[漫画]一瞬一瞬を刻みつけて『ハレルヤオーバードライブ!』7巻
ハレルヤオーバードライブ! 7 (ゲッサン少年サンデーコミックス) (2012/07/12) 高田 康太郎 商品詳細を見る |
踊らせてやりましょう!!
恋と音楽の青春バンドストーリー「ハレルヤオーバードライブ」7巻。
もう7巻かあという感じですね。いい調子で巻を重ねてきていると思います。
今度の表紙は生徒会長、御角日向。ストーリーに絡みだしてからまだ日が浅いキャラクターですが、いい表紙じゃないですか!一気に惚れ込みそう。このシリーズはカラーイラストもとても魅力的です。
さて、7巻はまるっと合宿編。
部活の人間関係がぎこちなくなったり、スランプに陥るバンドメンバーがいたり、いまだ癒えないかつての傷が顔をのぞかせたり・・・見逃せない展開がいくつか。しかしキラキラした前向きさが心を元気にしてくれる。
ということで感想。前の巻の感想も張ってみる。
新たな希望へ進め! 『ハレルヤオーバードライブ!』6巻
はじめて生で聞いたリリーパスカル。奪われた『希望』。肌と音で感じた圧倒的な差。
6巻ではいったん展開が大きな盛り上がりを見せ、主人公らは明確な目標を見据えました。
そして7巻からは新展開。
とはいえ一気にストーリーが動くことはなく、まずじっくりバンドを鍛えるために合宿へ。
『希望』を取り戻すのに今大切なのは、なにより練習である。
次の盛り上がりに向けて力を蓄えてるかのような、爆発を待つかのようにテンションを高めていくような感覚。バンドとして苦難を乗り越えていく姿があります。
●麗のスランプと成長
7巻全体を通じて感じたことは、麗という女の子がじっくり深められているということ。
彼女がいまいちバンドにノれないスランプに陥っており、そこからの復活が大きなテーマとなっている巻です。
しかしバンドメンバーとしても人間として強さをと柔軟さを得ていく過程が描かれていたように思います。それはつまり彼女の成長です。
好きなのはスランプでおちこむ麗とはげまそうと、ハルさんたちがカラオケに誘うエピソード。
ハル、タンポポ、愛葉、若葉・・・ほかのメンバーがどんな曲を歌うのかって部分も楽しいし
ベースラインのいい曲を選んで、ささいだけど麗に刺激を与えつつ、カラオケで緊張をほぐしてほしいという気配りもさすが。
それから色々ありましたが、7巻のクライマックスには麗たちの新バンドのステージ。
バンドメンバーはタンポポ、ハル、楓、コデマリ、そして麗。なにこの並び!
「踊らせてやりましょう!!」
いいシーンです。7巻で1番好き。
思えば今までの麗には、「小雨を支えてあげよう」「小雨と一緒に演奏しよう」という気持ちが大きかったように見えます。引き立て役、サポート役・・・裏方にいたような。
まぁ入部したきっかけがきっかけです。メタりかの轟音にショックを受けたのもあるけど、もとはいえば小雨がいてこそで。彼を好きだから、バンドに入った。恋に生きる女の子。
恋に生きるくせに恥ずかしがりのヘタレなんだから行動力があるんだかないんだか。
でも肝心なとこで決定打を出せないのも、もどかしくてたまらない・・・!
それはともかくとして、今までの麗にはなかった姿勢がここに見えるのです。
これはもう、麗のためのステージといっていい。
小雨と離れて、今までと違ったメンバーで、恋敵のハルさんと一緒のバンドで。
だれのためか、なんてのを置き去りにして、なにより自分が楽しむために。聞く人を躍らせるために。踊ってもらうんじゃない、躍らせるのだ。私たちが・・・私が。なにより、それで自分が楽しむために。
だってこのバンドは「ポニーテールズ」。麗のためのバンドなのだ。
「私がやる!」という意識が芽生えた麗というのは新鮮で、進歩を感じたのでした。力強い自意識と、スランプを抜けるための柔軟な思考。新しいリズムを取り込んだことは、音楽面でも精神面でも印象的な部分ですね。
でもやっぱり麗の気持ちの根底には、小雨に届かせようという思いがあったんじゃないかな。
どういう時にでも、どこかそういう歩み寄りがあるのが、彼女らしい。
そしてだからこそ、最後には小雨に届く。ひらめいた小雨は、次へと進むカギになる。
●先輩たちの存在感
7巻の3年生メンバー、みんなイイですよね。
本人たちものびのび楽しみつつ、後輩たちをリードする。スランプ打破の手掛かりを与える。アドバイスもすれば手伝いもする。今の部活を守るべく裏で手を回す。
先輩として描かれるキャラクターはみんな、後輩を思いやっての描写が見受けられます。
けれどここで存在感が強まるということは、推測すれば、3年生メンバーに終わりが近いということも感じられる。だから思わず切なくなります。受験勉強もあるし、卒業まではあと半年しか。
とくに鷹木部長は今回グッ深い魅力をみせつけてくれました。でもそれは自分たちの活動が残り少ないことを自覚しての後輩への思いが反映されたものだったりして、やはり寂しい。
そして先輩としての存在感はメタりかというバンドそのものにも宿る!
7巻終盤に見せたメタりかライブは、その場を激流にのみこむような大迫力。思えば第1話でも彼らのパフォーマンスはすさまじく、読者も小雨も心つかまれた。やはり彼らの存在感は尊い。小雨たちにとっての大きな柱になっている。
その中で御角さんもステキ。キラッキラしてる。むしろギラギラ。
今回のライブではOGである彼女もメンバーとなり、フルメンバーのメタりかとなります。
最初は部活をつぶそうとする生徒会の親玉、ラスボスっぽく登場しました御角。
一見すれば堅苦しい、こちらの言い訳をガンガン論破してきそうな怖い人。
でもそこからの変貌ぶりがかわいすぎる。最初のイメージを壊しまくりw
すっごい楽しそうww
普段はこんなドS体質だけど恋愛においてはMっぽくなるのもいいですね。
メタりかのメンバーの個性の強さは相当なもんですね。また御角さんの演奏を見たいな。
そんな感じの「ハレルヤオーバードライブ!」7巻でした。
今回の主役は麗ですね!麗好きとしちゃニマニマし続けながら読みました。
夏合宿編ということでいろいろイベントもありましたが、印象に残るのはやはり、思い出をおのおの心に刻み込んでいる様子です。大切に今をかみしめているような感覚。
今が本当に楽しい日々なのだと。直接言葉にはしないけど、つまりそういうこと。
で、ラブコメ面。気持ちが徐々に深まっていることは確かですが、状況に進展はありません。
ラブ面ではなまぬるい停滞感が漂っていますね、ここらでゴゴッと動いても面白いんじゃないかなと思います。バンドとしての前進は十分に感じる分、ラブコメにおいても明確な進歩がほしいかな。でも焦りは禁物か・・・これから動いていくことでしょう。
初々しさがはじけるこっぱずかしさが、サンデー系王道のラブコメに匂いがします。
実際これくらいのほうが、音楽と青春が織りなすさわやかな物語を堪能できるかな。
この7巻からの新章ではどんな動きがあるのか、楽しみにしています。
『ハレルヤオーバードライブ!』7巻 ・・・・・・・・・★★★☆
第7巻はまるっと夏合宿編。麗のひたむきさと成長が楽しかったです。
Comment
コメントの投稿
Track Back
TB URL