはしないことなんだろうけれど。
もっと簡単に考えれば、もっと楽に生きていられるんだろうけれど・・・。
家畜動物について、ほかのクラスメートたちは「もっと楽に考えればいいのに」とオススメする基本スタイル。直接的に言わなくても、「八軒、がんばってんなー」と、みんなで見守っている様子です。
きっとほかの生徒たちも、子供のころに現実に直面している。その現実とともに育ってきている。だから冷静に現実を捉えられているんだけど、冷静になりすぎている感もある。
どうしようもないことがあることを知っている。どんなに悩んでも答えが出ないことを知っている。そんな歴史をみんな一様に歩んできたのかもなぁ、なんて思う。
農家の子らがどんな割り切り方をしているのかは自分は分からないけど。
彼らにとっては、八軒の初々しさって、結構こそばゆいものなんじゃないかなー。
クラスメートたちはかつての悩みをもう1度掘り返して、再び考える機会になっているようなシーンも見受けられる。
答えが見えない議論だけど、大激論を交わすまではいかないけど、生徒たちの中で「生命とどう向き合っていくか」が響き合っているのがまた素晴らしい。
響き合った上で、「メシはうまい!うまいは正義!」と落ち着くのが良いよなw
ちゃんと考えて生きていこうとする姿勢は、読んでいる自分にも伝染する。
自分も、この大地に生きている人間なんだよな、なんてちょっと大層なことを考えてみる。
一言で言えば面白いんだけど、そう簡単に言い切るのもすこしだけ戸惑う。簡単なことのようで、簡単なことなのかな。うっかり思考の渦にはまっている。
でもこうして自分まで頭悩ませてる時点で、やはりこの作品を楽しめてるかな、と。
この作品が訴えてることって、「ちゃんと現実を知ってほしいけど、知った上で明るく健康に生きようぜ!」ってことだと思うので、今日も肉がうまい! ホントは今日食べてないので明日食べるか
話が変わりますが校長先生がカッコいいじゃないの・・・(唐突)
悩む八軒に、周囲の人間はいろんな言葉を投げかけます。
でもこの校長先生の一連のセリフは、中でもイチオシに心に響きます。
「生きるための逃げは有りです。有り有りです。」
「逃げた事を卑下しないで、それをプラスに変えてこそ、逃げた甲斐があるというものです。」
何倍もの人生を歩んできた歴史を感じさせる余裕たっぷりなアドバイス。
ふんわりとした中に力強い肯定が込められている。あーいいなー先生。
こうしろ、ああしろみたいな強要より、よっぽど心に染みますよねこれは。
「逃げた甲斐がある」なんて言葉、聞いたことなかったですよ。でもビビッときました。考えのもっていき方1つでちゃんと前向きになれるんだな。
それとまた話は変わりますが、そろそろ御影について描かれるかなという予感みたいなのが。
思えば御影って、本作のヒロインポジションにいながら、彼女の内面描写ってびっくりするほど少ないんですよね。八軒にしかモノローグがない作品ではありますが、御影はほとんど何を考えているのか見えてこないキャラクターかもしれない。
八軒との距離も、近いようで遠い。むしろ遠ざけているような感じすら。
でも八軒を気にかけているのは間違いないのです。
4巻終盤の展開なんかは、これから御影について深く描かれていく布石かなとも思いましたが、どうか。
あえて深いところを見せないように描かれてきているキャラだと感じています。
彼女の一挙一動にドキドキさせられてる八軒もかわいいですがw
ブラジャー騒動はオチがあるのは見え見えでしたが、なんというガッカリ感・・・!
そんな感じの第4巻。
シリアスな一面をピックアップして感想に書いた感触はありますが
今回の「夏の思い出」前後編なんて過去最高にバカらしいエピソードですし、ちょっと特殊な環境にある学園漫画として十分に楽しめる。懐の深い作品だなと思います。
生命とどう向き合うか、という主題とは巻を増すごとに向き合ってきましたが、ひとまずはこの4巻の夏の章でひと段落かな。八軒を成長させた夏だっただろう。
5巻は来月10月。わぁい来月には読める!更新が遅れただけです!
『銀の匙 Silver Spoon』4巻 ・・・・・・・・・★★★★
あまじょっぺー夏。ちょっと特殊なこの学校だからこそできる青春送ってます。
[漫画]想像せよ・・・世界はエロで満ちている!『この○○がエロい!!』
この○○がエロい!! (ヤングチャンピオン・コミックス) (ヤングチャンピオンコミックス) (2012/08/20) 金平守人 商品詳細を見る |
イマジネーションのエロによる世界平和を!!
「女子アナ」という言葉にちょっとドキドキする。
「ちんすこう」の文字の並びをちょっと変えてみたくなる。
そんな男子中学生・・・むしろ男子小学生並にしょーもない下ネタを愛する皆さん。たぶんこの漫画を気に入ります。
今日は金平守人先生の「この○○がエロい!!」の感想。
「アッタマわるぅ」と思わずぼやくこと間違いなしのハイテンションなエロギャグ漫画です。
日常のささいなワンシーンをきっかけに急にエロい妄想が始まる。
男なんてわりとみんなそんな感じなのでは、と思ってるんですが、どうなんでしょ。
もう大人になってしまった。けれどエロい話をすれば、少年のころのワクワクを取り戻せる・・・。それって・・・・なんだか素敵なことだと思うんですよね。(いい話風に)
まぁささっと内容について。
「世界には直接的なエロがあふれすぎておる!!モロ見えなエロなど行きつく所しょせんは医学書じゃ 若者よ もっとイメージするのじゃ!!」
と声高に言い放って始まるこのお話。博士みたいな格好して全然研究もしていなさそうな単なるエロジジィであるエロ之宮博士と、助手の25歳むっちりメガネ、吉本さん。
この2人をメインに、なんだかエロく聞こえる言葉、エロく見える仕草などを探求していく。
1話あたり4ページと短いながら、ぎっしりとネタを込めこんでいます。
それが全44話、合間合間にオマケページもあり、だいぶお腹いっぱいの一冊。
しかし軽く楽しめるテンポのよさがあります。なによりネタをこれでもかと打ち放ってくるので、ギャグの方向性にピンとこればかなり楽しめると思います。
どれもこれもヒドい下ネタです。一般向けですが強烈にアレコレやっています。
冷静に考えれば、かるく胸焼けおこしそうなくらいの下ネタの連打。なのにスルッと読めてしまうのは、やっぱりエロの魔力はすさまじいということか!頭カラッポにしましょう。
特に読者から募集した「エロく聞こえるシチュ/セリフ」シリーズが面白かったなぁw
うん・・・これは、ね。意識しちゃうとふへへってなりますね。ハイ。
うむ、純朴そうな学生さんが「汁もいっぱいいれてください。」・・・どこにだい。
AVとかエロ漫画で使われる単語を現実で聞くとドキッとすることあるある。なんて迷惑な言葉の逆輸入だよ・・・おかげで楽しく生きられる。
こんな感じで、「ちょっと聞き方/見方を変えることでエロくなる」場面を紹介していく。
無理やりだなあと思うものもあれば、「これはなるほど素晴らしい」というものまで様々。
ちょっとだけ新しい世界が発見できたような気がしましたね。(神妙な顔で)
基本的にエロジジィがエロネタで暴走して、助手さんが引き気味に見守りつつセクハラされるっていうスタイル。キャラの掛け合いとしてはコテコテの漫才チックな要素が強い。
でもこの雰囲気はいいなぁ。きわどいネタも、カラッと笑える明るいエロスに変換される。
ネチッこさはほとんどないんですけど、そこはギャグマンガとして良いことかなと。
・・・ところで途中で少しだけ出てきた、エロ研究員の下っぱ3人娘はどこいったw
ストーリーは存在しないので、いつもみたく長々語るってのをしませんが
何度も読み返して「うわぁ、ひでえなこりゃ」と苦笑いできるいい漫画だと思います。褒めてます褒めてます。ピュアな心を持ち下ネタで笑うというのは幸せです。
1巻のナンバリングがされていませんが、今も連載中とのこと。長くかかるとは思いますが続きのコミックスも出る・・・かも。楽しめたので楽しみにしています。
金平守人先生の絵はもちろんかわいらしいし、いつものおふざけも、エロネタに全力投球しているぶん漫画の魅力にわかりやすく繋がっています。なんとなく、過去の作品はけっこうナンセンスギャグも多かったように思うんだけど。あと表紙とかの実験的な遊びw
まぁとにかくストレートに下ネタを繰り出しまくる漫画です。
人によっては読めたもんじゃないレベルのひどさなんだろうけど、好きな人は好き。人を選ぶ作品でしょうね。でも俺は好きだなw
ものすごーく下品なんだけど、でもやっぱり面白いのだ。女の子もかわいいし。
アウt・・・・・・・いや、クマですよクマ。セフセフ!
『この○○がエロい!!』 ・・・・・・・・・★★★☆
ずーっと下ネタを飛ばし続ける本。元気になれる、愛すべきバカバカしさw
金平先生と言えば「エロ漫の星」も面白かったですねえ。
[漫画]百合カップルに片思い男の子の三角形 『彼女とカメラと彼女の季節』1巻
彼女とカメラと彼女の季節(1) (モーニング KC) (2012/05/23) 月子 商品詳細を見る |
私の中にも この画を焼き付けて 忘れられないようにしよう
発売してひと月たちましたが「彼女とカメラと彼女のキセツ」が面白いです。
作者の月子先生はいろんな雑誌でチラホラと名前を見かけていましたが、これが初単行本なんですね。モーニング・ツーでの連載作品が本作。
タイトルからして登場している「カメラ」が、物語を動かすキーワードとなる作品。
んでもって本作、百合要素強めです。イェス、百合漫画!
とは言え男性キャラも普通に登場してストーリーに食い込んでくるので、女の子だけの世界という風にはなっていない。百合に男が介入するのか・・・とか、百合はあんまり読みなれてない・・・とか結構思うところはあるかもしれませんが、この男の子がとてもいいキャラなのですよ。
青春の匂いが濃い作品でもあって好み。さらさらと感想書いて行きたいなと思います。
●あかりとユキの暖かくも切ない関係
主人公・深山あかりは高校三年生。ふとカメラをきっかけに、いつも1人でいる物静かな美少女・仙堂ユキと出会ったあかりは、彼女の不思議な魅力にとりつかれ、いつの間にやら恋に落ちる。
それまで女の子に恋をしたことなんかないであろうあかりですが、思いっきりユキにヤラれてしまっている。もうメロメロ状態。
でも確かにユキはカッコいい。あかりの感じ方とはちょっと違うだろうけれど、個人的にはユキはかわいいというよりかはカッコいいという印象を受ける。
好きなものをスッと愛せる素直さとか、誰かの敵になることを恐れないところとか。
それで行動力もあるし、飄々としているけど自分の大切なものを大切にできている生き方か。
でも何を考えているか掴みづらくもあって、いつのまにかフッといなくなってしまいそうな。
ちょっとボーイッシュかつクールな印象とは違った、女の子らしい眠り方とかにはグッときましたねえ。ううむ、主人公のあかりが散々ユキへのあこがれをはじけさせまくっている作品なので、否が応でもユキさんが魅力的に感じられる!もちろんイヤなわけがないけど。
あかりがユキのそばにもっともっといたくなって辛坊たまんなくなっているのは1巻の中でも十分に感じることで、熱く切ない恋に身を焦がす様子が心地良いです。
あかりは自分の気持ちを、きっと伝えようとは思っていない。
もう何度も何度も悶え転げるくらいに好きになってるのにねえ。
2人はみるみるうちに仲良くなっていて、一緒に布団で寝たりお風呂に入ったりと、年頃のおなごがやりたい放題ですよ。いや年頃だからか。
でもうかっれぱなしな気分を打ち砕く要素もいくつか登場し、なかなか安心させてくれない。
迫る卒業のタイムリミットもそれの1つ。
青春っぽいなぁと感じるイベントがいくつもあって、実にこっ恥ずかしいわけですが、そういう感覚になるのはきっと偶然じゃなく。限りある日常を意識させられる。
「カメラ」によっていろんな写真を取る2人。それは今の青春の日々を写真に残したいと思っているみたいで、写真をとるという行為そのものがなんだかジンと来てしまったり。
高校3年生。すぐ目の前には将来への決断が待っている・・・かも。そんな時期だからこその不安だとか胸の高なりだとか、みずみずしい思いが詰まった作品だと思います。
●いわゆる女子高生社会からの脱出
あかりはもともと普通の女子高生で、友だちグループが外れそうなことをしないよう、真面目すぎず遊びすぎない存在だった。女子高生としてありがちで正しい窮屈さの中で生きていました。
見えない女子高生のルールに違和感を覚えながらも、それに反発する理由もなく。
けどそこから羽ばたいたあかり。ユキと一緒の時間をたくさん過ごせて幸せそうですが、それをよくは思わなかったりからかってくるような女の子もいます。
どういうのがリアルなのかはわかりませんけど、読んでて非常に居心地がわるい、チクチクと悪意が刺さってくるような感覚を覚えるシーンもあり、ウヒヒィ。女こええ。
でもかつての友人(と言えるのかどうか)に対してマジギレするあかりも面白い。
自分もいたコミュニティを「その低俗な世界」と称し、完全に離別をしたのがこのシーンでしょうか。珍しく真剣な怒りに震えるあかりの表情、迫力あって好き。
けれどそこでまたも輝きを放つのはユキさんなわけでして!
有象無象の女子高生らに対してのユキさんお言葉が笑っちゃうくらい痛快!
こりゃもう、読者もユキさんの魅力にキュンとなってしまうってもんです。
●香川くんいいキャラしてる
力強い思いで結ばれるあかりとユキですが、本作にはもう1人の重要キャラがいます。
それが香川くん。百合作品でありながらも、男性キャラが堂々とストーリーに食い込む。
でもこの香川くん、すごくいい子なんですよね。実に恋する男の子だ。
ガッチリと結びついた少女2人に、そのそれぞれに不思議と関連する少年・香川。この三角関係も注目所でしょうね。というか彼の存在がこの作品を面白くしている。
単なる百合には収まらせず、かと言って百合としての大事な物を損なわせない。
人間そのものも、ストレートで迷いの無い性格で勢いがある。作品を動かしていく力があるし、きっとこの先のカギもにぎる人物だろうなと思う。
百合漫画と聞いてちょっと遠のいて閉まっている人も、スッと受け入れていけるんじゃないかなと勝手に思うのは、彼の存在があるからだろうか。
三角関係ものとしてとてもかわいい三人なんですよ。ニマニマしてしまうな・・・。
ただしこっからどう転ぶかわからない作品でもあります。
ハッピーでもちょっと切ないエンディングだろうと、どちらも楽しめそうだ。
だーっと書いてきましたがまとめでも。
「彼女とカメラと彼女の季節」は、どこか甘酸っぱい女の子の世界がある作品。
時折顔をのぞかせるチクリとした悪意もこの作品の味。
メイン3人それぞれに個性があるし、すごく可愛らしい。もちろん主人公もだ。
だからこそこの三角関係、どう展開していくのかがとても気になるのです。
百合ものとしてもしっかり盛り上がっていいなー。
絵も見やすく性別を問わない魅力がりますし、不思議と艷を感じるタッチ。
あとこの作品は主人公がどうものを見ているのか、一人称的描き方が強い。
女の子が思う、女の子のかわいいところ。
そんな視点がいくつも散りばめられていて、男としてはなるほどなと思う箇所も。
でもところどころのかなり男寄りな視線でユキを熱く見つめるあかりも描かれていて、女の子も結構下品なものの味方をする時もあるんだねえと感じたりもw
ノーブラで制服が水で透けた場面を写真に収める主人公。かわいい変態め。
ストレートな性欲をのぞかせる一瞬にドキドキしたり、近くて遠い距離に切なくときめいたり・・・自分はあかりちゃんが好きなのか、彼女が感じる世界そのものもなんだかキラキラしてる。
カメラ、百合といった要素が目立つ作品ですが、読む人を選ばない普遍的な面白さがある青春漫画でもあると思います。
『彼女とカメラと彼女の季節』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
甘酸っぱくもどかしくなる、百合ペア込みの男女三角関係漫画。
[漫画]女の子のげんしけんだなぁ。『げんしけん』12巻(二代目の参)
げんしけん 二代目の参(12) (アフタヌーンKC) (2012/06/22) 木尾 士目 商品詳細を見る |
私 波戸くんが描いたマンガ すごく読んでみたいな…
二代目になって3冊目、「げんしけん」の新刊が出ました。
夏フェスも終わって物語は秋へと進む。大きなイベントはないものの、げんしけんの日常は相変わらず退屈しないもので。一方で近づく学園祭をどうするかという点で話は膨らんでいきます。とゆことで12巻の感想を。ううむ、げんしけんも12巻か。
前巻→情熱の行き場と置き場。『げんしけん』11巻(二代目の弐)
さて今回の表紙です。今のげんしけんを象徴したかのような女の子空間である。
机にお菓子をいっぱい並べて楽しそうにお話してるシーンでしょうか。げんしけんでオタクばかりとはいえやっぱ女の子だなというか。
ふと1巻の表紙を見たら、この時は机にゲーム雑誌にドドンに美少女フィギュアがゴロリ。
この違い・・・二代目げんしけんを見せつけられた感ありますな。
・・・ここまで書いておいて12巻表紙のうち一人は男だってことを忘れてた。
ホワイトボードには学園祭に向けた書き込みがあったりして、大学サークルっぽい生活感があるあたりも好き。なんだか楽しそうな雰囲気が伝わってきます。
女の子のげんしけんになったなぁと感じたのは12巻本編でも。
まぁ登場人物ほとんど女子になってなにを今更という感じですが・・・これですよ。
コイバナ in げんしけん!
げんしけんの部室で女の子たちが恋愛の話をする。なんかすごいなー・・・。
恋話とかまさに女の子って感じですよ!なんかよくわかりませんが!
とは言え彼女らも女の子同士の恋話トークの経験なんて全然ないらしく、始めておいて空気はぎこちなくなるし、出てくる話も・・・。けどなんとなく場の空気が華やぐのが女の子っぽいなあ。
ああ初代でも春日部さんが恋愛ネタでイジってたこともあったか。でも雰囲気違うなw
なんかこっ恥ずかしいよね。オタクなんてだいたい、リアルの恋なんか知ったこっちゃねえぜなスタンスの人が多そうだし、そういうポーズをついついとっちゃう人が斑目さんだよねという。カノジョは欲しくなくはない、とも言ってたから、素直になれないだけかな。ともかく、オタク同士で現実の恋の話題を出すことも滅多にないんじゃないだろうか。
どんな話が飛び出すのやらと読んでてとてもドキドキしました。
でなんで恋話なんて始めたのかと言えば、学園祭で発表する創作のため。
そういう目的があって始めてこんな話をするあたりは、そういう話題に億劫なオタクっぽくて微笑ましいですな。実際にどんな作品が出来たのか、学園祭はどうなるかは13巻に持ち越し。
感想書いてみれば「昔のげんしけんと今のげんしけんの違い」についつい注目してしまう自分。昔のげんしけんにこだわってるわけではないですが、引きずっているのは確かかも知れない。
人が変わればサークルの雰囲気も変わるのは当然なんだけれど。
そんな昔を懐かしむ気持ちをなんとなく背負ってくれるのが斑目さんでして。
「げんしけんと言えば」なキャラクターだと思っているのですが、2代目においてもそれなりに出番がありますし、斑目の気持ちがどう変化していくかはかなり注力されている部分。
2代目にも相変わらず、もろもろと切ない境遇は変わらないなぁ・・・。加えてオタクとしての情熱が静まりつつあることも前巻言われていて、斑目さんの動向にわりとソワソワ。
今回なんて、斑目さんがげんしけんと距離を置くことを考えているという話も出てくる。
どんどん斑目さんが遠ざかっていくようで・・・くそー寂しいな。
まぁここでズバッと判断ができるような人か果たしてって所で疑問はあるわけで、グダグダと居着いていそうなんですが!
今回も斑目さんと波戸くんのやりとりは面白いんですよ。斑目さんの超ヘタレぶりとか、男の娘をめぐる混乱と興奮とか。男の娘って妊娠するんだね。げんしけん読んで初めて知った・・・。さすが勉強になるな!男の娘は欲深い夢と悪ふざけが詰め込まれてて素敵。
さてキャラの話を続けると今回は結構新キャラも登場します。
現役サークル自治委員やとあるキャラの家族やら。
また登場しそうだよなこの子。来年の春とかにな・・・!
なにがツルツルだったのかと言えばまぁ・・・。なんとなく想像通りでした。
わりと穏やか~に、けれど慌ただしく楽しく賑やかな日々。
げんしけん12巻はまったりとした中で、気持ちの微妙な変化を見せる内容だったかと。
2代目の女の子たちにもだいぶ自分が馴染んできて、面白くなって来ました。
吉武と矢島のかけあいが面白いなぁ。吉武が盛り上げて、矢島がのりつつも所々でブレーキをかける。矢島は所々で観察力の深さというか、他人を思いやってる一面が見れていいな。
でも吉武が考えなしかと言えばそんなわけもなく、妹の権では思慮深い一面を見せており、全部わかったうえでアクセス踏み込んでると分かる。結構なクセモノです。
一年生同士で家に遊びにいったり飲み会したり、どんどん仲良くなってってて微笑ましいですねえ。キラキラしてるじゃないですか。
一方で先にも書きましたが、男性主体サークルと女性主体サークルの雰囲気の違いをつよく感じるようになってきたかなぁ。
未だにげんしけん部室にはくじアンのポスターが張られていたり、部室の見た目は変わっていないんだけど、やっぱり雰囲気は違うんだよな。
それは良いとか悪いとかじゃなくて、そういうものだから。世代交代です。
いろんな思いを抱きつつもやっぱり楽しめるオタク青春漫画げんしけん。
『げんしけん』12巻(二代目の参) ・・・・・・・・・★★★★
二代目も三冊目。2代目キャラの過去も掘り下げる一冊。13巻では学園祭で楽しみ!
そういえば藪崎たちが漫研追い出されたらしい。藪崎さんいいキャラですな。