[本]それぞれの新たな決意。ヒロイン分裂ラブバトル! 『ウワガキ』2巻
では、通常更新。
だからこれからは 小秋を好きになっていく
Fellows!にて連載中、八十八良先生の「ウワガキ」2巻が発売されました。
ラブコメでありつつもちょっと緊迫感のある設定に味わい深さがある本作。
1巻がまさかの引きで終了してしまったのもあり、2巻の発売が待たれていました。
ではさっそく感想へー。
1巻は取り上げてなかったので、大まかなあらすじから。
主人公・アジオは、同じクラス女子・千秋に告白する・・・前に先読みされて撃沈。
そんな気まずい状況に突然現れた教師・山田は「実験」と称して、謎の力で千秋を2人に分裂させた。混乱するアジオと2人の千秋をスルーし、山田先生は彼らに実験内容を説明。
曰く、既に恋人がいる千秋とアジオが相思相愛になることは難しい。
しかし恋人の情報のみを削除した新しい「千秋」ならば、どうだろう。
もとの千秋には今の恋人と愛を育んでもらい、アジオにはコピーされた「千秋」との新しい恋愛に挑んでもらう。そして"好きな気持ち”が小さい千秋は、より気持ちの大きい千秋にウワガキされてしまう・・・つまり、己の存在を懸けて恋愛をする実験。
恋人の情報が削除されたコピー千秋は「小秋」と名乗り、アジオ宅に住むことになります。
そして日常を共に過ごすうちに、小秋のアジオへの想いは少しずつ変化し、また大きくなっていっているようで。しかし既に確実な恋人がいる上に、彼にベタ惚れな千秋にこのラブゲームはかなり分がある・・・どうなるアジオ&小秋!・・・と思いきやですよ。
号泣する千秋・・・。恋人である佐藤から、一方的な別れを切り出されました。
2巻序盤は千秋と佐藤を巡るエピソードが続くわけですが、結局、2人は別れます。
26Pで「今までありがとう さようなら!」と笑顔で、きっぱりさっぱり佐藤の元から去る彼女ですが・・・その後涙をボロボロ流して精神不安定状態に。
不満も未練もたらたらです。2巻の千秋を見るに、別れた後も佐藤への想いは抱き続けているみたいで・・・。
佐藤の前でだけは元気で聞き分けの良い女の子。けれどそれは全部演技だったのでしょう。彼のために、と言うのは都合がよすぎるかも知れませんが、恐らく、彼の中の自分が「いい女の子」のままでいられるように、綺麗な思い出で終われるように。
なんて辛い、自己犠牲。怒りを爆発させてしまえばよかったのに。軟弱な佐藤のことだから、泣きつけばヨリを戻せたかもしれない。でもそれをしないのが彼女の弱さでもあり、誇れる強さ。
144Pでも少し涙ぐんでいます。立派ですが、でもやっぱりまだ女の子なんだな。
終わってしまった恋。もう、実験の敗者は千秋で決まったも同然。
けれど負けてしまったら、自分だけが持っている佐藤との楽しかった日々の思い出まで「千秋」の中から消えてしまう。思い出には何の罪もないのに。
そして千秋はこの実験に再び立ち向かっていくことに決めるのでした。
2巻における千秋サイドの話は非常にシリアスで心苦しいものでしたが
意外な方向から活路を見出し、再び立ち上がる彼女には胸を熱くさせられました。
それにしても彼女はかなーり複雑で切ない胸中にあると思いますが・・・
アジオたちの前ではちゃんといつも通りでいて、空気もしっかり読んで行動しているあたり、やっぱり間違いなく「いい女の子」だなと思うのです千秋は。幸せになってくれー。
・・・でも小秋もすっごいかわいくて。どうすればいいんだ・・・。
千秋サイドがシリアスでキワキワな展開に突入してる裏で、初々しいラブコメを繰り広げているアジオ&小秋。着実に2人の気持ちが近づいていっていることが非常に分かりやすく、ニヤニヤを禁じえないというものです!2人同じバイトをすることを前提にしていて話がかみ合わず、自分の思い違いに顔を赤くする千秋には全俺ガッツポーズの巻!かわいすぎー!
2人で一緒にいることがもう当然になってしまっている距離感。一緒に住んでればそうなるか!
千秋側がひどかったので、小秋サイドに心安らいだのは言うまでもないことですw
しかしそんな中、アジオは今の小秋との関係に違和感を覚えるようになります。
というのも、アジオが千秋を好きになったきっかけが、そもそも千秋の恋人・佐藤の存在を前提にしたものであったのです。小秋は千秋と瓜二つ・・・というかほぼ全く同一の人間ですが、小秋は「アジオが好きになった千秋」とは間違いなく、違うのです。
アジオが抱く小秋への恋心は、千秋への恋心の裏返し。だからこそアジオは頭を悩ませます。自分が好きなのは昔の千秋なのか、今の小秋なのか。それ以前に、小秋に恋をしていていいのか。千秋と小秋は、別の女の子なのだから、「千秋が好きだから小秋も好き。だから付き合う」なんて、そんなことは許されない!
そしてヘタレ男子アジオの精いっぱいな決意!小秋へ「これからは小秋を好きになっていく」とまっすぐに宣言してみせたのでした!
そして初めてのキス!アジオと小秋はもう止まらない!
11話の2人はかわいすぎてなんなのこの2人はという感じでした。ぬおぁー。
と、千秋と小秋両サイドの話について書いてきましたが、2巻ではこれまで交わりの無かった2つのルートがちょっと意外なところで繋がったりしました。
アジオと佐藤がバイト先で出会い、親交を深め出します。
アジオは佐藤が千秋の恋人であるとも、また別れたとも知りません。佐藤はもちろん千秋のコピーである小秋の存在も、アジオが彼女と同居していることも知りません。
面白い形でドラマが絡み合いだしましたね。これは先が楽しみ。
佐藤はこのまま物語から姿を消すかと思いきや、まだまだ重要人物とすての立ち位置は揺るがず、この先にも活躍がありそうです。ちょっとムカつく男ですが、面白いキャラクターです。(凄いカッコつけた自己中心的な別れ方を千秋としてましたしね。なんだコイツ)
さらりと「俺の同居人」とか言って新しい恋人(佐和さんと言うらしい)を紹介したりもしました。この女性もまた今後物語の中で面白い動きをしてくれそうですね。
ではまとめ。
2巻はちょっとストーリーに進展は少なかったです。まぁ1巻がいきなり超展開なラストで終わったので、落ちついたという感じでしょうか。
それでも気になる展開は続いた巻となっていると思います。多数のキャラに転機が訪れますし、面白い動きを見せます。2巻終盤からは物語のテンションが再浮上を始め、今後もやはり見逃せません!
作者の八十八良先生は成年向けで活躍している作家さんですが、「ウワガキ」はエロ要素などを無理に挿入せずに丁寧に物語を描いているなぁという好印象。この作品に無駄なエロは必要ないと思いますので。シンプルでポップな絵柄は女性も親しみやすいと思います。
今回は描き下ろしのオマケページも盛りだくさん。嬉しいサービス。
2巻は現在発売中のFellows最新号掲載分までが収録されているので
4月発売の号で2巻の続きが読めます。気になる方はチェックしてみてはいかがでしょう。
まぁ4分冊して1冊ずつ週刊として発売する、というおかしなこと計画してますがw
コミックナタリー→育ちすぎて4分冊!4月のFellows!は“週刊フェローズ”
掲載作品でも雑誌そのものの動向でも、読者を楽しませてくれる雑誌ですねぇFellows。
いよいよ物語は後半戦へ突入(?)。まだまだ注目していきたい作品です。
『ウワガキ』2巻 ・・・・・・・・・★★★☆
ひりひり切ない千秋パートと、初々しいラブコメ全開な小秋パート。どちらも面白いです。
ウワガキ 2巻 (ビームコミックス) (2011/03/14) 八十八 良 商品詳細を見る |
だからこれからは 小秋を好きになっていく
Fellows!にて連載中、八十八良先生の「ウワガキ」2巻が発売されました。
ラブコメでありつつもちょっと緊迫感のある設定に味わい深さがある本作。
1巻がまさかの引きで終了してしまったのもあり、2巻の発売が待たれていました。
ではさっそく感想へー。
1巻は取り上げてなかったので、大まかなあらすじから。
主人公・アジオは、同じクラス女子・千秋に告白する・・・前に先読みされて撃沈。
そんな気まずい状況に突然現れた教師・山田は「実験」と称して、謎の力で千秋を2人に分裂させた。混乱するアジオと2人の千秋をスルーし、山田先生は彼らに実験内容を説明。
曰く、既に恋人がいる千秋とアジオが相思相愛になることは難しい。
しかし恋人の情報のみを削除した新しい「千秋」ならば、どうだろう。
もとの千秋には今の恋人と愛を育んでもらい、アジオにはコピーされた「千秋」との新しい恋愛に挑んでもらう。そして"好きな気持ち”が小さい千秋は、より気持ちの大きい千秋にウワガキされてしまう・・・つまり、己の存在を懸けて恋愛をする実験。
恋人の情報が削除されたコピー千秋は「小秋」と名乗り、アジオ宅に住むことになります。
そして日常を共に過ごすうちに、小秋のアジオへの想いは少しずつ変化し、また大きくなっていっているようで。しかし既に確実な恋人がいる上に、彼にベタ惚れな千秋にこのラブゲームはかなり分がある・・・どうなるアジオ&小秋!・・・と思いきやですよ。
号泣する千秋・・・。恋人である佐藤から、一方的な別れを切り出されました。
2巻序盤は千秋と佐藤を巡るエピソードが続くわけですが、結局、2人は別れます。
26Pで「今までありがとう さようなら!」と笑顔で、きっぱりさっぱり佐藤の元から去る彼女ですが・・・その後涙をボロボロ流して精神不安定状態に。
不満も未練もたらたらです。2巻の千秋を見るに、別れた後も佐藤への想いは抱き続けているみたいで・・・。
佐藤の前でだけは元気で聞き分けの良い女の子。けれどそれは全部演技だったのでしょう。彼のために、と言うのは都合がよすぎるかも知れませんが、恐らく、彼の中の自分が「いい女の子」のままでいられるように、綺麗な思い出で終われるように。
なんて辛い、自己犠牲。怒りを爆発させてしまえばよかったのに。軟弱な佐藤のことだから、泣きつけばヨリを戻せたかもしれない。でもそれをしないのが彼女の弱さでもあり、誇れる強さ。
144Pでも少し涙ぐんでいます。立派ですが、でもやっぱりまだ女の子なんだな。
終わってしまった恋。もう、実験の敗者は千秋で決まったも同然。
けれど負けてしまったら、自分だけが持っている佐藤との楽しかった日々の思い出まで「千秋」の中から消えてしまう。思い出には何の罪もないのに。
そして千秋はこの実験に再び立ち向かっていくことに決めるのでした。
2巻における千秋サイドの話は非常にシリアスで心苦しいものでしたが
意外な方向から活路を見出し、再び立ち上がる彼女には胸を熱くさせられました。
それにしても彼女はかなーり複雑で切ない胸中にあると思いますが・・・
アジオたちの前ではちゃんといつも通りでいて、空気もしっかり読んで行動しているあたり、やっぱり間違いなく「いい女の子」だなと思うのです千秋は。幸せになってくれー。
・・・でも小秋もすっごいかわいくて。どうすればいいんだ・・・。
千秋サイドがシリアスでキワキワな展開に突入してる裏で、初々しいラブコメを繰り広げているアジオ&小秋。着実に2人の気持ちが近づいていっていることが非常に分かりやすく、ニヤニヤを禁じえないというものです!2人同じバイトをすることを前提にしていて話がかみ合わず、自分の思い違いに顔を赤くする千秋には全俺ガッツポーズの巻!かわいすぎー!
2人で一緒にいることがもう当然になってしまっている距離感。一緒に住んでればそうなるか!
千秋側がひどかったので、小秋サイドに心安らいだのは言うまでもないことですw
しかしそんな中、アジオは今の小秋との関係に違和感を覚えるようになります。
というのも、アジオが千秋を好きになったきっかけが、そもそも千秋の恋人・佐藤の存在を前提にしたものであったのです。小秋は千秋と瓜二つ・・・というかほぼ全く同一の人間ですが、小秋は「アジオが好きになった千秋」とは間違いなく、違うのです。
アジオが抱く小秋への恋心は、千秋への恋心の裏返し。だからこそアジオは頭を悩ませます。自分が好きなのは昔の千秋なのか、今の小秋なのか。それ以前に、小秋に恋をしていていいのか。千秋と小秋は、別の女の子なのだから、「千秋が好きだから小秋も好き。だから付き合う」なんて、そんなことは許されない!
そしてヘタレ男子アジオの精いっぱいな決意!小秋へ「これからは小秋を好きになっていく」とまっすぐに宣言してみせたのでした!
そして初めてのキス!アジオと小秋はもう止まらない!
11話の2人はかわいすぎてなんなのこの2人はという感じでした。ぬおぁー。
と、千秋と小秋両サイドの話について書いてきましたが、2巻ではこれまで交わりの無かった2つのルートがちょっと意外なところで繋がったりしました。
アジオと佐藤がバイト先で出会い、親交を深め出します。
アジオは佐藤が千秋の恋人であるとも、また別れたとも知りません。佐藤はもちろん千秋のコピーである小秋の存在も、アジオが彼女と同居していることも知りません。
面白い形でドラマが絡み合いだしましたね。これは先が楽しみ。
佐藤はこのまま物語から姿を消すかと思いきや、まだまだ重要人物とすての立ち位置は揺るがず、この先にも活躍がありそうです。ちょっとムカつく男ですが、面白いキャラクターです。(凄いカッコつけた自己中心的な別れ方を千秋としてましたしね。なんだコイツ)
さらりと「俺の同居人」とか言って新しい恋人(佐和さんと言うらしい)を紹介したりもしました。この女性もまた今後物語の中で面白い動きをしてくれそうですね。
ではまとめ。
2巻はちょっとストーリーに進展は少なかったです。まぁ1巻がいきなり超展開なラストで終わったので、落ちついたという感じでしょうか。
それでも気になる展開は続いた巻となっていると思います。多数のキャラに転機が訪れますし、面白い動きを見せます。2巻終盤からは物語のテンションが再浮上を始め、今後もやはり見逃せません!
作者の八十八良先生は成年向けで活躍している作家さんですが、「ウワガキ」はエロ要素などを無理に挿入せずに丁寧に物語を描いているなぁという好印象。この作品に無駄なエロは必要ないと思いますので。シンプルでポップな絵柄は女性も親しみやすいと思います。
今回は描き下ろしのオマケページも盛りだくさん。嬉しいサービス。
2巻は現在発売中のFellows最新号掲載分までが収録されているので
4月発売の号で2巻の続きが読めます。気になる方はチェックしてみてはいかがでしょう。
まぁ4分冊して1冊ずつ週刊として発売する、というおかしなこと計画してますがw
コミックナタリー→育ちすぎて4分冊!4月のFellows!は“週刊フェローズ”
掲載作品でも雑誌そのものの動向でも、読者を楽しませてくれる雑誌ですねぇFellows。
いよいよ物語は後半戦へ突入(?)。まだまだ注目していきたい作品です。
『ウワガキ』2巻 ・・・・・・・・・★★★☆
ひりひり切ない千秋パートと、初々しいラブコメ全開な小秋パート。どちらも面白いです。